JP2016208907A - 細径チップのバリ取り方法、細径チップ及びその製造方法 - Google Patents

細径チップのバリ取り方法、細径チップ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂の注型により形成される細径チップの先端部に発生するバリを、確実且つ簡単に除去できる方法を提供する。【解決手段】管状の内部通路を備えた本体部と、前記本体部の一端に形成され前記内部通路の終端部である先端開口を有する先端部2Tとを備え、熱可塑性樹脂の注型により形成され、先端部2Tに成型バリBを有するシリンジ2を準備する。次に、シリンジ2を当接処理部7へ移動させ、先端部2Tを所定の粘着力を有する粘着シート71に、シリンジ2の自重をもって当接させる。好ましくは、前記当接を解除した後、シリンジ2を熱処理部8へ移動させ、先端部2Tを、面ヒーター81によって形成される、前記熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す熱処理を行う。【選択図】図6

Description

本発明は、例えば細胞凝集塊のような微小な対象物の吸引、及び前記吸引した対象物の吐出を行う細径チップ及びその製造技術に関する。
細径チップは、微小な対象物を移動させるために用いられる。例えば医療や生物学的な研究の用途では、前記細径チップは、細胞凝集塊を貯留する第1容器から、その細胞凝集塊の培養、試験、検査若しくは観察等を行うための第2容器(例えばウェルプレート)へ移動させる際に用いられる。この場合、前記細径チップは、前記第1容器からの細胞凝集塊の吸引、及び吸引した細胞凝集塊の前記第2容器への吐出を行う。
細径チップは、管状の内部通路を備えた本体部と、前記本体部の一端に形成され先端開口を有する先端部とを備えた筒状の部材である。前記先端開口に吸引力を発生させることによって、細径チップは対象物を前記先端開口から吸引し、前記内部通路に一時的に貯留する。また、前記先端開口に吐出力を発生させることによって、細径チップは貯留している対象物を前記先端開口から吐出する(例えば特許文献1参照)。
特開2009−34013号公報
細径チップは、コスト面を考慮して、嵌め合い型と中子とを用いた熱可塑性樹脂の射出成型により形成される。上記のような微小対象物の吸引及び吐出を行う細径チップの前記先端開口は、約300μm以下の微小な開口径に設定される。このような微小開口を有する細径チップを前記射出成型で形成すると、不可避的に前記先端部付近にバリが発生してしまう。前記先端部にバリが存在していると、前記吸引又は吐出の際に細胞凝集塊がバリに引っ掛かってしまう不具合が生じる。しかし、微小開口を有する細径チップにおいてバリを綺麗に除去する有効な手法は未だ提案されていない。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、熱可塑性樹脂の注型により形成される細径チップの先端部に発生するバリを、確実且つ簡単に除去できる方法、乃至は細径チップの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る細径チップのバリ取り方法は、管状の内部通路を備えた本体部と、前記本体部の一端に形成され前記内部通路の終端部である先端開口を有する先端部とを備え、熱可塑性樹脂の注型により形成され、前記先端部に成型バリを有する細径チップを準備する工程と、前記細径チップの先端部を、所定の粘着力を有する粘着層に前記細径チップの自重をもって当接させる工程と、を備える。
この方法によれば、粘着層に細径チップの先端部を当接させることによって、当該先端部付近に存在している成型バリが当該粘着層へ粘着する。その後に前記先端部を前記粘着層から離間させることで、当該先端部から前記成型バリを取り除くことができる。前記当接は、当該細径チップの自重に依存した当接であるので、先端開口を有する先端部へ徒にダメージを与えることはない。
上記のバリ取り方法において、前記当接を解除した後、前記細径チップの先端部を、前記熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す熱処理を行う工程をさらに備えることが望ましい。
前記当接させる工程の後に前記熱処理が施されることによって、前記当接だけでは除去しきれなかったバリが消失する、乃至は球状に変形する。従って、前記先端部から成型バリを簡便且つ確実に除去することができる。
上記のバリ取り方法において、前記熱処理の工程の後に、前記細径チップの先端部を前記粘着層に前記細径チップの自重をもって再度当接させる工程をさらに備えることが望ましい。
この方法によれば、前記熱処理後においてもバリが前記先端部付近に残存している場合でも、再度の粘着層への当接によって、これを除去することができる。
上記のバリ取り方法において、前記細径チップは、前記本体部の他端側に根元部を有し、前記当接させる工程は、前記先端部を前記粘着層へ当接させた状態で、前記根元部が周回運動を行うように前記細径チップを揺動させる動作を含むことが望ましい。
この方法によれば、前記先端部の端面だけでなく、その周縁に存在する成型バリを前記粘着層へ漏れなく当接させることができる。従って、前記粗取りによって除去できる成型バリの割合を高めることができる。
上記のバリ取り方法において、前記先端開口の開口径が10μm〜300μm、前記先端部の肉厚が10μm〜100μmの範囲にある細径チップが、前記準備する工程において準備されることは、本発明において好適である。
本発明の他の局面に係る細径チップの製造方法は、管状の内部通路を備えた本体部と、前記本体部の一端に形成され前記内部通路の終端部である先端開口を有する先端部とを備える細径チップを、嵌め合い型と中子とを用いた熱可塑性樹脂の射出成型により形成する工程と、前記細径チップの先端部を、所定の粘着力を有する粘着層に前記細径チップの自重をもって当接させる工程と、を備える。
この製造方法によれば、前記射出成型によって前記先端部に不可避的に成型バリが発生するものの、その後の前記粘着層へ前記先端部を当接させる工程の実行によって、前記成型バリを除去することができる。
この場合、前記成型バリをより確実に除去するために、前記当接を解除した後、前記細径チップの先端部を、前記熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す熱処理を行う工程をさらに備えることが望ましい。
本発明のさらに他の局面に係る細径チップは、管状の内部通路を備え、熱可塑性樹脂からなる本体部と、前記本体部の一端に形成され、前記内部通路の終端部である先端開口を有する先端部と、前記本体部の他端側に形成された根元部と、を備え、前記先端部は、当該先端部に成型バリを有する状態において所定の粘着力を有する粘着層に前記細径チップの自重をもって当接させることにより形成されたものである。
この構成によれば、粘着層に対する当接処理が施された先端部を有するので、成型バリの存在しない細径チップを提供することができる。
この場合、前記成型バリをより確実に除去するために、前記先端部は、前記当接を解除した後、前記細径チップの先端部を、前記熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す熱処理をさらに行うことによって形成されたものであることが望ましい。
上記の細径チップにおいて、前記先端開口の開口径が10μm〜300μm、前記先端部の肉厚が10μm〜100μmの範囲にあることが望ましい。
本発明によれば、熱可塑性樹脂の注型により形成される細径チップの先端部に発生するバリを、確実且つ簡単に除去できる。従って、細径チップによる細胞凝集塊などの対象物の吸引又は吐出動作の際に、当該対象物がバリに引っ掛かってしまう不具合を防止することができる。
本発明の適用用途の一つであるシリンダチップの断面図である。 (A)は、前記シリンダチップの構成部材であって、本発明の細径チップの一例であるシリンジの断面図、(B)はプランジャの断面図、(C)はシリンダチップの分解斜視図である。 (A)〜(E)は、前記シリンダチップによる細胞凝集塊の吸引及び吐出動作を示す模式図である。 上記シリンジの成型金型を示す断面図である。 射出成型後のシリンジの先端部の拡大斜視図である。 本発明に係るバリ取り方法を実施するための装置レイアウトを示す模式図である。 (A)〜(C)は、シリンジ先端部のバリの粗取りの工程を示す図である。 前記粗取りの工程における好ましい態様を示す図である。 (A)〜(C)は、シリンジ先端部に対する熱処理の工程を示す図である。 (A)〜(C)は、シリンジ先端部を再度粘着層へ当接させる工程を示す図である。 バリ取り方法の他の実施形態を説明するための図である。 バリ取り方法の他の実施形態を説明するための図である。 実施例1に供したシリンジの、射出成型後の先端部端面(未処理状態)を示す写真である。 実施例1のシリンジ先端部を粘着層へ当接させた後の、当該先端部端面を示す写真である。 実施例1のシリンジ先端部に熱処理を施した後の、当該先端部端面を示す写真である。 実施例1のシリンジ先端部を再度粘着層へ当接させた後の、当該先端部端面を示す写真である。 実施例2に供したシリンジの、射出成型後の先端部端面(未処理状態)を示す写真である。 実施例2のシリンジ先端部を粘着層へ当接させた後の、当該先端部端面を示す写真である。 実施例2のシリンジ先端部に熱処理を施した後の、当該先端部端面を示す写真である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の適用用途の一つであるシリンダチップ1の断面図である。シリンダチップ1は、微小な対象物、例えば細胞凝集塊を移動させるために用いられる部材であって、前記細胞凝集塊を細胞培養液等と共に吸引、保持及び吐出する機能を備えている。本発明に係るバリ取り方法の説明の前に、このシリンダチップ1の構成及びその使用方法について説明する。
シリンダチップ1は、細胞凝集塊の吸引経路となる管状通路2P(管状の内部通路)を内部に備えるシリンジ2と、管状通路2Pを画定するシリンジ2の内周壁と摺接しつつ管状通路2P内を進退移動するプランジャ3とを備える。図2(A)はシリンジ2単体の断面図、図(B)はプランジャ3単体の断面図、図2(C)はシリンダチップ1の分解斜視図である。ここで、シリンジ2は、本発明に係る細径チップの一例であり、本発明に係るバリ取り方法の適用対象となる部品である。
シリンジ2は、大径の円筒体からなるシリンジ基端部21(根元部)と、細径で長尺の円筒体からなるシリンジ本体部22(本体部)と、基端部21と本体部22とを繋ぐテーパ筒部23とを含む。管状通路2Pは、シリンジ本体部22に形成されている。シリンジ本体部22の一端に形成された先端部2Tには、吸引口又は吐出口となる先端開口24が設けられている。先端開口24は、管状通路2Pの終端部である。シリンジ基端部21は、シリンジ本体部22の他端側に、テーパ筒部23を介して連設されている。プランジャ3は、円筒体からなるプランジャ基端部31と、針状のプランジャ本体部32と、基端部31と本体部32とを繋ぐ半球部33と、プランジャ本体部32の突出先端であるプランジャ先端部34とを含む。
シリンジ基端部21は、円筒型の中空部2Hを備えている。プランジャ基端部31の外径は、中空部2Hの内径よりも所定長だけ小さく設定されている。プランジャ本体部32の外径は、管状通路2Pの内径よりも僅かに小さく設定されている。また、テーパ筒部23の内周面の形状は、半球部33の外周面の曲面形状に合致している。プランジャ基端部31が中空部2H内に収容され、プランジャ本体部32がシリンジ本体部22の管状通路2Pに挿通される態様で、シリンジ2に対してプランジャ3が組み付けられている。
図2(C)では、プランジャ3がシリンジ2から抜き出された状態を示しているが、図1では、プランジャ本体部32がシリンジ本体部22に最も深く挿通されている状態、つまりプランジャ3が最も下降した状態を示している。このとき、テーパ筒部23のキャビティに、半球部33が完全に受容された状態となる。プランジャ本体部32の長さは、シリンジ本体部22よりもやや長く、図1の状態では、先端開口24からプランジャ先端部34が突出している。また、シリンジ基端部21の内周面とプランジャ基端部31の外周面との間にはギャップが存在している。
プランジャ3は、図1の状態から、シリンジ2に対して上方向へ移動することができる。所定長だけ上方向にプランジャ3が移動すると、プランジャ先端部34は管状通路2Pの内部に没する。この際、先端開口24に吸引力を発生させ、該先端開口24の周囲の流体(例えば細胞凝集塊を含む細胞培養液)を管状通路2P内へ吸引することができる。この吸引の後、プランジャ3を下方向へ移動させると、管状通路2P内へ吸引された流体を先端開口24から吐出させることができる。
シリンダチップ1は、図1に端部部分を示すヘッド4に装着される。ヘッド4は、第1筒状ロッド41と、第1筒状ロッド41の外側に配置された第2筒状ロッド42と、第1筒状ロッド41の中空部内に配置されたプランジャロッド43とを備える。第2筒状ロッド42は固定的なロッドである一方、プランジャロッド43及び第1筒状ロッド41は、それぞれ独立して進退移動する。プランジャ基端部31には、円筒状の中空空間からなる装着孔3Hが備えられている。この装着孔3Hには、プランジャロッド43の端部が圧入される。プランジャ基端部31の上端面は、第1筒状ロッド41の下端面と対向している。シリンジ基端部21の中空部2Hには、不動の第2筒状ロッド42の端部が圧入される。プランジャロッド43が上下動することで、上述の通りプランジャ3が上下動する。第1筒状ロッド41は、ヘッド4からシリンダチップ1を取り外す場合に下降される。
続いて、図3(A)〜(E)を参照して、シリンダチップ1による細胞凝集塊Cの吸引、保持及び吐出動作を説明する。ここでは、シリンダチップ1にて、第1容器C1に貯留されている細胞培養液Lm1中に存在する細胞凝集塊Cを吸引し、第2容器C2に貯留されている細胞培養液Lm1中に当該細胞凝集塊Cを吐出する場合について説明する。
シリンダチップ1による細胞凝集塊Cの吸引〜吐出動作例は、次の通りである。まず、図3(A)に示すように、シリンダチップ1を吸引対象とする細胞凝集塊Cの真上に移動させる。図3(A)では、プランジャ3がシリンジ2に対して相対的に上方に移動しており、プランジャ先端部34がシリンジ本体部22内に没入した状態を示している。この場合、図3(B)に示すように、プランジャ3を最も下方に移動させ、プランジャ先端部34を先端開口24から突出させる。つまり、シリンジ本体部22の管状通路2P内に空気が存在しない状態とする。
その後、図3(C)に示すように、シリンダチップ1を全体的に下降させ、先端開口24を第1容器C1の細胞培養液Lm1中に突入させる。このとき、なるべく先端開口24を細胞凝集塊Cに接近させる。続いて、図3(D)に示すように、プランジャ3を所定高さだけ上方へ移動させる。この動作により、先端開口24には吸引力が発生し、細胞凝集塊Cと一部の細胞培養液Lmaとがシリンジ本体部22内に吸引される。これにより、細胞凝集塊Cはシリンダチップ1内に保持される。この状態で、シリンダチップ1は全体的に上昇され、第2容器C2の配置位置まで移動される。
そして、図3(E)に示すように、先端開口24が第2容器C2の細胞培養液Lm2中に突入するまで、シリンダチップ1が全体的に下降される。その後、所定高さ位置にあるプランジャ3を、先端部34が先端開口24から突出するまで下降させる。この下降動作により、細胞凝集塊Cは第2容器C2の細胞培養液Lm2中に吐出される。図示は省略しているが、その後にシリンダチップ1はヘッド4から離脱される。これは、一度細胞培養液に浸漬されたシリンダチップ1は再利用できないケースが多く、新たなシリンダチップ1をヘッド4に再装着できるようにするためである。勿論、1回の使用毎にシリンダチップ1を交換せず、細胞の成分による汚濁で使用に支障が出るまでの複数回(例えば20〜30回の吸引及び吐出)だけ同一のシリンダチップ1を使用し、その後に当該シリンダチップ1をヘッド4から離脱させるようにしても良い。
以上説明したシリンダチップ1の構成部材であるシリンジ2及びプランジャ3は、金型を用いた熱可塑性樹脂の注型によって形成される。これらのうちシリンジ2(細径チップ)は、先端開口24、管状通路2P及び中空部2Hを備えた筒状の物品であるため、前記金型として嵌め合い型と中子とを用いた熱可塑性樹脂の射出成型によって製作されることになる。
図4は、シリンジ2の成型用の金型5の一部を示す断面図である。ここでは、シリンジ本体部22の先端部2T付近を成型する金型部分を示している。金型5は、上型51、下型52及び中子53を含む。上型51は、シリンジ本体部22の外周面に応じたキャビティ511を有している。シリンジ本体部22の外形は円柱状であり、その先端部分は先細りのテーパ形状を有している。このためキャビティ511も、円柱状の部分と、その下側に連設された円錐状の部分とを有している。下型52は、中子53の嵌め合い孔となる孔部521と、先端開口24を区画するシリンジ本体部22の先端R面を成型するための環状溝部522とを備えている。上型51の下端面51Bと下型52の上端面52Tとは、突き合わせ接合されている。上端面52Tにおける環状溝部522の直径は、下端面51Bにおけるキャビティ511の直径と等しく、両者が位置合わせして対向するように、上型51と下型52とが接合されている。
中子53は、円柱状の部材であり、上型51のキャビティ511内に配置される中子本体部531と、下型52の孔部521に嵌め込まれる先端部532とを備える。中子本体部531の外径は、キャビティ511の内径よりも所定長だけ短く設定されている。中子本体部531の外周面とキャビティ511の内周面との間には環状の隙間Gが形成されている。前記所定長は、予め設定されたシリンジ本体部22の肉厚に相当する長さである。先端部532は、孔部521の内径にほぼ等しい外径を有し、この孔部521に密に嵌め込まれている。図4において矢印Dで示すように、隙間Gには射出成型によって熱可塑性樹脂が注入される。樹脂の冷却後、中子53が上型51及び下型52から抜き取られ、成型されたシリンジ2が取り出される。
シリンジ2の成型に用いられる熱可塑性樹脂には、一般的な射出成型を行うことができる材料である限り、特に制限はない。例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、等を、成型用樹脂として用いることができる。上記の樹脂の中でもポリプロピレンが、特に融点が135℃〜165℃のホモポリマー、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーからなるポリプロピレンが、成型性が良好で、高温高圧の飽和水蒸気による滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えうる耐熱性を有し、当該シリンジ2が接する液体に対する良好な液切れを実現する優れた撥水性を有するという理由から好ましい。
隙間Gの厚さ、すなわちシリンジ2(先端部2T)の肉厚は、10μm〜100μm程度の範囲から選択することができる。肉厚が薄すぎると、シリンジ2の強度が低くなる。また、ミクロンオーダーの対象物の吸引に用いられるシリンジ2としては、過剰な肉厚は必要でない。従って、上記の肉厚が適当である。
先端開口24の開口径は、10μm〜300μm程度の範囲から選択することができる。例えば、移動対象とする細胞凝集塊の大きさが40μm〜180μmである場合には、先端開口24の開口径は、80μm〜200μm程度に設定することが望ましい。細胞凝集塊が比較的柔軟な性状である場合には、細胞凝集塊の大きさよりも先端開口24の開口径が小さくても、吸引時に細胞凝集塊が適宜変形されて吸引される。そのため、開口径は、必ずしも細胞凝集塊の大きさより大きく設定しなくとも良い。
図5は、図4に示す金型5を用いた射出成型後のシリンジ2の先端部2Tの拡大斜視図である。上記のように薄肉で微小開口径の先端開口24を備えるシリンジ2を、図4に示すような嵌め合い方式の金型5を用いて熱可塑性樹脂の射出成型により形成すると、不可避的に先端部2T付近に成型バリBが発生してしまう。成型バリBは、上型51の下端面51Bと下型52の上端面52Tとの突き合わせ面、及び、下型52の孔部521と中子53の先端部532付近との界面54に、射出成型において溶融した樹脂が進入することにより形成される。従って、成型バリBは、先端開口24を区画している先端環状面24Aの内周縁から下方や径方向内側に突出するように、また、先端環状面24Aの外周縁から径方向外側に突出するように形成される。
このような成型バリBが先端部2Tに存在していると、先に図3(A)〜図3(E)に基づき説明したシリンダチップ1による吸引又は吐出動作の際に、細胞凝集塊がバリに引っ掛かってしまう不具合が生じる。例えば、図3(C)〜(D)における吸引動作において、ターゲットとする細胞凝集塊Cが成型バリBに絡みつき、先端開口24からシリンジ本体部22内に進入できないケース等が生じ得る。また、図3(E)の吐出動作において、シリンジ本体部22内から吐出した細胞凝集塊Cが成型バリBに引っ掛かり、先端部2Tから離脱できないケース等が生じ得る。
従って、先端部2T付近に付着している成型バリBは、シリンダチップ1(シリンジ2)の使用前に可及的に除去しておくことが望ましい。成型バリを除去する方法としては、ヤスリやブラシ等の器具類を用いたバリの削り取り、研磨材のブラスト処理、超音波洗浄など、種々知られている。しかし、上記のような微小サイズのシリンジ2のバリ取りに、これらのバリ取り方法は有効とは言えない。まず、バリの削り取りは、先端部2Tのサイズが微小であるので、工具類を接触させると先端部2T自体が破損してしまう。また、ブラスト処理では、研磨材のショットによる先端部の破損が発生し得る。さらには、ブラスト研磨剤がシリンダ内に残留する怖れもある。超音波洗浄によっても、微小サイズの先端部2Tにおいて、さらに微小な成型バリBだけを除去するのは困難である。
上記の不具合に鑑み、本発明の実施形態に係るバリ取り方法は、従来技術とは全く異なる手法を用いる。本実施形態のバリ取り方法は、次の工程(1)〜(4)を含む。
(1)熱可塑性樹脂の注型によりシリンジ2を成型するシリンジ準備工程(細径チップを準備する工程)、
(2)シリンジ2の先端部2Tを、粘着層に当接させる第1当接工程(細径チップの自重をもって当接させる工程)、
(3)先端部2Tに熱処理を施す熱処理工程(熱処理を行う工程)、
(4)上記熱処理工程の後に、先端部2Tを粘着層に再度当接させる第2当接工程(細径チップの自重をもって再度当接させる工程)。
上記(1)のシリンジ準備工程は、先に図4に示した金型5を用いた射出成型により、シリンジ2を成型する工程である。図5に示した通り、当該射出成型により得られたシリンジ2は、先端部2Tに成型バリBが不可避的に付設されてしまう。従って、当該シリンジ準備工程にて準備されるシリンジ2は、先端部2Tに成型バリBを有するシリンジとなる。
上記(2)の第1当接工程は、先端部2Tを、所定の粘着力を有する粘着層にシリンジ2の自重をもって当接させる工程である。この当接によって、先端部2Tに存在する成型バリBの粗取りを行うことが企図されている。つまり、先端部2Tを前記粘着層に当接させることで、当該先端部2Tの周辺に存在する成型バリBのうち、比較的大きな成型バリBを前記粘着層へトラップさせるものである。この当接は、粘着層の上方に先端部2Tを下側に向けたシリンジ2を配置し、当該先端部2Tを前記粘着層に上から接触させる。この際、先端部2Tの変形やダメージを抑止するために、粘着層に向けた先端部2Tの積極的な押圧は行わず、シリンジ2の自重に依存した接触を行わせる。
前記粘着層の粘着力は、シリンジ2の自重にもよるが、例えばJIS Z0237に規定された180°剥離試験基づく値が0.3〜5N/20mm程度の粘着力とすることが望ましい。一例を挙げると、ポリプロピレン製で、肉厚=20μm、先端開口径=180μm、重量=0.049gのシリンジ2の場合、1N/20mm程度の粘着力を有する粘着層を用いることが好ましい。このような粘着層に、上記スペックのシリンジ2の先端部2T(図5に示した先端環状面24A)を自重で当接させると、成型バリBも前記粘着層に粘着する。その後に当該先端部2Tを前記粘着層から離間させる動作を行うと、成型バリBの少なくとも一部が前記粘着層に粘着したままとなり、先端部2Tから離脱するようになる。前記粘着層の粘着力が弱すぎると、前記当接を行っても成型バリBを先端部から離脱させることが困難となる。粘着力が強すぎると、前記当接後における先端部2Tの粘着層からの離間がスムースに行えず、先端部2Tが当該粘着層に引っ張られて変形してしまう傾向が顕著となる。なお、本実施形態では、この第1当接工程におけるバリ取りを「粗取り」と称するが、当該第1当接工程の実行のみで成型バリBを十分に除去でき、後段の工程が実質的に不要となる場合もある。
上記(3)の熱処理工程は、前記第1当接工程における先端部2Tの粘着層への当接を解除した後、その先端部2Tを、シリンジ2を構成する熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す工程である。この熱処理は、前記第1当接工程による粗取りで除去しきれなかった比較的小さな成型バリBに熱を与えるもので、ごく微小なバリ片については消失させ、ある程度の大きさのバリ片については球状に変形させることを企図したものである。
熱処理の温度及び熱処理の時間については、シリンジ2を構成する熱可塑性樹脂の材料に応じて適宜定められる。例えば、融点が135℃〜165℃のポリプロピレンで成型されたシリンジ2であれば、その先端部2Tを140℃〜190℃の温度環境下で、2秒〜4分程度保持する熱処理を例示することができる。具体的には、融点=155℃〜165℃のポリプロピレン製シリンジの場合、温度=140℃〜160℃、時間=1分30秒〜2分の熱処理などを好適な熱処理として例示することができる。
上記(4)の第2当接工程は、前記熱処理工程の後に、先端部2Tを粘着層にシリンジ2の自重をもって再度当接させる工程である。前記粘着層は、第1当接工程で用いたものと同じものを使用することができる。前記熱処理を施しても、成型バリBが先端部2T付近に残存することが起こり得る。例えば、球状に変形したバリが、先端環状面24Aに付着し得る。この第2当接工程は、そのような残存バリを、先端部2Tの再度の粘着層への当接によって除去するものである。なお、第2当接工程は任意に実行される工程である。例えば、金型の精度が高い場合には成型バリBは比較的少ない発生度合いとなる。このような場合、前記第1当接工程及び前記熱処理工程のみで十分に成型バリBを除去し得るので、第2当接工程を省くことができる。
続いて、上記の工程(1)〜(4)からなるバリ取り方法を実行するための具体例を説明する。図6は、当該バリ取り方法を実施するための装置レイアウトを示す模式図である。上記(1)のシリンジ準備工程は図示していないが、図6に示しているシリンジ2は、熱可塑性樹脂の注型により形成されたシリンジであり、その先端部2Tに成型バリBを有している。シリンジ2は、先端部2Tを下方にして垂直な状態で、ホルダ6で保持されている。ホルダ6は、図略の移動機構により、水平表面を持つステージ60上において垂直方向及び水平方向に移動可能である。つまり、ホルダ6で保持されたシリンジ2は、ステージ60上において垂直方向及び水平方向に移動可能である。
ホルダ6は、シリンジ2を保持するための保持孔及びその内部に組み込まれたチャック機構(図略)を有する。このチャック機構の動作及びその解除の切換により、ホルダ6でのシリンジ2の保持及び非保持を切り換えることができる。図6は、前記チャック機構が動作し、ホルダ6がシリンジ2を保持している状態を示している。なお、前記チャック機構付きのホルダ6に代えて、単に前記保持孔にシリンジ2の係止段部を有するホルダを用いることもできる。このホルダでは、前記係止段部で保持されているシリンジ2が、先端2Tの接面によって上方に相対的にシフトすることで前記係止段部による係止が解除され、非保持の状態となる。
ステージ60上には、当接処理部7と熱処理部8とが設けられている。当接処理部7は、上記(2)及び(4)の第1当接工程及び第2当接工程が実行される部位である。また、熱処理部8は、上記(3)の熱処理工程が実行される部位である。当接処理部7には、上記で示した粘着力を有する粘着シート71(粘着層)が配置されている。熱処理部8には、輻射熱を発する面ヒーター81が配置されている。この面ヒーター81としては、電気式のホットプレートを採用することができる。
図7(A)〜(C)は、第1当接工程の手順、すなわちシリンジ2の先端部2Tに付着している成型バリBの粗取り工程を示す図である。ここでは、ホルダ6の記載を省いている。先ず、図6の状態から図7(A)に示すように、ホルダ6が当接処理部7の上空に移動され、シリンジ2の先端部2Tが粘着シート71と対向する状態とされる。
次に、図7(B)に示すように、ホルダ6が下降され、先端部2Tが粘着シート71に当接される。この当接は、シリンジ2の自重での当接とするので、ホルダ6の前記チャック機構は、先端部2Tが粘着シート71に当接すると同時に、その保持力を解除する。或いは、先端部2Tが粘着シート71に対して0.2mm〜1mm程度まで接近した時点でホルダ6の下降を停止させ、その後に前記チャック機構を解除し、シリンジ2を自然落下させることによって、先端部2Tを粘着シート71に当接させるようにしても良い。この方法であれば、先端部2Tが粘着シート71に押し付けられてしまう危惧を回避することができる。この当接によって、先端部2Tに存在している成型バリBは、粘着シート71に粘着することになる。
その後、図7(C)に示すように、ホルダ6を上昇させることによって、先端部2Tが粘着シート71から上方へ離間するように、シリンジ2が上昇される。この上昇動作の前に、ホルダ6の前記チャック機構が動作され、シリンジ2を保持する状態とされる。通常、成型バリBは極めて薄いシート片であり、先端部2Tに強固に取り付いているわけではない。このため、成型バリBが粘着シート71に粘着した状態でシリンジ2が上方に引き上げられると、少なくとも比較的大きな成型バリB、つまり粘着シート71に対する粘着面積が比較的大きくなる成型バリBについては、先端部2Tから離脱して粘着シート71上に残る。これにより、バリの粗取りが完了する。
図8は、第1当接工程における好ましい態様を示す図である。ここでは、先端部2Tを粘着シートへ当接させた状態で、シリンジ2を揺動させる例を示している。シリンジ2は、先端部2Tの反対側にシリンジ基端部21(根元部)を有する。前記揺動は、先端部2Tを粘着シート71へ当接させた状態で、シリンジ基端部21が周回運動を行うように、シリンジ2を動かす動作である。この方法によれば、先端部2Tの先端環状面24A(図5)だけでなく、その周縁に存在する成型バリBを粘着シート71へ漏れなく当接させることができる。従って、前記粗取りによって除去できる成型バリBの割合を高めることができる。このような揺動動作は、水平面内で回転運動を行うことが可能な駆動ステージでホルダ6を保持させることによって実現することができる。
図9(A)〜(C)は、熱処理工程の手順を示す図である。ここでも、ホルダ6の記載を省いている。先ず、図7(C)の状態から図9(A)に示すように、ホルダ6が熱処理部8の上空に移動され、シリンジ2の先端部2Tが面ヒーター81と対向する状態とされる。面ヒーター81は、シリンジ2を構成する熱可塑性樹脂を少なくとも部分的に溶融させることが可能な温度環境を、その上面に形成することができるヒーターである。図9(B)には、面ヒーター81によって形成される加熱領域82(前記温度環境を形成する領域)を図示している。
次に、図9(B)に示すように、ホルダ6を下降させ、先端部2Tを加熱領域82に進入させる。先端部2Tが面ヒーター81に対して所定のギャップ(0.2mm〜3mm程度)を持つ地点に至ると、ホルダ6の下降が停止される。この状態で、所定の熱処理時間だけ保持される。面ヒーター81として、ホットプレートを用いる場合の具体例を挙げる。例えば、時間=2分の熱処理を先端部2Tに対して行う場合、ホットプレートの発熱面の発熱設定温度を157.5℃、先端部2Tと面ヒーター81との間のギャップを0.3mmとすれば良い。なお、先端部2Tを面ヒーター81に接面させると、先端開口24の形状が変形してしまうので好ましくない。従って、ホルダ6の前記チャック機構は動作状態を継続し、シリンジ2を保持し続ける状態とされる。
その後、図9(C)に示すように、ホルダ6を上昇させることによって、先端部2Tが面ヒーター81から上方へ離間するように、シリンジ2が上昇される。この上昇によって、先端部2Tは加熱領域82から抜け出すので、これ以上加熱されることはない。加熱領域82に所定時間だけ先端部2Tを曝すことによって、第1当接工程による粗取りで除去しきれなかった比較的小さな成型バリBを消失させ、或いは球状に変形させることができる。
図10(A)〜(C)は、第2当接工程の手順、すなわちシリンジ2の先端部2Tに付着している残留バリを除去する工程を示す図である。この工程は、実質的に上述の第1当接工程と同じである。先ず、図9(C)の状態から図10(A)に示すように、ホルダ6が当接処理部7の上空に移動され、シリンジ2の先端部2Tが粘着シート71と対向する状態とされる。
次に、図10(B)に示すように、ホルダ6が下降され、先端部2Tが粘着シート71に当接される。この第2当接工程おける当接も、シリンジ2の自重での当接とされる。従って、ホルダ6の前記チャック機構は、先端部2Tが粘着シート71に当接すると同時に、若しくは当接の直前に解除される。この当接によって、先端部2Tに残存している小さな成型バリB乃至は熱変形した球状片は、粘着シート71に粘着することになる。その後、図10(C)に示すように、ホルダ6を上昇させることによって、先端部2Tが粘着シート71から上方へ離間するように、シリンジ2が上昇される。これにより、残存バリの除去が完了する。
本実施形態に沿ったバリ取りの具体例を、シリンジ2の先端部2Tの撮像写真と共に示す。
<実施例1>
実施例1では、射出成型で得られたシリンジ2に対し、上記で説明した、第1当接工程、熱処理工程及び第2当接工程の全てを実行する例を示す。シリンジ2の構成材料は、融点が160℃のポリプロピレン、シリンジ2の肉厚=20μm、先端開口径=180μm、重量=0.049gである。第1当接工程及び第2当接工程で用いた粘着層の粘着力は、1N/20mmである。また、熱処理は、ホットプレートの発熱面の発熱設定温度=142℃、先端部2Tと前記発熱面とのギャップ=1mm、熱処理時間=2分とした。
図13は、実施例1に供したシリンジ2の、射出成型後の先端部2Tの端面を示す写真である。この写真は、先端部2Tに対して何ら処理が行われていない状態を示しており、成型バリが先端部2Tに存在していることが認められる。特に、先端開口の内周縁から径方向内側に向けて比較的大きなバリが突出していることが判る。図14は、第1当接工程の実行後の、当該シリンジ2の先端部2Tの端面を示す写真である。ここでは、図13の状態で存在していた大きなバリは除去されている。但し、若干の比較的小さなバリが先端開口の内周縁に残存していることが判る。図15は、熱処理が施された後の、先端部2Tの端面を示す写真である。ここでは、熱処理によって、前記小さなバリがシュリンクしていることが確認できる。図16は、第2当接工程の実行後の、先端部2Tの端面を示す写真である。先端開口の内周縁のバリはほぼ完全に消失し、先端開口の真円度が向上していることが判る。
<実施例2>
実施例2では、射出成型で得られたシリンジ2に対し、上記で説明した、第1当接工程及び熱処理工程だけを実行する例を示す。シリンジ2は、実施例1と同じものを用いた。第1当接工程で用いた粘着層の粘着力は、1N/20mmである。熱処理は、ホットプレートの発熱面の発熱設定温度=142℃、先端部2Tと前記発熱面とのギャップ=1mm、熱処理時間=1分30秒とした。
図17は、実施例2に供したシリンジ2の、射出成型後の先端部2Tの端面を示す写真、すなわち先端部2Tに対して何ら処理が行われていない状態の写真である。ここでは、成型バリが先端部2Tに存在していることが認められる。図18は、第1当接工程の実行後の、当該シリンジ2の先端部2Tの端面を示す写真である。ここでは、図17の状態で存在していた大きなバリは除去されている。図19は、熱処理が施された後の、先端部2Tの端面を示す写真である。ここでは、熱処理によって、第1当接工程後に残存していた小さなバリが消失していることが確認できる。
以上説明したバリ取り方法(細径チップの製造方法)によれば、粘着シート71にシリンジ2の先端部2Tを当接させることによって、当該先端部2T付近に存在している成型バリBが粘着シート71へ粘着する。その後に先端部2Tを粘着シート71から離間させることで、当該先端部2Tから成型バリBを粗取りすることができる。粘着シート71への当接は、シリンジ2の自重に依存した当接であるので、先端開口24を有する先端部2Tへ徒にダメージを与えることはない。その後に、面ヒーター81が作る加熱領域82へ先端部2Tを所定時間だけ曝す熱処理が施されることによって、前記粗取りでは除去しきれなかったバリが消失する、乃至は球状に変形する。さらに、熱処理後の、先端部2Tを粘着シート71へ再度当接させる工程の実行により、バリが先端部2T付近に残存している場合でも、これを除去することができる。従って、先端部2Tから成型バリBを簡便且つ確実に除去することができる。また、上記のバリ取り方法により得られたシリンジ2は、粘着シート71に対する当接処理及び面ヒーター81による熱処理が施された先端部2Tを有するので、成型バリBの存在しないものとすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、1本のシリンジ2の単位で、当接工程及び熱処理工程を実行する例を示したが、複数本のシリンジ2の単位で各工程を実行するようにしても良い。
図11及び図12は、本発明のバリ取り方法の他の実施形態を説明するための図である。ここでは、1列に配列された4本のシリンジ2が、1つのホルダ6Aにより保持される例を示している。各々のシリンジ2の先端部2Tには、成型バリBが付着している。さらに多数本のシリンジ2を、1列に配列若しくはマトリクス状に配列してホルダ6Aに保持させるようにしても良い。
図11は、上述の第1当接工程(粗取り工程)の実行状況を示す図である。4本のシリンジ2は、先端部2Tが面一に位置合わせされた状態で、ホルダ6Aによってアレイ状に保持されている。ホルダ6Aが当接処理部7の上空に移動された後、当該ホルダ6Aが下降され、各々の先端部2Tが粘着シート71に当接される。この際、ホルダ6Aが備えるチャック機構は、先端部2Tが粘着シート71に当接すると同時に、若しくは当接の直前に解除される。その後、図12に示すように、ホルダ6Aが熱処理部8の上空に移動されと共に下降され、面ヒーター81の加熱領域82内に先端部2Tが進入される。この変形実施形態によれば、多数本のシリンジ2のバリ取り(製造)を同時に実行できるので、作業効率を向上させることができる。
この他、熱処理部8における加熱源として面ヒーター81を例示したが、これは一例であり、各種の電気式ヒーター若しくは電気以外のヒーター、温風発生装置などを適用することができる。また、細径チップの一例としてシリンジ2を例示したが、先端開口を有する管状の部材全般に対して本発明を適用することができる。
1 シリンダチップ
2 シリンジ(細径チップ)
2P 管状通路
2T 先端部
21 シリンジ基端部(根元部)
22 シリンジ本体部(本体部)
24 先端開口
3 プランジャ
5 金型
6、6A ホルダ
7 当接処理部
71 粘着シート(粘着層)
8 熱処理部
81 面ヒーター
82 加熱領域
B 成型バリ

Claims (10)

  1. 管状の内部通路を備えた本体部と、前記本体部の一端に形成され前記内部通路の終端部である先端開口を有する先端部とを備え、熱可塑性樹脂の注型により形成され、前記先端部に成型バリを有する細径チップを準備する工程と、
    前記細径チップの先端部を、所定の粘着力を有する粘着層に前記細径チップの自重をもって当接させる工程と、
    を備える細径チップのバリ取り方法。
  2. 請求項1に記載の細径チップのバリ取り方法において、
    前記当接を解除した後、前記細径チップの先端部を、前記熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す熱処理を行う工程をさらに備える、細径チップのバリ取り方法。
  3. 請求項2に記載の細径チップのバリ取り方法において、
    前記熱処理の工程の後に、前記細径チップの先端部を前記粘着層に前記細径チップの自重をもって再度当接させる工程をさらに備える、細径チップのバリ取り方法。
  4. 請求項1に記載の細径チップのバリ取り方法において、
    前記細径チップは、前記本体部の他端側に根元部を有し、
    前記当接させる工程は、前記先端部を前記粘着層へ当接させた状態で、前記根元部が周回運動を行うように前記細径チップを揺動させる動作を含む、細径チップのバリ取り方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の細径チップのバリ取り方法において、
    前記先端開口の開口径が10μm〜300μm、前記先端部の肉厚が10μm〜100μmの範囲にある細径チップが、前記準備する工程において準備される、細径チップのバリ取り方法。
  6. 管状の内部通路を備えた本体部と、前記本体部の一端に形成され前記内部通路の終端部である先端開口を有する先端部とを備える細径チップを、嵌め合い型と中子とを用いた熱可塑性樹脂の射出成型により形成する工程と、
    前記細径チップの先端部を、所定の粘着力を有する粘着層に前記細径チップの自重をもって当接させる工程と、
    を備える細径チップの製造方法。
  7. 請求項6に記載の細径チップの製造方法において、
    前記当接を解除した後、前記細径チップの先端部を、前記熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す熱処理を行う工程をさらに備える、細径チップの製造方法。
  8. 管状の内部通路を備え、熱可塑性樹脂からなる本体部と、
    前記本体部の一端に形成され、前記内部通路の終端部である先端開口を有する先端部と、
    前記本体部の他端側に形成された根元部と、を備え、
    前記先端部は、当該先端部に成型バリを有する状態において所定の粘着力を有する粘着層に前記細径チップの自重をもって当接させることにより形成されたものである、細径チップ。
  9. 請求項8に記載の細径チップにおいて、
    前記先端部は、前記当接を解除した後、前記細径チップの先端部を、前記熱可塑性樹脂を部分的に溶融させることが可能な温度環境下に曝す熱処理をさらに行うことによって形成されたものである、細径チップ。
  10. 請求項8又は9に記載の細径チップにおいて、
    前記先端開口の開口径が10μm〜300μm、前記先端部の肉厚が10μm〜100μmの範囲にある、細径チップ。
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