JP2016211069A - 窒化鋼部材及び窒化鋼部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常のガス窒化処理時間でもγ’相を主体とする化合物層を厚膜化ができ、また、該厚膜化を行うことで疲労強度を向上させることができ、従来技術よりも高い疲労強度を備えながらも耐摩耗性を向上させることが可能な窒化処理部材とできる技術の提供。【解決手段】γ’相主体化合物層が生成する鋼材成分からなる鋼部材の表面に鉄窒素化合物層が形成されてなる窒化鋼部材で、前記鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相の体積割合をVγ’とVεとし、γ’相の存在割合をVγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比で表した場合に、その値が0.5以上であるγ’相主体の化合物層の厚さが13μm〜30μmであり、且つ、前記鉄窒素化合物層は、ガス窒化処理後の化合物層の厚さの値をCLTと表し、ガス窒化処理後の窒化拡散層の実用硬化深さの値をDLTと表した場合に、CLT÷DLT≧0.04の関係を満たす窒化鋼部材及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、窒化鋼部材及び窒化鋼部材の製造方法に関し、さらに詳しくは、自動車用や変速機用の歯車やクランクシャフト等に有用な、ガス窒化処理により表面が窒化されてなる耐摩耗性や耐疲労性に優れる十分な厚みの化合物層を有する窒化鋼部材及び窒化鋼部材の製造方法に関する。
鋼の表面硬化処理の中でも低ひずみ処理である窒化処理のニーズは多く、最近では特にガス窒化処理の雰囲気制御技術への関心が高まっている。この背景には、ガス窒化処理によれば、機械部品に対する焼入れを伴う浸炭や浸炭窒化処理、また、高周波焼入れによるひずみが改善されることによる。ガス窒化処理による雰囲気制御の基本は、炉内の窒化ポテンシャル(KN)を制御することにあり、これによって、鋼材表面に生成する化合物層中のγ’相(Fe4N)とε相(Fe2-3N)の体積分率の制御、あるいは化合物層の生成しない処理など、幅広い窒化品質を得ることが可能であり、様々な提案がされている。例えば、特許文献1では、γ’相の選択により、曲げ疲労強度や面疲労を改善し、浸炭代替が行われている。
一方で、耐摩耗性や耐疲労性の観点から厚い化合物層の形成が望まれているが、従来のε相主体の窒化では化合物層が剥離し易く、厚膜化できていなかった(特許文献2〜4参照)。具体的には、特許文献2の技術は、ギアノイズの低減を目的とした軟窒化歯車に関するが、化合物層厚さとポーラス層厚さを12μm以下であると規定している。また、特許文献3の技術では、凹凸による応力集中回避を、化合物層厚さを5μm以下に低減することにより実施しており、特許文献4の技術では、化合物層厚さ5μm以下で、曲げ矯正によるき裂抑制をしている。さらに、前記した特許文献1の技術でも、γ’相は低KNで処理されるため、γ’相を厚膜化する場合は、窒化処理に長時間を要し、その結果、拡散層の軟化や圧縮残留応力の低下が起こるため、厚膜化が困難であった。
一方、γ’相主体の化合物層を、被処理材の量や流速、また、均一に形成する方法として、最初に炉内のNH3分圧が高い雰囲気で窒化を行い、その後、炉内の雰囲気をNH3分圧の低い状態にする2段窒化法が実施されている(特許文献5参照)。この方法を用いれば、1段目の雰囲気を高いKNへ設定し、2段目にγ’相領域のKNを選定すれば、γ’相主体の化合物層を厚膜化することが可能である。特許文献5では、化合物層の厚さが4〜16μmであることが好ましいとしている。しかし、特許文献5には、16μmを超えるとε相の割合が増加して脆くなることから、疲労強度の向上が期待できないと記載されており、また、比較例2で化合物層の厚さがロットでばらついたとの記載があるものの、その実施例には化合物層の厚みについての記載はなく、この技術で実用化できる化合物層の厚みは16μmに達していないと推定される。また、特許文献5に記載の技術では、2段目のガス雰囲気中における窒化時間も管理されておらず、実施例によれば窒化時間が長いものになっている。本発明者らの検討によれば、このような条件下では、形成したγ’相の結晶粒が大きくなるため、耐摩耗性などの機械的特性を低下させる要因になり、この点でも課題がある。
特開2013−221203号公報 特開平11−72159号公報 特開2009−30134号公報 特開2014−129607号公報 国際公開第2015/046593号公報
上記したように厚膜化が困難であるといった問題があるものの、従来から、鋼部材にガス窒化やガス軟窒化処理をすると、未処理材よりも耐摩耗性や疲労強度が向上するため、
これらの処理が用いられてきた。耐摩耗性や耐疲労性を向上させるためには、化合物層が厚いことが望まれているが、化合物層の厚膜化は疲労強度を低下させるため、上記したように、部品の使用環境に応じた厚さの最適化を行うことで、これらの問題への対応がなされている(特許文献2〜4参照)。一方、最近では、特許文献1や5の記載からわかるように、従来使われてきたε相主体の化合物層よりも、γ’相主体の化合物層とする方が、疲労強度が向上することが明らかとなっている。
しかし、γ’相主体の化合物層を生成させるのは低KNでの処理であるので、化合物層を厚膜化するためには、処理温度を高めるか、長時間処理することが必要となる。これに対し、ガス窒化処理の高温化や長時間化は、窒化拡散層に形成される圧縮残留応力や硬さの低下を招くことや、生産上や環境への負荷が高くなることから、こうした工法は工業的には成立し得ず、実現化することができなかった。また、特許文献5に記載されているような2段ガス窒化処理により、γ’主体の化合物層を厚膜化することも可能であるが、この技術では、16μm以上ではε相の割合が増加して脆くなることから、疲労強度の向上が望めないとしており、さらなる厚膜化は望めない。また、特許文献5に記載の技術では、2段目のガス窒化処理時間も最適化されておらず、先に述べたように、窒化時間が長くなっているため、形成したγ’相中の結晶粒が大きくなり、耐磨耗性など機械特性を低下させるという課題がある。
すなわち、ガス窒化処理によって形成されるγ’主体の化合物層を、疲労強度を低下させることなく、むしろ疲労強度を向上させることができ、所望の耐摩耗性を満足する厚みにできる、簡便な実用化できる従来の技術はこれまでになく、実現できれば、その工業的価値は極めて大きい。
したがって、本発明の目的は、通常のガス窒化処理時間でも、γ’相を主体とする化合物層を13μm以上、好適には15μm以上に厚膜化することができ、また、γ’相主体化合物層の厚膜化を行うことによってさらに疲労強度を向上させることができ、従来技術よりも高い疲労強度を備えながらも、耐摩耗性を向上させることが可能な窒化処理部材を提供できる技術を開発することである。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相の体積割合が特定のもので、加えて、化合物層の厚みが13μm以上であり、ガス窒化処理後の窒化拡散層の実用硬化深さDLT[μm]に対するガス窒化処理後の化合物層の厚さCLT[μm]の比が特定の関係を満たす場合に、上記課題を達成することができることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、γ’相主体化合物層が生成する鋼材成分からなる鋼部材の表面に鉄窒素化合物層が形成されてなる窒化鋼部材であって、前記鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相の体積割合をVγ’とVεとし、γ’相の存在割合をVγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比で表した場合に、その値が0.5以上であるγ’相主体の化合物層の厚さが13μm〜30μmであり、且つ、前記鉄窒素化合物層は、ガス窒化処理後の化合物層の厚さ[μm]の値をCLTと表し、ガス窒化処理後の窒化拡散層の実用硬化深さ[μm]の値をDLTと表した場合に、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする窒化鋼部材を提供する。
CLT÷DLT≧0.04 ・・・(1)
本発明の窒化鋼部材は、前記γ’相主体化合物層の厚さが、15μm〜30μmであることが好ましく、また、歯車又はクランクシャフトに好適に適用できる。
本発明は、別の実施形態として、ガス窒化処理炉内の窒化ポテンシャル(KN)を調整しながら、前記炉内の被処理材にガス窒化処理を行って、請求項1に記載の窒化部材を製造するための製造方法であって、前記ガス窒化炉内へ導入するガスを、アンモニアとアンモニア分解ガスの2種類のみの混合ガスとするか、或いは、アンモニアとアンモニア分解ガスを含む複数の混合ガスとし、前記被処理材近傍における水素濃度の連続的な検出を行い、該検出結果を元にして前記炉内のアンモニア分圧を推定し、設定の窒化ポテンシャルへ制御する雰囲気の自動制御を行い、制御の際に、ガス窒化処理中雰囲気の窒化ポテンシャルKN=pNH3/pH2 1.5を、最初にKN1とし、続いて必要に応じて窒化ポテンシャルをKN2〜KNx-1、KNxとしてもよいが、最終のKNxを、下記式(2)と下記式(3)とを同時に満たすように制御し、且つ、上記要件を満たすように制御した最終のKNxでの窒化時間を5〜60分とすることを特徴とする窒化鋼部材の製造方法を提供する。
N1〜KNx-1>KNx ・・・(2)
126.7034−5.68797×10-1×T+8.64682×10-4×T2−4.43596×10-7×T3 >KNx >22.2265−1.15×10-1×T+2.03×10-4×T2−1.21466×10-7×T3 ・・・(3)
(ただし、pNH3、pH2は、窒化処理炉内のNH3分圧とH2分圧、式(3)中の、Tは温度[℃]である。)
本発明の窒化鋼部材の製造方法は、前記KN1が、1.0〜2.0であることが好ましい。
本発明によれば、通常のガス窒化処理時間でも、γ’相を主体とする化合物層をε相主体とする化合物層と同様に厚膜化することができ、また、γ’相主体化合物層の厚膜化を行っても、低KNで形成したγ’相を主体とする化合物層と比べて、曲げ疲労強度を低下させることなく、むしろ疲労強度を向上させることができ、且つ、耐摩耗性を向上させることが可能な、従来にない新規な窒化処理部材の提供が可能になる。なお、本発明で規定するように、本発明でいう「γ’相を主体とする化合物層」とは、鋼部材の表面に形成されている鉄窒素化合物層において、γ’相の存在割合を、Vγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比で表した場合に、その値が0.5以上である部分を意味する。
鉄のLehrer図(E.Lehrer: Zeitschrift fur Elektrochemie,36,p.383(1930).)である。 ピット型ガス窒化処理炉の概略図である。 ヒートパターン(ピット炉)である。 バッチ型ガス窒化処理炉の概略図である。 ヒートパターン(バッチ炉)である。 小野式回転曲げ疲労試験片形状である。 SRV試験機の概要の説明図である。 オッシレーション法の説明図である。 EBSD解析結果の例(黒部分:解析不能)を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。まず、本発明の技術の前提について述べる。本発明は、鋼部材の表面にγ’相主体の鉄窒素化合物層が形成されてなる窒化鋼部材であり、該鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相の体積割合を特定のものとしていることから、該化合物層を形成させる鋼材は、γ’相主体の化合物層が生成される成分のものであることを要する。また、本発明は、自動車用や変速機用の歯車やクランクシャフト等に有効に適用できる窒化鋼部材の提供をも目的としていることから、鋼材の被削性や製造性といった機能に対して必要不可欠な元素が存在することや、不純物元素として必ず存在する元素もある。これらの点も含めて、本発明を構成する「γ’相主体化合物層が生成する鋼材成分からなる鋼」としては、下記のような成分範囲を満足する鋼種であることが好ましい。なお、下記の%は、質量基準である。
〔母材である鋼成分〕
<炭素(C)>
Cは、窒化部品の強度確保のために必須の元素であるといえ、0.05%以上の含有量が必要である。一方、Cの含有量が多くなって0.5%を超えると、窒化前の硬さが高くなって被削性の低下をきたすため、Cの含有量は、0.05〜0.5%であることが好ましい。
<ケイ素(Si)>
Siは、脱酸作用を有する。この効果を得るには、0.10%以上のSi含有量が必要である。しかし、Siの含有量が多くなって0.90%を超えると、窒化前の硬さが高くなって被削性が低下するので好ましくない。したがって、Siの含有量は、0.10〜0.90%であることが好ましい。
<マンガン(Mn)>
Mnは、脱酸作用を有する。この効果を得るには、0.3%以上のMn含有量が必要である。しかし、Mnの含有量が多くなって1.65%を超えると、窒化前の硬さが高くなりすぎて被削性が低下するので好ましくない。したがって、Mnの含有量を0.3〜1.65%であることが好ましい。
<ニッケル(Ni)>
Niは必ずしも含有していなくてもよい。ただし、Niは、焼入れ性と靱性の向上に資する成分であるので、この観点から含有させてもよい。しかし、あまり多く含有させても、上記効果は飽和に達するのみで徒にコストアップを招くだけではなく、被削性の低下も引き起こすので、好ましくない。したがって、その含有量は2.10%以下に制限することが好ましい。
<クロム(Cr)>
Crは必ずしも含有していなくてもよい。ただし、Crの含有量が多くなって2.7%を超えると、窒化化合物層の厚さが低下して、本発明を構成するγ’相主体の化合物層の効果が十分に得られなくなる。したがって、Crの含有量は0〜2.7%であることが好ましい。
<モリブデン(Mo)>
Moは必ずしも含有していなくてもよい。ただし、Moは、窒化温度で、鋼中のCと結合して炭化物を形成し、窒化後の芯部硬さの向上作用をもたらし、機械部品によっては必要となる元素である。しかし、Moの含有量が多くなって0.50%を超えると、原料コストが高くなるだけでなく、窒化前の硬さが高くなって被削性が低下するので好ましくない。したがって、Moの含有量は0.50%以下であることが好ましい。
<バナジウム(V)>
Vは必ずしも含有していなくてもよい。ただし、Vを含有させると、Moと同じく、窒化温度で鋼中のCと結合して炭化物を形成し、窒化後の芯部硬さを向上させる作用を有し、また、窒化時に表面から侵入・拡散するNやCと結合して窒化物や炭窒化物を形成し、表面硬さを向上させる作用も有し、場合によっては必要となる元素である。しかし、Vの含有量が多くなって0.40%を超えると、窒化前の硬さが高くなりすぎて被削性が低下するばかりか、熱間鍛造やその後の焼準でマトリックス中にVが固溶しなくなるため、前記の効果が飽和する。したがって、Vの含有量は0〜0.30%であることが好ましい。
<アルミニウム(Al)>
Alは必ずしも含有していなくてもよい。ただし、Alの含有量が多くなって1.1%を超えると、窒化化合物層の形成量が低下して、本発明のγ’相主体の化合物層の効果が十分に得られなくなる。したがって、Alの含有量は0〜1.1%であることが好ましい。
<硫黄(S)>
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる作用がある。しかし、Sの含有量が0.030%を超えると、粗大なMnSを形成して、熱間鍛造性および曲げ疲労強度が低下する。そのため、Sの含有量は0.002〜0.030%であることが好ましい。より安定して被削性を確保するためには、Sの含有量は0.010%以上であることが好ましい。また、熱間鍛造性および曲げ疲労強度がより重視される用途に適用する部材の場合には、Sの含有量は0.025%以下であることが好ましい。
<リン(P)>
Pは、鋼に含有される不純物であり、結晶粒界に偏析して鋼を脆化させ、特に、その含有量が0.030%を超えると、脆化の程度が著しくなる場合がある。したがって、本発明においては、不純物中のPの含有量が0.030%以下であることを必要とする。なお、不純物中のPの含有量は0.020%以下であることが好ましい。
<その他の元素>
本発明で用いる鋼部材は、上記に挙げた各元素の他、残部がFe及びその他の不純物からなる化学組成を有するものである。なお、残部としての「Feおよび不純物」とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石から不可避的に混入する、例えば、銅(Cu)やチタン(Ti)、または、製造環境から不可避的に混入する、例えば、O(酸素)などのFe以外の成分を含むことを意味している。
〔窒化鋼部材〕
本発明の窒化鋼部材は、γ’相主体化合物層が生成する上記に挙げたような鋼材成分からなる鋼部材の表面に、特有の構成の鉄窒素化合物層が形成されてなることを特徴とする。すなわち、本発明の窒化鋼部材を特徴づける鉄窒素化合物層は、該層中に占めるγ’相とε相の体積割合Vγ’とVεとの関係が、Vγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比で表した場合に、その値が0.5以上(γ’相の存在割合が0.5以上)である、γ’相主体化合物層の厚さが、13μm〜30μmであり、さらに、前記鉄窒素化合物層が下記式(1)の関係を満たすものであることを特徴とする。
CLT÷DLT≧0.04 ・・・(1)
(ただし、式(1)中のCLTは、ガス窒化処理後の化合物層の厚さ[μm]の値を表わし、DLTは、ガス窒化処理後の窒化拡散層の実用硬化深さ[μm]の値を表わす。)
以下、これらについて説明する。
<窒素化合物層>
本発明において、「鉄窒素化合物層」(窒素化合物層或いは化合物層とも呼ぶ場合がある)とは、ガス軟窒化処理によって形成された鋼部材表面のγ’相(Fe4N)やε相(Fe2-3N)に代表される鉄の窒素化合物からなる層をいう。ただし、鋼材には、母材に炭素を含有しており、この炭素分の一部が化合物層中にも含有されるため、厳密には炭窒化物である。窒素化合物層は、図9に示したように、表面に層状態として析出している。本発明では、鋼部材(母材)の表面に、これらγ’相、ε相からなる窒化化合物層が、厚さ13〜30μmの範囲で形成されている。なお、ここでいう厚みは、γ’相主体の化合物層の厚みを意味する。鋼部材の表面に鉄窒素化合物層が形成されてなる本発明の窒化鋼部材は、まず、窒素化合物層中に占めるγ’相とε相の体積割合Vγ’とVεの関係が、Vγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比で0.5以上であることを要する。すなわち、本発明の窒化鋼部材では、鉄窒素化合物層を、このようにγ’相を主体とする構成としたことで、疲労強度や耐摩耗性を改善する。
(機械的特性向上について)
上記構成を有する本発明の窒化鋼部材が、疲労強度や耐摩耗性に優れる理由は次のように考えられる。γ’相の結晶構造はFCC(面心立方晶)であり、12個のすべり系を有するため、結晶構造自体が靭性に富んでいる。さらに、γ’相の結晶構造は微細な等軸組織を形成するため、疲労強度が向上すると考えられる。これに対し、ε相の結晶構造はHCP(六方最密充填)であり、底面すべりが優先されるため、結晶構造自体に「変形しにくく脆い」という性質があると考えられる。このため、本発明では、γ’相を主体とする構成としたことで、疲労強度が改善できたものと考えられる。
(γ’相とε相の体積割合)
本発明の窒化鋼部材の表面に形成された鉄窒素化合物層は、鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相の体積割合Vγ’とVεの関係が、Vγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比で0.5以上であることを要するが、この点について説明する。前述の通り「窒素化合物層」は、上記したような特性を有するε相(Fe2-3N)やγ’相(Fe4N)等からなる層であるが、化合物層中におけるこれらの相の分布状態は、EBSD(Electron BackScatter Diffraction)によって、化合物層の深さ方向断面のγ’相とε相の相分布解析を、幅100μm×3視野で行った結果(体積比率)から判定する。本発明者らの検討によれば、この体積比率が0.5以上であれば、窒化鋼部材の疲労強度が優れたものとなる。前記強度比は0.7以上が好ましく、さらには0.8以上であることがより好ましい。
(化合物層厚さ)
本発明の窒化鋼部材の表面に形成された鉄窒素化合物層(以下、単に化合物層とも呼ぶ)の厚みは、13〜30μmで規定されるが、この点について説明する。回転曲げ疲労強度は化合物層厚さが厚いほど高くなる傾向があるため、化合物層は厚い方が有利である。一方、従来の2段ガス窒化法では特許文献5に記載されている通り、γ’相主体の化合物層を16μm以上とすることができなかった。これに対し、本発明の窒化鋼部材の製造方法で規定するガス窒化処理方法を採用することによって、16μm以上のγ’相を主体とした化合物層をも形成することができる。このため、単に化合物層の厚みに関しての比較で言えば、本発明は、特許文献5に記載の技術では得られなかった16μm超の厚みの化合物層を得ることを可能にした技術である。しかし、特許文献5に記載の技術に対する本発明の優位性は、化合物層の厚さの点だけでなく、後述するように、化合物層が、本発明で規定する式(1)の関係を満たす機能性に優れるものにできる点で異なる。さらに、特許文献5で対象としている鋼は、Crが1.2%程度の機械構造用鋼であるのに対し、本発明は、「γ’相主体の化合物層が生成する鋼材成分からなる鋼部材」であれば、いずれに対しても適用可能であり、多様な鋼材表面に所望する厚みで、機能性に優れる有用な化合物層を確実に形成できる、凡用性の高い技術である点でも異なる。具体的には、例えば、JIS−SACM645鋼や、DIN−31CrMoV9鋼のような窒化鋼においては、特許文献5に記載の技術が対象としている機械構造用鋼よりも化合物層の厚さは若干薄くなる傾向がある。そうした窒化鋼では、化合物層の厚さは13μm程度あれば足る場合も多い。このため、本発明では、本発明で規定する式(1)の関係を満たす機能性に優れる化合物層の厚みを13μm以上であると規定している。また、本発明で規定する式(1)の関係を満たす機能性に優れる化合物層の厚み上限値については、実用的な窒化時間で、化合物層が最も厚くなりやすく、且つ、炭素鋼のような鋼種で到達できる点を勘案して、30μmと規定した。
(KNxでの窒化時間5〜60分)
本発明の窒化鋼部材の製造方法では、KNxでの窒化時間は5〜60分と規定しているが、以下、この点について説明する。本発明の窒化鋼部材の製造方法で規定しているK1〜KNx-1はε相を含む領域であるが、このとき形成されたε相は、KNxへ雰囲気を変えることでγ’相へ変態する。このときの変態速度は、化合物層中の窒素が雰囲気へ脱窒する速度に律速される。本発明者らの検討によれば、化合物層内部まで十分なγ’相を得るのに必要になるKNxで制御して窒化する保持時間は、温度に応じて変わる。例えば、580℃であれば5分〜20分と保持時間が短くて済むが、500℃の温度では20分〜60分を要する。また、上記保持時間が短いと十分なγ’相が得られない傾向があり、逆に長くなるとγ’相の結晶粒が大きくなる場合があり、その場合には機械的特性の低下を生じる。しがたって、本発明の窒化鋼部材の製造方法では、580℃以上で、短時間でも十分なγ’相が得られる上記保持時間として、その下限値を5分と規定した。また、KNxで制御して窒化する保持時間の上限値については、実用窒化温度の下限値である500℃で十分なγ’相が得られる60分と規定した。より好ましくは5〜30分程度である。上記した範囲内であれば、保持時間を短くできる580℃以上の窒化温度でもγ’相中の結晶粒が大きくなることがなく、耐摩耗性などの機械特性を低下させるおそれもない。
本発明の窒化鋼部材の表面に形成された鉄窒素化合物層は、上記したγ’相とε相の体積割合が特定の関係を満足することに加えて、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
CLT÷DLT≧0.04 ・・・(1)
(ただし、式(1)中のCLTは、ガス窒化処理後の化合物層の厚さ[μm]の値を表わし、DLTは、ガス窒化処理後の窒化拡散層の実用硬化深さ[μm]の値を表わす。)
上記式(1)は、窒化処理後の化合物層厚さと、窒化拡散層(以下、単に拡散層と呼ぶ場合もある)の深さの割合を表す指標である。先に挙げた特許文献1に記載されているγ’相主体の化合物層の形成方法は、一般的なガス窒化処理条件であり、図1に示したLehrer線図(KNと温度を軸とした平衡状態図)の、γ’相領域の温度とKNの組み合わせにより実施されている。この従来技術と本発明の異なる点は、γ’相主体の化合物層であっても、層厚さがε相主体の化合物層並に厚くなる点であり、上記式(1)は、この点を規定したものである。通常、ε相主体の化合物層は脆いため、疲労強度などの機械的特性が悪くなる傾向があり、一般的にこの相を選択する処理は行われないが、γ’相と比べると窒素の組成幅が大きいため、成長速度がγ’相に比べると大きいという特徴がある。本発明では、このε相の成長速度を利用し、γ’相の主体の化合物層を厚く形成し、通常のガス窒化処理時間でも、γ’相を主体とする化合物層を、先に挙げた特許文献5に記載されているような、従来の2段窒化法では達成できなかった16μm以上に厚くすることを達成している。また、本発明によって、γ’相主体の化合物層の厚膜化を行っても、低KNで形成したγ’相を主体とする化合物層と比べて、曲げ疲労強度を低下させることなく、且つ、耐摩耗性を向上させることが可能な、従来にない新規な窒化処理部材の提供の達成が実現できる。
ここで、実用硬化深さは、窒化層中の硬さ分布において、芯部硬さ+50HVの位置における硬化深さを示している(JIS−0563)。実用硬化深さは、化合物層厚さと拡散層深さの和を示しているが、一般的に、化合物層厚さは、拡散層厚さの1/10以下であり、実用硬化深さ≒拡散層深さ、とみなせる。この窒化拡散層の成長は、化合物層から供給されるN原子が鋼材内部へ拡散することにより進んでいく。この層の成長速度は、化合物層の成長速度とは無関係に温度と時間で律速されるため、この拡散層の成長速度を化合物層厚さで割った式(1)の右辺の値によって、温度と時間に対する化合物層の成長速度として間接的に知ることが可能である。本発明者らは、前記した本発明の目的を達成するため鋭意検討した結果、形成される化合物層がγ’相主体の化合物層であり、且つ、この化合物層の成長が速いことを特徴とし、化合物層の厚膜化による耐摩耗性や耐疲労性の向上が可能で、且つ、窒化時間の短縮効果を達成でき、拡散層内の圧縮残留応力や硬さを低下させることなく、ε相主体の化合物層と比べ疲労強度が高くなる窒化鋼部材となるのは、上記式(1)の右辺の値が0.04以上であることを発見して、本発明を完成するに至った。なお、全窒化時間は、好ましくは6時間以下とすることが望ましい。また、従来技術における低KNによるガス窒化処理では、γ’相主体の化合物層を形成できても、その成長速度は(1)式で規定される0.040未満であり、上記した本発明の効果を達成できる窒化鋼部材とはならない。
〔窒化鋼部材の製造方法〕
本発明の窒化鋼部材の製造方法は、上記した構成の窒化鋼部材を得るためのものであるが、処理炉内の被処理材に対して、炉内に窒化性ガスを流しながら加熱処理するガス窒化処理する際の処理条件を、下記のように構成したことを特徴とする。すなわち、本発明の窒化鋼部材の製造方法では、ガス窒化炉内へ導入するガスを、アンモニアとアンモニア分解ガスの2種類のみの混合ガスとするか、或いは、アンモニアとアンモニア分解ガスを含む複数の混合ガスとし、炉内の前記被処理材近傍における水素濃度の連続的な検出を行い、該検出結果を元にして、炉内のアンモニア分圧を推定し、設定の窒化ポテンシャルへ制御する雰囲気の自動制御を行い、制御の際に、ガス窒化処理中雰囲気の窒化ポテンシャルKN=pNH3/pH2 1.5を、最初にKN1とし、続いて必要に応じて窒化ポテンシャルをKN2〜KNx-1、KNxとしてもよいが、本発明で重要なことは、最終のKNxを、下記式(2)と下記式(3)とを同時に満たすように制御し、且つ、これらの要件を満たすように制御した最終のKNxでの窒化時間を、5〜60分、より好ましくは5〜30分としたことを特徴とする。
N1〜KNx-1>KNx ・・・(2)
126.7034−5.68797×10-1×T+8.64682×10-4×T2−4.43596×10-7×T3 >KNx >22.2265−1.15×10-1×T+2.03×10-4×T2−1.21466×10-7×T3 ・・・(3)
(ただし、pNH3、pH2は、窒化処理炉内のNH3分圧とH2分圧、式(3)中の、Tは温度[℃]である。)
ガス窒化処理中に形成される表面窒素化合物層の相構造(γ’相又はε相)は、図1に示した鉄のLehrer図から、温度と窒化ポテンシャルKNで決定される。そして、一般的には、ガス窒化処理中のKNは一定で行われる。これに対し、本発明者らの検討によれば、本発明において最終的な化合物層の相構造を支配するのは、どのような雰囲気制御過程を経てもガス窒化処理中の最後のKNxであり、さらに、その場合に、最後のKNxが上記式(2)と上記式(3)とを同時に満たし、且つ、これらの要件を満たすように制御した最終のKNxでの窒化時間を5〜60分とすることで、本発明の目的を達成することができる相構造の窒化鋼部材となることを発見した。
本発明では、最初及び途中段階のKN1〜KNx-1と、最終のKNxとの関係が、式(2)のKN1〜KNx-1>KNxを満足することに加え、最終のKNxの範囲は、式(3)で規定した「γ’相領域中」に限定されることを要す。換言すれば、最初及び途中段階のKN1〜KNx-1は、「γ’相領域」外の領域であることになる。これに対し従来技術では、窒化化合物層をγ’相とするために、一貫してγ’相領域である低KNで処理してきたため、化合物層を厚くすることができなかった。上記した効果を利用することにより、本発明の方法では、KNxに到達するまでの最初から途中のKNの設定は自由にすることが可能であり、厚膜化するためには、最初のKN1をより高めることが有効である。また、最終のKNx保持中の窒化処理時間は、化合物層中の窒素が雰囲気へ流れる拡散速度に律速され、本発明者らの検討によれば、化合物層厚さや鋼種、また、雰囲気の変更時間を含め10〜60分を要する。
(従来の2段窒化との相違点)
以下に、本発明と、窒化ポテンシャルKNを途中で変更する従来の2段窒化法の違いについて説明する。例えば、先に挙げた特許文献5に記載されている従来の2段窒化法は、最初に炉内のNH3分圧が高い雰囲気で窒化を行い、その後、炉内の雰囲気を、NH3分圧の低い状態にする2段窒化法が実施されている。特許文献5に記載の技術における目的は、γ’主体の化合物層を、被処理部品の各位置で均一に、また大量に、風速に制約されずに生産することであり、化合物層厚みを厚くすることを目的としていない。また、特許文献5に記載の技術では、γ’相を形成できる化合物層厚さを4μm〜16μmに限定し、これ以上化合物層が厚くなるとε相の割合が増加して脆くなることから、疲労強度の向上が望めないとしている。また、2段目のガス窒化処理時間も最適化されておらず、窒化時間が長いため、γ’相中の結晶粒が大きくなり、耐磨耗性など機械特性を低下させる。これに対し、本発明で規定する手法は、上記したように、従来の技術では達成できなかった16μmよりも厚いγ’相の形成をも可能にでき、また、形成されたγ’相中の結晶粒が微細であり、さらに、拡散層の硬さや圧縮残留応力を低減することのない、2段窒化法である。この本発明で規定する手法は、従来の方法とは目的が異なるため、2段目の最終の窒化雰囲気(KNx)は小さくするが、その領域はγ’相領域に限定され、且つ、窒化時間も5分〜60分と、1段目の窒化時間よりも短時間で行っており、この2段目の処理で、1段目で形成されたε相を含んだ化合物層をγ’相へ変態させることを特徴としている。
(設定の窒化ポテンシャル制御する雰囲気の自動制御について)
特許文献5では、炉内に導入するNH3ガスを一定の流量で挿入し、炉内のNH3濃度を赤外線吸収方式で、また、炉内のH2濃度を高耐食熱伝導度方式で連続的に分析することで、炉内に必要な窒化ポテンシャルを、H2ガスの導入流量を変えることで調整している。しかし、赤外線吸収方式による炉内のNH3濃度の測定については、炉外まで引き込んだ炉気に対して分析が行われること、また、熱伝導度方式の水素センサと比べて応答速度が遅いこと、さらに、一般的に、炭酸アンモニウムの析出によるサンプルラインの閉塞や、サンプルラインの汚れによるNH3の吸着等による損失に起因して測定精度上の問題を生じる、といったいくつかの技術的課題がまだ残されている(藤原雅彦著、熱処理、45巻、5号、p.311、「窒化処理におけるアンモニア濃度連続測定装置」参照)。一方、熱伝導度方式の水素センサは、応答性がよく、一般的に窒化処理炉の炉気を測定するために利用されている。しかし、熱伝導度方式の水素センサは、NH3と同様に炉外まで引き込んだ炉気に対しても測定でき、また、直接炉内にセンサを差し込むことで被処理材近傍の炉気に対しても測定でき、いずれのケースでも測定が可能であることから、どこの位置の炉気を選択するかで精度が異なる。以上のことから、NH3濃度分析とH2濃度分析を同時に行い、これらの値を参照しながら炉気を制御する方法は、窒化ポテンシャル制御の精度に悪影響を及ぼし、最善の方法とは言い難い。
これに対し、本発明の窒化鋼部材の製造方法は、被処理材近傍におけるH2濃度の連続的な検出のみで、具体的には、熱伝導度方式のH2センサのみで、被処理材近傍におけるH2濃度の連続的な測定を行って炉気を制御している。すなわち、本発明の窒化鋼部材の製造方法では、窒化ポテンシャルを下げるために利用するガスとして、H2ガスではなく、NH3分解ガスを用いているため、水素センサだけでも炉内NH3濃度を正確に知ることができる。一方、特許文献5に記載の制御方法では、炉内に挿入するH2ガス量が変動しているため、H2センサだけでは炉内のNH3分圧を正確に把握することは困難であり正確な制御は難しい。この結果、本発明の製造方法では、特許文献5に記載の技術ではできないとされている16μm以上の厚みの厚い化合物層を形成させても、ε相が増加することなく、γ’相主体の化合物層が形成できたものと考えている。
本発明の製造方法で実施されるガス窒化処理を行う処理炉は、ピット型でもバッチ型等でもよく、炉の形状を問わず、前記したように、その処理結果は、処理炉での温度と時間、また、雰囲気のKNで決定される。このことは、一般的にLehrer図と呼ばれている、図1に示したKNと温度を軸とした状態図から知ることができる(出典:ディータリートケほか「鉄の窒化と軟窒化」、アグネ技術センターp.131)。本発明の製造方法で行うピット型、バッチ型の各処理炉を用いた場合の窒化処理方法を下記に記す。
(ピット型の例)
ピット炉の概略図を図2に示し、ピット炉での処理条件の例を図3に示した。図2に示したように、炉内のKNを制御するために、H2センサ21とPLC+KN調整器22、また、各プロセスガスには、それぞれ質量流量計(MFC)23が設定してある。そして、ガス窒化処理の対象となる処理品24は、予め炉内中央に設置して炉内に封入し、炉内を真空に引いた後、N2ガスで炉内を復圧し、その後、一定流量のN2ガスを炉内に流しながら加熱を始める。加熱は、外周に設定されているヒーター(不図示)でレトルト25を外側から加熱し、温度調整は、炉内熱電対26で測定された温度を元に、所望の温度まで温調計により調整される。図2中の27は、撹拌機である。
上記した構成のピット炉で処理する場合は、例えば、図3に示したように、炉内が約400℃に達した後、プロセスガスを、N2ガスからNH3+AXガス(NH3分解ガスH2+N2=3:1)へ切替え、所望のKN値(=KN1)になるよう雰囲気制御を始める。一般的にγ’相主体の化合物層とするためは、均熱域でKN1を低KN一定(例えば、KN=0.3)とし、冷却途中の400℃ぐらいまでこのKN1保持しながら処理が行われる。一方、本発明では、KN1を高KN(例えば、KN=1.3)とし、冷却の20分前からKNx(例えば、KN=0.3)へ変更することも好ましい形態である。高KNで形成される窒化化合物層はε相を含む化合物層であり、γ’相よりも成長速度が速く、本発明では、この高KNでの速い成長速度を利用して化合物層の厚膜化を行い、その後、KNxへ雰囲気を変更し、ε相からγ’相へ変態させるのが本発明で考案した手法である。その後、KNxのまま約400℃まで冷却した後、再びN2ガスへ雰囲気を置き換えて、100℃以下まで炉内を冷却する。冷却時は、ヒーターを止め、レトルトの外周をファン冷却しながら炉内を冷却する。
(バッチ型の場合)
ストレートスルータイプバッチ炉の概略図を図4に示し、バッチ炉での処理条件の例を図5に示した。図4に示したように、炉内のKNを制御するために、H2センサ41とPLC+KN調整器42、また、各プロセスガスにはMFC43が設定してある点はピット炉と同様である。バッチ炉の場合は、処理品44は予めNH3ガス雰囲気で580℃に加熱された炉内へ扉48を開けることで、炉内へ挿入される。上記した構成のバッチ炉で処理する場合は、例えば、図5に示したように、炉内へ処理品44が挿入された後、プロセスガスをNH3+AXガスへ切替え、所望のKN値(=KN1)になるよう雰囲気制御を始める。上述のピット炉と同様に、高KNで2hrのガス窒化処理を行った後、雰囲気をKNxへ変更し20分保持することで、ピット炉での処理と同様に、厚いγ’相主体の窒化化合物層を形成することが可能である。図4中の46は熱電対、47は攪拌機、49は冷却槽である。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた鋼材成分を表1に示した。なお、残部は鉄(Fe)である。下記に示したように、いずれの鋼材も、γ’相主体化合物層の厚膜化が可能な鋼材成分からなり、鋼材の被削性や製造性といった使用目的からの観点からも満足できる鋼種である。
(実施例1〜15)
表2に、それぞれに対するガス窒化処理条件を示した。先に説明したバッチ型又はピット型の炉を用い、いずれも、ガス窒化処理中雰囲気の窒化ポテンシャルKNが、最初KN1と最終KNxで異なる2段処理で行った。実施例の一段目の窒化ポテンシャルKN1は、いずれも、それぞれの合金鋼におけるLehrer線図上〔図1は純鉄のもので、それとは異なる(平岡泰、渡邊陽一著、熱処理、55巻、1号、p.7、「ガス窒化における窒化ポテンシャル制御および熱力学計算手法を活用した低合金鋼の化合物層相構造制御」参照)〕において、ε相形成領域で実施しており、この間にε相の速い成長速度を利用した化合物層の厚膜化が行われる。続いて2段目の窒化ポテンシャルKNxは、いずれもγ’相領域で実施し、形成する化合物層厚さや炉の特性に応じて、窒化時間を15〜50分の間で設定した。
各条件で行ったガス窒化処理後に得られた窒化鋼部材について、表面に形成された鉄窒素化合物層の厚さCLTと、拡散層の実用硬化深さDLTをそれぞれ測定し、CLT÷DLTの値をそれぞれ算出し、結果を表3にまとめて示した。また、鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相との関係において、γ’相の存在割合を後述する方法で求めて、結果を表3にまとめて示した。さらに、得られた各窒化鋼部材について、下記で説明する回転曲げ疲労試験と摩擦摩耗試験を行い、機械的特性を調べて評価した。その結果を表3にそれぞれまとめて示した。
<評価>
(1)小野式回転曲げ疲労試験
図6に示した形状の切欠き試験片を用い、実施例の条件でそれぞれガス窒化処理を施した後、小野式回転曲げ疲労試験(JIS Z 2274)を実施した。試験荷重は鋼材成分に応じて、30kgf又は50kgfの2水準のうちいずれかを選択し、また、回転数は3000rpm共通として実施した。試験結果の評価は、107回転を迎えた場合を合格で○とし、そうでない場合は不合格で×として評価した。
(2)摩擦摩耗試験
摩擦摩耗試験(摺動特性評価)は、図7に示したSRV(Schwingungs Reihungund und Vershceiss)試験機を用い、下記のようにして測定した。窒化処理したφ25×8mmサイズの試料を固定片とし、φ10mmのJIS−SUJ2鋼製のボールを摺動子とし、油滴潤滑環境下(80℃、日産純正 CVTフルード NS−2(80mg))において、負荷荷重を与えながら往復摺動(振幅2mm、20Hz)させた場合の摩擦係数を測定することで行った(図7、図8)。また、摺動距離は、100mとした。摩擦係数は、摺動子の上方より負荷荷重(600N)を与えながら、電磁サーボによって摺動子を加振し,ボールと試料との間に発生した摺動抵抗力をロードセルで検出し、摺動抵抗力と負荷荷重の値から摩擦係数を算出した。試験結果の判定は、試験中(5m以上摺動させた後)の摩擦係数が0.15以下である場合を合格で○とし、それ以上であれば不合格で×として評価した。
(3)窒素化合物層の測定方法
φ20×5mmのコイン状の試験片を用い、実施例の条件でそれぞれガス窒化処理を行い、ガス窒化処理後の試験片の平面部を平面部と垂直に切断し、JIS−0562に従い断面の化合物層の厚さを測定した。
(4)EBSDによる相分布解析方法
窒化処理を施した鋼材について、断面を機械的に鏡面研磨した後、走査型電子顕微鏡(FEI社製Sirion)に装着された後方散乱電子回折(EBSD)装置(Oxford Instruments社製、 Inca Crystal)を用いて、Phase Mapの測定を行った。Phase Mapは、実測された電子回折図形と候補となる相の電子回折図形をマッチングして判定した相を色分けしたものである。図9に、γ’相主体の化合物層とε相主体の化合物層を有するEBSD解析結果の例を示した。図9の上段は、γ’相主体化合物層の顕微鏡写真であり、下段はε相主体化合物層の顕微鏡写真である。それぞれの右欄は、Phase Mapであり、灰色に色分けされた部分がγ’相の部分である。本発明では、このPhase Mapを用い、Vγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比を求め、これによって、鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相との存在割合を比較した。
(比較例1〜3)
比較例1〜3では、表2に示したように、それぞれ実施例1、5、9で用いたと同様の鋼材を用い、従来の技術と同様にγ’相領域となる低KN(=0.25)における1段のみのガス窒化処理を行い、得られた窒化鋼材について実施例と同様の試験をした。その結果、表3に示したように、回転曲げ疲労強度は問題なかったものの、摩擦摩耗試験の結果は不合格であった。
(比較例4、5、6)
比較例4、5、6では、それぞれ実施例3、5、7で用いたと同様の鋼材を用い、同じ2段窒化処理を行った。しかし、2段目の窒化時間を60分以上とした。その結果、表3に示したように、KNxに保持する2段目の窒化時間が本発明の規定とする60分以上であったため、γ’相中の結晶粒が大きくなり、得られた窒化鋼材について実施例と同様の試験をした結果、表3に示したように、疲労強度(50kgf)だけでなく耐摩耗性も不合格であった。
(比較例7、8、9)
比較例7、8、9では、それぞれ実施例3、5、7で用いたと同様の鋼材を用い、KNを、従来の技術と同様にγ’相を形成する0.25にとり、いずれも1段で処理した。そして、化合物層の厚さを本発明で規定した13μm以上にするために、比較例7、8では窒化時間を長時間側にし、比較例9では窒化温度を高くして時間を短くして実施した。具体的には、比較例7では窒化時間を10時間、比較例8では12時間とし、比較例9では窒化温度を610℃と高くして窒化時間を3時間と短くして実施した。その結果、得られた窒化鋼材の鉄窒素化合物層の厚みは、13μm以上を満たすものができた。しかし、表3に示したように、本発明で規定した式(1)を満足する化合物層にはならなかった。得られた窒化鋼材について実施例と同様の試験をした結果、表3に示したように、いずれも疲労強度が不合格(50kgf)であった。
本発明によれば、通常のガス窒化処理時間でも、γ’相を主体とする化合物層をε相主体とする化合物層と同様に厚膜化することができ、また、γ’相主体化合物層の厚膜化を行っても、低KNで形成したγ’相を主体とする化合物層と比べて、曲げ疲労強度を低下させることなく、且つ、耐摩耗性を向上させることが可能な窒化鋼部材の提供が可能になり、本発明によって提供される窒化鋼部材としては、例えば、自動車用や変速機用の歯車やクランクシャフト等への使用が期待される。
1:オシレーションブロックヘッドプレート
2a:ねじれセンサー
2b:試験片用固定具
3:上部試験片振幅運動用アーム
3a:上部試験片ホルダー
4:垂直荷重軸

Claims (3)

  1. γ’相主体の化合物層が生成する鋼材成分からなる鋼部材の表面に鉄窒素化合物層が形成されてなる窒化鋼部材であって、
    前記鉄窒素化合物層中に占めるγ’相とε相の体積割合をVγ’とVεとし、γ’相の存在割合をVγ’/(Vγ’+Vε)で規定される比で表した場合に、その値が0.5以上であるγ’相主体の化合物層の厚さが13μm〜30μmであり、且つ、前記鉄窒素化合物層は、ガス窒化処理後の化合物層の厚さ[μm]の値をCLTと表し、ガス窒化処理後の窒化拡散層の実用硬化深さ[μm]の値をDLTと表した場合に、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする窒化鋼部材。
    CLT÷DLT≧0.04 ・・・(1)
  2. ガス窒化処理炉内の窒化ポテンシャル(KN)を調整しながら、前記炉内の被処理材にガス窒化処理を行って、請求項1に記載の窒化部材を製造するための製造方法であって、
    前記ガス窒化炉内へ導入するガスを、アンモニアとアンモニア分解ガスの2種類のみの混合ガスとするか、或いは、アンモニアとアンモニア分解ガスを含む複数の混合ガスとし、前記被処理材近傍における水素濃度の連続的な検出を行い、該検出結果を元にして前記炉内のアンモニア分圧を推定し、設定の窒化ポテンシャルへ制御する雰囲気の自動制御を行い、制御の際に、ガス窒化処理中雰囲気の窒化ポテンシャルKN=pNH3/pH2 1.5を、最初にKN1とし、続いて必要に応じて窒化ポテンシャルをKN2〜KNx-1、KNxとしてもよいが、最終のKNxを、下記式(2)と下記式(3)とを同時に満たすように制御し、且つ、上記要件を満たすように制御した最終のKNxでの窒化時間を5〜60分とすることを特徴とする窒化鋼部材の製造方法。
    N1〜KNx-1>KNx ・・・(2)
    126.7034−5.68797×10-1×T+8.64682×10-4×T2−4.43596×10-7×T3 >KNx >22.2265−1.15×10-1×T+2.03×10-4×T2−1.21466×10-7×T3 ・・・(3)
    (ただし、pNH3、pH2は、窒化処理炉内のNH3分圧とH2分圧、式(3)中の、Tは温度[℃]である。)
  3. 前記KN1が、1.0〜2.0である請求項2に記載の窒化鋼部材の製造方法。
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