JP2008110494A - 凹凸面を有する部材の製造方法 - Google Patents
凹凸面を有する部材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008110494A JP2008110494A JP2006293333A JP2006293333A JP2008110494A JP 2008110494 A JP2008110494 A JP 2008110494A JP 2006293333 A JP2006293333 A JP 2006293333A JP 2006293333 A JP2006293333 A JP 2006293333A JP 2008110494 A JP2008110494 A JP 2008110494A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermoplastic resin
- mold
- molding
- uneven surface
- reduced pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】加工精度の良好なマイクロデバイスを簡便に製造する製造方法を提供する。
【解決手段】金型1の表面に設けられた凹部11付近に熱可塑性樹脂シート2を配置し、熱可塑性樹脂シート2を減圧条件下において加熱する減圧加熱工程と、加熱された熱可塑性樹脂シート2に対し、減圧条件からの昇圧に伴う押圧力を用いて熱可塑性樹脂シート2を凹部11に押し込んで成形する凹形状転写工程と、を有することを特徴とする凹凸面を有する成形体21の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】金型1の表面に設けられた凹部11付近に熱可塑性樹脂シート2を配置し、熱可塑性樹脂シート2を減圧条件下において加熱する減圧加熱工程と、加熱された熱可塑性樹脂シート2に対し、減圧条件からの昇圧に伴う押圧力を用いて熱可塑性樹脂シート2を凹部11に押し込んで成形する凹形状転写工程と、を有することを特徴とする凹凸面を有する成形体21の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は凹凸面を有する部材の製造方法に関し、より詳しくは、特に微細な凹凸形状を有する部材を良好かつ簡便に成形することが可能な凹凸面を有する部材の製造方法に関する。
医療分野等において、マイクロデバイスが注目されている。このようなマイクロデバイスとしては、例えば、長さ数百μm程度のマイクロニードルアレイを挙げることができる。このようなマイクロニードルアレイを用いれば、痛みや出血をほとんど伴うことなく、採血や薬物の皮膚への注入等を行うことができる。
このようなマイクロニードルアレイを作成する方法としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)をレジスト材として用い、マスク材を適宜移動させつつX線をレジスト材に照射し、更に現像してマイクロニードルアレイを直接的に作成する方法が知られている(特許文献1参照)。また、同文献には、上記レジスト材にて形成されたマイクロニードルアレイを母型として電鋳加工を行い、反転させた形状の凹凸を有する金属製微細構造体を得、更にはこの金属製微細構造体を金型として用いることにより、マイクロニードルアレイを大量に生産する方法についても記載されている。なお、同文献に具体的に記載された大量生産方法としては、ホットエンボス加工、射出形成等の転写成形加工が挙げられている。
また、マイクロデバイスを大量生産する転写成形加工の他の例としては、上記の他、金型を用いた圧縮成形、焼結プロセスが知られている(特許文献2参照)。なお、同文献には、射出成形プロセスの間に型キャビティの凹みが完全に充填されない不具合を改善する観点から、射出成形を真空条件下で実行することについても記載されている。
しかしながら、特に医療分野において使用されるマイクロデバイスについては、薬物の皮膚への注入量を精度よく管理する観点等から、より高い加工精度を有するマイクロデバイスが望まれる。上記引用文献1,2に記載の転写成形加工法において、常圧領域で行われる加工法については、型キャビティの凹みが原材料によって完全に充填されず、キャビティの凹みを正確に反映したマイクロデバイスが得られない場合がある。
また、上記引用文献2記載の真空条件下で実行される射出成形を採用する方法については、
(1)射出機が併設されるため装置が大掛りになる傾向となること、
(2)真空条件下で樹脂を良好に射出するための各種制御手段や金型の加工等が必要になり、装置が更に大掛りになる傾向となること、
(3)射出成形可能な粘度にまで原材料を加熱した上で射出の際に大きな剪断応力が樹脂に付与されることから、原材料に対する熱的/力学的な負荷が大きくなる傾向となり、原材料からの揮発成分が金型内の真空度を損なう場合があること、
(4)樹脂の性状によっては射出成形が不可能な場合があり、適用可能な樹脂の種類が限定される場合があること、
等が懸念され、加工精度の向上したマイクロデバイスを簡便に製造するという観点からは、なお改善の余地を有するものであった。
尚、包装容器の成形分野においては、型内を減圧できるように空孔が設けられた凹金型に対し、加熱軟化された樹脂シートを被覆し、凹金型内を減圧することによる成形方法(真空成形法)や、凹金型と凸金型を併用し、凸金型に設けられた空孔から圧縮空気を押し出すことによる成形方法(圧空成形)、これらを組み合わせた成形方法(真空圧空成形)等もあるが、このような成形方法は、マイクロデバイスのような加工精度の高い成形品や微細な成形品の成形に対しては適当な方法ではない。
(1)射出機が併設されるため装置が大掛りになる傾向となること、
(2)真空条件下で樹脂を良好に射出するための各種制御手段や金型の加工等が必要になり、装置が更に大掛りになる傾向となること、
(3)射出成形可能な粘度にまで原材料を加熱した上で射出の際に大きな剪断応力が樹脂に付与されることから、原材料に対する熱的/力学的な負荷が大きくなる傾向となり、原材料からの揮発成分が金型内の真空度を損なう場合があること、
(4)樹脂の性状によっては射出成形が不可能な場合があり、適用可能な樹脂の種類が限定される場合があること、
等が懸念され、加工精度の向上したマイクロデバイスを簡便に製造するという観点からは、なお改善の余地を有するものであった。
尚、包装容器の成形分野においては、型内を減圧できるように空孔が設けられた凹金型に対し、加熱軟化された樹脂シートを被覆し、凹金型内を減圧することによる成形方法(真空成形法)や、凹金型と凸金型を併用し、凸金型に設けられた空孔から圧縮空気を押し出すことによる成形方法(圧空成形)、これらを組み合わせた成形方法(真空圧空成形)等もあるが、このような成形方法は、マイクロデバイスのような加工精度の高い成形品や微細な成形品の成形に対しては適当な方法ではない。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、加工精度の良好なマイクロデバイスを簡便に製造することにある。
かくして本発明によれば、成形型の表面に設けられた凹部付近に成形用部材を配置し、成形用部材を減圧条件下において加熱する減圧加熱工程と、加熱された成形用部材に対し、減圧条件からの昇圧に伴う押圧力を用いて成形用部材を凹部に押し込んで成形する凹形状転写工程と、を有することを特徴とする凹凸面を有する部材の製造方法が提供される。
ここで、本発明が適用される凹凸面を有する部材の製造方法において、成形用部材が熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このとき、熱可塑性樹脂がシート形状を有すると共に、減圧加熱工程における配置を、凹部を覆ってシート形状を有する熱可塑性樹脂を配置することによって行うことが好ましい。
また、熱可塑性樹脂がペレット形状を有すると共に、減圧加熱工程における配置を、ペレット形状を有する熱可塑性樹脂を成形型の表面全体に敷き詰めることによって行うことが好ましい。
ここで、本発明が適用される凹凸面を有する部材の製造方法において、成形用部材が熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このとき、熱可塑性樹脂がシート形状を有すると共に、減圧加熱工程における配置を、凹部を覆ってシート形状を有する熱可塑性樹脂を配置することによって行うことが好ましい。
また、熱可塑性樹脂がペレット形状を有すると共に、減圧加熱工程における配置を、ペレット形状を有する熱可塑性樹脂を成形型の表面全体に敷き詰めることによって行うことが好ましい。
次に、本発明が適用される凹凸面を有する部材の製造方法において、凹形状転写工程の後、成形用部材部材に対して流体を吹き付け、成形用部材部材を成形型より剥離させる剥離工程を有することが好ましい。
また、凹部に剥離処理がなされていることが好ましい。
さらに、減圧加熱工程における加熱により成形用部材を溶融させることが好ましい。
また、凹部に剥離処理がなされていることが好ましい。
さらに、減圧加熱工程における加熱により成形用部材を溶融させることが好ましい。
本発明によれば、加工精度の良好なマイクロデバイスを簡便に製造し得る。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
図1は、本実施の形態が適用される凹凸面を有する部材の製造方法の一例を説明するための断面図である。図1(a)において、成形型の一例としての金型1は表面に凹部11を複数個有するものである。また、凹部11を覆うように成形用部材の一例としての熱可塑性樹脂シート2が金型1の表面に載置されている。
(金型1)
金型1の素材としては金属に限定されるものではなく、本実施の形態の目的を損なわない範囲で任意の素材を選択することができる。このような素材としては、例えば、金属(ニッケル及びその合金、銅及びその合金、鉄及びその合金等)、セラミックス、ガラス、樹脂等が挙げられる。なお、金型1の素材としては、熱可塑性樹脂シート2よりも融点や軟化点の高い素材を用いることが好適である。
金型1の素材としては金属に限定されるものではなく、本実施の形態の目的を損なわない範囲で任意の素材を選択することができる。このような素材としては、例えば、金属(ニッケル及びその合金、銅及びその合金、鉄及びその合金等)、セラミックス、ガラス、樹脂等が挙げられる。なお、金型1の素材としては、熱可塑性樹脂シート2よりも融点や軟化点の高い素材を用いることが好適である。
次に、金型1の作成方法について説明する。金型1の作成方法については特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、金型母材を直接加工して金型1を作成する方法を採用し得る。また、金型1の凹部形状に対応する凸部表面形状を有する原盤を予め準備した後、形状を転写して金型を形成する方法(電鋳加工法、特開2005−246595号公報等参照)を採用し得る。後者の方法を例示すると、予め用意した原盤の有する凸部表面に、めっき処理(例えばニッケルめっき処理)によりめっき被膜を形成し、このめっき被膜を導電層膜として電鋳加工を行ってニッケルやニッケル合金等からなる金属層を更に形成する。その後、原盤を除去(溶解や剥離等による除去)することにより、金属層のみが残存して金型1が形成される。
なお、本実施の形態において、金型1の表面には凹部11のみが形成されているが、場合によって凸部を形成してもよいことは云うまでもない。
なお、本実施の形態において、金型1の表面には凹部11のみが形成されているが、場合によって凸部を形成してもよいことは云うまでもない。
また、上記原盤の作成方法については公知の方法を採用し得、加工寸法や加工精度に応じて方法を適宜選択することができる。このような原盤の作成方法としては、例えば、機械切削加工法、放電加工法、ワイヤー加工法、放射線(レーザ、電子線、X線、イオン線)を用いる方法、エッチング加工法(ドライエッチング法、ウェットエッチング法)等が挙げられる。
金型1の表面、特に凹部11付近の表面には、剥離処理が施されていることが好適である。このような剥離処理を施すことにより、本実施の形態により得られる凹凸面を有する部材の表面形状をより確実に維持しつつ、部材を金型より剥離させることができる。このような剥離処理として具体的には、例えば、フッ素コーティング処理、DLC処理、TiNコーティング処理等を挙げることができる。また、剥離処理としては、型の表面に前記処理を施す他に、離型剤等を型の表面に塗布、噴霧等することによってもよい。
なお、場合によっては剥離時に、部材の形状を積極的に変形させる(例えば、剥離方向に沿って部材を引き伸ばす)ことも可能である。この場合には、剥離処理を施さない方が好適である。
なお、場合によっては剥離時に、部材の形状を積極的に変形させる(例えば、剥離方向に沿って部材を引き伸ばす)ことも可能である。この場合には、剥離処理を施さない方が好適である。
(熱可塑性樹脂シート2)
次に、本実施の形態において用いられる成形用部材の一例としての熱可塑性樹脂シート2について説明する。
熱可塑性樹脂シート2の素材としては、特に限定されるものではないが、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリエステル、酢酸セルロース、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、キトサン−セルロース−デンプン等、常温〜300℃の温度で溶融する樹脂を挙げることができる。また、熱可塑性を有する温度範囲で、エポキシ樹脂やポリメチルシロキサン等の熱硬化性樹脂を使用することもできる。
中でも、透明な素材を用いると、光学分野への適用が広がるため好ましい。また、生分解性樹脂を用いると、医療分野や診断分野等への適用が広がるため好ましい。
尚、本実施の形態では、成形用部材として熱可塑性樹脂を用いる場合について説明するが、本発明において使用する成形部材の材質は特に限定されず、加熱状態において塑性的変形を生じるものであれば使用することができる。また、成形用部材は有機物質または無機物質のいずれも使用できる。中でも、有機物質が好ましい。有機物質としては低分子化合物または高分子化合物(樹脂)のいずれも使用できるが、これらの中でも熱可塑性樹脂が好ましく、特にシート状の熱可塑性樹脂が好ましい。さらに、有機物質としては、酒石酸、糖類を使用することができる。
次に、本実施の形態において用いられる成形用部材の一例としての熱可塑性樹脂シート2について説明する。
熱可塑性樹脂シート2の素材としては、特に限定されるものではないが、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリエステル、酢酸セルロース、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、キトサン−セルロース−デンプン等、常温〜300℃の温度で溶融する樹脂を挙げることができる。また、熱可塑性を有する温度範囲で、エポキシ樹脂やポリメチルシロキサン等の熱硬化性樹脂を使用することもできる。
中でも、透明な素材を用いると、光学分野への適用が広がるため好ましい。また、生分解性樹脂を用いると、医療分野や診断分野等への適用が広がるため好ましい。
尚、本実施の形態では、成形用部材として熱可塑性樹脂を用いる場合について説明するが、本発明において使用する成形部材の材質は特に限定されず、加熱状態において塑性的変形を生じるものであれば使用することができる。また、成形用部材は有機物質または無機物質のいずれも使用できる。中でも、有機物質が好ましい。有機物質としては低分子化合物または高分子化合物(樹脂)のいずれも使用できるが、これらの中でも熱可塑性樹脂が好ましく、特にシート状の熱可塑性樹脂が好ましい。さらに、有機物質としては、酒石酸、糖類を使用することができる。
熱可塑性樹脂シート2の厚さとしては、通常0.01mm〜5mm、好ましくは0.1mm〜2mmである。厚さが過度に大きいと、熱可塑性樹脂シート2を可塑化、乃至溶融させるために要する時間が長くなり過ぎる場合がある。また、厚さが過度に小さいと、熱可塑性樹脂シート2を凹部11の形状に即して変形させる際にシートが収縮して破断する場合がある。
(減圧加熱工程)
そして、図1(a)に示す金型1と熱可塑性樹脂シート2との積層体を、減圧条件下において加熱する。本実施の形態においては、後述する凹形状転写工程において利用される押圧力が十分な大きさを有するよう、減圧条件を設定する。また、そのような押圧力により熱可塑性樹脂シート2が十分に変形可能となるよう、熱可塑性樹脂シート2の加熱条件を設定する。
そして、図1(a)に示す金型1と熱可塑性樹脂シート2との積層体を、減圧条件下において加熱する。本実施の形態においては、後述する凹形状転写工程において利用される押圧力が十分な大きさを有するよう、減圧条件を設定する。また、そのような押圧力により熱可塑性樹脂シート2が十分に変形可能となるよう、熱可塑性樹脂シート2の加熱条件を設定する。
減圧と加熱のタイミングについては、減圧と加熱のどちらを先に開始してもよく、本実施の形態の目的を損なわない範囲で適宜タイミングを調整すればよい。
なお、熱可塑性樹脂シート2が加熱により可塑化、乃至溶融された時点で上記減圧条件が既に達成されていることが好ましい。熱可塑性樹脂シート2が可塑化、乃至溶融すると、熱可塑性樹脂シート2が金型1に密着する傾向となり、その後に凹部11内部から気体を吸引することが困難になる場合がある。減圧条件が達成された後に加熱により熱可塑性樹脂シート2が金型1に密着した場合には、後述する凹形状転写工程において気圧が昇圧する際に、より効果的に熱可塑性樹脂シート2を凹部11へ押し込むことが可能となるため好適である。
なお、熱可塑性樹脂シート2が加熱により可塑化、乃至溶融された時点で上記減圧条件が既に達成されていることが好ましい。熱可塑性樹脂シート2が可塑化、乃至溶融すると、熱可塑性樹脂シート2が金型1に密着する傾向となり、その後に凹部11内部から気体を吸引することが困難になる場合がある。減圧条件が達成された後に加熱により熱可塑性樹脂シート2が金型1に密着した場合には、後述する凹形状転写工程において気圧が昇圧する際に、より効果的に熱可塑性樹脂シート2を凹部11へ押し込むことが可能となるため好適である。
上記加熱の際の加熱温度や加熱時間については、使用する熱可塑性樹脂シート2の素材の種類、厚さ等により適宜設定されるが、通常150℃〜250℃で1秒〜5分程度である。加熱法としては任意の加熱法を用いることができ、ヒーターを用いる方法や高周波誘導にて加熱する方法等を用いることができる。
一方、上記減圧条件としては、使用する熱可塑性樹脂シート2の素材や厚さ、加熱温度等によって適宜設定されるが、通常、大気圧以下、好ましくは5×104Pa以下、より好ましくは1×104Pa以下である。減圧度の上限値は限定されないが、真空度が過度に高い場合は、シートの発泡による穴あきが起こる場合や、復圧に時間を要する場合があるので、通常1×103Pa以上である。
なお、金型1と熱可塑性樹脂シート2との積層体を減圧条件下において加熱する方法としては、真空オーブン内に当該積層体を設置する方法、遠赤外線を照射する方法等、任意の方法を用いることができる。
また、本実施の形態においては、金型1と熱可塑性樹脂シート2との積層体全体について減圧条件下に置いているが、熱可塑性樹脂シート2を含む、金型1上の一定の空間のみを減圧条件下で加熱しても良い。即ち、例えば金型1に対応し、表面に凹部を備える下型と、この下型と気密に当接して前記凹部を内包する密閉空間を形成する上型とを有する金型を用いれば、上記と同様の減圧加熱工程を実施することができる。
また、本実施の形態においては、金型1と熱可塑性樹脂シート2との積層体全体について減圧条件下に置いているが、熱可塑性樹脂シート2を含む、金型1上の一定の空間のみを減圧条件下で加熱しても良い。即ち、例えば金型1に対応し、表面に凹部を備える下型と、この下型と気密に当接して前記凹部を内包する密閉空間を形成する上型とを有する金型を用いれば、上記と同様の減圧加熱工程を実施することができる。
本実施の形態においては熱可塑性樹脂シート2が可塑化、乃至溶融状態となるまで加熱しているが、このような可塑化、乃至溶融状態を後述する凹形状転写工程にて実現させる場合には、減圧加熱工程における加熱の程度を熱可塑性樹脂シート2の軟化レベルに留めることも可能である。
なお、本実施の形態においては、上述した減圧条件下での加熱により、金型1上で熱可塑性樹脂シート2が若干収縮している(図1(b))。
なお、本実施の形態においては、上述した減圧条件下での加熱により、金型1上で熱可塑性樹脂シート2が若干収縮している(図1(b))。
(凹形状転写工程)
前記減圧加熱工程の後、前記減圧条件を解除(例えば、真空オーブン内を昇圧)する。そして、かかる減圧条件の解除により、熱可塑性樹脂シート2の周囲に流入する気体等の流体が押圧力をもたらし、この押圧力が可塑化した熱可塑性樹脂シート2を凹部11に押し込む。このような押し込みにより、凹部11内の内壁面形状が熱可塑性樹脂シート2に転写され、凹部11内の内壁面形状に対応した凸部表面形状(凸部211)を有する成形体21が形成される(図1(c))。
前記減圧加熱工程の後、前記減圧条件を解除(例えば、真空オーブン内を昇圧)する。そして、かかる減圧条件の解除により、熱可塑性樹脂シート2の周囲に流入する気体等の流体が押圧力をもたらし、この押圧力が可塑化した熱可塑性樹脂シート2を凹部11に押し込む。このような押し込みにより、凹部11内の内壁面形状が熱可塑性樹脂シート2に転写され、凹部11内の内壁面形状に対応した凸部表面形状(凸部211)を有する成形体21が形成される(図1(c))。
なお、押圧力を得るためには上記減圧条件が解除されれば足りるため、必ずしも大気圧にまで昇圧させる必要はない。昇圧後の気圧としては、通常2×104Pa以上、好ましくは6×104Pa以上である。また、昇圧前後の気圧差としては、通常1×104Pa以上、好ましくは5×104Pa以上である。なお、昇圧速度については熱可塑性樹脂シート2の変形時の剪断速度等に寄与し得るが、熱可塑性樹脂シート2の材質等に応じて適宜設定される。
(剥離工程)
その後、成形体21を金型1から剥離させる(図1(d))。この場合、剥離前に冷却を行うか否かは任意である。また、剥離の方法についても特に制限は無く、成形体21を把持して凹部11より引っ張り出しても良い。成形体21の凸部211を破損乃至変形させることなくより安全に、均一に凹部11の外部へ取り出す観点から、成形体21と金型1との間に流体を吹き付けて成形体21を金型1より剥離させる方法も好適である。なお、ここでいう流体としては、例えば、空気、窒素ガス、水等を挙げることができる。また、流体を吹き付ける方法以外に、超音波等の振動を付与することも好適である。
その後、成形体21を金型1から剥離させる(図1(d))。この場合、剥離前に冷却を行うか否かは任意である。また、剥離の方法についても特に制限は無く、成形体21を把持して凹部11より引っ張り出しても良い。成形体21の凸部211を破損乃至変形させることなくより安全に、均一に凹部11の外部へ取り出す観点から、成形体21と金型1との間に流体を吹き付けて成形体21を金型1より剥離させる方法も好適である。なお、ここでいう流体としては、例えば、空気、窒素ガス、水等を挙げることができる。また、流体を吹き付ける方法以外に、超音波等の振動を付与することも好適である。
ここで、成形体21の成形時には樹脂材料の収縮を伴う場合があり、かかる場合には成形体21の上面(上記凸部211が形成された面の裏面)に凹凸が生じる場合がある。そのような凹凸面をフラットにする方法としては、成形体21が完全に冷却固化する前に当該凹凸面を平面部材の表面で押圧する方法や、成形体21の固化後に平面に研削する方法等が挙げられる。このようなフラット化は、上記剥離工程の前後、いずれにおいて行なってもよい。
(成形体21)
このようにして得られる成形体21の形状としては、特に限定されるものではなく、用途に応じた形状とすることができる。成形体21の表面に形成される凸部211の形状としては、例えば、(楕)円柱形状、(楕)円錐形状、三角柱形状や四角柱形状といった多角柱形状、三角錐形状や四角錐形状といった多角錐形状等を挙げることができる。凸部211が切り込み部や穴部を備えることも可能である。
このようにして得られる成形体21の形状としては、特に限定されるものではなく、用途に応じた形状とすることができる。成形体21の表面に形成される凸部211の形状としては、例えば、(楕)円柱形状、(楕)円錐形状、三角柱形状や四角柱形状といった多角柱形状、三角錐形状や四角錐形状といった多角錐形状等を挙げることができる。凸部211が切り込み部や穴部を備えることも可能である。
凸部211の高さや径等についても、特に限定されるものではない。例えば、マイクロデバイスを念頭に置く場合、凸部211の高さとしては、通常1μm〜2000μm、好ましくは10μm〜500μmである。また、凸部211の径(長径と短径が存在する場合には、最長の長径)としては、通常10μm〜500μm、好ましくは50μm〜200μmである。更に、凸部211のアスペクト比としては、(凸部211の高さ)/(凸部211の径)の比の値として、1〜10、好ましくは1〜5である。
なお、本実施の形態においては、凹凸面を有する部材の原料となる熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂シート2を用いたが、熱可塑性樹脂の態様としてはシート形状に限定されるものではなく、ペレット形状、粉末状、或いは液状の樹脂を用いることも可能である。ペレット形状の熱可塑性樹脂を用いる場合には、効率よく溶融させる観点から、粒径5mm以下のペレットを用いることが好適である。
また、成形体21の用途としても、特に限定されるものではない。医療分野や光学分野等に限らず、加工精度の良好なマイクロデバイスが必要とされる種々の分野において好適に用いることができるものである。
本実施の形態の製造方法は、加圧機構や射出機の併設等が不要であるため装置が簡便であり、原料樹脂の態様(シート状、ペレット状等)による制限も無く、原料樹脂への負荷も小さく、操作も簡便である。しかも、金型の形状を精度よく転写することができるため、特に微細な表面形状を有する成形体の製造に適した方法である。
本実施の形態の製造方法は、加圧機構や射出機の併設等が不要であるため装置が簡便であり、原料樹脂の態様(シート状、ペレット状等)による制限も無く、原料樹脂への負荷も小さく、操作も簡便である。しかも、金型の形状を精度よく転写することができるため、特に微細な表面形状を有する成形体の製造に適した方法である。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。尚、本実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
研削加工法を用いて、高さ300μm、底辺の1辺の長さ100μmの略正四角錐形状を有する凸形状が形成された原盤を形成した。その後、めっき処理によりニッケル被膜を形成し、更に電鋳加工を行って金属層を形成し、更にこの金属層を前記原盤から剥離させた。このような方法により、上記凸形状に対応する形状の凹部を有するニッケル製の金型を作成した。
次いで、この金型の凹部を覆うように、乾燥したポリ乳酸シート(厚さ150μm)を載置した。
研削加工法を用いて、高さ300μm、底辺の1辺の長さ100μmの略正四角錐形状を有する凸形状が形成された原盤を形成した。その後、めっき処理によりニッケル被膜を形成し、更に電鋳加工を行って金属層を形成し、更にこの金属層を前記原盤から剥離させた。このような方法により、上記凸形状に対応する形状の凹部を有するニッケル製の金型を作成した。
次いで、この金型の凹部を覆うように、乾燥したポリ乳酸シート(厚さ150μm)を載置した。
次いで、ポリ乳酸シートを載置した金型を、220℃に設定された真空オーブンに入れた。この際、ポリ乳酸シートが溶融する前に油ドライポンプを用いてオーブン内を減圧状態にし(オーブン内圧力:減圧度として、−0.1MPa)、そのまま、ポリ乳酸シートが溶融するまで待った。
次いで、真空オーブンのバルブを開放してオーブン内に空気を導入した。その後、ポリ乳酸シートの成形体及び金型を真空オーブンから取り出し、室温にまで冷却した。
更に、上記金型と上記成形体との間にエアーを吹き付け、成形体を金型より剥離させた。得られた成形体の写真を図2に示す。
更に、上記金型と上記成形体との間にエアーを吹き付け、成形体を金型より剥離させた。得られた成形体の写真を図2に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして金型を形成した。次いで、この金型を射出成形機に取り付け、射出成形機に乾燥したポリ乳酸ペレットを供給し、射出成形を行なった(樹脂温度200℃、金型温度50℃、型締圧力50Ton)。
金型を冷却後、成形体を金型から取り出した。得られた成形体の写真を図3に示す。
実施例1と同様にして金型を形成した。次いで、この金型を射出成形機に取り付け、射出成形機に乾燥したポリ乳酸ペレットを供給し、射出成形を行なった(樹脂温度200℃、金型温度50℃、型締圧力50Ton)。
金型を冷却後、成形体を金型から取り出した。得られた成形体の写真を図3に示す。
実施例1で得られた成形体は、先端まで尖った四角錐形状の凸部を有する成形体であり、金型の凹部形状が正確に転写された成形体であった。
一方、比較例1で得られた成形体は、先端が丸まった凸部を有する成形体であり、金型の凹部形状が正確に転写された成形体は得られなかった(即ち、加工精度に劣る成形体であった)。
一方、比較例1で得られた成形体は、先端が丸まった凸部を有する成形体であり、金型の凹部形状が正確に転写された成形体は得られなかった(即ち、加工精度に劣る成形体であった)。
1…金型、2…熱可塑性樹脂シート、11…凹部、21…成形体、211…凸部
Claims (7)
- 成形型の表面に設けられた凹部付近に成形用部材を配置し、当該成形用部材を減圧条件下において加熱する減圧加熱工程と、
前記加熱された成形用部材に対し、前記減圧条件からの昇圧に伴う押圧力を用いて当該成形用部材を前記凹部に押し込んで成形する凹形状転写工程と、
を有することを特徴とする凹凸面を有する部材の製造方法。 - 前記成形用部材が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の凹凸面を有する部材の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂がシート形状を有すると共に、
前記減圧加熱工程における前記配置を、前記凹部を覆って前記シート形状を有する熱可塑性樹脂を配置することによって行うことを特徴とする請求項2記載の凹凸面を有する部材の製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂がペレット形状を有すると共に、
前記減圧加熱工程における前記配置を、前記ペレット形状を有する熱可塑性樹脂を前記成形型の表面全体に敷き詰めることによって行うことを特徴とする請求項2記載の凹凸面を有する部材の製造方法。 - 前記凹形状転写工程の後、前記成形用部材に対して流体を吹き付け、当該成形用部材を前記成形型より剥離させる剥離工程を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の凹凸面を有する部材の製造方法。
- 前記凹部に剥離処理がなされていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の凹凸面を有する部材の製造方法。
- 前記減圧加熱工程における加熱により前記成形用部材を溶融させることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の凹凸面を有する部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006293333A JP2008110494A (ja) | 2006-10-27 | 2006-10-27 | 凹凸面を有する部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006293333A JP2008110494A (ja) | 2006-10-27 | 2006-10-27 | 凹凸面を有する部材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008110494A true JP2008110494A (ja) | 2008-05-15 |
Family
ID=39443301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006293333A Pending JP2008110494A (ja) | 2006-10-27 | 2006-10-27 | 凹凸面を有する部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008110494A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010080763A (ja) * | 2008-09-26 | 2010-04-08 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 回折格子の形成方法および分布帰還型半導体レーザの製造方法 |
US20110127684A1 (en) * | 2009-07-09 | 2011-06-02 | Inha-Industry Partnership Institute | Apparatus and method for manufacturing micro lens array |
CN102689871A (zh) * | 2011-03-22 | 2012-09-26 | 昌微系统科技(上海)有限公司 | 医疗器件及其制造方法 |
JP7008854B1 (ja) | 2021-03-30 | 2022-01-25 | リンテック株式会社 | マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置 |
-
2006
- 2006-10-27 JP JP2006293333A patent/JP2008110494A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010080763A (ja) * | 2008-09-26 | 2010-04-08 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 回折格子の形成方法および分布帰還型半導体レーザの製造方法 |
US20110127684A1 (en) * | 2009-07-09 | 2011-06-02 | Inha-Industry Partnership Institute | Apparatus and method for manufacturing micro lens array |
CN102186659A (zh) * | 2009-07-09 | 2011-09-14 | 仁荷大学校产学协力团 | 制造微透镜阵列的装置和方法 |
JP2011526854A (ja) * | 2009-07-09 | 2011-10-20 | インハ インダストリー パートナーシップ インスティテュート | マイクロレンズアレイの製造装置及びマイクロレンズアレイの製造方法 |
US8501054B2 (en) * | 2009-07-09 | 2013-08-06 | Inha-Industry Partnership Institute | Apparatus and method for manufacturing micro lens array |
CN102689871A (zh) * | 2011-03-22 | 2012-09-26 | 昌微系统科技(上海)有限公司 | 医疗器件及其制造方法 |
CN102689871B (zh) * | 2011-03-22 | 2016-08-24 | 昌微系统科技(上海)有限公司 | 医疗器件及其制造方法 |
JP7008854B1 (ja) | 2021-03-30 | 2022-01-25 | リンテック株式会社 | マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置 |
JP2022155251A (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-13 | リンテック株式会社 | マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードルの製造装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5542404B2 (ja) | マイクロニードルスタンパーの製造方法 | |
US20180250851A1 (en) | Manufacturing method of pattern sheet | |
KR102074603B1 (ko) | 몰드의 제작 방법, 패턴 시트의 제조 방법, 전주 금형의 제작 방법, 및 전주 금형을 이용한 몰드의 제작 방법 | |
JP6549012B2 (ja) | モールドの製造方法およびパターンシートの製造方法 | |
KR102088197B1 (ko) | 경피 흡수 시트의 제조 방법 | |
JP2008110494A (ja) | 凹凸面を有する部材の製造方法 | |
KR20160047184A (ko) | 미세섬모 구조물의 제조방법 및 미세섬모 구조물 | |
JP4109234B2 (ja) | 微細転写方法および装置 | |
TW200936524A (en) | Method of forming structured sintered articles | |
JP2009208171A (ja) | L字型微小針デバイスの製造方法及びl字型微小針デバイス | |
WO2017056893A1 (ja) | 集合モールドの作製方法、パターンシートの製造方法、電鋳金型の作製方法、及び電鋳金型を用いた第2モールドの作製方法 | |
JP2009241358A (ja) | ニードルシートの製造方法 | |
JP6635876B2 (ja) | 凹状パターンモールド、凹状パターンモールドの製造方法、および、パターンシートの製造方法 | |
JP2008296450A (ja) | 複合光学素子の成形方法 | |
JPH0866972A (ja) | 複合型光学素子の製造方法 | |
JP2002210745A (ja) | 金型製造方法およびレプリカマスターならびに金型 | |
JP2008036817A (ja) | 複合型光学素子の製造方法 | |
JP5652525B2 (ja) | 針状構造物の製造装置 | |
JP2018042677A (ja) | 凹状パターンモールドおよびパターンシートの製造方法 | |
JP5402069B2 (ja) | 針状構造物の製造方法 | |
JPH11333862A (ja) | 樹脂接合型光学素子の樹脂成形用金型及び製造方法 | |
JP2006095901A (ja) | プラスチック成形方法、プラスチック成形装置及び成形金型 | |
JP4786085B2 (ja) | 微小部品の成形用装置及び微小部品の成形方法 | |
EP4057065A1 (en) | Method for pattern transfer | |
JP2018082742A (ja) | マイクロニードルの製造方法、マイクロニードル及び金型 |