JP2009161666A - 樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性を低下させず、溶融流動性を向上させ、熱安定性に優れた、α−メチルスチレン単位を含有する重合体を必須成分とする樹脂組成物、該樹脂組成物及び芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物及びそれらの成形体を提供する。
【解決手段】下記の(A)成分及び(B)成分を含有する樹脂組成物、該樹脂組成物5〜30質量%及び芳香族ポリカーボネート樹脂(C)70〜95質量%を含有する熱可塑性樹脂組成物、及びこれらを成形して得られる成形体。
(A)成分:α−メチルスチレン単位を含有する重合体
(B)成分:下記(b1)成分及び(b2)成分を含有する混合物
(b1)成分;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンの誘導体
(b2)成分;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト
【選択図】なし
【解決手段】下記の(A)成分及び(B)成分を含有する樹脂組成物、該樹脂組成物5〜30質量%及び芳香族ポリカーボネート樹脂(C)70〜95質量%を含有する熱可塑性樹脂組成物、及びこれらを成形して得られる成形体。
(A)成分:α−メチルスチレン単位を含有する重合体
(B)成分:下記(b1)成分及び(b2)成分を含有する混合物
(b1)成分;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンの誘導体
(b2)成分;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト
【選択図】なし
Description
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性を低下させず、溶融流動性を向上させ、熱安定性に優れた、α−メチルスチレン単位を含有する重合体を必須成分とする樹脂組成物、該樹脂組成物及び芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物及びそれらの成形体に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「PC樹脂」という。)又はPC樹脂にABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂をブレンドしたポリマーアロイは、電気・電子部品、複写機、プリンター、ファクシミリ、パーソナルコンピューター等のOA機器等に広く使用されている。
近年、これらの用途では製品の小型化や軽量化の要請が高まっており、使用される樹脂に対しては、薄肉成形性や精密成形性が要求されてきている。樹脂の薄肉成形性や精密成形性を向上させるには、成形加工時の溶融流動性を向上させることが必要である。
近年、これらの用途では製品の小型化や軽量化の要請が高まっており、使用される樹脂に対しては、薄肉成形性や精密成形性が要求されてきている。樹脂の薄肉成形性や精密成形性を向上させるには、成形加工時の溶融流動性を向上させることが必要である。
PC樹脂の溶融流動性を向上させる方法として、特許文献1では、スチレンとフェニルメタクリレートの共重合体を流動性向上剤として用い、PC樹脂に配合する方法が提案されている。この方法は、PC樹脂の溶融流動性を向上させるが、特に耐熱性の高いPC樹脂を用いた場合には、PC樹脂の耐熱性を低下させるおそれがある。
PC樹脂の耐熱性を低下させず、溶融流動性を向上させる方法として、特許文献2では、スチレン、α−メチルスチレン及びフェニルメタクリレートの共重合体を流動性向上剤として用い、PC樹脂に配合する方法が提案されている。この方法は、PC樹脂の溶融流動性を向上させ、耐熱性の高いPC樹脂を用いた場合にもPC樹脂の耐熱性を低下させることはない。しかしながら、α−メチルスチレン共重合体は、熱安定性が十分とはいえない。
一般的に、重合体の熱安定性を改良するためには、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト等の熱安定剤等を配合することが行われている。
しかしながら、一般的な酸化防止剤や熱安定剤等を配合する方法では、α−メチルスチレン共重合体の熱安定性を改良することはできず、α−メチルスチレン共重合体を流動性向上剤として用いた場合には、成形加工時の滞留劣化、溶融粘度の変動による成形性の不良(例えば、シルバーストリーク、膨れ等)、成形体の着色等が生じるおそれがある。
国際公開第2005/030819号パンフレット
特開2006−306958号公報
しかしながら、一般的な酸化防止剤や熱安定剤等を配合する方法では、α−メチルスチレン共重合体の熱安定性を改良することはできず、α−メチルスチレン共重合体を流動性向上剤として用いた場合には、成形加工時の滞留劣化、溶融粘度の変動による成形性の不良(例えば、シルバーストリーク、膨れ等)、成形体の着色等が生じるおそれがある。
本発明の目的は、PC樹脂の耐熱性を低下させず、溶融流動性を向上させ、熱安定性に優れた、α−メチルスチレン単位を含有する重合体を必須成分とする樹脂組成物、該樹脂組成物及びPC樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物及びそれらの成形体を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、α−メチルスチレンの共重合体に特定の熱安定剤を配合することで、α−メチルスチレンの共重合体の熱安定性を改良することができ、これを流動性向上剤として用いた場合に、PC樹脂の耐熱性を低下させず、溶融流動性を向上させ、熱安定性も低下させないことを見出した。
即ち、本発明の樹脂組成物は、下記の(A)成分及び(B)成分を含有する。
(A)成分:α−メチルスチレン単位を含有する重合体
(B)成分:下記(b1)成分及び(b2)成分を含有する混合物
(b1)成分;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンの誘導体
(b2)成分;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト
即ち、本発明の樹脂組成物は、下記の(A)成分及び(B)成分を含有する。
(A)成分:α−メチルスチレン単位を含有する重合体
(B)成分:下記(b1)成分及び(b2)成分を含有する混合物
(b1)成分;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンの誘導体
(b2)成分;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述の樹脂組成物5〜30質量%及びPC樹脂(C)70〜95質量%を含有する。
本発明の成形体は、前述の樹脂組成物又は前述の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の成形体は、前述の樹脂組成物又は前述の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の樹脂組成物を用いることにより、PC樹脂の耐熱性を低下させず、溶融流動性を向上させることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性及び熱安定性に優れ、高い溶融流動性を有する。
本発明の成形体は、成形性の不良がなく、成形加工時に生じる着色がない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性及び熱安定性に優れ、高い溶融流動性を有する。
本発明の成形体は、成形性の不良がなく、成形加工時に生じる着色がない。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、(A)成分であるα−メチルスチレン単位を含有する重合体及び後述する(B)成分を含む。
(A)成分としてはα−メチルスチレン単独重合体又はα−メチルスチレン単位及びその他のビニル単量体単位を含有する共重合体が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、(A)成分であるα−メチルスチレン単位を含有する重合体及び後述する(B)成分を含む。
(A)成分としてはα−メチルスチレン単独重合体又はα−メチルスチレン単位及びその他のビニル単量体単位を含有する共重合体が挙げられる。
その他のビニル単量体単位を構成するための原料である、その他のビニル単量体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸ジブロモフェニル、(メタ)アクリル酸モノクロルフェニル、(メタ)アクリル酸ジクロルフェニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル等の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル;安息香酸ビニル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリル酸アリル及びジビニルベンゼンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分は、PC樹脂の耐熱性を低下させないことから、ガラス転移温度が110℃以上であることが好ましい。
また、(A)成分は、PC樹脂の溶融流動性を向上させることから、質量平均分子量が5,000〜20,0000であることが好ましい。
尚、本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を示す。
また、(A)成分は、PC樹脂の溶融流動性を向上させることから、質量平均分子量が5,000〜20,0000であることが好ましい。
尚、本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を示す。
本発明の(B)成分は、(b1)成分である3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンの誘導体、及び(b2)成分であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトを含有する混合物である。
(b1)成分としては、例えば、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物である、HP−136(チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
(b2)成分としては、例えば、IRGAFOS168(チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
(B)成分中の(b1)成分の含有率は5〜85質量%であり、(b2)成分の含有率は15〜95質量%であることが好ましい。
(b2)成分としては、例えば、IRGAFOS168(チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
(B)成分中の(b1)成分の含有率は5〜85質量%であり、(b2)成分の含有率は15〜95質量%であることが好ましい。
また、(B)成分は、必要に応じて、(b1)成分及び(b2)成分以外の、その他の安定剤(以下、「(b3)成分」という。)を含有することができる。
(b3)成分としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010、チバ・ジャパン(株)製)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1035、チバ・ジャパン(株)製)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076、チバ・ジャパン(株)製)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
(b3)成分としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010、チバ・ジャパン(株)製)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1035、チバ・ジャパン(株)製)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076、チバ・ジャパン(株)製)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
(b3)成分を含有する場合、(B)成分中の(b1)成分の含有率は5〜25質量%であり、(b2)成分の含有率は20〜65質量%であり、(b3)成分の含有率は20〜65質量%であることが好ましい。
(b1)〜(b3)成分が予め混合された市販品としては、IRGANOX HP2215、IRGANOX HP2225、IRGANOX HP2251、IRGANOX HP2921及びIRGANOX HP2411(いずれも、チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
これらの中では、α−メチルスチレン単位を含有する重合体に対する熱安定性の改良効果、及びPC樹脂への相溶性の点で、IRGANOX HP2921が好ましい。
これらの中では、α−メチルスチレン単位を含有する重合体に対する熱安定性の改良効果、及びPC樹脂への相溶性の点で、IRGANOX HP2921が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分を含有する。
樹脂組成物中の、(A)成分及び(B)成分の含有量は、熱安定性の改良効果が良好となることから、(A)成分100質量部に対して(B)成分0.01〜1質量部が好ましい。
樹脂組成物中の、(A)成分及び(B)成分の含有量は、熱安定性の改良効果が良好となることから、(A)成分100質量部に対して(B)成分0.01〜1質量部が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、例えば、(A)成分及び(B)成分を公知の方法により混合した後に溶融押出法により溶融混合して得ることができる。
PC樹脂(C)を構成するための原料として使用されるジフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という。)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下、「ビスフェノールTMC」という。)、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−チオジフェノール及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテルが挙げられる。
また、カーボネートを導入するための前駆物質としては、例えば、ホスゲン及びジフェニルカーボネートが挙げられる。
また、カーボネートを導入するための前駆物質としては、例えば、ホスゲン及びジフェニルカーボネートが挙げられる。
PC樹脂(C)は、耐熱性が高いことから、ビスフェノールAとビスフェノールTMCの共重合体である、アペック1800(バイエル(株)製)が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物5〜30質量%及びPC樹脂(C)70〜95質量%を含有する。
熱可塑性樹脂組成物中の樹脂組成物の含有率が5質量%以上であれば、PC樹脂の溶融流動性の向上効果が十分に発現する。また、熱可塑性樹脂組成物中の樹脂組成物の含有率が30質量%以下であれば、PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等)を損なうことがない。
熱可塑性樹脂組成物中のPC樹脂の含有率が70質量%以上であれば、PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等)を損なうことがない。また、熱可塑性樹脂組成物中のPC樹脂の含有率が95質量%以下であれば、PC樹脂の溶融流動性の向上効果が十分に発現する。
熱可塑性樹脂組成物中の樹脂組成物の含有率が5質量%以上であれば、PC樹脂の溶融流動性の向上効果が十分に発現する。また、熱可塑性樹脂組成物中の樹脂組成物の含有率が30質量%以下であれば、PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等)を損なうことがない。
熱可塑性樹脂組成物中のPC樹脂の含有率が70質量%以上であれば、PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等)を損なうことがない。また、熱可塑性樹脂組成物中のPC樹脂の含有率が95質量%以下であれば、PC樹脂の溶融流動性の向上効果が十分に発現する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、光拡散剤;炭素繊維、ガラス繊維等の繊維;タルク等のフィラー等の各種添加剤を配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、樹脂組成物及びPC樹脂(C)を公知の方法により混合した後に溶融押出法により溶融混合して得ることができる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物、又は該樹脂組成物及びPC樹脂(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
成形体の製造方法としては、例えば、射出成形法が挙げられる。
成形体の製造方法としては、例えば、射出成形法が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
また、本発明においては、以下に示す方法で各種評価を実施した。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
また、本発明においては、以下に示す方法で各種評価を実施した。
(1)重合率
以下の手順により、(A)成分の重合率を測定した。
(イ)アルミ皿の質量(x)を、精密天秤で0.1mgの単位まで測定する。
(ロ)アルミ皿に(A)成分を約1g取り、(A)成分の入ったアルミ皿の質量(y)を、精密天秤で0.1mgの単位まで測定する。
(ハ)(A)成分の入ったアルミ皿を180℃の乾燥機に入れ、45分間加熱する。
(ニ)(A)成分の入ったアルミ皿を乾燥機から取出し、デシケーター内で室温まで冷却し、(A)成分の入ったアルミ皿の質量(z)を、精密天秤で0.1mgの単位まで測定する。
(ホ)以下の式で、(A)成分の固形分(%)を算出する。
固形分={(z−x)/(y−x)}×100
(ヘ)(A)成分を製造するときの原料仕込み時の固形分に対する上記の算出固形分の比率(%)を、(A)成分の重合率とする。
以下の手順により、(A)成分の重合率を測定した。
(イ)アルミ皿の質量(x)を、精密天秤で0.1mgの単位まで測定する。
(ロ)アルミ皿に(A)成分を約1g取り、(A)成分の入ったアルミ皿の質量(y)を、精密天秤で0.1mgの単位まで測定する。
(ハ)(A)成分の入ったアルミ皿を180℃の乾燥機に入れ、45分間加熱する。
(ニ)(A)成分の入ったアルミ皿を乾燥機から取出し、デシケーター内で室温まで冷却し、(A)成分の入ったアルミ皿の質量(z)を、精密天秤で0.1mgの単位まで測定する。
(ホ)以下の式で、(A)成分の固形分(%)を算出する。
固形分={(z−x)/(y−x)}×100
(ヘ)(A)成分を製造するときの原料仕込み時の固形分に対する上記の算出固形分の比率(%)を、(A)成分の重合率とする。
(2)ガラス転移温度
DSCを用い、JIS K7121に準じて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、温度範囲−30〜150℃で(A)成分のガラス転移温度を測定した。
DSCを用い、JIS K7121に準じて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、温度範囲−30〜150℃で(A)成分のガラス転移温度を測定した。
(3)質量平均分子量(Mw)
ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、下記装置及び測定条件にて、標準ポリスチレンによる検量線を用いて(A)成分のMwを測定した。
カラム :東ソー(株)製TSK−GEL SUPER HZM−N
測定温度 :40℃
溶離液 :クロロホルム
溶離液速度 :0.6ml/分
検出器 :RI
ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、下記装置及び測定条件にて、標準ポリスチレンによる検量線を用いて(A)成分のMwを測定した。
カラム :東ソー(株)製TSK−GEL SUPER HZM−N
測定温度 :40℃
溶離液 :クロロホルム
溶離液速度 :0.6ml/分
検出器 :RI
(4)溶融流動性
熱可塑性樹脂組成物のスパイラルフロー長さ(SPL)を、射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)を用いて測定した。
尚、成形条件としては、成形温度を320℃、金型温度を80℃及び射出圧力を50MPaとし、得られる成形体の肉厚を2mm及び幅を15mmとした。
熱可塑性樹脂組成物のスパイラルフロー長さ(SPL)を、射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)を用いて測定した。
尚、成形条件としては、成形温度を320℃、金型温度を80℃及び射出圧力を50MPaとし、得られる成形体の肉厚を2mm及び幅を15mmとした。
(5)滞留劣化
熱可塑性樹脂組成物の滞留劣化を以下の方法で評価した。
射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)のシリンダー内に熱可塑性樹脂組成物を320℃で20分間滞留させた後にスパイラルフロー長さを測定し、滞留劣化のレベルを以下に示す評価基準で評価した。尚、スパイラルフロー長さの測定における成形条件は、溶融流動性の場合と同様とした。
○:滞留後のスパイラルフロー長さが、溶融流動性の評価におけるスパイラルフロー長さに対して10%以下の変化率である。
×:滞留後のスパイラルフロー長さが、溶融流動性の評価におけるスパイラルフロー長さに対して10%を超える変化率である。
熱可塑性樹脂組成物の滞留劣化を以下の方法で評価した。
射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)のシリンダー内に熱可塑性樹脂組成物を320℃で20分間滞留させた後にスパイラルフロー長さを測定し、滞留劣化のレベルを以下に示す評価基準で評価した。尚、スパイラルフロー長さの測定における成形条件は、溶融流動性の場合と同様とした。
○:滞留後のスパイラルフロー長さが、溶融流動性の評価におけるスパイラルフロー長さに対して10%以下の変化率である。
×:滞留後のスパイラルフロー長さが、溶融流動性の評価におけるスパイラルフロー長さに対して10%を超える変化率である。
(6)荷重たわみ温度
成形体の耐熱性を、下記条件で測定した荷重たわみ温度により評価した。
射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)を用いて熱可塑性樹脂組成物を成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体を得た。得られた成形体を150℃で2時間アニール処理し、評価に用いた。
尚、荷重たわみ温度はISO75−2に準拠して測定し、荷重は1.82MPaとした。
成形体の耐熱性を、下記条件で測定した荷重たわみ温度により評価した。
射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)を用いて熱可塑性樹脂組成物を成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体を得た。得られた成形体を150℃で2時間アニール処理し、評価に用いた。
尚、荷重たわみ温度はISO75−2に準拠して測定し、荷重は1.82MPaとした。
(7)曲げ強度
射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)を用いて熱可塑性樹脂組成物を成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体を得た。曲げ強度はISO178に準拠して測定し、曲げ速度は2mm/分とした。
射出成形機(IS−100、東芝機械(株)製)を用いて熱可塑性樹脂組成物を成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの成形体を得た。曲げ強度はISO178に準拠して測定し、曲げ速度は2mm/分とした。
[製造例1]
重合体(A−1)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化剤混合物を投入して攪拌し、窒素雰囲気下でセパラブルフラスコの内温を60℃まで加熱した。
(乳化剤混合物)
ペレックスSS−L(花王(株)製アニオン系乳化剤) 2.4部
イオン交換水 295部
次いで、下記の還元剤混合物をセパラブルフラスコ内に添加した。
(還元剤混合物)
硫酸第一鉄 0.0001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0003部
ロンガリット 0.3部
イオン交換水 5部
重合体(A−1)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化剤混合物を投入して攪拌し、窒素雰囲気下でセパラブルフラスコの内温を60℃まで加熱した。
(乳化剤混合物)
ペレックスSS−L(花王(株)製アニオン系乳化剤) 2.4部
イオン交換水 295部
次いで、下記の還元剤混合物をセパラブルフラスコ内に添加した。
(還元剤混合物)
硫酸第一鉄 0.0001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0003部
ロンガリット 0.3部
イオン交換水 5部
次いで、下記の単量体混合物を180分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し、滴下終了後60分間攪拌して重合を終了し、重合体(A−1)のラテックスを得た。
(単量体混合物)
スチレン 60部
α−メチルスチレン 20部
メタクリル酸フェニル 20部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
(単量体混合物)
スチレン 60部
α−メチルスチレン 20部
メタクリル酸フェニル 20部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
酢酸カルシウム5部を溶解した水溶液625部を攪拌しながら91℃に加温した。この中に、上記で得られた重合体(A−1)のラテックスを徐々に滴下し、滴下終了後に95℃に加温し、5分間保持して重合体(A−1)のラテックスを凝固させた。
得られた凝固物を固液分離し、洗浄した後、75℃で24時間乾燥して重合体(A−1)を得た。
重合体(A−1)の重合率は94%、ガラス転移温度は110℃、Mwは50,000であった。
得られた凝固物を固液分離し、洗浄した後、75℃で24時間乾燥して重合体(A−1)を得た。
重合体(A−1)の重合率は94%、ガラス転移温度は110℃、Mwは50,000であった。
<実施例1>
重合体(A−1)、IRGANOX HP2921(チバ・ジャパン(株)製)及びアペック1800(バイエル(株)製PC樹脂)を表1に示す割合で混合し、2軸押出機(TEM−35、東芝機械(株)製)に供給し、320℃で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得た。
熱可塑性樹脂組成物及び得られた成形体の評価結果を表1に示す。
尚、IRGANOX HP2921の詳細は、以下の通りである。
(b1)成分;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物、15%
(b2)成分;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、57%
(b3)成分;オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、28%
重合体(A−1)、IRGANOX HP2921(チバ・ジャパン(株)製)及びアペック1800(バイエル(株)製PC樹脂)を表1に示す割合で混合し、2軸押出機(TEM−35、東芝機械(株)製)に供給し、320℃で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得た。
熱可塑性樹脂組成物及び得られた成形体の評価結果を表1に示す。
尚、IRGANOX HP2921の詳細は、以下の通りである。
(b1)成分;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物、15%
(b2)成分;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、57%
(b3)成分;オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、28%
<比較例1及び2>
表1に示す原料を使用すること以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得た。
熱可塑性樹脂組成物及び得られた成形体の評価結果を表1に示す。
尚、IRGANOX1076の詳細は、以下の通りである。
(b3)成分;オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、100%
表1に示す原料を使用すること以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得た。
熱可塑性樹脂組成物及び得られた成形体の評価結果を表1に示す。
尚、IRGANOX1076の詳細は、以下の通りである。
(b3)成分;オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、100%
表1から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた実施例1は、PC樹脂の溶融流動性が向上し、且つ、成形加工時の滞留劣化が見られなかった。また、荷重たわみ温度の低下や、曲げ強度の低下も見られなかった。
本発明の(B)成分を用いていない比較例1では、PC樹脂の溶融流動性が向上したものの、成形加工時の滞留劣化が見られた。
PC樹脂(C)を単独で用いた比較例2では、溶融流動性が低く、成形加工時の滞留劣化が見られた。
本発明の(B)成分を用いていない比較例1では、PC樹脂の溶融流動性が向上したものの、成形加工時の滞留劣化が見られた。
PC樹脂(C)を単独で用いた比較例2では、溶融流動性が低く、成形加工時の滞留劣化が見られた。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性及び熱安定性に優れ、成形加工時の溶融流動性が高いことから、薄肉成形性や精密成形性が要求される用途、小型化、軽量化が必要な用途に有用である。
Claims (4)
- 下記の(A)成分及び(B)成分を含有する樹脂組成物。
(A)成分:α−メチルスチレン単位を含有する重合体
(B)成分:下記(b1)成分及び(b2)成分を含有する混合物
(b1)成分;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−オンの誘導体
(b2)成分;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト - 請求項1に記載の樹脂組成物5〜30質量%及び芳香族ポリカーボネート樹脂(C)70〜95質量%を含有する熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
- 請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008001096A JP2009161666A (ja) | 2008-01-08 | 2008-01-08 | 樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 |
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JP (1) | JP2009161666A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014062202A (ja) * | 2012-09-21 | 2014-04-10 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポリカーボネートジオール含有組成物及びポリカーボネートジオール含有組成物の製造方法 |
-
2008
- 2008-01-08 JP JP2008001096A patent/JP2009161666A/ja active Pending
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