JP2016210492A - ホット飲料容器用蓋材および包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホット飲料容器用蓋材3Aは、ホット飲料Cが内容物として充填された容器本体2Aの開口を覆うように該容器本体のフランジ部23に熱融着されるものであって、金属箔層301と、金属箔層の内面に接着積層されたシール材層302とを備えており、金属箔層の内面には、化成皮膜よりなる下地処理層304が予め形成されている。
【選択図】図2
Description
この明細書および特許請求の範囲において、「ホット飲料」とは、例えばコーヒー、紅茶、日本茶、レモネード、生姜湯、汁粉、甘酒、スープといった加温状態で販売される飲料を指すものとする。
しかしながら、金属缶を用いたホット飲料の包装体の場合、金属缶の熱伝導性が良いため、加温された状態では熱くなりすぎて手に持つのが困難なことがある上、重量が大きくなり、さらには、易廃棄性の点でも問題があった。
但し、ペットボトルを構成するポリエチレンテレフタレート樹脂は、酸素透過性を有するものであるため、加温によって内容物の酸化が促進され、品質が劣化してしまうおそれがある。
そのため、ホット飲料用ペットボトルでは、その厚みを通常のものよりも大きくしたり、酸素遮断層を設けたりして、加温に伴う内容物の品質の劣化を防止する措置がとられている。
しかしながら、ペットボトルの場合、上記のような手段によって酸素遮断性を高めるのは限定があり、また、遮光性も有していないことから、内容物の品質保持の面では十分とは言えなかった。
そして、下記の特許文献1には、ホット飲料容器として、上記のチルド飲料容器と同様に、カップ状の容器本体と、容器本体のフランジ部に熱融着される蓋材とで構成されたものが提案されている。
上記形態の容器によってホット飲料を充填包装した包装体によれば、容器本体が断熱性を有しているため、加温された状態で手に持っても熱くなく、また、軽量で、易廃棄性にも優れており、さらには、容器本体および蓋材の材料としてバリア性や遮光性を有するものを使用すれば、内容物の品質保持機能を高めることも可能となる。
上記1)のホット飲料容器用蓋材によれば、金属箔層の内面に予め形成された化成皮膜よりなる下地処理層により、加温に伴う金属箔層とシール材層との接着強度の低下が抑制されるので、それによって金属箔層とシール材層との間に剥離が発生するのを効果的に防止することができる。
図1および図2は、この発明の第1の実施形態を示すものである。
この実施形態に係る包装体(1A)は、コーヒー等のホット飲料(C)が内容物として充填された容器本体(2A)の開口を覆うように、該容器本体(2A)のフランジ部に蓋材(3A)を熱融着してなるものである。
容器本体(2A)の胴部(21)は、上方に向かって次第に径が大きくなるテーパ筒状をしている。
胴部(21)の下端縁に連なって設けられた底部(22)は、その外周部分が平坦状となされているとともに、それよりも内周部分が上方に向かって台状に隆起させられている。
フランジ部(23)は、胴部(21)の上端縁から径方向外方に向かってほぼ水平に突出させられている。
容器本体(2A)の材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。容器本体(2A)の成形は、例えば、真空成形や圧空成形によって行われるが、これらの方法に限定されるものではない。
アルミニウム箔の場合、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、また、軟質、硬質のいずれでもよいが、例えば、JIS H4160で分類されるA8021の焼鈍済のもの(O材)であれば、シワの発生も抑えられるので、好適に用いることができる。
金属箔層(301)の厚さは、6μm〜100μmであるのが好ましい。金属箔層(301)の厚さを6μm以上とすることで、金属箔を製造する際の圧延時あるいは熱融着時にピンホールや破れが発生するのを防止することができ、また、金属箔層(301)の厚さを100μm以下とすることで、重量増加および材料コストを抑制することができる。
化成皮膜は、金属箔の表面に化成処理を施すことによって形成される皮膜であり、好適には、金属箔の表面にクロメート処理、あるいは、ジルコニウム化合物を用いたノンクロム型化成処理を施すことによって形成される。
例えば、クロメート処理の場合は、脱脂処理を行った金属箔の表面に下記1)〜3)のいずれかの混合物の水溶液を塗工した後、乾燥させる。
1)リン酸と、クロム酸と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩のうちの少なくとも一方と、の混合物
2)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂のうちのいずれかと、クロム酸およびクロム(III)塩のうちの少なくとも一方と、の混合物
3)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂、フェノール系樹脂のうちのいずれかと、クロム酸およびクロム(III)塩のうちの少なくとも一方と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩のうちの少なくとも一方と、の混合物
化成皮膜は、クロム付着量として0.1〜50mg/m2の範囲が好ましく、特に2〜20mg/m2の範囲が好ましい。かかるクロム付着量の化成皮膜によって、加温による接着強度の低下を効果的に防止することができる。
なお、この発明の蓋材(3A)は、金属箔層(301)の内面(下面)のみならず、金属箔層(301)の外面(上面)にも、化成皮膜よりなる下地処理層を形成したものであってもよい。
シール材層(302)の材料としては、未延伸の熱可塑性樹脂フィルムが好適に用いられる。シール材層(302)として使用する未延伸熱可塑性樹脂フィルムの種類は、特に限定されるものではないが、耐内容物性およびヒートシール性の点で、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂や、これらの酸変性物またはアイオノマーで構成されたものが好ましい。ここで、オレフィン系共重合体樹脂としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)樹脂、エチレン・メタアクリル酸共重合体(EMMA)樹脂を例示することができる。また、ポリアミド樹脂フィルム(例えば12ナイロン樹脂フィルム)や、ポリイミド樹脂フィルムも、シール材層(302)として使用可能である。
シール材層(302)には、表面の滑り性を高めるために、滑剤および/または固体微粒子を配合することができる。
シール材層(302)の厚さは、20μm〜80μmに設定されるのが好ましい。シール材層(302)の厚さを20μm以上とすることで、ピンホールの発生を十分に防止することができ、また、シール材層(302)の厚さを80μm以下に設定することで、樹脂使用量を低減してコスト低減を図ることができる。中でも、シール材層(302)の厚さは、30μm〜50μmに設定されるのが特に好ましい。
なお、シール材層(302)は、単層であってもよいし、複層であってもよい。複層のシール材層(302)としては、ブロックポリプロピレン樹脂フィルムの両面にランダムポリプロピレン樹脂フィルムを積層した三層フィルムを例示することができる。
この実施形態の外側樹脂層(303A)は、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等のフィルムを金属箔層(301)の外面に接着積層することにより形成されている。上記フィルムとしては、延伸フィルムが好適に用いられる。中でも、耐熱性および強度の点で、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム、あるいはこれらを含む複層フィルムが好ましく、さらに、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムと二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムとが貼り合わされた複層フィルムを用いてもよい。ポリアミド樹脂フィルムの種類は、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロン樹脂フィルム、6,6ナイロン樹脂フィルム、MXDナイロン樹脂フィルム等が挙げられる。また、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムとしては、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム等が挙げられる。これらのフィルムをラミネートする場合、例えば、ドライラミネート法により接着剤を介して行われる。
外側樹脂層(303A)の厚さは、0.5μm〜38μmであるのが好ましい。外側樹脂層(303A)の厚さを0.5μm以上に設定することで、蓋材(3A)としての十分な強度を確保することができ、また、外側樹脂層(303A)の厚さを38μm以下に設定することで、熱融着性を損なうことなく、経済的に、断熱性、表面保護、意匠性等の機能を発現することができる。
これらの接着剤層(305)は、例えば、ポリウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリオレフィン樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤等により形成される。中でも、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステル−ウレタン樹脂、あるいは、ポリエーテル−ウレタン樹脂を含む接着剤を用いることが好ましい。
接着剤層(305)の厚さ(膜厚)は、それぞれ1〜15μm程度となされるが、密着性や成形性の向上を考慮すると、2〜5μmにすることが好ましい。
図3および図4は、この発明の第2の実施形態を示すものである。
この実施形態に係る包装体(1B)は、以下の点を除いて、図1および図2に示す第1の実施形態の包装体(1A)と同一である。
すなわち、第2の実施形態の包装体(1B)にあっては、容器本体(2B)が、金属箔層(201)、金属箔(201)の内面に積層された熱融着性樹脂層(202)、および金属箔(201)の外面に積層された耐熱性樹脂層(203)よりなる積層シート(200)をプレス成形することにより形成されている(図4参照)。積層シート(200)のプレス成形は、深絞り成形や張出し成形等の冷間成形により行われる。
容器本体(2B)の胴部(21)には、その上端近くの高さ位置に段差(211)が形成されており、この段差(211)よりも上方部分が、短円筒状となされ、段差(211)よりも下方部分が、底部(22)に向かって次第に径が小さくなるテーパ筒状となされているとともに、上下方向にのびる多数の稜線(212)が周方向に等間隔おきに形成されたほぼ正多角形の横断面を有するものとなされている。
また、容器本体(2B)のフランジ部(23)は、その先端縁部分(231)が横断面欠円形にカールさせられている。
上記の金属箔層(201)は、容器本体(2B)にバリア性、遮光性、熱伝導性等を付与するものであり、例えばアルミニウム箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔等によって構成されるが、好適には、アルミニウム箔が用いられる。さらに、熱伝導性、コスト等を考慮すると、JIS H4160で分類されるA8079、A8021、A3003等のアルミニウム箔であって、厚みが50〜200μmのものが適しており、特に、厚みが70〜150μmの範囲のものが、金属箔層(201)の材料として好ましい。
容器本体(2B)の内面(フランジ部(23)の上面を含む)を構成する熱融着性樹脂層(202)は、例えば熱融着性樹脂フィルムによって構成される。熱融着性樹脂フィルムには、厚さ10〜200μmのポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムが使用されるが、熱伝導性を考慮すると、厚みを20〜100μmにすることが好ましい。
容器本体(2B)の外面を構成する断熱性樹脂層(203)は、例えば金属箔層の外面に接着積層される耐熱性樹脂フィルムによって形成することができる。耐熱性樹脂フィルムとしては、厚さ12〜50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリブチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム等の汎用性の高いフィルムや、これらの複合材料が用いられる。
金属箔層(201)と熱融着性樹脂層(202)との接合、および金属箔層(201)と断熱性樹脂層(203)との接合は、それぞれ接着剤層(204)を介して行われる。接着剤層(204)には、二液硬化型のポリエステル−ポリウレタン樹脂系接着剤、またはポリエーテル−ポリウレタン樹脂系接着剤が用いられ、それぞれの厚さは1〜15μm程度となされるが、密着性や成形性の向上を考慮すると、厚さを2〜5μmにすることが好ましい。
具体的に言うと、蓋材(3B)は、そのシール材層(302)が易開封性樹脂フィルムによって形成されている。易開封性樹脂フィルムとしては、厚さ10〜200μm程度のポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム等の汎用性フィルム、またはこれらの複合フィルムが使用されるが、絶縁性や熱効率を考慮すると、厚みを20〜100μm程度にすることが好ましい。
また、図示は省略したが、蓋材(3B)には、その周縁部における周方向の一部から径方向外方に張り出しかつ蓋材(3B)を剥離開封する際に指で摘まれる摘み部が形成されている。
さらに、この実施形態では、蓋材(3B)の外側樹脂層(303B)が表面コート層によって形成されている。表面コート層は、例えば、エポキシ樹脂、硝化綿系樹脂、エポキシメラミン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等のコート用樹脂を溶媒に溶解または分散してなる塗布剤を、金属箔の表面に塗布して乾燥することにより形成される。
厚さ20μmのJIS H4160で分類されるA8021の焼鈍済みのアルミニウム合金箔の片面に、クロメート処理を施すことにより化成皮膜よりなる下地処理層を形成し、同下地処理層の表面に、二液硬化型のポリエステル−ポリウレタン樹脂系接着剤を塗布量3g/m2で塗布して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを貼り合わせるとともに、アルミニウム合金箔の他面に、二液硬化型のポリエステル−ポリウレタン樹脂系接着剤を塗布量3g/m2で塗布して、厚さ9μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを貼り合わせ、40℃の恒温槽にて3日間静置し、接着剤を養生させることにより、複合シートを作製し、これを実施例1のホット飲料容器用蓋材とした。
ラミネート強度の測定は、まず、複合シートから幅15mm、長さ100mmの短冊状にシートを切り出し、アルミニウム合金箔層と無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム層との間を50mm剥離した試料を作成した。次に、恒温槽付(株式会社島津製作所製TCR1W−200P)引張試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ MODEL AGS−X)を使用して、上記で作成した試料のアルミニウム合金箔層と無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム層の端を引張試験機の恒温槽内の上下のチャックに取り付けて、25℃、40℃、60℃の各雰囲気温度下でラミネート強度の測定を行った。結果を、表1に示す。
次に、ポリプロピレン樹脂を材料として真空成形されたカップ状の容器本体(図1参照)を作製した。容器本体のサイズは、口径(内径)65mm、容量220mlとした。
そして、上記実施例1,2および比較例1,2の各蓋材を、水160mlを充填した容器本体のフランジ部に熱融着して、各蓋材につき15個ずつ包装体を作製した。熱融着は、容器本体のフランジ部とこれに重ねられた蓋材の周縁部とを、180℃の熱板によって、90kgfの加圧力で1秒間加熱することにより行った。各包装体の容器本体内には、約60mlのヘッドスペースを設けた。
結果は、以下の表2に示す通りである。なお、表2中、分母は、総サンプル数を示し、分子は、蓋材に層間剥離が発生したサンプル数を示すものである。
これに対して、実施例1,2の蓋材を使用した包装体の場合、4日経過時点でも、蓋材に層間剥離の発生は確認されなかった。
(2A)(2B):容器本体
(23):フランジ部
(3A)(3B):蓋材
(301):金属箔層
(302):シール材層
(303):外側樹脂層
(304):下地処理層
(C):ホット飲料
Claims (4)
- ホット飲料が内容物として充填された容器本体の開口を覆うように該容器本体のフランジ部に熱融着される蓋材であって、金属箔層と、金属箔層の内面に接着積層されたシール材層とを備えており、金属箔層の内面に、化成皮膜よりなる下地処理層が予め形成されている、ホット飲料容器用蓋材。
- 化成皮膜が、金属箔の表面にクロメート処理またはジルコニウム化合物を用いたノンクロム型化成処理を施すことにより形成されている、請求項1記載のホット飲料容器用蓋材。
- 金属箔層の外面に積層された外側樹脂層を更に備えている、請求項1または2記載のホット飲料容器用蓋材。
- ホット飲料が内容物として充填された容器本体の開口を覆うように該容器本体のフランジ部に蓋材を熱融着してなり、蓋材が、請求項1〜3のいずれか1つに記載のホット飲料容器用蓋材よりなる、包装体。
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