以下、図面を参照しながら本発明の施肥装置を搭載した乗用型田植機について説明する。図1は、本発明の一実施の形態の施肥装置を搭載した8条植の乗用型の田植機の側面図であり、図2は、その平面図である。
なお、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
この田植機は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置100の本体部分が設けられている。
なお、該苗植付部4は作業装置の一例であり、種子を供給する播種装置や、圃場を耕耘する耕耘ロータリであってもよい。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10及び左右一対の後輪11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右の前車軸10aに前輪10がそれぞれ取り付けられている。
図10(a)から(c)に示すとおり、該前輪10の外周縁部の左右中央部に、36個の中央ラグ10Cを10度毎に形成し、前輪10の外周縁部の左右両側に、18個の左側ラグ10L、右側ラグ10Rを20度毎に各々配置する。該左側ラグ10Lと右側ラグ10Rは、中央ラグ10Cの左右側方に互いに隣接しない配置とする。これにより、中央ラグ10Cで土壌を掻きつつ、左側ラグ10Lと右側ラグ10Rが交互に土を掻くので、前輪10の接地面積が減少し、泥土が付着しにくくなると共に、泥土から前輪10が離れにくく、走行性が低下することが防止される。
しかしながら、泥土が付着しにくい素材で前輪10の表面をコーティングする、あるいは前輪10を形成するのであれば、全ての中央ラグ10Cの左右両側に左側ラグ10Lと右側ラグ10Rを形成してもよい。これにより、中央ラグ10C,左側ラグ10Lと右側ラグ10Rで同時に地面を掻くことができるので、走行に必要な推進力を得やすく、走行性や燃費が向上する。
また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後部の左右両側に後輪ギアケース18L,18Rが各々設けられ、該後輪ギアケース18L,18Rから外向きに突出する左右の後車軸18aに後輪11が各々取り付けられる。
図11に示すとおり、該後輪11は、外周縁部に後輪ラグ11aが三個一組で十一組設けられ、該後輪ラグ11aの組同士の間に、後輪11及び後輪ラグ11aの左右幅よりもよりも幅の広い幅広ラグ11bが合計十一個設けられている。また、後輪11は、前輪10よりも大径である。
これにより、後輪11が回転すると、所定角度回転する毎に接地面積の大きい幅広ラグ11bが地面に接触するので、地面の抵抗に負けない推進力が得られるので、走行性や燃費が向上する。
なお、前記前輪10及び後輪11は、金属製のホイールにゴムや合成樹脂をコーティングする、あるいは空気の替わりにゴムや合成樹脂を封入して形成するソリッドタイヤであり、パンクしない構成である。
しかしながら、湿田等、ソリッドタイヤでは土中に沈みやすく、推進力が得にくい圃場で作業をするときは、空気を封入するチューブを内装するチューブタイヤを用いてもよい。左右に幅の広いチューブタイヤを用い、接地面積を広くすると共に、空気による浮力が得ることで、沈み込みが抑えられ、走行性の低下が防止される。
あるいは、リムやラグも金属で一体成形した、あるいは複数の金属部品を組み合わせた金属タイヤを用いてもよい。タイヤ全体を金属とすることにより、耐久性が大きく向上する。
エンジン20は、メインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST(油圧無段変速装置)23を介してミッションケース12に伝達される。該ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
図12及び図13に示すとおり、該左右の前輪ファイナルケース13は、上部ケース13aと、該上部ケース13aを中心に左右方向に回動可能で、且つ上下摺動可能に設ける下部ケース13bで構成され、該下部ケース13bの機体外側に前輪10を回転可能に装着する。
該上部ケース13aと下部ケース13bの内部には、前記前輪10に伝動するキングピン13cを回転可能で且つ上下方向に摺動可能に配置し、該キングピン13cの外周で、且つ上部ケース13aと下部ケース13bの間に下部ケース13bを下方に向かって押し下げるサスペンションスプリング13dを設ける。なお、前記キングピン13cは、機体外側に向かう傾斜姿勢で配置する。
該サスペンションスプリング13dは、前輪10が地面の凹凸や石等の障害物の上を通過する際に伸縮して下部ケース13bを上下動させることにより、走行車体2の前側が大きく上下動して、走行車体2の後部に装着する苗植付部4等の作業装置が圃場面から大幅に離間することや、圃場面に接近し過ぎることを防止する、サスペンション機構14である。なお、該サスペンション機構14が機能するとき、後輪11の車軸中心が回動支点となる。
上記サスペンション機構14が機能するとき、キングピン13cが上下摺動するので、該キングピン13cの上部にはストロークセンサ14aを設ける。該ストロークセンサ14aは、キングピン13cの中心に近い位置ほど正確な伸縮を検出できるが、キングピン13cは回転しているので、上部ケース13a内部の上部に上下動自在に設けるカウンタプレート14bの軸受(図示省略)にキングピン13cの上端軸13eを取り付けて、該カウンタプレート14bを介してストロークセンサ14aが伸縮量を検出する構成とする。
上記により、サスペンション機構14の作動時のストロークセンサ14aの伸縮検出精度が向上する。
また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝達される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に運転席31が設置されている。運転席31の前方には各種操作機構を備えるボンネット32があり、その上方に前輪10を操向操作する操縦ハンドル34が設けられている。なお、エンジン20はガソリン機関、ディーゼル機関が一般的であるが、ガスタービン等を用いてもよい。
また、図14及び図15で示すとおり、ボンネット32の内部には施肥装置100の動作等を制御するコントローラ210を収納すると共に、該コントローラ210よりも下部で、且つメインフレーム15の機体前側で、且つバンパー15aの後側には、燃料を貯留する燃料タンク33を設ける。該燃料タンク33には、エンジン20に対応する燃料、例えばガソリン、軽油等を貯留する。
エンジンカバー30及びボンネット32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下する構成となっている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41を備えている。上リンク40及び下リンク41は、それらの基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視で門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、それらの先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に、苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。
メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢を保持したまま昇降する。
苗植付部4は、8条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース50、マット苗(図示省略)を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a(図2参照)に供給するとともに、横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給すると、苗送りベルト51bにより苗を下方に移送する苗載せ台51、及び、苗取出口51aに供給された苗を苗植付具52aによって圃場に植付ける植付装置52等を備えている。該苗植付具52aは、1条に付き2つ設けられ、回転ケースに装着されて交互に苗を取って圃場に植え付ける構成である。
前記苗載せ台51の左右往復機構は、図16(a)(b)に示すとおり、植付伝動ケース50に設ける横送り伝動軸53と、該横送り伝動軸53を回転させるリードメタル54で構成する。該横送り伝動軸53の一部には左右移動用の螺旋溝53aが形成されている。また、前記リードメタル54は、横送り伝動軸53が貫通する横送りケース54aと、該横送りケース54a内で螺旋溝53aに接触するリード爪54bで構成される。該横送りケース54aは、苗載せ台51と連結される。
該リード爪54bを螺旋溝53aに入り込ませることにより、植付伝動ケース50から駆動力を受けて横送り伝動軸53が回転すると、苗載せ台51は螺旋溝53aに沿って移動するので、各苗植付具52aが苗を取る際に各苗取り口51aに苗がある状態とすることができるので、苗が取られない、あるいは設定量よりも少ない苗が取られることが防止され、苗の植付精度が向上する。
図17(a)から(c)に示すとおり、前記植付クラッチケース25内の植付クラッチ24が切操作されたとき、該植付クラッチ24は即座に切状態になるのではなく、植付伝動軸26が所定位置まで回転する際に、該植付クラッチ24のクラッチ切溝24aにクラッチ切ピン24bが接触し、該クラッチ切ピン24bがクラッチ凸部24cに接触すると、接触の衝撃で植付クラッチ24が切状態になる構成である。これにより、植付伝動ケース50への伝動が切れる位相が揃うので、各植付装置52は所定の姿勢になるまで回転して停止する。
この停止姿勢を、2つの苗植付具52aが機体前後方向に並ぶ姿勢、すなわち圃場面から離間する姿勢とすると、苗植付具52aの一方が圃場面近く、あるいは圃場面に入り込む位置で停止することが防止され、付着した泥土により苗が取れなくなり、苗の植え付けが行われない箇所が発生することが防止されると共に、圃場面との接触により苗植付具52aが折れ曲がる等、破損することが防止される。
図2に示すとおり、苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55と、左右のサイドフロート56と、該左右のサイドフロート56よりも機体外側のアウタフロート57が各々回動可能に設けられている。これらフロート55,56,57を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,57が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に植付装置52により苗が植え付けられる。
前記センターフロート55には、図7に示すとおり、圃場深さの変化によるセンターフロート55の回動量を検出するフロートセンサ58を設ける。該フロートセンサ58が角度変化を検出すると、コントローラ210は圃場の深さが変化したと判断し、検出された角度に合わせて苗植付部4等の作業装置の作業高さを適切な高さとすべく昇降油圧シリンダ46を伸縮させ、苗植付部4の作業高さを自動的に調節する。
前記フロートセンサ58の検出値は、センターフロート55が圃場面に略水平姿勢で接地するときを0度とし、検出値が仰角方向(上方)であるときは、コントローラ210は圃場深さが浅くなり、苗植付部4と圃場面の間隔が狭くなったと判断し、昇降油圧シリンダ46を収縮させて苗植付部4を上昇させ、苗の植付深さが深くなり過ぎることを防止する。一方、検出値が俯角方向(下方)であるときは、コントローラ210は圃場深さが深くなり、苗植付部4と圃場面の間隔が広くなったと判断し、昇降油圧シリンダ46を伸張させて苗植付部4を下降させ、苗の植付深さが浅くなり過ぎることを防止する。
しかしながら、フロートセンサ58が角度変化を検出する度に苗植付部4を昇降させると、細かい凹凸が連続する場所では、頻繁に苗植付部4が昇降することになり、かえって苗の植付深さが定まらず、植付深さが不安定になる問題がある。これを防止するには、フロートセンサ58が設定値以上の角度を検出したときに昇降油圧シリンダ46を伸縮させる構成とする必要があるので、図18に示すとおり、ボンネット32の上部に昇降設定ダイヤル59を設ける。
該昇降設定ダイヤル59は、一方に回すと昇降油圧シリンダ46を伸縮させる角度が大きくなり、他方に回すと伸縮させる角度が小さくなるものである。なお、最大側または最小側を超える位置のどちらかに、フロートセンサ58がセンターフロート55の回動角度を検出しても昇降油圧シリンダ46を伸縮させて苗植付部4の作業高さを変更する制御を行わせない、昇降規制位置を設けてもよい。
図1から図6に示すとおり、前記施肥装置100は、肥料ホッパに貯留されている粒状の肥料を、各苗植付条毎に設けられている繰出部61によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62でセンターフロート55、サイドフロート56及びアウタフロート57の左右両側に取り付けた施肥ガイド63まで導き、施肥ガイド63の前側に設けた作溝体64によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む構成となっている。
そして、ブロア用電動モータ66で駆動するブロア67で発生させたエアが、左右方向に長いエアダクト68を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で強制的に搬送する構成となっている
また、肥料ホッパは、左側肥料ホッパ60Lと、右側肥料ホッパ60Rとに一定の隙間を空けて分離されて配置されており、該右側の肥料ホッパ60Rの左右方向の中央部付近の下方には、施肥量調節モータ400が配置されている。また、該施肥量調節モータ400は、図6に示すとおり、運転席31を載置すると共にエンジン20の周囲を覆うエンジンカバー30の右側後方に、間隔を空けて配置する。
該施肥量調節モータ400は、図3、図5及び図6で示すとおり、施肥伝動機構300を介して伝達される駆動力を利用して肥料を設定量ずつ繰り出すための繰出部61から繰り出される施肥量を調節するための機構である。
該施肥量調節モータ400を、右側肥料ホッパ60Rの左右方向中央部付近の下方に配置したことにより、施肥量調節モータ400が左右の肥料ホッパ60L,60Rへの肥料の補給等の作業に干渉しない配置となるので、作業能率が向上する。また、左右の肥料ホッパ60L,60Rの前後方向の回動を規制しないので、肥料の排出時等に左右の肥料ホッパ60L,60Rを後方傾斜させて、残留している肥料を速やかに排出させることが妨げられない。
なお、左側の肥料ホッパ60Lと右側の肥料ホッパ60Rを含む構成が、本発明の貯留ホッパの一例である。
作業終了後に前記左右の肥料ホッパ60L,60Rに残った肥料は、付着や腐食を防止すべく、取り出す必要がある。肥料の排出作業を行うべく、図3から図6に示すとおり、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bよりも上方で、且つ各繰出部61の後部には、作業切替レバー69の操作により開閉する切替シャッタ77が開閉自在に設けられており、該作業切替レバー69を施肥側に操作すると各切替シャッタ77が閉じ、排出側に操作すると各切替シャッタ77が開いて肥料が排出通路78に移動可能になる構成としている。該排出通路は、機体後方に向かって下方傾斜している。
前記左右の肥料ホッパ60L,60Rの後側下部には、該排出通路78から排出された肥料を機体側方の排出口79aに移動させる排出ダクト79が左右方向に配置されている。該排出ダクト79の一側端部は前記ブロア67に接続されており、前記作業切替レバー69を施肥側に操作するとエアダクト67に搬送風が吹き込まれ、排出側に操作すると排出ダクト79に搬送風が吹き込まれる構成である。
上記により、作業切替レバー69を排出側に操作して各条の切替シャッタ77を開くと、肥料が各排出通路78を通じて排出ダクト79に移動し、排出ダクト79内に吹き込む搬送風により肥料が排出口79aに運ばれ、排出される。該排出口79aには回収用の袋やバケツを臨ませておくが、吹き出される肥料の拡散を抑えるべく、細かい網目の排出ホース79bを設けておくと、肥料の散らばりが防止され、肥料の回収量が増加する。
前記苗植付部4の下部には、苗の植付深さを安定させるべく、圃場面の凹凸を均す整地ロータ27を設ける。該整地ロータ27は、図14及び図15に示すとおり、機体左右一側の後輪ギアケース18Lの機体内側で、且つ後車軸18bよりも機体上側に基部側が配置されるロータ伝動軸28から駆動力を受けて回転するものであり、土質が硬い圃場であっても凹凸を均すことが可能である。
また、ロータ伝動軸28の基部が後車軸18bよりも機体上側に配置されることにより、圃場面からの離間距離が広くなり、後輪18が跳ね上げた泥土が付着しにくく、泥土の除去作業に要する労力が軽減されると共に、泥土による破損が防止される。
さらに、後輪ギアケース18Lにロータ伝動軸28を装着することにより、後輪18への駆動力を用いて整地ロータ27を回転させることができるので、整地ロータ27への伝動経路を別に構成する必要がなく、部品点数の削減や構造の簡潔化が図られる。
一方、図3、及び図14及び図15に示すとおり、機体左右他側の後輪ギアケース18Rの機体内側で、且つ後車軸18bよりも機体前側には、前記施肥装置100の施肥伝動機構300へ伝動する施肥伝動出力軸461を設けると共に、該施肥伝動出力軸461への伝動を入切する施肥クラッチ機構460を設ける。
前記後輪ギアケース18Rに設ける施肥伝動出力軸461から施肥伝動機構300に伝動することにより、後輪18への駆動力を用いて施肥装置100を作動させることができるので、施肥装置100への伝動経路を別に構成する必要がなく、部品点数の削減や構造の簡潔化が図られる。
さらに、後輪ギアケース18Rから施肥装置100の駆動力が伝動されることにより、走行車体2の走行速度に連動して第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bが回転するので、肥料の供給間隔が空き過ぎて肥料が供給されない位置が生じることや、供給間隔が狭まり過ぎて肥料が過剰に供給される位置が生じることが防止され、肥料の過不足による生育不良や、生育のバラつきの発生が防止される。
なお、施肥伝動機構300の詳細構造、ならびに施肥伝動出力軸461から施肥装置100への伝動については、後述する。
そして、図7に示すとおり、前記走行車体2には左右の後輪11の回転パルスを検出する左右の後輪回転センサ11aを設け、該後輪回転センサ11aの検出値からコントローラ210が走行速度を算出する構成とすると共に、左右の検出値の差異から作業走行(直進走行)であるか、旋回走行であるかを判断可能に構成している。
圃場端で旋回するとき、苗植付部4等の作業装置は上昇させ、圃場面から離間させる必要があると共に、上昇中は植付クラッチ24等の作業クラッチを切り、旋回中は作業装置を停止させる必要がある。また、旋回後は作業装置の下降操作、及び作業クラッチの入操作が必要となる。
これらの操作を旋回の前後で行うと、作業者は操縦ハンドル34以外の操作を行なう必要があるので、操作が煩雑になる。さらに、作業装置の昇降や作業クラッチの入切が適切な位置で行えず、作業位置の重複、あるいは作業が行われない位置が発生し、作業精度が低下する。
上記の問題に対応すべく、図7及び図19に示すとおり、操縦ハンドル34の操作角度を検知するハンドルポテンショメータ34aを設け、該ハンドルポテンショメータ34aが旋回開始角度を検知すると、コントローラ210は昇降油圧シリンダ46を収縮させて苗植付部4を上昇させると共に、植付クラッチ24を切状態にする。これと同時に、左右の後輪回転センサ11aの回転数の記録を開始する。なお、旋回内側の後輪11への伝動は、操縦ハンドル34の操作に連動してミッションケース12内のサイドクラッチ機構(図示省略)が切状態になることで遮断されるので、旋回外側と旋回内側の後輪回転センサ11aの回転数の差が大きくなり、これにより旋回方向が判定される。
そして、前記旋回内側の後輪回転センサ11aの回転パルスが所定値に到達すると、コントローラ210は昇降油圧シリンダ46を伸張させて苗植付部4を下降させる。さらに、苗植付部4の下降後の回転パルスが所定値に到達すると、コントローラ210は植付クラッチ24を入状態にする。これにより、旋回連動制御が構成される。
上記により、旋回時は操縦ハンドル34の操作だけで苗植付部4の昇降と植付クラッチ24の入切操作ができるので、作業者は旋回操作に集中することができ、操作性が向上する。
また、後輪回転センサ11aの検出パルスにより苗植付部4の下降、及び植付クラッチ24の入操作が自動的に行われるので、植付作業の開始位置を植付作業の終了位置に揃えることができ、作業精度が向上する。
なお、上記の旋回連動制御は、ボンネット32に設ける連動入切スイッチ36によって入切可能とする。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく左右一対の予備苗枠38が設けられている。該左右の予備苗枠38のうち、左右どちらか一側、あるいは両方の下部には、予備苗枠38から独立して回動する、肥料袋等の作業資材を機外から積み込み、走行車体2側に移動させる資材搬送装置600を設ける。
図20及び図21に示すとおり、該資材搬送装置600は、苗枠フレーム38a上に回動可能に設ける第1回動アーム601と、該第1回動アーム601に回動自在に設ける第2回動アーム602と、該第2回動アーム602の端部に回動自在に設ける資材載置台603で構成する。また、苗枠フレーム38aには第1回動アーム601の回動を規制するロック装置を、第1回動アームには第2回動アーム602の回動を規制するロック装置を設けてもよい。
上記の資材搬送装置600を使用するときは、第1回動アーム601及び第2回動アーム602を回動させて機体前側に突出させると、資材載置台603が走行車体2よりも機体前側に突出するので、圃場外から容易に肥料袋等の作業資材を載置することができる。そして、この状態で第1回動アーム601を機体後方に向かって回動させると、資材載置台603は円弧を描いて機体側方に突出し、走行車体2の上方まで移動する。このとき、資材載置台603は左右の肥料ホッパ60L,60R、及び苗植付部4の上部に接近するので、肥料や苗の補充を行う際、作業者が肥料袋や苗を持って移動する距離が短くなり、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
一方、資材搬送装置600を収納するときは、第1回動アーム601を機体後方に向かって回動させると共に、第2回動アーム602を機体前側に向かって回動させる。これにより、資材載置台603が予備苗枠38の下方に位置するので、収納時等に資材搬送装置600が機体外側や機体前側に突出することが防止され、周囲との接触で資材搬送装置600が破損することが防止される。
なお、左右一側に資材搬送装置600を設けるとき、反対側の予備苗枠38の下部には、作業資材や苗を積載する補助載置台610を設ける。
図1及び図2に示すとおり、走行車体2の前側左右両側で、且つ左右の予備苗枠38よりも機体後側に、圃場に直進の目安となるガイド線を形成する左右の線引マーカ16を各々設ける。該左右の線引マーカ16は、圃場に接触する水車マーカ16aと、該水車マーカ16aを装着するガイドロッド16bと、該ガイドロッド16bを機体外側及び内側に回動させるマーカ回動モータ16cで構成する。
前記左右の線引マーカ16は、植付作業中は左右一側が下降して作業状態になると左右他側が上方に退避し、旋回走行すると左右一側が上方に退避し、左右他側が作業状態になる制御構成とする。旋回時や植付作業をしていないときは、左右の線引マーカ16のいずれも上方に退避した状態になる。左右の線引マーカ16が形成したガイド線に、走行車体2の前端部で且つ左右中央に設ける、センターマスコット17を合わせることで、前の作業位置に沿った植付作業を行なうことができるので、作業能率や植付精度が向上する。
なお、圃場の土質によっては、左右の線引マーカ16により形成したガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このとき、前記左右の線引マーカ16よりも機体後側に設ける左右のサイドマーカ19を機体外側方向に移動させ、植え付けられた苗の上方に該サイドマーカ19を位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能になる。
前記左右の前輪10には、左右の前輪10間の肥料濃度を検知する肥料濃度センサ700(図1、図7参照)が各々設けられている。
該肥料濃度センサ700は、環状の電極板で構成され、前輪10の機体内側または外側で、且つ土壌や水中に近い外周縁部付近に配置される。
図22及び図23には、肥料濃度センサ700と、肥料濃度センサ700が検出した肥料濃度を伝達する構成を示している。前輪ファイナルケース13の下部ケース13bは、キングピン13cや前車軸10aを回転させるベベルギア13eを内装する走行ケース13baと、肥料濃度センサ700が検出した肥料濃度を伝動するハーネス702を接続するスリップリング701を内装する検出ケース13bbで構成される。前車軸10aは、該走行ケース13baと検出ケース13bbを貫通して機体外側に突出し、この突出部に肥料濃度センサ700を装着した前輪10を設ける。
前記肥料濃度センサ700に接続されたハーネス702は、前輪10の機体内側から機体外側に取り出され、前輪10の機体外側の中心部に設ける車軸カバー10b内で屈曲させ、前車軸10aに沿ってスリップリング701に接続される。該スリップリング701からコントローラ210には、検出ケース13bbに取り付ける伝動ケーブル703を介して検出値が送信される。なお、前記ハーネス702は複数のハーネスを、車軸カバー10b内及び検出ケース13bb内に設けるカプラ704で連結し、メンテナンス等着脱が必要なときにハーネスを簡単に外せる構造とする。
前記キングピン13cの下部やベベルギア13eは、回転による摩耗や焼き付きを防止すべく、グリスやオイル等の潤滑剤を必要とする。従来、前輪ファイナルケース13の内部には潤滑剤を大量に封入し、摩耗や焼付を防止する必要がある部材を潤滑剤に浸している。
しかしながら、スリップリング701やハーネス702に潤滑剤が接触していると、潤滑剤が通電性に影響を与え、正確な肥料濃度がコントローラ210に送信されなくなることがある。これを防止すべく、下部ケース13bを走行ケース13baと検出ケース13bbを別体で構成し、前車軸10aはシールベアリング10dを介して装着することで、走行ケース13baには潤滑剤を封入し、検出ケース13bb内には潤滑剤が入り込まない構成とする。なお、検出ケース13bbの機体外側を前車軸10bが貫通する位置にもシールベアリング10dを設け、前車軸10bから圃場の水や泥土が検出ケース13bb内に入り込むことを防止する構成とする。
上記により、キングピン13cやベベルギア13eの摩耗や焼き付きを防止しつつ、肥料濃度センサ700の検出値を正確に送信することができるので、耐久性の低下を防止しつつ、施肥量の正確な算出が可能になる。
また、ハーネス702が機体外側に突出する前車軸10aの端部を車軸カバー10bで覆うことにより、ハーネス702のカプラ704による接続部に水や泥土が浸入することを防止できるので、肥料濃度センサ700の検出値を正確に送信され、施肥量の正確な算出が可能になる。
前記肥料濃度センサ700に電気を流すと、前輪10の左右間の土壌、または水に含有される肥料濃度によって電気抵抗が変化するので、電気抵抗の変化がその地点の肥料濃度の信号としてコントローラ210へ送られる。なお、電気抵抗は、肥料濃度が高い、即ち電解質が多い状態では電気が流れやすいので低くなり、肥料濃度が低い、即ち電解質が少ない状態では電気が流れにくいので高くなる。
なお、前記肥料濃度センサ700は、左右の後輪11に設けてもよい。
また、図1や図21に示すとおり、前記左右の予備苗枠38を各々支持する左右の苗枠フレーム38aに、機体前側に突出する取付アーム721を各々設け、該左右の取付アーム721の前端部に圃場の深度を検出する深度センサ720を各々設ける。該深度センサ720は、超音波やレーザー光の反射により水面、または土壌表面までの深さを測定するものであり、測定されたその場の深さがコントローラ210に送信される。該コントローラ210は、その場所の深さに合わせて前記肥料濃度センサ700が検知した肥料濃度を補正する。
予備苗枠38の下部には、資材搬送装置600が回動可能に設けられているが、該資材搬送装置600を機体前側に突出させる際、回動範囲に深度センサ720が位置するので、資材搬送装置600が深度センサ720の姿勢を歪ませて深さが正確に検出できなくなることや、深度センサ720を破損させることがある。
これを防止すべく、収納状態における第1回動アーム601の先端部に、資材搬送装置600の回動を規制する回動規制体605を設け、資材搬送装置600を回動させた際、深度センサ720に接触するまで回動しない構成とする。
また、前記深度センサ720は、圃場面を向く下部側に水や泥土が付着すると、正確な深度の検出ができなくなり、誤った深度をコントローラ210に送信するおそれがあるので、左右の前輪10が跳ね上げる水や泥土がほぼ届かない高さ、例えば、接地面から700mm以上の位置に配置する。
さらに、前記深度センサ720が平面視で前輪10の真上に位置することを防止すべく、前記取付アーム721を苗枠フレーム38aの機体外側に配置し、該深度センサ720が前記前輪10の機体外側端部から200mm以上機体外側で、且つ機体前端部から50mm以上機体前側に配置される構成とする。
上記により、深度センサ720に水や泥土が付着することを防止できるので、圃場の深度が正確に検出されず、コントローラ210が誤った施肥量を算出することが防止される。
前記深度センサ720は走行車体2の前側に位置しているので、前記サスペンション機構14が機能すると、圃場面から深度センサ720までの上下間隔が変化する。この間隔の変化をそのまま適用すると、深度センサ720の検出値と実際の圃場深度に差が生じ、コントローラ210が誤った施肥量を算出するおそれがある。
上記を防止すべく、該コントローラ210は、後輪11の車軸中心から深度センサ720までの距離L1と、後輪11の車軸中心からストロークセンサ14aまでの距離L2から算出される距離比L3を用いて、検出された深度を補正して実際の圃場深度に近付ける構成とする(L1/L2=L3)。
前記施肥装置100から繰り出される肥料は、施肥ホース62を通過して施肥ガイド63から肥料溝に供給されるので、肥料を繰り出してから圃場に到達するまでのタイムラグが生じる。前記肥料濃度センサ700及び深度センサ720を走行車体2の前側に設けたことにより、圃場の肥料濃度や深度を先行して検出することができるので、コントローラ210が算出した施肥量に合わせて施肥量調節モータ400が作動する時間がかかっても、変更後に繰り出された肥料を適切な位置に供給することが可能になる。
前記施肥装置100の肥料の供給ペースは、走行車体2の走行速度に合わせて施肥伝動機構300が駆動力を伝動することで変更されるが、走行車体2が最高速であっても肥料が施肥ガイド63から排出されるタイミングが遅れてはならない。
このとき、走行車体2の最高走行速度を1.8m/秒、施肥装置100から繰り出された肥料が施肥ガイド63に到達する時間を1.3秒とすると、深度センサ720の装着位置から施肥ガイド63までの距離を2500mmとしておけば、最高速で作業をしているときでも問題なく肥料が必要な位置に供給される構造になる。
上記の深度センサ720の検出値については、走行車体2の走行速度や、作業場所の環境、例えば作業時の風の強弱や作業位置の影響を受けやすい。特に、苗の植付作業を同時に行うときは、圃場に水が張られているので、影響が大きくなる傾向にある。施肥量の正確性を向上させるには、影響を受けた検出結果を除外する必要がある。
例えば、図24に示すとおり、作業の開始時、即ち走行車体2の走行速度が非常に遅い状態、即ち植付クラッチ24が入状態になってから所定時間内(例:1秒)に検出した深度センサ720の検出値を基準とし、この基準値と大きく異なる深度(例:±200mm以上)が一時的(例:1秒未満)に検出されたときは、風等による波の影響を受けていると判断し、コントローラ210は該当する深度を除外し、除外された深度の直前に検出された深度を替わりに当てはめる。基準深度は、旋回開始時に破棄し、次に植付クラッチ24が入状態になると新たに検出する。
水面の波立ちは、風の強いときだけでなく、走行車体2の走行速度が速く、前輪10や後輪11が水を掻き分けることによっても生じ得る。これにより、基準値と大きく異なる深度が所定時間内に連続して検出されたときは、走行車体2の走行速度が速過ぎるので、コントローラ210はHST23の出力を低下させ、走行速度を減速させる。
なお、走行速度が自動低下することが望ましくないのであれば、図7に示すとおり、ブザーやランプ等の報知装置211を設け、基準値と大きく異なる深度が所定時間内に連続して検出されると該報知装置211が作動し、作業者に減速を促す構成としてもよい。
図25に示すとおり、圃場端での旋回後、植付クラッチ24が入状態になってから所定時間(例:2〜3秒)の範囲、即ち作業開始時の位置で検出される深度は除外し、前の作業位置の旋回終了時に検出された深度を当てはめる。旋回終了後は苗植付部4等の作業装置が作業高さまで下降するので、機体の重心が後寄りになり、深度センサ720を設ける機体前側が浮き上がりやすい。これにより、旋回後に検出される深度は実際の深度と異なる深度となるおそれがあるが、旋回前の安定した深度を当てはめることにより、検出された深度と実際の深度の差が大きくなり過ぎることが防止され、適切な施肥量が算出される。
また、苗植付部4等の作業装置や施肥装置100等の重量物が走行車体2の後側に配置されることにより、走行車体2の走行速度が速いほど機体前側が浮き上がりやすい。あるいは、圃場が深いと苗植付部4等の作業装置の作業高さが低位置になるので、走行車体2の前側は浮き上がりやすい。これにより、深度センサ720が検出する深度は実際の深度と異なる深度になるので、コントローラ210は深度を深く補正する。
なお、走行車体2に上下方向の傾斜(ピッチング)を検出する傾斜センサ740を設け、コントローラ210は、該傾斜センサ740が検出する走行車体2の傾斜角度に合わせて深度の補正量を変更すると、検出する深度と実際の深度の差を小さくすることができる。
前記走行車体2は、前輪10をサスペンション機構14で受けていることにより、凹凸が小さい位置でも機体前側には僅かな上下動が生じる。特に、走行速度が高速であるほど、上下動量は大きくなり、深度センサ720の検出深度に影響が生じる。図26に示すとおり、このサスペンション機構14による影響を軽減すべく、コントローラ210は、走行車体2の走行速度が速いほど、深度の補正値を大きくすると共に、短い間隔で適用する。
これにより、検出される深度と実際の深度の差を小さくすることができ、施肥量の適正化が図られる。
あるいは、図27に示すとおり、高速時は施肥位置も高速で変化するので、サスペンション機構14の影響を検出深度から除く補正を行うと、施肥量の変更が追いつかず、異なる量の肥料が供給されるおそれがあるので、走行速度が所定速度以上であるときは、深度の補正を行わない構成としてもよい。
圃場端の付近、所謂枕地は圃場面に凹凸が生じやすく、また圃場端に近いほど土壌が硬くなる傾向にある。また、圃場端に到達した波が跳ね上がるので、水面も安定していないので、深度センサ720が検出する圃場端側の深度は、実際の苗の植付等の作業に適した深度でない可能性が高い。
さらに、図7に示すとおり、深度センサ720を予備苗枠38に回動可能に装着し、深度センサ720の回動を制御するサーボモータ722を設けると共に、深度センサ720が圃場面を基準として垂直姿勢であるか否かを検出する水平センサ723を設け、深度センサ720が常に圃場面を基準として垂直姿勢とする構成としてもよい。
図28に示すとおり、水平センサ723は加速度センサを用い、深度センサ720が回動して垂直位置まで移動したことを検出すると共に、サーボモータ722で深度センサ720の回動を停止させる構成とすると、走行車体2の傾斜等の影響を受けることなく深度センサ720が深度の検出を行えるので、より詳細な深度の検出が可能になる。
前記植付装置52は、図29及び図30に示すとおり、2条毎に伝動を入切可能な部分条クラッチ90…を、本件の8条植えの田植機であれば4つ備えており、苗植付部4には該部分条クラッチ90…を左右どちらかの端から順に入切する部分条入切装置91を備えている。該部分条入切装置91は、入切モータ92と、該入切モータ92により回転する部分条入切ギア93で構成され、部分条入切ギア93の回転により、各部分条クラッチ90を入切する部分条入切ワイヤ94…が移動する構成である。
前記入切モータ92の操作は、図18に示す、ボンネット32に設ける部分条入切スイッチ95…によって操作する。該部分条入切スイッチ95…のうち、左右どちらか一端の部分条入切スイッチ95が操作されていないときは、他の部分条入切スイッチ95を操作しても入切モータ92は作動しない。左右どちらか一端の部分条入切スイッチ95が操作された状態で、隣接しない部分条入切スイッチ95が操作されたときは、入切モータ92は作動し、操作された部分条入切スイッチ95に該当する位置まで部分条クラッチ90…を切状態にする。左右一端の部分条入切スイッチ95を操作し、次に左右他端の部分条入切スイッチ95を操作すると、全ての部分条クラッチ90…が切状態になる。
上記により、圃場端での植付作業条数を苗植付部4の条数、本件では8条とすべく、圃場端に隣接する作業条での植付条数を容易に調節することができるので、苗が重複して植え付けられることがなく、苗の消費量が抑えられる。
あるいは、苗植付部4では苗の植付が行えないが、苗を植え付けるには十分なスペースが生じることを防止できるので、作業者が手作業で苗を植え付ける必要がなく、作業者の労力が軽減される。
なお、コントローラ210は、ハンドルポテンショメータ34aが旋回操作角度を検出したときに部分条入切スイッチ95の操作をリセットし、旋回終了後は全ての部分条クラッチ90…を入状態とする。これにより、部分条クラッチ90…の一部が切れたまま植付作業が行われることが防止され、苗の植え付けられない区間の発生が防止される。
上記入切モータ92の作動量、あるいは部分条入切スイッチ95…の操作から、コントローラ210は圃場端が機体左右のどちらかを判定できる。このとき、図31に示すとおり、圃場端側と判定された側の深度センサ720の検出値は施肥量の計算から除外し、他方の深度センサ720の深度のみを用いることで、算出される施肥量と実際に必要な施肥量の差が小さくなり、施肥量の安定化が図られる。
なお、圃場の深度をさらに詳細に算出すべく、図7に示すとおり、左右の深度センサ720に加えて、走行車体2の左右中央で且つ機体前端位置にも深度センサ720を設けてもよい。該中央及び左右の深度センサ720の検出する深度は、左側の検出深度DL+右側の検出深度DR+中央の検出深度DC/3により算出される。
前輪10等の影響を受けにくい左右中央の深度を検出し、左右の震度と合わせて平均値を算出することにより、より正確な深度を取得することができるので、算出される施肥量と実際に必要な施肥量の差が小さくなる。
なお、上記3つの深度センサ720で算出した深度から、走行車体2の左右方向(ローリング)傾斜を検出することができるので、コントローラ210は苗植付部4のローリング機構4aを作動させ、検出深度の深い側を下方、浅い側が上方に位置する姿勢とし、圃場面を基準として苗植付部4を略水平姿勢とする構成とすると、機体左右方向で苗の植付深さが異なることが防止され、苗の植付深さがいっそう安定する。
土壌面は、土の量が多い深部ほど肥料の含有量が多くなる傾向にあるので、前記肥料濃度センサ700の通電抵抗に基づく肥料濃度と実際の肥料濃度は異なることがある。施肥量が実際に必要な量と異なることを防止すべく、検知された肥料濃度と深さから、土壌肥沃度を算出する。土壌肥沃度は、肥料濃度/深さで算出され、この土壌肥沃度に合わせて施肥量調節モータ400を作動させ、施肥量を変更する。
なお、肥料濃度センサ700の通電量が急激に低下すると共に、深度センサ720が検出する深度が急激に深くなると、圃場外に出て肥料濃度センサ700が空気に触れると共に、深度センサ720が水面でなく地面を検出しているので、その圃場での作業が終了したと判断する構成としてもよい。
さらに、前記センターフロート55の後端部に水または土壌の温度を測定する温度センサ730を設け、該温度センサ730が測定した温度がコントローラ210に送信される。温度により電気の流れやすさが変動するので、該コントローラ210は検知された温度に基づき、肥料濃度を補正する。コントローラ210には標準温度を設定しておき、この標準温度よりも高温であれば肥料濃度を高く補正し、低温であれば低く補正すると共に、標準温度と同一であれば、肥料濃度の補正は行わない。
そして、操作ハンドル34よりも前方で、且つボンネット32の左右中央上部には、GPS(Global Positioning System)機能を備えたGPS受信機710(図2参照)が搭載されており、その受信信号はコントローラ210へ送られる(図7参照)。
上記により、走行車体2を走行させて圃場の位置毎の土壌肥沃度を検出すると、位置毎に施肥装置100の施肥量を増減させる、あるいは現在の施肥量を維持して、苗の生育に必要となる肥料を位置毎に適量供給する、所謂可変施肥作業を行うことができるので、肥料の過不足により苗の生育速度が乱れ、後工程である追肥や収穫作業の能率が低下することや、適切な時期に適切な作業が施されなかった箇所の収穫物の品質の低下が防止される。
圃場の位置毎の施肥量は、GPS受信機710が取得する位置座標情報に紐付けられ、該位置座標情報と位置毎の施肥量を記録することで、同じ圃場で次回以降に作業する時は、記録に基づき肥料を用意したり、作業時期を調整したりすることができるので、肥料の過不足が防止されると共に、前回と類似する作業条件で作業ができ、作業能率や施肥精度の向上が図られる。
上記の位置座標情報と位置毎の施肥量の記録は、図7に示すとおり、コントローラ210に設ける送受信機(図示省略)を介してタブレットコンピュータ等の情報端末800に送信し、該情報端末800の記憶装置(HDD、SSD等)に記録する。そして、該情報端末800には記録された位置座標情報と圃場情報、位置毎の施肥量のデータベース、及び作業マップを生成する作業管理アプリケーション810をインストールしておき、入力された情報を体系的且つ視覚的に纏める構成とする。
さらに、前記作業管理アプリケーション810は、情報端末800から操作可能とし、作業データや作業マップの呼び出し、コントローラ210との情報のやり取り等を操作可能とする。この操作は、タッチパネル式の画面に表示されるアイコンを操作するものとすると、作業性が向上する。
しかしながら、圃場によって肥料濃度や深度等の条件は異なるので、上記の可変施肥作業を行うには、基準となる施肥量を事前に決めておく必要がある。
この基準施肥量を算出するべく、可変施肥作業を開始する前に、作業圃場の所定区間の圃場情報、即ち、肥料濃度、深さ及び水温を測定するティーチング作業が必要となる。
ティーチング作業は、前記作業管理アプリケーション810に組み込む開始アイコン820a、またはボンネット32に設ける開始スイッチ820bを操作し、その地点から走行車体2が所定距離を走行したことが検知されたときに開始される。
図8に示すとおり、上記の走行車体2の移動距離は、前記後輪回転センサ11aの検出値から算出する。そして、前記ハンドルポテンショメータ34aが検知状態になると、走行が一工程分行われたと判断して、第1移動距離を記録する。さらに、操縦ハンドル34が旋回終了方向に操作されたことが検知されると、次の作業工程の移動距離の測定を開始し、その後操縦ハンドル34が旋回開始方向に操作されたことが検知されると、第2移動距離を記録する。
ここで、前記コントローラ210は、第1移動距離と第2移動距離を比較し、移動距離の差が設定値未満であれば、作業走行が行われていると判定する。移動距離の差が設定値以上であるときは、最初に取得した第1移動距離を破棄し、次工程で取得する第3移動距離と第2移動距離を比較する。
作業走行が行われていると判断されたときは、旋回走行後に後輪回転センサ11aが所定距離の前進を検知するとティーチング作業を開始し、検知された肥料濃度、圃場の深度及び水温、即ち圃場情報をコントローラ210の記録領域に、GPS位置情報に紐付けて記録する。このティーチング作業は、第1移動距離または第2移動距離、あるいはこれらの平均距離を移動したとき、あるいは操縦ハンドル34が旋回開始方向に操作されると終了し、コントローラ210は検出された圃場情報の標準偏差から、基準施肥量を算出する。
その後コントローラ210は、検出される圃場情報と基準施肥量に基づき施肥量の増減または現状維持を判断し、施肥量調節モータ400を作動させて施肥量を調節する。これにより、必要な個所に適量の肥料が供給され、苗全体の生育の均一化が図られると共に、後工程作業時期の適正化や、収穫物の品質向上が図られる。
なお、ティーチング作業が開始されるまでに検出した圃場情報は、記録しないか、あるいはデータとして記録はするが基準施肥量の算出には用いないものとし、算出される基準施肥量の正確性の向上を図る。あるいは、ティーチング作業の開始時までは、圃場情報を取得しない構成としてもよい。
ティーチングを旋回直後ではなく、所定距離移動した位置、具体的には肥料濃度や深度の差が大きい圃場端付近から離れた位置から開始することにより、標準偏差が大きくなりにくくなるので、基準施肥量の正確性が向上する。
図7に示すとおり、ミッションケース12内のギア伝動機構(図示省略)を切り替えて、走行車体2の走行伝動を圃場内で作業をする際の「作業速」と、路上を移動する際の「移動速」に切り替える副変速切替レバー900を設け、該副変速切替レバー900の操作位置を検知する副変速ポジションセンサ910を設ける。
該副変速ポジションセンサ910により、副変速切替レバー900が「移動速」に操作されていることが検知されると、その圃場での作業終了とみなす構成とする。このとき、情報端末800には、取得されたGPS座標、肥料濃度、深度、温度、施肥量の切替、基準施肥量等の作業情報を作業マップとして記録する。
なお、先に情報端末800またはボンネット32に設ける作業終了部860を操作しておき、続いて副変速切替レバー900を「移動速」に操作すると、作業終了とする構成としてもよい。
なお、圃場内で副変速伝動機構を「移動速」に操作することは基本的にないので、作業が終了したとみなす基準として最適である。
上記により、誤操作により、一つの圃場の圃場情報が分割されて取得されることを防止できるので、作業マップの数が増えることが防止され、作業計画の立てやすさが損なわれることが防止される。
また、次の圃場に移動する際、高速で走行すべく副変速切替レバー900を「移動速」にすると作業終了とみなすことにより、移動中に肥料濃度センサ700や深度センサ720の検出値がコントローラ210に取得されることを防止できるので、次の圃場の作業時に余分な情報が混ざることが防止される。
前記情報端末800は、作業時には走行車体2に置いておき、取得される圃場情報の変動を表示したり、記録されたデータを呼び出して走行車体2側の設定を操作する用途に用いられる。従来の作業装置において、情報端末800の積載部は備えられておらず、走行車体2上や予備苗枠38等の空きスペースに置いておくことになる。
これにより、情報端末800の表示情報を見るときや、操作するときには情報端末800を取りにいく必要があり、作業能率が低下する問題がある。また、情報端末800が走行車体2から圃場に落下するおそれもある。
また、情報端末800にはタッチパネル式の表示部を備えるものがあるが、圃場内での作業は作業者の手が汚れやすいので、数回操作すると汚れでタッチパネルが操作を受け付けなくなり、操作性が著しく低下することがある。
この問題を解決すべく、図32(a)から(d)に示すとおり、予備苗枠38の左右どちらか一側のうち、ボンネット32側、即ち機体内側に端末受部801を設ける。該端末受部801は、前後の受部プレート802と、該前後の受部プレート802の左右一側、即ち機体外側に設ける放熱プレート803と、前後の受部プレート802の左右他側、即ち機体内側に設ける表示プレート804で構成する中空の箱であり、情報端末800が内装される大きさとする。また、底部プレート805を設けるが、上方は情報端末800を出し入れすべく、開放状態とする。
前記放熱プレート803は複数の放熱窓803b…を切り欠き、情報端末800の熱が空冷される構成とする。そして、表示プレート804には、情報端末800の表示部を遮らず、且つ情報端末800が出てこない大きさの切り欠きを一つ形成し、表示内容を視認可能に構成する。
さらに、前記前後の受部プレート802に密着する前後クッション802a,802aを各々設け、前記充電ケーブル806を設ける側には、充電ケーブル806の端部が通過する切り欠き部を形成したケーブル保護クッション806aを設け、前後クッション802aとケーブル保護クッション806aの間に生じる空間部に充電ケーブル806を通して、情報端末800に接続するものとする。前後クッション802aとケーブル保護クッション806aの面積及び形状は、受部プレート802の面積及び形状と同じとする。なお、ケーブル保護クッション806aを充電ケーブル806を設けない側にも設け、部品の共用化を図ってもよい。
また、前記底部プレート805には、情報端末800に電力を供給する充電ケーブル806を通す充電穴部(図示省略)を形成し、該充電穴部を避ける切り欠きを形成した底部クッション805aを設ける。該底部クッション805aは、底部プレート805と同じ面積、同じ形状とする。
この状態で情報端末800を端末受部801に配置し、情報端末800の上部に、蓋クッション807を設ける。該蓋クッション807には上部に取っ手807aを形成し、着脱自在に構成する。なお、蓋クッション807の形状と面積は、底部プレート805と同じとする。
そして、放熱プレート803及び表示プレート804の下部には各々フックピン803a,804aを前後に2つ設け、該フックピン803a,804aに亘って放熱プレート803及び表示プレート804の切り欠きを覆う透明カバー808を着脱自在に装着する。なお、透明カバー808は、透明カバー808を介して情報端末800のタッチパネルを操作可能な素材で構成すると、操作時に透明カバー808を着脱する必要がなく、作業能率が向上する。
なお、前記前後クッション802a、底部クッション805a、ケーブル保護クッション806a及び蓋クッション807は水を吸収しない樹脂で形成する防水材で構成し、雨天であっても水が情報端末800に届かない構成とする。
上記により、情報端末800が衝撃や水で破損することが防止されると共に、走行車体2から落下することを確実に防止できるので、情報端末800が使いやすく、且つ破損することが防止される。
以下、施肥装置100の各部の構成について更に説明する。
図3から図6に示すとおり、右側肥料ホッパ60Rは右側の4条分が共用で、上部に開閉可能な蓋60aが取り付けられている。右側肥料ホッパ60Rの下部は施肥条数分(4条分)に分岐して漏斗状の流下部60bを形成しており、該流下部60bの下部が各繰出部61の上端に接続されている。左側肥料ホッパ60Lについても上記構成と同じである。
図4に示す通り、繰出部61は、右側肥料ホッパ60R内(又は、左側肥料ホッパ60L内)の肥料を下方に繰り出す2個の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bを内蔵している。該第1及び第2繰出ロール73A,73Bは、外周部に溝状の凹部74が形成された回転体で、左右方向に設けた共通の繰出軸75の角軸部75a(図示例は四角軸)にそれぞれ一体回転する構成で嵌合している。なお、繰出軸75の駆動源については、図3を用いて後述する。
また、上記左右の肥料ホッパ60L及び60Rの下部の流下部60bの下方と繰出部61の間には、枠形状のシャッタケース80を各条に設け、該シャッタケース80の前後に形成された左右方向に長く上下方向に短いシャッタ穴80aに、板形状の施肥シャッタ81を摺動自在に設ける。
上記の施肥シャッタ81を設けたことにより、施肥シャッタ81を摺動させて流下部60bに落下規制部81cを臨ませておくと、作業圃場への移動時に繰出部61に肥料が溜まることを防止できるので、肥料が繰出部61内で塊になり、第1繰出しロール73Aや第2繰出しロール73Bに設定量の肥料が供給されず、肥料不足による作物の生育不良の発生が防止される。
従来は、肥料ホッパに投入された肥料は幅の狭い流下部60bを経由して、同様に幅の狭い繰出部61に落下しており、肥料の自重によって塊になり、落下しないことがあった。特に、流下部60bや繰出部61の内部の壁面に集中的に付着してブリッジ化が生じると、ブリッジ化した箇所に落下した肥料はそのまま積もってしまい、設定量の肥料が供給されなくなる問題があった。
また、繰出部61に肥料の詰まり等が生じ、メンテナンス作業の必要が生じたときに、施肥シャッタ81によって肥料の落下を規制することができるので、左右の肥料ホッパ60L,60Rに肥料を残したまま後方回動させることができ、メンテナンス作業が能率よく行える。
従来は、メンテナンス作業時には肥料ホッパ内の肥料を一旦取り除く必要があり、メンテナンス作業に要する時間を余分に要していたが、上記構成により、作業時間の短縮が図られる。
また、前記第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bが図4の矢印方向に回転することにより、左側肥料ホッパ60L(又は、右側肥料ホッパ60R)から落下供給される肥料が凹部74に収容されて下方に繰り出される。第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bにより繰り出された肥料は、下端の吐出口61aから吐出される。
繰出部61の吐出口61aには、前端部がエアダクト68の背面部に前後方向に挿入連結されて、後端部が繰出部61の吐出口61aに連通する接続管(図示省略)が接続されている。
一方、エアダクト68の左端部はエア切替管(図示省略)を介してブロア67に接続されており、該ブロア67からのエアがエアダクト68を経由し接続管から繰出部61の吐出口61aを通過する際に、肥料を巻き込みながら施肥ホース62側に吹き込まれる構成としている。
また、図示例の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74の数は6個であり、両者の凹部74の位置が隣り合わない様にするために、その位相は異ならせて配置されている。これにより、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの各凹部74が交互に肥料を繰り出すこととなり、吐出口61aから吐出される肥料の量が時間的に均等化されている。
第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの何れかを繰出軸75から外して位相を適当に変更して付け直すことにより、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74の位相を等しくすることも出来る。これで、圃場に点状に肥料を散布するときに適用可能となる。
また、繰出部61の内部には、凹部74が下方に移動する側(前側)の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの外周面に摺接するブラシ76が着脱自在に設けられている。このブラシ76によって第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74に肥料が摺り切り状態で収容され、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bによる肥料繰出量が一定に保たれる。
そして、該施肥伝動駆動ロッド462から駆動力の伝達方向を機体前後方向に変更する中継ロッド463を左右方向に配置し、前記施肥伝動駆動ロッド462と中継ロッド463の間に、前記施肥伝動駆動ロッド462の上下動に連動して揺動連結支点ピン464aを支点として前後両端部が上下方向に揺動連結プレート464を配置すると共に、中継ロッド463の他端部に駆動力を後述する繰出回動アーム467に伝達するサブ駆動ロッド465を配置することにより、施肥伝動機構300が構成される。
該サブ駆動ロッド465は、右側の肥料ホッパ60Rの機体後部側の下方に配置されており、該サブ駆動ロッド465の上端部に、前記繰出軸75を施肥量に合わせて駆動回転させる繰出回動アーム467の後端部を連結する。そして、該繰出回動アーム467の前端部と前記繰出軸75を、施肥駆動アーム468で連結する。
施肥量の調節作業を容易にすると共に、前記コントローラ210が発信する信号に基づいて可変施肥作業を行うべく、図5及び図6に示すとおり、正逆自在に高速回転する施肥量調節モータ400を前記繰出回動アーム467よりも機体前側に配置する。そして、該施肥量調節モータ410にボールネジ420を回転可能に設け、該ボールネジ420の表面に形成された螺旋形状の溝に螺合して高速で機体前後方向に移動するボールナット430を設け、該ボールナット430の前後移動量を検知するストロークセンサ440を設けると共に、該ボールナット430に前記繰出回動ピン469を設ける。
前記施肥量調節モータ400は、モータケース400aに周囲を覆われており、該モータケース400aの上端面を前記施肥シャッタ81よりも機体下側に位置させて、前記右側の肥料ホッパ60Rの左右方向の中央部付近に配置している。具体的には、機体右端から数えて2条目と3条目の繰出部61,61、及び流下部60b,60bの左右間に生じている空間部に配置するものとする。
これに加えて、前記施肥量調節モータ400は、肥料を前記施肥ホース62に移動させる搬送風が通過する前記エアダクト68の上方で、且つ前記エンジンカバー30の機体右側後端部よりも機体右側で、且つ後方に配置するものとする。これに加えて、前記モータケース400aの前端部は、エアダクト68の機体前端部よりも機体前側に突出するものとする。
さらに、前記繰出回動ピン469は、前記ボールナット430の上下方向中央部よりも機体上側寄りに配置し、側面視で前記ボールネジ420とオフセットすると共に、該ボールネジ420よりも上方に位置する構成とする。
上記により、施肥量調節モータ400が施肥シャッタ81の開閉操作を妨げないので、施肥シャッタ81を作業状態に合わせて操作する際に部品の着脱等の作業を必要としないので、作業能率が向上する。
また、繰出回動ピン469よりもボールネジ420が機体下方に位置することにより、重量物である施肥量調節モータ400を機体下側寄りに配置することができるので、機体の低重心化が図られて走行姿勢が安定し、苗の植付精度や施肥精度が向上する。
そして、施肥量調節モータ400がエアダクト68の上方で、且つエンジンカバー30の後方で且つ機体右側に設けられることにより、施肥量調節モータ400やボールネジ420のメンテナンス作業を行う作業位置の周辺に空間部を形成することができるので、メンテナンス作業の能率が向上する。
さらに、施肥量調節モータ400のモータカバー400aがエアダクト68の前端部よりも機体前側に突出していることにより、作業者がエアダクト68に近付き過ぎることを防止できるので、作業者の足がエアダクト68に接触して踏み潰してしまい、肥料の搬送風が能率よく供給されなくなることが防止され、圃場に調節された施肥量に対応する肥料が供給される。
上記により、圃場に供給される肥料が不足し、苗が生育不良を起こすことが防止される。