JP2016204595A - 水系ウレタン樹脂組成物、並びに、それを用いた誘電エラストマー及びアクチュエーター - Google Patents
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Description
しかしながら、この誘電膜は、比誘電率が低く、絶縁破壊強度が良好な誘電膜を製造できるものの、柔軟性が満足のいくものではなかった。
しかしながらこのフィルムは、ある程度の柔軟性を持つものの、繰り返し伸び縮みさせた時の、発熱等によるエネルギー損失(ヒステリシスロス)の値が大きい上、ポリマーの流動温度が低いという欠点があった。
また、上記組成物は低沸点の有機溶剤を含んでいるため、環境破壊の観点から問題があった。
従って、本発明の第1の目的は、環境適性に優れていると共に、高い柔軟性及び絶縁破壊強度を有する上、ヒステリシスロスが低く、更に流動温度も高い、誘電エラストマーに適した樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高い柔軟性及び絶縁破壊強度を有すると共に、ヒステリシスロスが低く、流動温度も高い誘電エラストマーを提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、高い柔軟性及び絶縁破壊強度を有し、繰り返し伸び縮みさせた時の、発熱等によるエネルギー損失が少ないアクチュエーターを提供することにある。
また、前記ポリオール(a)は、ポリエーテルポリオールであることが好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールであることが更に好ましい。
また、前記ジイソシアネート化合物(b1)は、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートであることが好ましく、前記トリイソシアネート化合物(b2)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であることが好ましい。
また、前記カルボキシル基を含有するポリオール化合物(c)は、ジメチロールプロピオン酸及び/又はジメチロールブタン酸であることが好ましい。
ポリオール、ポリイソシアネート及びカルボキシル基を含有するポリオール化合物を、40〜130℃で、1〜10時間反応させ、ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、ウレタンプレポリマーを水に加えて、10〜70℃で分散させる。その際、必要に応じて中和剤及び/又は乳化剤を使用してもよい。また、中和剤及び/又は乳化剤は、ウレタンプレポリマーに添加しても、分散させる水に添加してもよい。
分散した後、水中でヒドラジンを用いて鎖伸長させることにより、本発明の水系ウレタン樹脂組成物を得ることができる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート等を使用することできる。
また、前記環状エーテル化合物としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
前記開始剤としては、例えば、水、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、サッカロース、エチレンジアミン、N−エチルジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、リン酸、酸性リン酸エステル等を、1種又は2種以上を使用することができる。
上記ジイソシアネート化合物(b1)としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらの化合物は、単独で使用、又は2種以上を併用してもよい。
上記トリイソシアネート化合物(b2)の使用量は、ポリイソシアネート(b)の全イソシアネート基当量に対するトリイソシアネート化合物(b2)のイソシアネート基当量が0.5〜5%となる量であり、トリイソシアネート化合物(b2)のイソシアネート基当量が1〜3%となる量であることが好ましくい。
トリイソシアネート化合物(b2)のイソシアネート基当量が0.5%より少ない場合は、塗膜の物性が向上せず、5%を超える場合は、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなるため、ウレタンプレポリマーの製造が困難になる。
特に、入手が容易で安価に得られるという観点から、ジメチロールプロピオン酸及び/又はジメチロールブタン酸を使用することが好ましい。
前記酸価が1より少ない場合、ウレタンプレポリマーの水への分散性が悪くなる上、塗膜の強度も低下する。また、酸価が10より大きい場合は、塗膜の柔軟性が低下する。
このような溶媒として好適なものとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
これらの溶媒の使用量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、3〜200質量部であることが好ましい。また、沸点100℃以下の溶媒を使用する場合には、水系ポリウレタン樹脂を合成した後、その溶媒を減圧留去等によって除去することが好ましい。
前記中和剤としては、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン類;N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン類;N−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン類、トリエタノールアミン等のトリアルカノールアミン類の3級アミン化合物;等が挙げられる。これらの中和剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
中和剤の使用量の過不足が大きいと、ウレタンプレポリマーの、水への分散が困難になったり、水系ウレタン樹脂組成物の保存安定性が低下したりするだけでなく、水系ウレタン樹脂膜の強度等の機械物性や耐水性等の物性が低下する等の問題が生じるおそれがある。
前記乳化剤としては、例えば、通常のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、第四級アミン塩及びピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、及び、ベタイン型、硫酸エステル型及びスルホン酸型等の両性界面活性剤等の公知の界面活性剤を挙げることができる。
また、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物は、ランダム付加物であってもブロック付加物であってもよい。
ここで、水系ポリウレタン樹脂組成物の固形分の質量は、(a)〜(c)成分及びヒドラジンの質量の合計とする。
ヒドラジンを使用して伸長させることにより、柔軟性に富み、誘電エラストマーとして好適なウレタン樹脂が得られる。
リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)−1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12アルキル〜C15アルキルの混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル−4,4’−ブチリデンビス(2−第3ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−[(2,4,7,9−テトラキス第3ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(2−[(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]エチルアミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、及び2−ブチル−2−エチルプロパンジオール−2,4,6−トリ第3ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
ここで、水系ポリウレタン樹脂組成物の固形分の質量は、(a)〜(c)成分及びヒドラジンの質量の合計とする。
<ウレタンプレポリマー組成物の製造>
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、ポリオール(a)としてPTMG1000(数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製)を995.8g(0.9958モル)、ポリイソシアネート(b)におけるジイソシアネート化合物(b1)として、DesmodurW(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、住化バイエルウレタン(株)製)を347.6g(1.325モル)、トリイソシアネート化合物(b2)として、デュラネートTLA−100(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、旭化成ケミカルズ(株)製)を13.61g(0.0252モル)、カルボキシル基を含有するポリオール化合物(c)として、ジメチロールプロピオン酸を17.23g(0.1286モル)を加え、均一に混合した後、110〜120℃で3時間反応させ、ウレタンプレポリマー(UP−1)を得た。この時、JIS K−1603−1によるウレタンプレポリマー(UP−1)中のイソシアネート含有量(NCO%)は1.46質量%であり、酸価は5.3mgKOH/gであった。
ディスパーを備えた1Lプラスチック容器に、水を793g、トリエチルアミンを13.28g(0.1312モル)、アデカトールSO−160(ノニオン系界面活性剤、(株)ADEKA製)を47.8g、SE−21(シリコーン系消泡剤、旭化成ワッカーシリコーン(株)社製)を1.33g加えた。均一に混合した後、30〜35℃でUP−1を1374.3g加え、30℃で15分間撹拌した後、ヒドラジン一水和物11.16g(0.223モル、ヒドラジン換算:0.114モル)を滴下し、30℃で1時間撹拌して、NCO基が消失するのを確認して、水系ポリウレタン樹脂PUD−1を得た。
上記試験片について、下記の方法により、引張伸び率、100%モジュラス、ヒステリシスロス及び流動温度を測定し、評価を行った。
JIS K 7113に基づき、上記で得られた試験片をダンベル形状3号に切り出して引張試験片を作製し、テストスピード500mm/分、スパン間40mmの条件で、25℃における引張伸び率(%)及び100%モジュラス(MPa)を測定した。
引張伸び率が大きいほど、試験片の強度にかかわらず、柔軟性が大きいことを示し、1000%以上であることを良好とする。
また、100%モジュラスが小さいほど、弱い力で作動することができるためアクチュエーターとして適しており、2MPa以下であることを良好とする。
JIS K 7113に基づき、上記で得られた試験片をダンベル形状3号に切り出して引張試験片を作製し、テストスピード500mm/分、スパン間40mm、25℃の条件で、引張伸び率が50%になるまで試験片を伸長させ、その時の引張応力を測定し、その後、同試験片を元の伸度まで戻そうとしたときの伸度の変化と引張応力を測定した。
上述した伸度及び引張応力の測定値より、図1に示されるような伸度と引張応力の曲線を求め、試験片の仕事量を計算した。
また、下記計算式(1)により、ヒステリシスロスを計算した。
また、引張、戻しの操作を1回行った後のヒステリシスロスが、20%以下であることを良好とし、引張、戻しの操作を100回繰り返した後のヒステリシスロスが10%以下であることを良好とした。
TA Instruments社製の動的粘弾性自動測定機であるレオバイブロン(型番:RSA−G2)を用いて、昇温速度10℃/分、走査温度範囲−70〜200℃として、上記試験片の動的粘弾性を測定した。ガラス転移点温度を超えたゴム領域温度において、さらに弾性率が大きく低下する温度を流動温度として測定を行った。流動温度が170℃以上であるものを、耐熱性がよいこととした。
アルミ箔上にプレポリマーPUD−1を塗布し室温で12時間静置した後、120℃で2時間乾燥させ、乾燥後の樹脂厚さが100μmとなるようにして、絶縁破壊強度測定用のサンプルを作製した。
樹脂の破壊が生じたところを絶縁破壊強度とし、6点測定を行い、サンプル厚さ当たりの破壊電圧(MV/m)の平均値を算出した。絶縁破壊強度が45MV/m以上であることを良好とした。
表1及び表2に示すような配合で行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、水系ウレタン樹脂組成物を得た。なお、表1で示される材料の配合の数字はモル表記である。
得られた水系ウレタン樹脂組成物について、実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表1及び2に示す。
なお、比較例3では、製造したウレタンプレポリマーの粘度が高すぎて、水系ウレタン樹脂組成物を得ることができなかった。
*2:EDA:エチレンジアミン
*2:EDA:エチレンジアミン
Claims (9)
- ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及びカルボキシル基を含有するポリオール化合物(c)を反応させてなり、酸価が1〜10mgKOH/gであるウレタンプレポリマーを、10〜70質量%となるように水中に分散させた後、ヒドラジンを反応させて得られる水系ウレタン樹脂組成物であって、前記ポリイソシアネート(b)が、ジイソシアネート化合物(b1)及びトリイソシアネート化合物(b2)の混合物であり、ポリイソシアネート(b)の総イソシアネート基当量に対するトリイソシアネート化合物のイソシアネート基当量が、0.5〜5%であることを特徴とする水系ウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及び分子内にカルボキシル基を含有するポリオール化合物(c)の配合量が、前記(a)及び(c)成分の全水酸基当量に対する、前記(b)成分の全イソシアネート基当量の比(NCO/OH)が1.1〜2.5となる量である、請求項1に記載された水系ウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリオール(a)がポリエーテルポリオールである、請求項1又は2に記載された水系ウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリエーテルポリオールがポリテトラメチレンエーテルグリコールである、請求項3に記載された水系ウレタン樹脂組成物。
- 前記ジイソシアネート化合物(b1)が、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネートである、請求項1〜4の何れかに記載された水系ウレタン樹脂組成物。
- 上記トリイソシアネート化合物(b2)が、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体である、請求項1〜5の何れかに記載された水系ウレタン樹脂組成物。
- カルボキシル基を含有するポリオール化合物(c)がジメチロールプロピオン酸及び/又はジメチロールブタン酸である、請求項1〜6の何れかに記載された水系ウレタン樹脂組成物。
- 請求項1〜7の何れかに記載された水系ウレタン樹脂組成物を使用してなることを特徴とする誘電エラストマー。
- 請求項8に記載された誘電エラストマーを使用してなることを特徴とするアクチュエーター。
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