JP2020132373A - シート搬送装置、画像読取装置、シート搬送方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重送発生時の処理を簡素にしつつスループットの低下を抑制したシート搬送装置を提供する。【解決手段】シート搬送装置は、原稿トレイ101から原稿102を順次給送して搬送経路130に搬送する。搬送経路130には、複数の原稿102が搬送経路130を重なって搬送される重送を検知する超音波センサ505が設けられる。シート搬送装置は、超音波センサ505の検知結果に基づいて重送が検知された長さである重送検知長を算出し、重送検知長が0でなければ、原稿102の給紙を待機して重送検知長が所定長を超えるか否かを判定する。シート搬送装置は、重送検知長が所定長を超える場合に原稿102の搬送を停止し、重送検知長が所定長を超えない場合に原稿102を給紙する。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば原稿等のシートの搬送時に複数枚のシートが重なって搬送される重送を検知するシート搬送技術に関する。
シートの搬送を行うシート搬送装置は、複数枚のシートが重なって搬送される重送を防止するために重送検知を行う。このようなシート搬送装置は、例えば画像形成装置や画像読取装置に採用される。重送は、例えば超音波センサを用いて検知される。超音波センサは、超音波を発信する超音波発信センサと、超音波を受信する超音波受信センサとを備える。シートは、超音波発信センサと超音波受信センサとの間を搬送される。超音波受信センサは、シートを透過した超音波を受信し、受信した超音波の強度に応じた信号レベルの出力信号を出力する。出力信号の信号レベルにより、シートの重送が検知される。例えば、シートが重送されている場合、重なったシートの間の空気層によって超音波が減衰されることで超音波受信センサが受信する超音波の強度が弱くなり、重送されない場合よりも出力信号の信号レベルが低い値となる。
付箋や紙片等が貼り付けられたシートを搬送する場合、超音波センサは、付箋や紙片により、重送が生じていると誤検知することがある。以下の説明において、付箋や紙片等が貼り付けられたシートを「付箋原稿」、重送されるシートを「重送原稿」という。特許文献1は、このような誤検知を防止するシート搬送装置を開示する。このシート搬送装置は、シートの搬送方向の実長である原稿長と、シートを搬送しながら測定した搬送方向の長さである搬送長と、シートの重なっている部分の搬送方向の長さである重送検知長とから、重送の判定を行う。シート搬送装置は、搬送長と原稿長との差を原稿長から差し引いた長さが重送検知長と等しいときに、シートが重送していると判定する。シート搬送装置は、付箋原稿がこのような条件を満たさないことから、重送の誤検知を防止することができる。シート搬送装置は、重送原稿と判定した場合にシートの搬送を停止し、付箋原稿と判定した場合に通常通りの搬送制御を行う。シートの搬送が停止された場合、シート搬送装置内で搬送途中となったシートを取り除く等のジャム処理が行われる。
しかしながら、従来技術では、付箋原稿と重送原稿とを区別するために、シートの搬送を停止するタイミングが遅くなる。シートの搬送を停止のタイミングが遅い場合、重送検知とは非連動で次のシートの給紙制御を行うと、重送であるにもかかわらず次のシートが給紙されることになる。そのために、ジャム処理の対象となるシートが増加する。例えば原稿読取装置で原稿(シート)を搬送しながら原稿の画像を読み取る場合、原稿の順序が重要である。ジャム処理の対象となる原稿が増加すると、ユーザがジャム処理により原稿の順序を正しく並び替える手間が増える。他方、重送検知と連動して次のシートの給紙制御を行う場合、スループットが低下する。
本発明は、上記の問題に鑑み、重送発生時の処理を簡素にしつつスループットの低下を抑制したシート搬送装置を提供することを主たる課題とする。
本発明のシート搬送装置は、シートが載置されるトレイと、前記トレイから前記シートを順次給送して、前記シートを搬送経路に搬送する搬送手段と、複数の前記シートが前記搬送経路を重なって搬送される重送を検知する重送検知手段と、前記搬送手段の動作を制御する制御手段と、を備えており、前記制御手段は、前記重送検知手段の検知結果に基づいて複数のシートの重なりが検知された長さである重送検知長を決定し、前記重送検知長が0でなければ前記搬送手段に後続のシートの給送を待機させて前記重送検知長が所定長を超えるか否かを判定し、前記重送検知長が前記所定長を超える場合に前記搬送手段に前記シートの搬送を停止させ、前記重送検知長が前記所定長を超えない場合に前記搬送手段に前記後続のシートを給送させることを特徴とする。
本発明によれば、重送発生時の処理を簡素にしつつスループットの低下を抑制することができる。
本発明のシート搬送装置を採用した画像読取装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(全体構成)
図1は、本実施形態のシート搬送装置を備えた画像読取装置の構成図である。画像読取装置1は、自動原稿搬送部100と、リーダ部115とを備える。重送検知を行うための超音波センサ505は、自動原稿搬送部100に設けられる。
図1は、本実施形態のシート搬送装置を備えた画像読取装置の構成図である。画像読取装置1は、自動原稿搬送部100と、リーダ部115とを備える。重送検知を行うための超音波センサ505は、自動原稿搬送部100に設けられる。
自動原稿搬送部100は、原稿トレイ101と、各種ローラ及びセンサが設けられる搬送経路130と、排紙トレイ114とを備えるシート搬送装置である。自動原稿搬送部100は、原稿トレイ101に載置されるシートである原稿102を、搬送経路130の途中に設けられる原稿画像の読取位置を通過させて、排紙トレイ114に排出する。
原稿トレイ101は、原稿102の搬送方向の下流側(以下、単に「下流側」という。)にトレイ原稿有無センサS1を備える。トレイ原稿有無センサS1は、原稿トレイ101の給紙可能な位置に載置される原稿102の有無を検知する。
搬送経路130には、原稿トレイ101に近い方から順に、給紙ローラ103、分離搬送ローラ104及び分離搬送従動ローラ105が設けられる。給紙ローラ103と分離搬送ローラ104とは、同一駆動源により駆動される。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104の回転に従動して回転する。給紙ローラ103、分離搬送ローラ104及び分離搬送従動ローラ105により、原稿トレイ101から原稿102が1枚ずつ搬送経路130に給送及び搬送される。
給紙ローラ103は、不図示のアームに支軸されており、アームの揺動により上下に移動する。給紙ローラ103は、ユーザが原稿102を原稿トレイ101に載置する作業を阻害しないように、給紙時以外は、ホームポジションである上方に待避している。給紙ローラ103は、給紙時に下降して原稿トレイ101上の原稿102に当接して回転する。給紙ローラ103の回転により、原稿トレイ101上の原稿102が搬送経路130に取り込まれる。分離搬送ローラ104と分離搬送従動ローラ105とは、搬送経路130を挟んで対向して配置される。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104側に押圧されており、分離搬送ローラ104より僅かに摩擦が少ないゴム材等の樹脂部材で形成される。分離搬送ローラ104と分離搬送従動ローラ105とは、協働して、給紙ローラ103により取り込まれた原稿102を1枚ずつ捌いて搬送する。
分離搬送ローラ104及び分離搬送従動ローラ105の下流側には、搬送経路130に給紙された原稿102を検知する分離センサS2が設けられる。分離センサS2の下流側には、複数枚の原稿102が重なって搬送される重送の検知に用いられる超音波センサ505が設けられる。超音波センサ505は、超音波発信センサT1及び超音波受信センサT2を備える。超音波発信センサT1と超音波受信センサT2とは、原稿102が搬送される搬送経路130を挟んで、対向する位置に配置される。超音波発信センサT1は、搬送経路130の方向へ超音波を発信する。超音波受信センサT2は、搬送経路130の方向からの超音波を受信する。超音波受信センサT2が受信する超音波の強度により、原稿102の重送が検知される。超音波センサ505による重送検知方法の詳細は後述する。
超音波センサ505の下流側には、レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107が、搬送経路130を挟んで対向して配置される。レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107が回転停止しているときに、搬送されてきた原稿102の搬送方向先端がレジストローラ106とレジスト従動ローラ107とのニップ部に突き当てられる。これにより原稿102は、撓みが生じて搬送方向先端が揃えられる。レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107は、原稿102の搬送方向先端が揃えられた後に回転を開始して、原稿102を搬送する。
レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107の下流側には、リードローラ108及びリード従動ローラ109が、搬送経路130を挟んで対向して配置される。リードローラ108及びリード従動ローラ109は、レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107から搬送される原稿102を、原稿画像の読取位置へ搬送する。原稿画像の読取位置には、プラテンガイド110が、リーダ部115側に設けられる読取ガラス116に対向して配置される。原稿102は、読取ガラス116とプラテンガイド110との間を搬送されながら、原稿画像が読み取られる。原稿画像の読取位置を通過した原稿102は、リーダ部115側に設けられるジャンプ台117により、読取ガラス116からすくい上げられる。
原稿画像の読取位置を通過した原稿102は、搬送経路130を挟んで対向して配置されるリード排出ローラ111及びリード排出従動ローラ112へ搬送される。リード排出ローラ111及びリード排出従動ローラ112は、原稿102を下流側に設けられる排紙ローラ113へ搬送する。排紙ローラ113は、原稿102を排紙トレイ114に排出する。
リーダ部115は、原稿102から原稿画像を読み取り、読み取った原稿画像を表す画像データを出力する。そのためにリーダ部115は、発光部119、受光部126、及び発光部119から照射されて原稿102により反射された光を受光部126に導くための光学系を備える。光学系は、ミラー120、121、122及びレンズ125を備える。発光部119及びミラー120は、第1ミラー台123に取り付けられている。ミラー121、122は、第2ミラー台124に取り付けられている。
発光部119は、例えばランプであり、読取ガラス116上(原稿画像の読取位置)を通過する原稿102に光を照射する。光は原稿102により反射され、光学系を介して受光部126の受光面に結像される。受光部126は、例えばCCD(Charge Coupled Device)素子が原稿102の搬送方向に直交する方向(主走査方向)に配列されるラインセンサである。受光部126は、受光した反射光を光電変換して原稿画像を表す電気信号である画像データを出力する。このような発光部119及び受光部126により、原稿画像が1ライン毎に読み取られる。
リーダ部115の自動原稿搬送部100に対向する面には、上記の読取ガラス116に続いて、端部に基準白板127を備える原稿台ガラス118が設けられる。原稿台ガラス118は、自動原稿搬送部100を用いずに原稿画像を読み取る際に原稿102が載置される。第1ミラー台123及び第2ミラー台124は、原稿台ガラス118に対して平行に移動可能である。原稿台ガラス118に載置された原稿102の全面から原稿画像を読み取る場合、第1ミラー台123及び第2ミラー台124が移動することで原稿102の全面が1ライン毎に読み取られる。
(制御ユニット)
図2は、画像読取装置1の動作を制御する制御ユニットの構成図である。制御ユニット10には、リーダ部115、超音波センサ505、トレイ原稿有無センサS1、分離センサS2、原稿搬送モータ202、及び操作部300が接続される。原稿搬送モータ202は、自動原稿搬送部100内の各種ローラを駆動するための駆動源であり、制御ユニット10により動作制御される。操作部300は、各種キーボタンやタッチパネル等の入力装置及びディスプレイ等の出力装置を備えるユーザインタフェースである。操作部300は、入力装置による指示等の入力内容を制御ユニット10に送信し、制御ユニット10による制御により出力装置から情報を出力する。制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)201、超音波駆動部203、増幅器204、AD変換器205、及びメモリ206を備える。制御ユニット10は、画像読取装置1に内蔵される。
図2は、画像読取装置1の動作を制御する制御ユニットの構成図である。制御ユニット10には、リーダ部115、超音波センサ505、トレイ原稿有無センサS1、分離センサS2、原稿搬送モータ202、及び操作部300が接続される。原稿搬送モータ202は、自動原稿搬送部100内の各種ローラを駆動するための駆動源であり、制御ユニット10により動作制御される。操作部300は、各種キーボタンやタッチパネル等の入力装置及びディスプレイ等の出力装置を備えるユーザインタフェースである。操作部300は、入力装置による指示等の入力内容を制御ユニット10に送信し、制御ユニット10による制御により出力装置から情報を出力する。制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)201、超音波駆動部203、増幅器204、AD変換器205、及びメモリ206を備える。制御ユニット10は、画像読取装置1に内蔵される。
CPU201は、画像読取装置1の各部の動作制御を行う。CPU201は、リーダ部115の動作を制御して、原稿102から原稿画像を読み取る。CPU201は、トレイ原稿有無センサS1及び分離センサS2から検知結果を取得する。CPU201は、超音波センサ505の動作を制御して、原稿102の重送を検知する。CPU201は、原稿搬送モータ202の動作を制御して、原稿102を原稿トレイ101から排紙トレイ114まで搬送経路130を介して搬送させる。CPU201は、原稿搬送モータ202にパルス信号である駆動制御信号を送信することで、原稿搬送モータ202の動作を制御する。CPU201は、駆動制御信号のパルス数を計測可能であり、パルス数と原稿102の搬送速度とに基づいて原稿102の搬送距離を算出することができる。CPU201は、AD変換器205によるアナログ信号からデジタル信号への変換(以下、AD変換)のタイミング制御を行う。
CPU201は、分離センサS2が原稿102を検知した後に駆動制御信号のパルス数が所定数カウントされると、超音波駆動部203にパルス信号である発振制御信号を送信する。発信制御信号は、超音波発信センサT1の発信制御を行うための信号であり、超音波発信センサT1及び超音波受信センサT2の共振周波数に近い周波数、例えば300[kHz]の信号である。発信制御信号は所定の時間間隔で発信される。
超音波駆動部203は、CPU201から受信する発信制御信号を、超音波発信センサT1を駆動するための制御信号である超音波パルス信号に変換する。超音波パルス信号は、超音波発信センサT1の駆動に必要な電圧のパルス信号である。超音波発信センサT1は、超音波駆動部203から超音波パルス信号を受信し、超音波パルス信号に応じた超音波を超音波受信センサT2に向けて発信する。超音波発信センサT1から発信された超音波は、原稿102を透過して、超音波受信センサT2に受信される。超音波受信センサT2は、受信した超音波の強度に応じたアナログ電気信号である出力信号を増幅器204に送信する。この出力信号を、以下「超音波受信信号」という。なお、搬送経路130上の超音波センサ505の検知範囲に原稿102が存在しない場合、超音波発信センサT1が発信した超音波がそのまま超音波受信センサT2に受信される。
増幅器204は、超音波受信センサT2から受信した超音波受信信号を増幅して出力する。超音波発信センサT1と超音波受信センサT2との間を原稿102が通過する際に超音波発信センサT1から発信された超音波は、超音波受信センサT2に到達するまでに減衰して、微弱になる。超音波受信センサT2から出力される超音波受信信号の振幅も超音波の強度に応じて小さくなる。増幅器204は、このような微弱な超音波受信信号を、重送検知が可能な振幅に増幅する。AD変換器205は、増幅器204によって増幅された超音波受信信号を、CPU201により指示されるAD変換タイミングでデジタル信号に変換して、CPU201へ送信する。増幅器204及びAD変換器205の詳細については後述する。
CPU201は、AD変換器205から取得したデジタル変換された超音波受信信号により、超音波受信センサT2が受信した超音波の強度を表す信号レベル(振幅)を算出する。CPU201は、算出した信号レベルに基づいて原稿102の重送を検知する。CPU201は、重送を検知した場合に、原稿搬送モータ202を停止する。メモリ206は、超音波センサ505の各種設定値、例えば後述の補正値を格納する。
(超音波センサ)
図3は、超音波センサ505の説明図である。本実施形態では、超音波発信センサT1及び超音波受信センサT2は、搬送経路130に対して垂直な状態で取り付けられている。超音波発信センサT1から発信された超音波は、原稿102を透過して伝搬し、超音波受信センサT2に受信される。超音波受信センサT2は、受信した超音波の強度を電圧振幅に変換した超音波受信信号を出力する。なお、超音波発信センサT1及び超音波受信センサT2は、搬送経路130に対して斜めに取り付けられてもよい。
図3は、超音波センサ505の説明図である。本実施形態では、超音波発信センサT1及び超音波受信センサT2は、搬送経路130に対して垂直な状態で取り付けられている。超音波発信センサT1から発信された超音波は、原稿102を透過して伝搬し、超音波受信センサT2に受信される。超音波受信センサT2は、受信した超音波の強度を電圧振幅に変換した超音波受信信号を出力する。なお、超音波発信センサT1及び超音波受信センサT2は、搬送経路130に対して斜めに取り付けられてもよい。
図4は、超音波センサ505による重送検知の説明図である。図4(a)は、超音波センサ505の検知範囲内に1枚の原稿102が搬送される単送の場合の超音波パルス信号及び増幅後の超音波受信信号を表す。図4(b)は、超音波センサ505の検知範囲内に2枚以上の原稿102が搬送される重送の場合の超音波パルス信号及び増幅後の超音波受信信号を表す。超音波パルス信号と増幅後の超音波受信信号との時間差は、超音波発信センサT1が超音波を発信してから超音波受信センサT2が超音波を受信するまでの時間である。本実施形態では、超音波発信センサT1に入力される超音波パルス信号の1波目の立ち上がりから超音波受信信号のピーク位置までの時間を「超音波到達時間」とする。
発信された超音波が原稿102を透過することにより、超音波の振幅は減衰する。振幅の減衰量は単送の場合よりも重送の場合の方が大きくなる。これは、単送の場合に1枚の原稿102により1回の減衰が発生し、重送の場合に複数枚の原稿102により複数回の減衰が発生するためである。減衰量の差により超音波受信センサT2が受信する超音波の強度に差が生じる。この差が超音波受信信号の振幅差になり、原稿102の重送の検知要因になる。なお、原稿102の厚さや種類によっても超音波の減衰量が変化するが、厚さや種類による減衰量の変化に比べ、原稿102の枚数による減衰量の変化の方が圧倒的に大きい。そのために、原稿102の厚さや種類によらず、重送が検知可能である。
超音波の減衰量及び超音波到達時間は変動する。変動要因は、超音波センサ505の感度のバラツキ、超音波センサ505の周囲温度、超音波発信センサT1と超音波受信センサT2とのメカ的な相対位置等がある。減衰量及び超音波到達時間の変動を補正するために、振幅取得位置(AD変換タイミング)の補正値と、単送と重送とを区別するための閾値の基準となる振幅と、が算出される。補正値及び振幅は、超音波受信センサT2が、原稿102が無い状態で受信した超音波に応じて出力する超音波受信信号に基づいて算出される。閾値の基準となる振幅は、原稿102が無い状態で超音波受信センサT2が受信する超音波の振幅である。これらの値は、メモリ206に格納される。
搬送経路130に原稿102が無い場合と比較して、原稿102が有る場合には、超音波の減衰量が大きくなる。そのために同じ増幅率で超音波受信信号を増幅すると、原稿102が有る場合の超音波受信信号と原稿102が無い場合の超音波受信信号とのいずれかの振幅が正確に測定できなくなる。例えば、超音波受信信号は、振幅が増幅器204の出力電圧範囲を超える或いはAD変換器205の入力電圧範囲を超えて飽和することで、正確に振幅が測定されないことがある。或いは超音波受信信号は、振幅が小さい場合に、暗ノイズに埋もれてしまい正確に振幅が測定されないことがある。そのために、本実施形態の増幅器204及びAD変換器205は、以下のような構成になっている。
図5は、増幅器204及びAD変換器205の説明図である。増幅器204は、超音波受信センサT2から取得する微弱な超音波受信信号を複数の増幅度で増幅するために、複数段の増幅器により構成される。本実施形態では、増幅器204は、第1反転増幅器501及び第2反転増幅器502を備える2段構成である。AD変換器205は、増幅器204が備える増幅器の数に応じたAD変換器により構成される。本実施形態では、増幅器204が2段構成であるために、AD変換器205は、第1AD変換器503及び第2AD変換器504を備える。
第1反転増幅器501で増幅された超音波受信信号は、第1AD変換器503に入力される。第1反転増幅器501及び第2反転増幅器502で増幅された超音波受信信号は、第2AD変換器504に入力される。上記の通り、超音波受信センサT2が受信する超音波の減衰量は、超音波センサ505の周囲環境により変動する。重送検知を正確に行うためには、周囲環境の変動を補正する必要がある。CPU201は、この補正を、超音波センサ505の検知範囲内に原稿102が無い状態で行う。そのためにCPU201は、原稿102が超音波センサ505の検知範囲内に有る紙有りモードと、検知範囲内に無い状態の紙無しモードとで、増幅器204の増幅率を変更する。また、AD変換器205も、紙有りモードと紙無しモードとで、第1AD変換器503と第2AD変換器504とを使い分ける。紙有りモードでは、第1反転増幅器501及び第2反転増幅器と、第2AD変換器504とが用いられる。紙無しモードでは、第1反転増幅器501と、第1AD変換器503とが用いられる。
図6は、第1AD変換器503及び第2AD変換器504に入力される超音波受信信号の波形を例示する。この超音波受信信号の波形は、増幅器204による増幅後の波形である。
図6(a)は、紙無しモード時に、第1反転増幅器501及び第2反転増幅器502を用いて大きく増幅された超音波受信信号を例示する。この例では、増幅器204の出力が飽和しているために、第2AD変換器504に適切な波形の超音波受信信号が入力されない。図6(b)は、紙有りモード時に、第1反転増幅器501を用いて小さく増幅された超音波受信信号を例示する。この例では、増幅器204で充分に増幅されないために、暗ノイズに超音波受信信号が埋もれてしまい、超音波受信信号の振幅が検知できない。
超音波受信信号を適切に増幅するために、紙無しモード時は、第1反転増幅器501で超音波受信信号が増幅され、紙有りモード時は、第1反転増幅器501及び第2反転増幅器で超音波受信信号が増幅される。図6(c)、図6(d)は、適性に増幅された超音波受信信号を例示する。図6(c)は、紙無しモード時に、第1反転増幅器501で増幅されて第1AD変換器503に入力される超音波受信信号である。図6(d)は、紙有りモード時に、第1反転増幅器501及び第2反転増幅器502で増幅されて第2AD変換器504に入力される超音波受信信号である。なお、第1反転増幅器501及び第2反転増幅器502によって波形の極性が反転してしまうが、検出するのは増幅後の超音波受信信号の振幅(Pk-Pk)であるため問題は無い。
(超音波センサの補正)
図7は、超音波の特性と重送検知方法についての説明図である。上記の通り、超音波の減衰量は、超音波センサ505の感度のバラツキ、超音波センサ505の周囲温度、超音波発信センサT1と超音波受信センサT2とのメカ的な相対位置等に起因して変動する。超音波の減衰量の変動は、超音波受信信号の振幅のバラツキになる。そのために、紙無しモード時に超音波受信センサT2が出力する超音波受信信号の振幅に応じて、重送を検知するための閾値が調整される。
図7は、超音波の特性と重送検知方法についての説明図である。上記の通り、超音波の減衰量は、超音波センサ505の感度のバラツキ、超音波センサ505の周囲温度、超音波発信センサT1と超音波受信センサT2とのメカ的な相対位置等に起因して変動する。超音波の減衰量の変動は、超音波受信信号の振幅のバラツキになる。そのために、紙無しモード時に超音波受信センサT2が出力する超音波受信信号の振幅に応じて、重送を検知するための閾値が調整される。
図7(a)は、超音波の減衰率とAD変換器205に入力される増幅後の超音波受信信号の振幅との関係を表すグラフである。破線701は、紙無しモード時の超音波受信信号の振幅を表す。破線702は、紙有りモードで単送時の超音波受信信号の振幅を表す。破線703は、紙有りモードで重送時の超音波受信信号の振幅を表す。紙無しモード時及び紙有りモードで単送時は、いずれも減衰率が大きくなるに従って振幅が小さくなる傾向が顕著である。
図7(b)は、超音波の減衰率と、紙無しモード時及び紙有りモードで単送時の各超音波受信信号の振幅の比率との関係を表すグラフである。減衰率の変化によらず、比率は一定である。つまり、紙無しモード時の超音波受信信号の振幅から紙有りモードで単送時の超音波受信信号の振幅が推定可能である。
図7(c)は、単送と重送とを区別するための閾値706を表すグラフである。閾値706は、紙有りモードで単送時の超音波受信信号の振幅(破線702)より低く、紙有りモードで重送時の超音波受信信号の振幅(破線703)より高い値である。ここでは、閾値706が紙有りモードで単送時の超音波受信信号の振幅(破線702)の0.7倍に設定される。このように、重送を判定するための閾値706を最適値になるように補正することで、超音波の減衰率による影響を抑制することができる。
超音波受信信号の振幅を検出するためのピーク値の発生タイミング(超音波到達時間)は、超音波センサ505の周囲温度及び超音波発信センサT1と超音波受信センサT2とのメカ的な相対位置により変動する。そのために、超音波受信信号の振幅の検出タイミングが固定されていると、振幅を正確に測定することができない。紙無しモード時の超音波到達時間により、超音波到達時間の変動による重送検知精度の低下を抑制することができる。
図8は、超音波到達時間のバラツキの説明図である。超音波到達時間は、周囲温度が高く且つ超音波送信センサT1と超音波受信センサT2との距離が近い場合に小さくなり、周囲温度が低く且つ超音波送信センサT1と超音波受信センサT2との距離が遠い場合に大きくなる。紙無しモードと紙有りモードとでは、超音波到達時間に差は生じ無い。周囲温度及び超音波発信センサT1と超音波受信センサT2との距離により、超音波受信信号のピーク位置(超音波到達時間)にずれが生じる。そのために、超音波受信信号の振幅取得位置(AD変換を行うタイミング)を、これらの変動要因を条件として補正する必要がある。
超音波到達時間のバラツキの補正処理について説明する。補正処理は、原稿102の搬送を開始する直前に紙無しモードで行われる。これは、超音波センサの周囲温度、及び超音波送信センサT1と超音波受信センサT2との距離が原稿102の搬送開始時と略同じであり、高精度の補正が可能となるためである。そのためにCPU201は、本実施形態では画像読取開始の指示を受け付けた後に、読取準備の処理中にこの補正処理を行う。
図9は、画像読取処理を表すフローチャートである。CPU201は、操作部300から画像読取開始の指示を受け付けると読取準備処理を行う(S901)。読取準備処理の終了後に、CPU201は、原稿搬送モータ202を制御して原稿102の搬送を行い、リーダ部115を制御して画像を読み取る読取処理を行う(S902)。
図10は、S901の読取準備処理を表すフローチャートである。CPU201は、紙無しモードで超音波発信センサT1に超音波を発信させて、超音波受信センサT2に超音波を受信させる(S1601)。CPU201は、原稿搬送モータ202を駆動させることなく、超音波駆動部203に発信制御信号を送信することで、この処理を行う。超音波受信センサT2は、受信した超音波に応じて超音波受信信号を出力する。超音波受信信号は、第1反転増幅器501により増幅され、第1AD変換器503によりデジタル信号に変換されてCPU201に入力される。
CPU201は、デジタル信号に変換された超音波受信信号から、超音波受信信号の振幅を算出して、メモリ206に記憶させる(S1602)。このとき、AD変換器205によるAD変換の開始タイミングは、発信制御信号の出力から図8の超音波到達時間Aが経過したタイミングである。これは、AD変換を行う装置(この場合、第1AD変換器503)で、超音波到達時間が小さい場合のピーク位置(ピーク位置A)が発生するタイミングである。なお、ピーク位置Aのタイミングは、予め算出されている。
図11は、超音波受信信号の振幅算出処理の説明図である。AD変換器205は、CPU201から受信するAD変換の開始を指示するトリガ信号に応じて、増幅器204で増幅された超音波受信信号を、離散的にデジタル信号としてサンプリングする。離散的にサンプリングを行う範囲は、超音波受信信号の波形の1周期分の期間(本実施形態では300[KHz]で超音波を発信するので1周期は3.3マイクロ秒)である。
超音波受信信号の振幅をできるだけ正確に検知するために、サンプリングの間隔は超音波の駆動周期に対して十分に小さくする必要がある。本実施形態では300[KHz]で超音波が発信されるため、超音波受信信号の周期が3.3マイクロ秒である。AD変換器205は、この周期に対して例えば10回のサンプリングを行うために0.33マイクロ秒の間隔でサンプリングを行う。図11では、サンプルポイントA〜Jの位置でサンプリングが行われる。このようにAD変換器205は、超音波の発信周期に対して十分に小さい間隔で超音波受信信号のサンプリングを行う。CPU201は、サンプリングされた値の最小値と最大値との差分をとることで、超音波受信信号の1波分の振幅を取得することができる。
ただし、超音波受信センサT2から出力される超音波受信信号は、微小であり、増幅器204で大きな増幅率で増幅される。そのために増幅後の超音波受信信号は、外来ノイズによる影響が大きい。そのために一度のサンプリングの結果から正確な振幅を算出することは適当ではない。そこでCPU201は、1回の振幅の算出のために、超音波センサ505を複数回動作させ(本実施形態では8回)、そのたびに算出した振幅の平均値を超音波受信信号の振幅とする。
図12は、複数回のサンプリング結果の例示図である。同一のサンプルタイミング(サンプルポイントA〜J)でサンプリングした値が、サンプルポイントA〜J毎に平均化される。例えばサンプルポイントAでは、サンプリングした値がA[1]〜A[8]で表され、平均値がA[AVE]で表される。平均化した10点のサンプルポイントA〜Jの最大値と最小値との差分が超音波受信信号の振幅として算出される。
各サンプルポイントA〜Jの平均値の集合Sは、以下のようになる。
S={A[AVE],B[AVE],C[AVE],D[AVE],E[AVE],F[AVE],G[AVE],H[AVE],I[AVE],J[AVE]}
S={A[AVE],B[AVE],C[AVE],D[AVE],E[AVE],F[AVE],G[AVE],H[AVE],I[AVE],J[AVE]}
集合Sの最大値をMAX[S]、最小値をMIN[S]とすると、超音波受信信号の振幅は、以下のように表される。
(超音波受信信号の振幅)
=MAX({A[AVE],B[AVE],C[AVE],D[AVE],E[AVE],F[AVE],G[AVE],H[AVE],I[AVE],J[AVE]})
−MIN({A[AVE],B[AVE],C[AVE],D[AVE],E[AVE],F[AVE],G[AVE],H[AVE],I[AVE],J[AVE]})
(超音波受信信号の振幅)
=MAX({A[AVE],B[AVE],C[AVE],D[AVE],E[AVE],F[AVE],G[AVE],H[AVE],I[AVE],J[AVE]})
−MIN({A[AVE],B[AVE],C[AVE],D[AVE],E[AVE],F[AVE],G[AVE],H[AVE],I[AVE],J[AVE]})
超音波センサ505を複数回動作させる場合であっても超音波受信信号の時間方向へのバラツキがほとんど無いために、平均化によって外来ノイズ(振幅のバラツキ)を除去することができる。このようにしてS1602の処理では、超音波受信信号の振幅が算出される。
超音波受信信号の振幅をメモリ206に記憶させたCPU201は、増幅後の超音波受信信号をAD変換するAD変換タイミングが超音波受信信号の最大波形の位置であるか否かを判定する(S1603)。最大波形の位置ではない場合(S1603:N)、CPU201は、AD変換タイミングを一定値ずらして(S1604)、S1601の処理に戻る。つまりCPU201は、S1601〜S1604の処理を繰り返し行うことで、AD変換タイミングを超音波受信信号の最大波形の位置に補正する。
図4(a)に示すように、超音波受信信号は、1周期の波形の振幅が徐々に大きくなった後に徐々に小さくなる。そのために超音波受信信号の振幅を測定する場合には、最大の振幅を含んだ波形をAD変換して測定する必要がある。
図13は、AD変換タイミングの説明図である。本実施形態では、S1604の1回の処理により、AD変換タイミングを超音波の1周期分(本実施形態では3.3マイクロ秒)ずつ遅らせる。これにより超音波受信信号は、1周期分の波形毎にAD変換が行われる。CPU201は、AD変換タイミングを、超音波到達時間が最も小さい状態(サンプルタイミング1)から最も大きい状態(サンプルタイミング4)になるまで1周期分ずつずらしながら、超音波受信信号の振幅を繰り返し測定する。サンプルタイミング4の超音波到達時間は、事前に決定されている。
図13は、AD変換タイミングの説明図である。本実施形態では、S1604の1回の処理により、AD変換タイミングを超音波の1周期分(本実施形態では3.3マイクロ秒)ずつ遅らせる。これにより超音波受信信号は、1周期分の波形毎にAD変換が行われる。CPU201は、AD変換タイミングを、超音波到達時間が最も小さい状態(サンプルタイミング1)から最も大きい状態(サンプルタイミング4)になるまで1周期分ずつずらしながら、超音波受信信号の振幅を繰り返し測定する。サンプルタイミング4の超音波到達時間は、事前に決定されている。
CPU201は、AD変換タイミングが超音波受信信号の最大波形の位置になると(S1603:Y)、測定した振幅からピーク位置を検知する(S1605)。CPU201は、検知したピーク位置に基づいて、紙有りモード時のAD変換タイミングを決定し、該ピーク位置の振幅を「紙無しモード時のピーク時振幅値」としてメモリ206に記憶させる(S1606)。CPU201は、AD変換タイミングをずらしながら各サンプルタイミングで測定した振幅のうち、最大の振幅を測定したタイミングをS1605の処理のピーク位置とする。図14は、ピーク位置の説明図である。CPU201は、所定回のサンプルタイミング(図14では6回)で取得したピーク値(振幅)のうち、最大の振幅を測定した3回目のタイミングを、S1605の処理のピーク位置とする。本実施形態では、AD変換タイミングを一定値(1波形)ずつ遅らせて超音波受信信号から振幅を取得しているが、ハードウェアの処理能力に余裕がある場合には、複数波形から振幅を取得するようにしてもよい。
(重送検知)
CPU201は、重送検知処理を行う場合に、原稿有りモードで動作して原稿搬送モータ202により原稿102の搬送を開始する。その後、CPU201は、超音波発信センサT1を発信制御信号により駆動して、超音波受信センサT2から超音波受信信号を出力させる。増幅器204は、超音波受信信号を第1反転増幅器501及び第2反転増幅器502により増幅する。AD変換器205は、増幅器204で増幅された超音波受信信号を第2AD変換器504によりAD変換する。CPU201は、S1606の処理で決定したAD変換タイミングで第2AD変換器504にAD変換を行わせる。CPU201は、AD変換後の超音波受信信号に基づいて振幅を算出する。振幅の算出方法は、図11で説明した方法と同様である。
CPU201は、重送検知処理を行う場合に、原稿有りモードで動作して原稿搬送モータ202により原稿102の搬送を開始する。その後、CPU201は、超音波発信センサT1を発信制御信号により駆動して、超音波受信センサT2から超音波受信信号を出力させる。増幅器204は、超音波受信信号を第1反転増幅器501及び第2反転増幅器502により増幅する。AD変換器205は、増幅器204で増幅された超音波受信信号を第2AD変換器504によりAD変換する。CPU201は、S1606の処理で決定したAD変換タイミングで第2AD変換器504にAD変換を行わせる。CPU201は、AD変換後の超音波受信信号に基づいて振幅を算出する。振幅の算出方法は、図11で説明した方法と同様である。
CPU201は、S1606の処理でメモリ206に記憶させた「紙無しモード時のピーク時振幅値」に基づいて、重送を判定するための閾値を決定する。CPU201は、原稿有りモードで算出した振幅を閾値と比較し、原稿102が重送されているか否かを判定する。例えば、CPU201は、原稿有りモードで算出した振幅が閾値を上回った場合に原稿102が単送されていると判定し、原稿有りモードで算出した振幅が閾値を下回った場合に原稿102が重送されていると判定する。
上記の通り、超音波の減衰率によらず、紙無しモード時の超音波受信信号の振幅と、単送時の超音波受信信号の振幅との比率がほぼ一定である。そのために紙無しモード時の超音波受信信号の振幅に所定の係数を乗算することで、重送と単送とを区別するための閾値を決定することができる。
具体的には、CPU201は、単送時に超音波の減衰率が最も高くなる種類の原稿を搬送してそのときの超音波受信信号(振幅が最小)を予め測定する。CPU201は、測定結果から紙無しモード時の超音波受信信号の振幅と、単送時の超音波受信信号の振幅との比率を算出する。この比率にマージン(本実施形態では0.7倍程度)を乗算することで、閾値が決定される。
閾値は、超音波の減衰率が最も高くなる種類の原稿により算出される比率にマージンを持たせて算出される。そのために、どのような種類の原稿が搬送される場合であっても、単送であれば閾値を下回る振幅の超音波受信信号が検知されることはない。また、超音波の減衰量が最も低くなる種類の原稿が重送状態で搬送される場合であっても、閾値を上回る振幅の超音波受信信号が検知されることはない。原稿の厚さや種類による超音波の減衰率の変動量よりも、重送や単送による超音波の減衰率の変動量の方が大きいためである。
(重送原稿と付箋原稿との区別)
CPU201は、重送検知処理中は、搬送中の原稿102の重送検知を所定時間間隔で繰り返し行い、連続して重送と検知された回数を記憶する。CPU201は、所定時間内に原稿102が搬送される距離を重送の連続検知回数と乗算することにより、重送されている長さである重送検知長を算出する。CPU201は、検知した重送検知長が所定長Lfを超える場合に、複数枚の原稿102が重なっていること(重送原稿)による重送と判定する。CPU201は、重送検知長が所定長Lf以下の場合に、原稿102に付箋や紙片等が貼り付いていることた(付箋原稿)による重送と判定する。付箋原稿は、付箋や紙片等が貼り付けられた原稿102である。所定長Lfは、例えば一般的な付箋紙を想定して70[mm]とする。
CPU201は、重送検知処理中は、搬送中の原稿102の重送検知を所定時間間隔で繰り返し行い、連続して重送と検知された回数を記憶する。CPU201は、所定時間内に原稿102が搬送される距離を重送の連続検知回数と乗算することにより、重送されている長さである重送検知長を算出する。CPU201は、検知した重送検知長が所定長Lfを超える場合に、複数枚の原稿102が重なっていること(重送原稿)による重送と判定する。CPU201は、重送検知長が所定長Lf以下の場合に、原稿102に付箋や紙片等が貼り付いていることた(付箋原稿)による重送と判定する。付箋原稿は、付箋や紙片等が貼り付けられた原稿102である。所定長Lfは、例えば一般的な付箋紙を想定して70[mm]とする。
図15は、重送原稿及び付箋原稿の説明図である。付箋原稿2001は、重送検知長(付箋の長さ)が所定長Lfよりも短いために重送原稿とは判定されない。重送原稿2002は、重送検知長が所定長Lfよりも長いために付箋原稿とは判定されない。付箋原稿2003は、重送検知長(付箋の長さ)が所定長Lfよりも長いので重送原稿と判定される。
(読取処理時の重送検知処理)
図9のS902の読取処理時の重送検知処理について説明する。図16は、読取処理時の重送検知処理を表すフローチャートである。この処理は、原稿トレイ101から順次給送される原稿102の画像を連続して読み取る読取処理の中で実行され、重送の検知結果により、原稿102の給送及び搬送を継続するか或いは取り止めるかを決定する。
図9のS902の読取処理時の重送検知処理について説明する。図16は、読取処理時の重送検知処理を表すフローチャートである。この処理は、原稿トレイ101から順次給送される原稿102の画像を連続して読み取る読取処理の中で実行され、重送の検知結果により、原稿102の給送及び搬送を継続するか或いは取り止めるかを決定する。
図17〜図19は、自動原稿搬送部100の搬送経路130を搬送される原稿102の挙動の説明図である。図17は、重送原稿が搬送される場合の原稿102の挙動の説明図である。図15の重送原稿2002は、図17に示す挙動となる。図18、図19は、付箋紙128が貼られた付箋原稿が搬送される場合の原稿102の挙動の説明図である。図15の付箋原稿2001は、図18に示す挙動となる。図15の付箋原稿2003は、図19に示す挙動となる。
原稿102の画像の読取処理が開始されると、CPU201は、トレイ原稿有無センサS1の検知結果により、原稿トレイ101に原稿102が載置されているか否かを判定する(S1501)。原稿102が載置されていない場合(S1501:N)、CPU201は、画像の読取処理を終了する。原稿102が載置されている場合(S1501:Y)、CPU201は、原稿搬送モータ202を駆動して原稿102の給送を開始する(S1502)。このときの自動原稿搬送部100の状態は、図17(a)、図18(a)、図19(a)である。
CPU201は、給送された原稿102を分離センサS2が検知するまで待機する(S1503:N)。分離センサS2の検知結果は、原稿102を検知することでオンになる。分離センサS2が原稿102を検知すると(S1503:Y)、CPU201は、直前に搬送している原稿(前紙)の重送を検知中であるか否かを判定する(S1504)。このときの自動原稿搬送部100の状態は、図17(b)、図18(b)、図19(b)である。
2枚目以降の給送時で前紙の重送検知中である場合(S1504:Y)、CPU201は、前紙に対する重送検知処理を行い、原稿102の給紙を待機する。前紙の重送検知が終了すると(S1505)、CPU201は、重送検知長が所定長Lfを超えるか否かを判定する(S1506)。重送検知長が所定長Lfを超える場合(S1506:Y)、CPU201は、原稿搬送モータ202の駆動を停止して原稿102の搬送を停止する(S1514)。この場合、給紙も取り止められる。このときの自動原稿搬送部100の状態は、図19(d)である。
前紙の重送検知中ではない場合(S1504:N)、或いは前紙の重送検知長が所定長Lf以下の場合(S1506:N)、CPU201は、原稿102の給紙及び搬送を継続する。この場合、CPU201は、原稿102の先端が超音波センサ505の検知範囲に到達したか否かを判定する(S1507)。CPU201は、原稿搬送モータ202へ送信する駆動制御信号のパルス数をカウントすることで、分離センサS2に検知された後の原稿102の搬送距離を推定する。CPU201は、推定した搬送距離に応じて、原稿102の先端が超音波センサ505の検知範囲に到達したか否かを判定することができる。原稿102の先端が超音波センサ505の検知範囲に到達すると(S1507:Y)、CPU201は、超音波センサ505による重送検知処理を開始する(S1508)。このときの自動原稿搬送部100の状態は、図17(c)、図18(c)である。
CPU201は、分離センサS2が原稿102を検知しなくなるまで待機する(S1509:N)。分離センサS2の検知結果は、原稿102を検知しなくなることでオフになる。分離センサS2が原稿102を検知しなくなると(S1509:Y)、CPU201は、重送検知処理の結果から得られる重送検知長が「0」より大きいか否かを判定する(S1510)。重送検知長が「0」の場合(S1510:N)、CPU201は、重送が発生していないと判定する。この場合、CPU201は、S1510の処理に戻り、次の原稿の給送処理を開始する。つまり、CPU201は、前紙の重送検知処理の終了を待たずに、次の原稿の給送を開始する。このときの自動原稿搬送部100の状態は、図19(c)である。
重送検知長が「0」より大きい場合(S1510:Y)、CPU201は、重送が発生していると判定し、次の原稿の給紙処理を待機させる。この場合、CPU201は、原稿102の後端が超音波センサ505の検知範囲に到達するまで待機する(S1511:N)。CPU201は、原稿搬送モータ202へ送信する駆動制御信号のパルス数をカウントすることで、分離センサS2が原稿102を検知しなくなった後の原稿102の搬送距離を推定する。CPU201は、推定した搬送距離に応じて、原稿102の後端が超音波センサ505の検知範囲に到達したか否かを判定することができる。
原稿102の後端が超音波センサ505の検知範囲に到達すると(S1511:Y)、CPU201は、重送検知処理を終了する(S1512)。CPU201は、重送検知長が所定長Lfを超えるか否かを判定する(S1513)。重送検知長が所定長Lf以下の場合(S1513:N)、CPU201は、重送が付箋原稿によるものであると判定する。この場合、CPU201は、S1510の処理に戻り、次の原稿の給送処理を開始する。このときの自動原稿搬送部100の状態は、図18(d)である。
重送検知長が所定長Lfを超える場合(S1513:Y)、CPU201は、重送が重送原稿によるものであると判定する。この場合、CPU201は、原稿搬送モータ202の駆動を停止して原稿102の搬送を停止する(S1514)。この場合、原稿給送も取り止められる。このときの自動原稿搬送部100の状態は、図17(d)である。このようにCPU201は、重送の可能性がある場合には重送原稿と判定が確定するまで次の原稿102の給紙を停止し、付箋原稿と判定したときに、次の原稿102の給紙を行う。
比較のために、搬送経路130を搬送される原稿102の従来の挙動を図20の説明図により説明する。
図20(a)は、重送を検知したときに付箋原稿か重送原稿かを判定しない場合を例示する。原稿102a及び原稿102bが搬送され、超音波センサ505により重送が検知されることで、原稿102a、102bの搬送が停止されている状態を表している。このとき、後続の原稿102cが原稿トレイ101に載置されているが、給送は行われない。よってこの場合、ユーザは給送済みの原稿102a及び原稿102bの2枚を原稿トレイ101に戻すことになる。
図20(b)、図20(c)は、重送を検知したときに付箋原稿か重送原稿かを区別する場合を例示する。図20(b)では、原稿102d及び原稿102eが搬送され、超音波センサ505によって、重送が検知されることで、原稿102d、102eの搬送が停止されている状態を表している。このとき、後続の原稿102fは、既に給送が開始された状態である。よってこの場合、ユーザは給送済みの原稿102d、原稿102e、原稿102fの3枚を原稿トレイ101に戻すことになる。
図20(c)では、付箋紙128を貼り付けられた原稿102gが搬送され、超音波センサ505によって、付箋原稿と判定され、原稿102gの搬送が停止しない状態を表している。この場合、後続の原稿102hは、既に給送が開始された状態であるが、原稿102gが付箋原稿と判定されることで、給送及び搬送が継続される。
重送原稿と判定して原稿搬送を停止する場合、図20(b)に示すように、ユーザは給送開始済みの原稿102d、原稿102e、原稿102fの3枚を原稿トレイ101に戻す必要がある。これに対して本実施形態では、重送原稿と判定して原稿搬送を停止する場合、図17(d)に示すように、2枚の給送済みの原稿を原稿トレイ101に戻すだけでよく、ユーザによるジャム処理の手間が少なく簡素に済む。また、先行原稿の重送検知長が「0」の場合には、先行原稿の重送検知処理の終了を待たずに次の原稿の給紙が行われる。そのためにスループットの低下を防ぐことができる。
本実施形態ではシート搬送装置を有する画像読取装置1の重送検知について説明したが、これ以外にも、シートを搬送する機構を備える装置であればどのような装置であっても本実施形態を適用可能である。例えば、超音波センサ505を複写機や複合機等の画像形成装置のシートの搬送経路に設けることで、本実施形態を適用可能である。
Claims (8)
- シートが載置されるトレイと、
前記トレイから前記シートを順次給送して、前記シートを搬送経路に搬送する搬送手段と、
複数の前記シートが前記搬送経路を重なって搬送される重送を検知する重送検知手段と、
前記搬送手段の動作を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記重送検知手段の検知結果に基づいて複数のシートの重なりが検知された長さである重送検知長を決定し、前記重送検知長が0でなければ前記搬送手段に後続のシートの給送を待機させて前記重送検知長が所定長を超えるか否かを判定し、前記重送検知長が前記所定長を超える場合に前記搬送手段に前記シートの搬送を停止させ、前記重送検知長が前記所定長を超えない場合に前記搬送手段に前記後続のシートを給送させることを特徴とする、
シート搬送装置。 - 前記制御手段は、前記重送検知長が0の場合に、前記搬送手段に前記シートの搬送及び前記後続のシートの給送を継続させることを特徴とする、
請求項1記載のシート搬送装置。 - 前記制御手段は、前記後続のシートの給送時に、前記重送検知手段が直前に搬送されたシートの重送を検知中であれば、前記搬送手段に前記後続のシートの給送を待機させることを特徴とする、
請求項1又は2記載のシート搬送装置。 - 前記制御手段は、前記直前に搬送されたシートによる重送検知長が前記所定長を超える場合に、前記搬送手段に前記シートの搬送を停止させ且つ前記後続のシートの給送を取り止めさせ、直前に搬送されたシートによる重送検知長が前記所定長を超えない場合に、前記搬送手段に前記シートの搬送及び前記後続のシートの給送を継続させることを特徴とする、
請求項3記載のシート搬送装置。 - 前記制御手段は、前記重送検知長が前記所定長を超える場合に複数の前記シートが重なって搬送されていると判定し、前記重送検知長が0よりも大きく且つ前記所定長を超えない場合に前記シートに紙片が貼り付けられていると判定することを特徴とする、
請求項1〜4のいずれか1項記載のシート搬送装置。 - 前記重送検知手段は、
前記搬送経路の方向へ超音波を発信する超音波発信手段と、
前記搬送経路を挟んで前記超音波発信手段に対向する位置に設けられ、前記超音波発信手段の発信する前記超音波を受信して、該超音波に応じたアナログ電気信号を出力する超音波受信手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記アナログ電気信号の振幅に基づいて前記重送が発生しているか否かを判定することを特徴とする、
請求項1〜5のいずれか1項記載のシート搬送装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
搬送経路を搬送されるシートの画像を読み取り、読み取った画像を表す画像データを出力するリーダ手段と、を備えることを特徴とする、
画像読取装置。 - シートが載置されるトレイと、
複数の前記トレイから前記シートを順次給送して、前記シートを搬送経路に搬送する搬送手段と、
前記シートが前記搬送経路を重なって搬送される重送を検知する重送検知手段と、を備えた装置により実行される方法であって、
前記重送検知手段の検知結果に基づいてシートの重なりが検知された長さである重送検知長を算出し、
前記重送検知長が0でなければ前記搬送手段に後続のシートの給送を待機させて前記重送検知長が所定長を超えるか否かを判定し、
前記重送検知長が前記所定長を超える場合に前記搬送手段に前記シートの搬送及び前記後続のシートの給送を停止させ、
前記重送検知長が前記所定長を超えない場合に前記搬送手段に前記後続のシートを給送させることを特徴とする、
シート搬送方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2019029147A JP2020132373A (ja) | 2019-02-21 | 2019-02-21 | シート搬送装置、画像読取装置、シート搬送方法 |
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11218610B2 (en) * | 2019-07-30 | 2022-01-04 | Seiko Epson Corporation | Reading apparatus and multi feed detection method |
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2019
- 2019-02-21 JP JP2019029147A patent/JP2020132373A/ja active Pending
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