JP2016204637A - 医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
活性水素を2個以上有する化合物に、エチレンオキサイドを付加重合することにより製造される。その際、ポリエチレングリコールが製造される工程で、少量の低分子化合物として低級アルデヒドが副生される。精製していない粗ポリエチレングリコール中に含有するアセトアルデヒド等の低級アルデヒドは、不快な臭気や味を発生させ、またアレルギーの原因物質であるため、除去する必要がある。
アルデヒドなどの副生物を抑制する観点から、蒸留した原料を使用する方法(特許文献1)や、遠心式薄膜分子蒸留機を使用し精製する方法(特許文献2)がなされてきた。
下記一般式(1)で表されるポリエーテル(E)を含む医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物であって、カリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計が30ppm未満である医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物;
二酸化炭素を含有する圧縮流体を、前記ポリエーテル(E)に接触させて、ポリエーテル組成物中のカリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計をポリエーテル組成物の重量に基づいて30ppm未満に低減する工程を有するポリエーテル組成物の製造方法である。
RO−(C2H4O)n−H (1)
[式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは4〜100,000の数である。]
一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基である。不純物低減の観点から、水素原子であることが好ましい。本発明の一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基以外の場合、アルデヒドの発生量が多くなり、pH低下などの問題が生じる。
nは、反応性の観点から好ましくは20〜1,000の数であり、更に好ましくは45〜300の数である。
<ICP発光分析法によるポリエーテル中のナトリウムイオン及びカリウムイオン含量の測定方法>
ICP発光分析法には、ICP発光分析装置(VARIAN社製、Varian730−ES)を用いて分析した。超純水で1000倍に希釈した試料をICP発光分析装置で定量した。測定波長は、ナトリウムが589.592nmであり、カリウムが766.491nmであった。この時、ナトリウム及びカリウムを超純水で、50、100、200、500ppbに希釈したものを検量線として用いた。
(アルデヒド含量測定)
塩基性フクシン200mgを70〜90℃の湯120mlに溶かし、25℃になるまで放冷した後、無水亜硫酸ソーダ2gを水20mlに溶かした溶液及び塩酸2mlを加え、水を加えて200mlとする。使用前少なくとも25℃で1時間は放置し、これをフクシン亜硫酸試薬溶液とする。
測定試料約40gを精秤し、100mlメスフラスコに蒸留水(25℃)を加えて充分溶解する。この溶液1mlを共栓試験管に正確に採り、これにフクシン亜硫酸試薬溶液5mlを加え密栓混合し、30分間放置する。この溶液について波長562nmの吸光度測定を行う。別にホルマリン濃度既知の標準試料を同様の操作により発色させ検量線を作成し、この検量線より試料のアルデヒド含量を定量する。
この測定法は、第16改正日本薬局方「マクロゴール」の平均分子量試験に準ずる。
その後、pH調整を行うことで医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物を製造する方法等が例示できる。エチレンオキサイドの添加方法は特に限定されず、一度に全量を加えてもよいし、複数回に分割して添加してもよい。通常、開環付加反応における圧力は、安全性の観点から−0.1MPaG〜0.5MPaGであることが好ましい。
リン酸及び/又は有機酸(C1)としては、リン酸;有機カルボン酸[蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸等]が挙げられる。これらのうち、安定性の観点からリン酸、シュウ酸及びクエン酸が好ましい。
pH調整剤(C)は、前記の(C1)を水で希釈してもよく、10〜95重量%に希釈したものが好ましい。
カリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計を30ppm未満に低減する工程には、精製の工程等がある。
また精製の方法はいかなる方法でも構わないが、二酸化炭素を含有する圧縮流体を用いて、カリウムイオン、ナトリウムイオン及びアルデヒド等を抽出する方法が好ましい。二酸化炭素を含有する圧縮流体を用いて抽出する方法では効率よく精製でき、またカリウムイオン、ナトリウムイオン及びアルデヒド以外に残存触媒や過酸化物等の不純物の除去もできる。
また圧縮流体の圧力は1.0MPa〜100MPaが好ましく、より好ましくは3.0MPa〜50MPa、更に好ましくは5.0MPa〜30MPa、特に好ましくは7.0MPa〜20MPaである。圧力が1.0MPaより小さい場合、抽出効率が低くなる恐れがある。一方圧力が100MPaより大きい場合、設備上、大型化が困難になる恐れがある。
分離後、減圧して常圧に戻し、精製されたポリエーテル(E)を得ることができる。
図1は、本発明における、ポリエーテル(E)の精製に用いた実験装置のフローチャートである。
ポリエーテル(E)と二酸化炭素を含有する圧縮流体の混合方法としては、まず、ポリエーテル(E)を加圧ろ過槽(T1)に仕込んだ後、圧縮流体をボンベB1からポンプP1を通じて、バルブV1を開くことにより加圧ろ過槽(T1)に導入し、圧縮流体が液状又は超臨界状態となる圧力及び温度となるよう調整し、混合物を得る。次いでトラップT2に通じるバルブV2を開くことにより大気圧まで減圧膨張させ、圧縮流体を気化させて除き、一方でフィルターF1にてポリエーテル(E)を捕捉することで精製されたポリエーテル(E)が得られる。
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60g(0.6mol)、水酸化ナトリウム0.13g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1805.8g(40.9mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして240分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)を行い、710μmの篩で分級し、ポリエチレングリコール(1a)を得た。
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60g(0.6mol)、水酸化カリウム0.19g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1805.8g(40.9mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして30分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエチレングリコール(2a)を得た。
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール45g(0.4mol)、水酸化ナトリウム0.35g(6.2mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド3157.2g(71.6mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして240分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)を行い、710μmの篩で分級し、ポリエチレングリコール(3a)を得た。
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60g(0.6mol)、水酸化カリウム0.19g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1953.6g(44.4mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして30分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエチレングリコール(2a)を得た。
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60(0.6mol)、水酸化ナトリウム0.13g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1805.8g(40.9mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして60分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエーテル(H−1)を得た。このとき、アルデヒド含有量は250ppmであり、ナトリウム含量は35ppm、カリウム含量は8ppmでありまた粒径500μm以下の粉体は、56重量%であった。
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール45g(0.4mol)、水酸化ナトリウム0.35g(6.2mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド3157.2g(71.6mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして240分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエーテル(H−2)を得た。このとき、アルデヒド含有量は255ppmであり、ナトリウム含有量は33ppm、カリウム含量は9ppmであり、粒径500μm以下の粉体は、61重量%であった。
実施例1〜3、比較例1で作製したポリエチレングリコールをスターラーチップが入ったスクリュー管に20g入れて、70℃に温調したウォーターバス中で、大気存在下で回転速度250rpm、23時間撹拌を行い熱劣化したポリエチレングリコールを作製した。
試料を製造直後、70mLマヨネーズ瓶に30gを入れて密栓し、40℃で1時間静置した後の臭気男女各5名のパネラーが以下の基準で評価した。全10名の評点の平均値により、臭気の評価とする。数値が少ないほど臭気が少ないことを示す。
[評価基準]
0:ほとんど臭気なし
1:僅かに臭気あり
2:明らかに臭気あり
3:臭気が強い
4:非常に臭気が強い
pHはポリエーテル5重量%水溶液のpHを測定した。なお、ポリエチレングリコールの製造直後と熱劣化後においてポリエチレングリコール5重量%水溶液のpHの差が低いほど、製品安定性に優れていることを示す。
T2:ろ液回収槽
F1:セラミックフィルター(メッシュ:0.5μm)
B1:二酸化炭素ボンベ
P1:二酸化炭素ポンプ
V1、V2:バルブ
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるポリエーテル(E)を含む医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物であって、カリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計が30ppm未満である医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物。
RO−(C2H4O)n−H (1)
[式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは4〜100,000の数である。] - アルデヒド含量が100ppm以下である請求項1に記載の医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物。
- 二酸化炭素を含有する圧縮流体を、前記ポリエーテル(E)に接触させて、ポリエーテル組成物中のカリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計をポリエーテル組成物の重量に基づいて30ppm未満に低減する工程を有する請求項1又は2に記載のポリエーテル組成物の製造方法。
- 前記ポリエーテル(E)と二酸化炭素を含有する圧縮流体との混合物から、前記ポリエーテル(E)と圧縮流体とを分離する工程を有する請求項3に記載のポリエーテル組成物の製造方法。
- 前記混合物において、圧縮流体の圧力が1MPa〜100MPaであり、かつ圧縮流体の温度が0℃〜170℃である請求項3又は4に記載のポリエーテル組成物の製造方法。
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