JP2016219560A - 回路基板の放熱構造 - Google Patents

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翔 酒井
匡彦 江積
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Abstract

【課題】電子部品に過渡的な温度上昇が発生した場合でも、効率良く放熱することが可能な回路基板の放熱構造を提供する。
【解決手段】電子部品が実装された回路基板21に生じる熱を放熱する回路基板の放熱構造であり、一方の面に回路基板が取り付けられた平板形状の放熱基板12を有する。また、放熱基板12の他方の面の、回路基板21の取り付け部位に対応する中央領域には、周辺領域よりも相対的に熱容量が大きい放熱ブロック14を設ける。こうすることにより、過渡熱抵抗を低減することができ、過渡的な温度上昇に対応することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体素子等の電子部品を実装した回路基板に生じる熱を放熱するための、放熱構造に関する。
半導体素子等の電子部品等を実装した回路基板は、動作時に大量の熱が発生するため、熱を放出するためのヒートシンクが設けられている。例えば、特許文献1(特許第3677445号)には、熱伝導率の高い平板形状の基材に複数の金属製のピン型放熱フィンを備えたヒートシンクについて記載されている。
特許文献1では、回路基板に複数のピン型放熱フィンを設置し、回路基板にて生じた熱を複数のピン型放熱フィンを用いて放熱することにより、回路基板の温度上昇を抑えることが示されている。
特許第3677445号
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例は、複数のピン型フィンを備えたヒートシンクを用いて回路基板にて発生した熱を放熱する構成であるので、電子部品にて短時間に大量の熱が生じた場合には、効率良く放熱することができず、回路基板の温度が一時的に高まるという問題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電子部品に過渡的な温度上昇が発生した場合でも、効率良く放熱することが可能な回路基板の放熱構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願発明は、平板形状を成し、一方の面に回路基板が取り付けられた放熱基板を有し、放熱基板の他方の面の、回路基板の取り付け部位に対応する領域には、他の領域よりも相対的に熱容量が大きい放熱部を備える。
本発明に係る回路基板の放熱構造では、放熱基板の他方の面の回路基板の取り付け部位に対応する領域に、放熱部が設けられるので、熱を一時的に蓄熱する機能が強化され、過渡熱抵抗を低減することができる。従って、電子部品に過渡的な温度上昇が発生した場合でも、発生した熱を効率良く放熱することが可能となる。
第1実施例に係る放熱構造が採用された回路基板、及びヒートシンクの構成を示す斜視図である。 第1実施例に係る放熱構造が採用されたヒートシンクの裏面側の構成を示す斜視図である。 第1実施例に係る放熱構造が採用された回路基板、及びヒートシンクの構成を示す側面図である。 回路基板の詳細な構成を示す断面図である。 第2実施例に係る放熱構造が採用されたヒートシンクの裏面側の構成を示す斜視図である。 比較例に係る回路基板、及びヒートシンクの斜視図である。 第1、第2実施例、及び比較例に係るヒートシンクに冷却水を流す際のモデルの構成を示す斜視図である。 第1、第2実施例、及び比較例に係るヒートシンクに冷却水を流した際の、時間経過と熱抵抗の変化を示す特性図である。
[実施形態の構成説明]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施例の説明]
図1は、本実施形態の第1実施例に係る回路基板の放熱構造が採用された回路基板、及びヒートシンクの構成を示す斜視図、図2はヒートシンクの裏面側の斜視図、図3は、側面図である。
図1、図3に示すように、放熱基板12の表面(一方の面)の中央部には、平板形状の回路基板21が設けられている。図2、図3に示すように、放熱基板12の、裏面側(他方の面側)の回路基板21の取り付け部位に対応する領域(以下、「中央領域」という)には、この中央領域の外側の領域(以下、「周辺領域」という)よりも相対的に熱容量が大きい直方体形状(ブロック状)の放熱ブロック14(放熱部)が設けられている。
更に、その周囲には、やはりアルミニウムや銅等の金属で形成された複数のピン形状を成すピン型放熱フィン13が立設されている。回路基板21の中心線C1と、放熱ブロック14の中心線C2は一致するように調整されている。
図4は、回路基板21の詳細な断面図である。図4に示すように、回路基板21は、絶縁基板23を備え、更に該絶縁基板23の下側には下側回路パターン25が形成され、上側には上側回路パターン24が形成されている。
下側回路パターン25は、半田27にてヒートシンク11の放熱基板12に連結されている。上側回路パターン24の上面には、例えばインバータ回路に設けられるIGBTやMOSFET等の半導体素子やその他の電子部品が実装された半導体モジュール22が搭載され、半田26にて連結されている。半導体モジュール22を駆動させたときに生じる熱は、ヒートシンク11に伝達され、該ヒートシンク11を介して外部に放熱される構成とされている。
[第2実施例の説明]
次に、第2実施例について説明する。図5は、第2実施例に係る回路基板の放熱構造が採用されたヒートシンクの裏面側の斜視図である。図5に示すように、第2実施例に係るヒートシンク31では、放熱基板12の裏面側の中央領域に複数(図では5個)の長尺状の板状放熱フィン32が搭載されている。即ち、第1実施例では、直方体形状の放熱ブロック14を設けているのに対し、第2実施例では、長尺状の板状放熱フィン32を設置している点で相違している。それ以外の構成は、第1実施例と同様である。
[実施形態の作用の説明]
次に、上述した第1実施例、及び第2実施例に係る放熱構造の作用について説明する。第1、第2実施例と対比するための比較例として、図6に示すように、放熱ブロック14或いは板状放熱フィン32を設けず、放熱基板12の裏面側全体に複数のピン型放熱フィン13を設けた構成のヒートシンク41を用意する。
そして、第1、第2実施例に係るヒートシンク11、31、及び比較例に係るヒートシンク41のそれぞれについて、図7に示すように、冷却水の流路を設ける。即ち、各ヒートシンク11、31、41の裏面側に、側面部材51a、51b、及び底面部材52を設ける。これにより、開口部53a、及びこれと反対側の開口部53bが形成される。そして、一方の開口部53aから冷却水が導入され、他方の開口部53bからこの冷却水が排出される構造とする。ここで、第1実施例に係るヒートシンク11を用いた構成を「モデルA」とし、第2実施例に係るヒートシンク31を用いた構成を「モデルB」とし、比較例に係るヒートシンク41を用いた構成を「モデルC」とする。そして、熱流体シミュレーションを行い、過渡熱性能、及び定常熱性能を評価する。
具体的には、各モデルA、B、Cに対して、開口部53aからLLC(Long Life Coolant)50%の冷却水を流入させる。この際、流入時の冷却水温度を一定にし、且つ、流量を仮の数値に設定する。シミュレーションを繰り返し、各モデルのシミュレーション結果において、LLC50%の冷却水の流通時の圧力損失が一定になるよう、各モデルごとに流量を調整する。
各モデルA、B、Cの圧力損失が一定となるよう個別に流量を設定した後、半導体モジュール22(図4参照)に搭載された各電子部品を駆動させる。そして、半導体モジュール22の中心点α(図7参照)をモニタポイントとし、この中心点αの温度を一定時間モニタする。その後、中心点αの温度と、流入時における冷却水温度との差分を、電子部品に含まれる発熱素子の損失で除することで、各モデルごとに熱抵抗を算出した。その結果、図8に示す如くの結果が得られた。
図8は、半導体モジュール22を駆動させたときの解析時間(横軸)と、ヒートシンクの熱抵抗[K/W]との関係を示す特性図である。なお、横軸は対数目盛である。図8に示す曲線S1は図1に示したヒートシンク11の特性を示し、曲線S2は図5に示したヒートシンク31の特性を示し、曲線S3は比較例として図6に示したヒートシンク41の特性を示している。
前述したように、比較例として示す従来のヒートシンク41では、放熱基板12の裏面側全体に、ピン型放熱フィン13が均一に配置されている。つまり、第1実施例、第2実施例とは異なり、放熱基板12の裏面側に熱容量の大きい放熱部が搭載されていない。従って、図8の曲線S3に示すように、半導体モジュール22が駆動して発熱した場合には、時間経過に伴って熱抵抗が上昇する。その後、4.0[sec]程度の時間が経過すると、一定の熱抵抗となる。
これに対して、曲線S1に示す第1実施例に係るヒートシンク11では、放熱基板12の裏面側の中央領域に、放熱ブロック14が搭載されていることにより、半導体モジュール22が駆動を開始した際に生じる熱が、一次的に放熱ブロック14(放熱部)にて吸収される。従って、比較例として示した曲線S3よりも熱抵抗が低くなっている。
同様に、曲線S2に示す第2実施例に係るヒートシンク31では、放熱基板12の裏面側の中央領域に、板状放熱フィン32が搭載されている。従って、半導体モジュール22が駆動を開始した際に生じる熱が、一次的に板状放熱フィン32(放熱部)にて吸収される。従って、比較例として示した曲線S3よりも熱抵抗が低くなっている。
即ち、第1実施例のヒートシンク11は、比較例のヒートシンク41と比較して、解析時間0.1〜4.0[sec]の範囲での熱抵抗が優れていることが分かる。例えば、解析時間0.5[sec]の時点において、曲線S1と曲線S3の熱抵抗を対比すると、曲線S1は、曲線S3に対して約20%低い値を示した。また、第2実施例のヒートシンク31は、比較例のヒートシンク41と対比して、どの解析時間においても熱抵抗が低く抑えられている。
つまり、半導体モジュール22で生じた熱は、短時間で放熱ブロック14、或いは板状放熱フィン32にて吸収されるので、半導体モジュール22自体の発熱を抑制することができる。その結果、半導体モジュール22の異常な温度上昇を抑制することができる。
また、第2実施例に係るヒートシンク31では、過渡熱抵抗、及び定常熱抵抗の双方を比較例に対して低減することができる。
[実施形態の効果の説明]
このようにして、本実施形態の第1、第2実施例に係る回路基板の放熱構造では、放熱基板12の裏面側の中央領域に熱容量が大きい放熱部を設けている。その結果、過渡熱抵抗を低減することができ、半導体モジュール22にて発生した熱を短時間で吸収することができ、ひいては該半導体モジュール22の温度上昇を抑制することが可能となる。よって、半導体モジュール22が異常な温度上昇により損傷する等の問題の発生を回避することが可能となる。
また、放熱部として、第1実施例に記載したように、放熱ブロック14を用いることにより、比較例として示したヒートシンク41と対比して、電子部品より発せられる熱を一時的に蓄積する機能が高まる。よって、過渡熱抵抗を低減することができる。その結果、半導体モジュール22が異常な温度上昇により損傷する等の問題の発生を回避することが可能となる。
更に、放熱部として、第2実施例に記載したように、板状放熱フィン32を用いることにより、過渡熱抵抗、及び定常熱抵抗の双方を低減することが可能となる。即ち、板状放熱フィン32は、比較例として示した従来のピン型放熱フィンに対して、金属部分の体積が大きく、且つ冷却水との接触面も確保されている。よって、熱容量が高まるばかりでなく、熱交換の効率をも高めることができ、過渡熱抵抗及び定常熱抵抗の双方を低減させることができる。
以上、本発明の回路基板の放熱構造を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、第1、第2実施例では、ヒートシンク11、31の中央に回路基板21が設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヒートシンク11、31の中央以外に回路基板21が搭載される構成としてもよい。この場合には、放熱基板12の裏面側は、回路基板21に対応する領域に、放熱ブロック14、或いは板状放熱フィン32が設けられる構成となる。
11 ヒートシンク
12 放熱基板
13 ピン型放熱フィン
14 放熱ブロック
21 回路基板
22 半導体モジュール
23 絶縁基板
24 上側回路パターン
25 下側回路パターン
26 半田
27 半田
31 ヒートシンク
32 板状放熱フィン
41 ヒートシンク
51a、51b 側面部材
52 底面部材
53a、53b 開口部

Claims (3)

  1. 電子部品が実装された回路基板に生じる熱を放熱する回路基板の放熱構造において、
    平板形状を成し、一方の面に前記回路基板が取り付けられた放熱基板を有し、
    前記放熱基板の他方の面の、前記回路基板の取り付け部位に対応する領域には、他の領域よりも相対的に熱容量が大きい放熱部を備えたこと
    を特徴とする回路基板の放熱構造。
  2. 前記放熱基板の他方の面の、前記回路基板の取り付け部位に対応する領域に設ける放熱部は、ブロック状の放熱ブロックであり、前記他の領域に、ピン形状を成すピン型放熱フィンを設けたこと、
    を特徴とする請求項1に記載の回路基板の放熱構造。
  3. 前記放熱基板の他方の面の、前記回路基板の取り付け部位に対応する領域に設ける放熱部は、長尺状の板状放熱フィンであり、前記他の領域に、ピン形状を成すピン型放熱フィンを設けたこと、
    を特徴とする請求項1に記載の回路基板の放熱構造。
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