JP2016204255A - 焼成用容器及び焼成用容器の製造方法 - Google Patents

焼成用容器及び焼成用容器の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016204255A
JP2016204255A JP2016085895A JP2016085895A JP2016204255A JP 2016204255 A JP2016204255 A JP 2016204255A JP 2016085895 A JP2016085895 A JP 2016085895A JP 2016085895 A JP2016085895 A JP 2016085895A JP 2016204255 A JP2016204255 A JP 2016204255A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
container
firing
mold
shape
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016085895A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6680605B2 (ja
Inventor
哲 亀嶋
Satoru Kamejima
哲 亀嶋
順一 森崎
Junichi Morizaki
順一 森崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Akechi Ceramics Co Ltd
Original Assignee
Akechi Ceramics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Akechi Ceramics Co Ltd filed Critical Akechi Ceramics Co Ltd
Publication of JP2016204255A publication Critical patent/JP2016204255A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6680605B2 publication Critical patent/JP6680605B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Press-Shaping Or Shaping Using Conveyers (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

【課題】黒鉛を主材とする焼成用容器であって、千数百度以下の焼成温度での使用に適しており、資源およびコストの無駄を排して製造することができる焼成用容器を提供する。
【解決手段】焼成用容器11の構成を、天然黒鉛粒子が無定形炭素を介して焼結している焼結体で形成されている構成とする。このような構成の焼成用容器は、天然黒鉛粒子と有機バインダとを含む混練物を焼成用容器として所望される形状に成形する成形工程P2と、成形工程で得られた成形体10を1000℃〜1500℃の温度で焼成し、有機バインダを無定形炭素とする炭化工程P3とを具備し、有機バインダは黒鉛化させない構成の製造方法によって、製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、黒鉛を主材とする焼成用容器、及び、該焼成用容器の製造方法に関するものである。
黒鉛は、耐熱性や熱伝導性に優れると共に、耐酸性・耐アルカリ性を示し化学的に安定なことから、黒鉛製の焼成用容器が従前より使用されている。従来の焼成用容器は人造黒鉛製であり、図5に示すように、コークスの粉砕物をピッチ等のバインダと混合・混錬する工程S1と、混錬物を押出成形または一軸加圧成形によりブロック形状に成形し成形体100とする工程S2と、成形体を温度1000℃〜1500℃で焼成しブロック形状の炭化物101とする工程S3と、ブロック形状の炭化物101にピッチを含浸し熱処理することにより緻密化する工程S4と、ピッチ含浸後の炭化物を温度2700℃〜3000℃で焼成しブロック形状の黒鉛102とする工程S5と、ブロック形状の黒鉛102を焼成用容器105としての形状に切削加工する工程S6とを経て、製造されていた。
ここで、上記の従来の製造工程においてブロック形状のまま黒鉛化し、その後に切削加工している理由は、黒鉛化のための温度が非常に高温であるため、黒鉛化の前に切削加工をすることによって厚さの異なる部分が生じると、厚い部分と薄い部分とで加熱が不均一となってしまうからである。また、炭化物は叩くと金属音を発するほど硬く、また脆いため、所望の形状に切削加工することが困難なためである。更に、従来の黒鉛製の焼成用容器は、鉄スクラップを溶解させる電気溶解炉など、金属精錬炉で使用される電極用の人造黒鉛ブロックを、流用して製造されていたという事情も存在する。
このような人造黒鉛製の焼成用容器には、次のような問題があった。すなわち、その製造には、温度2700℃〜3000℃という非常な高温で黒鉛化する工程S5において、大量のエネルギーを消費する。2700℃〜3000℃という高温は、化石燃料の燃焼では困難な温度であり、電気エネルギーを使用するのが一般的である。そのため、人造黒鉛製の焼成用容器は、製造コストが非常に高いという問題があった。また、ブロック形状のまま黒鉛化した後に、焼成用容器としての形状に切削加工するため、大量の切削クズが発生する。つまり、せっかく高いコストをかけて製造した黒鉛ブロックのうち、かなりの割合が廃棄対象となり、資源の無駄であると共にコストの無駄でもあるという問題があった。
更に、黒鉛は還元性雰囲気における融点が3550℃と、耐熱性が極めて高いが、実際には焼成温度が千数百度程度、またはそれ以下の場合であっても、人造黒鉛製の焼成用容器が使用されているのが実情である。これは、黒鉛の利点を活かしつつ、さほど高くない焼成温度での使用に適した焼成用容器が存在しないためである。そのため、焼成用容器に要請される性能に対し、焼成用容器が備えている性能が過度となっており、製造のために無駄にしている資源やコストとのバランスが悪いという問題があった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、黒鉛を主材とする焼成用容器であって、千数百度以下の焼成温度での使用に適しており、資源およびコストの無駄を排して製造することができる焼成用容器、及び、該焼成用容器の製造方法の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる焼成用容器は、「天然黒鉛粒子が無定形炭素を介して焼結している焼結体で形成されている」ものである。
「天然黒鉛」は、走査型電子顕微鏡による粒子表面の観察や、X線回折パターンの測定により、人造黒鉛との識別が可能である(木村賢治ら,天然黒鉛と人造黒鉛の識別法についての検討,税関中央分析所報,第54号,65−71ページ)。
本発明の焼成用容器は、黒鉛を主材とする焼結体で形成されているが、焼結体の全体が黒鉛化してはおらず、黒鉛粒子は無定形炭素で焼結している。このような構成の焼成用容器は、黒鉛粒子と有機バインダとを含む混合粉末原料から成形した成形体を、炭化させるが黒鉛化させない温度で焼成することにより、製造することができる。炭化させるが黒鉛化させない焼成温度は、1000℃〜1500℃とすることができる。また、コークスを含む原料を焼成によって黒鉛化していた従来とは異なり、原料として黒鉛粒子を使用する製造方法で製造できるため、安価な天然黒鉛粒子を原料とすることができる。
つまり、本構成の焼成用容器は、次の構成の焼成用容器の製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)、すなわち、「天然黒鉛粒子と有機バインダとを含む混合粉末原料を焼成用容器として所望される形状に成形する成形工程と、該成形工程で得られた成形体を1000℃〜1500℃の温度で焼成し、有機バインダを無定形炭素とする炭化工程とを具備し、有機バインダは黒鉛化させない」製造方法によって、製造することができる。
従って、非常に高温で黒鉛化する工程を経ることなく焼成用容器を製造するため、厚い部分と薄い部分とが存在すると加熱が不均一となってしまうという従来の問題を有していない。そのため、焼成前の成形体の段階で、焼成用容器として所望される形状に成形することができる。これにより、焼成後に切削加工していた従来とは異なり、切削クズが発生しないため、資源の無駄を排することができる。また、切削加工の場合は掴み代が必要であり、掴み代となる部分にある程度の厚さが必要であるなど、最終的な形状の自由度が低いのに対し、成形体の段階で所望形状に成形する製造方法により製造できる本構成の焼成用容器は、形状の自由度が高いという利点を有している。
加えて、黒鉛化のために非常に高温で焼成する工程を経ることなく製造することができるため、従来に比べて製造コストを大幅に低減することができる。また、原料として安価な天然黒鉛粒子を使用する製造方法により製造できるため、更に製造コストを低減することができる。
そして、従来では、実際の焼成温度に対して、焼成用容器の有する耐熱性が過度となっている使用場面も少なくなかったところ、本発明によれば、優れた利点を多く有する黒鉛を主材としながら、還元性雰囲気における千数百度以下の焼成温度での使用に適している焼成用容器を提供することができる。なお、焼成用容器の使用温度は、有機バインダを炭化させるが黒鉛化させない炭化工程の温度より低く設定されるものであり、例えば炭化工程の温度が1500℃の場合の使用温度は1500℃未満に、炭化工程の温度が1000℃の場合の使用温度は1000℃未満に設定される。
本発明にかかる焼成用容器は、上記構成に加え、「前記焼結体は、有底筒状であり、前記有底筒状の底部における厚さ方向の熱伝導率を100とした場合に、前記底部及び前記有底筒状の側壁部における厚さ方向の熱伝導率は92〜119である」ものとすることができる。これは、従来の焼結用容器に比べて、熱伝導率の異方性が著しく低減されている構成である。
このような構成の焼成用容器は、上記の製造方法の構成に加え、「前前記成形工程は、外型と内型とを使用して行われる一軸加圧成形であり、前記外型と前記内型との間には、有底筒状の空間が形成され、前記内型の外表面には、底部から側壁部にかけて円弧状の断面形状である湾曲面が形成されていると共に、前記外型の内表面には、底部から側壁部にかけて、円弧状の断面形状である湾曲面または内角が鈍角となるように直線が連続した断面形状である多角面が形成されている」構成の製造方法によって製造することができる。
従来の人造黒鉛製の焼結用容器の製造工程において、ブロック形状の成形体100を得る成形工程S2は、一軸加圧成形または押出成形によって行われるのが一般的であった。
従来の一軸加圧成形は、図6に示すように、筒状の型131と、底型132と、筒状の型131に内嵌される押し型133を使用して行われていた。その結果、成形体130には、押し型133を押し込む方向である一方向にのみ圧力が加わる。そのため、成形体130の原料として結晶構造に異方性を有する黒鉛粒子を使用すると、黒鉛粒子が同一方向に配向してしまう。また、押出成形では、黒鉛粒子が押出し方向に配向してしまう。そのため、一軸加圧成形または押出成形により得られた成形体を最終的に黒鉛化した焼結体は、熱伝導率に異方性を有するものとなる。その結果、焼結体を切削加工して得られた焼成用容器も、当然ながら熱伝導率に異方性を有する。焼成用容器が熱伝導率に異方性を有していると、焼成用容器に収容されて焼成される焼成対象物の加熱温度が、収容されている場所によって不均一となり易い。
これに対し、本構成の製造方法では、内型の側壁部と外型の側壁部との間には空間があるため、その空間内の混合粉末原料が外型の側壁部に向かって加圧される。加えて、内型の底部から側壁部にかけて円弧状の断面形状である湾曲面が形成されていると共に、外型の底部から側壁部にかけて、円弧状の断面形状である湾曲面または内角が鈍角となるように直線が連続した断面形状である多角面が形成されているため、内型の押圧に伴い外型の底部と内型の底部との間の空隙から外型の側壁部と内型の側壁部との間の空隙に混合粉末原料が移動し易い。このように、混合粉末原料に対して内型を押し下げる方向とは異なる方向に作用する圧力や、型内での混合粉末原料の移動により、天然黒鉛粒子が一定の方向に配向する傾向が低減される。これにより、詳細は後述するように、熱伝導率の異方性が低減された焼成用容器を製造することができる。従って、焼成用容器に収容されて焼成される焼成対象物を、収容場所によらず均一な温度で加熱することができる。
或いは、「前記焼結体は、有底筒状であり、前記有底筒状の底部における厚さ方向の熱伝導率を100とした場合に、前記底部及び前記有底筒状の側壁部における厚さ方向の熱伝導率は92〜119である」構成の焼成用容器は、「前記成形工程は、焼成用容器の内表面または外表面の形状に対応した形状の剛性型とゴム型を使用して、等方圧加圧下で行われる」構成の製造方法によって製造することができる。
ここで、「等方圧加圧」は、冷間等方圧加圧であっても熱間等方圧加圧であってもよい。熱間等方圧加圧である場合は、上記の成形工程と炭化工程とは同時に行われる。
本構成の製造方法では、成形工程を等方圧加圧下で行うことにより、熱伝導率の異方性が低減された焼成用容器を製造することができる。従って、焼成用容器に収容されて焼成される焼成対象物を、収容場所によらず均一な温度で加熱することができる。
以上のように、本発明の効果として、黒鉛を主材とする焼成用容器であって、千数百度以下の焼成温度での使用に適しており、資源およびコストの無駄を排して製造することができる焼成用容器、及び、該焼成用容器の製造方法を、提供することができる。
本発明の第一実施形態及び第二実施形態の焼成用容器の製造方法を示す工程図である。 本発明の第一実施形態の焼成用容器の製造方法、及び該製造方法に使用する成形型の説明図である。 図2の成形型の変形例を示す図である。 本発明の第二実施形態の焼成用容器の製造方法、及び該製造方法に使用する成形型の説明図である。 従来の人造黒鉛製の焼成用容器の製造方法を示す工程図である。 従来の一軸加圧成形法の説明図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、説明する。本実施形態の焼成用容器11は、天然黒鉛粒子が無定形炭素を介して焼結している焼結体で形成されている。
このような構成の焼成用容器11は、図1に示すように、天然黒鉛粒子と有機バインダとを混合して混合粉末原料とする原料調製工程P1と、混合粉末原料を焼成用容器として所望される形状に成形し、成形体10を得る成形工程P2と、得られた成形体10を1000℃〜1500℃の温度で焼成し、有機バインダを無定形炭素とし、所望形状の焼結体である焼成用容器11とする炭化工程P3とを具備する製造方法によって製造される。この製造方法では、有機バインダは黒鉛化させない。
この製造方法において成形工程P2は、後述するように、焼結用容器として所望される形状に対応した特殊なニアネットシェイプ型を用いた一軸加圧成形法により行うことができる。或いは、成形工程P2は、焼結体として所望される形状に形づくりつつ等方圧加圧する工程とすることができる。
より具体的に説明すると、工程P1では天然黒鉛粒子、有機バインダに加え、他の添加剤を混合粉末原料に加えることができる。例えば、焼成用容器の機械的強度を高める目的で、原料に炭化ホウ素等を添加することができる。
また、従来の人造黒鉛製の焼成用容器では、所望形状とするために切削加工を行っていたため、掴み代となる部分を残して加工する必要があり、掴み代としては10mm以上の厚さが必要であった。これに対し、本実施形態の製造方法では、所望形状とするために切削加工は行わないため、3mm〜5mmという肉薄の焼成用容器とすることが可能である。肉薄の焼成用容器は、容器の外形寸法が同じであれば肉厚の容器に比べて多くの被焼成物を収容できるため、被焼成物を効率よく焼成することができる。
炭化工程P3は、1000℃〜1500℃というさほど高くない温度で行われるため、焼成用容器の成形体を搬送しながら搬送方向に長い焼成炉を通過させて連続的に焼成する連続焼成炉を使用して行うことが可能である。従来の人造黒鉛製の焼成用容器は、2700℃〜3000℃という非常な高温で黒鉛化しており、このような高温は気密度の高い焼成炉によらなければ実現できないため、バッチ式で焼成し黒鉛化させていた。従って、焼成のために連続焼成炉を使用可能な本実施形態の焼成用容器は、従来の人造黒鉛製の焼成用容器に比べて、極めて効率良く製造することができる。
まず、第一実施形態の焼成用容器E11(11)の製造方法について説明する。原料調製工程P1では、下記の組成の原料を混合し、混合粉末原料とした。
天然黒鉛粒子(純度95%):80質量%〜98質量%
有機バインダ(フェノールレジン等):1質量%〜20質量%
添加剤(カーボンブラック、炭化ホウ素等):1質量%〜10質量%
なお、天然黒鉛粒子としては、粗大粒子(平均粒子径100μm〜200μm)と微細粒子(平均粒子径5μm〜30μm)とを使用した。
第一実施形態の成形工程P2では、図2(a)に示すような外型30と内型40とを使用した。外型30と内型40との間には、成形体10の形状に相当する有底筒状の空間が形成されると共に、外型30の内表面には底部31から側壁部32にかけて円弧状の断面形状である湾曲面33が形成されていると共に、内型40の外表面には底部41から側壁部42にかけて円弧状の断面形状である湾曲面43が形成されている。
図2(b)に示すように、調製された混合粉末原料20を外型30の内部に入れ、内型40を外型30内に挿入し、上方から圧力をかけた。混合粉末原料20は、内型40によって外型30の底部31に向かって加圧される。また、内型40の側壁部42と外型30の側壁部32との間には空間があるため、その空間内の混合粉末原料20が外型30の側壁部32に向かって加圧される。加えて、内型40の底部41から側壁部42にかけて湾曲面43が形成されていると共に外型30の底部31から側壁部32にかけて湾曲面33が形成されているため、図2(c)に模式的に示すように、内型40の押圧に伴い底部31と底部41との空隙から側壁部32と側壁部42との空隙に混合粉末原料20が移動し易い。このように、混合粉末原料20に対して内型40を押し下げる方向とは異なる方向に作用する圧力や、外型30と内型40との間隙における混合粉末原料20の移動により、天然黒鉛粒子が一定の方向に配向する傾向が低減される。
ここで、外型30は、図3(a),(c)に示すように、内表面において底部31から側壁部32にかけて、内角が鈍角となるように直線が連続した断面形状である多角面33bが形成されているものであっても良い。このような形状であっても、図2(c)を用いて上述したように、内型40の押圧に伴い底部31と底部41との空隙から側壁部32と側壁部42との空隙に混合粉末原料20が移動し易い。このような多角面33bを有する外型30を使用した場合の成形体10は、図3(a),(c)の外型30を使用した場合の成形体10をそれぞれ図3(b),(d)に示すように、底部から側面部にかけて多角面を有している。従って、このような成形体10から製造される焼結用容器11は、底部近くに多角面を有しているため、実際に焼成炉で使用される際にローラ上に載置されて搬送される場合など、載置対象面に対して滑りにくい利点を有している。
上記の成形工程P2で成形された成形体10を、50℃〜90℃の温度で48時間〜72時間乾燥させた。乾燥した成形体10を、連続焼成炉により1000℃〜1500℃の温度で48時間〜96時間焼成して有機バインダ等を炭化させ、第一実施形態の焼成用容器E11(11)を得た。
次に、第二実施形態の焼成用容器E21(11)の製造方法について説明する。焼成用容器E21の製造方法が焼成用容器E11の製造方法と異なる点は、成形工程P2である。第二実施形態の成形工程P2は、等方圧加圧下で行われる。ここでは、図1に示すように、成形工程P2の後に炭化工程P3が行われる場合、すなわち、等方圧加圧が冷間等方圧加圧である場合を例示するが、等方圧加圧が熱間等方圧加圧である場合は、成形工程P2と炭化工程P3とは同時に行われる。
等方圧加圧下で行われる成形工程P2では、図4に示すように、剛性型50とゴム型60,61とを使用して行った。図4(a)に示すように、剛性型50は、有底筒状の焼成用容器の内表面の形状に対応した形状である。図4(b)に示すように、成形体10の底部に相当する面51を上方に向けた剛性型50の周囲に、筒状のゴム型60をセットすると、ゴム型60と剛性型50との間には、成形体10の側壁部に相当する空間が形成される。また、この状態で、ゴム型60の上端は剛性型50の面51より高い位置にある。そこで、図4(c)に示すように、ゴム型60と剛性型50との間の空間、及び面51より上方でゴム型60に囲まれている空間に、混合粉末原料20を充填する。
その後、充填された混合粉末原料20の上方を蓋状のゴム型61で被覆する。これにより、剛性型50を内包する混合粉末原料20が、ゴム型60,61で被包された成形単位70が形成される。
この成形単位70を、圧力媒体81が満たされた耐圧容器80内に入れ、圧力媒体81を介して全方向から圧力をかけ、成形した。通常、等方圧加圧下で成形を行う場合、所定の形状に形づくられた後の成形体に、等方圧をかける。これに対し、本実施形態の製造方法は、焼結用容器として所望される形状に形づくりつつ等方圧加圧する点で、特異な製造方法である。
成形工程P2の後、上記と同様の条件で、乾燥し、焼成して、有機バインダを黒鉛化させることなく炭化させ、第二実施形態の焼成用容器E21(11)を得た。
比較のために、焼成用容器E21を更に2700℃〜3000℃の温度で焼成し、有機バインダ等を含む全体を黒鉛化させて、比較例の焼成用容器R1とした。
第一実施形態の焼成用容器E11、第二実施形態の焼成用容器E21、及び比較例の焼成用容器R1について、下記の方法により嵩密度、見掛け気孔率、曲げ強度、電気比抵抗、及び熱膨張率を測定した。その結果を表1に示す。また、対比のために、図5を用いて上述した従来の製造方法により製造された人造黒鉛製の焼成用容器R2、すなわち、コークス等を含有する原料を押出成形した後で加熱し黒鉛化したブロック形状の黒鉛を、焼成用容器としての形状に切削加工した試料R2についても、同様の測定を行った。その結果を表1に併せて示す。
嵩密度:サイズと質量の測定により計算した。
見掛け気孔率:JIS R2205に則り測定した。
曲げ強度:JIS R1601に準拠し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1.5mm/minの条件にて、三点曲げ強度を測定した。
電気比抵抗:4端子法により測定した。
熱膨張率:焼結体を10℃/minの昇温速度で1000℃まで加熱しながら、線膨張率を縦型熱膨張計で測定した。
Figure 2016204255
表1に示すように、本実施形態の焼成用容器E11,E21は、従来の焼成用容器R2と比べて、曲げ強度及び電気比抵抗が若干小さいものの、実用的に許容できる範囲の物性を有するものであった。また、有機バインダを黒鉛化させていない実施形態の焼結用容器E21を、更に高温で焼成して有機バインダを黒鉛化させた比較例の焼結用容器R1の物性は、焼結用容器E21の物性と大差がなかった。従って、焼結用容器を製造するに当たり、大量のエネルギーを消費して有機バインダ等を黒鉛化することには、意義はないと考えられた。
更に、本実施形態の焼成用容器E11,E21及び比較例の焼成用容器R2について、熱伝導率を測定した結果を、表2に示す。ここでは、焼成用容器を介して焼成対象物に熱が伝導する方向である底部及び側壁部それぞれにおける厚さ方向の熱伝導率に着目している。なお、熱伝導率は、フラッシュレーザー法により測定した熱拡散率、DSC法により測定した比熱、及び嵩密度により算出した。表2では、焼成用容器の底部及び側壁部それぞれの厚さ方向の熱伝導率を複数箇所で測定し、底部における測定値の平均値を100とすると共に、底部及び側壁部それぞれの測定結果を、「平均値±標準偏差」で示している。
また、対比のために、上記の混合粉末原料を使用し、等方圧加圧下で成形したブロック状の成形体を焼成して黒鉛化したのち、箱状(有底筒状)に切削加工した試料R3について測定した熱伝導率を、表2にあわせて示す。
Figure 2016204255
表2から明らかなように、押出成形による成形体を焼成し黒鉛化した後で箱状の形状に切削加工した従来の人造黒鉛製の焼結用容器R2では、側壁部の厚さ方向の熱伝導率は底部の厚さ方向の熱伝導率の10倍以上であり、異方性は極めて大きいものであった。これに対し、第一実施形態の焼結用容器E11及び第二実施形態の焼結用容器E21では、底部の厚さ方向の熱伝導率を100とした場合に、底部及び側壁部それぞれにおける厚さ方向の熱伝導率は92〜119であり、熱伝導率の異方性が低減されていた。具体的には、第一実施形態の焼結用容器E11では、底部の厚さ方向の熱伝導率を100とした場合、側壁部の厚さ方向の熱伝導率は117〜119であると共に、底部及び側壁部を総合した厚さ方向の熱伝導率は99〜119であり、熱伝導率の異方性は小さいものであった。また、第二実施形態の焼結用容器E21では、底部の厚さ方向の熱伝導率を100とした場合、側壁部の厚さ方向の熱伝導率は92〜108であると共に、底部及び側壁部を総合した厚さ方向の熱伝導率は92〜108であり、熱伝導率の異方性は小さいものであった。
このように本実施形態の焼成用容器E11,E21において、熱伝導率の異方性が低減されている程度は、等方圧加圧下で成形したブロック状の成形体を焼成し黒鉛化したのち、箱状(有底筒状)に切削加工した試料R3の熱伝導率と比べて、遜色のないものであった。
以上のように、本実施形態の製造方法及び該製造方法によれば、優れた利点を多く有する黒鉛を主材としながら、還元性雰囲気における千数百度以下の焼成温度での使用に適している焼成用容器を提供することができる。また、黒鉛化のために非常な高温で焼成する工程を経ることなく製造するため、従来に比べて製造コストを大幅に低減することができることに加え、原料として安価な天然黒鉛粒子を使用するため、更に製造コストを低減することができる。
また、焼成前の成形体の段階で、焼成用容器として所望される形状に成形するため、焼成後に切削加工していた従来とは異なり切削クズが発生することがなく、資源の無駄が排されている。また、切削加工による成形とは異なり、掴み代を残しておく必要がないため、肉薄にできるなど形状の自由度が高い。
加えて、本実施形態では、熱伝導率に異方性が高い天然黒鉛粒子を原料としながら、成形工程を焼結用容器として所望される形状に対応した特殊なニアネットシェイプ型を用いた一軸加圧成形法で行うことにより、または焼成用容器として所望される形状に形づくりつつ等方圧加圧することにより、焼成用容器を介して焼成対象物に熱が伝導する方向である底部及び側壁部それぞれにおける厚さ方向の熱伝導率の異方性を、低減することができる。これにより、焼成用容器に収容されて焼成される焼成対象物を、収容場所によらず均一な温度で加熱することができる。
特に、従来の一軸加圧成形では、ニアネット成形を行うことを当業者は想到しなかったところ、第一実施形態では特殊な外型30及び内型40を使用することにより、ニアネット成形を可能とした点で意義が高い。加えて、等方圧加圧下で行う従来の成形では、予め所定の形状に形づくられた成形体に等方圧をかけていたのに対し、第二実施形態では焼結用容器として所望される形状に形づくりつつ等方圧加圧するという、従来にない方法を採用している。
更に、1000℃〜1500℃というさほど高くない温度のみで焼成を行うため、成形体が搬送されながら焼成される連続焼成炉を使用可能であり、従来の人造黒鉛製の焼成用容器に比べて、極めて効率良く製造することができる。そして、従来の人造黒鉛製の焼成用容器は、図5を用いて説明したように、その製造のために六つの工程S1〜S6を経ていたところ、本実施形態の焼成用容器は、混合粉末原料調製工程P1、成形工程P2、及び炭化工程P3という僅か三つの工程で、極めて容易に製造することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記では焼成用容器E11,E21の形状を、共に上方に開放した開口部を有するシンプルな箱状(有底筒状)とした場合を例示したが、開口部の縁に部分的に窪み(切欠き)が形成されている形状とすることができる。このような形状は、窪み、及び、窪みと窪みとの間の部分にそれぞれ相当する凹凸を有する成形型を使用することにより、形成することができる。かかる窪みが形成された開口部を有する焼成用容器は、複数を積重した場合に、上段の容器の底部と下段の容器の開口縁との間に、容器の内部と外部とを連通させる窓部が形成されるため、焼成中に発生する揮発成分のガスや昇温により熱膨張するガスを、容器の外部に排出することができる。
また、上記の第二実施形態の成形工程P2では、有底筒状となる成形体10の内表面側を剛性型50で形づくり、外表面側から等方圧をかける場合を例示したが、反対に、有底筒状となる成形体の外表面側を剛性型で形づくり、内表面側から等方圧をかけても良い。
10 成形体
11 焼成用容器(焼結体)
30 外型
33 湾曲面
33b 多角面
40 内型
50 剛性型
60,61 ゴム型
E11 焼成用容器(第一実施形態の焼成用容器)
E21 焼成用容器(第二実施形態の焼成用容器)
P1 原料調製工程
P2 成形工程
P3 炭化工程

Claims (5)

  1. 天然黒鉛粒子が無定形炭素を介して焼結している焼結体で形成されている
    ことを特徴とする焼成用容器。
  2. 前記焼結体は、有底筒状であり、
    前記有底筒状の底部における厚さ方向の熱伝導率を100とした場合に、前記底部における厚さ方向の熱伝導率及び前記有底筒状の側壁部における厚さ方向の熱伝導率は92〜119である
    ことを特徴とする請求項1に記載の焼成用容器。
  3. 天然黒鉛粒子と有機バインダとを含む混合粉末原料を焼成用容器として所望される形状に成形する成形工程と、
    該成形工程で得られた成形体を1000℃〜1500℃の温度で焼成し、有機バインダを無定形炭素とする炭化工程とを具備し、
    有機バインダは黒鉛化させないことにより、
    天然黒鉛粒子が無定形炭素を介して焼結している焼結体が所望形状となった焼成用容器とする
    ことを特徴とする焼成用容器の製造方法。
  4. 前記成形工程は、外型と内型とを使用して行われる一軸加圧成形であり、
    前記外型と前記内型との間には、有底筒状の空間が形成され、
    前記内型の外表面には、底部から側壁部にかけて円弧状の断面形状である湾曲面が形成されていると共に、
    前記外型の内表面には、底部から側壁部にかけて、円弧状の断面形状である湾曲面または内角が鈍角となるように直線が連続した断面形状である多角面が形成されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の焼成用容器の製造方法。
  5. 前記成形工程は、焼成用容器の内表面または外表面の形状に対応した形状の剛性型とゴム型を使用して、等方圧加圧下で行われる
    ことを特徴とする請求項3に記載の焼成用容器の製造方法。
JP2016085895A 2015-04-24 2016-04-22 焼成用容器の製造方法 Active JP6680605B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015089115 2015-04-24
JP2015089115 2015-04-24

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016204255A true JP2016204255A (ja) 2016-12-08
JP6680605B2 JP6680605B2 (ja) 2020-04-15

Family

ID=57487421

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016085895A Active JP6680605B2 (ja) 2015-04-24 2016-04-22 焼成用容器の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6680605B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108840680A (zh) * 2018-09-18 2018-11-20 平顶山东方碳素股份有限公司 一种利用回收石墨物料生产的石墨制品及加工方法
KR102337282B1 (ko) * 2021-04-26 2021-12-08 김진국 도자기 성형장치

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5380408A (en) * 1976-12-27 1978-07-15 Akechi Taikarenga Kk Method of making graphite crucibles
JPH10167879A (ja) * 1996-12-12 1998-06-23 Toyo Tanso Kk 単結晶引き上げ用ルツボ
JP2001106572A (ja) * 1999-10-08 2001-04-17 Nisshin Rifuratetsuku Kk 黒鉛坩堝の製造方法
JP2013035703A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Gun Ei Chem Ind Co Ltd 成形体、該成形体を焼成した焼成体、成形体及び焼成体の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5380408A (en) * 1976-12-27 1978-07-15 Akechi Taikarenga Kk Method of making graphite crucibles
JPH10167879A (ja) * 1996-12-12 1998-06-23 Toyo Tanso Kk 単結晶引き上げ用ルツボ
JP2001106572A (ja) * 1999-10-08 2001-04-17 Nisshin Rifuratetsuku Kk 黒鉛坩堝の製造方法
JP2013035703A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Gun Ei Chem Ind Co Ltd 成形体、該成形体を焼成した焼成体、成形体及び焼成体の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108840680A (zh) * 2018-09-18 2018-11-20 平顶山东方碳素股份有限公司 一种利用回收石墨物料生产的石墨制品及加工方法
KR102337282B1 (ko) * 2021-04-26 2021-12-08 김진국 도자기 성형장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP6680605B2 (ja) 2020-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7658902B2 (en) Low CTE highly isotropic graphite
KR101439177B1 (ko) 흑연 폐스크랩을 이용한 등방성 벌크 흑연의 제조방법 및 이를 통해 제조된 등방성 벌크 흑연
Shen et al. Homogenous and highly isotropic graphite produced from mesocarbon microbeads
JP2007161574A (ja) 炭化珪素含有セラミックスを製造するための方法
CN108610049B (zh) 各向同性石墨材料,其制造方法及其应用
JP4691891B2 (ja) C−SiC焼結体およびその製造方法
JP6680605B2 (ja) 焼成用容器の製造方法
JP5972362B2 (ja) 炭素とケイ素とを含む混合物のセミグラファイト化によって得られる、溶鉱炉の内部ライニングのための耐火材
CN102211766B (zh) 一种高导热碳材料的快速、低成本制备方法
JP4430448B2 (ja) 等方性黒鉛材の製造方法
JP2013014487A (ja) 導電性セラミックスの製造方法
JP3765840B2 (ja) 炭素材の製造方法
JP4311777B2 (ja) 黒鉛材の製造方法
JP4809582B2 (ja) 高熱伝導黒鉛材料及びその製造方法
US9546113B2 (en) High porosity/low permeability graphite bodies and process for the production thereof
JP5002087B2 (ja) クロミア焼結体とその製造方法
US20150299053A1 (en) Method for controlling characteristics of ceramic carbon composite, and ceramic carbon composite
KR101883862B1 (ko) 등방성 흑연 성형체의 제조 방법 및 그에 따라 제조된 고밀도 등방성 흑연 성형체
JP4539147B2 (ja) 放電加工用黒鉛電極の製造方法
JP5093639B2 (ja) 炭素/セラミックス複合材の製造方法
JP2005179140A (ja) 高熱伝導黒鉛材料
JP2766753B2 (ja) 低スパッタ黒鉛材料の製造法
Ebrahimi et al. A Study on the Effect of Coke Particle Size and Applied Compacting Pressure on the Physical Properties of Electrographite Brushes
JPH09208314A (ja) 炭素材の製造方法
KR20240051572A (ko) 폐흑연을 이용한 음극재 제조용 그라파이트 도가니 및 그 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160422

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191008

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200310

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200319

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6680605

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250