JPH09208314A - 炭素材の製造方法 - Google Patents

炭素材の製造方法

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JPH09208314A
JPH09208314A JP8017762A JP1776296A JPH09208314A JP H09208314 A JPH09208314 A JP H09208314A JP 8017762 A JP8017762 A JP 8017762A JP 1776296 A JP1776296 A JP 1776296A JP H09208314 A JPH09208314 A JP H09208314A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気軸受けや連鋳用モールドに有用な、気孔
径が大きく、通気性の良好な高強度の炭素材を製造す
る。 【解決手段】 自己焼結性の炭素質メソフェーズ粉末
に、メタノール可溶分量が40%以下、揮発分が30%以
上、平均粒径10〜30μmのフェノール樹脂硬化物または
初期炭化物の粉末5〜40重量%を混合し、この混合物を
0.3〜1.5 ton/cm2 の圧力で冷間静水圧プレス成型した
後、成型体を焼成して炭化および黒鉛化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気軸受け、連鋳
用モールド、真空加熱装置のヒータ、断熱材等に用いら
れる、気孔径が大きく、通気性と強度の良好な高強度の
炭素材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度炭素材は、従来は、骨材となるコ
ークスの粉末とバインダーのピッチとの二元系混合物を
成型し、得られた成型体を焼成して炭化および黒鉛化す
ることにより製造されてきたが、高強度にするため、焼
成時に成型体のピッチ含浸と焼成を何回も繰り返す緻密
化処理を行う必要があった。
【0003】近年になり、高強度炭素材の別の製造方法
として、自己焼結性を有し、従って骨材とバインダーの
両者を兼ねる炭素質のメソフェーズ粉末を原料とする方
法が開発され、実用に供されるようになってきた。この
方法は、原料がメソフェーズ粉末の一元系であるため、
従来の二元系炭素材の製造方法で必要であった、ピッチ
含浸と焼成を繰り返すという手間のかかる緻密化処理を
行わずに、簡単な操作で高強度の炭素材が得られるとい
う利点がある。
【0004】しかし、この方法で得られる炭素材は、一
般に気孔径が小さく、従来の二元系の炭素材と比べて通
気性が低いという特徴がある。この特徴は、例えば、メ
カニカルシール、電極等のように通気性を必要としない
用途においては長所となるが、空気軸受け、連鋳用モー
ルド等の用途に使用する場合には、通気性が低いと次の
ような問題が起こる。
【0005】空気軸受け:空気軸受けでは、軸受けよ
り空気が摺動面に流出し、空気層を介して摺動する。軸
受けの通気性が低いと、空気の流出量が少なくなり、十
分な空気層が形成されないため、空気軸受けの摩耗が多
くなる。
【0006】連鋳用モールド:銅合金等の連続鋳造で
は、内面を炭素材としたモールド(鋳型)が使用され
る。この炭素材の通気性が低いと、溶融金属から発生し
た種々のガスがモールド表面に集まるため、鋳造した金
属表面に肌荒れを生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、自己
焼結性の炭素質メソフェーズ粉末を原料とする炭素材
は、強度は十分に高いが、気孔径が小さく、通気性が低
いため、空気軸受けや連鋳用モールド等のように通気性
が必要な用途に使用するには不適当であった。本発明の
課題は、メソフェーズ粉末を原料として、このような用
途に適した、気孔径が大きく、通気性の良好な高強度の
炭素材の製造方法を開発することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明は、自己
焼結性の炭素質メソフェーズ粉末に、メタノール可溶分
量が40%以下で、揮発分が30%以上の、平均粒径10〜30
μmのフェノール樹脂硬化物または初期炭化物の粉末5
〜40重量%を混合し、この混合物を冷間静水圧プレス法
により成型した後、成型体を焼成して炭化および黒鉛化
することからなる、炭素材の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の炭素材の製造方法の主原
料は、自己焼結性を持った炭素質メソフェーズ (以下、
単にメソフェーズという) の粉末である。メソフェーズ
とは、石炭、重質油、ピッチなどの主に石炭系の炭素材
料を加熱し、液相化した時に出現する、光学異方性の炭
素前駆体の相を意味する。かかる炭素材料を加熱して炭
化する過程で、液相になった後、等方性の液状マトリッ
クスから多数の小球状の光学異方性の相が相分離してく
る。重量で全体の数%〜数十%の量で生ずるこの光学異
方性の小球体は、一般にメソフェーズ小球体と呼ばれ
る。さらに加熱を続けると、それらが合体して全体が光
学異方性となったバルクメソフェーズと呼ばれる相にな
る。
【0010】本発明で主原料として用いるメソフェーズ
粉末は、急冷固化させたバルクメソフェーズを粉砕して
得たものでも、或いはその前段階として生成したメソフ
ェーズ小球体を溶剤抽出等の方法で等方性マトリックス
から分離し、次いで酸化処理等により流動性を調整して
得られるメソカーボンマイクロビーズのいずれでもよ
い。メソフェーズ粉末を得るための炭素材料としては、
ピッチやコールタールが多く使用されるが、それらに限
られるものではない。
【0011】原料のメソフェーズ粉末の平均粒径が大き
いほど、製造された炭素材の気孔径が大きくなり、通気
性が高まるが、一方で炭素材の強度が低下する傾向があ
る。メソフェーズ粉末の平均粒径は、好ましくは30〜10
0 μmの範囲とする。30μm未満では、通気性が上記用
途に使用するには不足することががあり、100 μmを超
えると強度低下が著しくなることがある。より好ましい
平均粒径は30〜50μmの範囲である。
【0012】本発明においては、上記のメソフェーズ粉
末にさらにフェノール樹脂硬化物または初期炭化物の粉
末を配合して原料として使用する。それにより、焼成後
に得られる炭素材の気孔径が大きくなり、通気性が著し
く改善され、上述した用途に十分に使用できるようにな
る。
【0013】フェノール樹脂を含む熱硬化性樹脂は、一
旦は熱溶融して硬化するが、硬化物となった後は、炭化
過程で流動状態を経ることなく、固相のままで炭化(固
相炭化)する。従って、炭化後もその初期形状を保持す
る。
【0014】本発明においては、フェノール樹脂の硬化
物または初期炭化物の粉末をメソフェーズ粉末に配合す
る材料として使用する。フェノール樹脂としては、一般
的なフェノール−ホルムアルデヒド樹脂の他に、変性フ
ェノール樹脂も使用できる。フェノール樹脂の硬化物
は、フェノール樹脂を加熱して熱硬化させるか、或いは
硬化剤を添加して常温で硬化させることにより得られ
た、加熱してももはや溶融せず、かつまだ炭化していな
い状態のものを意味する。熱硬化させる場合の加熱温度
は一般に 200℃以下である。また、フェノール樹脂の初
期炭化物は、フェノール樹脂またはその硬化物を不完全
に炭化させて得られた、なお揮発分がある程度残った状
態の不完全な炭化物を意味する。この初期炭化物は、例
えば、600 ℃以下の比較的低温での焼成またはごく短時
間の焼成により得られる。
【0015】本発明で用いるのに適したフェノール樹脂
の硬化物または初期炭化物は、下記のメタノール可溶分
量と揮発分量とにより表すことができる。 メタノール可溶分量 粒径60メッシュ以下に粉砕したフェノール樹脂硬化物ま
たは初期炭化物の粉末を、常温のメタノールで30分抽出
した後、ガラスフィルターで濾過し、濾過ケーキを乾燥
して不溶分重量を測定し、 (仕込み重量−不溶分重量)
で求めた可溶分量の仕込み重量に対する重量%として、
メタノール可溶分量を算出する。本発明の方法に用いる
フェノール樹脂硬化物または初期炭化物は、メタノール
可溶分量が40%以下であり、特に10%以下のものが好ま
しい。
【0016】揮発分 粒径60メッシュ以下に粉砕したフェノール樹脂硬化物ま
たは初期炭化物の粉末約1gを、ふた付き白金るつぼに
入れ、900 ℃に保持した縦型管状炉に入れて7分間保持
した後、炉から取り出して鉄製の台の上で冷却し、秤量
して、重量減少量を求める。揮発分は、仕込み重量に対
する重量減少量の割合 (重量%) として算出される。本
発明の方法に用いるフェノール樹脂硬化物または初期炭
化物は、揮発分が30%以上であり、特に35〜50%のもの
が好ましい。
【0017】メソフェーズ粉末にフェノール樹脂硬化物
または初期炭化物の粉末を添加すると、焼成後に得られ
た炭素材の気孔径が増加する理由は、前述したように、
熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂の硬化物または初期
炭化物は、炭化と黒鉛化のための焼成中に軟化変形せ
ず、その初期形状が維持されるため、樹脂硬化物または
初期炭化物の粒子間や樹脂硬化物または初期炭化物の粒
子とメソフェーズの粒子間に空隙が生じるためである
(図1の模式図を参照) 。メソフェーズ粉末のみである
と、焼成中に軟化変形するため、大きな気孔は生じにく
い。
【0018】また、焼成中にフェノール樹脂硬化物また
は初期炭化物の粉末とメソフェーズ粉末のいずれも、有
機物の熱分解や揮発によって収縮するが、フェノール樹
脂硬化物または初期炭化物は、その際の収縮の程度がメ
ソフェーズ粉末と同程度であるため、焼成時に歪による
割れが生じにくく、従って割れ発生による強度低下が起
こりにくい。
【0019】フェノール樹脂を、未硬化またはメタノー
ル可溶分が40%を超えるように軽度に硬化させた状態
で、メソフェーズ粉末に添加すると、焼成時の低温域で
樹脂がいったん溶融するため、初期の粉末形態を保持す
ることができず、また、この温度域でのガス発生量が多
く、従って最終的な収縮率がメソフェーズ粉末より非常
に大きくなるため、得られた炭素材に割れが発生し易く
なる。
【0020】一方、フェノール樹脂を、揮発分が30%未
満となるまで実質的に炭化してからメソフェーズ粉末に
添加すると、この炭化物は焼成中にほとんど収縮しない
ため、メソフェーズの収縮率が樹脂の収縮率より著しく
大きくなり、基材であるメソフェーズ側に引張り応力が
生じて、メソフェーズ部に亀裂を生じるため、材料強度
が著しく低下する。
【0021】本発明で用いるフェノール樹脂硬化物また
は初期炭化物 (以下、説明を簡略化するため、フェノー
ル樹脂硬化物で代表させて説明するが、初期炭化物でも
同じである) は、平均粒径10〜30μmの粉末状で使用す
る。フェノール樹脂硬化物の粉末の平均粒径が10μmよ
り小さいと、目的とするような大きな気孔径を得ること
ができない。一方、平均粒径が30μmを超えると、気孔
径は大きくなるが、気孔の数が少なくなり、通気性は低
下する。好ましい平均粒径は、15〜25μmである。
【0022】フェノール樹脂硬化物の粉末は、塊状また
はペレット状のフェノール樹脂硬化物を粉砕し、必要に
より分級することにより製造したものでもよい。しか
し、各種粒径および硬化度の球状のフェノール樹脂硬化
物が市販されており、この市販の球状フェノール樹脂硬
化物をそのまま、または低温で焼成して不完全に炭化さ
せて使用することが好ましい。粒子形状が球状である
と、気孔径が均一に揃い易い。
【0023】フェノール樹脂硬化物の粉末の配合率は、
メソフェーズ粉末との合計量に基づいて、5〜40重量%
の範囲とする。配合率5重量%以下では、気孔径の増大
効果が小さく、一方配合率が40重量%を越えると、材料
強度の低下が大きくなる。好ましい配合率は10〜30重量
%である。
【0024】原料のメソフェーズ粉末とフェノール樹脂
硬化物の粉末とをよく混合した後、従来の炭素材と同様
に、ラバー製の袋からなる型に充填して、冷間静水圧プ
レス(CIP) 法により成型する。この時の成型圧が低
い方が、焼成後に得られる炭素材の強度はやや低下する
ものの、気孔率と気孔径が増加するため、本発明の目的
に有利である。この点を考慮し、成型圧は 0.3〜1.5 to
n/cm2 、特に1.2 ton/cm2 以下と比較的低めにすること
が好ましい。
【0025】CIP成型した成型体を、炭化および黒鉛
化のために焼成 (熱処理) する。この焼成は、従来の炭
素材の製造と同様の条件下で実施すればよい。例えば、
焼成雰囲気は不活性雰囲気(窒素または希ガス等の雰囲
気)が好ましく、まず比較的小さい昇温速度で炭化処理
温度 (例、 900〜1000℃) まで加熱し、この温度に保持
して炭化した後、黒鉛化処理温度 (例、2000〜3000℃)
に加熱して、炭化した成型体を黒鉛化すればよい。
【0026】こうして得られた炭素材の気孔径は 0.6〜
2.5 μmである。メソフェーズ粉末のみを原料とし、一
般的なCIP圧1.5 ton/cm2 で成型した後、同じ条件下
で焼成した炭素材の気孔径が高々0.5 μm以下であるの
と比べて、本発明により製造された炭素材は気孔径が大
きくなる。なお、気孔径は水銀圧入法により測定でき
る。気孔径が大きくなった結果、本発明により製造され
た炭素材はは通気抵抗が小さくなり、通気性が著しく改
善される。
【0027】ここで、通気性は、下記またはの方法
で測定できる。 板状の炭素材の両面を通気性のない材料でシールした
後、炭素材の片側を減圧あるいは加圧の所定圧力に保持
し、シールを取り除いて、炭素材を通して気体を通過さ
せ、その際の圧力変化の速さを測定する。この場合、通
気性がいいほど圧力変化速度が大きくなる。 板状の炭素材の片側を真空ポンプで減圧していき、減
圧側の最終的な到達真空度を真空計で読みとる。この場
合、通気性がいいほど到達真空度が悪くなる。
【0028】本発明の方法により製造された通気性の高
い炭素材を、空気軸受けや連鋳用モールドに使用する
と、従来のメソフェーズ系炭素材で問題となっていた通
気性が悪いことに由来する上述した難点が改善され、ま
たメソフェーズ系炭素材の特徴である高強度や均一性
も、フェノール樹脂硬化物の配合により著しく低下する
ことがなく、実質的に保持される。
【0029】以下、実施例に基づき具体的に説明する。
なお、実施例中、%は特に指定しない限り重量%であ
る。
【0030】
【実施例】
(実施例1)コールタールを50torrの減圧下430 ℃で2時
間熱処理して得た揮発分11%のバルクメソフェーズを、
回転するハンマーで粉砕する方式の不二パウダル製ウル
トラミルにより回転数6000、9000、12000 rpm で粉砕し
て、表1に示す平均粒径が異なる3種のメソフェーズ粉
末を得た。ここで、平均粒径は、レーザー散乱方式のマ
イクロトラックを用いて測定した。
【0031】
【表1】
【0032】これらのいずれかのメソフェーズ粉末80%
と、市販の球状フェノール樹脂硬化物 (カネボウ製ベル
パールR-800 、メタノール可溶分量0%、揮発分42.1
%、平均粒径20μm) 20%とをよく混合した後、混合粉
末を内径100 mm×高さ100 mmのラバー袋につめ、CIP
成型に供した。CIP成型は、表2に記載した 0.3〜1.
5 ton/cm2 の範囲内の成型圧で行った。比較例として樹
脂硬化物を添加せず、メソフェーズ粉のみで同様にCI
P成形した成型体も作成した。
【0033】得られた各成型体を、黒鉛粉末 (クリプト
ル) を詰めた容器内で、窒素雰囲気中、昇温速度1℃/h
で1000℃まで昇温し、この温度に6時間保持して炭化し
た。その後、炭化した成形体を内径150 mmの黒鉛化炉に
移し、Ar雰囲気中、昇温速度10℃/hで2500℃まで昇温し
て黒鉛化して、炭素材を得た。
【0034】得られた炭素材について、曲げ強度、気孔
径、および通気性を次のようにして評価した。曲げ強度
は、10×10×60mmの試験片をスパン40mmで3点曲げして
測定した。気孔径は、水銀圧入式ポロシメーターを用い
て測定した気孔分布の中央値 (気孔体積の積算値が全気
孔体積の1/2となる気孔径) で表示した。
【0035】通気性は、厚み10mm×長さ20mm×幅20mmの
試験片を用い、図2に示すように、密閉容器内で20mm×
20mmの試験面の片側を、直径約6mmのゴム製Oリングを
介して真空ポンプで減圧し、5分後の真空系内の到達真
空度を真空計で測定した。本試験では、通気性の良好な
材料ほど到達真空度が低く、従って圧力測定値が大きく
なる。また、本試験条件下では、通気性の全くない材料
(例、金属板) での到達真空度は0.05 torr であった。
【0036】本実施例の結果を、表2と図3に示す。表
2より、本発明に従って、原料のメソフェーズ粉末にフ
ェノール樹脂硬化物の粉末を配合することにより、炭素
材の気孔径が著しく大きくなり、通気性が大きく改善さ
れるが、曲げ強度の低下はごく小さいことがわかる。ま
た、図3より、本発明により製造された炭素材は、フェ
ノール樹脂硬化物の粉末を添加しない場合と比べ、同じ
材料強度で大きな通気性が得られることがわかる。
【0037】
【表2】
【0038】(実施例2)実施例1で使用したメソフェー
ズ粉末A (平均粒径43μm) 80%と球状フェノール樹脂
(未硬化物、硬化物、初期炭化物、または炭化物) 20%
とをよく混合し、得られた混合物を用いて実施例1と同
じ方法で炭素材を製造し、得られた炭素材の性状を肉眼
で評価すると共に、曲げ強度、気孔径、通気性を実施例
1と同様に測定した。試験結果を、使用したフェノール
樹脂種、CIP成型圧力と共に表4に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】表4に示したように、未硬化の球状フェノ
ール樹脂Dを用いた試験No.1では、炭化中の多量のガス
発生のために、成型体に割れが発生した。一方、揮発分
30%未満となるまで炭化させた球状フェノール樹脂Hを
用いた試験No.5では、曲げ強度が大きく低下し、気孔径
の増大もわずかであった。従って、メソフェーズ炭素材
の曲げ強度を保持したまま気孔径を大きくするには、フ
ェノール樹脂を硬化物または初期炭化物の状態で配合す
る必要があることがわかる。
【0042】(実施例3)実施例1で使用したメソフェー
ズ粉末A (平均粒径43μm) と球状フェノール樹脂硬化
物 (カネボウ製ベルパール R-800) とを、配合比をかえ
て均一に混合し、得られた混合物を成型圧力1ton/cm2
でCIP成型し、成型体を焼成して炭素材を作成し、試
験した。成型、焼成および試験はいずれも実施例1と同
様に行った。結果を球状フェノール樹脂硬化物の配合割
合と共に表5に示した。
【0043】
【表5】
【0044】表5から、フェノール樹脂硬化物粉末の配
合率が5%未満では気孔径や通気性が著しく改善され
ず、また40%を超えると強度低下が著しくなることがわ
かる。曲げ強度と通気性のバランスをとるには、10〜30
%の範囲でフェノール樹脂硬化物粉末を配合することが
好ましい。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、メソフェーズ粉末を原
料としてCIP成型、炭化および黒鉛化を経て製造され
る従来の高強度のメソフェーズ系炭素材に比べて、その
固有の優れた高強度をなお保持しながら、気孔径が大き
く、通気性が著しく改善された炭素材を製造することが
できる。本発明の方法で製造された、通気性の高い炭素
材は、例えば空気軸受け、連鋳用モールド、真空加熱装
置のヒータ、断熱材等に有用であり、それにより空気軸
受けの摩耗、或いは連鋳用モールドで製造される金属製
品の表面肌荒れ、といった従来技術における問題点を低
減または解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で製造された炭素材のミクロ組織
模式図である。
【図2】通気性試験法を示す説明図である。
【図3】曲げ強度と通気性試験到達真空度の関係を示す
グラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己焼結性の炭素質メソフェーズ粉末
    に、メタノール可溶分量が40%以下で、揮発分が30%以
    上の、平均粒径10〜30μmのフェノール樹脂硬化物また
    は初期炭化物の粉末5〜40重量%を混合し、この混合物
    を冷間静水圧プレス法により成型した後、成型体を焼成
    して炭化および黒鉛化することからなる、炭素材の製造
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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