JP2016219355A - チタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法 - Google Patents

チタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物の生成や残存を有効に抑制しながら、チタンニオブ酸化物の結晶子サイズを適切な範囲に制御して、リチウムイオン電池の負極として用いた際に優れた充放電特性を発揮することのできるチタンニオブ酸化物を使用した負極活物質及びその製造方法を提供する。【解決手段】特定量の水酸化ニオブ、チタン化合物及び過酸化水素を含有し、かつニオブに対する過酸化水素のモル比が特定値である懸濁液を調製する工程(I)、得られた懸濁液を35〜250℃で水熱反応に付した後、固液分離して固形分を得る工程(II)、得られた固形分を、特定量の洗浄水によって洗浄する工程(III)、洗浄した固形分を特定温度で焼成してチタンニオブ酸化物を得る工程(IV)、並びに得られたチタンニオブ酸化物に特定の炭素を特定量で担持する工程(V)を備える、TiNb2O7の表面に炭素が担持されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた電池特性を発現させるための、TiNbの表面に炭素が担持されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法に関する。
従来より、リチウムイオン電池の負極としてグラファイトの使用が普及している。かかるグラファイトは、リチウム基準で0.1〜0.3V近傍に作動電位を有しており、リチウムイオン電池の高電圧化及び高エネルギー密度化を実現する上で大きな役割を果たしている。
一方、かかるグラファイトの作動電位は金属リチウムの析出電位近傍でもあるために、電池が過充電状態となると、グラファイト表面の不動状皮膜から漏出した金属リチウムが対極に向かって結晶化してデンドライトが生成されてしまう。また、放電過程では、デンドライトの根元部が溶出して先端部がグラファイト表面から離脱し、電池の中に残留してしまう。こうした電解液中に残留して浮遊する金属リチウムは、デッドリチウムとも称され、非常に活性の高い微小金属リチウムとなって、充放電効率を低下させるだけでなく、電池内での内部短絡や発熱等を引き起こすおそれもある。
デンドライトの生成やデッドリチウムの発生を回避するには、負極の作動電位がリチウム基準で1V以上となる材料が求められるところ、例えば非特許文献1では、チタンニオブ酸化物(TiNb27)であれば、リチウム基準で1V以上の電位範囲において、250〜280mAh/gの高容量を示すことが報告されている。このようなチタンニオブ酸化物に関する技術として、例えば特許文献1には、BET比表面積が特定の値であるTiNb27等の複合酸化物が開示されており、固相反応や水熱反応を用いて得られることが示されている。また、特許文献2には、過酸化水素を用いて特定の温度域内で水熱処理することにより、ニオブ系酸化物微粒子を分散液として得る製造方法が開示されている。
特開2010−287496号公報 特開2008−81378号公報
Jian−Tao Han et al,「New Anode Framework for Rechargeable Lithium Battteries」,CHEMISTRY OF MATERIALS,2011,Vol.23,p2027‐2029
しかしながら、TiNb27中のTiは全て+4価であり、電気伝導を担う3d電子を持たないことから、依然として高電流密度下での充放電特性(レート特性)の向上を充分に図ることが困難であるという課題がある。かかる課題を解決するには、TiNb27をナノ粒子化してイオン拡散距離を軽減することも有用な手段ではあるものの、上記特許文献1に記載のような固相反応を用いると、かかる酸化物の結晶子サイズが必要以上に大きくなりやすいため、イオン拡散距離の軽減を図ることは困難である。また、上記特許文献2に記載のような水熱反応を用いても、分散液のままでは結晶子サイズを制御しにくい上に、分散液から粒子を得る際の処理内容によっては、そのサイズが大きく変動するおそれがある上、アニオン成分等の不純物を効果的に除去するのも困難である。
したがって、本発明の課題は、不純物の生成や残存を有効に抑制しながら、チタンニオブ酸化物の結晶子サイズを適切な範囲に制御して、リチウムイオン電池の負極として用いた際に優れた充放電特性を発揮することのできるチタンニオブ酸化物を使用した負極活物質の製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、特定の懸濁液を用いる特定の水熱反応に付する工程を含み、かつ特定の洗浄工程、焼成工程及び炭素担持工程を備える製造方法とすることにより、不純物の残留や生成を有効に抑制しつつ、結晶子サイズが適度な範囲に制御され、かつ導電性炭素粉末または水溶性有機化合物が炭化されてなる炭素が担持されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質が得られ、かかる負極活物質であれば優れた放電容量維持率を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、水酸化ニオブ10〜40質量%と、チタン化合物及び過酸化水素を含有し、かつニオブに対する過酸化水素のモル比が3〜8である懸濁液を調製する工程(I)、
得られた懸濁液を35〜250℃で水熱反応に付した後、固液分離して固形分を得る工程(II)、
得られた固形分を、固形分の乾燥質量1質量部に対して8〜60質量部の洗浄水によって洗浄する工程(III)、
洗浄した固形分を600〜1200℃で焼成してチタンニオブ酸化物を得る工程(IV)、並びに、
得られたチタンニオブ酸化物に、導電性炭素粉末または水溶性有機化合物が炭化されてなる炭素を、チタンニオブ酸化物100質量部に対し炭素原子換算で0.2〜20質量部担持する工程(V)、
を備える、チタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、不純物や揮発成分の残留を効果的に抑制し、且つ、結晶子サイズが適切な範囲に制御されたチタンニオブ酸化物から成る負極活物質を得ることができ、リチウムイオン電池の充放電特性の向上に大いに寄与することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、水酸化ニオブ10〜40質量%と、チタン化合物及び過酸化水素を含有し、かつニオブに対する過酸化水素のモル比が3〜8である懸濁液を調製する工程(I)を備える。
水酸化ニオブは、チタンニオブ酸化物を得るにあたり、工程(I)において分散性の高い懸濁液を得るのに適したニオブ源である。かかる水酸化ニオブの含有量は、工程(I)において得られる懸濁液中に、10〜40質量%であって、好ましくは10〜38質量%であり、より好ましくは10〜35質量%である。
チタン化合物は、チタンニオブ酸化物を得るにあたり、チタン源として用いる化合物であり、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化物、及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、反応性や操作性の観点から、硫酸チタニルや硫酸チタン等の硫酸塩が好ましい。かかるチタン化合物の含有量は、工程(I)において得られる懸濁液中におけるニオブとのモル比(Nb/Ti)で、好ましくは1.8〜3であり、より好ましくは1.85〜2.8であり、さらに好ましくは1.9〜2.5である。
工程(I)において得られる懸濁液は、さらに過酸化水素を含有する。これにより、懸濁液のpHを好適な範囲に調整しつつ、懸濁液中の各成分の分散性や反応性を高めることができる。かかる過酸化水素の含有量は、工程(I)において得られる懸濁液中に、ニオブに対する過酸化水素のモル比(過酸化水素/Nb)で、3〜8であって、好ましくは3.5〜7であり、より好ましくは4〜6である。
工程(I)における懸濁液のpHは、後述する工程(II)における水熱反応を良好に進行させる観点から、好ましくは7〜12であり、より好ましくは8〜11である。なお、適宜pH調整剤を用いてもよい。
工程(I)において上記懸濁液を得るにあたり、各成分をより均一に分散させる観点、及び適度な結晶子径を有するチタンニオブ酸化物を生成させる観点から、水酸化ニオブと水を混合し、これに過酸化水素と必要に応じてpH調整剤を添加及び混合して混合液を得た後、これに別途調製した硫酸チタニルと水との混合液を添加及び混合して、懸濁液を得るのが好ましい。さらに、得られた懸濁液を工程(II)に移行する前に撹拌してもよい。撹拌時間は、好ましくは5〜180分であり、より好ましくは10〜120分である。
本発明は、工程(I)において得られた懸濁液を35〜250℃で水熱反応に付した後、固液分離して固形分を得る工程(II)を備える。これにより、水熱反応に付する際に新たに水を添加することなく工程(I)において得られた懸濁液をそのまま用いつつ、負極材料となるチタンニオブ酸化物を生成させて、これを含む懸濁物を得ることができる。
水熱反応に付するにあたり、工程(I)において得られた懸濁液の温度を35〜250℃とし、水熱反応を大気圧下で行う場合は、好ましくは35〜95℃とし、より好ましくは40〜95℃とするのがよい。
また工程(I)において得られた懸濁液を圧力容器等に格納し、水熱反応を加圧下で行う場合は、工程(I)において得られた懸濁液の温度を好ましくは95〜250℃とし、より好ましくは110〜200℃とするのがよい。なお、水熱反応を加圧下で行う場合の圧力は、好ましくは0.3〜8.6MPaであり、より好ましくは0.3〜4.0MPaである。
水熱反応時間は、好ましくは0.5〜8時間であり、より好ましくは0.5〜4時間である。
次いで、水熱反応に付した後に得られた懸濁物を固液分離して、目的物であるチタンニオブ酸化物を固形分として得る。固液分離に用いる装置としては、例えば、フィルタープレス機、遠心濾過機等が挙げられる。なかでも、効率的に固形分を得る観点から、フィルタープレス機を用いるのが好ましい。
本発明は、工程(II)において得られた固形分を、固形分の乾燥質量1質量部に対して8〜60質量部の洗浄水によって洗浄する工程(III)を備える。これにより、アニオン成分等の不純物を効果的に除去しつつ、焼成後に得られるチタンニオブ酸化物の結晶子径を適度な範囲に制御することができる。洗浄水の量は、固形分の乾燥質量1質量部に対し、8〜60質量部であって、好ましくは10〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部である。また、洗浄水の温度は、得られるチタンニオブ酸化物を負極材料として用いた電池の放電容量を効果的に高める観点から、好ましくは10〜80℃であり、より好ましくは10〜70℃である。
本発明は、工程(III)において洗浄した固形分を600〜1200℃で焼成する工程(IV)を備える。これにより、結晶性が高く、適度な範囲に制御された結晶子径を有するチタンニオブ酸化物を得ることができる。工程(IV)における焼成温度は、得られるチタンニオブ酸化物の結晶性を高めつつ、適度な範囲の結晶子径を有するチタンニオブ酸化物を得る観点から、600〜1200℃であって、好ましくは600〜1100℃であり、より好ましくは700〜1000℃である。また焼成時間は、同様の観点から、好ましくは0.3〜7時間であり、より好ましくは0.5〜6時間である。なお、焼成する際の雰囲気は、チタンの価数を+4価とするために酸化雰囲気下で焼成する必要があり、簡便性、経済性の観点から大気雰囲気での焼成が最も好ましい。
本発明により得られるチタンニオブ酸化物は、その結晶子サイズが、好ましくは25〜250nmであり、より好ましくは25〜200nmであり、その結晶性も高いものである。また、チタンニオブ酸化物の平均粒子径は、50〜900nmであり、より好ましくは50〜800nmである。なお、チタンニオブ酸化物の結晶子サイズは、Cu−kα線による回折角2θの範囲が10°〜80°のX線回折プロファイルについて、シェラーの式を適用して求めた値を意味する。ここで、得られたチタンニオブ酸化物が、例えばTiO2等の夾雑相を含有する場合は、結晶構造パラメーター(ICDDデータベース)に基づいて計算されたそれら夾雑相のX線回折プロファイルを、得られたチタンニオブ酸化物混合体のX線回折プロファイルから差し引いて求めたTiNb27のX線回折プロファイルについて、シェラーの式を適用して求めた値を意味する。
工程(I)において、硫酸チタニルや硫酸チタン等の硫酸塩をチタン化合物として用いた場合、得られるチタンニオブ酸化物中の硫黄残存量は、硫黄原子換算量で、好ましくは500ppm未満であり、より好ましくは300ppm未満、さらに好ましくは200ppm未満である。なお、チタンニオブ酸化物中の硫黄残存量は、チタンニオブ化合物を酸溶解した溶液中の硫黄濃度により求めた値を意味する。
本発明により得られるチタンニオブ酸化物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、Ti2Nb529、TiO2、非晶質相等の夾雑相を含んでも良い。優れた充放電特性を発揮する観点からそれら夾雑相の含有率は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。なお、これら夾雑相の含有率は、得られたチタンニオブ酸化物について、X線回折−リートベルト法を適用して求めた定量値を意味する。
本発明は、工程(IV)の後、得られたチタンニオブ酸化物の一次粒子の表面に炭素を担持する工程(V)を備える。これにより、チタンニオブ酸化物の電子伝導面積(電子伝導パス)が増加することとなり、より十分な電子伝導性を確保して優れた電池特性を発揮することができる。
炭素を担持する処理としては、例えば、得られたチタンニオブ酸化物及び導電性炭素材料を含有するスラリーを調製し、造粒後に焼成する処理が挙げられる。スラリーには、適宜、有機バインダー、無機バインダーを含有させてもよい。かかる処理を施すことにより、一次粒子から形成される二次粒子の表面に炭素薄膜を形成する事ができ、より電子伝導性を高めることができる。
導電性炭素材料としては、グルコース、サッカロース、フルクトース、デキストリン、デンプン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カーボンブラック、繊維状炭素等が挙げられる。
バインダーとしては、導電性炭素材料としても用い得るグルコース、サッカロース、デキストリン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースのほか、フルクトース、ポリエチレングリコール、デンプン、クエン酸等が挙げられる。なかでも、使用量を調整することによって炭素源としても機能し、導電性炭素材料としても用い得る点から、グルコース、サッカロース、デキストリン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースが好ましく、グルコースがより好ましい。
スラリーを調製し、造粒後に焼成する際に用いる上記導電性炭素材料の添加量は、良好な充放電容量及び経済性の点から、スラリー中のチタンニオブ酸化物100質量部に対し、炭素原子換算で0.2〜20質量部が好ましく、さらに0.5〜15質量部が好ましい。
また、溶媒として、水又は有機溶媒を用いてもよく、経済性の観点から水が好ましい。スラリー中におけるチタンニオブ酸化物及び導電性炭素材料の含有量(スラリー濃度)は、15〜65質量%が好ましく、さらに、20〜60質量%が好ましい。また、25℃におけるスラリー粘度は、3〜3000m・Paが好ましく、さらに10〜100m・Paが好ましい。
造粒処理は、所望の粒子径を有する二次粒子が得られるものであれば特に限定されないが、噴霧乾燥によるものであるのが好ましく、なかでもスプレードライ法による噴霧乾燥によるものが最適である。造粒処理後に得られる二次粒子の平均粒子径としては、1μm〜100μmが好ましく、さらに3μm〜30μmが好ましい。
得られた二次粒子は、次いで焼成することにより二次電池負極材活物質として用いることができる。二次粒子の焼成は、不活性ガス雰囲気下又は還元条件下に、好ましくは500〜900℃で10分〜24時間、より好ましくは600〜800℃で0.5〜3時間行うのが好ましい。かかる処理により、チタンニオブ酸化物の表面にさらに炭素が堅固に担持された二次粒子として負極活物質を得ることができる。焼成に用いる装置としては、焼成雰囲気及び温度の調整が可能な物であれば特に限定されず、バッチ式、連続式、加熱方式(間接又は直接)のいずれの方式のものも使用することができる。かかる装置としては、例えば、外熱キルンやローラーハース等の焼成炉が挙げられる。
また、上記造粒処理のほか、炭素を担持する処理として、例えば、チタンニオブ酸化物及び導電性炭素材料を含む混合物を粉砕/複合化/混合処理する方法を用いてもよい。かかる処理を施すことにより、前駆体の一次粒子と導電性炭素材料とが複合した二次粒子を形成することができ、より導電性を高めることができる。
粉砕処理の際に用いる導電性炭素材料としては、上記造粒する処理の際に用い得る導電性炭素材料と同様のものが挙げられる。なかでも、カーボンブラックが好ましく、そのうちアセチレンブラック、ケッチェンブラックがより好ましい。粉砕処理における導電性炭素材料の添加量は、良好な放電容量と経済性の点から、チタンニオブ酸化物100質量部に対し、炭素原子換算で0.2〜20質量部が好ましく、さらに0.5〜15質量部が好ましい。
チタンニオブ酸化物及び導電性炭素材料を含む混合物は、乾式にて、粉砕/複合化/混合処理を行う。この時、ジエチレングリコール、エタノールなどを助剤として少量添加してもよい。
粉砕/複合化/混合処理を施す装置としては、通常のボールミルでもよいが、自公転可能な遊星ボールミル(フリッチュ社製)が好ましく、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、マルチパーパスミキサ(日本コークス工業社製)、或いはハイブリタイザー(奈良機械社製)等、被処理物へのメカノケミカル作用/複合化処理を行えるものであれば何れでもよい。
遊星ボールミルで用いられる装置の容器としては、鋼、ステンレス、ナイロン製が挙げられ、内壁はアルミナ煉瓦、磁気質、天然ケイ石、ゴム、ウレタン等が挙げられる。ボールとしては、アルミナ球石、天然ケイ石、鉄球、ジルコニアボール等が用いられる。ボールの大きさは、0.1mmから20mmが好ましく、さらには0.5〜5mmボールが好ましい。ボールの充填量は、使用するミルの内容積に対し、ボールの充填体積が5〜50%を占める割合とするのが好ましい。
遊星ボールミルを用いる場合は、例えば公転50〜800rpm、自転100〜1,600rpmの条件で、好ましくは5分〜24時間、より好ましくは10〜6時間行う。
上記チタンニオブ酸化物及び導電材料の複合化後に得られた結果物は、そのままでも二次電池負極材活物質として用いることができるが、粉砕/複合化/混合処理によって低下した、チタンニオブ酸化物及び導電材料の結晶性を高めて導電性を向上させる観点から、かかる結果物は焼成するのが好ましい。焼成条件は、不活性ガス雰囲気下又は還元条件下にて行うのが好ましく、また焼成温度は、好ましくは500〜800℃であり、より好ましくは550〜750℃であり、さらに好ましくは600〜750℃である。また、焼成時間は、好ましくは10分〜5時間、より好ましくは30分〜4時間とするのがよい。
チタンニオブ酸化物に炭素が担持して得られる二次粒子の平均粒径は、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは5〜50μmである。また、タップ密度は、好ましくは0.4g/mL以上であり、より好ましくは0.6g/mL以上である。
得られたチタンニオブ酸化物負極活物質を用いてリチウムイオン電池を製造する方法は特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。例えば、かかるチタンニオブ酸化物負極活物質を結着剤や溶剤等の添加剤とともに混合して塗工液を得る。この際、必要に応じて、さらに導電助剤を添加して混合してもよい。かかる結着剤としては、特に限定されず、公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー等が挙げられる。また、かかる導電助剤としては、特に限定されず、黒鉛以外の公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、繊維状炭素等が挙げられる。次いで、かかる塗工液を銅箔等の負極集電体上に塗布し、乾燥させて負極とする。
得られるチタンニオブ酸化物負極活物質は、リチウムイオン電池の負極として非常に優れた放電容量及びサイクル特定を発揮する点で有用である。かかる負極を適用できるリチウムイオン電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、正極については、リチウムイオンを充電時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。例えば、原料を水熱反応させることにより得られる各種オリビン型化合物を好適に用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
水酸化ニオブを水に懸濁させ、ニオブの4倍モル量の過酸化水素を添加し、pH9に調整して、得られる懸濁液A1中の水酸化ニオブの含有量を20質量%とした。次いで、懸濁液A1と、別途調製した硫酸チタニルを水に溶解させた液とを、チタンとニオブのモル比(Ti:Nb)が1:2となるよう混合し、懸濁液B1を得た。得られた懸濁液B1を、圧力容器に移し、200℃で1時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B1中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、10質量部の水(20℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物と、該合成物100質量部に対し、炭素原子換算で10質量部のグルコースを水に投入し、濃度40質量%のスラリーを調製した。該スラリーを噴霧乾燥して得た粉体を窒素雰囲気下にて600℃で3時間焼成して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例2]
水酸化ニオブの含有量を10重量%とした以外、実施例1の懸濁液A1と同様にして懸濁液A2を得た。次いで、懸濁液A2と、別途調製した硫酸チタニルを水に懸濁させた液とを、チタンとニオブのモル比(Ti:Nb)が1:2.5となるよう混合し、懸濁液B2を得た。得られた懸濁液B2を、圧力容器に移し、200℃で2時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B2中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、10質量部の水(10℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、1000℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例3]
水酸化ニオブを水に懸濁させ、ニオブの8倍モル量の過酸化水素を添加し、pH9に調整して、得られる懸濁液A3中の水酸化ニオブの含有量を30質量%とした。次いで、懸濁液A3と、別途調製した硫酸チタニルを水に溶解させた液とを、チタンとニオブのモル比(Ti:Nb)が1:2となるよう混合し、懸濁液B3を得た。得られた懸濁液B3を、40℃で1時間、大気圧下(圧力0.1MPa)で水熱反応させた。
その後、懸濁液B3中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、30質量部の水(70℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、700℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例4]
水酸化ニオブの含有量を40重量%とした以外、実施例1の懸濁液A1と同様にして懸濁液A4を得た。次いで、懸濁液A4と、別途調製した硫酸チタニルを水に溶解させた液とを、チタンとニオブのモル比(Ti:Nb)が1:2となるよう混合し、懸濁液B4を得た。得られた懸濁液B4を、35℃で8時間、大気圧下(圧力0.1MPa)で水熱反応させた。
その後、懸濁液B4中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、50質量部の水(20℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例5]
過酸化水素の添加量を3倍モル量とした以外、実施例1の懸濁液A1と同様にして懸濁液A5を得た。次いで、実施例1の懸濁液A1の代わりに懸濁液A5を用い、実施例1の懸濁液B1と同様にして懸濁液B5を得た後、得られた懸濁液B5を、圧力容器に移し、200℃で1時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B5中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、10質量部の水(80℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例6]
pHを7とした以外、実施例1の懸濁液A1と同様にして懸濁液A6を得た。次いで、実施例1の懸濁液A1の代わりに懸濁液A6を用い、実施例1の懸濁液B1と同様にして懸濁液B6を得た後、得られた懸濁液B6を、圧力容器に移し、200℃で0.5時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B6中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、10質量部の水(80℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例7]
pHを12とした以外、実施例1の懸濁液A1と同様にして懸濁液A7を得た。次いで、実施例1の懸濁液A1の代わりに懸濁液A7を用い、実施例1の懸濁液B1と同様にして懸濁液B7を得た後、得られた懸濁液B7を、圧力容器に移し、200℃で1時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B7中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、10質量部の水(80℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で0.3時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例8]
実施例1と同様にして懸濁液B1を得た後、得られた懸濁液B1を、圧力容器に移し、200℃で1時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B1中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、10質量部の水(20℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で4時間焼成して合成物を得た。得られた合成物と、該合成物100質量部に対し10質量部のアセチレンブラックを遊星ボールミル(媒体1mmφ、充填体積30%)にて400rpmで1時間粉砕/複合化/混合処理を行い、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[実施例9]
実施例8の粉砕/複合化/混合処理物について、窒素雰囲気下で600℃で3時間焼成した。
[比較例1]
水酸化ニオブを水に懸濁させ、ニオブの16倍モル量の過酸化水素を添加し、得られる懸濁液A11中の水酸化ニオブ含有量を2.1質量%とし、70℃で2時間加熱した。次いで、得られた懸濁液A11に水を加え、水酸化ニオブ含有量を1.3質量%とした。
次に、水を加えた後の懸濁液A11と、別途調整した硫酸チタニル水溶液(TiO2含有量1質量%)とをチタンとニオブのモル比(Ti:Nb)が1:2となるよう混合し、得られた混合液B11を180℃で18時間、圧力1.0MPaで水熱反応させた。
その後、混合液B11中の固形分を80℃で蒸発乾固して回収し、合成物とした。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[比較例2]
比較例1で得られた合成物を用い、さらに大気雰囲気下、850℃で4時間焼成した。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[比較例3]
実施例1と同様にして懸濁液B1を得た後、得られた懸濁液B1を、圧力容器に移し、200℃で1時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B1中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、5質量部の水(5℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[比較例4]
水酸化ニオブを水に懸濁させ、ニオブの9倍モル量の過酸化水素を添加し、pH9に調整して、得られる懸濁液A14中の水酸化ニオブの含有量を5質量%とした以外、実施例1の懸濁液A1と同様にして懸濁液A14を得た。次いで、実施例1の懸濁液A1の代わりに懸濁液A14を用い、実施例1の懸濁液B1と同様にして懸濁液B14を得た後、得られた懸濁液B14を、圧力容器に移し、200℃で1時間、圧力1.6MPaで水熱反応させた。
その後、懸濁液B14中の固形分を固液分離し、得られた固形分を、かかる固形分の乾燥質量1質量部に対し、10質量部の水(20℃)で洗浄した後、大気雰囲気下、850℃で4時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[比較例5]
実施例1と同様にして、懸濁液B1から得られた固形分を洗浄した後、大気雰囲気下、500℃で8時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[比較例6]
実施例1と同様にして、懸濁液B1から得られた固形分を洗浄した後、大気雰囲気下、1300℃で0.5時間焼成して合成物を得た。
得られた合成物を実施例1と同様に処理して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[比較例7]
実施例1と同様にして合成物を得た。得られた合成物と、該合成物100質量部に対し、炭素原子換算で0.1質量部のグルコースを水に投入し、濃度40質量%のスラリーを調製した。該スラリーを噴霧乾燥して得た粉体を窒素雰囲気下にて600℃で3時間焼成して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
[比較例8]
実施例1と同様にして合成物を得た。得られた合成物と、該合成物100質量部に対し、炭素原子換算で25質量部のグルコースを水に投入し、濃度40質量%のスラリーを調製した。該スラリーを噴霧乾燥して得た粉体を窒素雰囲気下にて600℃で3時間焼成して、表面に炭素が被覆されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質を得た。
《合成物の評価》
実施例及び比較例で得られた合成物につき、下記の方法にしたがって各測定及び評価を行った。
結果を表1〜2に示す。
1)生成相の種類、含有率及び結晶子サイズ
X線回折分析によりチタンニオブ化合物の構成相を判別し、各構成相の含有率をX線回折−リートベルト法を適用して求め、その後、TiNb27の結晶子サイズをTiNb27のX線回折プロファイル(全角)にシェラーの式を適用することにより求めた。
結晶子サイズの評価において、チタンニオブ化合物の構成相が複数の場合には、得られたチタンニオブ化合物のX線回折プロファイルからTiNb27以外の夾雑相のX線回折プロファイルを差し引いて得られたTiNb27単相のX線回折プロファイルを使用した。なお、含有率及び結晶子サイズの計算に用いたTiNb27以外の夾雑相のX線回折プロファイルは、ICDDデータベースの結晶構造パラメーターを使用して計算で求めた。
〈X線回折測定条件〉
試料調整:粉末試料成形機(TK−750、東京科学製)にて、70kgの圧力でプレス
X線:Cu-kα(管電圧−電流=35kV−350mA)
測定条件: ステップスキャン(ステップサイズ0.023°、0.13秒/ステップ)、2θ: 10°〜80°
装置: X線回折装置:D8 Advance(ブルカー・エイエックスエス(株)製)
解析ソフトウェア:DIFFRACplusTOPAS(ver.3)(ブルカー・エイエックスエス(株)製)
2)S残留濃度
チタンニオブ化合物にフッ化水素酸と塩酸を加え加熱、蒸発乾固した後、フッ化水素酸と硝酸を加え加熱して溶解した。その後、過剰のフッ化水素酸をマスキングするためにホウ酸を加えた。得られた溶液のS濃度をICP発光分光分析法により定量した。
《充放電特性の評価》
実施例及び比較例で得られた合成物、アセチレンブラック(導電剤)、ポリフッ化ビニリデン(粘結剤)を質量比90:5:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、負極スラリーを調製した。
得られた負極スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80 ℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、負極とした。
次いで、φ15mmに打ち抜いたLi箔を陽極とし、電解液としてエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1 mol/Lの濃度で溶解したものを用い、セパレータにポリプロピレンを用いて、露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型リチウム二次電池(CR−2032)を製造した。
作成した各リチウム二次電池について、気温30℃環境での、0.1C(38.7mAh/g)の初期放電容量と50サイクル後及び500サイクル後の放電容量を測定し(放電容量測定装置:HJ−1001SD8(北斗電工(株)製))、下記式(Z)により容量保持率(%)を求めた。なお、充放電試験は全て30℃で行った。
容量保持率(%)=(500サイクル後の放電容量)/(1サイクル後の放電容量)
×100 ・・・(Z)
Figure 2016219355
Figure 2016219355
上記結果より、実施例で得られたチタンニオブ酸化物負極活物質中のチタンニオブ酸化物は、比較例のものに比して、結晶子サイズが適度な範囲に制御されてなる上、チタン化合物として硫酸チタニルを用いたにもかかわらず、硫黄残存量が効果的に低減され、得られる電池において優れた放電容量やサイクル特性を発揮できることがわかる。
導電性炭素材料とは、導電性炭素粉末または水溶性有機化合物である。水溶性有機化合物としては、グルコース、サッカロース、フルクトース、デキストリン、デンプン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、導電性炭素粉末としては、カーボンブラック、繊維状炭素等が挙げられる。

Claims (5)

  1. 水酸化ニオブ10〜40質量%、チタン化合物及び過酸化水素を含有し、かつニオブに対する過酸化水素のモル比が3〜8である懸濁液を調製する工程(I)、
    得られた懸濁液を35〜250℃で水熱反応に付した後、固液分離して固形分を得る工程(II)、
    得られた固形分を、固形分の乾燥質量1質量部に対して8〜60質量部の洗浄水によって洗浄する工程(III)、
    洗浄した固形分を600〜1200℃で焼成してチタンニオブ酸化物を得る工程(IV)、並びに
    得られたチタンニオブ酸化物に、炭素導電性炭素粉末または水溶性有機化合物が炭化されてなる炭素を、チタンニオブ酸化物100質量部に対し炭素原子換算で0.2〜20質量部担持する工程(V)
    を備える、TiNbの表面に炭素が担持されてなるチタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法。
  2. 工程(III)における洗浄水の温度が、10〜80℃である請求項1に記載のチタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法。
  3. 工程(IV)における焼成時間が、0.3〜7時間である請求項1又は2に記載のチタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法。
  4. チタン化合物が、硫酸チタニル又は硫酸チタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のチタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法。
  5. チタンニオブ酸化物の結晶子サイズが、25〜250nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のチタンニオブ酸化物負極活物質の製造方法。
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