JP2016219356A - 角形二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】捲回体を構成する電極の接続部を集電板との間に挟み込む金属板を備える二次電池において、金属板の振動に起因する電気特性の低下を防止することができる角形二次電池を提供する。【解決手段】セパレータ33,34を介在させて正極電極31及び負極電極32を捲回した捲回体30と、該捲回体30の捲回軸A方向の一端と他端に設けられた正極電極31及び負極電極32の接続部32dに接合される集電板40と、該集電板40との間に接続部32dを挟んで接続部32dに接合される金属板50と、を備える角形二次電池であって、金属板50と負極電極32の合剤層32bとの間に、セパレータ33,34と樹脂部材70とが配置されている。【選択図】図5

Description

本発明は、例えば車載用途等に用いられる角形二次電池に関する。
従来から、例えば車両用のモータやその他の電子機器の電源として二次電池が広く用いられており、特に、エネルギー密度(Wh/kg)の高い角形のリチウムイオン二次電池が注目されている。一般に、角形二次電池は、平板状の巻き芯に帯状の電極が捲回された扁平状の捲回電極体を備えている(例えば、下記特許文献1を参照)。
特許文献1に記載された角形二次電池の捲回電極体は、電極が捲回される平板状の巻き芯と、巻き芯に凹設された挿入穴に挿入されて捲回電極体の捲回軸方向端部を拡開する拡開部材とを有している。そして、挿入穴の穴奥側に拡開部材の一部が配置され、挿入穴の手前側に巻き芯の一部が配置されて互いに対向し、巻き芯に対する拡開部材の移動を規制した固定構造を有している。
特許文献1に記載された角形二次電池によれば、巻き芯に対する拡開部材の脱落や位置ずれを防いで、捲回電極体の金属箔露出部と拡開部材とを予め設定された位置で確実に固定することができる信頼性の高い角形二次電池を得ることができる。
特開2014−86348号公報
前記特許文献1に記載された角形二次電池では、捲回電極体の負極側の捲回軸方向端部において、一対の負極拡開操作板によって、負極電極の負極未塗工部の平面状に積層された部分が、巻き芯から扁平厚さ方向に互いに離れる方向に向かって二つに分けられた拡開状態とされる。そして二つに分けられた負極未塗工部を扁平厚さ方向に圧縮することで、一対の負極接続部が形成される。
これら一対の負極接続部は、負極集電板の接続片に対向配置され、接続片と負極拡開操作板との間に挟み込まれた状態で超音波圧接されて負極集電板及び負極拡開操作板に一体に接合される。捲回電極体の正極側の捲回軸方向端部においても、負極接続部と同様に形成された正極接続部が、正極集電板の接続片と正極拡開操作板との間に挟み込まれた状態で超音波圧接されて正極集電板及び正極拡開操作板と一体に接合される。
しかし、正極及び負極拡開操作板は、金属板であり、巻き芯の捲回軸方向の各端部に設けられた挿入孔に装着され、巻き芯から捲回電極体の扁平厚さ方向に互いに離れる拡開状態とされている。そのため、例えば、負極拡開操作板と負極集電板との間に負極電極の接続部を挟み込んでこれらを超音波圧接すると、負極拡開操作板の振動によって負極電極の合剤層から活物質が脱落し、角形二次電池の電気特性を低下させる虞がある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、捲回体を構成する電極の接続部を集電板との間に挟み込む金属板を備える二次電池において、金属板の振動に起因する電気特性の低下を防止することができる角形二次電池を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明の角形二次電池は、合剤層を有する正負の電極にセパレータを介在させて軸芯に捲回した捲回体と、前記捲回体の捲回軸方向の両端部に設けられた前記電極の接続部に接合される集電板と、前記軸芯の溝部に固定されて前記集電板との間に前記接続部を挟んで前記接続部に接合される金属板と、を備える角形二次電池であって、前記金属板と前記電極の最内周の前記合剤層の前記捲回軸方向の端部との間に、前記セパレータと樹脂部材とが配置されていることを特徴とする。
本発明の角形二次電池によれば、金属板と電極の最内周の合剤層の捲回軸方向の端部との間にセパレータと樹脂部材とを配置することで、金属板の振動に起因する電気特性の低下を防止することができる。
本発明の実施形態1に係る角形二次電池の外観斜視図。 図1に示す角形二次電池の蓋組立体と捲回体の分解斜視図。 図2に示す角形二次電池の捲回体の分解斜視図。 図2のIV-IV線に沿う捲回体の捲回軸方向端部の断面図。 図4に示す捲回体の捲回軸方向端部の拡大断面図。 図5に示す捲回体の要部拡大図。 本発明の実施形態2に係る角形二次電池の要部拡大図。 本発明の実施形態3に係る角形二次電池の要部拡大図。
以下、図面を参照して本発明の角形二次電池の実施形態について説明する。なお、図面における各部の縮尺は、本発明の理解を容易にするために、適宜変更する場合がある。また、以下の説明における上下左右は、角形二次電池を構成する各部材の位置関係を説明する便宜的な方向であり、必ずしも鉛直方向や水平方向に対応するものではない。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る角形二次電池100の外観斜視図である。図2は、図1に示す角形二次電池100の蓋組立体と捲回体30の分解斜視図である。本実施形態の角形二次電池100は、主に、扁平な矩形箱状の電池容器10と、電池容器10の外部に配置された一対の外部端子20と、電池容器10の内部に収容された捲回体30と、外部端子20と捲回体30とを電気的に接続する一対の集電板40とを備えている。
電池容器10は、上部に開口部を有する有底角筒状の電池缶11と、電池缶11の開口部を閉塞する電池蓋12とを備えている。電池容器10は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作することができ、電池缶11は、これらの材料を、例えば深絞り加工することによって製作することができる。電池缶11は、概ね長方形平板状の底面11bと、底面11bの長手方向に沿う一対の矩形の広側面11aと、底面11bの短手方向に沿う一対の矩形の狭側面11cとを有している。
電池蓋12は、平面形状が概ね長方形の平板状の部材であり、例えばレーザ溶接によって電池缶11の開口部に全周に亘って接合されることで、電池缶11の開口部を閉塞している。電池蓋12は、長手方向の両端部に外部端子20が設けられ、長手方向の中間部にガス排出弁13及び注液口14が設けられている。
ガス排出弁13は、例えば、電池蓋12をプレス加工して薄肉化し、又は薄膜状の部材を電池蓋12に設けた開口にレーザ溶接等によって接合することによって形成されている。ガス排出弁13は、電池容器10の内圧が所定の圧力を超えて上昇したときに開裂して電池容器10の内圧を低減する。注液口14は、電池缶11を電池蓋12によって閉塞した電池容器10内に非水電解液を注入するために設けられ、非水電解液の注入後に、例えばレーザ溶接によって注液栓15を接合することによって封止される。
一対の外部端子20の一方は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作された正極外部端子20Aであり、他方は、例えば銅又は銅合金によって製作された負極外部端子20Bである。各外部端子20は、電池容器10の外部に配置された外部絶縁体21と、電池容器10の内部に配置された不図示の内部絶縁体及びガスケットとを介して、電池蓋12に対して電気的に絶縁されている。各外部端子20は、接続ボルト22、端子板23、及び接続部材24を備えている。
端子板23は、外部絶縁体21を介して電池蓋12の上面に配置された板状の部材であり、電池蓋12の長手方向に延びて中央部にくびれが形成されている。端子板23は、中央部のくびれを挟んで長手方向に並設された二つの貫通孔を有し、一方の貫通孔には下方から上方へ向けて接続ボルト22が挿通され、他方の貫通孔には上方から下方へ向けて接続部材24が挿通されている。
接続部材24は、端子板23及び電池蓋12を貫通する柱状の部材であり、端子板23の貫通孔から突出した上端部を端子板23の上面で塑性変形させてかしめることによって、端子板23に電気的に接続されている。接続ボルト22は、例えば、複数の角形二次電池100の外部端子20間を接続する不図示のバスバーに設けられた貫通孔又は切り欠きに挿通させてナットを螺合することで、バスバーを外部端子20に固定して電気的に接続することができる。
一対の集電板40の一方は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作された正極集電板40Aであり、他方は、例えば銅又は銅合金によって製作された負極集電板40Bである。各集電板40は、電池容器10の内部に配置された内部絶縁体及びガスケットを介して、電池蓋12に対して電気的に絶縁されている。各集電板40は、電池蓋12に略平行に配置される基部41と、捲回体30を構成する電極に接続される一対の接続片42と、を備えている。
集電板40の基部41は、電池蓋12の長手方向を長手方向、電池蓋12の短手方向を短手方向とする概ね長方形の平板状に形成され、外部端子20の接続部材24を挿通させる貫通孔を有している。集電板40の接続片42は、電池蓋12の短辺側の基部41の長手方向端部に設けられ、基部41の短手方向の両側で下方へ曲折され、電池缶11の広側面11aに沿って電池缶11の底面11bへ向けて垂下する一対の板状に形成されている。
集電板40の一対の接続片42の下方側の捲回体30に接合される部分は、一対の接続片42間の間隔が徐々に拡大するように、捲回体30の捲回軸A方向の外側が、捲回体30の厚さ方向の外側へ向けて曲折されている。すなわち、集電板40の一対の接続片42の下方側の部分は、電池蓋12の上面又は下面に垂直な方向から見て、電池蓋12の長手方向の中央部側の間隔が狭く、電池蓋12の長手方向の端部側の間隔が広い、電池蓋12の長手方向の端部側に向けて開いたV字を成すように曲折されている(図4を参照)。また、集電板40の一対の接続片42は、捲回体30の捲回軸Aに概ね対称に設けられている。
同極の外部端子20と集電板40とは、外部端子20の接続部材24によって電気的に接続されている。具体的には、電池蓋12の貫通孔を貫通した外部端子20の接続部材24は、集電板40の基部41の貫通孔に挿通されて基部41を貫通する。集電板40の基部41を貫通した外部端子20の接続部材24の下端は、集電板40の基部41の下面で塑性変形させてかしめられる。これにより、同極の外部端子20と集電板40とが、外部端子20の接続部材24によって電気的に接続される。
また、外部端子20、集電板40、外部絶縁体21、ガスケット及び内部絶縁体は、外部端子20の接続部材24の上端と下端をかしめることによって電池蓋12に一体的に固定され、電池蓋12と共に蓋組立体を構成している。正極集電板40Aと負極集電板40Bは、それぞれ、一対の接続片42を介して、捲回体30の捲回軸A方向の一端に設けられた正極電極31の接続部31dと、他端に設けられた負極電極32の接続部32dに接合される。
図3は、図2に示す角形二次電池100の捲回体30の巻き終わり側の端部を展開した状態を示す分解斜視図である。捲回体30は、帯状のセパレータ33,34を介在させて積層した帯状の正極電極31及び負極電極32を、捲回軸Aに平行で扁平な板状の軸芯35の周りに捲回した捲回電極群である。セパレータ33,34は、正極電極31と負極電極32との間を絶縁すると共に、最外周に捲回された負極電極32の外側にもセパレータ34が捲回されている。セパレータ33,34は、例えば、ポリオレフィン系の樹脂材料によって製作することができ、具体的には、ポリプロピレン樹脂材料及びポリエチレン樹脂の少なくとも一方を含む多孔質の樹脂材料によって製作されている。
捲回体30は、正極電極31及び負極電極32が平坦に積層された厚さ方向両側の一対の平面部30aと、平面部30aの両側で正極電極31及び負極電極32が湾曲して積層された半円筒状の一対の湾曲部30bを有している。捲回体30は、捲回軸Aが電池缶11の底面11b及び広側面11aと平行になるように電池缶11内に挿入され、一対の平面部30aが電池缶11の一対の広側面11aに対向して配置され、一対の湾曲部30bが電池蓋12及び電池缶11の底面11bに対向して配置される。
正極電極31は、正極集電体である正極箔31aと、正極箔31aの両面に正極活物質合剤を塗工することによって形成された正極合剤層31bとを有している。正極電極31の幅方向の一側は、正極合剤層31bが形成されない未塗工部であり、正極箔31aが露出した箔露出部31cとされている。正極電極31は、箔露出部31cが負極電極32の箔露出部32cと捲回軸A方向の反対側に配置されて、軸芯35の周りに捲回されている。
正極電極31は、例えば、正極活物質に導電材、結着剤及び分散溶媒を添加して混練した正極活物質合剤を、幅方向の一側を除いて正極箔31aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。正極箔31aとしては、例えば、厚さ約20μmのアルミニウム箔を用いることができる。正極箔31aの厚みを含まない正極合剤層31bの厚さは、例えば、約90μmである。
正極活物質合剤の材料としては、例えば、正極活物質として100重量部のマンガン酸リチウム(化学式LiMn)を、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛を、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を、分散溶媒としてN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を、それぞれ用いることができる。正極活物質は、前記したマンガン酸リチウムに限定されず、例えば、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウム、一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物を用いてもよい。また、正極活物質として、層状結晶構造を有するコバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、及びこれらの一部を金属元素で置換又はドープしたリチウム−金属複合酸化物を用いてもよい。
負極電極32は、負極集電体である負極箔32aと、負極箔32aの両面に負極活物質合剤を塗工することによって形成された負極合剤層32bとを有している。負極電極32の幅方向の一側は、負極合剤層32bが形成されない未塗工部であり、負極箔32aが露出した箔露出部32cとされている。負極電極32は、箔露出部32cが正極電極31の箔露出部31cと捲回軸A方向の反対側に配置されて、軸芯35の周りに捲回されている。
負極電極32は、例えば、負極活物質に結着剤及び分散溶媒を添加して混練した負極活物質合剤を、幅方向の一側を除く負極箔32aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。負極箔32aとしては、例えば、厚さ約10μmの銅箔を用いることができる。負極箔32aの厚みを含まない負極合剤層32bの厚さは、例えば、約70μmである。
負極活物質合剤の材料としては、例えば、負極活物質として100重量部の非晶質炭素粉末を、結着剤として10重量部のPVDFを、分散溶媒としてNMPをそれぞれ用いることができる。負極活物質は、前記した非晶質炭素に限定されず、リチウムイオンを挿入、脱離可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料やSiやSnなどの化合物(例えば、SiO、TiSi等)、又はそれらの複合材料を用いてもよい。負極活物質の粒子形状についても特に限定されず、鱗片状、球状、繊維状又は塊状等の粒子形状を適宜選択することができる。
なお、前記した正極合剤層31b及び負極合剤層32bに用いる結着材は、PVDFに限定されない。前記した結着材として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体及びこれらの混合体などを用いてもよい。
捲回体30の捲回軸A方向において、負極電極32の負極合剤層32bの幅は、正極電極31の正極合剤層31bの幅よりも広くなっている。また、捲回体30の最内周と最外周には負極電極32が捲回されている。これにより、正極合剤層31bは、捲回体30の最内周から最外周まで負極合剤層32bの間に挟まれている。
捲回体30は、捲回軸A方向の両端部に、集電板40を接合するための電極の接続部31d,32dが設けられている。より詳細には、捲回体30の捲回軸A方向の一方の端部に、正極電極31の箔露出部31cが捲回されて積層された正極電極31の接続部31dが設けられ、捲回軸A方向の他方の端部に負極電極32の箔露出部32cが捲回されて積層された負極電極32の接続部32dが設けられている。
図4は、図2に示す捲回体30の電極の接続部31d,32dに各集電板40を接合した状態のIV-IV線に沿う断面図である。捲回体30は、セパレータ33,34を介在させた正極電極31及び負極電極32を捲回するための軸芯35を備えている。軸芯35は、捲回体30の平面形状に対応した略矩形の平板状の部材であり、捲回軸Aが中心線となっている。軸芯35は、絶縁性の材料、例えば、PP(ポリプロピレン)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等によって製作することができる。
本実施形態において、軸芯35は、捲回軸A方向の一端と他端に溝部35aが設けられている。溝部35aは、軸芯35の捲回軸A方向の端面から捲回軸A方向に所定の深さを有し、底部近傍の溝幅が一定であり、開口部近傍にV字状の傾斜面が形成され、開口部近傍の溝幅が拡大されている。
また、各集電板40との間に電極の接続部31d,32dを挟んで該接続部31d,32dに接合される金属板50として、捲回体30の捲回軸A方向において、軸芯35の一端に固定された正極金属板(図示省略)と、軸芯35の他端に固定された負極金属板50Bとを有している。正極金属板は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって製作され、負極金属板50Bは、例えば、銅又は銅合金によって製作されている。金属板50の厚さは、例えば、正極箔31a又は負極箔32aよりも厚く、集電板40の厚さよりも薄い。
本実施形態において、各々の金属板50の端部は、それぞれ軸芯35の一端と他端に設けられた溝部35aに挟み込まれて固定されている。また、本実施形態において、各々の金属板50は、扁平な捲回体30の接続部31d,32dを厚さ方向に二分割するように拡開された第1の部分51及び第2の部分52を備えている。
各集電板40は、各金属板50の第1の部分51及び第2の部分52との間に、それぞれ二分割された接続部31d,32dを挟む一対の接続片42を有している。各集電板40及び各金属板50は、それぞれ二分割された接続部31d,32dを挟んで圧縮した状態で、超音波圧接によって接続部31d,32dに接合される。これにより、正極電極31が正極集電板40Aを介して正極外部端子20Aに電気的に接続され、負極電極32が負極集電板40Bを介して負極外部端子20Bに電気的に接続され、捲回体30が集電板40を介して蓋組立体に固定される。
なお、捲回体30の捲回軸A方向において、セパレータ33,34の幅は負極合剤層32bの幅よりも広いが、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cは、それぞれセパレータ33,34の幅方向端部よりも幅方向外側に突出している。したがって、セパレータ33,34は、正極電極31及び負極電極32の接続部31d,32dを金属板50と集電板40との間に挟んで超音波圧接する際の支障にはならない。
その後、蓋組立体に保持された捲回体30を、図2に示す絶縁保護フィルム61で覆うとともに一対の絶縁ケース62によって捲回体30の捲回軸A方向の両端部及び一対の集電板40を覆う。絶縁保護フィルム61及び絶縁ケース62は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、捲回体30及び集電板40を電池缶11に対して絶縁する。なお、絶縁保護フィルム61及び絶縁ケース62は、一体に設けられていてもよい。そして、蓋組立体に保持された捲回体30を電池缶11の開口部から挿入し、例えばレーザ溶接によって電池蓋12を電池缶11の開口部の全周に亘って接合する。
その後、電池蓋12の注液口14を介して電池容器10内に非水電解液を注入し、例えばレーザ溶接によって注液口14に注液栓15を接合して電池容器10を密閉する。電池容器10に注入する非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
以上の構成により、角形二次電池100は、供給された外部発電電力を外部端子20及び集電板40を介して捲回体30に蓄積して充電され、捲回体30に蓄積された電力を集電板40及び外部端子20を介して外部機器に供給することができる。
以下、本実施形態の角形二次電池100の特徴構成について詳細に説明する。
図5は、図4に示す捲回体30の捲回軸A方向端部の拡大断面図である。図6は、図5に示す捲回体30の要部拡大図である。図5及び図6では、捲回体30の軸芯35の近傍にセパレータ33,34を介在させて捲回した正極電極31及び負極電極32の内周部を模式的に表し、その外側の外周部のセパレータ33,34、正極電極31及び負極電極32の図示を省略している。また、図5及び図6では、負極側の構成を示しているが、正極側の構成も負極側の構成と同様であるので、正極側の構成の説明を省略する。
本実施形態の角形二次電池100は、前述のように、セパレータ33,34を介在させて正極電極31及び負極電極32を捲回した捲回体30と、捲回体30の捲回軸A方向の両端部に設けられた正極電極31及び負極電極32の接続部31d,32dに接合される集電板40と、集電板40との間に接続部31d,32dを挟んで接続部31d,32dに接合される金属板50と、を備えている。本実施形態の角形二次電池100は、金属板50,50と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bとの間に、セパレータ33,34と樹脂部材70とが配置されていることを最大の特徴としている。より詳細には、金属板50,50と正極電極31及び負極電極32の最内周の合剤層31b,32bの捲回軸A方向の端部との間に、セパレータ33,34と樹脂部材70とが配置されている
より詳細には、捲回体30の軸芯35の周りには、まず、一周以上に亘ってセパレータ33,34が捲回されている。最内周に捲回されたセパレータ33,34の外側には、負極電極32がセパレータ33,34の間に挟み込まれた状態で、軸芯35の周りに一周以上に亘って捲回されている。さらにその外側には、正極電極31がセパレータ33,34の間に挟み込まれ、セパレータを33,34介在させた状態で、正極電極31及び負極電極32が軸芯35の周りに複数周に亘って捲回されている。捲回体30の最外周部分では、正極電極31の外周に負極電極32が一周以上に亘って捲回され、さらにその外周にセパレータ33,34が複数周に亘って捲回されている。セパレータ33,34の捲回方向の終端部は、例えば、粘着テープによって捲回体30の外周面を構成するセパレータ34に固定されている。
捲回体30の最内周に一周以上に亘って捲回されたセパレータ33,34の捲回軸A方向の端部は、軸芯35の捲回軸A方向の端部よりも突出している。軸芯35の捲回軸A方向の端部よりも突出したセパレータ33,34は、軸芯35に固定された金属板50が捲回体30の接続部32dを厚さ方向に二分割するように拡開されることで、金属板50に沿って湾曲し、金属板50(図4参照)と負極電極32の合剤層32bの捲回軸A方向の端部との間に配置されている。さらに、金属板50とセパレータ33,34との間には、樹脂部材70が配置されている。
樹脂部材70は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等の樹脂材料、又は、ポリブタジエン系、ニトリル系、或いはクロロプレン系の合成ゴム等によって製作することができる。樹脂部材70は、セパレータ33,34とともに金属板50と負極電極32の合剤層32bとの間に配置されている。より詳細には、樹脂部材70は、金属板50とセパレータ33,34との間に配置され、セパレータ33,34は、樹脂部材70と最内周の負極電極32の合剤層32bの捲回軸A方向の端部との間に配置されている。樹脂部材70の端部は、金属板50の端部とともに軸芯35の溝部35aに嵌め込まれて固定されている。
なお、樹脂部材70の厚さは、セパレータ33,34の厚さよりも厚いことが好ましい。例えば、セパレータ33,34の厚さが、例えば10μmから30μm程度である場合に、樹脂部材70の厚さは、例えば40μmから100μm程度の厚さにすることができる。本実施形態の樹脂部材70は、金属板50と負極電極32の合剤層32bとの間に配置された一枚の樹脂シートである。なお、樹脂部材70は、金属板50と負極電極32の合剤層32bとの間に配置された二枚以上の樹脂シートとすることもできる。
また、樹脂部材70の強度及び耐久性は、セパレータ33,34の強度及び耐久性よりも高いことが好ましい。また、樹脂部材70は、弾性材料によって製作され、金属板50に沿って湾曲するように弾性変形することで、負極電極32の合剤層32bから遠ざかる方向の復元力を金属板50に対して作用させることが好ましい。なお、正極側も負極側と同様に、金属板50と正極電極31の合剤層31bとの間に、セパレータ33,34と樹脂部材70とが配置されている。
以下、本実施形態の角形二次電池100の作用について説明する。
本実施形態の角形二次電池100は、前述のように、セパレータ33,34を介在させて正極電極31及び負極電極32を捲回した捲回体30と、捲回体30の捲回軸A方向の両端部に設けられた正極電極31及び負極電極32の接続部31d,32dに接合される集電板40と、集電板40との間に接続部31d,32dを挟んで該接続部31d,32dに接合される金属板50と、を備えている。そして、金属板50と正極電極31及び負極電極32の最内周の合剤層31b,32bの捲回軸A方向の端部との間に、セパレータ33,34と樹脂部材70とが配置されている。
これにより、集電板40と金属板50との間に正極電極31及び負極電極32の接続部31d,32dを挟んでこれらを超音波圧接によって接合する際に、樹脂部材70及びセパレータ33,34によって金属板50の振動を吸収することができる。また、樹脂部材70及びセパレータ33,34によって金属板50が直接的に正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bに接触するのを防止することができる。
一方、前記特許文献1に記載された従来の角形二次電池では、金属板と電極の合剤層の端部との間に樹脂部材を有しない。そのため、金属板と電極の合剤層の端部との間には、最善でもセパレータのみが配置されることになるが、セパレータのみでは金属板の振動を十分に緩和することができず、金属板と電極の合剤層の端部との接触を十分に防止できない虞がある。
これに対し、本実施形態の角形二次電池100では、金属板50と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bの端部との間に、セパレータ33,34に加えて樹脂部材70を配置している。これにより、樹脂部材70によって金属板50の振動を十分に緩和し、金属板50と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bの端部との接触をより確実に防止することが可能になる。したがって、本実施形態の角形二次電池100によれば、金属板50の振動による正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bからの活物質の脱落を抑制し、金属板50の振動に起因する電気特性の低下を防止することができる。
また、樹脂部材70の厚さをセパレータ33,34の厚さよりも厚くすることで、樹脂部材70による金属板50の振動及び衝撃の吸収効果をより向上させることができる。また、樹脂部材70が、金属板50と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bとの間に配置された一以上の樹脂シートである場合には、各樹脂シートによって振動の吸収効果が得られるだけでなく、複数の樹脂シートを用いることで、樹脂部材70を介した振動の伝達をより効果的に抑制することができる。
また、金属板50は、捲回軸A方向における軸芯35の一端と他端に固定され、扁平な捲回体30の接続部31d,32dを厚さ方向に二分割するように拡開された第1の部分51及び第2の部分52を備えている。また、集電板40は、金属板50の第1の部分51及び第2の部分52との間に、二分割された接続部31d,32dのそれぞれを挟む一対の接続片42を有している。これにより、捲回体30の捲回数が増加して接続部31d,32dの厚さが増加しても、捲回体30の厚さ方向に二分割した接続部31d,32dを、集電板40と金属板50との間に挟んで、これらを容易に超音波圧接することができる。
また、金属板50の端部は、軸芯35の捲回軸A方向の一端と他端に設けられた溝部35aに固定されている。これにより、軸芯35によって金属板50を支持し、捲回体30の接続部31d,32dを厚さ方向に二分割するように拡開するのを容易にすることができる。また、樹脂部材70の端部は、金属板50の端部とともに軸芯35の溝部35aに固定されている。これにより、樹脂部材70の配置を金属板50の配置と同時に一工程で行うことができ、製造工程を簡略化して角形二次電池100の生産性を向上させることができる。
また、樹脂部材70が弾性材料によって製作されている場合には、樹脂部材70が金属板50に沿って湾曲するように弾性変形することで、正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bから遠ざかる方向の復元力を金属板50に対して作用させることができる。これにより、正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bの端部に向けた金属板50の振動を抑制し、樹脂部材70と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bの端部との間の隙間を確保し、金属板50の振動による正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bからの活物質の脱落をより効果的に抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態の角形二次電池100によれば、金属板50と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bとの間にセパレータ33,34と樹脂部材70とを配置することで、金属板50の振動に起因する電気特性の低下を防止することができる。
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2に係る角形二次電池について、図1から図4を援用し、図7を用いて説明する。本実施形態の角形二次電池は、樹脂部材70の一部が、軸芯35の外周面35bと該軸芯35に捲回された負極電極32との間に配置されている点で、前述の実施形態1で説明した角形二次電池100と異なっている。本実施形態の角形二次電池のその他の点は、実施形態1の角形二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の角形二次電池において、樹脂部材70は、捲回軸A方向において、一方の端部が軸芯35の外周面35bと該軸芯35に捲回された負極電極32との間に配置され、他方の端部が金属板50と負極電極32の箔露出部32cとの間に配置されている。より詳細には、樹脂部材70の一方の端部は、軸芯35の外周面35b上に配置され、その外側にセパレータ33が1周以上に亘って捲回され、その外側に負極電極32が捲回されている。
本実施形態の角形二次電池によれば、金属板50と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bとの間に、セパレータ33と樹脂部材70とを配置することで、前述の実施形態1の角形二次電池100と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の角形二次電池は、前述の実施形態1の角形二次電池100と比較して、金属板50に沿って湾曲する樹脂部材70の曲率半径が小さくなり、樹脂部材70の弾性変形量が増加する。そのため、樹脂部材70から金属板50に作用する復元力をより大きくすることができる。これにより、正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bの端部に向けた金属板50の振動をより効果的に抑制し、樹脂部材70と正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bの端部との間の隙間を確保し、金属板50の振動による正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32bからの活物質の脱落をより効果的に抑制することができる。
[実施形態3]
次に、本発明の実施形態3に係る角形二次電池について、図1から図4を援用し、図8を用いて説明する。図8は、本発明の実施形態3に係る角形二次電池の図6に相当する要部拡大図である。
本実施形態の角形二次電池は、樹脂部材70が軸芯35の捲回軸A方向の長さの全体に亘って配置されている点で、前述の実施形態2で説明した角形二次電池と異なっている。本実施形態の角形二次電池のその他の点は、実施形態2の角形二次電池と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の角形二次電池において、樹脂部材70は、捲回軸A方向において、中間部が軸芯35の外周面35bと該軸芯35に捲回された負極電極32との間に配置され、両端部が金属板50と負極電極32の箔露出部32cとの間に配置されている。より詳細には、樹脂部材70の中間部は、軸芯35の外周面35b上に配置され、その外側にセパレータ33,34が1周以上に亘って捲回され、その外側に負極電極32が捲回されている。また、樹脂部材70の両端部は、軸芯35の捲回軸A方向の両端部から突出している。
本実施形態の角形二次電池によれば、前述の実施形態2の角形二次電池と同様の効果が得られるだけでなく、軸芯35の外周面35b上にシート状の樹脂部材70を捲回し、その外側にセパレータ33を捲回し、さらにその外側に負極電極32を捲回する製造工程を採用することが可能になる。したがって、新たな製造設備を導入する必要がなく、製造工程を容易にすることができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
30 捲回体
31 正極電極(電極)
31c 箔露出部
31d 接続部
32 負極電極(電極)
32c 箔露出部
32d 接続部
33 セパレータ
34 セパレータ
35 軸芯
35a 溝部
35b 外周面
40 集電板
42 接続片
50 金属板
51 第1の部分
52 第2の部分
70 樹脂部材(樹脂シート)
100 角形二次電池
A 捲回軸

Claims (9)

  1. 合剤層を有する正負の電極にセパレータを介在させて軸芯に捲回した捲回体と、前記捲回体の捲回軸方向の両端部に設けられた前記電極の接続部に接合される集電板と、前記軸芯の溝部に固定されて前記集電板との間に前記接続部を挟んで前記接続部に接合される金属板と、を備える角形二次電池であって、
    前記金属板と前記電極の最内周の前記合剤層の前記捲回軸方向の端部との間に、前記セパレータと樹脂部材とが配置されていることを特徴とする角形二次電池。
  2. 前記樹脂部材の厚さは、前記セパレータの厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の角形二次電池。
  3. 前記金属板は、前記捲回軸方向において前記軸芯の一端と他端に固定され、扁平な前記捲回体の前記接続部を厚さ方向に二分割するように拡開された第1の部分及び第2の部分を備え、
    前記集電板は、前記金属板の前記第1の部分及び前記第2の部分との間に、二分割された前記接続部のそれぞれを挟む一対の接続片を有することを特徴とする請求項2に記載の角形二次電池。
  4. 前記樹脂部材は、前記金属板と前記電極の前記合剤層との間に配置された一以上の樹脂シートであることを特徴とする請求項3に記載の角形二次電池。
  5. 前記金属板の端部は、前記軸芯の前記一端と前記他端に設けられた前記溝部に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の角形二次電池。
  6. 前記樹脂部材の端部は、前記溝部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の角形二次電池。
  7. 前記樹脂部材の一部は、前記軸芯の外周面と該軸芯に捲回された前記電極との間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の角形二次電池。
  8. 前記樹脂部材は、前記捲回軸方向において、一方の端部が前記軸芯の外周面と該軸芯に捲回された前記電極との間に配置され、他方の端部が前記金属板と前記電極の箔露出部との間に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の角形二次電池。
  9. 前記樹脂部材は、前記捲回軸方向において、中間部が前記軸芯の外周面と該軸芯に捲回された前記電極との間に配置され、両端部が前記金属板と前記電極の箔露出部との間に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の角形二次電池。
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