JP2016204065A - 重送検知装置、及び、これを有する搬送装置、画像形成装置 - Google Patents

重送検知装置、及び、これを有する搬送装置、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】超音波到達時間に変化、ばらつきが生じた場合であっても精度の高い重送検知を行うことができる重送検知装置を提供する。
【解決手段】重送検知装置は、原稿102の方向へ超音波を発信する超音波発信センサT1、発信された超音波を受信して受信信号を出力する超音波受信センサT2、AD変換回路、CPUを有する。AD変換回路は、超音波受信センサが出力する受信信号の振幅を取得する。CPUは、超音波発信センサと超音波受信センサとに挟まれた搬送路上に原稿が存在しない状態で超音波が発信されてから、AD変換回路が受信信号を受信するまでの時間に基づいて、超音波発信センサと超音波受信センサとに挟まれた搬送路上に原稿が存在する場合にAD変換回路が振幅を取得する際の振幅取得タイミングを制御する。また、CPUは、AD変換回路の取得結果が閾値を超えるか否かに応じて原稿が重送状態であるか否かを判別する。
【選択図】図3

Description

本発明は、原稿、用紙などを搬送する際の原稿の重なりを検知する技術に関する。
例えば、プリンタ、複合機などの画像形成装置は、原稿、記録媒体(例えば、用紙)などのシートを一枚ずつ分離、搬送する機能を担う装置(搬送装置)を有する。このような搬送装置には、搬送中用紙の重なりを検知する機能を有するものがある。この重なり検知は、例えば超音波を発信する超音波発信部と超音波を受信する超音波受信部とを用紙の搬送経路を挟むように設けて実現される。具体的には、搬送される用紙が1枚送り(以下、「単送」と称す)である場合と、搬送される用紙が複数枚重なっている場合(以下、「重送」と称す)との超音波の減衰量の違いに基づいてこれらを識別する。つまり、受信信号の振幅レベルに基づき減衰量を検知して、これに基づき用紙の重送の有無を検知(重送検知)する。
しかし、このような重送検知は「超音波センサ単品での感度バラつき」、「検知時の超音波センサの周囲温度」、「検知時の超音波受信センサ(以下、受信センサと称す)と超音波発信センサ(以下、発信センサと称す)のメカ的相対位置」等の要因の影響を受ける。つまり、これらの要因により超音波発信部から超音波受信部への感度特性(伝達特性)が変動してしまうことがある。この場合、同じ用紙を検知したときであってもこれらの要因によって受信信号の振幅レベルが変動してしまい、その結果、重送検知が適切に実施できない、という問題がある。
このような問題に対処するため、例えば搬送路に用紙が搬送される直前、つまり超音波発信部と超音波受信部との間に用紙が無い状態で超音波を発信する。この時に受信センサで検知した受信信号の振幅レベルに応じて、増幅回路の受信レベルの調整、発信センサの発信特性の調整などを行う。このように、超音波の伝達特性が変動する要因の有無に拘らず、搬送用紙の重送の有無を正しく検知をするための手法が提案されている(例えば 特許文献1、特許文献2)。
特開2012−188177号公報 特開2004−231404号公報
従来技術では「センサ感度バラつき」、「超音波センサの周囲温度」、「検知時の受信センサと発信センサのメカ的相対位置」の各要因によって変化する伝達特性に対処することは可能である。しかしながら、これらの要因により生じる、超音波発信センサが超音波を発信してから超音波受信センサがこの超音波を受信するまでに費やす時間(以下、超音波到達時間と称す)の変動には対処することはできない。そのため、超音波到達時間に変動が生じた場合、その影響により正しく受信信号の振幅レベルを取得することができなくなる、という問題が残る。
また、音速は温度の影響を受けて331.5 + 0.61t(tは摂氏温度)[m/sec]で変化する。実使用上での原稿搬送装置内での超音波センサ近傍の雰囲気温度を「10[℃]〜60[℃]」とする。この場合、超音波センサ近傍の雰囲気温度が10[℃]の場合、音速は337.6[m/s]、超音波センサ近傍の雰囲気温度が60[℃]の場合、音速は368.1[m/s]となり、10[℃]と60[℃]とでは1割程度音速が異なる。そのため、超音波到達時間も温度により1割程度変動することになる。
また、超音波センサ自身の発熱は微小であるが、超音波センサを画像読取装置、画像形成装置などの内部に配置する場合、その近傍に配置されるユニット(画像読み取り用の照明ユニット、定着ユニットなど)が発する熱の影響を受ける。そのため、超音波到達時間が変動してしまうことがある。そのほかにも、例えば定着ユニットを通過して搬送される用紙の熱による「あおり熱」を受けて、超音波センサ近傍の雰囲気温度が大きく変動することがあり、その結果、超音波到達時間が変動してしまうことがある。
さらに、超音波到達時間は、超音波発信センサと超音波受信センサのメカ相対位置が変動することによっても影響される。例えば、超音波到達時間は、超音波発信センサの発信面から超音波受信センサの受信面までの距離と比例関係となるため、その距離が2倍になれば超音波到達時間も2倍となる。
例えば、センサ間の距離は外来ノイズ、発信センサの発信強度、発信センサと受信センサと搬送用紙による反射波などが検知に与える影響を鑑みると10〜30[mm]程度が望ましい。これに対しメカの取り付け精度は、装置の条件にも大きく関係するが特別な構成を用いずに配置をすると1〜2[mm]程度の公差を持つのが通常である。このように、上記の想定においては、装置によって超音波発信センサと超音波受信センサのメカ相対位置が最大で2割程度のバラつきが生じ得ることになる。つまり、超音波到達時間はメカ相対位置の影響を受けて2割程度変動し得る、ということになる。
このように、「超音波センサの周囲温度」、「検知時の受信センサと発信センサのメカ的相対位置」などの要因により超音波到達時間は大きく変動する場合がある。そのため、超音波到達時間に変化が生じた場合、受信信号の振幅レベル検知の最適なタイミングも大きく変動してしまう。その結果、重送検知の精度が低下してしまう、という課題が残る。なお、最適なタイミングとは、例えば受信信号の最初の最大振幅が現れる位置(ピーク位置)が測定されるようなタイミングである。
本発明は、超音波到達時間に変化、ばらつきが生じた場合であっても精度の高い重送検知を行うことができる重送検知装置を提供することを、主たる課題とする。また、原稿搬送装置、画像形成装置を提供する。
本発明の重送検知装置は、シートの搬送路を挟んだ一方に設置され、前記シートへ超音波を発信する超音波発信手段と、前記搬送路を挟んだ他方に設置され、前記超音波発信手段の発信する前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波受信手段と、前記超音波受信手段が出力する受信信号を受信してその振幅を取得する取得手段と、前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在しない状態で当該超音波発信手段により超音波が発信されてから、前記取得手段が前記受信信号を受信するまでの時間に基づいて、前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在する場合に前記取得手段が振幅を取得する際の振幅取得タイミングを決定する決定手段と、前記取得手段の取得結果が所定の値を超えるか否かに応じて複数のシートが重なって搬送される重送状態が生じているか否かを判別する判別手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、超音波到達時間に変化、ばらつきが生じた場合であっても精度の高い重送検知を行うことができる。
本実施形態に係る自動原稿搬送装置の構成の一例を説明するための図。 自動原稿搬送装置の機能構成の一例を説明するための図。 超音波発信センサ、超音波受信センサの周辺構成の部分拡大図。 (a)、(b)は、搬送原稿の単送、あるいは重送を判別する方法の一例を説明するための図。 増幅回路、AD変換回路を含む周辺構成の説明図。 AD変換回路の機能の一例を説明するための図。 (a)、(b)は、超音波の特性を踏まえた重送検知の方法を説明するための図。 (a)、(b)は、超音波到達時間の変化の一例を説明するための図。 自動原稿搬送装置が行う処理手順の一例を示すフローチャート。 受信信号の振幅値の算出例について説明するための図。 図10に示すサンプリング結果の平均化を説明するための表。 AD変換開始タイミングを一定時間遅らせつつ行う受信信号のサンプリングを説明するための図。 受信信号の振幅とサンプリングのタイミング位置との関係を説明するための図。 第2実施形態における受信信号に対する反射波の影響について説明するための図。 受信信号の振幅とサンプリングのタイミング位置との関係を説明するための図。 より安価なAD変換回路を用いる場合の構成例を説明するための図。 図16に示す自動原稿搬送装置における受信信号に対する反射波の影響について説明するための図。
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、本発明に係る重送検知装置を画像読取装置のADF(Auto Document Feeder、自動原稿搬送装置)に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、本発明に係る重送検知装置は、画像が印刷されるシート(例えば、用紙)を搬送する搬送機構を有する画像形成装置に配備された重送検知装置として構成することもできる。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る自動原稿搬送装置の構成の一例を説明するための図である。
自動原稿搬送装置100は、原稿トレイ101、給紙ローラ103、分離搬送ローラ104、分離搬送従動ローラ105、レジストローラ106、レジスト従動ローラ107、リードローラ108、リード従動ローラ109を含んで構成される。
また、自動原稿搬送装置100は、プラテンガイド110、リード排出ローラ111、リード排出従動ローラ112、排紙ローラ113、排紙トレイ114、トレイ原稿有無センサS1、分離センサS2、超音波発信センサT1、超音波受信センサT2を有する。なお、読み取り対象となる原稿102は、ユーザーにより原稿トレイ101に積載される。また、原稿102は、自動原稿搬送装置100により順次、画像読取装置115に向けて搬送される。
画像読取装置115は、流し読みガラス116、原稿台ガラス118、読み取り原稿面に対して光を照射するランプ119、ミラー120、121、122、第1ミラー台123、第2ミラー台124、レンズ125を含んで構成される。また、画像読取装置115は、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ126、基準白板127を有する。
原稿トレイ101上には、原稿102の有無を検知するトレイ原稿有無センサS1が配置される。これにより、原稿102が給紙可能な位置に積載されているか否かを検知する。給紙ローラ103は、分離搬送ローラ104と同一駆動源(不図示)に接続されており、これらが回転して原稿102を給紙する。
なお、給紙ローラ103は、通常、ホームポジションである上方の位置に退避しており、原稿のセット作業を阻害しないような構成になっている。給紙ローラ103は、図示しないアームに軸支される。給紙動作が開始されると、アームが揺動することにより給紙ローラ103は下降して原稿102の上面に当接する。
分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104の対向側に配置されており、分離搬送ローラ104側に押圧される。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104より僅かに摩擦が少ないゴム材等から形成されており、分離搬送ローラ104と協働して、給紙ローラ103によって給紙される原稿102を1枚ずつ捌いて(分離して)搬送路117へ給紙する。分離センサS2は、分離搬送ローラ104の下流に設けられ、原稿102が分離部となる分離搬送従動ローラ105及び分離搬送ローラ104を通過したか否かを検知するセンサである。
超音波発信センサT1は、原稿102の搬送路117を挟んだ一方に設置され、当該原稿102の方向へ超音波を発信する。超音波受信センサT2は、原稿102の搬送路117を挟んだ他方に設置され、超音波発信センサT1の発信する超音波を受信して受信信号を出力する。つまり、超音波発信センサT1、超音波受信センサT2は、この2つのセンサに挟まれた搬送路117上を通過する原稿102に対して超音波発信センサT1が超音波を発信し、超音波発信センサT1より発信された超音波を超音波受信センサT2が受信をする。このように、超音波発信センサT1は、超音波発信手段として機能し、超音波受信センサT2は、超音波受信手段として機能する。
レジストローラ106およびレジスト従動ローラ107は、給紙された原稿102の先端を揃える。具体的には、例えば静止した状態のレジストローラ106、レジスト従動ローラ107のニップ部に向けて原稿102の先端を突き当てて当該原稿102にループを生じさせて先端を揃える。
リードローラ108およびリード従動ローラ109は、原稿102を画像読取装置115の流し読みガラス116に向けて搬送する。流し読みガラス116の対向側には、プラテンガイド110が配置されている。
CCDラインセンサ126は、流し読みガラス116上を通過する原稿102の表面の画像情報を読み取る。CCDラインセンサ126による読み取りが終了すると、リード排出ローラ111およびリード排出従動ローラ112により原稿102は排紙ローラ113側に向けて搬送される。排紙ローラ113は、原稿を排紙トレイ114に排出する。
画像読取装置115では、ミラー120、121、122を介して、原稿102からの反射光がレンズ125およびCCDラインセンサ126に導かれる。ランプ119およびミラー120は、第1ミラー台123に取り付けられる。また、ミラー121、122は、第2ミラー台124に取り付けられる。
第1ミラー台123、第2ミラー台124は、ワイヤ(不図示)を介して駆動モータ(不図示)と連結され、駆動モータの回転駆動により原稿台ガラス118と平行に移動可能に構成される。また、原稿台ガラス118の端部には、読み取り輝度の基準となる基準白板127が取り付けられる。原稿102からの反射光は、ミラー120、121、122を介してレンズ125に導かれ、レンズ125によってCCDラインセンサ126の受光部に結像される。CCDラインセンサ126は、結像した反射光を受光素子で光電変換し、入射光量に応じた電気信号を出力する。
図2は、自動原稿搬送装置100の機能構成の一例を説明するための図である。
CPU(Central Processing Unit)201は、自動原稿搬送装置100が有する各機器の制御を行う。例えば、CPU201は、トレイ原稿有無センサS1、分離センサS2のセンサ出力の検出、超音波発信センサT1、超音波受信センサT2等の制御、AD変換回路205が行うAD変換のタイミング制御等を行う。原稿搬送モータ202は、自動原稿搬送装置100が有する各搬送ローラを駆動する。原稿搬送モータ202の起動開始、又は、その停止、単位時間当たりの回転数などは、CPU201により制御される。
CPU201は、また、超音波発信センサT1及び超音波受信センサT2の共振周波数に近い周波数(例えば、300[KHz])のパルス信号を超音波駆動回路203へ送信する。超音波駆動回路203は、CPU201より受信したパルス信号を超音波発信センサT1の駆動に必要な電圧を表すパルス信号(駆動信号)に変換する。
超音波発信センサT1は、超音波駆動回路203からパルス信号(駆動信号)を受信し、受信したパルス信号に基づき超音波受信センサT2に向けて超音波を発信する。
超音波受信センサT2は、超音波発信センサT1が発信した超音波を受信し、受信した超音波の信号を電気信号に変換して増幅回路204に出力する。増幅回路204は、超音波受信センサT2より受信した受信信号を電圧増幅して出力する増幅手段として機能する。AD変換回路205は、CPU201から出力されるAD変換タイミング指示信号に応じて、増幅回路204により増幅された受信信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、変換結果をCPU201へ出力する。CPU201は、AD変換回路205の出力結果に基づき受信信号の振幅値を算出する。このように、AD変換回路205が取得した受信信号の振幅は、CPU201により受信信号の振幅値として算出される。AD変換回路205は、受信信号の振幅を取得する取得手段として機能する。
また、CPU201は、AD変換回路205による受信信号の取得結果に基づいて搬送原稿が重送状態(搬送された原稿が複数枚重なっている状態)であるか、あるいは単送状態(搬送された原稿が1枚送りの状態)であるかを判別する。このように、CPU201は、原稿102の重送、あるいは単送を判別する判別手段として機能する。なお、メモリ206は、CPU201を介して各種情報を記憶する。
図3は、超音波発信センサT1、超音波受信センサT2の周辺構成の部分拡大図である。
超音波発信センサT1から発せられた超音波が原稿102を透過して伝搬し、伝搬してきた超音波の強弱が超音波受信センサT2において電圧振幅に変換される。この変換結果は、増幅回路204により増幅された後にさらにAD変換回路205によりAD変換される。AD変換された結果は、CPU201に出力される。以下、搬送原稿が重送状態であるか、あるいは単送状態であるかを判別する方法について、図4を用いて詳細に説明する。
図4は、搬送原稿の単送、あるいは重送を判別する方法の一例を説明するための図である。なお、図4(a)は、搬送された原稿が複数枚重なっていない単送状態の場合を表し、図4(b)は、搬送された原稿が複数枚重なっている重送状態の場合を表している。
図4(a)、(b)に示す「超音波発信センサT1入力」は、超音波発信センサT1が超音波駆動回路203から受け取るパルス信号の波形を表している。また、「超音波受信センサT2出力」は、超音波受信センサT2が受信した超音波の信号を増幅回路204で電圧増幅された信号の波形を表している。
ここで、原稿102が搬送路117上で超音波発信センサT1、超音波受信センサT2の両センサ間に挟まれて存在する場合、超音波が原稿102を透過する際にこの超音波の振幅が大きく減衰する。さらにこの時、原稿102が重送状態である場合、この大きな減衰が複数回発生することになる(図4(b)参照)。そのため、重送状態の原稿102を透過した超音波の振幅は、原稿102が1枚(単送、図4(a)参照)のときと比べて大きく減衰することになる。振幅の減衰量が大きいほど受信信号の振幅も小さくなるため、この受信信号のレベルに基づき搬送原稿が重送状態であるか、又は、単送状態であるかを判別することができる。
また、原稿102の厚みや種別によっても超音波の減衰率は異なる場合がある。しかしながら、原稿102の厚みや種別を要因とする減衰率の変動に比べて、原稿枚数(1枚又は複数枚)を要因とする減衰率の差分の方が圧倒的に大きいものとなる。そのため、原稿102の厚みや種類に拘らず原稿が重送状態であるか否かを判別することは可能である。
図5は、増幅回路204、AD変換回路205を含む周辺構成の説明図である。
超音波受信センサT2が出力する受信信号が伝達される増幅回路204は、受信信号の微小な信号を大きく増幅するために多段的に設けられた複数の増幅回路を含んで構成される。なお、本実施形態に係る増幅回路204は、複数の増幅回路として反転増幅回路501、502を含んで構成される。また、AD変換回路205は、後述する「原稿が無い状態(原稿無し時)」の際に用いるAD変換器503、「原稿が有る状態(原稿有り時)」の際に用いるAD変換器504を有する。
図5に示すように、反転増幅回路501からの出力がAD変換器503へ伝達され、また、反転増幅回路502からの出力がAD変換器504へ伝達されることが見て取れる。このように構成することで、「超音波センサ感度バラつき」、「超音波センサの周囲温度」、「検知時の受信センサと発信センサのメカ的相対位置」などの要因で変動してしまう超音波の伝達特性、及び、到達時間分の変化に対処することができる。
また、両センサ間の搬送路上に原稿102が存在しない状態と、原稿102が存在する状態(単送状態もしくは重送状態)とでは、先に述べたように超音波の減衰率が大きく異なる。そのため、超音波受信センサT2より受信した受信信号を同じ増幅率で増幅してしまうといずれか一方の信号が飽和したり、もしくは「つぶれ」が生じてしまい正しく測定することができなくなる。受信信号の飽和は、振幅が大き過ぎて増幅回路204の出力電圧範囲を超える場合、もしくはAD変換回路の入力電圧範囲を超える場合に生じる。受信信号の「つぶれ」は、振幅が小さすぎて暗ノイズに埋もれた場合に生じる。以下、このような現象への対処について、図6を用いて説明する。
図6は、AD変換回路205の機能の一例を説明するための図である。
図6中の(a)に示す「超音波発信センサT1入力」は、超音波発信センサT1が超音波駆動回路203から受け取るパルス信号の波形を表している。
図6中の(b)は、「AD変換器504入力(原稿無し時)」において受信信号が飽和するという現象を表している。例えば、振幅の減衰量が少ない「原稿無し時」において増幅率が大きい回路を用いた場合に受信信号が飽和する、という現象が生じる。この場合、受信信号が飽和しているため、当該受信信号の振幅レベルを正しく検知することができない。
図6中の(c)は、「AD変換器503入力(原稿有り時)」において受信信号がつぶれてしまう、という現象を表している。例えば、振幅の減衰量が大きい「原稿有り時」において増幅率が小さい回路を用いた場合に受信信号がつぶれる、という現象が生じる。この場合、十分な増幅率で受信信号を増幅していないため、回路の暗ノイズに受信波が埋もれてしまい、その結果、受信信号の振幅レベルを検知することができない。
このような現象が生じ得ないように、減衰率の小さい、例えば原稿が無い状態での振幅レベルは増幅率が小さな信号(図6中の(d))、減衰率の大きい、原稿がある状態(単送又は重送)では増幅率の大きな信号(図6の(e))それぞれの振幅を検知する必要がある。なお、反転増幅回路によって極性が反転してしまうが、検知対象は受信波の振幅であるため問題は無い。
図7は、図6を用いて説明した超音波の特性を踏まえた、本実施形態に係る重送検知の方法を説明するための図である。以下、「原稿無し時」における超音波到達時間を検知することにより、この超音波到達時間の変動を要因とする重送検知の精度低下を抑制するための処理について説明をする。
なお、ここでは、超音波到達時間は、超音波発信センサT1に入力される駆動パルスの1波目の立ち上がりタイミングから、AD変換器503及びAD変換器504の入力の受信信号の最初の最大振幅が現れるタイミング(ピークタイミング)までの時間と定義する。
本実施形態に係る自動原稿搬送装置100では、搬送路に原稿102が搬送される直前、つまり超音波発信部である超音波発信センサT1と、超音波受信部である超音波受信センサT2に挟まれた搬送路上に原稿102が無い状態(原稿無し時)で超音波を発信する。この時の受信信号の振幅に応じて増幅回路の増幅率、発信センサの発信特性(駆動波数、駆動電圧)、「単送状態」、「重送状態」何れの状態であるかを判別するためのスレッショルドの値(閾値)を決定することでより正確な重送検知を行うことができる。
なお、本実施形態では、閾値を所定の値に決定し、これに基づき搬送原稿が重送状態であるか、あるいは単送状態であるかを判別する場合を例に挙げて説明を進める。
図7(a)に示すグラフに示すように、「原稿無し時」において受信信号の振幅が大きくなるほど、「原稿有り時(単送)」における受信信号の振幅も大きくなる、という関係が見て取れる。また、「原稿無し時」において受信信号の振幅が小さくなるほど、「原稿有り時(単送)」における受信信号の振幅も小さくなる、という関係になる。そのため、図7(b)に示すように、超音波の伝達特性に変化が生じた場合であっても、「原稿有り時(単送)」の受信信号の振幅と「原稿無し時」の受信信号の振幅との比率はほぼ一定になる。つまり、「原稿無し時」の振幅値を算出することにより、「原稿有り(単送)時」の受信信号の振幅値も高い精度で算出することができる。また、「原稿有り(単送)時」の受信信号の振幅値に基づき、搬送原稿が重送状態であるか、あるいは単送状態であるかの判別の基準となる閾値も決定することができる。つまり、閾値を「単送」時の振幅値よりも低い値となるように設定すれば良い。具体的には、ある程度のマージン(例えば、0.7倍程度)を加味した値を閾値として設定する。閾値の決定の詳細については後述する。
しかしながら、受信信号の振幅のピーク位置(振幅レベルのピーク位置)の発生タイミングは「検知時の超音波センサの周囲温度」「検知時の受信センサと発信センサのメカ的相対位置」等の要因により変動する。更に、同じタイプの製品であっても製品ごとにばらつきがある。そのため、振幅を取得するタイミング(振幅取得タイミング)を適切に決定することが必要になる。以下、この点について詳細に説明する。
図8は、超音波到達時間の変化の一例を説明するための図である。
図8(a)は、想定される条件の中で、超音波到達時間が相対的に短い状態における受信信号の波形を示す図である。例えば超音波センサの周囲温度が常温(25℃)に比べて高い状態、受信センサと発信センサの距離が設計上の呼称値に比べて短い(近い)状態における受信信号の波形を示す図である。図8(a)では、「原稿無し時」の受信信号の波形(AD変換器503入力)と「原稿有り時(単送)」の受信信号の波形(AD変換器504入力)とを対比可能に示している。
また、図8(b)は、想定される条件の中で、超音波到達時間が相対的に長い状態における受信信号の波形を示す図である。例えば超音波センサの周囲温度が常温に比べて低い状態、受信センサと発信センサの距離が設計上の呼称値に比べて長い(遠い)状態における受信信号の波形を示す図である。図8(b)においても、「原稿無し時」の受信信号の波形(AD変換器503入力)と「原稿有り時(単送)」の受信信号の波形(AD変換器504入力)とを対比可能に示している。
図8(a)、(b)から見て取れるように、超音波到達時間に差が生じた場合、それぞれの受信信号における振幅のピーク位置((A)、(B))には「ズレ」が生じている。そのため、超音波到達時間が異なる場合、それぞれの超音波到達時間に応じて受信信号に対する振幅取得タイミング、つまりAD変換開始タイミングを制御する必要がある。なお、自動原稿搬送装置100おける超音波到達時間が相対的に短い状態におけるピーク位置(A)、相対的に長い状態におけるピーク位置(B)は、事前の検討、計算により予め決定される。
図9は、自動原稿搬送装置100が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図9に示す各処理は、主としてCPU201が実行する。
CPU201は、原稿102の搬送開始(読み取り開始)の指示の受け付けを契機に、超音波駆動回路203に対して超音波を発信するためのパルス信号(駆動信号)を出力する。そして、超音波発信センサT1は、超音波駆動回路203からの駆動信号を受信し、受信した駆動信号に基づき超音波受信センサT2に向けて超音波を発信する。このようにして、CPU201は、「原稿無し時」の受信信号の振幅レベル検知を開始する(S901)。
そして、超音波受信センサT2は、超音波発信センサT1から発信された超音波を受信し、受信した超音波の信号を電気信号に変換する。この変換結果は、増幅回路204に出力される。増幅回路204は、超音波受信センサT2から受信した受信信号を反転増幅回路501により電圧増幅して、その結果をAD変換回路205へ出力する。
CPU201は、AD変換開始信号をAD変換回路205へ出力する。AD変換回路205は、AD変換器503によりAD変換を行い、変換結果をCPU201へ出力する。CPU201は、AD変換回路205の出力結果に基づき受信信号の振幅値を算出し、その結果をメモリ206に記憶する(S902)。
なお、この時のAD変換開始タイミングは、使用する装置において最も超音波到達時間が短くなる条件下における受信信号の振幅ピーク位置が発生するタイミングであり、あらかじめ実験等で決定しておくものである。以下、図10を用いて受信信号の振幅値の算出例について説明する。
図10は、受信信号の振幅値の算出例について説明するための図である。
AD変換回路205は、CPU201からAD変換開始信号を受信したことを契機に、増幅回路204を介して増幅された受信信号に対して離散的にサンプリングを行う。離散的にサンプリングを行う範囲は、受信信号の波形における任意の1周期分の期間である。例えば、本実施形態では、300[KHz]で超音波を駆動する場合、1周期は3.3[μs]になる。
サンプリング間隔は、超音波の駆動周期に対して十分に小さい必要がある。例えば、1周期が3.3[μs]である場合、この周期に対して10回のサンプリングを行う。そのため、0.33[μs]の間隔でAD変換を行う。このように超音波の駆動周期に対して十分に小さい間隔でサンプリングを行い、その中の最小値と最大値との差分をとることで受信信号における任意の1波分の振幅値を算出する。
ただし、前述した通り、超音波受信センサT2の出力は微小であり、且つ、増幅回路204において大きな増幅を行っているため、外来ノイズによる影響も大きい。そのため、超音波受信センサT2の駆動を複数回(例えば、N=8回)行い、その平均値を用いて振幅値を算出するように構成することが望ましい。また、各サンプリング毎のサンプルポイント(図10中の拡大部、サンプルポイントA〜J)を設定する。このような条件のもとでサンプリングした複数の結果を平均化して、振幅値を算出する。以下、この点について、図11を用いて説明する。
図11は、図10に示すサンプリング結果の平均化を説明するための表である。図11に示す表は、サンプルポイント(A〜J)とAD変換値との対応関係を示している。
図11に示すように、サンプルポイント毎に行った複数回のサンプリング結果の平均値を算出する(例えば サンプルポイントAではA[1]〜A[8]の値の平均値)。そして、サンプルポイント毎に平均化した10点(サンプルポイントA〜J)の内の最大値と最小値の差分を「受信波振幅レベル」とする。例えば、図11に示す各値に基づく受信波振幅レベルは、下記の式(1)で表わすことができる。
受信波振幅レベル=MAX(A[ave],
B[ave], C[ave], D[ave], E[ave], F[ave], G[ave], H[ave], I[ave], J[ave])−MIN(A[ave], B[ave], C[ave], D[ave], E[ave],
F[ave], G[ave], H[ave], I[ave], J[ave])・・・式(1)
なお、超音波受信センサT2の駆動を複数回行った場合であっても、時間方向へのばらつきはほとんど無い。そのため、サンプリング結果の平均化によって外来ノイズ(振幅方向でのバラつき)の除去が正しく行われる。
図9の説明に戻り、CPU201は、受信信号に対するサンプリングが終了したか否か判別する(S903)。これは、受信信号のサンプリングタイミングが予め定められた「最大到達時間」になったか否かで判別をする。
予め定められた「最大到達時間」とは、使用する装置において最も超音波到達時間が長くなる条件下における受信信号の振幅ピーク位置が発生するタイミングであり、あらかじめ実験等で決定しておくものである。
CPU201は、サンプリングが終了したと判別した場合(S903:Yes)、ステップS905の処理へ進む。また、そうでない場合(S903:No)、AD変換開始タイミングを一定時間遅らせ(S904)、ステップS901の処理へ戻る。
以下、受信信号に対するサンプリングについて詳細に説明する。
図12は、AD変換開始タイミングを一定時間遅らせた受信信号のサンプリングを説明するための図である。
本実施形態に係る自動原稿搬送装置100では、図12に示すサンプルタイミング1〜4のように、1回につきAD変換開始タイミングを超音波の1周期分(3.3[μs])遅らせながら受信信号の振幅(ピーク値(1)〜(4))を繰り返し取得する。
つまり、超音波到達時間が最も短い状態における受信信号のピーク位置が発生するタイミング(図8のピーク位置(A))から、最も長い状態における受信信号のピーク位置が発生するタイミング(図8のピーク位置(B))までの間繰り返される。このようにして、受信信号のサンプリングが行われる。
図9の説明に戻り、CPU201は、サンプリング結果に基づき受信信号のピーク位置を決定し(S905)、その結果に基づき「原稿有り時」のAD変換開始タイミングを決定する(S906)。CPU201は、また、このピーク位置における振幅値を「原稿無し時」のピーク時振幅値としてメモリ206に記憶する。
なお、ピーク位置は、複数回行ったサンプリングのうち受信信号から最大の振幅を取得したタイミングとする。この点を図13を用いて説明する。
図13は、受信信号の振幅とサンプリングのタイミング位置との関係を説明するための図である。
図13に示すように、サンプルタイミング位置の3回目の受信信号のピーク値が最も大きいので、3回目の受信信号がピーク位置(受信波ピーク位置)となり、これに対応する振幅値が「原稿無し時」のピーク時振幅値となる。即ち、原稿有り時のサンプルタイミングとなる。また、本実施形態の説明では、AD変換開始タイミングを一定値ずつ遅らせながら複数回振幅を取得する場合について説明した。この他、CPU201のRAM容量やメモリ容量に余裕がある場合、一時に複数位置において振幅を取得するように構成してもよい。
CPU201は、JOB開始の指示を受け付けたか否かを判別する(S907)。
JOB開始が指示された場合(S907:Yes)、CPU201は、原稿搬送モータ202の駆動開始を指示し、原稿102の給紙、搬送を開始する。
CPU201は、分離センサS2を介して、原稿102が分離部を通過したことを検知した後(S908)、超音波発信センサT1、超音波受信センサT2に挟まれた搬送路上に原稿102の先端が侵入するまでの所定時間を待機する(S909)。
CPU201は、所定時間が経過した後、超音波駆動回路203に対し超音波を発信するための駆動信号を出力する。その後、超音波発信センサT1、超音波受信センサT2に挟まれた搬送路上に原稿102が存在する状態で超音波発信センサT1は超音波を超音波受信センサT2に向けて発信する。超音波受信センサT2は、超音波発信センサT1から発信された超音波を受信し、受信した超音波の信号を電気信号に変換する。この変換結果は、増幅回路204に出力される。
増幅回路204は、超音波受信センサT2から受信した受信信号を反転増幅回路502により電圧増幅して、その結果をAD変換回路205へ出力する。
CPU201は、ステップS906の処理において決定した「原稿有り時」のAD変換開始タイミングに基づき、AD変換開始信号をAD変換回路205へ出力する。AD変換回路205は、AD変換器504によりAD変換を行い、変換結果をCPU201へ出力する。CPU201は、AD変換回路205の出力に基づき受信信号の振幅値を算出する。このようにして、CPU201は、「原稿有り時」の検知を実施する(S910)。なお、この場合の振幅値の算出方法は、「原稿無し時」の場合と同様の算出方法である。
CPU201は、原稿102が重送状態であるか、あるいは単送状態であるかを判別する(S911)。具体的には、CPU201は「原稿有り時」の振幅値が、メモリ206に記憶された「原稿無し時」のピーク時振幅値に基づき決定した閾値を超える場合には単送状態と判別する。また、下回る場合には重送状態であると判別する。
ここで、超音波発信センサT1から超音波受信センサT2への伝達特性が変動した場合であっても、「原稿有り時(単送)」の受信信号の振幅値と「原稿無し時」の受信信号の振幅値との比率はほぼ一定になることは、既に述べた通りである。
また、「重送」、「単送」を判別するための閾値は、「原稿無し時」のピーク時振幅値に任意の係数をかけたものである。
具体的には、例えば対象となる装置において想定される搬送原稿の内、単送状態で最も超音波の減衰率の高いもの(受信信号の振幅が小さいもの)を予め実験的に探索する。そして、その時の「原稿無し時」の受信信号の振幅と「原稿有り時(単送)」の受信信号の振幅との比率をもとめる。この予め実験的に決定した比率にマージン(例えば、0.7倍程度)をかけたものを、搬送原稿の「重送」、「単送」を判別するための閾値とする。
なお、この閾値は、装置において想定される搬送原稿の内、単送状態で最も超音波の減衰率の高いものにマージンをかけたものである。そのため、装置においていかなる原稿であっても単送状態で搬送されていれば受信信号の振幅レベルがこれを下回ることは無い。
また、単送状態で最も超音波の減衰率の高いものに対して、マージンとして0.7倍程度をかけたものを閾値として設定するとする。この場合、重送状態で最も超音波の減衰率の低い(受信信号の振幅が大きいもの)原稿においても受信信号の振幅レベルがこれを上回ることは無い。これは、前述したとおり、原稿の厚みや種類によっても超音波の減衰率の変動よりも「重送」、「単送」の各状態による超音波の減衰率の変動が大きいためである。
図9の説明に戻り、CPU201は、重送状態であると判別した場合(S911:Yes)、原稿搬送モータ202の駆動を停止する(S912)。
このように、本実施形態に係る自動原稿搬送装置では、発信側の超音波センサと受信側の超音波センサとに挟まれた搬送路上に原稿が無い状態で超音波を発信させ、その時に受信センサで検知した受信波の到達タイミングを検知する。そして、この結果に応じて搬送原稿に対して超音波を発信した際の受信信号の振幅取得タイミングを決定する。
これにより、「超音波センサの周囲温度」、「検知時の受信センサと発信センサのメカ的相対位置」などの要因による超音波到達時間の変化によって生じる重送検知の精度低下を抑制することができる。なお、「原稿無し時」の検知結果に基づく振幅取得タイミングの調整は、原稿102の通紙直前に行うことが望ましい。
[第2実施形態]
第1実施形態では、受信信号の最大振幅が現れる位置をピーク位置とする場合について説明した。例えば、装置において超音波到達時間の最小値と最大値との差が大きい場合、サンプリング結果に反射波の影響が及ぶ可能性がある。反射波の影響を受けたときに発生する受信信号のピーク位置は、「原稿無し時」と「原稿有り時」との相関関係がない。この点を踏まえ、本実施形態では受信信号の最初の最大振幅が現れる位置(ピーク位置)をより正確に特定することができる自動原稿搬送装置について説明する。なお、第1実施形態において説明した機能・構成と同じものは、同一の符号を付すとともにその説明を省略する。
図14は、本実施形態における受信信号に対する反射波の影響について説明するための図である。
図14中の反射波の影響を受ける領域の受信信号は、超音波発信センサT1から直接超音波受信センサT2に到達する超音波(1次波と称す)と、超音波センサ周辺の部材に反射して超音波受信センサT2に到達する超音波とが重畳して現れる。超音波センサ周辺の部材は、例えば搬送路を形成する板金、モールドなどである。このような場合、受信信号の波形が安定せず繰り返し再現性が低いため、この領域の受信信号を用いた場合、重送検知の精度が低下してしまうことになる。
そのため、重送検知では反射波の影響を受けない波形、つまり図14中の反射波の影響を受けない領域」における受信信号を用いて行うことが必要となる。このような場合、「原稿無し時」のピーク位置の決定について図15を用いて説明する。
図15は、受信信号の振幅とサンプリングのタイミング位置との関係を説明するための図である。
「原稿無し時」のピーク位置の決定は、まず、AD変換開始タイミングが早い順に直近のサンプリング結果の振幅値と、次のサンプリング結果の振幅値とを比較する。そして、以下に示す条件1、条件2を初めて満足させるタイミング位置が「原稿無し時」のピーク位置(受信波ピーク位置)となり、これに対応する振幅値が「原稿無し時」のピーク時振幅値となる。
条件1:サンプリング結果の振幅値が所定以上の振幅値であること(例えば、図15中に示す振幅Aの値を上回ることなど)。
条件2:直近のサンプリング結果の振幅値よりも次のサンプリング結果の振幅値が小さいこと(例えば、図15中に示す3回目のサンプリング結果の振幅値>4回目のサンプリング結果の振幅値)。
なお、条件1は、受信信号の波形がまだ小さい領域の暗ノイズ部をピーク位置と誤判断をしないための条件である。
このように、本実施形態に係る自動原稿搬送装置では、受信信号の最初の最大振幅が現れる位置(ピーク位置)をより正確に特定することができる。
また、上述では高速なAD変換回路を用いた構成での説明を行った。これに限らず、より安価なAD変換回路、例えば超音波センサの駆動1回に対し1度しかAD変換ができないような構成である場合であっても適用することができる。
以下、より安価なAD変換回路を用いた場合の構成例について説明する。
図16は、より安価なAD変換回路を用いる場合の構成例を説明するための図である。図16に示すように、より安価なAD変換回路1602を用いる場合、増幅回路204の後に電圧レベルのピークホールド回路1601を配備する。
この場合、ピークホールド回路1601の出力値を受信信号の振幅値と同じ値にする。これにより、高速なAD変換を行うことなく搬送原稿に対する重送検知が可能となる。
図17は、受信信号に対する反射波の影響について説明するための図である。
より安価なAD変換回路1602を用いる場合であっても、図14を用いて説明した制御と同様の制御を行うことにより、超音波到達時間の変化によって生じる重送検知の精度低下を抑制することができる。
上記説明した実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。
100・・・自動原稿給送装置、101・・・原稿トレイ、102・・・原稿、103・・・給紙ローラ、104・・・分離搬送ローラ、105・・・分離搬送従動ローラ、201・・・CPU、202・・・原稿搬送モータ、203・・・超音波駆動回路、204・・・増幅回路、205、1602・・・AD変換回路、206・・・メモリ、501、502・・・反転増幅回路、503、504・・・AD変換器、1601・・・ピークホールド回路、T1・・・超音波発信センサ、T2・・・超音波受信センサ、S1・・・トレイ原稿有無センサ、S2・・・分離センサ。

Claims (9)

  1. シートの搬送路を挟んだ一方に設置され、前記シートへ超音波を発信する超音波発信手段と、
    前記搬送路を挟んだ他方に設置され、前記超音波発信手段の発信する前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波受信手段と、
    前記超音波受信手段が出力する受信信号を受信してその振幅を取得する取得手段と、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在しない状態で当該超音波発信手段により超音波が発信されてから、前記取得手段が前記受信信号を受信するまでの時間に基づいて、前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在する場合に前記取得手段が振幅を取得する際の振幅取得タイミングを決定する決定手段と、
    前記取得手段の取得結果が所定の値を超えるか否かに応じて複数のシートが重なって搬送される重送状態が生じているか否かを判別する判別手段と、を有することを特徴とする、
    重送検知装置。
  2. 前記決定手段は、前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在しないときに、前記取得手段が受信信号から最大の振幅を取得したタイミングを前記振幅取得タイミングとして決定することを特徴とする、
    請求項1に記載の重送検知装置。
  3. 前記判別手段は、前記取得手段の取得結果が所定の値を超える場合に前記シートが単送状態であると判別し、当該所定の値を下回る場合に当該シートが重送状態であると判別することを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の重送検知装置。
  4. 前記決定手段は、前記取得手段が直近に取得した振幅と次に取得した振幅とを比較し、比較の結果、当該直近の振幅よりも当該次の振幅が小さい場合であり、且つ、これらの中で最も早く振幅が取得されたタイミングを前記振幅取得タイミングとして決定することを特徴とする、
    請求項1、2又は3に記載の重送検知装置。
  5. 前記超音波受信手段が出力する受信信号を増幅する増幅手段を有し、
    前記取得手段は、前記増幅手段により増幅された受信信号の振幅を取得することを特徴とする、
    請求項1乃至4いずれか一項に記載の重送検知装置。
  6. 前記決定手段は、前記取得手段の取得結果に基づき振幅の大きさを表す振幅値を算出することを特徴とする、
    請求項1乃至5いずれか一項に記載の重送検知装置。
  7. 前記所定の値は、前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在しない状態で前記取得手段が取得した最大の振幅から算出された振幅値に基づき決定されることを特徴とする、
    請求項6に記載の重送検知装置。
  8. シートを搬送する搬送機構を有する搬送装置であって、
    前記シートの搬送路を挟んだ一方に設置され、前記シートの方向へ超音波を発信する超音波発信手段と、
    前記シートの搬送路を挟んだ他方に設置され、前記超音波発信手段の発信する前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波受信手段と、
    前記超音波受信手段が出力する受信信号を受信してその振幅を取得する取得手段と、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在しない状態で当該超音波発信手段により超音波が発信されてから、前記取得手段が前記受信信号を受信するまでの時間に基づき、前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在する場合に前記取得手段が振幅を取得する際の振幅取得タイミングを決定する決定手段と、
    前記取得手段の取得結果が所定の値を超えるか否かに応じて前記シートが重送状態であるか否かを判別する判別手段と、を有することを特徴とする、
    搬送装置。
  9. シートを搬送する搬送機構を有する画像形成装置であって、
    前記シートの搬送路を挟んだ一方に設置され、前記シートの方向へ超音波を発信する超音波発信手段と、
    前記シートの搬送路を挟んだ他方に設置され、前記超音波発信手段の発信する前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波受信手段と、
    前記超音波受信手段が出力する受信信号を受信してその振幅を取得する取得手段と、
    前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在しない状態で当該超音波発信手段により超音波が発信されてから、前記取得手段が前記受信信号を受信するまでの時間に基づき、前記超音波発信手段と前記超音波受信手段とに挟まれた搬送路上に前記シートが存在する場合に前記取得手段が振幅を取得する際の振幅取得タイミングを決定する決定手段と、
    前記取得手段の取得結果が所定の値を超えるか否かに応じて前記シートが重送状態であるか否かを判別する判別手段と、を有することを特徴とする、
    画像形成装置。
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