JP2016209881A - ゼオライト触媒、ゼオライト触媒の製造方法および低級オレフィンの製造方法 - Google Patents

ゼオライト触媒、ゼオライト触媒の製造方法および低級オレフィンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に、できるだけ低温で反応が進行し、かつ、低級オレフィンとして、エチレンに対してプロピレンの収率を多くすることができ、さらに長寿命のゼオライト触媒を提供する。
【解決手段】このゼオライト触媒は、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に用いられる。ゼオライト触媒は、鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲とされている。このゼオライト触媒により、プロピレンの収率を高め、反応温度を下げ、触媒寿命の延長を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に用いられる低級オレフィン製造用のゼオライト触媒、このゼオライト触媒の製造方法およびこのゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造方法に関する。
石油化学における重要な基礎原料である低級オレフィン(エチレンやプロピレン)は今後とも堅調な需要が見込まれており、現在は主としてナフサのスチームクラッキング法により製造されている。しかしながら、この方法は無触媒であるために分解には800〜900℃の高温を要し、大量のエネルギーを要するプロセスとなっている。
また、上記技術の主生成物はエチレンであり、プロピレンは副生成物であることから(生成比率はエチレン/プロピレン=2/1でほぼ固定される)、プロピレンの需要拡大に対して供給が追いつかない状況となる可能性がある。以上の観点から、プロピレンをナフサ原料から高い収率で生成する低エネルギー消費型の代替プロセスが強く望まれている。
現在、ZSM−5(Al−MFI型ゼオライト)に代表されるゼオライト系の固体酸触媒を用いるナフサ接触分解法の研究開発が活発に展開されている。
例えば、ゼオライト系の固体酸触媒として、MFI構造を有するZSM−5と、ベントナイト等の層状化合物、二酸化珪素、五酸化リン、酸化アルミ、酸化ホウ素を含む原料混合物の架橋反応を水中で行い、架橋化された生成物を含有する水性スラリーを製造し、この水性スラリーをペレット化して固体酸触媒としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この固体酸触媒を用いて、例えば、フルレンジナフサから低級オレフィン(軽質オレフィン)としてエチレン、プロピレンを製造することが提案されている。
特表2008−512236号公報
ところで、ゼオライト系の固体酸触媒を用いても、高いプロピレン収率を得るためには、650℃程度の依然として高い温度が必要である。また、触媒寿命に関しても、固定床プロセスに適用しうるレベルにある触媒系は見出されていないのが現状である。
触媒寿命が短い原因としては、コーク生成に伴う触媒劣化が挙げられる。
また、低級オレフィン製造時のコーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成量が問題になり、芳香族炭化水素の生成を抑制することが長い寿命を持つゼオライト系触媒の開発において重要な鍵となる。
また、ゼオライト系の固体酸触媒を用いたナフサからの低級オレフィンの製造においては、原料になるナフサを希釈剤を加えて希釈して用いる方法と、希釈剤を加えずに無希釈で用いる方法とが考えられ、希釈した方が低級オレフィンの収率を高められる可能性があるが、原料が希釈されるため、高い収率で低級オレフィンを得るのに適したLHSV(Liquid Hourly Space Velocity:液空間速度)は、無希釈の場合より小さくなり、反応器のサイズが大きくなる虞がある。
また、希釈剤としては、例えば、不活性ガスとしての窒素、アルゴンガスや、水蒸気(スチーム)を用いることが考えらえる。水蒸気には、生産物からの分離が容易で、コーク生成の原因となる芳香族炭化水素の生成を抑制する効果がある。しかし、スチームは、脱アルミニウム現象(水蒸気下に晒されることでゼオライト骨格中のアルミニウム元素が脱離し構造が崩壊する)による再生不可能な触媒劣化を引き起しやすくなるという問題がある。
実生産においては、原料を希釈するか否かを決める必要があるが、希釈、無希釈のいずれが選択されても、それぞれの状況に最適な触媒が求められることになる。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に、できるだけ低温で反応が進行し、かつ、低級オレフィンとして、エチレンに対してプロピレンの収率を多くすることができ、さらに長寿命のゼオライト触媒を提供するとともに、このゼオライト触媒の製造方法およびこのゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のゼオライト触媒は、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に用いられる低級オレフィン製造用のゼオライト触媒であって、鉄を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲であることを特徴とする。
このような構成によれば、ライトナフサ等から低級オレフィンを製造する際に用いられるゼオライト触媒が、鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲であることにより、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
固体酸触媒としてのMFI型の結晶性アルミノシリケートに加えることにより、酸強度を弱める作用を持つ鉄元素のモル数の組成比を0.4〜0.7の範囲とすることにより上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
上述のような作用効果を得るためには、鉄元素のモル数の組成比を0.4〜0.7の範囲とする必要がある。すなわち、鉄元素の前記組成比が0.4より小さい場合または0.7より大きい場合には、上述の比較的低い温度でのプロプレンの生産量が減少したり、エチレンとプロピレンとを合わせた低級オレフィンの生産量が減少したり、芳香族炭化水素の生産量が増加したりする虞がある。特に、MFI型の結晶性アルミノシリケートに鉄元素を含むことにより、酸強度を低下させて、芳香族炭化水素の生成を抑制することができる。
なお、ナフサ(フルレンジナフサ)とは、原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね35〜180(200)℃程度のものである。このナフサのうち沸点範囲が35〜80(100)℃程度のものをライト(軽質)ナフサといい、沸点範囲が80(100)〜180(200)℃程度のものをヘビー(重質)ナフサという。また、ライトナフサは、炭素数5のペンタンおよび炭素数6のヘキサンを主成分とする留分に相当する。
また、低沸点炭化水素原料とは、基本的にはライトナフサであるが、例えば、一部ヘビーナフサを含んでいたり、フルレンジナフサであったりしてもよい。また、低沸点炭化水素原料は、ナフサ以外であってもよく、例えば、石油以外の天然ガスやその他の炭化水素材料で、基本的にライトナフサ相当の留分であればよい。
低級オレフィンとは、炭素数の少ないオレフィンとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブテンや、それ以上の炭素数(例えば炭素数5から炭素数8等)のオレフィンを含むように定義される場合があるが、ここでは、低級オレフィンとは、炭素数2のエチレンと、炭素数3のプロピレンを含むものである。
MFI型とは、ゼオライトの骨格構造を示す構造コードの一つであり、MFI型は、例えば、アルミノシリケートであるZSM−5を含むものである。構造コートは、国際ゼオライト学会によりデータベース化されており、アルファベット大文字3個からなる。この構造コードは、ゼオライトの骨格の幾何構造のみを指定するものであり、組成や格子定数が異なっても幾何構造が等しければ同じ構造コードに含まれる。
結晶性アルミノシリケートにおける後述の酸密度は、例えば、アルミニウム元素のモル数に対する珪素元素のモル数の組成比、すなわち、珪素元素(Si)/アルミニウム元素(Al)であり、本発明では、分母に鉄元素または鉄元素とガリウム元素がさらに含まれることになる。なお、結晶性アルミノシリケートに含まれるアルミニウム元素および鉄元素、または、アルミニウム元素、鉄元素およびガリウム元素のモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての値が小さくなる場合に、酸量が多くなり、前記値が大きくなる場合に、酸量が少なくなる。
本発明の上記構成において、不活性ガスおよび/または水蒸気で希釈された前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する際に用いられ、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が12.0〜45.0の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、低沸点炭化水素原料として、不活性ガスおよび/または水蒸気を希釈剤として希釈して用いる場合に、酸密度を12.0〜45.0の範囲内とすることにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。また、希釈剤として水蒸気を用いた場合には、水蒸気によってコーク生成を原因とする触媒劣化が抑制されるが、水蒸気による上述の脱アルミニウム現象による触媒劣化の虞がある。それに対して、上述の鉄元素のモル数の組成比の範囲内とし、かつ、上述の酸密度の範囲内とすることにより触媒劣化を抑制できる。なお、不活性ガスは、例えば、窒素ガスや、アルゴンガスである。
また、本発明の上記構成において、無希釈の前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する際に用いられ、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が75.0〜200.0の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、低沸点炭化水素原料として、無希釈の原料を用いる場合に、酸密度を75.0〜200.0の範囲内とすることにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
また、本発明の上記構成において、鉄元素に加えてガリウムを含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.2〜0.6の範囲で、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対するガリウム元素のモル数の組成比が0.1〜0.4の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、酸強度を弱める作用を有する鉄元素に加えて、炭化水素原料(アルカン)の脱水素を促進する作用を有するガリウム元素をMFI型の結晶性アルミノシリケートに含ませ、かつ、鉄元素のモル数の前記組成比が0.2〜0.6の範囲で、ガリウム元素のモル数の前記組成比が0.1〜0.4の範囲であることにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
また、本発明の上記構成において、不活性ガスおよび/または水蒸気で希釈された前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する際に用いられ、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が12.0〜40.0の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、不活性ガスおよび/または水蒸気で希釈された前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する場合に、酸密度が12.0〜40.0の範囲であることにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。また、希釈剤として水蒸気を用いた場合に、上述のように脱アルミニウム現象によると思われる触媒劣化を抑制できる。
また、本発明の上記構成において、無希釈の前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する際に用いられ、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が75.0〜200.0の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、無希釈の前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する場合に、酸密度が75.0〜200.0の範囲であることにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
また、本発明の上記構成において、水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含む製造方法により製造されると共に、前記水熱合成工程において合成する二次粒子の平均粒子サイズを0.25〜1.0μmの範囲として製造されることが好ましい。
このような構成によれば、水熱合成工程において合成する鉄元素または鉄元素とガリウム元素を含む結晶性アルミノシリケートの二次粒子の平均粒子サイズ(平均粒径)を0.25〜1.0μmとすること、特に、1.0μm以下の平均粒径にすることにより、例えば、コーク等による触媒劣化を抑制し、触媒の長寿命化を図ることができる。なお、2次粒子とは、水熱合成反応後の生成物を分離、水洗浄、乾燥、焼成等のステップを経て得られた結晶性アルミノシリケートの粒子である。
また、本発明の上記構成において、水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含む製造方法により製造されると共に、前記イオン交換工程を前記成形化工程の後に行なう製造方法により製造されることが好ましい。
このような構成によれば、イオン交換工程を成形化工程の後に行なうことにより、このゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造において、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制できる。また、成形後のゼオライト触媒の方が、水熱合成工程で得られた粒子より取扱が容易である。特に、請求項7に示す2次粒子のように径の小さい粒子を取り扱うより、成形後の比較的大きなゼオライト触媒の方が明らかに取り扱いが容易である。したがって、イオン化工程の作業の簡便化を図ることができる。
また、本発明は、上記構成のゼオライト触媒の製造方法であって、水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含み、前記水熱合成工程において合成する二次粒子の平均粒子サイズを0.25〜1.0μmの範囲とすることを特徴とする。
このような構成によれば、二次粒子の平均粒子サイズを0.25〜1.0μmの範囲とすることにより、触媒劣化を抑制し、触媒の長寿命化を図ることができる。
また、本発明は、上記構成のゼオライト触媒の製造方法であって、水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含み、前記イオン交換工程を前記成形化工程の後に行なうことを特徴とする。
このような構成によれば、上述のように、イオン化工程の作業の簡便化を図り、かつ、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制できる。
また、本発明は、上記構成のゼオライト触媒を用いて炭化水素原料から低級オレフィンを製造する低級オレフィンの製造方法であって、前記ゼオライト触媒の存在下で、前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを生成する反応が525℃〜575℃の反応温度領域で進行することを特徴とする。
このような構成によれば、本発明の上述のゼオライト触媒を用いて低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造することにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィン、特にプロピレンを製造することができる。
本発明のゼオライト触媒によれば、比較的低い反応温度で、低沸点炭化水素原料から低級オレフィンとして主にプロピレンの生成を促進することができ、かつ、ゼオライト触媒の劣化を抑制して触媒寿命を長くすることができる。
本発明の第1実施の形態の実施例における実験結果を説明するためのグラフである。 本発明の第2実施の形態の実施例における実験結果を説明するためのグラフである。 本発明の第3実施の形態の実施例における実験結果を説明するためのグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
この実施の形態においては、プロピレン等の低級オレフィンを効率的に製造するためのゼオライト触媒と、このゼオライト触媒の製造方法と、このゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造方法を説明する。
また、低級オレフィンの原料としてのライトナフサが希釈剤で希釈される場合と、希釈されない無希釈の場合とに実施の形態を分けるとともに、希釈の場合に希釈剤として不活性ガスである窒素ガスを用いた場合と、水蒸気を用いた場合とに実施の形態を分けて説明する。
以下の説明では、第1実施の形態において原料としてのライトナフサを窒素ガスで希釈して用いる場合に好適なゼオライト触媒(ゼオライト触媒の製造方法、低級オレフィンの製造方法)について説明し、第2実施の形態において原料としてのライトナフサを水蒸気で希釈して用いる場合に好適なゼオライト触媒(ゼオライト触媒の製造方法、低級オレフィンの製造方法)について説明し、第3実施の形態では原料としてのライトナフサを希釈すること無しで用いる場合に好適なゼオライト触媒(ゼオライト触媒の製造方法、低級オレフィンの製造方法)について説明する。
まず、第1実施の形態を説明する。
このゼオライト触媒は、鉄元素(Fe)を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであり、かつ、希釈剤として窒素ガス(不活性ガス)を用いた条件下での低級オレフィンの製造に適するように製造された触媒である。また、この実施の形態のゼオライト触媒は、結合剤(バインダー)との成形により得られる複合体であることが好ましい。
また、このゼオライト触媒には、酸強度を抑える鉄元素(Fe)に加えて、アルカンの脱水素反応の促進作用を有するガリウム元素(Ga)を含む結晶性アルミノシリケートであるMFI型ゼオライト触媒が含まれる。
鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒において、鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+アルミニウム元素(Al)))が0.4〜0.7であることが好ましく、さらに、0.4〜0.6であることがより好ましい。
また、鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素(Si)/(鉄元素+アルミニウム元素)元素比)は、12.0〜30.0であることが好ましく、さらに、12.0〜25.0であることがより好ましい。なお、元素比とは、上述の各元素のモル数による組成比である。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型ゼオライト触媒において、鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.2〜0.6であることが好ましく、さらに、0.3〜0.5であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒において、ガリウム元素の元素モル組成(ガリウム元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.1〜0.4であることが好ましく、さらに0.2〜0.4であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素)元素比)は、12.0〜40.0であることが好ましく、さらに、12.0〜35.0であることがより好ましい
また、ゼオライト触媒は、水熱合成工程、成形化工程、イオン交換工程を含む製造方法により製造される。この際に、成形化工程後にイオン交換工程が行われることが好ましい。また、水熱合成工程で合成される2次粒子の平均径は、0.25〜1.0μmであることが好ましく、さらに、0.30〜0.9μmであることがより好ましい。
上述のように、鉄元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるこの実施の形態のゼオライト触媒を用いることにより、鉄元素の含有量と酸密度とから酸強度を調整することができ、さらに、ガリウム元素を加えることにより、アルカンの脱水素の促進作用を向上することができる。
これにより、上述の鉄元素のモル数の上述の組成比、ガリウム元素のモル数の組成比、酸密度を上述の範囲とすることにより、例えば、525℃〜575℃の範囲内の反応温度で、プロピレンの収率を向上できるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭素の生成を抑制できる。
このような固体酸触媒(ゼオライト触媒)としてのゼオライトは、大別して、1.水熱合成工程、2.イオン交換工程、3.成形化工程の3工程を経て製造される。
1.水熱合成工程
「水熱合成法」とは、高温高圧の水の存在下にて行われる物質の合成法の総称であり、結晶性アルミノシリケートとしての多くのゼオライトはこの水熱合成法にて合成される。合成する際に使用する原料としては、シリカ源(珪酸ナトリウム、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなど)、アルミナ源(水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムなど)、構造規定剤(アミン等)、鉱化剤(アルカリ金属の水酸化物など)、水などが一般的である。
この実施の形態のゼオライト触媒では、原料に鉄源(例えば、硝酸鉄)が加えられる。さらにガリウム源(例えば、硝酸ガリウム)を加えることが好ましい。なお、上述のようにガリウム源をMFI型結晶性アルミノシリケートの原料に加えるのではなく、結合剤に担持させるものとしてもよい。
これらを混合して反応性の高い非晶質のヒドロゲル(母ゲル)を調製し、耐圧性反応器であるオートクレーブに充填して150〜250℃程度で所定時間加熱することでゼオライトが合成される。水熱合成反応後は、生成物の分離、水洗浄、乾燥、焼成(構造規定剤を分解除去するために行う)等のステップを経て粉末状のゼオライトを得る。
なお、上述の原料は、珪素源である微細なシリカとして粒子サイズが8〜11nmのコロイダルシリカとpH調整用の水酸化ナトリウム(NaOH)とからなる母液ゲルAと、アルミニウム源としてのAl(SO)−nHO,ガリウム源としてのGa(NO−nHO,鉄源としてのFe(NO−nHOと、構造規定剤としての臭化テトラプロピルアンモニウム(TPrABr)を含む母液ゲルBとを作成する。なお、構造規定剤としてのTPrABrの添加量を低減することが好ましい。
次に、これら母液Aと母液Bとを撹拌混合する(例えば、15分)。これにより、反応性の高い非晶質のヒドロゲルが調製される。次に、混合撹拌された母液ゲルを熟成する(たとえば、60℃で一晩)。次に上述の水熱合成として、120℃〜150℃で、かつ、150rpm〜300rpmの回転速度で撹拌する。すなわち、高温高圧化での結晶化を行う。但し、反応温度としては、比較的低温であり、低温で核成長させることにより、粗大粒子の生成を抑制している。また、撹拌速度としては、比較的高速であり、核発生量を多くしている。この条件で例えば24時間撹拌して結晶を得る。得られた結晶は水洗浄を行い、脱水は遠心分離により行う。その後、結晶を例えば120℃で3時間乾燥するとともに、550℃で3時間焼成してTPrABrを除去する。なお、ガリウムを含まない場合には、母液ゲルBにガリウム源を添加しない。
2.イオン交換工程
ゼオライトを触媒として利用する化学反応の多くは、固体酸としての性質を利用したものであり、この酸としての性質はゼオライトに酸性のOH基(ブレンステッド酸点)を導入することで発現する。
この酸性質を発現させるため、一般的にイオン交換反応が適用される。通常、水熱合成法により得られたゼオライトは、電荷のバランスを保つためにナトリウムカチオン(Na)を含有しているが、これをイオン交換させることでプロトン(H)に置換えている。なお、一旦、NHNO溶液によりアンモニウムイオン(NH )でイオン交換し、さらに乾燥、焼成してアンモニアを除去することでプロトン(H)に変換する方法をとることもある。
3.成形化工程
一般的にゼオライトを触媒として工業的に使用する場合、機械的性質の向上や圧力損失の低減といった観点から、円筒状などに成形加工して使用されることが多い。本工程は、主としてアルミナ粉末などの結合剤(バインダー)との混練、成形化、乾燥、焼成などのステップを含む。なお、成形化においては、例えば、押し出し成形法などが用いられる。
例えば、上述の水熱合成工程(または、イオン交換工程)を経て得られた粉末状ゼオライトにアルミナ(酸化アルミニウム)をバインダーとして添加し、混錬、成形(例えば、φ1.0mmの細い円柱状や円筒状)した後に、例えば、120℃で3時間乾燥する。その後に、550℃で3時間焼成して、上述の鉄元素(およびガリウム元素)を含むMFI型ゼオライトと酸化アルミニウムとの複合体としてのゼオライト触媒を得ることができる。なお、イオン交換工程後に成形化工程を行っても、成形化工程後にイオン交換工程を行ってもよいが、成形化工程後にイオン交換工程を行うことが好ましい。
成形化工程後にイオン交換工程を行った場合に、このゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造において、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制できる。また、水熱合成工程の粉末状の結晶性アルミノシリケートより成形化工程後の成形されたゼオライト触媒の方が取り扱いが容易であり、イオン交換工程の作業性を向上できる。
このようなゼオライト触媒を用いて、例えばライトナフサから低級オレフィンを製造する製造方法としては、炭化水素原料を希釈剤としての窒素で希釈した状態で反応器に供給する。すなわち、炭化水素原料を窒素の共存下で触媒に接触させて反応させる。また、上述のゼオライト触媒を反応器内に固定床として配置し、反応器内に供給される原料ガスを、ゼオライト触媒に接触させながら通過させる方法が用いられる。この際に、525℃〜575℃好ましくは540℃〜575℃の穏和な温度領域で反応を進行させ、エチレンおよびプロピレンを生成する。
このようなゼオライト触媒、ゼオライト触媒の製造方法および低級オレフィンの製造方法にあっては、525〜575℃程度の低温域での省エネルギー型−ナフサ接触分解法によるプロピレン製造を実現することができる。また、比較的低温で反応が進行することから、熱源には太陽熱等の再生可能エネルギーや各種の未利用排熱を利用することができるという利点がある。また、この実施の形態のゼオライト触媒は、窒素共存下においても安定に作用し、芳香族化合物の選択性を著しく低下させる(芳香族化合物の生成を抑制する)ため、コーク生成に伴う触媒劣化を大幅に抑制することができる。
次に、第2実施の形態を説明する。
この実施の形態のゼオライト触媒は、酸密度を抑えた鉄元素(Fe)を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであり、かつ、希釈剤として水蒸気(スチーム)を用いた条件下での低級オレフィンの製造に適するように製造された触媒である。また、このゼオライト触媒は、結合剤(バインダー)との成形により得られる複合体であることが好ましい。この場合に、結合剤にガリウム元素が担持され、複合体にガリウム元素が含まれていてもよい。
また、このゼオライト触媒には、酸強度を抑える鉄元素(Fe)に加えて、アルカンの脱水素反応の促進作用を有するガリウム元素(Ga)を含む結晶性アルミノシリケートであるMFI型ゼオライト触媒が含まれる。
鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒において、鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+アルミニウム元素(Al)))は、0.5〜0.6であることが好ましい。
また、鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素(Si)/(鉄元素+アルミニウム元素)元素比)は、25.0〜45.0であることが好ましい。なお、元素比とは、上述の各元素のモル数による組成比である。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型ゼオライト触媒において、鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.2〜0.6であることが好ましく、さらに、0.3〜0.5であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒において、ガリウム元素の元素モル組成(ガリウム元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.1〜0.4であることが好ましく、さらに0.2〜0.4であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素)元素比)は、25.0〜40.0であることが好ましく、さらに、25.0〜35.0であることが好ましい。
上述のように、鉄元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるこの実施の形態のゼオライト触媒を用いることにより、鉄元素の含有量と酸密度とから酸強度を調整することができ、さらに、ガリウム元素を加えることにより、アルカンの脱水素の促進作用を向上することができる。
これにより、上述の鉄元素のモル数の上述の組成比、ガリウム元素のモル数の組成比、酸密度を上述の範囲とすることにより、例えば、525℃〜575℃の範囲内の反応温度で、プロピレンの収率を向上できるとともに、水蒸気共存下であることによる脱アルミニウム現象によると思われる触媒劣化を抑制することができる。
なお、上述のようにガリウムを結合剤に担持させて焼成する場合には、ガリウム元素のモル数の組成比を、上述のガリウム元素を含むゼオライト触媒の場合と略同様にすることが好ましい。なお、この場合にアルミニウムのモル数には、結合剤のアルミナを含まない。
このような固体酸触媒(ゼオライト触媒)としてのゼオライトは、第1実施の形態と略同様に、1.水熱合成工程、2.イオン交換工程、3.成形化工程の3工程を経て製造される。
この実施の形態のゼオライト触媒では、原料に鉄源(例えば、硝酸鉄)が加えられる。さらにガリウム源(例えば、硝酸ガリウム)を加えることが好ましい。なお、上述のようにガリウム源をMFI型結晶性アルミノシリケートの原料に加えるのではなく、結合剤に担持させるものとしてもよい。
このようなゼオライト触媒を用いて、例えばライトナフサから低級オレフィンを製造する製造方法としては、炭化水素原料を希釈剤としての水蒸気で希釈した状態で反応器に供給する。すなわち、炭化水素原料を水蒸気の共存下で触媒に接触させて反応させる。また、上述のゼオライト触媒を反応器内に固定床として配置し、反応器内に供給される原料ガスを、ゼオライト触媒に接触させながら通過させる方法が用いられる。この際に、525℃〜575℃好ましくは540℃〜575℃の穏和な温度領域で反応を進行させ、エチレンおよびプロピレンを生成する。
このようなゼオライト触媒、ゼオライト触媒の製造方法および低級オレフィンの製造方法にあっては、525〜575℃程度の低温域での省エネルギー型−ナフサ接触分解法によるプロピレン製造を実現することができる。また、比較的低温で反応が進行することから、熱源には太陽熱等の再生可能エネルギーや各種の未利用排熱を利用することができるという利点がある。また、この実施の形態のゼオライト触媒は、スチーム共存下においても安定に作用し、芳香族化合物の選択性を著しく低下させる(芳香族化合物の生成を抑制する)ため、コーク生成に伴う触媒劣化を大幅に抑制することができる。
次に、第3実施の形態を説明する。
この実施の形態のゼオライト触媒は、酸密度を抑えた鉄元素(Fe)を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであり、かつ、希釈剤(例えば、スチームおよび/または不活性ガス等)を使用しない無希釈の条件下での低級オレフィンの製造に適するように製造された触媒である。また、この実施の形態のゼオライト触媒は、結合剤(バインダー)との成形により得られる複合体であることが好ましい。
また、このゼオライト触媒には、酸強度を抑える鉄元素(Fe)に加えて、アルカンの脱水素反応の促進作用を有するガリウム元素(Ga)を含む結晶性アルミノシリケートであるMFI型ゼオライト触媒が含まれる。
この鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒の鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+アルミニウム元素(Al)))が0.4〜0.7であることが好ましく、さらに0.4〜0.6であることがより好ましい。
また、鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素(Si)/(鉄元素+アルミニウム元素)元素比)は、75.0〜200.0であることが好ましく、さらに、80.0〜200.0、であることがより好ましい。なお、元素比とは、上述の各元素のモル数による組成比である。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型ゼオライト触媒において、鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.2〜0.6であることが好ましく、さらに、0.3〜0.5であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒において、ガリウム元素の元素モル組成(ガリウム元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.1〜0.4であることが好ましく、さらに0.2〜0.4であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素)元素比)は、75.0〜200.0であることが好ましく、さらに、80.0〜200.0であることがより好ましい。
上述のように、鉄元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるこの実施の形態のゼオライト触媒を用いることにより、鉄元素の含有量と酸密度とから酸強度を調整することができ、さらに、ガリウム元素を加えることにより、アルカンの脱水素作用を向上することができる。
これにより、上述の鉄元素のモル数の上述の組成比、ガリウム元素のモル数の組成比、酸密度を上述の範囲とすることにより、例えば、525℃〜575℃の範囲内の反応温度で、プロピレンの収率を向上できるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭素の生成を抑制できる。
特に、酸密度を上述のように、75.0以上とすることにより、プロピレンの生成を促進し、かつ、芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、酸密度を上述のように200.0以下とすることにより、プロピレンの生成が抑制されるのを防止できる。
このような固体酸触媒(ゼオライト触媒)としてのゼオライトは、第1実施の形態と同様に、1.水熱合成工程、2.イオン交換工程、3.成形化工程の3工程を経て製造される。
このようなゼオライト触媒を用いて、例えばライトナフサから低級オレフィンを製造する製造方法としては、炭化水素原料を水蒸気(スチーム)や不活性ガス(例えば、アルゴンガスや窒素ガス)等の希釈剤で希釈せずに無希釈の状態で反応器に供給する。また、上述のゼオライト触媒を反応器内に固定床として配置し、反応器内に供給される原料ガスを、ゼオライト触媒に接触させながら通過させる方法が用いられる。この際に、525℃〜575℃好ましくは540℃〜575℃の穏和な温度領域で反応を進行させ、エチレンおよびプロピレンを生成する。
このようなゼオライト触媒、ゼオライト触媒の製造方法および低級オレフィンの製造方法にあっては、525〜575℃程度の低温域での省エネルギー型−ナフサ接触分解法によるプロピレン製造を実現することができる。また、比較的低温で反応が進行することから、熱源には太陽熱等の再生可能エネルギーや各種の未利用排熱を利用することができるという利点がある。また、炭化水素原料のみを供給することで、希釈剤共存下に比べて高いLHSV領域にて反応が進行するため、空時収率が向上しコンパクトな反応器設計が可能になる。すなわち、希釈することによる原料ガスの体積増加がなく、反応設備をコンパクトにすることができる。
なお、第1実施の形態および第2実施の形態の場合のように、ライトナフサ等の原料を希釈する場合、複数の不活性ガスを混合して用いたり、不活性ガスと水蒸気とを混合して用いたりしてもよい。
したがって、ライトナフサ等の原料を不活性ガスで希釈する場合と、水蒸気で希釈する場合とで実施の形態を分けたが、原料を希釈しない無希釈の場合に対して、原料を希釈する場合とすることができる。
原料を不活性ガスおよび/または水蒸気で希釈する場合に、鉄元素を含みガリウム元素を含まないゼオライト触媒において、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が12.0〜45.0の範囲であることが好ましい。
次に、本発明の第1の実施例を説明する。
第1の実施例は、上述の第1実施の形態に対応するもので、以下の表1〜表7に示す実施例1〜8と、比較例1〜2とになるゼオライト触媒を実験的に製造し、製造された実施例1〜8のゼオライト触媒と、比較例1〜2のゼオライト触媒を用いて低級オレフィンの製造を行った。
実施例1のゼオライト触媒は鉄元素とガリウム元素の両方を含む上述の実施の形態のゼオライト触媒であり、実施例2のゼオライト触媒は、鉄元素を含みガリウム元素を含まない上述の実施の形態のゼオライト触媒である。
また、比較例1のゼオライト触媒は、鉄元素、ガリウム元素等の元素を含まない例えばZSM−5と同様のゼオライト触媒であり、比較例2のゼオライト触媒は、鉄元素を含まずガリウム元素を含むゼオライト触媒である。また、これら実施例1,2および比較例1,2のゼオライト触媒は、結合剤を加えての焼成を行っておらず、成形化工程を行わずにイオン化工程を行ったものである。
また、実施例3のゼオライト触媒は、結合剤を加えて焼成したものであるが、成形化工程の前にイオン化工程を行ったものであり、実施例4のゼオライト触媒は、結合剤を加えて焼成したものであるが、成形化工程の後にイオン化工程を行ったものである。
実施例5と実施例6のゼオライト触媒は、ガリウム元素を含む実施例4のゼオライト触媒に対して酸密度を変えたものである。また、実施例7のゼオライト触媒は、実施例4のゼオライト触媒と略同様であるが、酸密度を40.0より大きくしたものである。また、実施例8のゼオライト触媒は、実施例6のゼオライト触媒と略同様であるが、水熱工程時の結晶性アルミノシリケートの2次粒子の平均粒径を上述の1.0μmより大きくしている。
以下に、実施例1〜8と、比較例1〜2を説明する。
Figure 2016209881
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(実施例1)
実施例1におけるFeGaAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:2.99gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム・n水和物;1.52g、硝酸ガリウム・n水和物:0.88g、硝酸鉄・9水和物:1.96g、臭化テトラプロピルアンモニウム:9.29g、水:186.3gからなる溶液をB液とした。A液とB液を室温で攪拌しながら徐々に混合した後、さらにミキサー中で15分間激しく攪拌した。
この混合溶液を60℃に保温して一晩静置した後、オートクレーブ中にて自己圧力下、150℃、24時間、300rpmの条件下で水熱合成反応を行った。冷却後、精製水により十分に洗浄した(固形物と水溶液の分離には遠心分離機を使用した)。その後、120℃で3時間乾燥、空気気流中にて550℃で3時間焼成することで、Fe、Ga、Alを含有するNa型のMFIゼオライト(以下、FeGaAl−MFIゼオライトと略記)を合成した。また、このゼオライトの元素モル組成と2次粒子としての平均粒子径を、蛍光X線分析とレーザー散乱/回折分析によりそれぞれ評価した。
上記のNa型FeGaAl−MFIゼオライトに、沸騰還流下での2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液によるイオン交換とそれに続く水洗浄を4回施した後(1回当りのイオン交換は2時間とし、毎回新しい2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液と入れ替えた)、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、プロトン型のFeGaAl−MFIゼオライトとした。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=19.4(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3、平均粒子径は0.38μmとなった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のプロトン型FeGaAl−MFIゼオライトを錠剤成形した後、粉砕、整粒したものを性能評価用の触媒試料とした。反応試験はn−ヘキサンの接触分解反応を固定床流通式反応装置にて行った。
触媒1.0mLを、内径8.0mmのステンレス反応管(SUS316製)に触媒層の層高が約20mmとなるように充填し、触媒層の前後にガラスウールを、さらにその前後にガラスビーズを充填した。
反応条件は、反応温度550℃(触媒層の温度が550℃に達するまで1時間かけて窒素気流中で昇温させた)、全圧0.1MPa、n−ヘキサン流量を0.65g/h(n−ヘキサン基準のLHSV(Liquid Hourly Space Velocity:液空間速度)1.0h−1)、窒素流量を2.55NL/h(N/n−ヘキサン=15mol/mol)として、n−ヘキサン接触分解反応を5時間行った。
反応生成物は1時間毎にガスクロマトグラフィー分析を行い、原料転化率(wt%)および低級オレフィン(エチレン、プロピレン)と芳香族炭化水素の収率(wt%)を求め、触媒性能の指標とした。反応開始5時間後の結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例2におけるFeAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
硫酸アルミニウム・n水和物:2.28g、硝酸鉄・9水和物:1.96g、臭化テトラプロピルアンモニウム:9.29g、水:186.2gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、プロトン型のFeAl−MFIゼオライトを合成した。このFeAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Al)=19.4(酸密度)、Fe/(Fe+Al)=0.5、Al/(Fe+Al)=0.5、平均粒子径は0.46μmとなった(表1参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト触媒の性能評価試験方法を説明する。
実施例1と全く同様の方法で、FeAl−MFIゼオライトの触媒性能を評価した。反応開始5時間後の結果を表2に示す。
(比較例1)
比較例1におけるAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
硫酸アルミニウム・n水和物:3.80g、臭化テトラプロピルアンモニウム:9.29g、水:186.4gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、プロトン型のAl−MFIゼオライトを合成した。このAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/Al=20.0、平均粒子径は0.90μmとなった(表1参照)。
次に、Al−MFIゼオライト触媒の性能評価試験方法を説明する。
実施例1と全く同様のやり方で、Al−MFIゼオライトの触媒性能を評価した。反応開始5時間後の結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例2におけるGaAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
硫酸アルミニウム・n水和物:3.04g、硝酸ガリウム・n水和物:0.88g、臭化テトラプロピルアンモニウム:9.29g、水:186.3gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、プロトン型のGaAl−MFIゼオライトを合成した。このGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Ga+Al)=20.3(酸密度)、Ga/(Ga+Al)=0.3、Al/(Ga+Al)=0.7、平均粒子径は0.94μmとなった(表1参照)。
次に、GaAl−MFIゼオライト触媒の性能評価試験方法を説明する。
実施例1と全く同様の方法で、GaAl−MFIゼオライトの触媒性能を評価した。反応開始5時間後の結果を表2に示す。
表2から明らかなように、従来型のZSM−5(Al−MFIゼオライト、比較例1)に比べて、酸強度を弱める作用を持つ鉄とアルカンの脱水素を促進する作用を持つガリウムの両方を含むFeGaAl−MFIゼオライトでは、プロピレンの収率が大幅に向上しかつ芳香族炭化水素の生成が抑制された(実施例1)。また、鉄を含むFeAl−MFIゼオライトにおいても顕著なプロピレン収率の向上と芳香族の生成抑制が確認された(実施例2)。
一方、ガリウムを含むGaAl−MFIゼオライト(比較例2)では、芳香族炭化水素の生成が優先的に起こり、プロピレン収率は最も低い値となった。なお、実施例1〜2および比較例1〜2の触媒試料については、5時間の範囲内で反応転化率の低下(コーク生成等による触媒の劣化)は観測されなかった。
(実施例3)
実施例3におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
実施例1の粉末状のプロトン型FeGaAl−MFIゼオライト(含水率4.0wt%)とアルミナ粉末(日揮触媒化成株式会社、カタロイド(登録商標)AP−1、Al含有率71.7wt%)に精製水を適量加えながら混練し、塊状のゼオライト/アルミナ混合物とした後、押し出し成形器にて円筒状の複合体(1.0mmφ)を得た。この複合体を、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、FeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒とした。
本触媒の重量組成は、蛍光X線分析によりゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表3参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始5時間後の本試料の結果を表4に示す。
(実施例4)
実施例4におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合体の調製方法を説明する。
実施例1の粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライトとアルミナ粉末を用いて、実施例3と同様の方法によって成形化し、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。複合体とした後、イオン交換をすることでFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒を調製した。イオン交換は実施例1と全く同様の方法にて実施した。
本触媒の重量組成は、蛍光X線分析によりゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表3参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始5時間後の本試料の結果を表4に示す。
一般的にゼオライト系触媒を工業的に使用する場合、機械的性質の向上や圧力損失の低減といった観点から、結合剤(バインダー)と混合し、成形化して使用されることが多いため、本発明では一例として、アルミナバインダーにより押し出し成形化した触媒試料の性能を検討した。表4には、FeGaAl−MFIゼオライトが単独で与える触媒性能(実施例1)と、アルミナと複合化した試料(実施例3および4)の触媒性能が対比して示されている。
成形複合化した触媒試料では、原料転化率、プロピレン収率、プロピレンの空時収率(本発明では、単位重量当りのゼオライトが単位時間に生成可能なプロピレンの重量として定義した。本発明で行った反応試験では、充填した触媒の容積を1.0mLに統一しているため、触媒中に含まれるゼオライト重量は実施例3および4の方が実施例1よりも少なくなる。)は、ゼオライト単独の場合と比べて高い値が得られた。
また、Na型ゼオライトの状態で一旦成形化してからプロトン型に変換した試料(実施例4)の方が、粉末状でプロトン型に変換した後に成形化した試料(実施例3)よりも芳香族炭化水素の収率が低く抑えられるとともに、調製操作もより簡便であることから、押し出し成形化した後でイオン交換をする調製方法(実施例4)がより好ましいこともわかった。
これらの結果から、FeGaAl−MFIゼオライトはアルミナバインダーと成形・複合化しても優れた触媒性能を有することが明らかとなった。なお、実施例3および実施例4における触媒試料について、5時間の範囲内で反応転化率の低下(コーク生成等による触媒の劣化)は観測されなかった。
(実施例5)
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=31.3)/アルミナ複合体の調製方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:2.25gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム・n水和物:0.76g、硝酸ガリウム・n水和物:0.44g、硝酸鉄・9水和物;0.98g、臭化テトラプロピルアンモニウム:4.65g、水:187.2gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
さらに、この粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライトとアルミナ粉末を用いて、実施例4と同様の方法によって成形化し、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。
複合体とした後、イオン交換をすることでFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒を調製した。イオン交換は実施例1と全く同様の方法にて実施した。FeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=31.3(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3、平均粒子径は0.81μm、複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表5参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=31.3)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始5時間後の本試料の結果を表6に示す。
(実施例6)
実施例6におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=12.0)/アルミナ複合体の調製方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:3.98gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム・n水和物:2.54g、硝酸ガリウム・n水和物:1.46g、硝酸鉄・9水和物:3.26g、臭化テトラプロピルアンモニウム:15.49g、水:185.1gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
さらに、この粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライトとアルミナ粉末を用いて、実施例4と同様の方法によって成形化し、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。複合体とした後、イオン交換をすることでFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒を調製した。
イオン交換は実施例1と全く同様の方法にて実施した。FeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=12.0、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3、平均粒子径は0.57μm、複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表5参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=12.0)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、反応時間を24時間とした以外は実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始5時間後の本試料の結果を表6に示す。また、反応転化率の24時間の経時変化を図1に示す。
(実施例7)
実施例7におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=50.1)/アルミナ複合体の調製方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:2.00gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム・n水和物:0.51g、硝酸ガリウム・n水和物:0.29g、硝酸鉄・9水和物:0.65g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.10g、水:187.5gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
さらに、この粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライトとアルミナ粉末を用いて、実施例4と同様の方法によって成形化し、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。
複合体とした後、イオン交換をすることでFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒を調製した。イオン交換は実施例1と全く同様の方法にて実施した。FeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=50.1、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3、平均粒子径は0.90μm、複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表5参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=50.1)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始5時間後の本試料の結果を表6に示す。
(実施例8)
次に、マイクロサイズ・FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=11.8(酸密度))/アルミナ複合体の調製方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:3.98gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム・n水和物:2.54g、硝酸ガリウム・n水和物:1.46g、硝酸鉄・9水和物:3.26g、臭化テトラプロピルアンモニウム:30.98g、水:185.1gからなる溶液をB液とした。A液とB液を室温で攪拌しながら徐々に混合した後、さらにミキサー中で15分間激しく攪拌した後、直ちにオートクレーブ中にて自己圧力下、180℃、24時間、150rpmの条件下で水熱合成反応を行った。冷却後、精製水により十分に洗浄した(固形物と水溶液の分離には濾過装置を使用した)。
その後、120℃で3時間乾燥、空気気流中にて550℃で3時間焼成することで、Fe、Ga、Alを含有するNa型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。また、このゼオライトの2次粒子としての平均粒子径をレーザー散乱/回折装置にて評価した。
さらに、この粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライトとアルミナ粉末を用いて、実施例4と同様の方法によって成形化し、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。複合体とした後、イオン交換をすることでFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒を調製した。
イオン交換は実施例1と全く同様の方法にて実施した。FeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=11.8、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3、平均粒子径は6.3μm、複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表7参照)。
次に、マイクロサイズ・FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=11.8)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応転化率の5時間の経時変化を図1に示す。
表6には、実施例4におけるFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒を基準として(ゼオライトの元素モル組成Si/(Fe+Ga+Al)=19.4(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3、複合触媒の重量組成ゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%)、酸密度を変化させたゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=12.0、31.3、50.1、Fe/Ga/Al比は0.4/0.3/0.3に固定)とアルミナとの複合触媒(実施例5〜7)の性能が対比して示されている。
Si/(Fe+Ga+Al)が12.0〜31.3の範囲内では、プロピレンは20wt%以上の高い収率で得られ(実施例4〜6)、Si/(Fe+Ga+Al)=12.0の試料では31.2wt%もの高い値に達した。
なお、本発明の実施例中で示した合成方法では、Si/(Fe+Ga+Al)が12.0よりも小さい(酸量が更に多い)MFI型ゼオライトは合成できず、Si/(Fe+Ga+Al)=50.1とした触媒試料では、酸密度の低下により反応転化率およびプロピレン収率は各々37wt%、15wt%程度にまで低下したことから、高プロピレン収率を与えるFeGaAl−MFIゼオライトの酸密度Si/(Fe+Ga+Al)は12.0〜31.3程度であることがわかった。
さらに、実施例1,2,5,6におけるゼオライトは、2次粒子としての平均径が1.0μm以下にまで微細化されたゼオライト粒子となっており、実施例6のFeGaAl−MFIゼオライトでは570nm程度の平均径を持つ(表7参照)。この試料を用いて長時間反応試験を行ったところ、触媒性能は24時間以上持続された(図1参照)。
一方、表7に示すように、合成条件を変えて、組成は微細化ゼオライトとほぼ同一として粒子径をマイクロサイズ(6.3μm)にまで粗大化したゼオライトでは、初期の反応転化率は微細化ゼオライト(実施例6)と同程度であったが、数時間で急激に性能が低下することが観測された(図1参照)。ゼオライト粒子を微細化することで有効に作用する細孔の割合が増加し、コーク生成・堆積による劣化に対して優れた耐久性を有していることが確認された。
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
第2の実施例は、上述の第2実施の形態に対応するもので、以下の表8および表9に示す実施例1〜3と、比較例1とになるゼオライト触媒を実験的に製造し、製造された実施例1〜3のゼオライト触媒と、比較例1のゼオライト触媒を用いて低級オレフィンの製造を行った。実施例1は、鉄元素を含みガリウム元素を含まない上述の第2実施の形態のゼオライト触媒であり、実施例2は、鉄元素とガリウム元素の両方を含む上述の第2実施の形態のゼオライト触媒であり、実施例3は、鉄元素を含みガリウム元素を含まないMFI型結晶性アルミノシリケートに結合剤としてのアルミナにガリウム元素を担持させたものを用いた上述の第2実施の形態のゼオライト触媒である。
Figure 2016209881
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なお、実施例1から実施例3はそれぞれ、結合剤を用いて焼成した複合体としてのゼオライト触媒である。また、実施例2のゼオライト触媒の結晶性アルミノシリケートに含まれる鉄元素のモル数、ガリウム元素のモル数およびアルミニウム元素のモル数の和となるモル数と、実施例3の結晶性アルミノシリケートに含まれる鉄元素のモル数とアルミニウム元素のモル数(結合剤中のアルミニウム元素は含まない)との和に、結合剤に含まれるガリウム元素のモル数を加算したモル数とが略等しくなっている。
比較例1は、鉄元素もガリウム元素も含まれないMFI型結晶性アルミノシリケート(例えば,Al−MFI型ゼオライトであるZSM−5である)。
以下に、各実施例および比較例を説明する。
(実施例1)
実施例1におけるFeAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:2.25gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム・n水和物:1.14g、硝酸鉄・9水和物:0.98g、臭化テトラプロピルアンモニウム:4.65g、水:187.1gからなる溶液をB液とした。
A液とB液を室温で攪拌しながら徐々に混合した後、さらにミキサー中で15分間激しく攪拌した。この混合溶液を60℃に保温して一晩静置した後、オートクレーブ中にて自己圧力下、150℃、24時間、300rpmの条件下で水熱合成反応を行った。冷却後、精製水により十分に洗浄した(固形物と水溶液の分離には遠心分離機を使用した)。
その後、120℃で3時間乾燥、空気気流中にて550℃で3時間焼成することで、Fe、Alを含有する粉末状のNa型のMFIゼオライト(以下、FeAl−MFIゼオライトと略記)を合成した。このゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Al)=30.5、Fe/(Fe+Al)=0.5、Al/(Fe+Al)=0.5となった(表8参
照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeAl−MFIゼオライト(含水率4.0wt%)とアルミナ粉末(日揮触媒化成株式会社、カタロイド(登録商標)AP−1、Al含有率71.7wt%)に精製水を適量加えながら混練し、塊状のゼオライト/アルミナ混合物とした後、押し出し成形器にて円筒状(1.0mmφ)に加工し、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、FeAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。
この複合体に、沸騰還流下での2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液によるイオン交換とそれに続く水洗浄を4回施した後(1回当りのイオン交換は2時間とし、毎回新しい2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液と入れ替えた)、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、プロトン型のFeAl−MFIゼオライト/複合触媒とした。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表8参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とした。反応試験はn−ヘキサンの接触分解反応を固定床流通式反応装置にて行った。触媒1.0mLを、内径8.0mmのステンレス反応管(SUS316製)に触媒層の層高が約20mmとなるように充填し、触媒層の前後にガラスウールを、さらにその前後にガラスビーズを充填した。
反応条件は、反応温度550℃、全圧0.1MPa、n−ヘキサン流量を1.31g/h(n−ヘキサン基準のLHSV(Liquid Hourly Space Velocity:液空間速度)2.0h−1)、精製水流量を1.37g/h(HO/n−ヘキサン=5mol/mol)として、スチーム共存下でのn−ヘキサン接触分解反応を5時間行った。反応生成物は一定時間毎にガスクロマトグラフィー分析を行い、反応転化率(wt%)および低級オレフィン(エチレン、プロピレン)と芳香族炭化水素の収率(wt%)を求め、触媒性能の指標とした。反応開始1.5時間後の触媒性能を表9に示し、また反応転化率の経時変化を図2に示す。
(実施例2)
実施例2におけるFeGaAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
硫酸アルミニウム・n水和物:0.76g、硝酸ガリウム・n水和物:0.44g、硝酸鉄・9水和物:0.98g、臭化テトラプロピルアンモニウム:4.65g、水:187.2gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、粉末状のNa型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成は、Si/(Fe+Ga+Al)=31.3(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表8参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライトとアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法により成形化・イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表8参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。上述の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始1.5時間後の触媒性能を表9に示し、また反応転化率の経時変化を図2に示す。
(実施例3)
実施例3におけるFeAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
硫酸アルミニウム・n水和物:0.76g、硝酸鉄・9水和物:0.98g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.26g、水:187.2gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、粉末状のNa型のFeAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Al)=44.7(酸密度)、Fe/(Fe+Al)=0.57、Al/(Fe+Al)=0.43と
なった(表8参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト/ガリウム含有アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeAl−MFIゼオライトと予めガリウムを担持させたアルミナ粉末を用いて(本実施例でのガリウム含有量は、実施例2のFeGaAl−MFIゼオライト中に含まれるGaと同一とし、実施例2のゼオライト成分中に含まれる総(Fe+Ga+Al)モル数≒本実施例のゼオライト中に含まれる総(Fe+Al)モル数とアルミナバインダー中に含まれるGaモル数の合計となるように調製した)、実施例1と全く同様の方法により成形化・イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeAl−MFIゼオライト/ガリウム含有アルミナ複合触媒を得た。
この複合触媒の重量組成はゼオライト/(ガリウム+アルミナ)=65wt%/35wt%となった(表8参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト/ガリウム含有アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeAl−MFIゼオライト/ガリウム含有アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始1.5時間後の触媒性能を表9に示し、また反応転化率の経時変化を図2に示す。
(比較例1)
比較例1におけるAl−MFIゼオライトの合成方法を説明する。
硫酸アルミニウム・n水和物:1.90g、臭化テトラプロピルアンモニウム:4.65g、水:187.2gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のAl−MFIゼオライトを合成した。このAl−MFIゼオライトの元素モル組成は、Si/Al=30.7となった(表8参照)。
次に、Al−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型のAl−MFIゼオライトとアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法により成形化・イオン交換し、円筒状のプロトン型のAl−MFIゼオライト/複合触媒を得た。
この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表8参照)。
次に、Al−MFIゼオライト/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始1.5時間後の触媒性能を表9に示し、また反応転化率の経時変化を図2に示す。
次に、表9および図2を参照して実験結果について説明する。
表9に示されるように、水蒸気の存在下では芳香族炭化水素の生成は抑制されたものの、従来型のAl−MFIゼオライト(比較例1)については、図2の経時変化から明らかなように、数時間で触媒の劣化が観測され、水蒸気下での触媒の安定性に問題があることがわかった。芳香族炭化水素の収率は2wt%以下に低減されているため、コーク生成による劣化よりも、水蒸気雰囲気下特有の脱アルミニウム現象に伴うゼオライト構造の崩壊・劣化の可能性が高いことが示唆される。
一方、酸強度を弱める作用を持つ鉄を含むFeAl−MFIゼオライト(実施例1)、酸強度を弱める作用を持つ鉄とアルカンの脱水素を促進する作用を持つガリウムの両方を含むFeGaAl−MFIゼオライト(実施例2および実施例3)では、プロピレンの収率が向上するだけでなく、水蒸気下であっても触媒性能が安定して維持されることが確認された(図2参照)。
また、実施例2の試料については、プロピレンの空時収率(本発明では、単位重量当り
のゼオライトが単位時間に生成可能なプロピレンの重量として定義した。用いる希釈剤の種類により最適な反応条件が異なるため、触媒性能を評価するための一つの基準として採用した)は約0.78(g−プロピレン/g−ゼオライト・h)となり、窒素共存下において本試料が示す2倍近くの値となった。さらに、実施例2と実施例3の比較からわかるように(表9参照)、ガリウムについては、ゼオライト中に含有されていても結合剤に含有されていてもプロピレン収率と安定性の向上については同程度の効果があることも併せて確認された。
次に、本発明の第3の実施例を説明する。
第3の実施例は、上述の第3実施の形態に対応するもので、以下の表10および表11に示す実施例1〜4と、実施例5,6とになるゼオライト触媒を実験的に製造し、製造された実施例1〜4のゼオライト触媒と、実施例5,6のゼオライト触媒を用いて低級オレフィンの製造を行った。実施例1〜実施例3は、鉄元素とガリウム元素の両方を含む上述の実施の形態のゼオライト触媒であり、表10および表11に示すように、それぞれ異なる酸密度が設定されている。
Figure 2016209881
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実施例4は、ガリウム元素を含まず鉄元素を含む上述の実施の形態のゼオライト触媒である。なお、表10および表11における実施例1〜実施例4の全ての組成の記載の分母中にGaが含まれているが、実施例4に関しては、全てGaを0としている。
実施例5は、酸密度の値が75.0より小さくなっている。すなわち、実施例5は、酸密度が実施例1〜4より高くなっている。また、実施例6は、酸密度の値が200.0より大きくなっている。すなわち、実施例6は、酸密度が実施例1〜4より低くなっている。
以下に、各実施例を説明する。
(実施例1)
実施例1におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.76gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.25g、硝酸ガリウム−n水和物:0.15g、硝酸鉄−9水和物:0.33g、臭化テトラプロピルアンモニウム:4.13g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした。A液とB液を室温で攪拌しながら徐々に混合した後、さらにミキサー中で15分間激しく攪拌した。
この混合溶液を60℃に保温して一晩静置した後、オートクレーブ中にて自己圧力下、150℃、72時間、300rpmの条件下で水熱合成反応を行った。
冷却後、精製水により十分に洗浄した(固形物と水溶液の分離には遠心分離機を使用した)。
その後、120℃で3時間乾燥、空気気流中にて550℃で3時間焼成することで、Fe、Ga、Alを含有する粉末状のNa型のMFIゼオライト(以下、FeGaAl−MFIゼオライトと略記)を合成した。このゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=92.9(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上述の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(含水率4.0wt%)とアルミナ粉末(日揮触媒化成株式会社、カタロイド(登録商標)AP−1、Al含有率71.7wt%)に精製水を適量加えながら混練し、塊状のゼオライト/アルミナ混合物とした後、押し出し成形器にて円筒状(1.0mmφ)に加工し、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、FeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。
この複合体に、沸騰還流下での2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液によるイオン交換とそれに続く水洗浄を4回施した後(1回当りのイオン交換は2時間とし、毎回新しい2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液と入れ替えた)、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、プロトン(H)型のFeGaAl−MFIゼオライト/複合触媒とした。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9)/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とした。反応試験はn−ヘキサンの接触分解反応を固定床流通式反応装置にて行った。
触媒2.0mLを、内径12.575mmのステンレス反応管(SUS316世)に触媒層の層高が約20mmとなるように充填し、触媒層の前後にガラスウールを、さらにその前後にガラスビーズを充填した。反応条件は、反応温度565℃、全圧0.1MPa、n−ヘキサン流量を6.5g/h(n−ヘキサン基準のLHSV:5.0h−1)として、n−ヘキサン接触分解反応を24時間行った。反応生成物は反応を開始してから24時間後にガスクロマトグラフィー分析を行い、原料転化率(wt%)および低級オレフィン(エチレン、プロピレン)と芳香族炭化水素の収率(wt%)を求め、触媒性能の指標とした。表11に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
(実施例2)
実施例2におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.69gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.19g、硝酸ガリウム−n水和物:0.11g、硝酸鉄−9水和物:0.24g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.10g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=121.3(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上述の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、反応時間を80時間とした以外は実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表11に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。また、図3に本試料のエチレン、プロピレン収率についての80時間の経時変化を示す。
(実施例3)
実施例3におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.58gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.08g、硝酸ガリウム−n水和物:0.04g、硝酸鉄−9水和物:0.10g、臭化テトラプロピルアンモニウム:2.48g、精製水:188.0gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成は、Si/(Fe+Ga+Al)=177.5(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表10参照)。
次にFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表11に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
(実施例4)
実施例4におけるFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.69gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.29g、硝酸鉄−9水和物:0.24g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.10g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Al)=123.1(酸密度)、Fe/(Fe+Al)=0.5、Al/(Fe+Al)=0.5となった(表10参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表10参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、反応時間を50時間とした以外は実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表11に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。また、図3に本試料のエチレン、プロピレン収率についての50時間の経時変化を示す。
(実施例5)
実施例5におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO:30.6wt%、NaO:0.4wt%、HO:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:2.99gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:1.52g、硝酸ガリウム−n水和物:0.88g、硝酸鉄−9水和物:1.96g、臭化テトラプロピルアンモニウム:9.29g、精製水:186.3gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成は、Si/(Fe+Ga+Al)=19.4(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。反応開始24時間後の本試料の結果を表11に示す。
(実施例6)
実施例6におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7(酸密度))の合成方法を説明する。
フュームドシリカ:18.39g(アエロジル200、SiO:98.0wt%、HO:2.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.93g、精製水:114.1gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.08g、硝酸ガリウム−n水和物:0.04g、硝酸鉄−9水和物:0.10g、臭化テトラプロピルアンモニウム:2.48g、精製水:114.1gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=472.7、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表10参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表11に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
このような実施例1〜4と実施例5、6の実験結果を説明する。
高い酸密度(元素モル組成Si/(Fe+Ga+Al)=19.4、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3)を持つFeGaAl−MFIゼオライトとアルミナとの複合触媒(実施例5)は、希釈剤としての窒素共存下ではn−ヘキサン原料から高い収率でプロピレンを与えるものの(表11参照)、本発明中で行った希釈剤なしの反応条件下では、プロピレン収率は半分以下となってしまい、芳香族炭化水素の生成が優先的に進行することがわかった。
一方、実施例1〜3のように低い酸密度のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9、121.3、177.5、Fe/Ga/Al比は0.4/0.3/0.3に固定)とアルミナとの複合触媒では、酸密度を減らすにつれて原料転化率は低下していくものの、芳香族炭化水素の生成が抑制されて低級オレフィンへの選択性が向上した(表11参照)。
実施例2の試料(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)では、見かけのプロピレン収率は約18wt%まで向上した。空時収率(本発明では、単位重量当りのゼオライトが単位時間に生成可能なプロピレンの重量として定義した。希釈剤としての窒素の有無により最適な反応条件が異なるため、触媒性能を評価するための一つの基準として採用した)は約1.1(g−プロピレン/g−ゼオライト・h)となり、窒素共存下における2倍近くの値となった。
さらに、実施例2と同程度の酸密度を持つFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)とアルミナとの複合触媒(実施例4)も、同程度の高いプロピレン収率を与えることがわかった(表11参照)。なお、Si/(Fe+Ga+Al)=472.7とした実施例6での試料では、酸密度の低下により反応転化率およびプロピレン収率は各々39.5wt%、8.7wt%程度にまで低下した。
以上から、炭化水素原料のみを供給して接触分解反応を行った場合には、酸密度をある範囲内において低減したFeGaAl−MFIゼオライトあるいはFeAl−MFIゼオライトは、高いプロピレン収率を与えることがわかった。高いプロピレン収率を与えた実施例2および実施例4の試料を用いて長時間反応試験を行ったところ、触媒性能は50〜80時間程度持続され(図3参照)、コーク生成・堆積による劣化に対して優れた耐久性を有していることが確認された。

Claims (6)

  1. 沸点範囲が35〜200℃の低沸点炭化水素原料から、芳香族炭化水素の生成を抑制しつつ、炭素数2〜4の低級オレフィンを生成する反応を525℃〜575℃の反応温度領域で進行させる前記低級オレフィン製造用のゼオライト触媒であって、
    鉄源、珪素源およびアルミニウム源が水熱合成された状態で骨格に鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲である、
    ことを特徴とするゼオライト触媒。
  2. 請求項1に記載のゼオライト触媒であって、
    不活性ガスおよび/または水蒸気で希釈された前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する際に用いられ、
    鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が12.0〜45.0の範囲である、
    ことを特徴とするゼオライト触媒。
  3. 請求項1に記載のゼオライト触媒であって、
    無希釈の前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを製造する際に用いられ、
    鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が75.0〜200.0の範囲である、
    ことを特徴とするゼオライト触媒。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法であって、
    水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含み、
    前記水熱合成工程において合成する二次粒子の平均粒子サイズを0.25〜1.0μmの範囲とする、
    ことを特徴とするゼオライト触媒の製造方法。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法であって、
    水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含み、
    前記イオン交換工程を前記成形化工程の後に行なう、
    ことを特徴とするゼオライト触媒の製造方法。
  6. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゼオライト触媒を用いて低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する低級オレフィンの製造方法であって、
    前記ゼオライト触媒の存在下で、前記低沸点炭化水素原料から前記低級オレフィンを生成する反応が525℃〜575℃の反応温度領域で進行する、
    ことを特徴とする低級オレフィンの製造方法。
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