JP2016206156A - 原子炉建屋における落下物の撤去方法 - Google Patents

原子炉建屋における落下物の撤去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性物質の飛散を抑制でき、落下物の撤去を容易に実施できる原子炉建屋における落下物の撤去方法を提供する。【解決手段】原子炉建屋1の側面の各角付近に支柱3を設置する。各支柱3に取り付けつたシート2でその側面を取り囲み、カバー装置4が原子炉建屋の運転床を覆って配置されて各支柱3に取り付けられる。カバー装置4には走行台車及び横行台車が設けられ、開口部を形成した開口形成部材14が横行台車に取り付けられる。カバー装置4の上方に配置されたクレーンの横行台車7に取り付けられた掴み具8が、開口形成部材14の上に置かれたシートを開口形成部材14の開口部を通して押し下げ、シート2及びカバー装置4で覆われた原子炉建屋1の運転床上の落下物をシートの上から掴み、その開口部を通して開口形成部材14の上方に移動させる。落下物を覆うシートを、落下物よりも下方で熱により溶着させて切断する。【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉建屋における落下物の撤去方法に係り、特に、沸騰水型原子力発電プラントに適用するのに好適な原子炉建屋の原子炉建屋における落下物の撤去方法に関する。
沸騰水型原子力プラント及び加圧水型原子力プラント等の原子力プラントでは、核燃料物質を含む封数の燃料集合体が、原子炉圧力容器内の炉心に装荷されている。炉心に装荷された燃料集合体は、炉心に装荷された時点から所定の運転サイクル数における原子力プラントの運転を経験した後、使用済燃料集合体として原子炉圧力容器内から取り出される。使用済燃料集合体の替りに、新しい燃焼度0GWd/tの燃料集合体が原子炉圧力容器内の炉心に装荷される。
例えば、沸騰水型原子力プラントにおいては、原子炉圧力容器内の炉心に装荷された各燃料集合体が常に冷却されるように、多重の冷却系を備えた非常用炉心冷却装置が設けられている。非常用炉心冷却装置の設置により、炉心溶融事故の発生を防いでいる。しかしながら、極めて少ない確率ではあるが、非常用炉心冷却装置の機能が消失し、炉心に装荷された燃料集合体が溶融する可能性がある。
このような燃料集合体の溶融が生じた場合における溶融核燃料物質の取り出し方法が、特開2013−19875号公報に記載される。この溶融核燃料物質の取り出し方法では、外部環境への放射性物質の飛散を防止する作業ハウスである2つの作業ハウスが重ねられて原子炉ウェルを覆うように原子炉建屋の運転床上に配置され、ボーリング装置が原子炉圧力容器内に設置された支持装置のターンテーブル上に設置される。このボーリング装置を用いて原子炉圧力容器内の底部に存在する溶融核燃料物質が切削され、発生した切削片がターンテーブル上に置かれた搬送容器内に収納される。切削片が収納された搬送容器は上記の作業ハウス内まで搬送される。
また、特開2012−255742号公報は、炉心燃料の溶融が生じて廃炉作業の対象になった原子力プラントでは、原子炉建屋を二次遮へいテントで覆って、さらに、二次遮へいテントを一次遮へいテントで覆っている。二次遮へいテント内で、クレーンユニットが原子炉建屋を跨いで配置される。このクレーンユニットは、原子炉建屋の外側に設置された複数の支柱上に設置されたガイドレール上を走行する。作業装置を用いて切断された炉内構造物等の切断片が収納容器内に収納され、この収納容器はクレーンユニットによって仮置き台上の運搬台車に載せられて所定の保管建屋まで移送される。
特開2013−19875号公報 特開2012−255742号公報
炉心溶融事故の発生に伴って原子炉建屋内で水素爆発が発生した場合には、原子炉建屋の天井及び運転床周囲の側壁が破壊され、破壊によって生じたガレキ、及び天井、側壁及び運転床に設置されていた機器及び配管等の金属片が、原子炉建屋の運転床上に落下し、散乱する可能性がある。運転床上に散乱しているこれらのガレキ及び金属片を落下物と称する。これらの落下物には放射性物質が付着している恐れがある。
炉心溶融が生じた原子力プラントの廃炉作業を円滑に進めるためには、運転床上に存在する各落下物を撤去する必要がある。また、落下物の撤去作業中において、放射性物質を周囲の環境に飛散させることも避けなければならない。
本発明の目的は、放射性物質の飛散を抑制でき、落下物の撤去を容易に行うことができる原子炉建屋における落下物の撤去方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉建屋を、その側面を取り囲む第1シート、及び開口部が形成された開口部形成部材を有し、原子炉建屋の運転床の上方に配置されたカバー装置で覆い、
クレーンの掴み具を、その開口部を通してカバー装置の下方へ移動させ、
原子炉建屋の運転床上の落下物を掴み具で把持してその開口部を通してカバー装置の上方へ移動させ、
その後、前記開口部を封鎖することにある。
原子炉建屋を、その側面を取り囲む第1シート、及び開口部が形成された開口部形成部材を有し、原子炉建屋の運転床の上方に配置されたカバー装置で覆い、その開口部を通してカバー装置の下方へ移動された、クレーンの掴み具により、原子炉建屋の運転床上の落下物を把持してその開口部を通してカバー装置の上方へ移動させ、その後、その開口部を封鎖するので、原子炉建屋における落下物の撤去を行う際、放射性物質の外部環境への飛散を抑制することができ、落下物の撤去を容易に行うことができる。
本発明によれば、原子炉建屋における落下物の撤去を行う際、放射性物質の外部環境への飛散を抑制することができ、落下物の撤去を容易に行うことができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉建屋における落下物の撤去方法において原子炉建屋をシートで覆った状態を示す説明図である。 図1のII−II矢視図である。 本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉建屋における落下物の撤去方法において実施される原子炉建屋の側面をシートで取り囲む状態を示す説明図である。 本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉建屋における落下物の撤去方法において原子炉建屋の上方を覆うカバー装置の平面図である。 図4に示されたカバー装置のV−V断面図である。 図4に示されたカバー装置のVI−VI断面図である。 図4のVII部の拡大図である。 図7のVIII−VIII断面図である。 図4に示されたカバー装置のシートの平面図である。 本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉建屋における落下物の撤去方法において原子炉建屋の運転床上の落下物をクレーンの掴み具で掴む作業を示す説明図である。 図10に示された落下物を掴み具で掴む作業を上方より見た状態を示す説明図である。 本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉建屋における落下物の撤去方法において掴み具で掴んだ落下物をシートで包み込む作業を示す説明図である。 図12に示された掴み具で掴んだ落下物をシートで包み込む作業を上方より見た状態を示す説明図である。 本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉建屋における落下物の撤去方法において掴み具で掴んだ落下物を包み込んで溶着されたシートの溶着部が切断された状態を示す説明図である。 図12に示された掴み具で掴んだ落下物を包み込んで溶着されたシートの溶着部が切断された状態を上方より見た状態を示す説明図である。 図4に示されたカバー装置の他の例の平面図である。 図16のC部の拡大図である。 図4に示されたカバー装置の他の例の平面図である。 本発明の好適な他の実施例である実施例2の原子炉建屋における落下物の撤去方法に用いられるカバー装置の開口部付近の拡大図である。 図19のA−A断面図である。 図20に示された落下物収納容器内に落下物を収納した状態を示す説明図である。 本発明の好適な他の実施例である実施例3の原子炉建屋における落下物の撤去方法に用いられるカバー装置の開口部付近の拡大図である。 図22のB−B断面図である。 本発明の好適な他の実施例である、クローラクレーンを用いる実施例4の原子炉建屋における落下物の撤去方法を示す説明図である。 本発明の好適な他の実施例である、クローラクレーンを用いる実施例5の原子炉建屋における落下物の撤去方法を示す説明図である。 図25のC−C矢視図である。 本発明の好適な他の実施例である、クローラクレーンを用いる実施例6の原子炉建屋における落下物の撤去方法を示す説明図である。
本発明の実施例を、以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉建屋における落下物の撤去方法を、図13〜図15を用いて以下に説明する。
炉心燃料の溶融が生じて廃炉作業の対象になった沸騰水型原子力プラントの原子炉建屋の運転床上に、放射性物質が付着されたガレキ及び構造部材片等の落下物が散乱していることを想定する。本実施例では、これらの落下物を撤去する作業が実施される。
本実施例の原子炉建屋における落下物の撤去方法では、原子炉建屋1の側面をシートで取り囲み、原子炉建屋1の運転床の上方をカバー装置4で覆い、運転床の上方をカバー装置4で覆った状態で運転床上の落下物の撤去を実施する。
図1は、原子炉建屋1の側面をシートで取り囲み、原子炉建屋1の運転床の上方をカバー装置4で覆った状態を示している。落下物の撤去には、掴み具8を有するクレーン5が用いられる。クレーン5は、原子炉建屋1の周囲に設置された複数の支柱3のうち原子炉建屋1の側面の2つの角付近に配置された2本の支柱3に設置されたガイドレール9A、及び原子炉建屋1の側面の他の2つの角付近に配置された2本の支柱3に設置されたガイドレール9Bの上に移動可能に設置された走行台車6、及び走行台車6にガイドレール9A及び9Bと直交する方向に移動可能に設置された横行台車7を有する(図2参照)。掴み具8は横行台車7に取り付けられる。
原子炉建屋1の側面を取り囲むシート2の設置を図3に基づいて説明する。上記したように、原子炉建屋1の周囲で原子炉建屋1の側面の4つの角のそれぞれから離れた各位置に、支柱3を設置する。支柱3の相互間に何本かの支柱を設置してもよい。これらの支柱3が設置された後、ロール2Aに巻き付けられたシート2の端部を、1本の支柱3に取り付ける。シートロール2Aを、シート設置装置(図示せず)の上方に向かって伸びる回転体に装着する。シートロール2Aを装着したこの回転体を回転させながらシート設置装置を原子炉建屋1の側面に沿って移動させる。シートロール2Aからシート2が引き出され、引き出されたシート2を各支柱3に順次取り付ける。このため、原子炉建屋1の側面の全周を取り囲むように、シート2が配置される。このシート2は各支柱3に取り付けられる。上記のように、支柱3に取り付けられるシート2の最後の端部は、最初に1本の支柱3に取り付けられた最初の端部に重ねられ、この端部に隙間が生じないように溶着される。原子炉建屋1の角付近に配置された2本の支柱3の間に、他の支柱3が配置されたときには、このシート2は他の支柱3にも取り付けられる。
シート2の設置は、地面から上方に向かって順番に行われる。前述のシート2の上方に、さらにシート2を各支柱3に順番に取り付ける場合には、シート設置装置のシートロール2Aが装着された回転体を、上方に向かって所定の高さの位置になるように上昇させ、回転体に装着されたシートロール2Aから引き出されたシート2の端部を1本の支柱3に取り付ける。このとき、下側に位置して既に設置されたシート2の上端部がこのシート2の上方に設置するシート2の下端部の下になるようにしてこれらの端部を重ねて、前述したように、シートロール2Aを装着したこの回転体を回転させながらシート設置装置を原子炉建屋1の側面に沿って移動させることにより、最初に設置したシート2の上方において、シートロール2Aから引き出されたシート2が、各支柱3に順番に取り付けられる。上側に配置されたシート2の下端は、原子炉建屋1の側面の全周に亘って隙間が生じないように、下側に配置されたシート2に溶着される。上方に配置されたシート2の最後の端部も、最初に1本の支柱3に取り付けられた最初の端部に重ねられ、この端部に隙間が生じないように溶着される。原子炉建屋1の側面を取り囲むシート2は、後述するカバー装置4が配置される高さまで配置される。
このようにして、原子炉建屋1の側面の全周を覆うように、シート2が、地面から原子炉建屋1の運転床よりも上方の位置まで配置されて各支柱3に取り付けられる。
その後、カバー装置4が、原子炉建屋1の運転床を覆うようにして各支柱3に取り付けられる。カバー装置4の構成を、図4、図5及び図6に基づいて説明する。カバー装置4は、少なくとも、原子炉建屋1の側面の4つの角付近に配置された4本の支柱3に取り付けられる。カバー装置4は、シート4D、ガイドレール13A,13B,その4本の支柱3にそれぞれ取り付けられる4本の棒状の枠部材27、走行台車(走行部材)10、横行台車(横行部材)11、及び開口形成部材14を有する。ガイドレール13Aは対向して配置される一対の枠部材27のうちの一つの枠部材27に取り付けられ、ガイドレール13Bは対向して配置される一対の枠部材27のうちの残りの枠部材27に取り付けられる。隣り合う各枠部材27同士は、支柱3付近に位置する部分において連結部材(図示せず)により連結される。この連結部材は、ガイドレール13Aまたは13Bよりも下方に配置されている。走行台車10はガイドレール13A,13Bに移動可能に設置される。横行台車11は、ガイドレール13A,13Bと直交する方向に移動可能に走行台車10に取り付けられる。開口部16が形成された開口形成部材14が横行台車11の上面に取り付けられる。矩形の枠フレーム15が、開口部16を取り囲むように、開口形成部材14の上面に取り付けられる。
シート4Dの開口部16Aの周囲の部分が、シート4Dと枠フレーム15の間に隙間が生じないように、横行台車11に取り付けられた枠フレーム15の上面に取り付けられる。横行台車11に取り付けられたシート4Dは走行台車10、ガイドレール13A,13B及び4本の枠部材27を覆っており、シート4Dの周辺部が各枠部材27に取り付けられている。シート4Dは、伸縮性を有し且つ気密性を有する素材で作られている。走行台車10及び横行台車11による開口部16の移動範囲がより大きくなるように、シート4Dは、図5及び図6に示すように、十分にたるませてカバー装置4、具体的には、枠フレーム15及び各枠部材27に取り付けられる。
前述したように、隣り合う各枠部材27同士を連結部材(図示せず)により連結することにより、シート4D、ガイドレール13A,13B,4本の枠部材27、走行台車10、横行台車11、及び枠フレーム15が取り付けられた開口形成部材14が一体化したカバー装置4を地上で組み立てることができる。このため、このカバー装置4を、クローラクレーンで吊り上げて、各支柱3に設けられた受け台(図示せず)上に配置することができる。カバー装置4の4本の枠部材27のそれぞれの両端部が、原子炉建屋1の側面の4つの角に配置された4本の支柱3に設けられた前述の各受け台上に載せられ、各枠部材27はその4本の支柱3のうちの一対ごとの支柱3の間に配置される。その後、各枠部材27が該当する支柱3に取り付けられる。各支柱3に取り付けられたその受け台は、原子炉建屋1よりも上方に位置しており、カバー装置4の取り付け位置になっている。各構成が一体化されたカバー装置4を支柱3に取り付けることによって、原子炉建屋1を覆うカバー装置4の各支柱3への取り付けに要する時間を短縮することができる。
時間は掛かるが、カバー装置4の各構成を支柱3への設置位置まで吊り上げてカバー装置4の設置位置において、カバー装置4を組み立てることも可能である。
各支柱3に取り付けられたカバー装置4のシート4Dの周辺部は、原子炉建屋1の側面の周囲に配置されたシート2のうち最も上方に位置しているシート2の外面上に折り曲げられ、シート2とシート4Dの間に隙間が生じないように、原子炉建屋1の側面を覆うシート2の全周に亘って最も上方に位置しているシート2の外面に溶着される。各支柱3のカバー装置4側の側面にも、隙間生じないように、シート4Dの周辺部が溶着される。
シール切断装置18が、カバー装置4の開口形成部材14に形成された開口部16と枠フレーム15の間で、開口形成部材14の上面に取り付けられる。シール切断装置18は、アーム及びアームの先端部に設けられた加熱装置を有する。伸縮性を有するシート17が蛇腹状に畳まれて開口部16を覆って枠フレーム15の内側で開口形成部材14の上面に置かれる。
シート2及びカバー装置4によって覆われている原子炉建屋1の運転床上に散乱している多数の落下物の撤去作業を以下に説明する。
図示されていないが、走行台車6、走行台車7及び枠部材37のそれぞれには、運転床の状態を撮影するカメラが設置される。これらのカメラで撮影された映像は、原子炉建屋1の外部に設置された各表示装置に表示される。オペレータは、各表示装置に表示された映像を見ることにより、落下物の撤去作業が行われる運転床の状態、すなわち、運転床上での位置及び落下物の大きさを知ることができ、さらに、落下物の撤去作業を監視することができる。
オペレータは、表示装置に表示された映像を見て撤去すべき落下物を特定し、原子炉建屋1の外部に設置されている操作盤(図示せず)を操作してカバー装置4の走行台車10及び横行台車11をそれぞれ移動させる。走行台車10はガイドレール13A及び13B上を移動し、横行台車11は走行台車10に設けられたガイドレール(図示せず)に沿って移動する。この結果、横行台車11に取り付けた開口形成部材14に形成された開口部16が、特定した落下物の真上まで移動する。シート4Dは伸縮性を有しさらに十分たるませて枠フレーム15及び4本の枠部材27に取り付けられているため、走行台車10及び横行台車11のそれぞれの移動により、カバー装置4内で任意の位置に開口部16を移動させることができる。
開口部16がその真上に達したとき、オペレータは操作盤を操作してクレーン5の走行台車6及び横行台車7を移動させる。走行台車6はガイドレール9A及び9Bに沿って移動し、横行台車7は走行台車6に設けられたガイドレールに沿って移動する。そして、掴み具8が開口部16の真上に到達し、掴み具8が下降される。
掴み具8は、開口形成部材14の上に置かれて開口部16を覆っているシート17を運転床上の特定された撤去すべき落下物に向かって押し下げる。シート17の下面がその落下物の上面に接触し、掴み具8はシート17の上からその落下物19を把持する(図10及び図11参照)。掴み具8が落下物19を掴んだ後、この掴み具8を上昇させる。掴み具8に掴まれた落下物19が、開口形成部材14の開口部6を通って枠フレーム15の上方に達したとき、掴み具8の上昇を停止する。落下物19の下方でシート17が絞られて溶着される。シート17の溶着は、シール切断装置18のアーム先端部に設けられた加熱装置でシート17を加熱することにより行われる。シール切断装置18の加熱装置がシート17の溶着部21にさらに押し付けられることにより、この溶着部21は加熱装置が発生する熱により切断される(図12及び図13参照)。シート17が溶着されて切断された後、掴み具8はさらに上昇する(図14及び図15参照)。落下物19を包んでいるシート17は切断箇所が完全に溶着されており、シート17内の気密性が保たれ、掴み具8で掴んでいる落下物19に付着している放射性物質が落下物19を包んでいるシート17の外部に飛散しない。図12の状態で落下物19を包み込んだシート17を熱により切断するため、開口形成部材14上に置かれた蛇腹状のシート17は、溶着により開口部が形成されず(図15参照)、次の落下物19の包み込みに利用することができる。
走行台車10は、図2に示すように、原子炉建屋1の側壁を取り囲んでいるシート2の位置よりも水平方向に張り出しているため、横行台車11を走行台車10のその張り出し部まで移動させ、掴み具8を下降させることにより、シート17で包まれた落下物19を地上まで降ろすことができる。
このようにして、運転床上の落下物19が次から次へと地上まで搬送される。地上に下された各落下物19は、所定の保管場所まで搬送される。運転床上の全ての落下物19が撤去されたとき、本実施例の原子炉建屋における落下物の撤去方法が終了する。
本実施例によれば、原子炉建屋1の側面を取り囲むシート2、及び原子炉建屋1の運転床の上方に配置されたカバー装置4によって原子炉建屋1の周囲を覆っているので、運転床上の落下物の撤去作業を行っている間、シート2及びカバー装置4の外側の外部環境に放射性物質を飛散させることを著しく抑制することができる。
また、カバー装置4に開口部16が形成されているため、この開口部16を通して運転床上に散乱している落下物を移送することができ、運転床上の落下物の撤去を容易に行うことができる。
開口部16が形成されてカバー装置4に設けられる開口形成部材14の上にシート17を置き、開口部16をこのシート17で覆うので、原子炉建屋1を覆うシート2及びカバー装置4によって囲まれた内部領域から外部の環境に飛散される放射性物質を、さらに抑制することができる。
落下物19がシート17で包まれるため、落下物19に付着した放射性物質がシート17の外部に飛散することを防止できる。シート17で包まれた落下物19が搬送されるために、落下物19の搬送時においても落下物19に付着した放射性物質が外部環境に飛散することを防止できる。
掴み具8はシート17の上から運転床上に存在する落下物19を掴むので、落下物19をシート17で包み込み易くなる。落下物19の下方で落下物19を包み込んでいるシート17を加熱により溶着させて切断するために、落下物19を包み込んでいるシート17を、気密性を保ちながら容易に切断することができる。
開口形成部材14に形成された開口部16は開口形成部材14に保持されたシート17で封鎖されているため、シール2及びカバー装置4で囲まれた内部に存在する放射性物質が開口部16を通して外部に飛散し難くなる。このため、放射性物質の外部環境への飛散がさらに抑制される。
前述したように、シート4Dは伸縮性を有しさらに十分たるませて枠フレーム15及び4本の枠部材27に取り付けられているため、走行台車10及び横行台車11のそれぞれの移動により、カバー装置4内で任意の位置に開口部16を移動させることができる。このため、運転床上に存在する各落下物の真上に開口部16を位置させることができ、運転床上に存在する多くの落下物を撤去することができる。
カバー装置4の替りに使用することができる他のカバー装置の例を、図16及び図18を用いて説明する。
図16に示されたカバー装置4Aは、3台の横行台車(開口形成部材移動台車)29、及びカバー装置4と同様に4本の枠部材27を有する。これらの枠部材27は、対になって互いに対向して配置され、カバー装置4のように、隣り合う各枠部材27同士は支柱3付近に位置する部分において連結部材(図示せず)により連結される。一対の連結部材28が、相互間に間隔を持って、対向する一対の枠部材27にそれぞれ取り付けられる。各連結部材28は、連結部材18が直接取り付けられない枠部材27と平行に配置される。
それぞれの横行台車29の上面には、カバー装置4の横行台車11と同様に、矩形の枠フレーム15が取り付けられて開口部16が形成された開口形成部材14が取り付けられる。図示されていないが、シール切断装置18も、開口形成部材14の上面に取り付けられる。開口部16を覆うシート17が、畳まれて枠フレーム15の内側で開口形成部材14上に置かれる。
各連結部材28には、それぞれ、2本のガイドレール(図示せず)が取り付けられており、連結部材28と平行に配置されている各枠部材には、それぞれ、1本のガイドレールが取り付けられている。1台の横行台車29は、各連結部材28に取り付けられた各ガイドレールに移動可能に設置される。もう1台の横行台車29は、1つの連結部材28に取り付けられた1本のガイドレール、及びこの連結部材28に直接対向して配置されている1本の枠部材27に取り付けられたガイドレールにそれぞれ移動可能に設置される。残りの1台の横行台車29は、他の連結部材28に取り付けられた1本のガイドレール、及びこの連結部材28に直接対向して配置されている1本の枠部材27に取り付けられたガイドレールにそれぞれ移動可能に設置される。
各横行台車29には、蛇腹状の一対のシート30が、横行台車29とシート30の間に隙間が生じないように、それぞれ取り付けられる。シート30の取り付け方はいずれの横行台車29でも同じであるので、一対の連結部材28間に位置する横行台車29を例にとってシート30の取り付け状態を説明する。
一対のシート30が、一対の連結部材28間に位置する横行台車29に取り付けられている。具体的には、一つのシート30が、連結部材28が取り付けられる一つの枠部材27に、隙間が生じないように、取り付けられると共に、枠フレーム15よりもこの連結部材27側の位置で横行台車29に取り付けられている。他のシート30が、連結部材28が取り付けられる他の枠部材27に、隙間が生じないように、取り付けられると共に、枠フレーム15よりも他の連結部材27側の位置で横行台車29に取り付けられている。
この横行台車29が、連結部材28が伸びている方向で一つの枠部材27(図16において左側に位置する枠部材27)に向かって移動した場合には、図16において、横行台車29よりも左側に位置する蛇腹状のシート30が縮み、横行台車29よりも右側に位置する蛇腹状のシート30が伸ばされる。その横行台車が、29が、逆方向(図16において右側)に向かって移動した場合には、図16において、横行台車29よりも左側に位置する蛇腹状のシート30が伸ばされ、横行台車29よりも右側に位置する蛇腹状のシート30が縮む。このように、横行台車29の移動に応じて、横行台車29の両側に存在する各シート30は交互に伸び縮みすることになる。
シート30が縮んだときにおいても、各シート30の一つの側面部分とこれに対向する一つの連結部材28の間の気密性を保つために、伸縮性を有し且つ気密性を有する素材で作られているシート31を、シート30のその側面部分及び該当する連結部材28の上面のそれぞれに接着する(図17参照)。シート31は、シート30の伸び縮みを妨害しないように十分にたるませている。各シート30の反対側の側面部分とこれに対向する他の連結部材28にも、各シート30のその側面部分とその連結部材28の間の気密性を保持するように、シート31がそれぞれ接着される。このシート31も十分にたるませている。
なお、枠部材27に取り付けたガイドレールに沿って移動する横行台車29の両側に取り付けられた各シート30の、枠部材27に対向する側面部分に接着されるシート31は、枠部材27の上面に接着される。
カバー装置4Aは、対向する一対のガイドレールに沿って移動する、開口部16が形成された開口形成部材14が取り付けられた横行台車29、及び横行台車29の移動方向において横行台車29の両側にそれぞれ取り付けられて、横行台車29から互いに逆方向に伸びる一対の蛇腹状のシート30を備えた複数(例えば、3個)のカバー部材35を有する。複数のカバー部材35及び複数の連結部材28が矩形状に配置された4本の枠部材27の内側の領域を覆っている。
このようなカバー装置4Aは、カバー装置4のように、クローラクレーンで吊り上げられて少なくとも4本の支柱3に設けられた受け台上に載せられて運転床を覆い、カバー装置4Aの各枠部材27が該当する支柱3に取り付けられる。原子炉建屋1の側面を取り囲むシート2のうち最も上方に配置されたシート2の上端部が、4本の枠部材27の上面に、各枠部材27とシート2の間に隙間が生じないように取り付けられる。複数のカメラが、連結部材31A,31Bの下面に取り付けられる。連結部材28及び枠部材27の下面に取り付けられる。
カバー装置4Aを設置した状態で運転床上の落下物を撤去する場合には、3台の横行台車29のそれぞれの移動範囲において各横行台車29に取り付けられた開口形成部材14の開口部16の真下に存在する落下物を撤去することができる。
次に、図18に示されたカバー装置4Bについて説明する。カバー装置4Bは、矩形状に配置された4本の枠部材27を有する。平行に配置された2本の連結部材31Bの両端部が、対向する2本の枠部材27に取り付けられる。3本の連結部材31Aが連結部材31Bと直交する方向に一直線状に配置され、3本のうち1本の連結部材31Aの両端部が2本の連結部材31Bに取り付けられ、残り2本の連結部材31Aの両端部は、該当する枠部材27及び該当する連結部材31Bにそれぞれ取り付けられる。他の3本の連結部材31Aが、前述の3本の連結部材31Aと所定の間隔を置いて平行に且つ一直線上に配置され、前述の3本の連結部材31Aと同様に、該当する枠部材27、該当する連結部材31Bにそれぞれ取り付けられる。2本の連結部材31B、連結部材31Bと直交して一直線状に配置された3本の連結部材31A及び連結部材31Bと直交して一直線状に配置された3本の連結部材31Aによって、格子部材34が構成される。
カバー装置4Bでは、図18に示すように、枠フレーム15が上面に取り付けられて開口部16が形成された開口形成部材14が、3個、4本の枠部材27で形成される矩形の一つの対角線方向に配置される。図18において右上に配置された、開口部16が形成された開口形成部材14は、2本の枠部材27,1本の連結部材31A及び1本の連結部材31Bで囲まれた矩形領域(一つのます目領域)に配置され、図示されていないが、格子部材34の一部である2本の枠部材27,1本の連結部材31A及び1本の連結部材31Bに支持部材(図示せず)により取り付けられている。図18において中央に配置された、開口部16が形成された開口形成部材14は、2本の連結部材31A及び2本の連結部材31Bで囲まれた矩形領域(他のます目領域)に配置され、図示されていないが、格子部材34の一部である2本の連結部材31A及び2本の連結部材31Bに支持部材(図示せず)により取り付けられている。図18において左下に配置された、開口部16が形成された開口形成部材14は、2本の枠部材27,1本の連結部材31A及び1本の連結部材31Bで囲まれた矩形領域(他のます目領域)に配置され、図示されていないが、格子部材34の一部である2本の枠部材27,1本の連結部材31A及び1本の連結部材31Bに支持部材(図示せず)により取り付けられている。各開口形成部材14の上面には、枠フレーム15の内側でシール切断装置18が取り付けられている。カバー装置4Bは矩形状に配置された枠部材27の内側に、格子部材34により9つのます目領域が形成される。さらに、伸縮性のシート17が蛇腹状に畳まれて開口部16を覆って枠フレーム15の内側で各開口形成部材14の上面に置かれる。なお、開口部16が形成された開口形成部材14は、3個以上配置してもよい。
カバー装置4Bには、各枠部材27、各連結部材31A及び各連結部材31Bを覆うシート4Dが設けられる。このシート4Dには、上記した3つの開口形成部材14のそれぞれの開口部16に対応する位置に、図9に示すような開口部16Aがそれぞれ形成されている。シート4Dの各開口部16Aの周囲の部分が、シート4Dと枠フレーム15の間に隙間が生じないように、各開口形成部材14に取り付けられた枠フレーム15の上面に取り付けられる。シート4Dの周辺部分は、4本の枠部材27の、例えば、外側の側面に取り付けられる。
カバー装置4Bでは、開口形成部材14が固定されており、カバー装置4及び4Aのように、開口形成部材14を移動させることができない。
このようなカバー装置4Bは、カバー装置4のように、クローラクレーンで吊り上げられて少なくとも4本の支柱3に設けられた受け台上に載せられて運転床を覆い、カバー装置4Bの各枠部材27が該当する支柱3に取り付けられる。各支柱3に取り付けられたカバー装置4Bのシート4Dの周辺部は、4本の枠部材27の外側の側面に取り付けられ、さらに、原子炉建屋1の側面を取り囲むシート2のうち最も上方に位置しているシート2の上端部の外面に重ねられ、シート2とシート4Dの間に隙間が生じないように、そのシート2の全周に亘って溶着される。各支柱3のカバー装置4側の側面にも、隙間生じないように、シート4Dの周辺部が溶着される。複数のカメラが、連結部材31A,31Bの下面に取り付けられる。
カバー装置4Bを設置した状態で運転床上の落下物を撤去する場合には、各開口形成部材14の開口部16の真下に存在する落下物を撤去することができる。運転床上の広範囲に存在する落下物を撤去する場合には、カバー装置4Bに設ける開口形成部材14の個数を増やすと良い。
本発明の好適な他の実施例である実施例2の原子炉建屋における落下物の撤去方法を、図19及び図20を用いて以下に説明する。
本実施例においても、炉心燃料の溶融が生じて廃炉作業の対象になった沸騰水型原子力プラントの原子炉建屋の運転床上に散乱している、放射性物質が付着された落下物を撤去する作業が実施される。
本実施例における、原子炉建屋における落下物の撤去方法では、シート17の替りに落下物収納容器21を開口形成部材14上に着脱可能に取り付けた以外の構成が実施例1で用いたカバー装置4と同じであるカバー装置が用いられる。落下物収納容器21は、下方に開放された容器であって下端部にスライド式のドア(第2開閉ドア)23が取り付けられている。落下物収納容器21の下端は、図示されていないが、開口部16を取り囲むように、開口形成部材14に取り付けられた円筒部材(図示せず)の上端に取り付けられる。開口部16の開閉を行うスライド式の別のドア(図示せず)(第1開閉ドア)が、開口形成部材14に水平方向に移動可能に取り付けられる。後者のドアは、前者のドア23よりも下方に位置している。
上記のカバー装置が、クローラクレーンにより、原子炉建屋の側面の4つの角にそれぞれ設置された支柱3のそれぞれに取り付けられた受け台上に置かれ、カバー装置の各枠部材27が各支柱3に取り付けられる。このカバー装置は、原子炉建屋1の運転床を覆っている。実施例1と同様に、カバー装置のシート4Dの周辺部が、原子炉建屋1の側面を取り囲むシート2の上端部の外面に重ねられ、シート2とシート4Dの間に隙間が生じないように、そのシート2の全周に亘って溶着される。
クレーン22が、落下物収納容器21内に配置されて落下物収納容器21の頂部の下面に取り付けられる。アームを有するドア開閉装置25が、開口形成部材14の上面に設置される。
シート2、及び落下物収納容器21が取り外し可能に取り付けられているカバー装置によって覆われている原子炉建屋1の運転床上に散乱している多数の落下物の撤去作業を以下に説明する。
走行台車10及び横行台車11をそれぞれ移動させて、開口形成部材14に形成された開口部16を、カメラで撮影された映像に基づいて特定された、運転床上の落下物の真上に位置させる。ドア開閉装置25の操作により、ドア23を開き、さらに、円筒部材に取り付けられたドアを開く。この結果、落下物収納容器21の内部がカバー装置4よりも下方の領域と連通される。クレーン22を操作し、クレーン22の掴み具を、落下物収納容器21から特定した落下物の真上まで下降させる。クレーン22の掴み具でその落下物を掴み、掴み具に掴まれた落下物を、開口形成部材14の開口部16を通して落下物収納容器21内に収納する。ドア開閉装置25の操作によりドア23を閉じ(図21参照)、さらに、ドア23の下方に位置する、円筒部材に取り付けられた別のドアも閉じる。ドア23を閉じることによって、落下物を収納した落下物収納容器21の内部空間が封鎖される。別のドアを閉じることによって、開口部16が封鎖される。
ドア23が閉じられて内部に落下物を収納した落下物収納容器21を、カバー装置4の上方に配置されたクレーン5の走行台車6及び横行台車7を移動させて横行台車7に取り付けられた掴み具8に吊るし、地上まで移送する。クレーン5により内部が空の落下物収納容器21を開口形成部材14に取り付けられた円筒部材上に着脱可能に取り付ける。ドア開閉装置25によりドア23を開き、さらに、円筒部材に取り付けられた別のドアも開く。走行台車10及び横行台車11を移動させて開口部16を運転床上の別の落下物の真上の位置まで移動させ、落下物収納容器21内のクレーン22の掴み具でその落下物を掴んで落下物収納容器21内に移送する。
以上の作業を繰り返して運転床上に存在する全ての落下物を撤去することができる。
本実施例は実施例1で生じた各効果を得ることができる。本実施例では、実施例1のようにシート17で落下物を包む必要がなく、落下物を落下物収納容器21内に収納してドア23を閉じることによって、実施例1よりもより短時間に運転床上の落下物を撤去することができる。
本実施例においても、カバー装置4の替りにカバー装置4Aまたは4Bを用いてもよい。カバー装置4Aまたは4Bを用いる場合には、落下物収納容器21はカバー装置4Aまたは4Bの開口形成部材14に取り外し可能に取り付けられる。
本発明の好適な他の実施例である実施例3の原子炉建屋における落下物の撤去方法を、図22及び図23を用いて説明する。
本実施例の原子炉建屋における落下物の撤去方法では、実施例1で用いた、カバー装置4の上方を移動するクレーン5の替りに、ジブクレーン26が用いられる。実施例1と同様に、カバー装置4が、原子炉建屋1の運転床を覆って4本の支柱3の受け台に載せられて各枠部材27が該当する支柱3に取り付けられる。実施例1と同様に、シート2が原子炉建屋1の側面を取り囲んでいる。ジブクレーン26は、開口形成部材14の上面に設置される。
カバー装置4の走行台車10及び横行台車11を移動させて横行台車17に取り付けられた開口形成部材14の開口部16が、運転床上の特定された一つの落下物の真上に位置される。ジブクレーン26の掴み具は、開口形成部材14の上に置かれて開口部16を覆っているシート17を運転床上の特定された撤去すべき落下物に向かって押し下げる。その後、実施例1と同様に、ジブクレーン26の掴み具がシート17の上からその落下物19を把持して開口部16より上方に上昇させ、落下物19よりも下方の位置でシール切断装置18によりシート17の溶着、切断を行う。ジブクレーン26の掴み具によって把持された落下物19はシート17で包み込まれて地上まで移送される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
本実施例においても、カバー装置4の替りにカバー装置4Aまたは4Bを用いてもよい。カバー装置4Aまたは4Bを用いる場合においても、ジブクレーン26は開口形成部材14に取り付けられる。
本発明の好適な他の実施例である実施例4の原子炉建屋における落下物の撤去方法を、図24を用いて説明する。
本実施例の原子炉建屋における落下物の撤去方法では、実施例1で用いた、カバー装置4の上方を移動するクレーン5の替りに、クローラクレーン32が用いられる。実施例1と同様に、カバー装置4が、原子炉建屋1の運転床を覆って4本の支柱3の受け台に載せられて各枠部材27が該当する支柱3に取り付けられる。実施例1と同様に、シート2が原子炉建屋1の側面を取り囲んでいる。
実施例1と同様に、カバー装置4の走行台車10及び横行台車11を移動させて横行台車17に取り付けられた開口形成部材14の開口部16が、運転床上の特定された一つの落下物の真上に位置される。地上に置かれたクローラクレーン32の掴み具は、開口形成部材14の上に置かれて開口部16を覆っているシート17を運転床上の特定された撤去すべき落下物に向かって押し下げる。その後、実施例1と同様に、クローラクレーン32の掴み具がシート17の上からその落下物19を把持して開口部16より上方に上昇させ、落下物19よりも下方の位置でシール切断装置18によりシート17の溶着、切断を行う。クローラクレーン32の掴み具によって把持された落下物19はシート17で包み込まれて地上まで移送される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
本実施例においても、カバー装置4の替りにカバー装置4Aまたは4Bを用いてもよい。カバー装置4Aまたは4Bを用いる場合においても、ジブクレーン26は開口形成部材14に取り付けられる。
本発明の好適な他の実施例である実施例5の原子炉建屋における落下物の撤去方法を、図25及び図26を用いて説明する。
本実施例の原子炉建屋における落下物の撤去方法では、実施例4と同様に、クローラクレーン32が用いられる。本実施例においても、原子炉建屋1は、シート2及びカバー装置4によって覆われている。しかしながら、本実施例では、原子炉建屋1の側面の4つの角のそれぞれの位置に配置された各支柱3は、その側面に接触している。さらに、それぞれの支柱3に取り付けられて原子炉建屋1の側面を取り囲んでいるシート2は、原子炉建屋1の側面に接触している。このようにシート2を配置することにより、原子炉建屋1の側面とシール2の間の間隔は、実施例1におけるそれよりも著しく狭くなる。本実施例では、シート2が原子炉建屋1の側面に接触しているため、原子炉建屋1の側面とシール2の間の間隔は実質的にゼロである。
運転床上に存在する落下物の撤去は、実施例4と同様に行われる。本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、原子炉建屋1の側面に対向して配置されるシート2がその側面に接触しているので、シート2及びカバー装置4で囲まれた領域が小さくなり、放射性物質で汚染される領域が狭くなる。
本発明の好適な他の実施例である実施例5の原子炉建屋における落下物の撤去方法を、図27を用いて説明する。
本実施例の原子炉建屋における落下物の撤去方法では、実施例5と同様に、クローラクレーン32が用いられ、原子炉建屋1の側面の4つの角のそれぞれの位置に配置された各支柱3はその側面に接触しており、さらに、それぞれの支柱3に取り付けられて原子炉建屋1の側面を取り囲んでいるシート2は原子炉建屋1の側面に接触している。本実施例では、原子炉建屋1の運転床を覆って、一つのカバー装置4が4本の支柱3に設けられた受け台の上に載せられてこのカバー装置4の各枠部材27が該当する支柱3に取り付けられる。本実施例では、各支柱3が、所定の長さだけ、さらに上方に向かって伸びている。原子炉建屋1は、シート2及びカバー装置4によって覆われている。このカバー部材4を覆って別のカバー部材4が配置される。後者のカバー部材4も、クローラクレーン32を用いて、その4本の支柱3にそれぞれ取り付けられた別の受け台上に載せられる。そして、このカバー部材4の各枠部材27が該当する支柱3に取り付けられる。空間33が二つのカバー装置4の間に形成され、この空間33は4本の支柱3に取り付けられたシート2によって取り囲まれる。
下方に配置されたカバー装置4のシート4Dの周辺部は、実施例1と同様に、原子炉建屋1の側壁を取り囲むシート2に溶着される。空間33を取り囲むシート2の下端部は、前述のシート4Dとシート2の溶着部よりも下方の位置で後者のシート2に溶着される。上方に位置するカバー装置4のシート4Dの周辺部は、開放に配置されるカバー装置4のシート4Dの周辺部は、空間33を取り囲むシート2に溶着される。
シート17が、下方に位置するカバー部材4の、枠フレーム15が取り付けられた開口形成部材14の上面に置かれている。シート切断装置18が、この開口形成部材14の上面に取り付けられる。上方に位置するカバー部材4の、枠フレーム15が取り付けられた開口形成部材14の開口部16は、スライド式のドア23が閉じることにより封鎖される。このドア23は、開口形成部材14の上面に移動可能に取り付けられる。ドア開閉装置25が、この開口形成部材14の上面に取り付けられる。
原子炉建屋1の運転床上の特定された落下物を撤去する場合には、下方のカバー部材4の走行台車10及び横行台車11を移動させ、この横行台車11に取り付けられた開口形成部材14に形成された開口部16を特定された落下物の真上に位置させる。上方に位置するカバー装置4の走行台車10及び横行台車11を移動させ、上方に位置するカバー装置4の開口形成部材14の開口部16も、特定された落下物の真上に位置させる。
上方に位置するカバー装置4の開口形成部材14の開口部16を封鎖しているドア23をドア開閉装置25によって開ける。クローラクレーン32の掴み具がその開口部16を通って空間33内に移送される。その掴み具をさらに下降させることにより、下方のカバー装置4の開口形成部材14の開口部16を覆っているシート17を運転床上の特定された撤去すべき落下物に向かって押し下げる。その後、実施例1と同様に、クローラクレーン32の掴み具がシート17の上からその落下物19を把持して開口部16より上方に上昇させ、落下物19よりも下方の位置でシール切断装置18によりシート17の溶着、切断を行う。クローラクレーン32の掴み具によって把持された落下物19はシート17で包み込まれて空間33内に移送される。落下物19を包み込んだシート17を熱により切断するため、開口形成部材14上に置かれた蛇腹状のシート17は、溶着により開口部が形成されず、開口部16を封鎖すると共に、次の落下物19の包み込みに利用することができる。クローラクレーン32の掴み具の上昇に伴ってこの掴み具によって把持されてシート17で包まれた落下物19は、さらに上昇して上方に位置するカバー装置4の開口形成部材14の開口部16を通って上方に位置するカバー装置4の上方に達する。そして、クローラクレーン32によりシート17で包まれた落下物19は地上まで移送される。
本実施例は実施例5で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、上方に位置するカバー装置4の配置によって空間33が形成されるので、下方に位置するカバー装置4よりも下方の領域に存在する放射性物質が、上方に位置するカバー装置4よりも上方への飛散をさらに低減される。
下方に位置するカバー装置4の替りにカバー装置4A及び4Bのいずれかを用いてもよい。また、上方に位置するカバー装置4の替りに、カバー装置4A及び4Bのいずれかを用いてもよい。
1…原子炉建屋、2…シート、3…支柱、4,4A,4B…カバー装置、4D,17,30…シート、5,22…クレーン、6,10…走行台車、7,11,29…横行台車、8…掴み具、14…開口部形成装置、16…開口部、18…シール切断装置、19…落下物、21…落下物収納容器、23…ドア、25…ドア開閉装置、26…ジブクレーン、27…枠部材、28,31A,31B…連結部材、32…クローラクレーン。

Claims (12)

  1. 原子炉建屋を、その側面を取り囲む第1シート、及び第1開口部が形成された開口部形成部材を有し、前記原子炉建屋の運転床の上方に配置されたカバー装置で覆い、
    クレーンの掴み具を、前記第1開口部を通して前記カバー装置の下方へ移動させ、
    前記原子炉建屋の運転床上の落下物を前記掴み具で把持して前記第1開口部を通して前記カバー装置の上方へ移動させ、
    その後、前記第1開口部を封鎖することを特徴とする原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  2. 前記原子炉建屋の側面の周囲に複数の支柱を設置し、
    前記カバー装置として、矩形状に配置されて前記支柱に取り付けられる4本の枠部材と、対向する一対の前記枠部材にそれぞれ取り付けられたガイドレールに移動可能に取り付けられた走行台車と、前記走行台車上を前記走行台車の移動方向と直交する方向に移動する横行台車と、前記横行台車に取り付けられて第1開口部が形成されている開口形成部材と、第2開口部が形成され、前記走行台車、前記横行台車及び前記各枠部材を覆い、且つ前記第2開口部を前記第1開口部に一致させて前記開口形成部材及び前記複数の枠部材に取り付けられて周辺部が前記第1シートに溶着される、伸縮性を有する第2シートとを備えたカバー装置を用いる請求項1に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  3. 前記原子炉建屋の側面の周囲に複数の支柱を設置し、
    前記カバー装置として、
    矩形状に配置されて前記支柱に取り付けられる4本の枠部材と、
    対向する一対の枠部材を連結する連結部材と、
    前記連結部材に並行に配置されたガイドレールに沿って移動し、開口部が形成された開口形成部材が取り付けられた開口形成部材移動台車、及び前記横行台車の移動方向において前記開口形成部材移動台車の両側にそれぞれ取り付けられて前記開口形成部材移動台車から互いに逆方向に伸びる一対の蛇腹状の第2シートを備え、前記一対の蛇腹状の第2シートのうちの一つの前記第2シートが前記一対の枠部材のうちの一つの前記枠部材に取り付けられ、前記一対の蛇腹状の第2シートのうちの残りの前記第2シートが前記一対の枠部材のうちの他の前記枠部材に取り付けられた複数のカバー部材を有するカバー装置を用いる請求項1に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  4. 前記カバー装置として、矩形状に配置された4本の枠部材と、これらの枠部材に取り付けられた格子部材と、前記格子部材により形成される複数のます目領域のうち一部の前記ます目領域に配置される、第1開口部が形成されている開口形成部材と、第2開口部が形成され、前記格子部材及び前記各枠部材を覆い、且つ前記第2開口部を前記第1開口部に一致させて前記開口形成部材及び前記複数の枠部材に取り付けられて周辺部が前記第1シートに溶着される第2シートとを備えたカバー装置を用いる請求項1に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  5. 前記掴み具の前記カバー装置の下方への移動は、前記第1開口部を覆って前記開口形成部材の上に置かれた伸縮性を有する第3シートを、前記クレーンの前記掴み具により、前記第1開口部を通して前記カバー装置の下方へ押し下げて行い、
    前記掴み具による、前記運転床上の前記落下物の把持は、前記第3シートの上から行われ、
    前記掴み具により、前記第3シートの上から把持された前記落下物を、前記第1開口部を通して前記カバー装置の上方へ移動させ、
    前記カバー装置の上方に達した前記落下物を覆っている前記第3シートを、前記落下物の下方で前記第3シートを溶着し、前記第3シートを溶着された部分で切断し、
    前記第1開口部の封鎖は、前記溶着部が残っている、前記開口形成部材の上に存在する前記第3シートによって行われる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  6. 前記開口形成部材に取り付けられて前記第1開口部の開閉を行う第1開閉ドアを閉じた状態で、前記掴み具を有する前記クレーンが内部に配置され、下端部に第2開閉ドアが取り付けられた落下物収納容器を、前記第1開閉ドアの上方に配置して前記開口形成部材に取り外し可能に取り付け、
    前記第1開閉ドア及び前記第2開閉ドアを開いた状態で、前記落下物収納容器内の前記掴み具を前記第1開口部を通して下降させ、この掴み具で前記運転床上の前記落下物を掴み、この掴み具を上昇させることにより、前記落下物を前記第1開口部を通して前記落下物収納容器内に移動させ、その後、前記第1開閉ドア及び前記第2開閉ドアを閉じ、前記落下物を収納した前記落下物収納容器を前記開口形成部材から取り外して移送する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  7. 前記落下物を収納した前記落下物収納容器の移送は、前記カバー装置の上方に配置されガイドレール上を走行する走行台車、前記走行台車上の移動する横行台車、及び前記横行台車に取り付けられた掴み具を有するクレーン、及び地上に配置されたクローラクレーンのいずれかを用いて行われる請求項6に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  8. 前記掴み具を有する前記クレーンとして、前記カバー装置の上方に配置されガイドレール上を走行する走行台車、前記走行台車上の移動する横行台車、及び前記横行台車に取り付けられた掴み具を有するクレーンを用いる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  9. 前記掴み具を有する前記クレーンとして、地上に配置されたクローラクレーンを用いる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  10. 前記掴み具を有する前記クレーンとして、前記開口形成部材の上に設置されたジブクレーンを用いる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  11. 前記カバー装置の上方に、このカバー装置との間に空間を形成するように他の前記カバー装置を配置し、前記空間を取り囲んで配置さされた前記第2シートを、前者の前記カバー装置と後者の前記カバー装置の周囲に取り付ける請求項1ないし10のいずれか1項に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
  12. 前記原子炉建屋の前記側面を取り囲む第1シートを前記側面に接触させて配置する作業を行う請求項11に記載の原子炉建屋における落下物の撤去方法。
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