JP2016204459A - 硬質共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形加工時の流動性を改善する。
【解決手段】芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)である硬質共重合体。この硬質共重合体(A)1〜25質量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)99〜75質量部とを合計で100質量部含む熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)である硬質共重合体。この硬質共重合体(A)1〜25質量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)99〜75質量部とを合計で100質量部含む熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、成形加工時の流動性を改善することができる硬質共重合体と、この硬質共重合体と芳香族ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物、この硬質共重合体よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤に関する。本発明はまた、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂からなる成形品は、耐衝撃性等の機械強度、透明性、耐熱性、電気特性、寸法安定性等に優れていることから、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電子・電気機器、家庭電化機器、自動車、建築等の幅広い分野に使用されている。しかし、芳香族ポリカーボネート樹脂は、成形加工温度が高く、成形加工時の流動性が劣るという問題点を有している。
近年、芳香族ポリカーボネートの成形品の大型化、薄肉化、形状の複雑化が進んでおり、芳香族ポリカーボネート樹脂からなる成形品の優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート系樹脂の流動性を改善して成形加工性を向上させる樹脂改質剤、およびこれを用いた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が求められている。
例えば、特許文献1には、スチレンとα−メチルスチレンとメタクリル酸フェニルとの共重合体からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂用流動性向上剤が提案されているが、これを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の成形品は、透明性が低下するという問題がある。
また、特許文献2には、溶融成形加工性と透明性に優れた熱可塑性樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂に、芳香族ビニル化合物90〜100重量%およびシアン化ビニル化合物10〜0重量%を主成分とする単量体成分を(共)重合した(共)重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物が提案されているが、本発明者らの検証実験によると、例えば、芳香族ビニル化合物90〜100重量%とシアン化ビニル化合物10〜0重量%とからなる、シアン化ビニル化合物量の少ない(共)重合体では、後掲の比較例2に示されるように透明性が損なわれる。
また、特許文献2には、溶融成形加工性と透明性に優れた熱可塑性樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂に、芳香族ビニル化合物90〜100重量%およびシアン化ビニル化合物10〜0重量%を主成分とする単量体成分を(共)重合した(共)重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物が提案されているが、本発明者らの検証実験によると、例えば、芳香族ビニル化合物90〜100重量%とシアン化ビニル化合物10〜0重量%とからなる、シアン化ビニル化合物量の少ない(共)重合体では、後掲の比較例2に示されるように透明性が損なわれる。
このように、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤では、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性や耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく成形加工時の流動性を改善することはできなかった。
本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形加工時の流動性を改善することができる硬質共重合体、この硬質共重合体と芳香族ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物、この硬質共重合体よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤、並びに、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の検証・改良に鋭意努力した結果、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物とを特定の限定された割合で共重合してなる硬質共重合体を、芳香族ポリカーボネート樹脂と特定の割合で配合することにより、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形加工時の流動性を改善することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)である硬質共重合体。
[2] [1]において、質量平均分子量(Mw)が、50,000〜250,000の範囲内であることを特徴とする硬質共重合体。
[3] [1]又は[2]において、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比からなる分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜3.5の範囲内であることを特徴とする硬質共重合体。
[4] [1]ないし[3]のいずれかに記載の硬質共重合体(A)1〜25質量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)99〜75質量部とを合計で100質量部含む熱可塑性樹脂組成物。
[5] [4]に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
[6] [1]ないし[3]のいずれかに記載の硬質共重合体よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤。
本発明の硬質共重合体によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、成形加工時の流動性を改善することができ、良好な成形性のもとに、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の諸特性に優れた高品質の熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)である硬質共重合体(以下「硬質共重合体(A)」と記載する。)1〜25質量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)99〜75質量部とを合計で100質量部含むことを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)である硬質共重合体(以下「硬質共重合体(A)」と記載する。)1〜25質量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)99〜75質量部とを合計で100質量部含むことを特徴とする。
<硬質共重合体(A)>
本発明の硬質共重合体は、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)であることを特徴とするものであり、このような組成比率で芳香族ビニル化合物(a)成分とシアン化ビニル化合物(b)成分とを含むことで芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形加工時の流動性を改善することができる。
上記の観点から、硬質共重合体(A)を構成する芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)の割合は、好ましくは芳香族ビニル化合物(a)88〜89質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜11質量部である(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)。
本発明の硬質共重合体は、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)であることを特徴とするものであり、このような組成比率で芳香族ビニル化合物(a)成分とシアン化ビニル化合物(b)成分とを含むことで芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形加工時の流動性を改善することができる。
上記の観点から、硬質共重合体(A)を構成する芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)の割合は、好ましくは芳香族ビニル化合物(a)88〜89質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜11質量部である(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)。
なお、本発明において、硬質共重合体(A)の組成比率は、後掲の実施例の項に示されるように、単量体混合物の共重合で製造された硬質共重合体について、組成比率を分析することで求められた値であるが、硬質共重合体の製造において、単量体混合物の組成比率は、得られる硬質共重合体の組成比率にほぼ等しいため、本発明の硬質共重合体(A)は、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部とシアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部とを合計で100質量部となるように含む単量体混合物を常法に従って共重合させることにより製造することができる。
硬質共重合体(A)を構成する芳香族ビニル化合物(a)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのビニルトルエン類;p−クロルスチレンなどのハロゲン化スチレン類;p−t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルナフタレン類等が挙げられる。硬質共重合体の製造には、これらの芳香族ビニル化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。芳香族ビニル化合物(a)としては中でもスチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
硬質共重合体(A)を構成するシアン化ビニル化合物(b)としては、例えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。シアン化ビニル化合物(b)としては、中でもアクリロニトリルが好ましい。
本発明の硬質共重合体は、芳香族ビニル化合物(a)及びシアン化ビニル化合物(b)のみを用い、これらと共重合可能な他の単量体成分を用いることなく、上記所定の割合の芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とからなる単量体混合物を共重合して得られることが、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形加工時の流動性を改善するという本発明の目的を達成する上で好ましい。この単量体混合物が芳香族ビニル化合物(a)及びシアン化ビニル化合物(b)と共重合可能な他の単量体成分を含む場合、共重合可能な他の単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルやアクリル酸エステル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物などが挙げられるが、これらの他の単量体成分を単量体混合物に含む場合、その含有量は10質量%以下、特に5質量%以下、とりわけ0〜3質量%であることが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
本発明の硬質共重合体(A)の質量平均分子量(Mw)は、50,000〜250,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは50,000〜180,000、より好ましくは80,000〜120,000の範囲である。硬質共重合体(A)の質量平均分子量がこの範囲内であると、芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤として優れた透明性、耐衝撃、耐熱性がより有効に発揮されるようになる。なお、硬質共重合体(A)の質量平均分子量(Mw)は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の硬質共重合体(A)の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比からなる分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜3.5の範囲が好ましく、さらに好ましくは2.0〜3.0の範囲である。硬質共重合体の分子量分布(Mw/Mn)がこの範囲内であると、芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤として優れた透明性、耐衝撃、耐熱性がより有効に発揮されるようになる。なお、硬質共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の硬質共重合体(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形加工時の流動性を改善するという効果に優れ、特に芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤として有用である。
<芳香族ポリカーボネート樹脂(B)>
芳香族ポリカーボネート樹脂(B)としては特に制限は無いが、粘度平均分子量(Mv)が10,000〜100,000、特に15,000〜30,000のものが好適に使用される。芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量(Mv)が上記範囲内であると、得られる成形品の耐衝撃性、成形性がより優れたものとなる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(B)としては特に制限は無いが、粘度平均分子量(Mv)が10,000〜100,000、特に15,000〜30,000のものが好適に使用される。芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量(Mv)が上記範囲内であると、得られる成形品の耐衝撃性、成形性がより優れたものとなる。
ここで、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレンを溶媒とした溶液で測定し、下記Schnellの粘度式を用いて算出される。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(式中、ηは固有粘度を示し、Mvは粘度平均分子量を示す)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(式中、ηは固有粘度を示し、Mvは粘度平均分子量を示す)
このような芳香族ポリカーボネート樹脂(B)は、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法で反応させて製造される。ここで使用する2価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を対象とするが、その一部又は全部を他の2価フェノールで置き換えてもよい。他の2価フェノールとしては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシルフェニル)スルフォン等が例示される。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル又はハロホルメート等が例示され、具体的には、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボーネート、2価フェノールのジハロホルメート及びこれらの混合物が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の製造に際しては、適当な分子量調整剤、分岐剤、反応を促進するための触媒等も使用できる。
本発明では、このようにして製造される芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよく、例えば粘度平均分子量(Mv)が互いに異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して上記の好適な粘度平均分子量(Mv)に調整して用いることもできる。
<硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の含有量>
本発明の熱可塑性樹脂組成物における芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の含有量は、硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量部に対して99〜75質量部であり、硬質共重合体(A)の含有量は1〜25質量部である。好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(B)が99〜80質量部で硬質共重合体(A)が1〜20質量部、より好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(B)が97.5〜90質量部で硬質共重合体(A)が2.5〜10質量部、特に好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(B)が95〜90質量部で硬質共重合体(A)が5〜10質量部である。硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とをこの範囲内で含む熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた成形品は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、成形性が良好となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の含有量は、硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量部に対して99〜75質量部であり、硬質共重合体(A)の含有量は1〜25質量部である。好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(B)が99〜80質量部で硬質共重合体(A)が1〜20質量部、より好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(B)が97.5〜90質量部で硬質共重合体(A)が2.5〜10質量部、特に好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(B)が95〜90質量部で硬質共重合体(A)が5〜10質量部である。硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とをこの範囲内で含む熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた成形品は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、成形性が良好となる。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物中には、芳香族ビニル化合物(a)及びシアン化ビニル化合物(b)の組成比率や物性の異なる硬質共重合体(A)の2種以上が含まれていてもよい。
<その他の成分>
従来技術の樹脂組成物では任意成分として各種の添加剤やその他の樹脂を配合すると成形品の不透明度が更に増して着色性が劣るが、本発明の熱可塑性樹脂組成物は優れた透明性を有することから着色剤による発色性も良好である。この特徴を生かして、発色性を損なわない範囲で各種の添加剤やその他の樹脂を配合して活用することも出来る。
従来技術の樹脂組成物では任意成分として各種の添加剤やその他の樹脂を配合すると成形品の不透明度が更に増して着色性が劣るが、本発明の熱可塑性樹脂組成物は優れた透明性を有することから着色剤による発色性も良好である。この特徴を生かして、発色性を損なわない範囲で各種の添加剤やその他の樹脂を配合して活用することも出来る。
この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、安定剤、エステル交換反応抑制剤、加水分解抑制剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料等)、炭素繊維、ガラス繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどの充填材、臭素系難燃剤、リン系難燃剤等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、フッ素樹脂などのドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコーンオイル、カップリング剤等が、単独で、或いは2種以上組み合わされて用いられる。
また、その他の樹脂としては、HIPS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合してもよい。
なお、本発明で用いられる必須成分や任意成分には、何れも、品質に問題がなければ、重合工程や加工工程、成形時などの工程回収品、市場から回収されたリサイクル品を用いることが出来る。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、硬質共重合体(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)と、必要に応じて用いられる各種任意成分とを混合・混練して、樹脂成形品の成形材料として使用される。これらの各成分を混合・混練する方法は特に制限はなく、一般的な混合・混練方法を何れも採用することができ、例えば、押出機、バンバリーミキサー、混練ロール等にて混練した後、ペレタイザー等で切断しペレット化する方法などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、硬質共重合体(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)と、必要に応じて用いられる各種任意成分とを混合・混練して、樹脂成形品の成形材料として使用される。これらの各成分を混合・混練する方法は特に制限はなく、一般的な混合・混練方法を何れも採用することができ、例えば、押出機、バンバリーミキサー、混練ロール等にて混練した後、ペレタイザー等で切断しペレット化する方法などが挙げられる。
[樹脂成形品]
本発明の樹脂成形品は、上述の本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されたものである。本発明の熱可塑性樹脂組成物は成形加工時の流動性に優れるため、各種の成形方法により、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することができる。その成形方法は、何等限定されるものではない。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、インサート成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の樹脂成形品は、上述の本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されたものである。本発明の熱可塑性樹脂組成物は成形加工時の流動性に優れるため、各種の成形方法により、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することができる。その成形方法は、何等限定されるものではない。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、インサート成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる本発明の樹脂成形品は、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の諸特性に優れたものであり、しかも、その優れた流動性、成形加工性から、大型化、薄肉化、形状の複雑化も容易であり、車輌用部品、建材、日用品、家庭電化製品・事務機器部品をはじめとする多種多様な用途に好適に用いることができる。
以下に、合成例、実施例、および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下において、「部」は「質量部」を意味するものとする。
なお、以下において、「部」は「質量部」を意味するものとする。
[物性の測定方法]
以下の実施例及び比較例で熱可塑性樹脂組成物の製造に用いた各成分の物性の測定方法は以下の通りである。
以下の実施例及び比較例で熱可塑性樹脂組成物の製造に用いた各成分の物性の測定方法は以下の通りである。
<硬質共重合体の組成比率>
硬質共重合体の組成比率は、メタノールで洗浄した硬質共重合体をYanaco製元素分析装置MT−6を用いて測定した。
硬質共重合体の組成比率は、メタノールで洗浄した硬質共重合体をYanaco製元素分析装置MT−6を用いて測定した。
<硬質共重合体の質量平均分子量(Mw),数平均分子量(Mn)>
硬質共重合体をテトラヒドロフランに溶解して得られた溶液を測定試料として、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
硬質共重合体をテトラヒドロフランに溶解して得られた溶液を測定試料として、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
<硬質共重合体の分子量分布(Mw/Mn)>
硬質共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、上記で求められた質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比にて算出した。
硬質共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、上記で求められた質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比にて算出した。
<芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)>
ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレンを溶媒とした溶液で測定し、下記のSchnellの粘度式を用いて算出した。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(式中、ηは固有粘度を示し、Mvは粘度平均分子量を示す)
ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレンを溶媒とした溶液で測定し、下記のSchnellの粘度式を用いて算出した。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(式中、ηは固有粘度を示し、Mvは粘度平均分子量を示す)
[硬質共重合体の製造方法]
<合成例1:硬質(共)重合体(A−1)の製造>
反応器に水120部、リン酸カルシウム0.60部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.003部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.18部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.33部、t−ドデシルメルカプタン0.17部と、スチレン89部、及びアクリロニトリル11部からなる単量体混合物を使用し、水の一部を逐次添加しながら、開始温度65℃から6時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で0.5時間保持した。その後、減圧処理で未反応モノマーを除去してから反応器から重合物を取り出し、硬質共重合体(A−1)を得た。得られた硬質共重合体(A−1)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例1:硬質(共)重合体(A−1)の製造>
反応器に水120部、リン酸カルシウム0.60部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.003部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.18部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.33部、t−ドデシルメルカプタン0.17部と、スチレン89部、及びアクリロニトリル11部からなる単量体混合物を使用し、水の一部を逐次添加しながら、開始温度65℃から6時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で0.5時間保持した。その後、減圧処理で未反応モノマーを除去してから反応器から重合物を取り出し、硬質共重合体(A−1)を得た。得られた硬質共重合体(A−1)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例2:硬質共重合体(A−2)の製造>
単量体混合物として、スチレン90部及びアクリロニトリル10部からなる単量体混合物を添加したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−2)を得た。得られた硬質共重合体(A−2)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
単量体混合物として、スチレン90部及びアクリロニトリル10部からなる単量体混合物を添加したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−2)を得た。得られた硬質共重合体(A−2)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例3:硬質共重合体(A−3)の製造>
単量体混合物として、スチレン88部及びアクリロニトリル12部からなる単量体混合物を添加したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−3)を得た。得られた硬質共重合体(A−1)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
単量体混合物として、スチレン88部及びアクリロニトリル12部からなる単量体混合物を添加したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−3)を得た。得られた硬質共重合体(A−1)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例4:硬質共重合体(A−4)の製造>
t−ドデシルメルカプタンの添加量を0.57部に変更したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−4)を得た。得られた硬質共重合体(A−4)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
t−ドデシルメルカプタンの添加量を0.57部に変更したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−4)を得た。得られた硬質共重合体(A−4)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例5:硬質共重合体(A−5)の製造>
t−ドデシルメルカプタンの添加量を0.34部に変更したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−5)を得た。得られた硬質共重合体(A−5)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
t−ドデシルメルカプタンの添加量を0.34部に変更したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−5)を得た。得られた硬質共重合体(A−5)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例6:硬質共重合体(A−6)の製造>
t−ドデシルメルカプタンの添加量を0.26部に変更したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−6)を得た。得られた硬質共重合体(A−6)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
t−ドデシルメルカプタンの添加量を0.26部に変更したこと以外は合成例1と同様にして重合を行い、硬質共重合体(A−6)を得た。得られた硬質共重合体(A−6)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例7:硬質共重合体(A−7)の製造>
反応器に水125部、リン酸カルシウム0.35部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.0025部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.038部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.078部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート0.028部、t−ドデシルメルカプタン0.82部と、スチレン75部及びアクリロニトリル25部からなる単量体混合物を使用し、水、アクリロニトリル、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度65℃から6.5時間昇温加熱後、125℃に到達させた。更に、125℃で1時間反応した後、重合物を取り出し、硬質共重合体(A−7)を得た。得られた硬質共重合体(A−7)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
反応器に水125部、リン酸カルシウム0.35部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.0025部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.038部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.078部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート0.028部、t−ドデシルメルカプタン0.82部と、スチレン75部及びアクリロニトリル25部からなる単量体混合物を使用し、水、アクリロニトリル、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度65℃から6.5時間昇温加熱後、125℃に到達させた。更に、125℃で1時間反応した後、重合物を取り出し、硬質共重合体(A−7)を得た。得られた硬質共重合体(A−7)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
<合成例8:硬質共重合体(A−8)の製造>
以下のように、乳化重合法により硬質共重合体を合成した。
反応器に水235部、牛脂脂肪酸カリウム2.50部、過硫酸カリウム0.30部、ピロリン酸ナトリウム0.40部に、スチレン95部及びアクリロニトリル5部からなる単量体混合物を添加し、78℃で3.5時間加熱した。水1.68部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.08部添加した後さらに0.5時間加熱し、水8.5部、牛脂脂肪酸カリウム1.0部、水酸化カリウム1.8部を添加し、硬質共重合体(A−8)ラテックスを得た。次いで、1.8%硫酸水溶液140部を85℃に加熱し、該水溶液を撹拌しながら、該水溶液に硬質共重合体(A−8)ラテックス100部を徐々に滴下し、硬質共重合体を固化させ、さらに90℃に昇温して5分間、95℃に昇温して5分間保持した。次いで、固化物を脱水、洗浄、乾燥し、粉末状の硬質共重合体(A−8)を得た。得られた硬質共重合体(A−8)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
以下のように、乳化重合法により硬質共重合体を合成した。
反応器に水235部、牛脂脂肪酸カリウム2.50部、過硫酸カリウム0.30部、ピロリン酸ナトリウム0.40部に、スチレン95部及びアクリロニトリル5部からなる単量体混合物を添加し、78℃で3.5時間加熱した。水1.68部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.08部添加した後さらに0.5時間加熱し、水8.5部、牛脂脂肪酸カリウム1.0部、水酸化カリウム1.8部を添加し、硬質共重合体(A−8)ラテックスを得た。次いで、1.8%硫酸水溶液140部を85℃に加熱し、該水溶液を撹拌しながら、該水溶液に硬質共重合体(A−8)ラテックス100部を徐々に滴下し、硬質共重合体を固化させ、さらに90℃に昇温して5分間、95℃に昇温して5分間保持した。次いで、固化物を脱水、洗浄、乾燥し、粉末状の硬質共重合体(A−8)を得た。得られた硬質共重合体(A−8)の組成比率、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表−1に示す。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(B)]
芳香族ポリカーボネート(A)として、市販品(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製「S−2000F」)を準備した。この芳香族ポリカーボネート「S−2000F」の粘度平均分子量(Mv)は22,000であった。
芳香族ポリカーボネート(A)として、市販品(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製「S−2000F」)を準備した。この芳香族ポリカーボネート「S−2000F」の粘度平均分子量(Mv)は22,000であった。
[熱可塑性樹脂組成物の製造]
硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)を表−2に示す割合で混合して、それぞれ熱可塑性樹脂組成物を調製した。
実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物と比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物を、それぞれ、30mm二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」)を用いて、260℃の温度で溶融混練して、それぞれをペレット化し、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)を表−2に示す割合で混合して、それぞれ熱可塑性樹脂組成物を調製した。
実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物と比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物を、それぞれ、30mm二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」)を用いて、260℃の温度で溶融混練して、それぞれをペレット化し、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
[透明性の評価]
5000番の研磨紙を用いテーパ有効面が研磨された射出成形用金型(100mm×100mm×2mm板)と、射出成形機(住友重機工業(株)製「SG150−SYCAPM IV成形機」)とを用いて、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、それぞれシリンダ温度300℃、金型温度80℃で射出成形を行った。得られた樹脂成形品を用いて、日本電色工業株式会社製Haze Meter NDH2000にてHazeと全光線透過率を測定し、それぞれ以下の基準で評価した。その結果を表−2に示す。
5000番の研磨紙を用いテーパ有効面が研磨された射出成形用金型(100mm×100mm×2mm板)と、射出成形機(住友重機工業(株)製「SG150−SYCAPM IV成形機」)とを用いて、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、それぞれシリンダ温度300℃、金型温度80℃で射出成形を行った。得られた樹脂成形品を用いて、日本電色工業株式会社製Haze Meter NDH2000にてHazeと全光線透過率を測定し、それぞれ以下の基準で評価した。その結果を表−2に示す。
<Hazeの評価>
○:Hazeが10.0以下であり非常に優れている。
△:Hazeが10.0を超えるが20.0未満で実用上問題ない。
×:Hazeが20.0以上で実用レベルに達していない。
○:Hazeが10.0以下であり非常に優れている。
△:Hazeが10.0を超えるが20.0未満で実用上問題ない。
×:Hazeが20.0以上で実用レベルに達していない。
<全光線透過率の評価>
○:全光線透過率が85%を超え非常に優れている。
△:全光線透過率が85%以下であるが80%を超え実用上問題ない。
×:全光線透過率が80%以下で実用レベルに達していない。
○:全光線透過率が85%を超え非常に優れている。
△:全光線透過率が85%以下であるが80%を超え実用上問題ない。
×:全光線透過率が80%以下で実用レベルに達していない。
[シャルピー衝撃強度と荷重たわみ温度の評価]
実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて、それぞれ75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)により成形温度300℃、金型温度60℃の条件で射出成形を行って、それぞれ試験片を成形した。
得られた各試験片を用いて、シャルピー衝撃強度及び荷重たわみ温度を下記の方法で測定した。その結果を表−2に示す。
実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて、それぞれ75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)により成形温度300℃、金型温度60℃の条件で射出成形を行って、それぞれ試験片を成形した。
得られた各試験片を用いて、シャルピー衝撃強度及び荷重たわみ温度を下記の方法で測定した。その結果を表−2に示す。
<シャルピー衝撃強度>
ISO 179に準拠し、ノッチ付き試験片を測定温度23℃で測定し、下記基準で判定した。
○:シャルピー衝撃強度30KJ/m2を超え非常に優れている。
△:シャルピー衝撃強度30KJ/m2以下であるが5KJ/m2を超え実用上問題無い。
×:シャルピー衝撃強度5KJ/m2以下で実用レベルに達していない。
ISO 179に準拠し、ノッチ付き試験片を測定温度23℃で測定し、下記基準で判定した。
○:シャルピー衝撃強度30KJ/m2を超え非常に優れている。
△:シャルピー衝撃強度30KJ/m2以下であるが5KJ/m2を超え実用上問題無い。
×:シャルピー衝撃強度5KJ/m2以下で実用レベルに達していない。
<荷重たわみ温度>
ISO 75に準拠し、測定荷重1.80MPa、昇温速度120℃/時間で測定し、下記基準で判定した。
○:荷重たわみ温度125℃を超え材料的に優れている。
△:荷重たわみ温度125℃以下であるが115℃を超え実用上問題ない。
×:荷重たわみ温度115℃以下で実用レベルに達していない。
ISO 75に準拠し、測定荷重1.80MPa、昇温速度120℃/時間で測定し、下記基準で判定した。
○:荷重たわみ温度125℃を超え材料的に優れている。
△:荷重たわみ温度125℃以下であるが115℃を超え実用上問題ない。
×:荷重たわみ温度115℃以下で実用レベルに達していない。
[流動性の評価]
スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度60℃、射出圧力100MPaの条件で、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットをそれぞれ型締め力75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)から射出成形し、スパイラル流動長(mm)を測定し、下記基準で判定した。その結果を表−2に示す。
○:スパイラル流動長200mmを超え材料的に優れている。
△:スパイラル流動長200mm以下であるが150mmを超え実用上問題無い。
×:スパイラル流動長150mm以下で実用レベルに達していない。
スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度60℃、射出圧力100MPaの条件で、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜2の熱可塑性樹脂組成物のペレットをそれぞれ型締め力75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)から射出成形し、スパイラル流動長(mm)を測定し、下記基準で判定した。その結果を表−2に示す。
○:スパイラル流動長200mmを超え材料的に優れている。
△:スパイラル流動長200mm以下であるが150mmを超え実用上問題無い。
×:スパイラル流動長150mm以下で実用レベルに達していない。
[総合判定]
上記評価結果において、「〇」もしくは「△」のみの判定が得られたものを総合判定において「〇」と判定した。一方、一項目でも「×」判定を含むものは総合判定「×」と判定した。その結果を表−2に示す。
上記評価結果において、「〇」もしくは「△」のみの判定が得られたものを総合判定において「〇」と判定した。一方、一項目でも「×」判定を含むものは総合判定「×」と判定した。その結果を表−2に示す。
表−1、表−2より、本発明の硬質共重合体(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とを規定される範囲内で含む熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、成形加工時の流動性が改善されていることが分かる。
これに対して、シアン化ビニル化合物(b)の組成比率が本発明の範囲を超えて多い硬質共重合体(A−7)を用いた比較例1も、シアン化ビニル化合物(b)の組成比率が本発明の範囲よりも少ない硬質共重合体(A−8)を用いた比較例2でも、特に透明性が大きく損なわれる結果となった。
これに対して、シアン化ビニル化合物(b)の組成比率が本発明の範囲を超えて多い硬質共重合体(A−7)を用いた比較例1も、シアン化ビニル化合物(b)の組成比率が本発明の範囲よりも少ない硬質共重合体(A−8)を用いた比較例2でも、特に透明性が大きく損なわれる結果となった。
Claims (6)
- 芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)とを共重合してなり、組成比率が、芳香族ビニル化合物(a)88〜90質量部、シアン化ビニル化合物(b)12〜10質量部(ただし、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル化合物(b)との合計で100質量部)である硬質共重合体。
- 請求項1において、質量平均分子量(Mw)が、50,000〜250,000の範囲内であることを特徴とする硬質共重合体。
- 請求項1又は2において、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比からなる分子量分布(Mw/Mn)が、1.5〜3.5の範囲内であることを特徴とする硬質共重合体。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬質共重合体(A)1〜25質量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)99〜75質量部とを合計で100質量部含む熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬質共重合体よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂用改質剤。
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JP2015085204A JP2016204459A (ja) | 2015-04-17 | 2015-04-17 | 硬質共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 |
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