JP2016208952A - 釣竿 - Google Patents
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Description
上記において「薬指を含む2本または3本の指と手の平の一部とで握られる範囲」は、竿尻側の端部を小指付近に位置させて片手で普通に釣竿を握るとき、小指と薬指、薬指と中指、または小指と薬指と中指のいずれか(2本または3本の指)とともに手の平の一部(小指球付近)に接触して握られる範囲をいう。長さにすると概ね25〜50mm程度の範囲である。「剥き出しにして」とは、外側の表面が他の部品やコーティング等で覆われることなく、との意味である。また「筒体」は、両端が開いたものに限らず、竿尻側の端部が閉じたものをも含む。
鮎釣りや渓流釣り用の釣竿を普通に握る際、通常は、左右どちらか一方の手で握り、薬指やその前後の指は手の平とともに竿尻付近の全周を包むように用いる。そのため、上記のとおり薬指を含む2本または3本の指と手の平の一部とで握られる範囲にチタンまたはチタン合金製の筒体が設けられ、しかもそれが剥き出しであれば、釣り人への振動の伝達は最も効率的に行われ、手の平の全体で握られる範囲に同様の筒体が設けられている場合とほとんど差がない。鉄やアルミ、繊維強化樹脂材料等に比べて高価であるチタン等を使用するとはいえ、その筒体が指2〜3本分の幅に相当する短いもので足りることから、釣竿のコストアップは最小限にとどめられる。
なお、竿本体が繊維強化樹脂材料でできていても、上記のとおり竿尻付近にチタン等の筒体が設けられることによって手感度が向上することは、発明者が実釣テストを通じて確認した。上記筒体の肉厚が薄い方が手感度が高くなることも、実釣テストにて確認している。
「筒体の全長」とは、上記筒体のうち雄ネジ部分など、竿本体の中に挿入される部分等を含む筒体の全長をさす。「すべての指と手の平の全部とで握られる範囲」とは、竿尻側端部から10cm程度の範囲をいう。
また、筒体の全長がすべての指と手の平の全部とで握られる範囲を超えるまで長くなると、筒体との境目において竿本体が損傷しやすくなりがちである。それはつぎの理由による。上記筒体の先端寄りの部分には、繊維強化樹脂材料等で形成された竿本体が接続されており、竿本体には、穂先部分にはたらく負荷に基づいて曲げモーメントが作用し、上記筒体との境目付近においてその曲げモーメントはほぼ最大になっている。筒体の全長がすべての指と手の平の全部とで握られる範囲を超えると、竿本体を片手で支えることができないため、当該境目付近に上記の曲げモーメントがそのまま作用する。その結果、竿本体のうち当該境目付近に力が集中することとなり、十分に補強しておかないと、境目付近で竿本体が折れたり破れたりしやすいのである。
その点、上記のように、筒体の全長が、すべての指と手の平の全部とで握られる範囲を超えないなら、竿本体が上記のようには損傷しがたい。上記境目付近の竿本体を、親指や人指し指、またはさらに手の平の一部を用いて保持することができ(通常はそのように保持する形で片手で釣竿を持つ。図2を参照)、境目付近に作用する曲げモーメントの一部を手で支え得るからである。
チタンやチタン合金は、縦弾性係数が高く低密度である。また、高剛性・高強度であることから、薄く形成して軽量化をはかり、さらに振動減衰率を小さくすることができる点でも有利である。上記筒体をチタンまたはチタン合金で形成する場合、強度面から厚さを0.5mm以上・1.5mm以下にすることが可能であり、そのように薄くすると、振動減衰率を小さくして手感度を向上させるうえでとくに有利である。
竿本体との間が着脱可能であると、同じ竿本体を使用しながら上記の筒体を交換することができる。手感度を得る等の目的で使用される上記筒体は、釣り人によって使いやすい長さや重さ等が異なるものであるため、それが交換可能であるなら、発明の釣竿が多くの釣り人に好まれて使用されることとなる。
また、竿尻側の端部に尻栓が着脱可能に取り付けられていると、上記の筒体そのものは両端の開いた筒形のものでよいため、機械加工等によって上記筒体を形成することが容易となり、釣竿の製造コストを低減できる。
高弾性の炭素繊維強化樹脂材料でなおかつ材料に占める樹脂率が10〜20%と非常に低いものを含めて形成された竿本体は、振動減衰率が小さいため、釣竿等から伝わるオトリ魚の動き等に応じた振動をほとんど弱めることなく、竿元側に伝えることができる。そのような竿本体に対して直接接触する状態で(つまり、他の材質の筒やパッキン等を間にはさんだ非接触の状態とならないように)上記筒体が取り付けられていると、その筒体にもシャープな振動が伝達され、釣り人に高い手感度がもたらされる。
チタンまたはチタン合金製の穂先は、釣糸からの振動をシャープにピックアップして竿元側に伝えることができ、釣竿の手感度を効果的に高めることができる。したがって、竿尻付近に上記筒体を有する釣竿において穂先がチタンまたはチタン合金製であると、釣竿における手感度はさらに高いものとなる。
図示の釣竿は、鮎釣りに使用される図3のような振出竿であり、元竿1Aの中に収められる複数の竿1B、1B…と穂先1Xを、図示のように引き出して使用するものである。図1および図2には、その元竿1Aの竿尻付近を拡大して示している。
筒体2の軸方向長さは、全長が約40mmで、うち雄ネジ2aの部分の長さが約5mmである。尻栓3の長さは約5mmである。そのため、筒体2は、竿尻端から約5mm離れた箇所より、長さ約35mmにわたって金属面が露出していることになる。
チタン等にて薄く形成した筒体2と、前記のとおり高弾性にした竿本体1とは、いずれも振動減衰率が小さいため、この釣竿の振動伝達特性はきわめて高いものとなっている。しかもこの釣竿の使用者は、剥き出し状態の筒体2を上記のように握るのであるから、筒体2に伝わる振動を鋭敏に感じ取って、この釣竿から高い手感度を得ることができる。
1A 元竿
1B 竿
1X 穂先
2 筒体
3 尻栓
Claims (6)
- 竿尻付近に、薬指を含む2本または3本の指と手の平の一部とで握られる範囲を剥き出しにしてチタンまたはチタン合金製の筒体が接続されていることを特徴とする釣竿。
- 上記の筒体の全長が、すべての指と手の平の全部とで握られる範囲を超えないものであることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
- 上記の筒体の厚さが0.5mm以上・1.5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の釣竿。
- 上記の筒体が両端の開いた円筒体であり、竿尻側の端部に尻栓が着脱可能に取り付けられ、他方の端部が、繊維強化樹脂材料にてなる竿本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の釣竿。
- 竿本体が、高弾性の炭素繊維強化樹脂材料にてなり、かつ、当該材料として樹脂率が10〜20%のものが使用されており、上記の筒体が、その竿本体に直接接触する状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の釣竿。
- 竿本体が、その先端に、チタンまたはチタン合金製の穂先を有することを特徴とする請求項5に記載の釣竿。
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2015
- 2015-05-13 JP JP2015098623A patent/JP6552262B2/ja active Active
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