JP2016210991A - メカノクロミック化合物及びそれを含むメカノクロミック材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】力学的刺激で安定なラジカルを発生し、発色、蛍光発光する化合物の提供。【解決手段】式〔1〕で表されるテトラアリールスクシノニトリル基本骨格を有するメカノクロミック化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、テトラアリールスクシノニトリル基本骨格又はその類縁体骨格を有するメカノクロミック化合物及びそれを含むメカノクロミック材料に関する。本発明のメカノクロミック化合物によれば、力学的刺激により安定なラジカル構造をとることができ、そして蛍光発光可能なモノラジカル固体材料を提供することができる。
近年、安定ラジカル構造を有する様々な材料が見出され、物質輸送などへの応用されている。また、安定ラジカル構造を有するポリマーが、有機ラジカル電池の電極材料として優れた特性をもつことも見出されている(特許文献1及び2)。
一方、圧縮、延伸、衝撃、せん断、粉砕、曲げ、又は摩擦などの力学的刺激(力学的ストレス)に応じて、安定ラジカル構造を発生する化合物も見出されている。この化合物は、視覚的に色調が変化し、力学的なストレスの度合い、又は損傷位置を可視化できる化合物として注目されている(特許文献3)。このような力学的刺激を受けて発色または発光する性質を有する化合物は、メカノクロミック化合物(メカノクロミック材料)と呼ばれる。特許文献3に記載の材料は、力学的刺激に応じて安定ラジカル構造を発生し、その構造特有の青色発色をする。
特開2009−215187号公報 特開2009−79020号公報 特開2014−58606号公報
T. Otsu et al., Polym. Bull. 17, 323-330 (1987) A. Bledzki, Polym. Bull. 16, 19-26 (1986)
更に、ラジカル構造の中には蛍光発光を示す化合物がある。しかしながら、それらの化合物は、主に可視光又はガンマ線などのレーザーによりラジカル構造を発現するものであり、安定なラジカル固体材料として提供することはできていない。力学的刺激により安定なラジカル構造を発生させ、そして発色及び蛍光発光が実現できれば、高性能な安定ラジカルの機能化が期待できる。
従って、本発明の目的は、力学的刺激により安定なラジカル構造を発生させ、発色及び蛍光発光する化合物を提供することである。
本発明者は、力学的刺激により発色及び蛍光発光する化合物について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、テトラアリールスクシノニトリル(tetraarylsuccinonitrile;以下TASNと称することがある)基本骨格を有する化合物が、力学的刺激により安定なラジカル構造を発生させ、発色及び蛍光発光することを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]下記式〔1〕:
で表される基本骨格を有するメカノクロミック化合物、
[2]ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリラクトン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリアセチレン、及びポリビニルからなる群から選択される繰り返し単位を有する、[1]に記載のメカノクロミック化合物、
[3]下記式〔2〕
(式中、R、R、R、及びRの置換基の数はそれぞれ1〜5のいずれかであり、
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、シラン基、アルコキシシラン基、エポキシ基、アミノ基、アルデヒド基、アミド基、又はイソシアネート基;
、R、R、及びRの2つが一緒になって、単結合、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の2価の炭化水素基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基であってもよく;又は
、R、R、又はRが、それぞれ2つ以上である場合、2つの置換基が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の1〜3の芳香環、ヘテロ芳香環、炭素数3〜7のシクロアルキル環、又は炭素数3〜7のヘテロシクロアルキル環であってもよく、
前記ヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、硫黄原子、リン原子、アルミニウム原子、又はセレン原子である)
で表される[1]に記載のメカノクロミック化合物、
[4]下記式〔3〕:
(式中、−X−(R)−Y又は−X−(R)−Yの置換基の数はそれぞれのフェニル基において1〜5のいずれかであり、Xは、それぞれ独立して、単結合又は分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立して、単結合又はポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリラクトン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリアセチレン、及びポリビニルからなる群から選択される繰り返し単位であり、Yは水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキニル基、アルケニル基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、シラン基、アルコキシシラン基、エポキシ基、アミノ基、アルデヒド基、アミド基、ハロゲン化アルキル基、及びイソシアネート基からなる群から選択される基であり、nはそれぞれ独立して1〜500の整数であり、−X−(R)−Y及び−X−(R)−Yのいずれか2つが一緒になって、単結合、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の2価の炭化水素基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基であってもよく;又は−X−(R)−Y又は−X−(R)−Yがそれぞれ2つ以上である場合、2つの置換基が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の1〜3の芳香環、ヘテロ芳香環、炭素数3〜7のシクロアルキル環、又は炭素数3〜7のヘテロシクロアルキル環を形成してもよい)で表される化合物である、[2]に記載のメカノクロミック化合物、
[5]力学的刺激により発色及び/又は蛍光発光する、[1]〜[4]のいずれかに記載のメカノクロミック化合物、及び
[6]前記力学的刺激が、圧縮、延伸、衝撃、せん断、粉砕、曲げ、摩擦、超音波、及びその2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、[5]に記載のメカノクロミック化合物、
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のメカノクロミック化合物を含む、メカノクロミック材料、
[8][7]に記載のメカノクロミック材料に付与された力学的刺激を、発色及び/又は蛍光発光の変化を測定することにより検出する工程を含む、力学的刺激の検出方法、
[9]前記力学的刺激が、圧縮、延伸、衝撃、せん断、粉砕、曲げ、摩擦、超音波、及びその2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、[8]に記載の力学的刺激の検出方法、
に関する。
なお、テトラアリールスクシノニトリル構造を有する化合物は、有機溶媒中で60℃程度の加熱によって、活性ラジカル種が発生することが知られている(非特許文献1及び2)。この非特許文献1及び2に記載の化合物を含めて、加熱により活性ラジカル種が発生する化合物は、従来から多数報告されている。しかしながら、本発明者らの知る限りにおいて、このような化合物が、力学的な刺激によって発色及び蛍光発光することは、報告されておらず、驚くべきことである。
更に、特許文献3に記載のように、力学的刺激によりラジカル構造の発生に基づき発色する化合物は知られていた。しかしながら、力学的刺激によりラジカル構造が発現し安定的に蛍光発光する化合物は、本発明者の知る限りにおいて、報告されておらず、驚くべきことである。
本発明のメカノクロミック化合物によれば、力学的刺激により安定なラジカル構造の発現を可能とし、そして蛍光発光可能なモノラジカル固体材料を提供することができる。すなわち、本発明のメカノクロミック化合物を含むメカノクロミック材料(メカノクロミック発色材料、又はメカノクロミック蛍光発光材料)は、その材料が受けた力学的刺激を、発色又は蛍光発光によって、可視的に且つ高感度に検出することができる。
更に、本発明のメカノクロミック化合物は可逆性を有しており、ラジカル構造が再結合することにより、容易に元の状態に戻すことができる。すなわち、力学的刺激を取り除くと、形状が元に戻り、自発的に退色する性質を有する。従って、ラジカル構造の再結合に基づく可逆的な性質を利用することにより、高性能な安定ラジカルの機能化が期待できる。
本発明のメカノクロミック化合物は、従来の発色によるメカノクロミック化合物と比較すると、蛍光発色できるため、高感度に力学的刺激を検出することができる。すなわち、蛍光発光は、特定波長の吸収による発色と比較して、はるかに鋭敏な可視変化であり、桁違いに優れた感度をもたらすものである。特に、本発明のポリマーのメカノクロミック化合物は力学的刺激に対する感度が高く、少量で力学的刺激を検出することができる。
本発明のメカノクロミック材料は、力学センサー、又は材料の寿命予測に用いることができる。
実施例1で調製したテトラフェニルスクシノニトリルの力学的刺激による蛍光発光(A)及び電子スピン共鳴測定の結果(B)を示す図である。 実施例2で調製したTASN-diolの1H-NMRスペクトル測定の結果(A)、電子スピン共鳴測定の結果(B)、及び力学的刺激による発色及び蛍光発光(C)を示す図である。 実施例4で調製したTASN含有ポリマー(ポリε−カプロラクトン)の1H-NMRスペクトル測定の結果(A)、及び力学的刺激による発色及び蛍光発光(B)を示す図である。 実施例5で調製したTASN含有ポリマー(ポリスチレン)の1H-NMRスペクトル測定の結果(A)、電子スピン共鳴測定の結果(B)及び力学的刺激による発色及び蛍光発光(C)を示す図である。
[1]メカノクロミック化合物
本発明のメカノクロミック化合物は、下記式〔1〕:
で表されるテトラアリールスクシノニトリル基本骨格(以下、TASN基本骨格又はTASN構造と称することがある)を有する化合物である。(但し、テトラアリールスクシノジニトリル(TPSN)及びテトラ(p−メトキシフェニル)スクシノジニトリル(TMPSN)を除く。)前記式〔1〕において、4つのフェニル基の置換基の数は、1〜5のいずれかである。例えば、異なるフェニル基のオルト位に存在する2つの置換基が一緒になって、単結合又は2価の基を形成する化合物(例えば、後述の式〔11〕の化合物)の基本骨格は、厳密にはテトラアリールスクシノニトリル基本骨格ではない。しかしながら、これらの基本骨格を有する化合物も本発明の効果を示す。本明細書においては、これらの化合物の基本骨格をテトラアリールスクシノニトリルの類縁体骨格(以下、TASN類縁体骨格又はTASN類縁体構造と称することがある)と称する。
前記TASN類縁体骨格を有するメカノクロミック化合物として、例えば下記式〔4〕:
(式中、R’は、単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基である)で表されるテトラアリールスクシノニトリルの類縁体骨格(以下、TASN類縁体骨格又はTASN類縁体構造と称することがある)を有する化合物を挙げることができる。また、前記式〔4〕において、R’以外の置換基の数は0〜4でもよい。
本発明のメカノクロミック化合物は前記テトラアリールスクシノニトリル基本骨格又はテトラアリールスクシノニトリルの類縁体骨格を有することにより、力学的刺激により、発色及び蛍光発光を発生する。
本発明のメカノクロミック化合物が力学的刺激により発色及び蛍光発光を発生するメカニズムは、以下のように推定される。しかしながら、本発明は以下の推定によって限定されるものではない。
本発明のメカノクロミック化合物のTASN構造又はTASN類縁体構造を形成する2つのジアリールアセトニトリル構造間の炭素−炭素結合の結合解離エネルギー(開裂エネルギー)は、約26kcal/molである。この開裂エネルギーは、あまり大きくないため、下記式〔5〕に示すように、容易に力学的刺激により開裂し、安定したジアリールアセトニトリルラジカルを生成すると考えられる。
前記TASN基本骨格又はTASN類縁体骨格の開裂部分は、4つのフェニル基及び2つのニトリル基に囲まれた構造を有しており、式(1)の4つのフェニル基の置換基の影響を受けにくい。従って、TASN基本骨格を有する化合物は、置換基の種類にかかわらず、力学的刺激により発色及び蛍光発光を発生すると考えられる。
本明細書において「力学的刺激」とは、特に限定されるものではないが、圧縮、延伸、衝撃、せん断、粉砕、曲げ、超音波又は摩擦を挙げることができる。力学的刺激の強さは、TASN構造の開裂が発生する限りにおいて、限定されるものではないが、発色及び蛍光発光と、力学的刺激の大きさは、容易に測定することができる。
本発明のメカノクロミック化合物は、前記のとおり、テトラアリールスクシノニトリル基本骨格又はテトラアリールスクシノニトリルの類縁体骨格を有する限りにおいて、限定されるものではなく、低分子化合物(例えば、モノマー)でもよく、高分子化合物(例えば、ポリマー)でもよい。また、1分子中に含まれるTASN基本骨格の数も限定されるものではなく、1つ以上のTASN基本骨格を含んでいればよい。従って、1分子中に含まれるTASN基本骨格のモル比も限定されるものではない。
しかしながら、テトラアリールスクシノニトリル基本骨格等の開裂部分に、力学的刺激が効果的に伝達される構造を有するメカノクロミック化合物が好ましい。このような構造を有するメカノクロミック化合物としては、ポリマーの主鎖にTASN基本骨格等を有する化合物、又はポリマーの架橋点にTASN基本骨格等を有する化合物を挙げることができる。特に、ポリマー鎖の中心にTASN基本骨格等を有するものが、最も効率的に力学的刺激を伝達できると考えられる。
本発明のメカノクロミック化合物の分子量は、力学的刺激によりTASN基本骨格等が開裂される限りにおいて限定されるものではないが、比較的高分子量のものが好ましい。例えば分子量は、好ましくは400以上であり、より好ましくは1000以上であり、更に好ましくは5000以上であり、最も好ましくは10000以上である。
本発明のメカノクロミック化合物は、テトラアリールスクシノニトリル基本骨格等を有する限りにおいて、限定されるものではない。従って、前記式〔1〕における4つのフェニル基の置換基も限定されるものではない。例えば、下記式〔2〕を用いて、置換基を説明する。
それぞれのフェニル基は、5つの水素原子を有しており、従ってR、R、R、及びRはそれぞれ1〜5のいずれかであってよい。すなわち、それぞれのフェニル基は、1〜5のR、R、R、及びRの置換基を有してよい。
(1)R、R、R、及びRが独立して存在する場合、R、R、R、及びRは、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、シラン基、アルコキシシラン基、エポキシ基、アミノ基、アルデヒド基、アミド基、又はイソシアネート基であってもよい。前記炭素数1〜40の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルキニル基、又は炭素数2〜40のアルケニル基)、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を挙げることができる。
(2)R、R、R、及びRの2つが一緒になって、単結合又は2価の基を形成する場合、前記2価の基は、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の2価の炭化水素基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基であってもよい。特に、2つのフェニル基のオルト位に存在するR、R、R、及びRのうちの2つが一緒になって、単結合又は2価の基を形成する化合物は、TASN類縁体骨格を有するメカノクロミック化合物である。
(3)R、R、R、又はRがそれぞれ2つ以上である場合、それぞれの2つの置換基が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の1〜3の芳香環、ヘテロ芳香環、炭素数3〜7のシクロアルキル環、又は炭素数3〜7のヘテロシクロアルキル環であってもよい。
前記式〔2〕において、ヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、硫黄原子、リン原子、アルミニウム原子、又はセレン原子であってよい。
、R、R、及びRの置換基は1〜5であり、その位置は、特に限定されるものではなく、オルト位、メタ位、又はパラ位のいずれでもよい。しかしながら、置換基がTASN基本骨格等の開裂部分に影響を与えないという観点から、好ましくはメタ位又はパラ位であり、最も好ましくはパラ位である。また、本発明のメカノクロミック化合物の製造の観点からも、好ましくはメタ位又はパラ位であり、最も好ましくはパラ位である。
また、それぞれのフェニル基の置換基の数も限定されるものではない。従って、R、R、R、及びRは、前記のとおり、それぞれ5つでもよく、4つでもよく、3つでもよく、2つでもよく、1つでもよい。しかしながら、置換基がTASN基本骨格等の開裂部分に影響を与えないという観点から、好ましくは4つ以下であり、より好ましくは3つ以下であり、更に好ましくは2つ以下であり、もっと好ましくは1つである。
また、R、R、R、又はRがそれぞれ2つ以上である場合、前記の通り、それぞれのフェニル基の2つの置換基が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、1〜3の芳香環、ヘテロ芳香環、炭素数3〜7のシクロアルキル環、又は炭素数3〜7のヘテロシクロアルキル環を形成してもよい。また、前記芳香環、ヘテロ芳香環又はシクロアルキル環の水素原子は、ハロゲン原子、又は分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキニル基、又は炭素数2〜20のアルケニル基)、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基)で置換されてもよい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、硫黄原子、リン原子、アルミニウム原子、又はセレン原子を挙げることができる。
本明細書において、前記式〔2〕におけるR、R、R、及びRが水素原子の化合物をテトラアリールスクシノニトリル(TASN)と称し、R、R、R、及びRの置換基の1つ以上が水素原子以外の化合物を、テトラアリールスクシノニトリル誘導体(TASN誘導体)と称する。TASN誘導体におけるR、R、R、及びRは、ポリマー鎖を含んでもよく、ポリマー鎖を含まないものでもよい。また、本明細書において、2つのフェニル基のオルト位に存在するR、R、R、及びRのうちの2つが一緒になって2価の基を形成する化合物をTASN類縁体と称するが、TASN類縁体におけるR、R、R、及びRも、ポリマー鎖を含んでもよく、ポリマー鎖を含まないものでもよい。
《ポリマー鎖を含まないメカノクロミック化合物》
、R、R、及びRがポリマー鎖を含まないTASN誘導体又はTASN類縁体は、そのまま本発明のメカノクロミック化合物として用いることができる。また、ポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物の製造原料として用いることもできる。
、R、R、及びRが、ポリマー鎖を含まないTASN誘導体又はTASN類縁体の場合、限定されるものではないが、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又は分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルキニル基、又は炭素数2〜40のアルケニル基)、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基)でよく、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、硫黄原子、リン原子、アルミニウム原子、又はセレン原子を挙げることができる。
前記ポリマー鎖を含まないTASN誘導体等は、ポリマー鎖を含むTASN誘導体等の製造に用いることができる。ポリマー鎖を含まないTASN誘導体等は、一般的には、ジアリールアセトニトリル誘導体を合成し、必要な化学修飾を行った後に光反応により二量化を行うことによって、目的のTASN誘導体等を得ることができる。
前記ポリマー鎖を含まないTASN誘導体としては、例えば、下記式〔6〕:
で表される化合物、下記式〔7〕:
で表される化合物、下記式〔8〕:
で表される化合物、下記式〔9〕:
で表される化合物を挙げることができる。
また、前記2つの置換基が一緒になって芳香環を形成するTASN誘導体としては、下記式〔10〕:
で表される化合物を挙げることができる。
また、前記2つの置換基が一緒になって2価の基を形成するTASN類縁体としては、例えば下記式〔11〕:
で表される化合物を挙げることができる。式〔11〕に記載のように、フェニル基のオルト位の2つの置換基が一緒になって単結合又は2価の基を形成する化合物は、スクシノニトリル及び2つのフェニル基によって環(例えば、5員環等)が形成されるため、厳密にはテトラアリールスクシノニトリル基本骨格を有する化合物ではない。しかしながら、このようなTASN類縁体も本発明の優れた効果を有する化合物である。また、別のTASN類縁体としては、前記式〔6〕〜〔10〕において2つのフェニル基のオルト位の置換基が、単結合、アルキレン基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基を形成する化合物を挙げることができる。
更に、2つの置換基が一緒になって2価の基を形成するTASN誘導体としては、例えば下記式〔12〕:
で表される化合物を挙げることができる。
前記式〔2〕の化合物において、R、R、R、及びRの末端は、限定されるものではなく、例えば水酸基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基)、又はアルキニル基、アルケニル基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、シラン基、アルコキシシラン基、エポキシ基、アミノ基、アルデヒド基、アミド基、ハロゲン化アルキル基、又はイソシアネート基を挙げることができるが、ポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物の製造のためには、置換基の末端が水酸基又はアルキニル基のTASN誘導体が好ましい。なお、本明細書において、置換基の2つの末端に水酸基を有するTASN誘導体を「TASN-diol」と称し、置換基の2つの末端にアルキニル基を有するTASN誘導体を「TASN-dialkyne」と称する。
《ポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物》
本発明のメカノクロミック化合物は、ポリマー鎖を含む高分子化合物(ポリマー)でもよい。すなわち、前記式〔2〕のR、R、R、及びRの少なくとも1つに、ポリマー鎖を含んでもよい。ポリマー鎖は、R、R、R、及びRのうちの4つに含まれてもよく、3つに含まれてもよく、2つに含まれてもよく、1つに含まれてもよい。しかしながら、製造工程を考慮すると、R及びRにポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物、R及びRにポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物、が好ましい。
また、メカノクロミック化合物全体をポリマーと考えた場合、前記TASN基本骨格又はTASN類縁体骨格が、ポリマーの主鎖、又はポリマーの架橋点に含まれることが好ましい。ポリマーの主鎖又はポリマーの架橋点にTASN基本骨格又はTASN類縁体骨格が含まれることによって、TASN基本骨格又はTASN類縁体骨格の開裂部分に、力学的刺激が効果的に伝達されるからである。従って、この点からも、R及びRにポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物、又はR及びRにポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物が好ましい。
本明細書において、ポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物におけるポリマー鎖の繰り返し部分を「繰り返し単位」と称する。繰り返し単位としては、限定されるものではないが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリラクトン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド)、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリアセチレン、又はポリビニルを挙げることができる。
本発明のポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物は、例えば、前記ポリマー鎖を含まないTASN誘導体又はTASN類縁体から、既知の反応を工夫して合成をすることができる。
例えば、原料となる前記TASN-diolから、逐次重合や連鎖重合を利用することにより合成できる。また、末端に2つのアルキニル基を有するTASN-dialkyneと、アジド基末端を有する各種ポリマー化合物との結合反応を利用することによって、合成することが可能である。
前記TASN-diolを用いて合成できるポリマーとしては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリラクトン、ポリアミド、ポリラクトン、ポリアルキレンオキシド(ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド)、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリアミドイミド、ポリシロキサン、ポリオレフィン、ポリアミドイミド、又はエポキシ樹脂を挙げることができる。また、TASN-dialkyneを用いて合成できるアジド末端を有するポリマーとしては、アジド末端を有するビニル系ポリマー(例えば、ポリスチレン誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体)、ポリスチレン、ポリアルキレンオキシド(ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド)、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリビニル、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、又はポリアセチレンを挙げることができる。
本発明のポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物として、より具体的には、下記式〔3〕の化合物を挙げることができる。
それぞれのフェニル基は、5つの水素原子を有しており、従って−X−(R)−Y又は−X−(R)−Yはそれぞれ1〜5のいずれかであってよい。すなわち、−X−(R)−Y又は−X−(R)−Yの置換基の数はそれぞれのフェニル基において1〜5のいずれかであり、
(1)Xは、それぞれ独立して、単結合又は分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立して、単結合又はポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリラクトン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリアセチレン、及びポリビニルからなる群から選択される繰り返し単位であり、Yは水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキニル基、アルケニル基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、シラン基、アルコキシシラン基、エポキシ基、アミノ基、アルデヒド基、アミド基、ハロゲン化アルキル基、及びイソシアネート基からなる群から選択される基であり、nはそれぞれ独立して1〜500の整数であってもよい。
(2)−X−(R)−Y及び−X−(R)−Yのいずれか2つが一緒になって、単結合、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の2価の炭化水素基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基であってもよい。特に、2つのフェニル基のオルト位に存在する−X−(R)−Y及び−X−(R)−Yのうちの2つが一緒になって、単結合又は2価の基を形成する化合物は、TASN類縁体骨格を有するメカノクロミック化合物である。
(3)−X−(R)−Y又は−X−(R)−Yがそれぞれのフェニル基において2つ以上である場合、2つの置換基が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の1〜3の芳香環、ヘテロ芳香環、炭素数3〜7のシクロアルキル環、又は炭素数3〜7のヘテロシクロアルキル環を形成してもよい。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、硫黄原子、リン原子、アルミニウム原子、又はセレン原子を挙げることができる。
前記式〔3〕の具体的な化合物として、下記式〔13〕のポリマーを挙げることができる。下記式〔13〕のポリマーは、前記式〔6〕のTASN-diolを用い、ジフェニルリン酸を触媒として、ε−カプロラクトンの重合を行うことで、合成することができる。
(式中、nはそれぞれ独立して1〜500の整数である)
更に前記式〔3〕の具体的な化合物として、下記式〔14〕のポリマーを挙げることができる。下記式〔14〕のポリマーは、末端に2つのアルキニル基を有するTASN-dialkyneと、アジド末端を有するポリスチレンとを反応させることで、合成することができる。
(式中、qはそれぞれ独立して1〜500の整数である)
前記式〔3〕の具体的な化合物として、下記式〔15〕のポリマー(ポリウレタン)のを挙げることができる。下記式〔15〕のポリマーは、TASN-diolと、末端がジイソシアネート基で修飾されたポリプロピレングリコール及びヘキサメチレンジイソシアネートとを用いて、合成することができる。
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数2以上の炭化水素基であり、qはそれぞれ独立して1〜500の整数であり、l:mのモル比は1:10〜10:1であり、pは1〜100の整数である)
また、前記TASN類縁体化合物としては、前記式〔13〕〜〔15〕において2つのフェニル基のオルト位の置換基が一緒になって、単結合、アルキレン基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基を形成する化合物を挙げることができる。
前記式〔3〕におけるR、又はRの繰り返し単位を、他のポリマーの繰り返し単位に置き換えるように、公知の方法を用いて合成することによって、本発明のポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物を合成することが可能である。更に、前記式〔3〕以外の構造を有し、且つTASN基本骨格又はTASN類縁体骨格を有するポリマーも、公知の方法を用いて合成することができる。
また、ポリマーの架橋点にTASN基本骨格を含むメカノクロミック化合物として、下記式〔16〕:
で表される化合物、又は下記式〔17〕:
で表される化合物を挙げることができる。
前記式〔16〕及び式〔17〕のポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物は、下記反応式〔18〕:
に従って、合成することができる。すなわち、TASN-diolと、末端がジイソシアネート基で修飾されたポリプロピレングリコール又はヘキサメチレンジイソシアネートを用いて、合成することができる。
更に、本発明のポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物は、下記の模式的な式〔19〕に示したように、分枝状のポリスチレンの中央部分にTASN基本骨格を含むものでもよい。
また、ポリマーの架橋点にTASN類縁体骨格を含むメカノクロミック化合物として、前記式〔16〕〜〔19〕において2つのフェニル基のオルト位の置換基が一緒になって、単結合、アルキレン基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基などを形成する化合物を挙げることができる。
(ポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物の感度)
本発明のポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物は、ポリマー鎖を含まないメカノクロミック化合物と比較して、一般的に力学的刺激による発色又は蛍光発光において、高い感度を示す。例えば、実施例2で得られたTASN-diol及び実施例5で得られたTASN含有ポリマー(ポリスチレン)を、電子スピン共鳴(ESR)により測定すると、いずれもg値は2.003と算出され、一般的な炭素ラジカルと同じである。しかしながら、TASN含有ポリマー(ポリスチレン)のラジカル発生量は、TASN-diolのラジカル発生量と比較して、約100倍大きかった。これは、TASN含有ポリマー(ポリスチレン)は、高分子鎖中央にTASN基本骨格が存在するため、力学的刺激が伝わりやすくなったためであると考えられる。すなわち、ポリマー主鎖、又はポリマーの架橋点にTASN基本骨格を有するメカノクロミック化合物は、低分子量のポリマー鎖を含まないメカノクロミック化合物と比較すると、1分子の分子量に対するTASN基本骨格のモル比が少なくても、高い感度を示すことがあると考えられる。
《発色》
本発明のメカノクロミック化合物は、力学的刺激を付与されることによって発色する。発色の色は、特に限定されるものではないが、桃色系の発色をする。
《蛍光発光》
本発明のメカノクロミック化合物は、力学的刺激を付与されることによって蛍光発光する。蛍光発色を検出するために、紫外線照射をすることが好ましい。波長は限定されるものではないが、例えば330nm〜390nmの波長の照射で検出することが可能であり、好ましくは365nmである。
《可逆性》
本発明のメカノクロミック化合物の発色及び蛍光発光は、可逆性を有する。すなわち、発色又は蛍光発光したメカノクロミック化合物を溶媒に溶解させることによって、瞬時に消色し、蛍光発光も消失する。そして、溶媒を揮発させることによって、機械的刺激を付与する前の白色粉末へ戻る。また、一定時間放置することによって、発色及び蛍光発光が消失する。
本発明のメカノクロミック化合物の発色及び蛍光発光可逆性に関するメカニズムに関しては、次のように推察される。しかしながら、本発明はこの推察によって限定されるものではない。
前記のようにTASN基本骨格又はTASN類縁体骨格を形成する2つのジアリールアセトニトリル構造間の炭素−炭素結合は強くない。従って、容易に力学的刺激により開裂し、ジアリールアセトニトリルラジカルを生成する。室温下の空気中の条件においても、自発的に可逆的な解離−再結合(発色−退色)を実現できる。また、生成するラジカルが酸素耐性を有しているため、良好な可逆性を有していると考えられる。更に、良溶解性の溶媒中においては、開裂した2つのジアリールアセトニトリルラジカルが、比較的自由に移動するため、炭素ラジカル間の結合が瞬時におき、発色及び蛍光発光が消失すると考えられる。
[2]メカノクロミック材料
本発明のメカノクロミック材料は、本発明のメカノクロミック化合物を含む。メカノクロミック材料は、実質的にメカノクロミック化合物からなるものでもよく、他の化合物及びメカノクロミック化合物を含むものでもよい。
メカノクロミック化合物からなるメカノクロミック材料としては、その材料が用いられる用途に適した化合物に、前記TASN基本骨格を導入して調製した化合物からなる材料を挙げることができる。具体的には、例えばポリマーの主鎖又は架橋点にTASN基本骨格を導入したポリマーからなるメカノクロミック材料を挙げることができる。
一方、他の化合物及び本発明のメカノクロミック化合物を含む材料としては、その材料が用いられる用途に適した化合物に、前記「[1]メカノクロミック化合物」の項に記載のメカノクロミック化合物を混合することによって、製造することができる。
メカノクロミック材料に対するメカノクロミック化合物の含有率は、力学的刺激による発色又は蛍光発光が検出できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば0.1〜99%であり、より好ましくは1〜95%であり、更に好ましくは2〜90%である。特に、本発明のポリマー鎖を含むメカノクロミック化合物は、力学的刺激による発色又は蛍光発光の感度が高い。従って、少量の化合物の添加によって、十分な感度を有するメカノクロミック材料を得ることができる。
本発明のメカノクロミック材料の態様は、限定されるものではないが、好ましくは固体である。しかしながら、力学的刺激により発色又は蛍光発光が発生する限りにおいて、液体、ゲル、又はゾルなどの態様をとることができる。
[3]力学的刺激の検出方法
本発明の力学的刺激の検出方法は、前記メカノクロミック材料に付与された力学的刺激を、発色又は蛍光発光の変化を測定することにより検出する工程を含む。力学的刺激は、特に限定されるものではないが、圧縮、延伸、衝撃、せん断、粉砕、曲げ、摩擦、又はその2つ以上の組み合わせからなる力学的刺激を挙げることができる。
力学的刺激の強度は、発色又は蛍光発光の変化量によって、測定することが可能である。例えば、力学的刺激の強度と、発色量又は蛍光発光量との関係とを、あらかじめ計測することによって、メカノクロミック材料に付与された力学的刺激の強度を数値化することが可能である。
発色は、紫外可視分光光度計によって測定することができる。また、蛍光発光は、分光蛍光光度計によって測定することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:テトラフェニルスクシノニトリルの合成》
ジフェニルアセトニトリル3.14g(16.2mmol)、ベンゼン40.5mL、ジ−tert−ブチルペルオキシド34.1mL(186mmol)からなる混合溶液を調整した。室温にて400W高圧水銀ランプによる光照射を2時間行った。反応後、溶媒留去を行い、析出した白色固体をメタノールで洗浄し、白色固体のテトラフェニルスクシノニトリルを得た。収量は2.44g、収率は78%であった。以下、この化合物をTPSNと表記する。
得られたTPSN250mgを乳鉢に化合物を入れ、乳棒により磨り潰し(力学的刺激)を与えた。この白色粉末に365nmのUVライトを照射し、黄色に発色することが確認できた。図1(A)に、写真図を示す。
すり潰しを行った後の粉末20mgの電子スピン共鳴測定を行った。2つのジフェニルアセトニトリル構造間の炭素−炭素共有結合が開裂して発生したと推測される、炭素ラジカルの発生が確認できた。図1(B)に、電子スピン共鳴測定結果を示す。
力学的刺激を与え、しばらく放置すると、UVライトによる発光も徐々に薄らいでいくことが確認できた。また、TPSNに対して良溶解性を示す溶媒(アセトン)を加えると瞬時に消色し、溶媒を揮発させると元の白色粉末へと戻ることが確認できた。
更に、得られた白色粉末を改めて磨り潰し(力学的刺激を加える)、再度UVライトを照射することで発光状態の粉末を確認することができた。すなわち、上記各状態が繰り返されることを確認した。
《実施例2及び3》
下記反応式〔20〕に従い、本発明のメカノクロミック化合物であるTASN-diol(5)及びTASN-dialkyne(6)を製造した。
(4−メトキシマンデロニトリル(化合物(2))の合成)
反応容器に亜硫酸水素ナトリウム66.6g(640mmol)を蒸留水230mLに溶解させた後、p−アニスアルデヒド35.0mL(288mmol)をゆっくりと加え、窒素雰囲気下室温で2.5時間撹拌した。氷浴中で、滴下漏斗を用いてシアン化カリウム41.7g(640mmol)の水溶液156mLをゆっくりと滴下し、室温で2時間反応を行った。反応後、酢酸エチルで抽出し、溶媒留去後に得られた固体をろ過により回収し、ヘキサンで洗浄することで白色固体の4−メトキシマンデロニトリルを得た。収量は39.8g、収率は85%であった。
(ジアリールアセトニトリル(化合物(3))の合成)
反応容器に蒸留水122mL、硫酸40.8mL、4−メトキシマンデロニトリル32.6g(200mmol)、フェノール45.7g(486mmol)を加え、窒素雰囲気下50℃で21時間反応を行った。反応後、ろ別を行い固体を回収し、得られた固体をTHFに溶解させ、多量の蒸留水に投入した。析出した白色粉末を回収することで、目的のジアリールアセトニトリル(DAAN)を得た。収量は36.6g、収率は77%であった。以下、この化合物をDAANと表記する。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ/ppm 3.73 (s, 3H, OCH3), 6.77 (d, J = 9.0 Hz, 2H, aromatic), 5.57 (s, 1H, CH), 6.95 (d, J = 9.0 Hz, 2H, aromatic), 7.15 (d, J = 9.0 Hz, 2H, aromatic), 7.27 (d, J = 9.0 Hz, 2H, aromatic), 9.56 (br, 1H, OH). ; 13C NMR (75 MHz, DMSO) : δ/ppm 55.19, 114.52, 115.93, 121.07, 128.67, 128.70, 129.23, 157.20, 158.87. ; FT-IR (KBr, cm-1) : 3466, 3021, 2955, 2904, 2839, 2370, 2337, 2243, 2046, 1886, 1765, 1604, 1511, 1445, 1350, 1299, 1256, 1224, 1180, 1110, 1026, 969, 825, 766, 692, 594, 536, 518.
(化合物(4)の合成)
500mL反応容器にDAAN19.1g(80.0mmol)、DMF160mL、炭酸カリウム16.6g(120mmol)を加え、窒素雰囲気下60℃で1時間撹拌した。その後、3−ブロモ−1−プロパノール10.4mL(120mmol)を加え、窒素雰囲気下60℃で3時間撹拌した。ろ過にて炭酸カリウムを除去後、酢酸エチルを加えて抽出し、溶媒留去の後に、シリカゲルカラムトクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)にて単離し、淡黄色粘性液体を得た。収量は12.3g、収率は52%であった。以下、この化合物をDAAN−OHと表記する。
収量 (収率) : 12.3 g (52%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ/ppm 2.01 (quin, J = 6.0 Hz, 2H, CH2), 2.16 (t, J = 6.0 Hz, 2H, OH), 3.78 (s, 3H, OCH3), 3.82 (q, J = 6.0 Hz, 2H, CH2), 4.08 (t, J = 6.0 Hz, 2H, CH2), 5.03 (s, 1H, CH), 6.86-6.90 (br, 4H, aromatic), 7.20-7.24 (br, 4H, aromatic). ; 13C NMR (75 MHz, CDCl3) : δ/ppm 31.91, 59.75, 65.41, 114.47, 115.02, 120.21, 128.22, 128.33, 128.59, 128.76, 158.61, 159.32. ; FT-IR (NaCl, cm-1) : 3428, 2945, 2883, 2842, 2553, 2244, 2051, 1888, 1609, 1509, 1467, 1302, 1252, 1179, 1114, 1035, 952, 829, 590, 548, 417.
(TASN-diol(化合物(5))の合成)(実施例2)
DAAN−OH(4)6.22g(20.9mmol)、ベンゼン52.2mL、ジ−t−ブチルペルオキシド43.9mL(23.9mmol)の混合溶液を調製した。その後、室温にて400W高圧水銀ランプ光照射を2時間行った。反応終了後、溶媒留去し、シリカゲルカラムトクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=3:1)にて単離した。溶媒留去した後、クロロホルムに溶解させ、多量のヘキサンに再沈殿させた。吸引ろ過にて回収し、淡黄色固体を得た。収量(収率):2.97g(48%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ/ppm 1.74 (br, 2H, OH), 2.04 (quin, J = 6.0 Hz, 4H, CH2), 3.79 (s, 6H, OCH3), 3.84 (br, 4H, CH2), 4.09 (t, J = 6.0 Hz, 4H, CH2), 6.75-6.77 (br, 8H, aromatic), 7.15-7.18 (br, 8H, aromatic). ; 13C NMR (75 MHz, CDCl3) : δ/ppm 31.98, 55.35, 58.44, 60.06, 65.51, 113.34, 113.83, 121.53, 129.26, 129.43, 131.35, 158.64, 159.38. ; FT-IR (KBr, cm-1) : 3416, 3048, 2948, 2844, 2558, 2374, 2337, 2243, 2048, 1890, 1744, 1607, 1509, 1468, 1301, 1256, 1185, 1127, 1036, 952, 827, 632, 598, 545.
図2(A)に1H-NMRスペクトル測定の結果を示す。
次に、乳鉢に化合物を250mg入れ、乳棒により磨り潰し(力学的刺激)を与えることで、桃色へと色調変化したことを確認した。また、この粉末20mgを用いて電子スピン共鳴測定を行ったところ、炭素ラジカルの発生が確認できた。なお、図2(B)に電子スピン共鳴の結果を示す。
この桃色粉末に365nmのUVライトを当てたところ、黄色に発色することを確認した。図2(C)に、色調変化および発光状態の写真を示す。
この粉末をしばらく放置すると、桃色の色調から元の白色粉末へと変化していくことが確認された。この際、UVライトによる発光も徐々に薄らいでいくことが確認できた。なお、この桃色色調は、この化合物に対して良溶解性を示す溶媒(アセトン)を加えると瞬時に消色し、溶媒を揮発させると元の白色粉末へと戻ることが確認できた。
次に、得られた白色粉末を改めて磨り潰す(力学的刺激を加える)と、全体が均一に桃色変化すること、ならびに再度UVライトを当てることで発光状態の粉末を確認することができ、上記各状態が繰り返されることを確認した。
(TASN-dialkyne(化合物(6))の合成)(実施例3)
反応容器にTASN-diol2.07g(3.50mmol)を加え、脱気、窒素置換を3回行った後、塩化メチレン20.4mL、ピリジン3.38mL(42.0mmol)を加えた。氷浴中にて、5−ヘキシン酸クロリド1.68mL(14.0mmol)をゆっくりと滴下し、その後、室温で4時間撹拌した。蒸留水を加えて反応を停止した後、塩化メチレンを用いて抽出し、溶媒留去の後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)にて単離し、黄色の粘性液体を得た。収量は2.15g、収率は76%であった。1H-NMRを用いて構造解析を行った。1H NMR (400 MHz, CDCl3) : δ/ppm 1.85 (quin, J = 9.6 Hz, 4H, CH2), 1.97 (t, J = 2.4 Hz, 2H, CH), 2.11 (quin, J = 8.1 Hz, 4H, CH2), 2.27 (t, J = 6.9 Hz, 4H, CH2), 2.47 (t, J = 7.4 Hz, 4H, CH2), 3.79 (s, 6H, OCH3), 4.02 (t, J = 5.6 Hz, 4H, CH2), 4.27 (t, J = 6.3 Hz, 4H, CH2), 6.73-6.77 (m, 8H, aromatic), 7.15-7.18 (m, 8H, aromatic).
《実施例4:TASN含有ポリマー(ポリε−カプロラクトン)の調製》
下記反応式〔21〕の反応ルートに従い、TASN含有ポリマー(ポリε−カプロラクトン)を調製した。
反応容器にTASN-diol59.3mg(0.100mmol)、りん酸ジフェニル50.0mg(0.200mmol)を加え、窒素置換した後、ε−カプロラクトン2.22mL(20.0mmol)を加え、窒素雰囲気下室温にて24時間撹拌した。反応停止後THFに希釈し、多量のメタノールに再沈殿させ、生じた沈殿物を吸引ろ過にて回収した。減圧乾燥し、淡黄色粉末を得た。収量は2.02g、収率は86%であった。1H-NMRにより構造解析を行った。1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ/ppm 1.29-1.39 (m, CH2), 1.56-1.66 (m, CH2), 2.24-2.29 (m, CH2-C=O), 3.99-4.04 (m, CH2-O).
1H-NMRスペクトル測定の結果を図3(A)に示す。
TASNを有するポリカプロラクトンを250mg作製し、乳鉢に入れ乳棒を用いて磨り潰しを行うことで、桃色へと色調変化することを確認した。
次に、この桃色粉末に365nmのUVライトを当てたところ、黄色に発光することが確認できた。なお、上記の各状態が繰り返し観測されることが確認できた。なお、本実施例において作製した色調変化および発光状態を映した写真図を図3(B)に示す。
《実施例5:TASN含有ポリマー(ポリスチレン)の調製》
下記反応式〔22〕の反応ルートに従い、TASN含有ポリマー(ポリスチレン)の調製を調製した。
反応容器にTASN-dialkyne74.1mg(94.9μmol)、別途準備したアジド基末端PS1.73g(0.209mmol)、DMF20.9mL、PMDETA198μL(0.950mmol)を加え、窒素バブリングを30分間行った。銅(0)48.3mg(0.760mmol)、臭化銅(I)27.2mg(0.190mmol)を素早く加え、窒素雰囲気下25℃にて3時間撹拌した後、大気開放して反応を停止した。THFにて希釈し、アルミナカラムを通し銅触媒を除去した後、溶媒を濃縮し、多量のメタノールに再沈殿させた。ろ別し、生じた沈殿物をシクロヘキサンに完全に溶解させた後、溶液が白濁するまでヘキサンを加え、0℃まで冷却した。溶液をデカンテーションし、沈殿物をTHFに溶解させた後、再度、多量のメタノールに再沈殿させた。生じた沈殿物を吸引ろ過にて回収し、減圧乾燥した。これを分取HPLCにより精製し、再度、多量のメタノールに再沈殿させた。吸引ろ過、減圧乾燥を行い、白色粉末を得た。収量は0.419g、収率は24%であった。1H-NMRを用いて構造解析を行った。1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ/ppm 1.44-1.45 (br, CH-Ph), 1.87 (br, CH2), 3.42-3.52 (m, OCH3), 5.03 (br, CH-N), 6.48-7.26 (br, aromatic).
なお、本実施例で測定を行った1H-NMRスペクトル測定の結果を図4(A)に示す。
TASNを有するポリスチレンを250mg作製し、乳鉢に入れ乳棒を用いて磨り潰しを行うことで、桃色へと色調変化することを確認した。また、この粉末20mgを用いて電子スピン共鳴測定を行ったところ、炭素ラジカルの発生が確認できた。図4(B)に電子スピン共鳴の結果を示す。
次に、この桃色粉末に365nmのUVライトを当てたところ、黄色から黄緑色に発光することが確認できた。なお、上記の各状態が繰り返し観測されることが確認できた。色調変化および発光状態を映した写真を図4(C)に示す。
本発明のメカノクロミック化合物及びメカノクロミック材料は、力学的刺激により安定なラジカル構造の発現を可能とし、そして蛍光発光を可能とする。すなわち、本発明のメカノクロミック化合物を含むメカノクロミック材料(メカノクロミック発光材料、又はメカノクロミック蛍光材料)は、その材料が受けた力学的刺激を、発光又は蛍光によって、可視的に且つ高感度に検出することができる。また、本発明のメカノクロミック材料は、力学センサー、又は材料の寿命予測に用いることができる。

Claims (9)

  1. 下記式〔1〕:
    で表される基本骨格を有するメカノクロミック化合物。
  2. ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリラクトン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリアセチレン、及びポリビニルからなる群から選択される繰り返し単位を有する、請求項1に記載のメカノクロミック化合物。
  3. 下記式〔2〕
    (式中、R、R、R、及びRの置換基の数はそれぞれのフェニル基において1〜5のいずれかであり、
    、R、R、及びRは、それぞれ独立して、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、シラン基、アルコキシシラン基、エポキシ基、アミノ基、アルデヒド基、アミド基、又はイソシアネート基であってもよく;
    、R、R、及びRの2つが一緒になって、単結合、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の2価の炭化水素基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基であってもよく;又は
    、R、R、又はRが、それぞれ2つ以上である場合、少なくとも2つの置換基が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の1〜3の芳香環、ヘテロ芳香環、炭素数3〜7のシクロアルキル環、又は炭素数3〜7のヘテロシクロアルキル環であってもよく、
    前記ヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、硫黄原子、リン原子、アルミニウム原子、又はセレン原子である)
    で表される請求項1に記載のメカノクロミック化合物。
  4. 下記式〔3〕:
    (式中、−X−(R)−Y又は−X−(R)−Yの置換基の数はそれぞれのフェニル基において1〜5のいずれかであり、Xは、それぞれ独立して、単結合又は分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立して、単結合又はポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリラクトン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリアセチレン、及びポリビニルからなる群から選択される繰り返し単位であり、Yは水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキニル基、アルケニル基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、シラン基、アルコキシシラン基、エポキシ基、アミノ基、アルデヒド基、アミド基、ハロゲン化アルキル基、及びイソシアネート基からなる群から選択される基であり、nはそれぞれ独立して1〜500の整数であってもよく、
    −X−(R)−Y及び−X−(R)−Yのいずれか2つが一緒になって、単結合、分子鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜40の2価の炭化水素基、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、アミド基(−CONH−)、第二級アミノ基、又はオキシカルボニル基であってもよく;又は
    −X−(R)−Y又は−X−(R)−Yが、それぞれのフェニル基において2つ以上である場合、2つの置換基が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換又は非置換の1〜3の芳香環、ヘテロ芳香環、炭素数3〜7のシクロアルキル環、又は炭素数3〜7のヘテロシクロアルキル環を形成してもよい)で表される化合物である、請求項2に記載のメカノクロミック化合物。
  5. 力学的刺激により発色及び/又は蛍光発光する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のメカノクロミック化合物。
  6. 前記力学的刺激が、圧縮、延伸、衝撃、せん断、粉砕、曲げ、摩擦、超音波、及びその2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載のメカノクロミック化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のメカノクロミック化合物を含む、メカノクロミック材料。
  8. 請求項7に記載のメカノクロミック材料に付与された力学的刺激を、発色及び/又は蛍光発光の変化を測定することにより検出する工程を含む、力学的刺激の検出方法。
  9. 前記力学的刺激が、圧縮、延伸、衝撃、せん断、粉砕、曲げ、摩擦、超音波、及びその2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の力学的刺激の検出方法。
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