JP2016199009A - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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将文 森末
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Abstract

【課題】吐出口形成部材となる樹脂層を形成するための押圧が行われても流路形成用型材の変形を低減可能な液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。【解決手段】液体を吐出する吐出口5を備えた吐出口形成部材4と、吐出口5に連通する圧力室6と、圧力室6に液体を供給する供給路3を備えた基板2と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法は、(1)基板2上に、供給路3の少なくとも一部を覆い圧力室6となる流路形成用型材7を形成する工程と、(2)流路形成用型材7の上に樹脂層8を設け、樹脂層8を押圧する工程と、(3)樹脂層8に吐出口5を形成し、吐出口形成部材4を形成する工程と、を有する。そして、工程(2)において、樹脂層8を押圧する第1期間と、第1期間よりも押圧荷重が弱められる、または樹脂層8が押圧されない、第1期間に続く第2期間とを有する工程を1サイクルとしてこのサイクルを複数回実行する。【選択図】図3

Description

本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
液体吐出ヘッドは、基板に形成された液体の供給路と、供給路と連通する圧力室と、圧力室の一部に設けられた吐出エネルギー発生部と、吐出エネルギー発生部で発生するエネルギーによって液体を吐出する吐出口とを備えている。
特許文献1には、供給路が形成された基板にドライフィルムを用いて圧力室を形成する液体吐出ヘッドの製造方法が記載されている。このドライフィルムは、圧力室となる流路形成用型材として機能する。
特許文献2には、吐出口を備えた吐出口形成部材となるドライフィルムを積層する際にドライフィルムを押圧することでドライフィルムの表面を平坦にし、安定的な吐出特性を維持できる液体吐出ヘッドの製造方法が記載されている。
特開2006−224598号公報 特開2006−137065号公報
基板上に供給路を覆う流路形成用型材を形成し、その基板上に樹脂層を設け、その樹脂層を押圧して吐出口形成部材を形成する液体吐出ヘッドの製造方法が考えられる。
しかし、この方法では、樹脂層に対する押圧に伴い、供給路上に既成されている流路形成用型材が変形して供給路内に入り込んでしまう可能性がある。これは、流路形成用型材が中空保持状態となっているためである。
流路形成用型材の変形は、結果として「圧力室の高さの低下」および「吐出口形成部材の厚さのバラツキ」を引き起こし、「流抵抗増加によるリフィル性能の低下」および「不均一な応力分布の発生による吐出口変形」などの原因となる可能性がある。
本発明の目的は、吐出口形成部材となる樹脂層に対する押圧が行われても流路形成用型材の変形を低減可能な液体吐出ヘッドの製造方法を提供することである。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、液体を吐出する吐出口を備える吐出口形成部材と、前記吐出口に連通する圧力室と、前記圧力室に前記液体を供給する供給路を備えた基板と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、(1)前記基板上に、前記供給路の少なくとも一部を覆い前記圧力室となる流路形成用型材を形成する工程と、(2)前記流路形成用型材の上に樹脂層を設け、前記樹脂層を押圧する工程と、(3)前記樹脂層に前記吐出口を形成し、前記吐出口形成部材を形成する工程と、を有し、前記工程(2)において、前記樹脂層を押圧する第1期間と、前記第1期間よりも押圧荷重が弱められる、または前記樹脂層が押圧されない、前記第1期間に続く第2期間とを有する工程を1サイクルとして前記サイクルを複数回実行する。
本発明によれば、吐出口形成部材となる樹脂層に対する押圧が行われても流路形成用型材の変形を低減可能になる。
本発明を適用可能な液体吐出ヘッドの構成例を示す模式図である。 本発明の実施形態の一例を示す断面模式図である。 本発明の実施形態の一例を示すプロセスフロー図である。 本発明の実施形態の一例を示す加重シーケンス図である。 本発明の実施形態の一例を説明する断面模式図である。 本発明の実施形態の一例を示す断面模式図である。 本発明の実施形態の一例を示す加重シーケンス図である。 本発明の実施形態の一例を示す加重シーケンス図である。 本発明の実施形態の一例を示す加重シーケンス図である。 本発明の実施形態の一例を示すプロセスフロー図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用可能な液体吐出ヘッドの構成例を示す模式図である。
液体吐出ヘッドは、吐出エネルギー発生素子1が所定のピッチで並んで形成された基板2を有している。基板2には、インク等の液体の供給路3が設けられている。基板2上には、吐出口形成部材4によって、各吐出エネルギー発生素子1の上方で開口する吐出口5と、供給路3から各吐出口5に連通する個別の圧力室6が形成されている。図1に示した矢印は、液体の流れる方向の一例を示している。
吐出エネルギー発生素子1は、液体を吐出するための吐出エネルギーを発生する。吐出エネルギー発生素子1としては、電気熱変換素子(例えば発熱抵抗体)や圧電素子が用いられる。吐出エネルギー発生素子1は、吐出エネルギーを発生することにより吐出口5から液滴を吐出させる。
なお、この液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。例えば、この液体吐出ヘッドは、バイオッチップ作成や電子回路印刷、薬物を噴霧状に吐出するなどの用途にも用いることができる。
次に、本発明の実施形態の一例について、図2、図3、図4を用いて説明する。
図2は、本発明の実施形態の一例の工程フローを示す断面模式図である。
まず、吐出エネルギー発生素子1と供給路3を有する基板2を準備する。その後、基板2上に供給路3を覆う流路形成用型材7を形成する(図2(a)、工程(1))。
流路形成用型材7は、将来的に圧力室6となるパターンに対応する。流路形成用型材7は、例えば、ドライフィルム化されたポジ型感光性樹脂を用いて成膜し、その後、フォトリソグラフィー工程を経ることで圧力室パターンを形成する。ポジ型感光性樹脂としては、例えば、ポリメチルイソプロペニルケトンや、メタクリル酸とメタクリレートとの共重合体が挙げられる。
なお、本実施形態では、流路形成用型材7が、基板2を貫通している供給路3を覆う例を示しているが、少なくとも一部が凹部となっている供給路3が基板上に形成され、その凹部を流路形成用型材7が覆っていてもよい。つまり、流路形成用型材7に覆われる部分の形状は、流路形成用型材7がテンティング状態となる形状であればよく、例えば一般的な凹部形状であってもよい。また、流路形成用型材7は、基板2上の供給路3の長さ方向における端部以外の部分を覆ってもよい。この場合、供給路3のうち流路形成用型材7にて覆われていない部分は、後述する工程で樹脂層8にて覆われる。このため、基板2上に、供給路3を覆う流路形成用型材7を形成する工程は、基板2上に、供給路3の少なくとも一部を覆う流路形成用型材7を形成する工程であればよい。
次に、吐出口形成部材4となる樹脂層8と支持部材9を有する転写部材10を準備する。そして、基板2と押圧機構11とで転写部材10を挟みこむ位置関係で、基板2と転写部材10が互いに接触しない様に、基板2と転写部材10を押圧装置内に設置する(図2(b))。この際、樹脂層8を流路形成用型材7と対向させる。
転写部材10は、支持部材9の上に、樹脂層8となる樹脂が溶けている溶液を塗布・ベークすることで、事前に製造しておくことができる。
本実施形態においては、樹脂層8の一例として、ネガ型感光性樹脂を用いる。ネガ型感光性樹脂としては、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基などを含む樹脂と、対応する重合開始剤とを含む組成物が挙げられる。支持部材9の材料としては、ポリエチレンテレフタラートやポリイミド等の有機フィルム材料のほか、石英やシリコンウェハ等の無機基板を使用してもよい。また、樹脂層8として、市販のドライフィルムなどを適宜選択して使用してもよい。
次に、工程(2)として、押圧機構11を用いて、転写部材10を、流路形成用型材7が形成されている基板2の表面に所定の荷重にて押しつけ所定の時間保持する。これにより、樹脂層8を基板2に設け、樹脂層8の表面形状を押圧機構11の形状に成型する(図2(c))。
本実施形態においては、押圧機構11として平板(例えば、高精度平板)を用いている。このため、樹脂層8の表面を平坦に成形することができる。
その後、押圧機構11を転写部材10から離型し(図2(d))、続いて支持部材9を樹脂層8から剥離する(図2(e))。
その後、工程(3)として、フォトリソグラフィー工程やドライエッチング工程等により、樹脂層8に吐出口5を形成し、吐出口形成部材4を形成する。
その後、流路形成用型材7を除去することで圧力室6を形成する。これにより供給路3と吐出口5が圧力室6により連通され、液体吐出ヘッドが製造される。
次に、図2(b)〜図2(d)に至るプロセスフローを詳細に説明する。
図3は、本実施形態の一例を示したプロセスフロー図である。
樹脂層8と流路形成用型材7とが対向し、基板2と押圧機構11とで転写部材10を挟みこむ位置関係で、基板2と転写部材10が互いに接触しない様に、基板2と転写部材10を押圧装置内に設置する。その後、まず全体の真空引きを行う(ステップS301)。これは、最終的に吐出口形成部材4と基板2の間に気泡等の空隙が残存することを抑制するために有用である。
その後、転写部材10を基板2表面に所定の荷重にて押圧し(ステップS302)、その押圧の状態を所定の時間保持した後に、該所定の荷重を弱めた状態で(ステップS303)一定時間保持する。
ここで、所定の時間は、樹脂層8を押圧する第1期間の一例である。また、一定時間は、所定の時間(第1期間)よりも押圧荷重が弱められた第2期間の一例である。以下、「押圧荷重が弱められた状態」を「除荷」とも称する。また、「転写部材10を基板2表面に所定の荷重にて押圧した状態を所定の時間保持し、その後、該所定の荷重を弱めた状態で一定時間保持する」という工程を「調整工程」とも称する。
そして、この調整工程を1サイクルとして、このサイクルを複数回(N回)繰り返し実行して(ステップS304)、樹脂層8の流路形成用型材7の上への設置と、樹脂層8を吐出口5が備られていない吐出口形成部材4の形状への成形を行っていく。
以下、「調整工程のサイクル」を「押圧/除荷サイクル」とも称する。なお、Nは2以上の整数である。
図4は、押圧/除荷サイクルの押圧力(加重)シーケンスの経時的変化を模式的に示した図である。
押圧/除荷サイクル(調整工程)では、樹脂層8を変形させるために必要な押圧力F1をT1時間印加した後、F0<F1となる関係性を有する押圧力F0でT2時間保持する。なお、押圧力F0としては「0」に近い値を設定することが好ましい。T1時間は第1期間の一例である。T2時間は第2期間の一例である。T1時間(第1期間、押圧時間)は、押圧期間の長さである。T2時間(第2期間)は、除荷期間の長さである。工程(2)は、押圧/除荷サイクルを複数回繰り返す押圧・除荷の繰返しシーケンスを有する。
押圧/除荷サイクルをN回繰り返した後に(ステップS304)、押圧機構11を支持部材9から離型する(ステップS305)。その後、大気解放を行い(ステップS306)、その後、支持部材9を樹脂層8から剥離する(ステップS307)。
本実施形態では、真空下において押圧・除荷の繰返しシーケンスを実行することで、真空引きが1回ですむ。このため、真空引きを複数回実行する場合に比べて、処理時間を短縮できる。
また、離型をしてから大気解放することで、大気圧による不意な圧力で基板2が押圧機構11に押しつけられて生じる不要な変形を抑制できる。
図5は、押圧・除荷の繰返しシーケンスを実施する際の樹脂層8と流路形成用型材7の変形状況を模式的に示した図である。
第1の押圧期間(図5(a))においては、樹脂層8は、流路形成用型材7の表面に接するとともに、横方向および基板2に向かう方向に流動移動を始める。その際、流路形成用型材7のうち供給路3上に存在する中空保持領域7aは、押圧力によって供給路3に落ち込む方向に変形する。
次に、第1の除荷期間(図5(b))を実行する。この期間では、押圧力が弱くなるので、樹脂層8は流動を停止し、中空保持領域7aは復元方向の変形を生じる。中空保持領域7aの形状がある程度復元されるまで、押圧力を弱めた状態が続く。
その後、第2の押圧期間(図5(c))を実行すると、樹脂層8は流動を再開し、中空保持領域7aは供給路3に落ち込む方向に再び変形する。
次に、第2の除荷期間(図5(d))を実行すると、樹脂層8は流動を停止し、中空保持領域7aは復元方向に変形を始める。
本実施形態によれば、上述したサイクルを繰り返すことで、樹脂層8は基板2上で累積的に流動変形するので、長期間一括押圧した時と同等の流動変形が生じる。一方で、流路形成用型材7は定期的な除荷期間の実行により、変形と復元を繰り返して累積的な変形が抑制され、長期間一括押圧した時に比較して変形が抑制される。このため、吐出口形成部材4を形成するために樹脂層8に対して押圧が行われても流路形成用型材7の変形を低減可能になる。
また、サイクルを繰り返す際に樹脂層8を平板の押圧機構11にて押圧するので、流路形成用型材7の供給路3への落ち込み変形に起因する圧力室6の変形を抑制しながら、樹脂層8の表面を平坦にするまで加圧変形できる。結果として高精度な液体吐出ヘッドを製造できる。
本実施形態を効果的に実施するためには、流路形成用型材7および樹脂層8の粘弾性物性が非常に重要となる。
押圧・除荷の繰返しシーケンス下においては、表1に示すように、流路形成用型材7は弾性優位の特性を有し、樹脂層8は粘性優位の特性を有していることが好ましい。なぜなら、流路形成用型材7においては、弾性優位の物性を有していることで、可逆的な変形・回復の弾性変形の繰り返しが生じ、結果的に変位変形が抑制される。一方、樹脂層8においては、粘性優位の物性を有していることで、粘性的な不可逆変形が優勢となり、結果的に樹脂層8の表面の平坦性が向上する。
Figure 2016199009
材料の粘弾性物性は、マスターカーブと呼ばれる表示形式に代表されるように、荷重の印加周波数によって大きく変化することが知られている。よって、押圧・除荷の繰返しシーケンスでの押圧期間の長さであるT1時間(押圧時間)は非常に重要なパラメータである。
押圧時間が短すぎる場合は、流路形成用型材7と樹脂層8とがともに弾性優位となってしまう。その結果、樹脂層8の平坦性が向上しづらくなる。
一方、押圧時間が長すぎる場合は、流路形成用型材7と樹脂層8とがともに粘性優位となってしまう。その結果、流路形成用型材7が累積的に供給路3に落ち込む流動変形を起こしてしまう。
以上のことから、押圧期間の長さ(T1時間)が、流路形成用型材7と樹脂層8の材料粘弾性物性を以下の関係にする長さであることが重要である。すなわち、押圧期間の長さは、流路形成用型材7の動的粘弾性特性の損失係数tanΔが1.0未満となり、かつ、樹脂層8の動的粘弾性特性の損失係数tanΔが1.0よりも大きくなる長さであることが好ましい。
ここで、損失係数tanΔとは、動的粘弾性測定において測定される貯蔵剛性率G’と損失剛性率G’’の比(G’’/G’)から得られる値である。この値が大きい程粘性的であり、この値が0に近い程弾性的であることを表わしている。
また、押圧期間において、流路形成用型材7の緩和剛性の値が、樹脂層8の緩和剛性の値より大きいとよい。好ましくは、押圧期間の長さが、流路形成用型材7の緩和剛性の値から樹脂層8の緩和剛性の値を差し引いた値が10の4乗以上の値となる長さであると効果的である。なぜなら、流路形成用型材7と樹脂層8との材料のかたさに十分な差が存在することになるため、流路形成用型材7の変形を抑制しつつ樹脂層8を流動させるための条件マージンが拡大するためである。
なお、図6に示すように、押圧・除荷の繰返しシーケンスの初期段階においては、押圧期間を経るにつれて、樹脂層8と、流路形成用型材7を備えた基板2とが接する面積が段階的に増大していく(図6において、接触面積S1<接触面積S2<接触面積S3)。
よって、押圧・除荷の繰返しシーケンスの初期段階では、例えば図7に示したように、1回目のサイクルから押圧期間での押圧の荷重がサイクルごとに増加していく2回以上のサイクルを実行してもよい。つまり、複数回のサイクルは、押圧期間での押圧の荷重がサイクルごとに増加していく2回以上のサイクルを有してもよい。
図7では、7回以上のサイクルを実行する場合に、1回目から5回目のサイクルまで、押圧期間での押圧力(押圧の荷重)がF1、F2、F3、F4、F5と段階的に増加している。この場合、流路形成用型材7に印加される応力を一定値に抑える効果があるため、流路形成用型材7の供給路3への落ち込み変形を抑制可能となる。なお、複数のサイクル数は7に限らず適宜変更可能である。また、押圧期間での押圧力がサイクルごとに段階的に増加するサイクル数も5に限らず適宜変更可能である。また、押圧・除荷の繰返しシーケンスの初期段階であれば、1回目のサイクルからではなく2回目や3回目のサイクルから、押圧期間での押圧力をサイクルごとに段階的に増加してもよい。
また、例えば図8に示すように、押圧・除荷の繰返しシーケンスの終了段階において、押圧力がサイクルごとに段階的に減少していく2回以上のサイクルが実行されてもよい。つまり、複数回のサイクルは、押圧期間での押圧の荷重がサイクルごとに減少して工程(2)を終了する2回以上のサイクルを有してもよい。この場合、流路形成用型材7の弾性変形変位の振幅を徐々に減衰させていくことになるため、流路形成用型材7の最終的な形状を安定させることができる。
また、押圧・除荷の繰返しシーケンスの初期段階において押圧期間での押圧の荷重がサイクルごとに増加し、押圧・除荷の繰返しシーケンスの終了段階において押圧期間での押圧の荷重がサイクルごとに減少して終了してもよい。
また、例えば図9に示すように、除荷期間のT2時間がT1時間よりも長く設定されてもよい。この場合は、流路形成用型材7の復元に要する期間にマージンを取れるため、流路形成用型材7の変形が抑制されて効果的である。
また、図3に示したシーケンスでは、図4に示したように除荷期間においても押圧力F0で押圧機構11が樹脂層8を押圧した。これに対して、図10に示すように、除荷期間の代わりに、支持部材9と押圧機構11を離型する離型期間(ステップS1001)が用いられてもよい。この場合、離型期間では、押圧が停止される。離型期間は、第2期間の一例である。離型期間の長さは、除荷期間の長さと同じでもよい。
この場合、除荷期間が用いられるケースと比較して、第2期間において支持部材9と押圧機構11が接触していないため、流路形成用型材7の復元変形時に、流路形成用型材7が樹脂層8から不要な圧力を受けなくなる。その結果、流路形成用型材7の復元に有利に働き、結果として流路形成用型材7の変形が抑制される。
以上説明した実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
以下に示す工程によって液体吐出ヘッドを製造した。
まず、吐出エネルギー発生素子1として発熱抵抗体を、基板2としてのシリコン基板に形成した後、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いて異方性エッチングにて供給路3を形成した。その後、ドライフィルム化されたポジレジスト(商品名;ODUR−1010A、東京応化製)を用いて、圧力室パターンに対応する流路形成用型材7を、供給路3を覆うように基板2上に形成した(図2(a))。
次に、真空チャンバー内に平板の押圧機構11を有する押圧装置の中に、基板2と、樹脂層8としてのドライフィルムであるネガ型レジスト(商品名;TMMF、東京応化製)を、互いが接触しないように設置した(図2(b))。
その後、100Paまで真空引きを行った後に、押圧機構11と基板2を80℃に設定し、15kNで10秒押圧し、その後、0.1kNで60秒の除荷期間を設けるというサイクルを、18回繰り返した。
その後、樹脂層8としてのドライフィルムの表面と押圧機構11を離型した後、大気解放を行った。
その後、支持部材9としてのベースフィルムを樹脂層8としてのドライフィルムから剥離後、露光機にて吐出口パターンを露光し、PEB(Post Exposure Bake)、現像を行って、吐出口5を備えた吐出口形成部材4を形成した。
その後、上部からDeepUVを照射して流路形成用型材7を除去液に可溶化させた後、流路形成用型材7を除去液であるエチルセロソルブに溶解させて除去し、圧力室6を形成した。
供給路3上の圧力室6の高さの変化は無く、吐出口5の表面が平坦な液体吐出ヘッドを製造できた。
次に、比較例を説明する。
表2は、本実施例と比較例1、2との比較結果を示した表である。
Figure 2016199009
(比較例1)
比較例1は、実施例での15kNで10秒押圧し、その後0.1kNで60秒の除荷期間のサイクルを18回繰り返した工程の代わりに、15kNで10秒の押圧を行って、液体吐出ヘッドを作製した例である。比較例1では、吐出口形成部材4の表面は平坦だったが、供給路3上の圧力室6の高さが低くなっていた。
(比較例2)
比較例2は、実施例での15kNで10秒押圧し、その後0.1kNで60秒の除荷期間のサイクルを18回繰り返した工程の代わりに、15kNで180秒に押圧を行って、液体吐出ヘッドを作製した例である。比較例2では、吐出口形成部材4の表面が平坦にならなかった。
2 基板
3 供給路
4 吐出口形成部材
5 吐出口
6 圧力室
7 流路形成用型材
8 樹脂層
11 押圧機構(平板に対応)

Claims (8)

  1. 液体を吐出する吐出口を備える吐出口形成部材と、前記吐出口に連通する圧力室と、前記圧力室に前記液体を供給する供給路を備えた基板と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    (1)前記基板上に、前記供給路の少なくとも一部を覆い前記圧力室となる流路形成用型材を形成する工程と、
    (2)前記流路形成用型材の上に樹脂層を設け、前記樹脂層を押圧する工程と、
    (3)前記樹脂層に前記吐出口を形成し、前記吐出口形成部材を形成する工程と、
    を有し、
    前記工程(2)において、前記樹脂層を押圧する第1期間と、前記第1期間よりも押圧荷重が弱められる、または前記樹脂層が押圧されない、前記第1期間に続く第2期間とを有する工程を1サイクルとして前記サイクルを複数回実行すること
    を特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記工程(2)において、前記樹脂層を平板にて押圧する請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記工程(2)において、前記第1期間の長さは、前記流路形成用型材の動的粘弾性特性の損失係数が1.0未満となり、前記樹脂層の動的粘弾性特性の損失係数が1.0よりも大きくなる長さである請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記工程(2)において、前記第1期間の長さは、前記流路形成用型材の緩和剛性から前記樹脂層の緩和剛性を差し引いた値が10の4乗以上の値となる長さである請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記工程(2)において、前記複数回実行されるサイクルは、前記第1期間での押圧の荷重が前記サイクルごとに増加していく2回以上のサイクルを有する請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記工程(2)において、前記複数回実行されるサイクルは、前記第1期間での押圧の荷重が前記サイクルごとに減少して終了する2回以上のサイクルを有する請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記工程(2)において、前記第2期間が前記第1期間よりも長い請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記工程(2)において、前記第2期間では、前記押圧を停止する請求項1から7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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