JP2016199388A - 荷役運搬機械の遠隔操作システム - Google Patents

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Abstract

【課題】実際の映像に距離や状態量等の情報を併せて表示することにより、操作性を向上し得る荷役運搬機械の遠隔操作システムを提供する。
【解決手段】機械側遠隔運転制御機器50は、監視カメラ51と、センサ52と、マイク53及びスピーカ54と、本体制御コントローラ55と、ハードワイヤード56と、荷役運搬機械側伝送装置57とを備え、遠隔操作室80には、操作機器81と、操作機器信号集約コントローラ82と、遠隔操作室側伝送装置83と、画像処理装置84と、装着表示装置85と、マイク86及びスピーカ87と、非常停止スイッチ88とを設け、装着表示装置85と固定表示装置89は、画像処理装置84で割り出された距離及びセンサ52で検出された荷役運搬機械の状態量をオーバーレイした実際の運転状況映像を表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、荷役運搬機械の遠隔操作システムに関するものである。
一般に、荷役運搬機械としては、例えば、アンローダ、コンテナクレーン、タワークレーン等が存在する。
前述の如き荷役運搬機械の場合、高所に運転室が設けられ、該運転室にオペレータが乗り込み、操作レバーや各種スイッチ等の運転操作用機器を操作することにより運転を行うようになっている。
しかしながら、近年、特にアンローダやコンテナクレーンの場合、荷役運搬機械の大型化並びに高速化に伴い、前記運転室の設置位置は更に高く且つ運転室の移動も高速となっているため、オペレータの負担が大きくなり、労働条件が過酷になっていると共に、オペレータのための落下防止用の安全装置等を設置する必要もあった。
このため、高所での過酷な運転作業をなくすことができ、オペレータの負担軽減を図り得ると共に、運転室並びにオペレータのための落下防止用の安全装置等の設置を不要とし得る荷役運搬機械の遠隔操作システムの開発が進められている。
尚、前記荷役運搬機械の遠隔操作システムの一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1、2、3がある。
特開平6−206618号公報 特開2003−212475号公報 特開2013−116773号公報
しかしながら、特許文献1、2、3に開示されている荷役運搬機械の遠隔操作システムはいずれも、カメラの撮像映像をそのまま表示させているだけであるため、実際の運転室での操作と比較して距離感がつかみにくく、操作性の面で改善が望まれていた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、実際の映像に距離や状態量等の情報を併せて表示することにより、操作性を向上し得る荷役運搬機械の遠隔操作システムを提供しようとするものである。
本発明は、荷役運搬機械に機械側遠隔運転制御機器を設けると共に、地上に遠隔操作室を設置し、該遠隔操作室でのオペレータによる操作により荷役運搬機械の運転を行う荷役運搬機械の遠隔操作システムであって、
前記機械側遠隔運転制御機器は、
前記荷役運搬機械の運転状況映像を撮像する監視カメラと、
前記荷役運搬機械の状態量を検出するセンサと、
該センサで検出された荷役運搬機械の状態量が入力され且つ荷役運搬機械の駆動装置を制御する本体制御コントローラと、
前記監視カメラから映像データを取り込み且つ前記本体制御コントローラとの間で制御データの授受を行う荷役運搬機械側伝送装置と、
を備え、
前記遠隔操作室には、
前記荷役運搬機械を操作する操作機器と、
該操作機器からの信号を集約する操作機器信号集約コントローラと、
該操作機器信号集約コントローラとの間で制御データの授受を行い且つ前記荷役運搬機械側伝送装置との間で信号を送受信する遠隔操作室側伝送装置と、
該遠隔操作室側伝送装置で受信された前記映像データに基づき前記荷役運搬機械の接触を回避すべき物体までの距離を画像処理によって割り出す画像処理装置と、
該画像処理装置で割り出された距離及び前記センサで検出された荷役運搬機械の状態量をオーバーレイした実際の運転状況映像を表示し且つオペレータが装着自在な装着表示装置と
を設けたことを特徴とする荷役運搬機械の遠隔操作システムにかかるものである。
前記荷役運搬機械の遠隔操作システムにおいては、前記遠隔操作室に、前記遠隔操作室側伝送装置へ接点データを入力する非常停止スイッチを設けると共に、該非常停止スイッチにより接点データが遠隔操作室側伝送装置へ入力された際に前記荷役運搬機械側伝送装置から出力される接点データにより電磁接触器を切断し前記駆動装置への電力供給を遮断するハードワイヤードを前記機械側遠隔運転制御機器に備えることが好ましい。
前記荷役運搬機械の遠隔操作システムにおいて、前記監視カメラは、ステレオカメラ、或いは単眼カメラを複数個配設して構成したステレオカメラであることが好ましい。
前記荷役運搬機械の遠隔操作システムにおいては、前記遠隔操作室に、オペレータの声を音声データとして遠隔操作室側伝送装置へ入力するマイクと、該遠隔操作室側伝送装置から出力される音声データに基づき実際の音声を出力するスピーカとを設けると共に、現場監視員の声を音声データとして荷役運搬機械側伝送装置へ入力するマイクと、該荷役運搬機械側伝送装置から出力される音声データに基づき実際の音声を出力するスピーカとを前記機械側遠隔運転制御機器に備えることが好ましい。
前記荷役運搬機械の遠隔操作システムにおいては、前記荷役運搬機械側伝送装置と前記遠隔操作室側伝送装置とを光ファイバーケーブルで接続することが好ましい。
本発明の荷役運搬機械の遠隔操作システムによれば、実際の映像に距離や状態量等の情報を併せて表示することにより、操作性を向上し得るという優れた効果を奏し得る。
本発明の荷役運搬機械の遠隔操作システムの実施例を示すブロック図である。 本発明の荷役運搬機械の遠隔操作システムの実施例における駆動装置の動力系統を示す電気回路図である。 本発明の荷役運搬機械の遠隔操作システムの実施例における装着表示装置としてウェアラブルグラスを用い固定表示装置として大画面モニタを用いた場合の操作手順を示すフローチャートである。 本発明の荷役運搬機械の遠隔操作システムの実施例における装着表示装置としてウェアラブルグラスを用い固定表示装置として大画面モニタを用いた場合の操作手順を示すフローチャートである。 本発明の遠隔操作システムが適用される荷役運搬機械の一例として連続式アンローダを示す概要構成図である。 図5のVI部詳細図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図6は本発明の荷役運搬機械の遠隔操作システムの実施例である。
先ず、本発明の遠隔操作システムが適用される荷役運搬機械の一例として連続式アンローダについてその概要を説明する。
前記荷役運搬機械としての連続式アンローダは、図5に示す如く、岸壁1に敷設されたレール2上を走行可能な走行フレーム3上に、傾動自在なブーム4を備えた旋回フレーム5を設け、前記ブーム4先端に、船倉6の内部の鉄鉱石等のバラ物7を掻き取って船倉6の外部に搬出可能なバケットエレベータ8を吊り下げてなる構成を有している。前記ブーム4の内部には、前記バケットエレベータ8で掻き取ったバラ物7をブーム4基端側へ搬送可能なブームコンベヤ9が配設されている。又、前記走行フレーム3には、前記ブームコンベヤ9からシュート11を介して送給されるバラ物7を走行フレーム3の外部に搬出可能な搬出コンベヤ10が配設されている。
前記連続式アンローダにおいては、船倉6の内部のバラ物7は、バケットエレベータ8のバケット19によって掻き取られて船倉6の外部に積み出され、ブームコンベヤ9によってブーム4の先端側から基端側へ搬送され、シュート11を介して搬出コンベヤ10上に落下し、該搬出コンベヤ10により走行フレーム3の外部へ搬出されるようになっている。
前記バケットエレベータ8は、図5及び図6に示す如く、前記ブーム4先端に上下方向へ延びる本体フレーム12を枢着して構成されている。該本体フレーム12の下端部には、端面を開放した外枠フレーム13に対し入れ子状となるよう内枠フレーム14を伸縮自在に配設してなる掻き取り部フレーム15が、昇降フレーム23を介し略水平に取り付けられている。前記掻き取り部フレーム15の外枠フレーム13の基端と内枠フレーム14の先端にはスプロケット16,17が設けられ、該スプロケット16,17と前記本体フレーム12上部に設けられたスプロケット18には、多数のバラ物7掻き取り用のバケット19を取り付けた無端状のチェーン20が掛け回されている。
前記外枠フレーム13に対する内枠フレーム14の伸縮は、シリンダ21の伸縮作動によって行われるようになっている。又、前記内枠フレーム14の伸縮に伴いチェーン20の張力変化が生じることをなくすために、前記外枠フレーム13は、本体フレーム12に対しシリンダ22の伸縮作動により昇降可能な昇降フレーム23に連結されている。図6中実線で示すように前記シリンダ21が伸張して内枠フレーム14が外枠フレーム13に対して伸びるときには、前記シリンダ21の作動と連動してシリンダ22が伸張し昇降フレーム23を介して外枠フレーム13が本体フレーム12側に引き寄せられる形で上昇するようになっている。一方、図6中仮想線で示すように前記シリンダ21が収縮して内枠フレーム14が外枠フレーム13に対して縮むときには、前記シリンダ21の作動と連動してシリンダ22が収縮し昇降フレーム23を介して外枠フレーム13が本体フレーム12側から離される形で下降し、これによりチェーン20の張力が常に一定に保持されるようになっている。
そして、本実施例では、前記連続式アンローダに、図1に示す如く、機械側遠隔運転制御機器50を設けると共に、地上に遠隔操作室80を設置し、該遠隔操作室80でのオペレータによる操作により前記連続式アンローダの運転を行うようにしてある。
前記機械側遠隔運転制御機器50は、監視カメラ51と、センサ52と、マイク53及びスピーカ54と、本体制御コントローラ55と、ハードワイヤード56と、荷役運搬機械側伝送装置57とを備えている。
前記監視カメラ51は、前記連続式アンローダの運転状況映像を撮像するステレオカメラである。前記監視カメラ51は、単眼カメラを複数個配設して構成したステレオカメラであっても良い。尚、前記監視カメラ51は、例えば、図5の本体フレーム12の上方における複数箇所、並びに該本体フレーム12の下部における複数箇所に設けるようにしてある。
前記センサ52は、前記連続式アンローダの状態量を検出するものである。前記連続式アンローダの状態量としては、例えば、バケットエレベータ駆動トルク、払出量、ブーム起伏シリンダ圧力、風速等を挙げることができる。
前記本体制御コントローラ55は、前記センサ52で検出された前記連続式アンローダの状態量が入力され且つ前記連続式アンローダのインバータモータ等の駆動装置58を制御するようになっている。
前記荷役運搬機械側伝送装置57は、前記監視カメラ51から映像データを取り込み且つ前記本体制御コントローラ55との間で制御データの授受を行うようになっている。
一方、前記遠隔操作室80には、操作機器81と、操作機器信号集約コントローラ82と、遠隔操作室側伝送装置83と、画像処理装置84と、装着表示装置85と、マイク86及びスピーカ87と、非常停止スイッチ88と、固定表示装置89とを設けてある。
前記操作機器81は、前記連続式アンローダを操作する機器である。
前記操作機器信号集約コントローラ82は、前記操作機器81からの信号を集約するようになっている。
前記遠隔操作室側伝送装置83は、前記操作機器信号集約コントローラ82との間で制御データの授受を行い且つ前記荷役運搬機械側伝送装置57との間で信号を送受信するようになっている。
前記画像処理装置84は、前記遠隔操作室側伝送装置83で受信された前記映像データに基づき前記連続式アンローダの接触を回避すべき物体(例えば、船倉6の開口縁部や内壁その他)までの距離を画像処理によって割り出すようになっている。
前記装着表示装置85は、前記画像処理装置84で割り出された距離及び前記センサ52で検出された前記連続式アンローダの状態量をオーバーレイした実際の運転状況映像を表示するようになっている。前記装着表示装置85としては、例えば、オペレータが装着自在なウェアラブルグラスを採用することができる。因みに、前記装着表示装置85としてのウェアラブルグラスに対する情報表示に関しては、人が知覚する現実環境をコンピュータによって拡張する拡張現実(AR:Augmented Reality)の技術が応用できる。
又、本実施例の場合、前記装着表示装置85に加え更に大画面モニタのような固定表示装置89を設け、実際の運転状況映像を表示するようになっている。前記大画面モニタのような固定表示装置89は、必要箇所に対して遠近処理(三次元距離画像表示用処理)や水蒸気透過処理、暗視処理、逆光補正、全周囲俯瞰映像処理(サラウンドビュー(登録商標)用処理)等の画像処理された監視カメラ51の映像を常時表示する機能を有している。前記監視カメラ51の映像は、緊急時の画面切替の手間をなくすため、全て常時分割して表示するようになっている。尚、前記連続式アンローダの動作方向をオペレータが混乱しない映像表示とする。
前記装着表示装置85と固定表示装置89は前記操作機器信号集約コントローラ82にも接続されている。
前記非常停止スイッチ88は、前記遠隔操作室側伝送装置83へ接点データを入力するようになっており、該非常停止スイッチ88により接点データが遠隔操作室側伝送装置83へ入力された際には、前記荷役運搬機械側伝送装置57から出力される接点データにより前記ハードワイヤード56が作動して電磁接触器68,69,71(図2参照)を切断し前記駆動装置58への電力供給を遮断するようになっている。
前記遠隔操作室80に設けられたマイク86は、オペレータの声を音声データとして遠隔操作室側伝送装置83へ入力し、又、前記機械側遠隔運転制御機器50に備えられたマイク53は、現場監視員の声を音声データとして荷役運搬機械側伝送装置57へ入力するようになっている。前記遠隔操作室80に設けられたスピーカ87は、前記遠隔操作室側伝送装置83から出力される音声データに基づき実際の音声を出力し、又、前記機械側遠隔運転制御機器50に備えられたスピーカ54は、前記荷役運搬機械側伝送装置57から出力される音声データに基づき実際の音声を出力するようになっている。尚、前記連続式アンローダの場合、船倉6のハッチ口の周りに現場監視員が配備され、前記マイク53、マイク86及びスピーカ54、スピーカ87を通じて、現場監視員とオペレータとの間でバラ物7の掻き取りに関する指示や連絡を相互に行うようになっている。
前記荷役運搬機械側伝送装置57と前記遠隔操作室側伝送装置83は、光ファイバーケーブルOFCで接続してある。尚、状況に応じて無線にすることも可能である。
前記荷役運搬機械としての前記連続式アンローダの場合、前記駆動装置58としては、例えば、図2に示す如く、バケットエレベータ駆動モータ59、バケットエレベータ旋回モータ60、ブーム旋回モータ61、走行モータ62、ブーム起伏油圧ポンプ63、ブームコンベヤモータ64を挙げることができる。前記バケットエレベータ駆動モータ59、バケットエレベータ旋回モータ60、ブーム旋回モータ61、走行モータ62は、電源ACに対し断路器65、変圧器66、遮断器67、電磁接触器68を介して並列接続されている。前記ブーム起伏油圧ポンプ63は、電源ACに対し断路器65、変圧器66、電磁接触器69、遮断器70を介して接続されている。前記ブームコンベヤモータ64は、電源ACに対し断路器65、変圧器66、電磁接触器71、遮断器72を介して接続されている。前記電磁接触器68,69,71は、前記非常停止スイッチ88により接点データ(図1参照)が遠隔操作室側伝送装置83へ入力された際、前記荷役運搬機械側伝送装置57から出力される接点データ(図1参照)による前記ハードワイヤード56の作動によって切断され、前記駆動装置58(バケットエレベータ駆動モータ59、バケットエレベータ旋回モータ60、ブーム旋回モータ61、走行モータ62、ブーム起伏油圧ポンプ63、ブームコンベヤモータ64)への電力供給を遮断するようになっている。これにより、前記本体制御コントローラ55(図1参照)が万一故障しても、非常停止だけは正常に作動するようにしてある。
前記装着表示装置85としてのウェアラブルグラスは、操作開始/終了モード機能、通常運用モード機能、異常発生時モード機能、ガイダンス機能という四つの機能を有し、オペレータの操作を支援するための追加情報が表示されると共に、音声ガイダンスが流されるようになっている。
前記操作開始/終了モード機能は、前記連続式アンローダの操作準備の状態表示(操作準備が完了しているかどうかの表示)と、前記連続式アンローダの操作準備を完了するための操作の開始/終了手順表示とを行う機能である。
前記通常運用モード機能は、運転状態表示と、距離・状態量表示と、カメラ映像とを表示する機能である。運転状態表示は、連続式アンローダの運転中(駆動中)/停止中の状態を表示するものである。前記距離・状態量表示は、オペレータが常に監視したい前記連続式アンローダの距離・状態量表示と、距離・状態量監視による警告の表示とを行うものである。前記距離・状態量表示では、連続式アンローダを例にした場合、例えば、バケットエレベータ8と船倉6の開口縁部や内壁との距離、並びにバケットエレベータ駆動トルク、払出量、ブーム起伏シリンダ圧力、風速等を表示するようになっている。これと併せて設定状態の表示と切替も行えるようになっている。そして、前記距離・状態量監視により、前記バケットエレベータ8と船倉6の開口縁部や内壁との距離が許容値未満となったり、バケットエレベータ駆動トルク、払出量、ブーム起伏シリンダ圧力、風速等がそれぞれ許容値を超えたりした場合には、警告を表示すると共に、警告回避操作指示も行われるようになっている。前記カメラ映像表示では、複数ある監視カメラ51の映像からオペレータが選択した一つの映像を表示するようになっている。
前記異常発生時モード機能は、故障状態(重/軽故障)、故障内容(エラー番号、エラー項目)、故障復旧手順を表示する機能である。
前記ガイダンス機能は、上記の三つの機能(操作開始/終了モード機能、通常運用モード機能、異常発生時モード機能)に応じた音声ガイダンス機能である。
前記装着表示装置85としてのウェアラブルグラスの操作入力としては、音声認識、視線追尾、ジェスチャー、ジョイスティック、トラックボール、マウス、タッチパッド等を選択することができる。尚、前記装着表示装置85としては、ヘッドマウントディスプレイを採用しても良い。
前記固定表示装置89としての大画面モニタでは、必要箇所に対して遠近処理(三次元距離画像表示用処理)や水蒸気透過処理、暗視処理、逆光補正、全周囲俯瞰映像処理(サラウンドビュー(登録商標)用処理)等の画像処理された監視カメラ51の映像が常時表示される。
そして、前記装着表示装置85としてのウェアラブルグラス及び前記固定表示装置89としての大画面モニタを用いた場合の操作手順は、図3及び図4に示すフローチャートのようになる。
先ず、オペレータがウェアラブルグラスを装着し、該ウェアラブルグラス及び大画面モニタを起動する(ステップS1参照)。
前記ステップS1でウェアラブルグラス及び大画面モニタを起動後、荷役運搬機械としての連続式アンローダの操作電源を投入する(ステップS2参照)。該ステップS2で操作電源を投入した後、前記荷役運搬機械の運転準備判定が行われる(ステップS3参照)。該ステップS3で運転準備未完了と判定された場合、ウェアラブルグラスは操作開始モードに入り、該ウェアラブルグラスには操作を開始するための運転準備手順の表示が行われると共に、音声ガイダンスが流される。オペレータはウェアラブルグラスの表示と音声ガイダンスに従って荷役運搬機械の運転準備を行う(ステップS4参照)。運転準備完了後は、ウェアラブルグラスの音声ガイダンスに従ってオペレータは荷役運搬機械の操作を開始する(ステップS5参照)。
前記荷役運搬機械の状態(正常か異常か)によってオペレータの運転操作方法は異なるため、前記ステップS5の操作開始から続いて前記荷役運搬機械の状態判定が行われる(ステップS6参照)。
前記ステップS6で荷役運搬機械の状態としてモータ過負荷等の故障異常が発生していると判定された場合、前記ウェアラブルグラスは異常発生時モードに入り、故障状態(重/軽故障)、故障内容(エラー番号、エラー項目)、故障復旧手順が表示されると共に、音声ガイダンスが流される。オペレータは異常状態表示と音声ガイダンスに従って操作を行い、異常を解除する(ステップS7参照)。
前記ステップS6で荷役運搬機械の状態が正常であると判定された場合、前記ウェアラブルグラスは通常運用モードに入り、オペレータはウェアラブルグラスの機能であるカメラ映像表示を必要に応じて選択する(ステップS8参照)。該ステップS8でオペレータがウェアラブルグラスの機能であるカメラ映像表示を選択しない場合、荷役運搬機械の停止中/運転中の運転状態や距離・状態量がウェアラブルグラスに表示される。オペレータは、ウェアラブルグラスの表示及び荷役運搬機械に配設された複数の監視カメラ51が写した映像を大画面モニタで見ながら遠隔操作を行う(ステップS9参照)。
前記ステップS8でオペレータがウェアラブルグラスの機能であるカメラ映像表示を選択した場合、オペレータは更に、前記複数ある監視カメラ51の映像から常時監視したいカメラ映像(視線を離さずに注意して見たい映像)を一つ選択する(ステップS10参照)。この時、ウェアラブルグラスには荷役運搬機械の運転状態、距離・状態量が表示され、オペレータは前記ウェアラブルグラスに表示される荷役運搬機械の運転状態、距離・状態量、カメラ映像及び大画面モニタのカメラ映像を見ながら遠隔操作を行う(ステップ11参照)。
前記ステップS9或いはステップS11で遠隔操作が行われている間、前記ウェアラブルグラスには距離・状態量監視が行われる(ステップS12参照)。該ステップS12での距離・状態量監視により、前記連続式アンローダを例にした場合、前記バケットエレベータ8と船倉6の開口縁部や内壁との距離が許容値未満となったり、或いはバケットエレベータ駆動トルク、払出量、ブーム起伏シリンダ圧力、風速等がそれぞれ許容値を超えたりしたとき、ウェアラブルグラスには、警告を表示すると共に、警告回避操作指示も行われ、更に警告回避のための音声ガイダンスが流され、オペレータはウェアラブルグラスの警告表示、警告回避操作指示、及び音声ガイダンスに従って、大画面モニタのカメラ映像を見ながら遠隔操作を行う(ステップS13参照)。尚、前記ステップS13から前記ステップS6に戻り、前述の操作が繰り返される。
前記ステップS12での距離・状態量監視により、前記バケットエレベータ8と船倉6の開口縁部や内壁との距離が許容値以上で且つバケットエレベータ駆動トルク、払出量、ブーム起伏シリンダ圧力、風速等がそれぞれ許容値以下である場合には、オペレータがウェアラブルグラスの機能として運転終了モードを選択しているか否かの判定が行われる(ステップS14参照)。該ステップS14で運転終了モードが選択されていない場合には、前記ステップS6に戻り、前述の操作が繰り返される。
前記ステップS14で運転終了モードが選択された場合、図4に示す如く、ウェアラブルグラスには遠隔運転を終了するための操作手順が表示されると共に、音声ガイダンスが流され、オペレータは、ウェアラブルグラスの表示と音声ガイダンスに従って荷役運搬機械の遠隔操作を終了する(ステップS15参照)。該ステップS15での操作終了後、オペレータは荷役運搬機械の操作電源を切る(ステップS16参照)。
前記ステップS16で荷役運搬機械の操作電源を切った後、オペレータはウェアラブルグラスを外し、該ウェアラブルグラス及び大画面モニタの電源を切り、荷役運搬機械の遠隔運転を終了する(ステップS17参照)。
前述した通り、本実施例では、特許文献1、2、3に開示されている荷役運搬機械の遠隔操作システムのようにカメラの撮像映像をそのまま表示させるだけではなく、画像処理装置84で割り出された距離及び前記センサ52で検出された連続式アンローダの状態量をオーバーレイした実際の運転状況映像を表示するため、操作性の面で大幅な改善を行うことが可能となる。
こうして、実際の映像に距離や状態量等の情報を併せて表示することにより、操作性を向上し得る。
そして、前記遠隔操作室80には、前記遠隔操作室側伝送装置83へ接点データを入力する非常停止スイッチ88を設けると共に、該非常停止スイッチ88により接点データが遠隔操作室側伝送装置83へ入力された際に前記荷役運搬機械側伝送装置57から出力される接点データにより電磁接触器68,69,71を切断し前記駆動装置58への電力供給を遮断するハードワイヤード56を前記機械側遠隔運転制御機器50に備えているので、前記本体制御コントローラ55(図1参照)が万一故障しても、非常停止だけは正常に作動させることができ、故障に対処する二重化を図った構成として有効となる。
又、前記監視カメラ51は、ステレオカメラ、或いは単眼カメラを複数個配設して構成したステレオカメラであるため、奥行きのある三次元画像を装着表示装置85としてのウェアラブルグラスに表示可能となり、実際の運転室での操作に近い臨場感を実現でき、操作性を高める上で有効となる。
更に又、前記遠隔操作室80には、オペレータの声を音声データとして遠隔操作室側伝送装置83へ入力するマイク86と、該遠隔操作室側伝送装置83から出力される音声データに基づき実際の音声を出力するスピーカ87とを設けると共に、現場監視員の声を音声データとして荷役運搬機械側伝送装置57へ入力するマイク53と、該荷役運搬機械側伝送装置57から出力される音声データに基づき実際の音声を出力するスピーカ54とを前記機械側遠隔運転制御機器50に備えることにより、オペレータと現場監視員との間で作業に関する意思の疎通を図ることができ、作業を効率良く行うことができる。
又、前記荷役運搬機械側伝送装置57と前記遠隔操作室側伝送装置83とを光ファイバーケーブルOFCで接続したことにより、画像の伝送を遅延なく行うことができ、遠隔操作を的確に進めることができる。
尚、本発明の荷役運搬機械の遠隔操作システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、連続式アンローダ以外のコンテナクレーンやタワークレーン等にも適用可能なこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
50 機械側遠隔運転制御機器
51 監視カメラ
52 センサ
53 マイク
54 スピーカ
55 本体制御コントローラ
56 ハードワイヤード
57 荷役運搬機械側伝送装置
58 駆動装置
68 電磁接触器
69 電磁接触器
71 電磁接触器
80 遠隔操作室
81 操作機器
82 操作機器信号集約コントローラ
83 遠隔操作室側伝送装置
84 画像処理装置
85 装着表示装置
86 マイク
87 スピーカ
88 非常停止スイッチ
89 固定表示装置
OFC 光ファイバーケーブル

Claims (5)

  1. 荷役運搬機械に機械側遠隔運転制御機器を設けると共に、地上に遠隔操作室を設置し、該遠隔操作室でのオペレータによる操作により荷役運搬機械の運転を行う荷役運搬機械の遠隔操作システムであって、
    前記機械側遠隔運転制御機器は、
    前記荷役運搬機械の運転状況映像を撮像する監視カメラと、
    前記荷役運搬機械の状態量を検出するセンサと、
    該センサで検出された荷役運搬機械の状態量が入力され且つ荷役運搬機械の駆動装置を制御する本体制御コントローラと、
    前記監視カメラから映像データを取り込み且つ前記本体制御コントローラとの間で制御データの授受を行う荷役運搬機械側伝送装置と、
    を備え、
    前記遠隔操作室には、
    前記荷役運搬機械を操作する操作機器と、
    該操作機器からの信号を集約する操作機器信号集約コントローラと、
    該操作機器信号集約コントローラとの間で制御データの授受を行い且つ前記荷役運搬機械側伝送装置との間で信号を送受信する遠隔操作室側伝送装置と、
    該遠隔操作室側伝送装置で受信された前記映像データに基づき前記荷役運搬機械の接触を回避すべき物体までの距離を画像処理によって割り出す画像処理装置と、
    該画像処理装置で割り出された距離及び前記センサで検出された荷役運搬機械の状態量をオーバーレイした実際の運転状況映像を表示し且つオペレータが装着自在な装着表示装置と
    を設けたことを特徴とする荷役運搬機械の遠隔操作システム。
  2. 前記遠隔操作室に、前記遠隔操作室側伝送装置へ接点データを入力する非常停止スイッチを設けると共に、該非常停止スイッチにより接点データが遠隔操作室側伝送装置へ入力された際に前記荷役運搬機械側伝送装置から出力される接点データにより電磁接触器を切断し前記駆動装置への電力供給を遮断するハードワイヤードを前記機械側遠隔運転制御機器に備えた請求項1記載の荷役運搬機械の遠隔操作システム。
  3. 前記監視カメラは、ステレオカメラ、或いは単眼カメラを複数個配設して構成したステレオカメラである請求項1又は2記載の荷役運搬機械の遠隔操作システム。
  4. 前記遠隔操作室に、オペレータの声を音声データとして遠隔操作室側伝送装置へ入力するマイクと、該遠隔操作室側伝送装置から出力される音声データに基づき実際の音声を出力するスピーカとを設けると共に、現場監視員の声を音声データとして荷役運搬機械側伝送装置へ入力するマイクと、該荷役運搬機械側伝送装置から出力される音声データに基づき実際の音声を出力するスピーカとを前記機械側遠隔運転制御機器に備えた請求項1〜3の何れか一項に記載の荷役運搬機械の遠隔操作システム。
  5. 前記荷役運搬機械側伝送装置と前記遠隔操作室側伝送装置とを光ファイバーケーブルで接続した請求項1〜4の何れか一項に記載の荷役運搬機械の遠隔操作システム。
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