JP2014024006A - ゼオライト触媒、ゼオライト触媒の製造方法および低級オレフィンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に、できるだけ低温で反応が進行し、かつ、低級オレフィンとして、エチレンに対してプロピレンの収率を多くすることができ、さらに長寿命のゼオライト触媒を提供する。
【解決手段】このゼオライト触媒は、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料を無希釈で供給して低級オレフィンを製造する際に用いられる。ゼオライト触媒は、鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲とされている。このゼオライト触媒により、プロピレンの収率を高め、反応温度を下げ、触媒寿命の延長を図ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】このゼオライト触媒は、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料を無希釈で供給して低級オレフィンを製造する際に用いられる。ゼオライト触媒は、鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲とされている。このゼオライト触媒により、プロピレンの収率を高め、反応温度を下げ、触媒寿命の延長を図ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に用いられる低級オレフィン製造用のゼオライト触媒、このゼオライト触媒の製造方法およびこのゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造方法に関する。
石油化学における重要な基礎原料である低級オレフィン(エチレンやプロピレン)は今後とも堅調な需要が見込まれており、現在は主としてナフサのスチームクラッキング法により製造されている。しかしながら、この方法は無触媒であるために分解には800〜900℃の高温を要し、大量のエネルギーを要するプロセスとなっている。
また、上記技術の主生成物はエチレンであり、プロピレンは副生成物であることから(生成比率はエチレン/プロピレン=2/1でほぼ固定される)、プロピレンの需要拡大に対して供給が追いつかない状況となる可能性がある。以上の観点から、プロピレンをナフサ原料から高い収率で生成する低エネルギー消費型の代替プロセスが強く望まれている。
現在、ZSM−5(Al−MFI型ゼオライト)に代表されるゼオライト系の固体酸触媒を用いるナフサ接触分解法の研究開発が活発に展開されている。
例えば、ゼオライト系の固体酸触媒として、MFI構造を有するZSM−5と、ベントナイト等の層状化合物、二酸化珪素、五酸化リン、酸化アルミ、酸化ホウ素を含む原料混合物の架橋反応を水中で行い、架橋化された生成物を含有する水性スラリーを製造し、この水性スラリーをペレット化して固体酸触媒としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、この固体酸触媒を用いて、例えば、フルレンジナフサから低級オレフィン(軽質オレフィン)としてエチレン、プロピレンを製造することが提案されている。
例えば、ゼオライト系の固体酸触媒として、MFI構造を有するZSM−5と、ベントナイト等の層状化合物、二酸化珪素、五酸化リン、酸化アルミ、酸化ホウ素を含む原料混合物の架橋反応を水中で行い、架橋化された生成物を含有する水性スラリーを製造し、この水性スラリーをペレット化して固体酸触媒としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、この固体酸触媒を用いて、例えば、フルレンジナフサから低級オレフィン(軽質オレフィン)としてエチレン、プロピレンを製造することが提案されている。
ところで、ゼオライト系の固体酸触媒を用いても、高いプロピレン収率を得るためには、650℃程度の依然として高い温度が必要である。また、触媒寿命に関しても、固定床プロセスに適用しうるレベルにある触媒系は見出されていないのが現状である。
触媒寿命が短い原因としては、コーク生成に伴う触媒劣化が挙げられる。この触媒劣化の抑制には、原料の炭化水素に希釈剤としてのスチームを供給する手法が挙げられるが、スチーム供給はエネルギーのロスにつながるだけでなく、脱アルミニウム現象(水蒸気下に晒されることでゼオライト骨格中のアルミニウム元素が脱離し構造が崩壊する)による再生不可能な触媒劣化を引き起しやすくなるため、スチーム供給をしないナフサ接触分解法が確立されることが望ましい。
また、低級オレフィン製造時のコーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成量が問題になり、芳香族炭化水素の生成を抑制することが望まれている。
また、低級オレフィン製造時のコーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成量が問題になり、芳香族炭化水素の生成を抑制することが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に、できるだけ低温で反応が進行し、かつ、低級オレフィンとして、エチレンに対してプロピレンの収率を多くすることができ、さらに長寿命のゼオライト触媒を提供するとともに、このゼオライト触媒の製造方法およびこのゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のゼオライト触媒は、ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料を無希釈で供給して低級オレフィンを製造する際に用いられる低級オレフィン製造用のゼオライト触媒であって、鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲であることを特徴とする。
このような構成によれば、ライトナフサ等から低級オレフィンを製造する際に用いられるゼオライト触媒が、鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲であることにより、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
低沸点炭化水素材料として水蒸気や不活性ガス等の希釈剤で希釈されていない無希釈の原料を用いて上述のような作用効果を得るためには、鉄元素のモル数の組成比を0.4〜0.7の範囲とする必要がある。すなわち、鉄元素の前記組成比が0.4より小さい場合または0.7より大きい場合には、上述の比較的低い温度でのプロプレンの生産量が減少したり、エチレンとプロピレンとを合わせた低級オレフィンの生産量が減少したり、芳香族炭化水素の生産量が増加したりする虞がある。
特に、MFI型の結晶性アルミノシリケートに鉄元素を含むことにより、酸強度を低下させて、芳香族炭化水素の生成を抑制することができる。
なお、ナフサ(フルレンジナフサ)とは、原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね35〜180(200)℃程度のものである。このナフサのうち沸点範囲が35〜80(100)℃程度のものをライト(軽質)ナフサといい、沸点範囲が80(100)〜180(200)℃程度のものをヘビー(重質)ナフサという。また、ライトナフサは、炭素数5のペンタンおよび炭素数6のヘキサンを主成分とする留分に相当する。
また、低沸点炭化水素原料とは、基本的にはライトナフサであるが、例えば、一部ヘビーナフサを含んでいたり、フルレンジナフサであったりしてもよい。また、低沸点炭化水素原料は、ナフサ以外であってもよく、例えば、石油以外の天然ガスやその他の炭化水素材料で、基本的にライトナフサ相当の留分であればよい。
低級オレフィンとは、炭素数の少ないオレフィンとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブテンや、それ以上の炭素数(例えば炭素数5から炭素数8等)のオレフィンを含むように定義される場合があるが、ここでは、低級オレフィンとは、炭素数2のエチレンと、炭素数3のプロピレンを含むものである。
MFI型とは、ゼオライトの骨格構造を示す構造コードの1つであり、MFI型は、例えば、結晶性アルミノシリケートであるZSM−5を含むものである。構造コートは、国際ゼオライト学会によりデータベース化されており、アルファベット大文字3個からなる。この構造コードは、ゼオライトの骨格の幾何構造のみを指定するものであり、組成や格子定数が異なっても幾何構造が等しければ同じ構造コードに含まれる。
結晶性アルミノシリケートにおける後述の酸密度は、例えば、アルミニウム元素のモル数に対する珪素元素のモル数の組成比、すなわち、珪素元素(Si)/アルミニウム元素(Al)であり、本発明では、分母に鉄元素または鉄元素とガリウム元素がさらに含まれることになる。なお、結晶性アルミノシリケートに含まれるアルミニウム元素および鉄元素、または、アルミニウム元素、鉄元素およびガリウム元素のモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての値が小さくなる場合に、酸量が多くなり、前記値が大きくなる場合に、酸量が少なくなる。
本発明の上記構成において、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が75.0〜200.0の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、酸密度を75.0〜200.0の範囲内とすることにより、上述のように、無希釈の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
また、本発明の上記構成において、鉄元素に加えてガリウム元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.2〜0.6の範囲で、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対するガリウム元素のモル数の組成比が0.1〜0.4の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、酸強度を弱める作用を有する鉄元素に加えて、炭化水素原料(アルカン)の脱水素を促進する作用を有するガリウム元素をMFI型のアルミノシリケートに含ませ、かつ、鉄元素のモル数の前記組成比が0.2〜0.6の範囲で、ガリウム元素のモル数の前記組成比が0.1〜0.4の範囲であることにより、上述のように、無希釈の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する際に、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
また、本発明の上記構成において、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が75.0〜200.0の範囲であることが好ましい。
このような構成によれば、酸密度が75.0〜200.0の範囲であることにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィンを製造することができる。
また、本発明は、上記構成のゼオライト触媒の製造方法であって、水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含むことを特徴とする。
このような構成によれば、上述の作用効果を有する本発明の上述のゼオライト触媒を製造することができる。
また、本発明は、上記構成のゼオライト触媒を用いて炭化水素原料から低級オレフィンを製造する低級オレフィンの製造方法であって、無希釈の前記低沸点炭化水素原料を供給し、前記ゼオライト触媒の存在下で、前記低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを生成する反応が525℃〜575℃の反応温度領域で進行することを特徴とする。
このような構成によれば、本発明の上述のゼオライト触媒を用いて無希釈の低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造することにより、上述のように、低級オレフィンとして、エチレンよりプロプレンの生産量を高くすることができるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、かつ、比較的低い温度で低沸点炭化水素原料を分解して低級オレフィン、特にプロピレンを製造することができる。
本発明のゼオライト触媒によれば、比較的低い反応温度で、低沸点炭化水素原料から低級オレフィンとして主にプロピレンの生成を促進することができ、かつ、ゼオライト触媒の劣化を抑制して触媒寿命を長くすることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
この実施の形態においては、プロピレン等の低級オレフィンを効率的に製造するためのゼオライト触媒と、このゼオライト触媒の製造方法と、このゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造方法を説明する。
この実施の形態においては、プロピレン等の低級オレフィンを効率的に製造するためのゼオライト触媒と、このゼオライト触媒の製造方法と、このゼオライト触媒を用いた低級オレフィンの製造方法を説明する。
この実施の形態のゼオライト触媒は、鉄元素(Fe)を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであり、かつ、希釈剤(例えば、スチームおよび/または不活性ガス等)を使用しない無希釈の条件下での低級オレフィンの製造に適するように製造された触媒である。また、この実施の形態のゼオライト触媒は、結合剤(バインダー)との成形により得られる複合体であることが好ましい。
また、このゼオライト触媒には、酸強度を抑える鉄元素(Fe)に加えて、アルカンの脱水素反応の促進作用を有するガリウム元素(Ga)を含む結晶性アルミノシリケートであるMFI型ゼオライト触媒が含まれる。
この鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒の鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+アルミニウム元素(Al)))が0.4〜0.7であることが好ましく、さらに0.4〜0.6であることがより好ましい。
また、鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素(Si)/(鉄元素+アルミニウム元素)元素比)は、75.0〜200.0であることが好ましく、さらに、80.0〜200.0、であることがより好ましい。なお、元素比とは、上述の各元素のモル数による組成比である。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型ゼオライト触媒において、鉄元素の元素モル組成(鉄元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.2〜0.6であることが好ましく、さらに、0.3〜0.5であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライト触媒において、ガリウム元素の元素モル組成(ガリウム元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素))は、0.1〜0.4であることが好ましく、さらに0.2〜0.4であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型のゼオライト触媒において、酸密度(珪素元素/(鉄元素+ガリウム元素+アルミニウム元素)元素比)は、75.0〜200.0であることが好ましく、さらに、80.0〜200.0であることがより好ましい。
上述のように、鉄元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるこの実施の形態のゼオライト触媒を用いることにより、鉄元素の含有量と酸密度とから酸強度を調整することができ、さらに、ガリウム元素を加えることにより、アルカンの脱水素作用を向上することができる。
これにより、上述の鉄元素のモル数の上述の組成比、ガリウム元素のモル数の組成比、酸密度を上述の範囲とすることにより、例えば、525℃〜575℃の範囲内の反応温度で、プロピレンの収率を向上できるとともに、コーク生成の原因になる芳香族炭素の生成を抑制できる。
特に、酸密度を上述のように、75.0以上とすることにより、プロピレンの生成を促進し、かつ、芳香族炭化水素の生成を抑制することができ、酸密度を上述のように200.0以下とすることにより、プロピレンの生成が抑制されるのを防止できる。
このような固体酸触媒(ゼオライト触媒)としてのゼオライトは、大別して、1.水熱合成工程、2.イオン交換工程、3.成形化工程の3工程を経て製造される。
1.水熱合成工程
「水熱合成法」とは、高温高圧の水の存在下にて行われる物質の合成法の総称であり、結晶性アルミノシリケートとしての多くのゼオライトはこの水熱合成法にて合成される。合成する際に使用する原料としては、シリカ源(珪酸ナトリウム、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなど)、アルミナ源(水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムなど)、構造規定剤(アミン等)、鉱化剤(アルカリ金属の水酸化物など)、水などが一般的である。
「水熱合成法」とは、高温高圧の水の存在下にて行われる物質の合成法の総称であり、結晶性アルミノシリケートとしての多くのゼオライトはこの水熱合成法にて合成される。合成する際に使用する原料としては、シリカ源(珪酸ナトリウム、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなど)、アルミナ源(水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムなど)、構造規定剤(アミン等)、鉱化剤(アルカリ金属の水酸化物など)、水などが一般的である。
この実施の形態のゼオライト触媒では、原料に鉄源(例えば、硝酸鉄)が加えられる。さらにガリウム源(例えば、硝酸ガリウム)を加えることが好ましい。
これらを混合して反応性の高い非晶質のヒドロゲル(母ゲル)を調製し、耐圧性反応器であるオートクレーブに充填して150〜250℃程度で所定時間加熱することでゼオライトが合成される。水熱合成反応後は、生成物の分離、水洗浄、乾燥、焼成(構造規定剤を分解除去するために行う)等のステップを経て粉末状のゼオライトを得る。
なお、上述の原料は、珪素源である微細なシリカとして粒子サイズが8〜11nmのコロイダルシリカとpH調整用の水酸化ナトリウム(NaOH)とからなる母液ゲルAと、アルミニウム源としてのAl2(SO4)−nH2O,ガリウム源としてのGa(NO3)3−nH2O,鉄源としてのFe(NO3)3−nH2Oと、構造規定剤としての臭化テトラプロピルアンモニウム(TPrABr)を含む母液ゲルBとを作成する。なお、構造規定剤としてのTPrABrの添加量を低減することが好ましい。
次に、これら母液Aと母液Bとを撹拌混合する(例えば、15分)。これにより、反応性の高い非晶質のヒドロゲルが調製される。次に、混合撹拌された母液ゲルを熟成する(たとえば、60℃で一晩)。次に上述の水熱合成として、120℃〜150℃の温度範囲において、150rpm〜300rpmで撹拌する。すなわち、高温高圧化での結晶化を行う。
但し、上述のように反応温度としては、比較的低温であり、低温で核成長させることで、粗大粒子の生成を抑制している。また、撹拌速度としては、比較的高速であり、核発生量を多くしている。この条件で例えば24時間撹拌して、結晶を得る。得られた結晶は水洗浄を行い、脱水は遠心分離により行う。その後、結晶を例えば120℃で3時間乾燥するとともに、550℃で3時間焼成してTPrABrを除去する。なお、ガリウムを含まない場合には、母液ゲルBにガリウム源を添加しない。
2.イオン交換工程
ゼオライトを触媒として利用する化学反応の多くは、固体酸としての性質を利用したものであり、この酸としての性質はゼオライトに酸性のOH基(ブレンステッド酸点)を導入することで発現する。
ゼオライトを触媒として利用する化学反応の多くは、固体酸としての性質を利用したものであり、この酸としての性質はゼオライトに酸性のOH基(ブレンステッド酸点)を導入することで発現する。
この酸性質を発現させるため、一般的にイオン交換反応が適用される。通常、水熱合成法により得られたゼオライトは、電荷のバランスを保つためにナトリウムカチオン(Na+)を含有しているが、これをイオン交換させることでプロトン(H+)に置換えている。なお、一旦、NH4NO3溶液によりアンモニウムイオン(NH4 +)でイオン交換し、さらに乾燥、焼成してアンモニアを除去することでプロトン(H+)に変換する方法をとることもある。
3.成形化工程
一般的にゼオライトを触媒として工業的に使用する場合、機械的性質の向上や圧力損失の低減といった観点から、円筒状などに成形加工して使用されることが多い。本工程は、主としてアルミナ粉末などの結合剤(バインダー)との混練、成形化、乾燥、焼成などのステップを含む。なお、成形化においては、例えば、押し出し成形法などが用いられる。
一般的にゼオライトを触媒として工業的に使用する場合、機械的性質の向上や圧力損失の低減といった観点から、円筒状などに成形加工して使用されることが多い。本工程は、主としてアルミナ粉末などの結合剤(バインダー)との混練、成形化、乾燥、焼成などのステップを含む。なお、成形化においては、例えば、押し出し成形法などが用いられる。
例えば、上述の水熱合成工程(または、イオン交換工程)を経て得られた粉末状ゼオライトにアルミナ(酸化アルミニウム)をバインダーとして添加し、混錬、成形(例えば、φ1.0mmの細い円柱状や円筒状)した後に、例えば、120℃で3時間乾燥する。その後に、550℃で3時間焼成して、上述の鉄元素(およびガリウム元素)を含むMFI型ゼオライトと酸化アルミニウムとの複合体としてのゼオライト触媒を得ることができる。なお、イオン交換工程後に成形化工程を行っても、成形化工程後にイオン交換工程を行ってもよいが、作業性を考慮して成形化工程後にイオン交換工程を行うことが好ましい。
このようなゼオライト触媒を用いて、例えばライトナフサから低級オレフィンを製造する製造方法としては、炭化水素原料を水蒸気(スチーム)や不活性ガス(例えば、アルゴンガスや窒素ガス)等の希釈剤で希釈せずに無希釈の状態で反応器に供給する。また、上述のゼオライト触媒を反応器内に固定床として配置し、反応器内に供給される原料ガスを、ゼオライト触媒に接触させながら通過させる方法が用いられる。この際に、525℃〜575℃好ましくは540℃〜575℃の穏和な温度領域で反応を進行させ、エチレンおよびプロピレンを生成する。
このようなゼオライト触媒、ゼオライト触媒の製造方法および低級オレフィンの製造方法にあっては、525〜575℃程度の低温域での省エネルギー型−ナフサ接触分解法によるプロピレン製造を実現することができる。また、比較的低温で反応が進行することから、熱源には太陽熱等の再生可能エネルギーや各種の未利用排熱を利用することができるという利点がある。また、炭化水素原料のみを供給することで、希釈剤共存下に比べて高いLHSV(Liquid Hourly Space Velocity:液空間速度)領域にて反応が進行するため、空時収率が向上しコンパクトな反応器設計が可能になる。すなわち、希釈することによる原料ガスの体積増加がなく、反応設備をコンパクトにすることができる。
次に、本発明の実施例を説明する。
この実施例では、以下の表1および表2に示す実施例1〜4と、比較例1,2とになるゼオライト触媒を実験的に製造し、製造された実施例1〜4のゼオライト触媒と、比較例1,2のゼオライト触媒を用いて低級オレフィンの製造を行った。実施例1〜実施例3は、鉄元素とガリウム元素の両方を含む上述の実施の形態のゼオライト触媒であり、表1および表2に示すように、それぞれ異なる酸密度が設定されている。
この実施例では、以下の表1および表2に示す実施例1〜4と、比較例1,2とになるゼオライト触媒を実験的に製造し、製造された実施例1〜4のゼオライト触媒と、比較例1,2のゼオライト触媒を用いて低級オレフィンの製造を行った。実施例1〜実施例3は、鉄元素とガリウム元素の両方を含む上述の実施の形態のゼオライト触媒であり、表1および表2に示すように、それぞれ異なる酸密度が設定されている。
実施例4は、ガリウム元素を含まず鉄元素を含む上述の実施の形態のゼオライト触媒である。なお、表1および表2における実施例1〜実施例4の全ての組成の記載の分母中にGaが含まれているが、実施例4に関しては、全てGaを0としている。
比較例1は、酸密度の値が75.0より小さくなっている。すなわち、比較例1は、酸密度が実施例1〜4より高くなっている。また、比較例2は、酸密度の値が200.0より大きくなっている。すなわち、比較例2は、酸密度が実施例1〜4より低くなっている。
以下に、各実施例および比較例を説明する。
以下に、各実施例および比較例を説明する。
(実施例1)
実施例1におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.76gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.25g、硝酸ガリウム−n水和物:0.15g、硝酸鉄−9水和物:0.33g、臭化テトラプロピルアンモニウム:4.13g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした。A液とB液を室温で攪拌しながら徐々に混合した後、さらにミキサー中で15分間激しく攪拌した。
実施例1におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.76gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.25g、硝酸ガリウム−n水和物:0.15g、硝酸鉄−9水和物:0.33g、臭化テトラプロピルアンモニウム:4.13g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした。A液とB液を室温で攪拌しながら徐々に混合した後、さらにミキサー中で15分間激しく攪拌した。
この混合溶液を60℃に保温して一晩静置した後、オートクレーブ中にて自己圧力下、150℃、72時間、300rpmの条件下で水熱合成反応を行った。
冷却後、精製水により十分に洗浄した(固形物と水溶液の分離には遠心分離機を使用した)。
冷却後、精製水により十分に洗浄した(固形物と水溶液の分離には遠心分離機を使用した)。
その後、120℃で3時間乾燥、空気気流中にて550℃で3時間焼成することで、Fe、Ga、Alを含有する粉末状のNa型のMFIゼオライト(以下、FeGaAl−MFIゼオライトと略記)を合成した。このゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=92.9(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上述の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(含水率4.0wt%)とアルミナ粉末(日揮触媒化成株式会社、カタロイドAP−1、Al2O3含有率71.7wt%)に精製水を適量加えながら混練し、隗状のゼオライト/アルミナ混合物とした後、押し出し成形器にて円筒状(1.0mmφ)に加工し、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、FeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。
上述の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(含水率4.0wt%)とアルミナ粉末(日揮触媒化成株式会社、カタロイドAP−1、Al2O3含有率71.7wt%)に精製水を適量加えながら混練し、隗状のゼオライト/アルミナ混合物とした後、押し出し成形器にて円筒状(1.0mmφ)に加工し、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、FeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を得た。
この複合体に、沸騰還流下での2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液によるイオン交換とそれに続く水洗浄を4回施した後(1回当りのイオン交換は2時間とし、毎回新しい2.2mol/L硝酸アンモニウム水溶液と入れ替えた)、120℃での3時間乾燥、空気気流下における550℃での3時間焼成を経て、プロトン(H+)型のFeGaAl−MFIゼオライト/複合触媒とした。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9)/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とした。反応試験はn−ヘキサンの接触分解反応を固定床流通式反応装置にて行った。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9)/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とした。反応試験はn−ヘキサンの接触分解反応を固定床流通式反応装置にて行った。
触媒2.0mLを、内径12.575mmのステンレス反応管(SUS316世)に触媒層の層高が約20mmとなるように充填し、触媒層の前後にガラスウールを、さらにその前後にガラスビーズを充填した。反応条件は、反応温度565℃、全圧0.1MPa、n−ヘキサン流量を6.5g/h(n−ヘキサン基準のLHSV:5.0h−1)として、n−ヘキサン接触分解反応を24時間行った。反応生成物は反応を開始してから24時間後にガスクロマトグラフィー分析を行い、原料転化率(wt%)および低級オレフィン(エチレン、プロピレン)と芳香族炭化水素の収率(wt%)を求め、触媒性能の指標とした。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
(実施例2)
実施例2におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.69gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.19g、硝酸ガリウム−n水和物:0.11g、硝酸鉄−9水和物:0.24g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.10g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
実施例2におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.69gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.19g、硝酸ガリウム−n水和物:0.11g、硝酸鉄−9水和物:0.24g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.10g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=121.3(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上述の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、反応時間を80時間とした以外は実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。また、図1に本試料の反応転化率とエチレン、プロピレン収率についての80時間の経時変化を示す。
上述の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、反応時間を80時間とした以外は実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。また、図1に本試料の反応転化率とエチレン、プロピレン収率についての80時間の経時変化を示す。
(実施例3)
実施例3におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.58gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.08g、硝酸ガリウム−n水和物:0.04g、硝酸鉄−9水和物:0.10g、臭化テトラプロピルアンモニウム:2.48g、精製水:188.0gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
実施例3におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.58gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.08g、硝酸ガリウム−n水和物:0.04g、硝酸鉄−9水和物:0.10g、臭化テトラプロピルアンモニウム:2.48g、精製水:188.0gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成は、Si/(Fe+Ga+Al)=177.5(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表1参照)。
次にFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=177.5)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
(実施例4)
実施例4におけるFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.69gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.29g、硝酸鉄−9水和物:0.24g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.10g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeAl−MFIゼオライトを合成した。
実施例4におけるFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.69gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.29g、硝酸鉄−9水和物:0.24g、臭化テトラプロピルアンモニウム:3.10g、精製水:187.8gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Al)=121.3(酸密度)、Fe/(Fe+Al)=0.5、Al/(Fe+Al)=0.5となった(表1参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
次に、FeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、反応時間を50時間とした以外は実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。また、図1に本試料の反応転化率とエチレン、プロピレン収率についての50時間の経時変化を示す。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、反応時間を50時間とした以外は実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。また、図1に本試料の反応転化率とエチレン、プロピレン収率についての50時間の経時変化を示す。
(比較例1)
比較例1におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:2.99gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:1.52g、硝酸ガリウム−n水和物:0.88g、硝酸鉄−9水和物:1.96g、臭化テトラプロピルアンモニウム:9.29g、精製水:186.3gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
比較例1におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4(酸密度))の合成方法を説明する。
コロイダルシリカ:58.9g(SiO2:30.6wt%、Na2O:0.4wt%、H2O:69.0wt%)、水酸化ナトリウム:2.99gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:1.52g、硝酸ガリウム−n水和物:0.88g、硝酸鉄−9水和物:1.96g、臭化テトラプロピルアンモニウム:9.29g、精製水:186.3gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成は、Si/(Fe+Ga+Al)=19.4(酸密度)、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=19.4)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。に反応開始24時間後の本試料の結果を表2に示す。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。に反応開始24時間後の本試料の結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例2におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7(酸密度))の合成方法を説明する。
フュームドシリカ:18.39g(アエロジル200、SiO2:98.0wt%、H2O:2.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.93g、精製水:114.1gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.08g、硝酸ガリウム−n水和物:0.04g、硝酸鉄−9水和物:0.10g、臭化テトラプロピルアンモニウム:2.48g、精製水:114.1gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
比較例2におけるFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7(酸密度))の合成方法を説明する。
フュームドシリカ:18.39g(アエロジル200、SiO2:98.0wt%、H2O:2.0wt%)、水酸化ナトリウム:1.93g、精製水:114.1gからなる溶液をA液、硫酸アルミニウム−n水和物:0.08g、硝酸ガリウム−n水和物:0.04g、硝酸鉄−9水和物:0.10g、臭化テトラプロピルアンモニウム:2.48g、精製水:114.1gからなる溶液をB液とした以外は実施例1と全く同様にして、Na型のFeGaAl−MFIゼオライトを合成した。
このFeGaAl−MFIゼオライトの元素モル組成はSi/(Fe+Ga+Al)=472.7、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)/アルミナ複合触媒の調製方法を説明する。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
上記の手順に沿って合成した、粉末状のNa型FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)とアルミナ粉末を用いて、実施例1と全く同様の方法によって成形化−イオン交換し、円筒状のプロトン型のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)/複合触媒を得た。この複合触媒の重量組成はゼオライト/アルミナ=65wt%/35wt%となった(表1参照)。
次に、FeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=472.7)/アルミナ複合触媒の性能評価試験方法を説明する。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
上記の手順に沿って調製した、円筒状のFeGaAl−MFIゼオライト/アルミナ複合体を整粒したものを性能評価用の触媒試料とし、実施例1と全く同様の方法で反応試験を実施した。表2に反応開始24時間後の本試料の結果を示す。
このような実施例1〜4と比較例1,2の実験結果を説明する。
高い酸密度(元素モル組成Si/(Fe+Ga+Al)=19.4、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3)を持つFeGaAl−MFIゼオライトとアルミナとの複合触媒(比較例1)は、希釈剤としての窒素共存下ではn−ヘキサン原料から高い収率でプロピレンを与えるものの(表2参照)、本発明中で行った希釈剤なしの反応条件下では、プロピレン収率は半分以下となってしまい、芳香族炭化水素の生成が優先的に進行することがわかった。
高い酸密度(元素モル組成Si/(Fe+Ga+Al)=19.4、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.4、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.3、Al/(Fe+Ga+Al)=0.3)を持つFeGaAl−MFIゼオライトとアルミナとの複合触媒(比較例1)は、希釈剤としての窒素共存下ではn−ヘキサン原料から高い収率でプロピレンを与えるものの(表2参照)、本発明中で行った希釈剤なしの反応条件下では、プロピレン収率は半分以下となってしまい、芳香族炭化水素の生成が優先的に進行することがわかった。
一方、実施例1〜3のように低い酸密度のFeGaAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Ga+Al)=92.9、121.3、177.5、Fe/Ga/Al比は0.4/0.3/0.3に固定)とアルミナとの複合触媒では、酸密度を減らすにつれて原料転化率は低下していくものの、芳香族炭化水素の生成が抑制されて低級オレフィンへの選択性が向上した(表2参照)。
実施例2の試料(Si/(Fe+Ga+Al)=121.3)では、見かけのプロピレン収率は約18wt%まで向上した。空時収率(本発明では、単位重量当りのゼオライトが単位時間に生成可能なプロピレンの重量として定義した。希釈剤としての窒素の有無により最適な反応条件が異なるため、触媒性能を評価するための一つの基準として採用した)は約1.1(g−プロピレン/g−ゼオライト・h)となり、窒素共存下における2倍近くの値となった。
さらに、実施例2と同程度の酸密度を持つFeAl−MFIゼオライト(Si/(Fe+Al)=123.1)とアルミナとの複合触媒(実施例4)も、同程度の高いプロピレン収率を与えることがわかった(表2参照)。なお、Si/(Fe+Ga+Al)=472.7とした比較例2での試料では、酸密度の低下により反応転化率およびプロピレン収率は各々39.5wt%、8.7wt%程度にまで低下した。
以上から、炭化水素原料のみを供給して接触分解反応を行った場合には、酸密度をある範囲内において低減したFeGaAl−MFIゼオライトあるいはFeAl−MFIゼオライトは、高いプロピレン収率を与えることがわかった。高いプロピレン収率を与えた実施例2および実施例4の試料を用いて長時間反応試験を行ったところ、触媒性能は50〜80時間程度持続され(図1参照)、コーク生成・堆積による劣化に対して優れた耐久性を有していることが確認された。
Claims (6)
- ライトナフサ等の低沸点炭化水素原料を無希釈で供給して低級オレフィンを製造する際に用いられる低級オレフィン製造用のゼオライト触媒であって、
鉄元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.4〜0.7の範囲である、
ことを特徴とするゼオライト触媒。 - 請求項1に記載のゼオライト触媒であって、
鉄元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が75.0〜200.0の範囲である、
ことを特徴とするゼオライト触媒。 - 請求項1に記載のゼオライト触媒であって、
鉄元素に加えてガリウム元素を含むMFI型構造を有する結晶性アルミノシリケートであると共に、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する鉄元素のモル数の組成比が0.2〜0.6の範囲で、鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対するガリウム元素のモル数の組成比が0.1〜0.4の範囲である、
ことを特徴とするゼオライト触媒。 - 請求項3に記載のゼオライト触媒であって、
鉄元素とガリウム元素とアルミニウム元素とのモル数の和に対する珪素元素のモル数の組成比としての酸密度が75.0〜200.0の範囲である、
ことを特徴とするゼオライト触媒。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法であって、
水熱合成工程,成形化工程,イオン交換工程を含む、
ことを特徴とするゼオライト触媒の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のゼオライト触媒を用いて低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを製造する低級オレフィンの製造方法であって、
無希釈の前記低沸点炭化水素原料を供給し、
前記ゼオライト触媒の存在下で、前記低沸点炭化水素原料から低級オレフィンを生成する反応が525℃〜575℃の反応温度領域で進行する、
ことを特徴とする低級オレフィンの製造方法。
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-
2012
- 2012-07-26 JP JP2012165795A patent/JP2014024006A/ja active Pending
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