JP2015206755A - 放射性廃棄物保管設備および放射性廃棄物の保管方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを吸着した吸着剤を充填した吸着塔の取り出しが容易で、放射線遮へいおよび吸着塔の除熱ができる放射性廃棄物の保管方法を提供する。
【解決手段】一対のクレーンレール4が、直方形の枠で構成された複数の貯蔵ピット2が配置された貯蔵エリアを間に挟んでその貯蔵エリアの長手方向に沿って敷設される。門型クレーン3が各クレーンレール4上に移動可能に設置される。放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを吸着した使用済吸着塔5が、門型クレーン3に吊り下げられて貯蔵ピット2の真上まで移送され、貯蔵ピット2内に収納される。クレーンレール4に直交する方向において一列に並んだ全ての貯蔵ピット2に使用済吸着塔5が収納されたとき、それぞれのクレーンレール4上で、その貯蔵ピット2の一列の両側に放射線遮へい体6が配置される。
【選択図】図1
【解決手段】一対のクレーンレール4が、直方形の枠で構成された複数の貯蔵ピット2が配置された貯蔵エリアを間に挟んでその貯蔵エリアの長手方向に沿って敷設される。門型クレーン3が各クレーンレール4上に移動可能に設置される。放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを吸着した使用済吸着塔5が、門型クレーン3に吊り下げられて貯蔵ピット2の真上まで移送され、貯蔵ピット2内に収納される。クレーンレール4に直交する方向において一列に並んだ全ての貯蔵ピット2に使用済吸着塔5が収納されたとき、それぞれのクレーンレール4上で、その貯蔵ピット2の一列の両側に放射線遮へい体6が配置される。
【選択図】図1
Description
本発明は、放射性廃棄物保管設備および放射性廃棄物の保管方法に係り、特に、放射性核種を吸着した廃吸着剤を一時的に保管するのに好適な放射性廃棄物保管設備および放射性廃棄物の保管方法に関する。
原子力発電プラント等の原子力施設において発生する、放射性核種を含む放射性廃液は、イオン交換樹脂および無機系吸着剤などが充填された吸着塔に供給され、イオン交換樹脂および無機系吸着剤などの吸着剤により放射性核種を吸着して除去する処理が行われる。放射性廃液の処理に使用される吸着塔内の吸着剤は、所定量の放射性廃液を処理した後に新しい吸着剤と交換される。使用済の吸着剤は、吸着した放射性核種の種類および量に応じて必要であれば放射線遮蔽を施し、放射性廃棄物として貯蔵されて保管される。
福島第一原子力発電所の事故により発生した放射性核種を含む汚染水の処理においても吸着剤が使用されている。汚染水に含まれる放射性セシウムは、ゼオライト等を吸着剤として充填した吸着塔を含むセシウム吸着装置で除去されている。処理で使用された吸着剤は、吸着塔ごと交換され、使用済吸着剤が充填された吸着塔は一時保管施設に保管される(東京電力株式会社プレスリリース資料「セシウム吸着塔一時保管施設の設置について」、平成23年12月21日
(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111221_01-j.pdf)参照)。
(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111221_01-j.pdf)参照)。
セシウム吸着塔一時保管施設では、使用済吸着剤が充填された吸着塔は、直方体のコンクリートボックス内または直方形の枠内に収納される。使用済吸着剤が充填された吸着塔を、コンクリートの側壁を四方に有するコンクリートボックス内に収納する理由は、吸着塔内に存在する使用済吸着剤に吸着された放射性セシウムから放射される放射線を遮蔽するためである。セシウム吸着塔一時保管施設の外周には、高さ約2.5mの土嚢が設置されている。
また、セシウム吸着塔一時保管施設の対向する長尺の二辺において、セシウム吸着塔一時保管施設と積み重ねられた土嚢のそれぞれの間にクレーンレールが敷設されており、セシウム吸着塔一時保管施設を跨いで配置された門型クレーンがそれらのクレーンレール上に設置される。門型クレーンは、それらのクレーンレール上を移動し、使用済吸着剤が充填された吸着塔をセシウム吸着塔一時保管施設内のコンクリートボックスまたは直方形の枠内に移送する。
特開2000−28795号公報は、乾式の貯蔵設備である、使用済燃料集合体を収納した収納容器の簡易貯蔵設備を記載している。この簡易貯蔵設備では、複数の柱で支えられた天井遮蔽体が貯蔵空間を覆って貯蔵空間の上方に配置され、使用済燃料集合体が収納されて密封された収納容器が貯蔵空間に配置され、並べられた収納容器の群を取り囲んで複数の側方放射線遮蔽体が置かれる。側方放射線遮蔽体には車輪が取り付けられる。
特許第5285183号公報は、放射性セシウムと放射性ストロンチウムを同時に吸着できる吸着剤を記載している。この吸着剤は、チタンケイ酸塩化合物を0.5モル/L以上2.0モル/L未満の範囲内の水酸化ナトリウム濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液に接触させて生成された吸着剤である。
東京電力株式会社プレスリリース資料「セシウム吸着塔一時保管施設の設置について」、平成23年12月21日(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111221_01-j.pdf)
福島第一原子力発電所事故で発生した汚染水には、放射性セシウムと共に、放射性ストロンチウムも高濃度で含まれている。特許第5285183号公報に記載された、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを同時に吸着できる吸着剤がその汚染水の処理に適用されると、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムが吸着された使用済の吸着剤を充填した使用済吸着塔が発生する。
この使用済吸着塔内の使用済吸着剤に吸着されている放射性ストロンチウムは、主にSr−90である。Sr−90はベータ線を放出する高発熱性の放射性核種であることが知られており、高濃度の放射性ストロンチウムを吸着した吸着剤は除熱冷却が必要である。上記の東京電力株式会社プレスリリース資料「セシウム吸着塔一時保管施設の設置について」、平成23年12月21日に記載されたコンクリートボックス内に使用済吸着塔を保管する方法では、使用済吸着塔の周囲がコンクリートの壁で覆われてしまうため、使用済吸着塔内の使用済吸着剤に吸着された放射性ストロンチウムに起因して発生した熱の除熱に関する課題が存在する。
一方、高濃度の放射性セシウムを吸着した吸着剤は放射線の遮蔽が必要であるが、使用済吸着塔を、上記の東京電力株式会社プレスリリース資料「セシウム吸着塔一時保管施設の設置について」、平成23年12月21日に記載された直方形の枠内に保管する方法では放射線の遮蔽が十分でない恐れがある。
特開2000−28795号公報に記載の方法によれば、除熱および放射線遮へいの課題を解決できるが、天井遮へい体が常設されるため、特開2000−28795号公報に記載の貯蔵設備に放射性廃棄物を貯蔵するとき、また、その貯蔵設備から放射性廃棄物を取出すときに、放射性廃棄物の移動に制限が生じる。特に、吸着剤を充填した高さが高い吸着塔の移動が困難であり、また、その吸着塔を取出す際には手前から吸着塔を移動する必要がある。
本発明の目的は、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを吸着した吸着剤を充填した吸着塔の取り出しが容易で、放射線遮へいおよび吸着塔の除熱ができる放射性廃棄物保管設備および放射性廃棄物の保管方法を提供することである。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、放射性核種を吸着した吸着剤を内蔵する吸着塔を収納する複数の貯蔵ピットと、複数の貯蔵ピットが配置された列が、長手方向に複数列存在する貯蔵エリアと、貯蔵エリアを間に挟んで配置されてその長手方向に伸びる一対のクレーンレールと、貯蔵エリアを跨いでその一対のクレーンレール上に移動可能に設置された門型クレーンと、クレーンレールのそれぞれの上に、クレーンレールに沿って移動可能に設置された複数の放射線遮へい体とを備えたことにある。
上記した目的は、上記した特徴を有する放射性廃棄物保管設備を用いた放射性廃棄物の保管方法であって、
門型クレーンを用いて吸着塔を貯蔵ピットの真上まで移送してこの吸着塔をこの貯蔵ピット内に収納し、
放射線遮へい体をクレーンレールに沿って移動させて吸着塔を収納している貯蔵ピットの周囲に配置し、貯蔵ピット内に収納している吸着塔から放出される放射線を、前記クレーンレール上に配置した前記放射線遮へい体によって遮へいすることによっても達成できる。
門型クレーンを用いて吸着塔を貯蔵ピットの真上まで移送してこの吸着塔をこの貯蔵ピット内に収納し、
放射線遮へい体をクレーンレールに沿って移動させて吸着塔を収納している貯蔵ピットの周囲に配置し、貯蔵ピット内に収納している吸着塔から放出される放射線を、前記クレーンレール上に配置した前記放射線遮へい体によって遮へいすることによっても達成できる。
本発明によれば、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを吸着した吸着剤を充填した吸着塔の取り出しが容易で、放射線遮へいおよび吸着塔の除熱ができる。
発明者らは、放射性核種を吸着した使用済吸着剤が充填された使用済の吸着塔の放射線遮へいについて検討を行った。この検討の結果、使用済の吸着塔ごとにコンクリートで放射線を遮へいする場合よりも、複数の使用済吸着塔を保管している貯蔵エリアの外周に放射線遮へい体を配置することによって、放射線遮へい他の外側での実効線量を低減できることが分かった。この結果を図5を用いて以下に説明する。
図5には、ケース1、ケース2およびケース3の3つのケースについて実効線量(相対値)が示されている。ケース1は各使用済吸着塔を10cmの厚みを有するコンクリートで取り囲んで放射線遮へいを行っており、ケース2は8体の使用済吸着塔を並べこれらの使用済吸着塔の周囲に20cmの厚みを有するコンクリートを配置して放射線遮へいを行っており、ケース3は8体の使用済吸着塔を並べこれらの使用済吸着塔の周囲に2cmの厚みを有する鉄板および20cmの厚みを有するコンクリートを配置して放射線遮へいを行っている。それぞれのケースにおいて、同一線量の点線源がそれぞれの使用済吸着塔内に存在すると仮定し、使用済吸着塔の外面から1m離れた位置での実効線量を求めた。このようにして得られた各ケースにおける実効線量を、図5に示している。なお、図5では、ケース1における実効線量を1としたときの各ケースでの実効線量を相対値で示している。
ケース1では8体の使用済吸着塔のそれぞれにコンクリート遮へい体が設置されているにもかかわらず、使用済吸着塔の外面から1m離れた位置での実効線量が最も高くなっている。並べられた8体の使用済吸着塔の周囲を取り囲んでコンクリート遮へい体を設置したケース2の実効線量はケース1のそれの約1/2になり、並べられた8体の使用済吸着塔の周囲を取り囲んで鉄遮へい体およびコンクリート遮へい体を設置したケース3の実効線量はケース1のそれの約1/3になった。この結果、使用済吸着塔の貯蔵エリアの周囲に放射線遮へい体を設置することにより、貯蔵エリアに配置された使用済吸着塔からの放射線を効果的に遮へいすることができる。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の放射性廃棄物の保管方法を、図1〜4を用いて説明する。
本実施例の放射性廃棄物の保管方法に用いられる放射性廃棄物保管設備1を、図1〜4を用いて説明する。放射性廃棄物保管設備1は、貯蔵ピット2、クレーン3および9、クレーンレール4、放射線遮へい体6を備えている。貯蔵ピット2は、放射性廃棄物である1体の使用済吸着塔5を収納できる直方形の枠で構成される。この各直方形の一辺の長さは使用済吸着塔5の直径よりも大きい。貯蔵ピット2の内部に、収納した使用済吸着塔5の固定装置を設けてもよい。複数の貯蔵ピット2が配置された貯蔵エリアが形成される。貯蔵エリアの長手方向には、複数の貯蔵ピット2が配置された列が、複数(例えば、多数)形成されている。
一対のクレーンレール4が平行に敷設されており、貯蔵エリア内の複数の貯蔵ピット2は、その一対のクレーンレール4の間に配置されている。門型クレーン3が、貯蔵エリアを跨いで一対のクレーンレール4上に設置され、クレーンレール4に沿って移動可能である。門型クレーン3には、クレーンレール4と直交する方向に移動可能な横行台車が設けられており、クレーン吊り具8がこの横行台車に設けられる。また、コンクリート(または貯蔵ピット2に面した平面に鉄板を設置したコンクリート、またはクレーン側に面した平面に鉄板を設置したコンクリート、またはそれらの両平面が鉄板で覆われたコンクリート)で構成された複数の放射線遮へい体6がそれぞれのクレーンレール4上に設置される。具体的には、各放射線遮へい体6は放射線遮へい体6ごとにクレーンレール4上に移動可能に設置されたる台車(図示せず)に取り付けられている。放射線遮へい体6の下端部には、台車の上面に取り付けられた、放射線遮へい体6の転倒防止用の一対の支持部材11が取り付けられている(図3参照)。各放射線遮へい体6の高さは門型クレーン3の高さよりも低くなっている。
放射性廃棄物保管設備1を用いて実施される本実施例の放射性廃棄物の保管方法を、具体的に説明する。
放射性廃棄物である使用済吸着塔は、吸着塔が使用された施設、例えば、原子力発電プラントから取り外されてトレーラに積載され、放射性廃棄物保管設備1の貯蔵エリアまで搬送される。使用済吸着塔を積載したトレーラは、放射性廃棄物保管設備1の貯蔵エリアの一端に存在するトレーラ駐車領域に停車される。トレーラに積載された使用済吸着塔5は、クレーンレール4上を移動する門型クレーン3のクレーン吊り具8に吊り下げられ、門型クレーン3を移動することによって貯蔵エリア内の空いている貯蔵ピット2の真上まで移送され、この貯蔵ピット2内に収納される(図2参照)。このように、トレーラで搬送された各使用済吸着塔5が、貯蔵エリア内の貯蔵ピット2内に順次収納される。貯蔵エリア内において使用済吸着塔5を収納する貯蔵ピット2は、通常、貯蔵エリアのトレーラ駐車領域に隣接する一端とは反対側に位置する、貯蔵エリアの他端側から順番に指定される。しかしながら、使用済吸着塔5の線量および発熱量に基づいて使用済吸着塔5を収納する貯蔵ピット2を指定してもよい。
クレーンレール4に直交して配置された一列の貯蔵ピット2の全てに使用済吸着塔5が収納されたとき、それぞれのクレーンレール4の上で、これらの貯蔵ピット2一列の両側に放射線遮へい体6が配置される。これらの放射線遮へい体6の配置は、それぞれのクレーンレール4に沿って放射線遮へい体6を設置した台車をトレーラ駐車領域側に向かって順番に移動させることによって行われる。このように放射線遮へい体6を移動させた後、トレーラ駐車領域に停車しているトレーラに積載された使用済吸着塔5を、門型クレーン3によって次の一列に配置された各貯蔵ピット2内に順次収納させる。使用済吸着塔5の貯蔵ピット2への収納によってクレーンレール4上に配置された放射線遮へい体6が不足するときには、移動式クレーンによって放射線遮へい体6がクレーンレール4上に設置される。
内部に充填された使用済吸着材を処理するために、それぞれの貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5は、放射性廃棄物保管設備1の貯蔵エリアから取り出されて使用済吸着剤の処理施設まで搬送される。使用済吸着塔5の放射性廃棄物保管設備1からの取り出し方法について説明する。
使用済吸着塔5の放射性廃棄物保管設備1からの取り出しには、貯蔵エリアのトレーラ駐車領域に隣接する一端とは反対側に位置する、貯蔵エリアの他端部側で一対のクレーンレール4上に常時設置された、門型クレーン3とは別の門型クレーン9を用いて行われる(図4参照)。門型クレーン9は門型クレーン3と同じ構造である。門型クレーン9は、使用済吸着塔5を放射性廃棄物保管設備1から取り出す時に、貯蔵エリアの他端部側で一対のクレーンレール4上に設置してもよい。クレーンレール4上の複数の放射線遮へい体6を門型クレーン3側に移動させ、駐車領域に隣接する一端とは反対側に位置する、貯蔵エリアの他端部側において、貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5を門型クレーン9で吊り上げて貯蔵ピット2から取り出し、貯蔵エリアの他端部側に停車しているトレーラに載せる。所定の体数の使用済吸着塔5を門型クレーン9でトレーラに載せた後、これらの使用済吸着塔5をトレーラにより使用済吸着剤の処理施設まで移送する。
貯蔵エリアの他端部側の一列に並んだ全ての貯蔵ピット2から使用済吸着塔5を取り出した後、この一列に隣接した門型クレーン3側の次の一列に並んで配置された各貯蔵ピット2から、門型クレーン9を用いて使用済吸着塔5が順次取り出される。これらの使用済吸着塔5の取り出しを円滑に行うため、クレーンレール4上の各放射線遮へい体6をクレーンレール4に沿って門型クレーン3側に移動させ、門型クレーン9の移動可能な範囲を広くする。
貯蔵エリア内の各貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5は、原子力発電プラントで使用された時期および使用された期間により内部の吸着剤に吸着された放射性物質の吸着量が異なる。このため、使用済吸着塔5に充填された吸着剤を取り出して処理する際に、放射性廃棄物保管設備1の貯蔵エリアの長手方向において中央部に配置された貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5を、貯蔵エリアの門型クレーン9側の貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5よりも先に取り出す場合がある。このときには、その中央部に配置された貯蔵ピット2の並びでクレーンレール4上に設置された放射線遮へい体6を、例えば後述する図7に示すように、放射性廃棄物保管設備1の脇に配置された移動式クレーン(図示せず)によりクレーンレール4から取り外す。
放射線遮へい体6を取り除いた後、放射線遮へい体6を取り除いた位置の脇に移動式クレーンを移動させ、この移動式クレーンを用いて、貯蔵エリアの長手方向においてその中央部に配置された貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5を吊り上げて貯蔵ピット2から取り出す。取り出された使用済吸着塔5は、トレーラに載せられて使用済吸着剤の処理施設まで搬送される。
貯蔵エリア内の各貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5の外面は外気の流れにさらされており、使用済吸着塔5内の使用済吸着剤に吸着されたSr−90の崩壊により発生する熱をその外気によって除去することができる。このため、各貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5の除熱を外気によって効率良く行うことができる。特に、本実施例では、貯蔵エリアの各貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5の上方が開放されているため、使用済吸着塔5の除熱効率がさらに向上する。
また、本実施例では、放射性廃棄物保管設備1の貯蔵エリアの外周に複数の放射線遮へい体6を配置しているため、使用済吸着塔5内の使用済吸着剤に吸着された放射性セシウム等の放射性核種から放出される放射線を複数の放射線遮へい体6によって遮へいすることができる。
本実施例によれば、各放射線遮へい体6がクレーンレール4上に移動可能に設置されているため、貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5を取り出すときに放射線遮へい体6をクレーンレール4に沿って移動することにより、貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5の取り出しが極めて容易になる。放射線遮へい体6のクレーンレール4上での移動により、貯蔵ピット2からの使用済吸着塔5の取り出しに使用される門型クレーン9の移動可能な範囲が広くなり、貯蔵エリアの広い範囲に亘って使用済吸着塔5の取り出しを効率良く行うことができる。
また、貯蔵エリアの長手方向に伸びるクレーンレール4上に設置される複数の放射線遮へい体6は分割されて或る幅を有するため、門型クレーン3とは反対側に位置する、貯蔵エリアの他端部および貯蔵エリアの長手方向において中央部等の、貯蔵ピット2から取り出される使用済吸着塔5が存在する位置付近に配置された放射線遮へい体6だけを移動式クレーンでクレーンレール4から取り除くことにより、その使用済吸着塔5を容易に取り出すことができる。しかも、クレーンレール4上から取り外した以外の他の放射線遮へい体6によって取り出す使用済吸着塔5以外の使用済吸着塔5からの放射線を遮へいすることができる。
本発明の他の好適な実施例である実施例2の放射性廃棄物の保管方法を、図6を用いて説明する。
本実施例の放射性廃棄物の保管方法に用いられる放射性廃棄物保管設備1Aを図6により説明する。放射性廃棄物保管設備1Aは、実施例1で用いられる放射性廃棄物保管設備1において放射線遮へい体6を放射線遮へい体6Aに替えた構成を有する。放射線遮へい体6Aは、一対のクレーンレール4のそれぞれに設置される放射線遮へい体6を放射線遮へい材で製作された放射線遮へい天井部材6Bで連結した構成を有する。放射線遮へい天井部材6Bは、貯蔵ピット2に収納された使用済吸着材5の上方に位置しており、一対のクレーンレール4のそれぞれに設置される各放射線遮へい体6の上端に取り付けられている。放射性廃棄物保管設備1Aは、複数の放射線遮へい体6Aを一対のクレーンレール4のそれぞれ上に設置している。一対のクレーンレール4のそれぞれ上に設置された、放射線遮へい体6Aのそれぞれの放射線遮へい体6は、放射線遮へい体6Aの側壁部を形成している。放射線遮へい体6Aのそれぞれの放射線遮へい体6は、一対のクレーンレール4上をそれぞれ移動する各台車(図示せず)に取り付けられている。放射線遮へい体6Aのそれぞれの放射線遮へい体6の、貯蔵エリアの長手方向における幅は、放射性廃棄物保管設備1の放射線遮へい体6のその幅と同じである。なお、放射性廃棄物保管設備1Aの他の構成は、実施例1で用いられる放射性廃棄物保管設備1の構成と同じである。放射性廃棄物保管設備1Aも、放射性廃棄物保管設備1と同様に、一対のクレーンレール4の他端部で、これらのクレーンレール4上に門型クレーン9を設置している。
放射性廃棄物保管設備1Aを用いた本実施例の放射性廃棄物の保管方法において、実施例1と同様に行われる。
原子力発電プラントから取り出された使用済吸着塔5を積載したトレーラが、放射性廃棄物保管設備1Aの貯蔵エリアの一端に存在するトレーラ駐車領域に停車される。トレーラに積載された使用済吸着塔5は、実施例1と同様に、門型クレーン3に吊り下げられて貯蔵エリア内の貯蔵ピット2の真上まで移送され、この貯蔵ピット2内に収納される。貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5を取り出す場合も、実施例1と同様に、クレーンレール4上を移動する門型クレーン9が使用される。
放射性廃棄物保管設備1の貯蔵エリアの長手方向において中央部に配置された貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5を取り出す場合には、その中央部に配置された貯蔵ピット2の並びでクレーンレール4上に設置された放射線遮へい体6Aを、放射性廃棄物保管設備1Aの脇に配置された移動式クレーン(図示せず)によりクレーンレール4から取り外す。放射線遮へい体6Aがクレーンレール4から取り除かれた後、貯蔵エリアの長手方向においてその中央部に配置された貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5が、その移動式クレーンにより吊り上げられて貯蔵ピット2から取り出される。
本実施例の放射性廃棄物の保管方法は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、使用済吸着塔5が貯蔵ピット2内に収納されているときは、放射線遮へい体6Aの放射線遮へい天井部材6Bが収納された使用済吸着塔5の上方を覆っているため、実施例1に比べて放射線の遮へい効果が大きくなる。反面、貯蔵ピット2内に収納されている使用済吸着塔5が放射線遮へい天井部材6Bで覆われているため、使用済吸着塔5の冷却効果は、実施例1に比べていくらか低下する。しかしながら、この冷却効果の低減は、保管されている使用済吸着塔5に悪影響を及ぼすほどではない。
本発明の他の好適な実施例である実施例3の放射性廃棄物の保管方法を、図7および図8を用いて説明する。
本実施例の放射性廃棄物の保管方法に用いられる放射性廃棄物保管設備1Bを図7および図8により説明する。放射性廃棄物保管設備1Bは、実施例1で用いられる放射性廃棄物保管設備1に一対のレール4Aをクレーンレール4とは別に追加して敷設し、複数の放射線遮へい体10をクレーンレール4ではなくそれぞれのレール4A上に移動可能に設置した構成を有する。一対のレール4Aは貯蔵エリアの長手方向に伸びており、各レール4Aは貯蔵エリアとクレーンレール4の間に配置される。クレーンレール4上には、放射線遮へい体10だけでなく、実施例1で用いられる放射線遮へい体6も設置されていない。それぞれの放射線遮へい体10は、レール4A上を移動する台車に取り付けられている。この台車に取り付けられた転倒防止用の一対の支持部材11が放射線遮へい体10に取り付けられている。放射性廃棄物保管設備1Bの他の構成は放射性廃棄物保管設備1と同じである。門型クレーン3の高さは放射線遮へい体10の高さよりも高くなっている。放射性廃棄物保管設備1Bも、放射性廃棄物保管設備1と同様に、一対のクレーンレール4の他端部で、これらのクレーンレール4上に門型クレーン9を設置している。
本実施例の放射性廃棄物の保管方法では、実施例1と同様に、原子力発電プラントから取り出されて搬送された使用済吸着塔5は、クレーンレール4上を移動する門型クレーン3のクレーン吊り具8に吊り下げられて貯蔵ピット2内に移送される。門型クレーン3は放射線遮へい体10が設置されたレール4Aとは別のクレーンレール4上を移動するため、放射線遮へい体10によって移動が制限されることはない。このため、門型クレーン3を用いて貯蔵ピット2内の使用済吸着塔5を取り出すことができる。放射線遮へい体10のレール4A上への設置も、門型クレーン3を用いて行うことができる。
放射性廃棄物保管設備1の貯蔵エリアの長手方向において中央部に配置された貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5を取り出す場合には、その中央部に配置された貯蔵ピット2の並びでレール4A上に設置された放射線遮へい体10を、放射性廃棄物保管設備1Bの脇に配置された移動式クレーン(図示せず)によりレール4Aから取り外す。放射線遮へい体10が取り除かれた後、貯蔵エリアの長手方向においてその中央部に配置された貯蔵ピット2に収納された使用済吸着塔5が、その移動式クレーンにより吊り上げられて貯蔵ピット2から取り出される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、放射線遮へい体10がクレーンレール4とは別のレール4A上に設置されるため、門型クレーン3の移動の自由度が増し、上記したように使用済吸着塔5を貯蔵ピット2からの取り出しを、門型クレーン3を用いて行うことができる。このため、実施例1のように門型クレーン9を別途設置する必要がなくなり、放射性廃棄物保管設備1Bは放射性廃棄物保管設備1に比べて設備が簡素化できる。また、使用済吸着塔5を貯蔵ピット2から取り出す際に、放射線遮へい体10をレール4A上から取り外す必要がなく、使用済吸着塔5の取り出し作業に要する時間が短縮できる。
本実施例において、放射線遮へい体10の替りに実施例2で用いられる放射線遮へい体6Aを一対のレール4A上に移動可能に設置してもよい。
1,1A,1B…放射性廃棄物保管設備、2…貯蔵ピット、3,9…門型クレーン、4…クレーンレール、4A…レール、5…使用済吸着塔、6、10…放射線遮へい体。
Claims (10)
- 放射性核種を吸着した吸着剤を内蔵する吸着塔を収納する複数の貯蔵ピットと、複数の前記貯蔵ピットが配置された列が、長手方向に複数列存在する貯蔵エリアと、前記貯蔵エリアを間に挟んで配置されて前記長手方向に伸びる一対のクレーンレールと、前記貯蔵エリアを跨いで前記一対のクレーンレール上に移動可能に設置された門型クレーンと、前記クレーンレールのそれぞれの上に、前記クレーンレールに沿って移動可能に設置された複数の放射線遮へい体とを備えたことを特徴とする放射性廃棄物保管設備。
- 前記門型クレーンが第1門型クレーン及び第2門型クレーンを含んでおり、前記第1門型クレーンが前記クレーンレールの一端部側で前記クレーンレール上に配置され、前記第2門型クレーンが前記クレーンレールの他端部側で前記クレーンレール上に配置される請求項1に記載の放射性廃棄物保管設備。
- それぞれの前記クレーンレール上に設置された各前記放射線遮へい体が、前記貯蔵エリアに配置された前記貯蔵ピットよりも上方に位置する放射線遮へい天井部材で連結されている請求項1または2に記載の放射性廃棄物保管設備。
- 放射性核種を吸着した吸着剤を内蔵する吸着塔を収納する複数の貯蔵ピットと、複数の前記貯蔵ピットが配置された列が、長手方向に複数列存在する貯蔵エリアと、前記貯蔵エリアを間に挟んで配置されて前記長手方向に伸びる一対の第1レールと、前記貯蔵エリアを跨いで前記一対の第1レール上に移動可能に設置された門型クレーンと、前記長手方向に伸びており、前記貯蔵エリアと前記第1レールの間に配置されて前記貯蔵エリアを間に挟んで配置された一対の第2レールと、前記第2レールのそれぞれの上に、前記第2レールに沿って移動可能に設置された複数の放射線遮へい体とを備えたことを特徴とする放射性廃棄物保管設備。
- それぞれの前記第2レール上に設置された各前記放射線遮へい体が、前記貯蔵エリアに配置された前記貯蔵ピットよりも上方に位置する放射線遮へい天井部材で連結されている請求項4に記載の放射性廃棄物保管設備。
- 前記貯蔵ピットが直方形の枠で構成されている請求項1または4に記載の放射性廃棄物保管設備。
- 請求項1に記載の前記放射性廃棄物保管設備を用いた放射性廃棄物の保管方法であって、
前記門型クレーンを用いて前記吸着塔を前記貯蔵ピットの真上まで移送してこの吸着塔をこの貯蔵ピット内に収納し、
前記放射線遮へい体を前記クレーンレールに沿って移動させて前記吸着塔を収納している前記貯蔵ピットの周囲に配置し、前記貯蔵ピット内に収納している前記吸着塔から放出される放射線を、前記クレーンレール上に配置した前記放射線遮へい体によって遮へいすることを特徴とする放射性廃棄物の保管方法。 - 前記クレーンレールの一端部側で前記一対のクレーンレール上に設置された前記門型クレーンとは別の、前記クレーンレールの他端部側で前記一対のクレーンレール上に設置された門型クレーンを用いて、前記貯蔵ピットから前記吸着塔を取り出す請求項7に記載の放射性廃棄物の保管方法。
- 請求項4に記載の前記放射性廃棄物保管設備を用いた放射性廃棄物の保管方法であって、
前記門型クレーンを用いて前記吸着塔を前記貯蔵ピットの真上まで移送してこの吸着塔をこの貯蔵ピット内に収納し、
前記放射線遮へい体を前記第2レールに沿って移動させて前記吸着塔を収納している前記貯蔵ピットの周囲に配置し、前記貯蔵ピット内に収納している前記吸着塔から放出される放射線を、前記第2レール上に配置した前記放射線遮へい体によって遮へいすることを特徴とする放射性廃棄物の保管方法。 - 前記貯蔵ピットに収納されている前記吸着塔を、前記門型クレーンを用いて前記貯蔵ピットから取り出す請求項9に記載の放射性廃棄物の保管方法。
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JP2014089032A JP2015206755A (ja) | 2014-04-23 | 2014-04-23 | 放射性廃棄物保管設備および放射性廃棄物の保管方法 |
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JP2014089032A JP2015206755A (ja) | 2014-04-23 | 2014-04-23 | 放射性廃棄物保管設備および放射性廃棄物の保管方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106875998A (zh) * | 2017-02-23 | 2017-06-20 | 中国核动力研究设计院 | 一种辐照后高放射性固体废物暂存处理系统及方法 |
CN113963828A (zh) * | 2021-11-12 | 2022-01-21 | 中国核电工程有限公司 | 一种移动式屏蔽仓房及放射屏蔽系统 |
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2014
- 2014-04-23 JP JP2014089032A patent/JP2015206755A/ja active Pending
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CN106875998A (zh) * | 2017-02-23 | 2017-06-20 | 中国核动力研究设计院 | 一种辐照后高放射性固体废物暂存处理系统及方法 |
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