JP2016196159A - 多層ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性に加え、印刷特性と透明性に優れた多層ポリプロピレンフィルムを提供する。
【解決手段】層(1)と層(2)の少なくとも2層からなる多層ポリプロピレンフィルムであって、層(1)は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、平均粒子径が1〜3μm、細孔容積が0.1〜0.5ml/g、吸油量が50〜150ml/100g、及び比表面積が100〜200m/gである定形非晶質シリカ(C)0.01〜0.2重量部からなる樹脂組成物(1)からなり、
層(2)は、プロピレン系重合体(B)100重量部に対し、平均粒子径が定形非晶質シリカ(C)より大きい無定形シリカ(D)0.1〜0.5重量部からなる樹脂組成物(2)からなり、さらに、層(2)の無定形シリカ(D)配合量が層(1)の定形非晶質シリカ(C)の配合量より大であることを特徴とする多層ポリプロピレンフィルムなど。
【選択図】なし

Description

本発明は、多層ポリプロピレンフィルムに関し、詳しくは、耐ブロッキング性、分散性及びフィッシュアイ特性に加え、印刷特性に優れ、透明性が良好な多層ポリプロピレンフィルムに関する。
従来、ポリプロピレン系樹脂は、良好な物性および成形性を有し、また、環境にやさしい材料として急速にその使用範囲が拡大している。例えば、その用途として、ポリプロピレンフィルムがあり、ポリプロピレンフィルムに求められる性能は、ますます高まってきている。中でも、アンチブロッキング性(または耐ブロッキング性ともいう。)は、フィルム成形時に巻き取られ、その後の二次加工時に繰り出す際にブロッキングを発生させることなく、安定的な加工を行うためには必要不可欠な性能である。その性能付与のために、通常、アンチブロッキング剤が好適な配合剤として用いられている。
また、ポリプロピレンフィルムは、食品包装材に代表される各種包装材として、広く使用されるため、印刷などの二次加工時に意匠性を損なうことは許されない。そのため、アンチブロッキング性(耐ブロッキング性)やスリップ性を付与するために、好適な配合剤として、通常、アンチブロッキング剤が使用されるが、このアンチブロッキング剤の分散性が悪いと、白斑、フィッシュアイ等の外観不良や印刷抜けが発生し、商品価値を低下させることから、分散性と印刷特性が良好なものが必要となってくる。
アンチブロッキング剤には、シリカに代表される無機系のものと、アクリル系やシリコン系などの有機系のものが存在するが、最終的に、フィルムへ添加された際の分散性、透明性、耐ブロッキング性などのバランスを考慮すると、無機系アンチブロッキング剤が用いられることが多い。
ところが、アンチブロッキング剤は、フィルムの表面に物理的な凹凸を形成するため、配合量が少なすぎると、耐ブロッキング性が得られず、一方、アンチブロッキング剤の配合量が多すぎると、表面に形成された凹凸に印刷インキが乗った際に、インキが十分転移されず、印刷抜けが発生し、意匠性を大きく損なうことがある。
そのため、印刷適性と耐ブロッキング性を両立すると共に、アンチブロッキング剤の分散性と透明性が維持されるポリプロピレンフィルムが求められている。
一方、先行技術として、特許文献1には、アンチブロッキング性、透明性および外観に優れると共に、金属の真空蒸着性を損なわないフィルムを製造しうるポリオレフィン樹脂組成物を提供するために、(A)MFRが10〜60(g/10分)のポリオレフィン樹脂100重量部に対して、(B)無機微粉末を5〜100重量部、および(C)脂肪族ジエタノールアミンを0.1〜20重量部含有することを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物が開示され、また、前記の(B)無機微粉末は、その平均粒子径が0.1〜10μmの酸化ケイ素であること、前記の(C)脂肪族ジエタノールアミンは、無機微粉末(B)の分散剤として作用することや、この樹脂組成物0.1〜10重量%と、ポリオレフィン樹脂90〜99.9重量%とからなる組成物は、フィルム成形用樹脂として好適である旨、開示されている。
また、特許文献2には、スリップ性、耐スクラッチ性、耐ブロッキング性、分散性、FE特性及び長期に渡る耐黄変性に優れ、透明性が良好なポリプロピレンフィルムを提供するために、プロピレン単独重合体またはプロピレン−α−オレフィン共重合体からなるプロピレン系重合体100重量部に対し、平均粒径1〜6μm、BET法による比表面積が50〜250m/gで、細孔容積が1ml/g以下、かつ吸油量が150ml/100g以下の球状合成シリカを0.01〜0.5重量部配合してなる樹脂組成物から得られるポリプロピレンフィルムが開示されている。
さらに、特許文献3には、耐ブロッキング性、耐傷付き性に優れ、白斑およびアンチブロッキング剤の脱落による汚れを改良し得る、二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂組成物、それからなる積層体および二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供するために、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、レーザー回折法による平均粒径が2.0〜4.0μm、BET法による比表面積が100〜400m/g、細孔容積が0.6ml/g以下であり、かつ表面処理剤で表面処理された定形球状シリカ(B)0.01〜0.5重量部、および酸変性ポリプロピレン(C)0.1〜10重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、それからなる積層体及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムが開示されている。
しかしながら、上記の特許文献に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られたポリプロピレンフィルムは、耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、印刷特性および透明性などの総合的な性能バランスについては必ずしも満足なものとはいえず、耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、印刷特性および透明性に優れたポリプロピレンフィルムが求められている。
特開2003−292687号公報 特開2008−208210号公報 特開2013−079343号公報
本発明の目的(課題)は、上記従来技術の問題点に鑑み、耐ブロッキング性、分散性及びフィッシュアイ特性に加え、印刷特性に優れ、透明性が良好な多層ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、多層ポリプロピレンフィルムにおいて、印刷適性を向上させるために、特定の性状を有する定形非晶質シリカを、印刷面に用いて、添加量を最小限とし、一方、非印刷面には、無定形シリカを用いて、ある一定以上の凹凸を形成し、耐ブロッキング性を付与することで、印刷適性と耐ブロッキング性の両立が図られないかと、考え、このような発明思想から得られたフィルムは、耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、印刷特性、および透明性に優れることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、層(1)と層(2)の少なくとも2層からなる多層ポリプロピレンフィルムであって、
層(1)は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、レーザー回折法で測定した平均粒子径が1〜3μm、N吸着法で測定した細孔容積が0.1〜0.5ml/g、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が50〜150ml/100g、及びB.E.T法により測定した比表面積が100〜200m/gである定形非晶質シリカ(C)0.01〜0.2重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(1)からなり、
層(2)は、プロピレン系重合体(B)(ただし、プロピレン系重合体(A)と(B)は同一であってもよい。)100重量部に対し、平均粒子径が層(1)の定形非晶質シリカ(C)の平均粒子径より大きい無定形シリカ(D)0.1〜0.5重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(2)からなり、さらに、
層(1)の定形非晶質シリカ(C)の配合量と層(2)の無定形シリカ(D)の配合量の関係が、
層(1)の定形非晶質シリカ(C)配合量<層(2)の無定形シリカ(D)配合量
であることを特徴とする多層ポリプロピレンフィルムが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、層(1)と層(2)の間に、さらに、層(3)を有し、
層(3)は、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)又はプロピレン系重合体(A)と(B)の混合物100重量部に対し、定形非晶質シリカ(C)及び無定形シリカ(D)の合計含有量0.2重量部未満からなるプロピレン系樹脂組成物(3)からなることを特徴とする多層ポリプロピレンフィルムが提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、層(1)及び層(2)の厚みが共に0.5〜2.0μmであることを特徴とする多層ポリプロピレンフィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、層(1)のフィルム表面は、1mm当たり、高さ1.5μm以上の突起が存在せず、かつ平均粗さ(Ra)が0.005〜0.013μmで、最大高さ(Rt)が0.6〜1.3μmであり、
層(2)のフィルム表面は、1mm当たり、高さ1.5μm以上の突起が1つ以上存在し、かつ平均粗さ(Ra)が0.012〜0.025μmで、最大高さ(Rt)が1.4〜3.5μmであり、及び
層(1)と層(2)の平均粗さ(Ra)の関係が、
層(1)の平均粗さ(Ra)<層(2)の平均粗さ(Ra)
であると共に、二次加工時に印刷が施されるのが層(1)であることを特徴とする多層ポリプロピレンフィルムが提供される。
本発明の多層ポリプロピレンフィルムは、上記の特徴、特に、印刷適性を向上させるために、特定の性状を有する定形非晶質シリカを、印刷面の層(1)に用い、一方、非印刷面の層(2)には、無定形シリカを用いることなどにより、耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、印刷特性、および透明性に優れている。そのため、例えば、食品包装、繊維包装、雑貨包装等の包装用途に広く用いられ、特に、食品包装フィルムの用途に、好適に用いることができる。
本発明の多層ポリプロピレンフィルムは、層(1)と層(2)の少なくとも2層からなる多層ポリプロピレンフィルムであって、層(1)は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、レーザー回折法で測定した平均粒子径が1〜3μm、N吸着法で測定した細孔容積が0.1〜0.5ml/g、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が50〜150ml/100g、及びB.E.T法により測定した比表面積が100〜200m/gである定形非晶質シリカ(C)0.01〜0.2重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(1)からなり、層(2)は、プロピレン系重合体(B)(ただし、プロピレン系重合体(A)と(B)は同一であってもよい。)100重量部に対し、平均粒子径が層(1)の定形非晶質シリカ(C)の平均粒子径より大きい無定形シリカ(D)0.1〜0.5重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(2)からなり、さらに、層(2)の無定形シリカ(D)配合量が、層(1)の定形非晶質シリカ(C)の配合量より、大であることを特徴とする。
以下、項目毎に、詳細に説明する。
1.層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)
層(1)は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、レーザー回折法で測定した平均粒子径が1〜3μm、N吸着法で測定した細孔容積が0.1〜0.5ml/g、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が50〜150ml/100g、及びB.E.T法により測定した比表面積が100〜200m/gである定形非晶質シリカ(C)0.01〜0.2重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(1)からなる。
1−1.プロピレン系重合体(A)
本発明に用いられるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体、及び/又はプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体(以下、本明細書においては単に、「プロピレン−α−オレフィン共重合体」と称することがある。)である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンとプロピレンを除く炭素数2〜8のα−オレフィンをコモノマーとする共重合体、好ましくはプロピレン含量が97重量%以上、特に好ましくは99重量%以上のプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体である。ここでは、α−オレフィンの異なるランダム共重合体の混合物であってもよい。
また、プロピレンと共重合させるプロピレンを除く炭素数2〜8のα−オレフィンであるコモノマーは、1種用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体などが好ましい。
プロピレンを除く炭素数2〜8のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、1−オクテン等を挙げることができる。
また、プロピレン系重合体(A)は、融点(Tm)が157℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。プロピレン系重合体(A)の融点が157℃以上であると、耐熱性の点で好ましい。一方、プロピレン系重合体(A)の融点の上限については、特に制限されないが、製造可能なものとして通常、170℃以下である。プロピレン系重合体(A)の融点は、主として、原料として用いられるプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンの種類、共重合比率、MFR等により、適宜制御することができる。なお、本明細書でいう「融点」(Tm)とは、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter)により、測定された融解ピーク温度である。
本発明に用いられるプロピレン系重合体(A)は、JIS K7210に準拠したメルトフローレート(以下、MFRとも記す。)[測定温度230℃、2.16kg]について、特に制限はないが、MFRが1〜20g/10分であるのが好ましく、1〜10g/10分がより好ましい。MFRが1g/10分以上、20g/10分以下であると、押出性や外観の点で好ましい。
また、プロピレン系重合体(A)は、その結晶化度を示すアイソタクチックインデックス(II)が95%以上であることが好ましく、96%以上であることがより好ましい。アイソタクチックインデックス(II)が95%以上であると、印刷時にかかる耐熱性の点で好ましい。プロピレン系重合体(A)の結晶化度の制御は、原料の共重合比率や、使用する触媒によって分子量分布を制御することにより調整することができる。なお、結晶化度の指標を示すアイソタクチックインデックス(II)は、改良型ソックスレー抽出器で沸騰ヘプタンにより6時間抽出した場合の残量(重量%)から測定される。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物(1)に用いられるプロピレン系重合体(A)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒(例えば、ポリプロピレンハンドブック(1998年5月15日 初版第1刷発行)等に記載)、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。食品包装材に代表される各種包装材においては、耐熱性の高いものが好ましく、この点においてはプロピレン系重合体(A)として、融点の高いものが得られやすいチーグラー・ナッタ触媒を用いることが好ましい。
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物(1)に用いられるプロピレン系重合体(A)を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、バッチ重合法や連続重合法のいずれも用いることができ、所望により、二段及び三段等の複数段の連続重合法を用いてもよい。また、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に溶融混練することによっても、製造することができる。
1−2.定形非晶質シリカ(C)
本発明に係る層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)では、アンチブロッキング剤として、レーザー回折法で測定した平均粒子径が1〜3μm、N吸着法で測定した細孔容積が0.1〜0.5ml/g、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が50〜150ml/100g、及びB.E.T法により測定した比表面積が100〜200m/gである定形非晶質シリカ(C)を用いる。
本発明に係る層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)に用いる二酸化ケイ素(シリカ)は、定形非晶質のものであり、定形非晶質であると、不定形のものに比べ、細孔容積が小さく、比表面積も小さくなることから、分散性に優れ、2次凝集が抑制されることにより、均一な粗さを持つ表面状態を形成するために、耐ブロッキング性の向上、及び凝集による白斑の発生を抑制することができる。
(1)特性(1):平均粒子径
本発明に係る層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)に用いる定形非晶質シリカ(C)は、レーザー回折法で測定した平均粒子径が1〜3μmであり、好ましくは1.5〜2.5μmである。平均粒子径が上記の範囲により、分散性に優れ、2次凝集が抑制されることになり、耐ブロッキング性が向上する。一方、平均粒子径が3.0μmを超えると、得られるフィルムの表面の凹凸が大きくなることにより、脱落性が悪くなる。また、平均粒子径が1μm未満では、巻き取り時のフィルムのスリップ性および耐ブロッキング性が悪くなるので、好ましくない。
(2)特性(2):細孔容積
本発明に係る定形非晶質シリカ(C)は、N吸着法で測定した細孔容積が0.1〜0.5ml/gであり、好ましくは0.3〜0.5ml/gである。細孔容積が上記の範囲により、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。一方、細孔容積が0.5ml/gより大きくなると、柔らかくシリカが崩壊し易くなるため、プロピレン系重合体(A)との混合時に、凝集しやすく、フィッシュアイ特性が悪化する。
(3)特性(3):吸油量
また、本発明に係る定形非晶質シリカ(C)は、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が50〜150ml/100gである。吸油量が上記の範囲により、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。
(4)特性(4):比表面積
さらに、本発明に係る定形非晶質シリカ(C)は、B.E.T法により測定した比表面積が100〜200m/gである。比表面積は、吸油量と相関があり、シリカの構造を示しているといえる。比表面積が上記の範囲により、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。一方、比表面積が200m/gを超えると、シリカが柔らかく、崩壊しやすい構造となることで2次凝集し易くなる。その結果として、フィッシュアイが増加し、外観の悪化を招く。また、比表面積が100m/g未満であると、粒子が硬く、フィルムを成形した際、フィルム表面のこすれによる傷付きが発生し、外観不良が発生しやすくなる。
(5)その他の特性
また、本発明に係る定形非晶質シリカ(C)は、上記特性(1)〜(4)を満たすかぎり、特に、表面処理剤で表面処理されてもよく、また、表面処理されていなくてもよい。例えば、表面処理剤によって処理されていることにより、アンチブロッキング剤として使用するシリカの脱落性を改善する効果が得られる。表面処理剤としては、例えば、パラフィン、脂肪酸、多価アルコール、シランカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、クエン酸等が挙げられる。
さらに、本発明に用いる定形非晶質シリカ(C)は、該当する製品を選択して、使用することができる。定形非晶質シリカ(C)に該当する製品は、例えば、水澤化学工業社等から入手することができる。
(6)含有量(配合量)
本発明に係る層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)では、定形非晶質シリカ(C)の含有量は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、定形非晶質シリカ(C)0.01〜0.2重量部である。
また、定形非晶質シリカ(C)の含有量(配合量)が、後述する層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)における無定形シリカ(D)含有量(配合量)より、小であることを必要とする。
すなわち、本発明の多層ポリプロピレンフィルムでは、層(1)の定形非晶質シリカ(C)の配合量と層(2)の無定形シリカ(D)の配合量の関係が、
層(1)の定形非晶質シリカ(C)配合量<層(2)の無定形シリカ(D)配合量
であることを特徴とする。
定形非晶質シリカ(C)の含有量が上記範囲であり、また、層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)における無定形シリカ(D)含有量(配合量)より、小であることにより、本発明の多層ポリプロピレンフィルムは、耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、印刷特性、透明性などに、優れる。
1−3.層(1)の特性
本発明の多層ポリプロピレンフィルムでは、層(1)の厚みは、好ましくは0.5〜2.0μmであり、また、後述する層(2)の厚みと、同一であることが好ましい。
また、本発明の多層ポリプロピレンフィルムの層(1)は、そのフィルム表面の表面粗さについて、1mm当たり、高さ1.5μm以上の突起が存在せず、かつ平均粗さ(Ra)が0.005〜0.013μmで、最大高さ(Rt)が0.6〜1.3μmであることが好ましい。そして、層(1)の平均粗さ(Ra)は、後述する層(2)の平均粗さ(Ra)より、小であることが好ましく、さらに、層(1)には、二次加工時に、印刷が施されるのが好ましい。
すなわち、層(1)と層(2)の平均粗さ(Ra)の関係が、
層(1)の平均粗さ(Ra)<層(2)の平均粗さ(Ra)
であると共に、二次加工時に印刷が施されるのが層(1)であることが好ましい。
2.層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)
本発明の多層ポリプロピレンフィルムでは、層(2)は、プロピレン系重合体(B)(ただし、プロピレン系重合体(A)と(B)は同一であってもよい。)100重量部に対し、平均粒子径が層(1)の定形非晶質シリカ(C)の平均粒子径より大きい無定形シリカ(D)0.1〜0.5重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(2)からなる。
2−1.プロピレン系重合体(B)
本発明に係る層(2)に用いられるプロピレン系重合体(B)は、プロピレン単独重合体、及び/又はプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体である。
プロピレン系重合体(B)は、前記の層(1)に用いられるプロピレン系重合体(A)に記載したものと、同様のものが用いられ、また、プロピレン系重合体(A)と(B)は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
ここでは、詳細な記載は省略し、プロピレン系重合体(B)にも、前記プロピレン系重合体(A)の記載事項を参照することにする。
2−2.無定形シリカ(D)
本発明に係る層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)では、アンチブロッキング剤として、平均粒子径が層(1)の定形非晶質シリカ(C)の平均粒子径より大きい無定形シリカ(D)を用いる。
本発明に係る層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)に用いる二酸化ケイ素(シリカ)は、無定形のものであり、無定形であると、定形のものに比べ、表面粗さが荒くなり、この効果によって、耐ブロッキング性を付与できる。
(1)平均粒子径
本発明に係る層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)に用いる無定形シリカ(D)は、前記層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)に用いられる定形非晶質シリカ(C)のレーザー回折法で測定した平均粒子径より大きいことを必須とする。これによって、得られるフィルムの表面の凹凸が大きくなることにより、表面粗さが荒くなり、この効果によって、耐ブロッキング性を付与できる。
(2)その他の特性
また、本発明に係る無定形シリカ(D)は、表面処理剤で表面処理されてもよく、また、表面処理されていなくてもよい。例えば、表面処理剤によって処理されていることにより、アンチブロッキング剤として使用するシリカの脱落性を改善する効果が得られる。表面処理剤としては、例えば、パラフィン、脂肪酸、多価アルコール、シランカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、クエン酸等が挙げられる。
さらに、本発明に用いる無定形シリカ(D)は、該当する製品を選択して、使用することができる。無定形シリカ(D)に該当する製品は、例えば、グレースジャパン株式会社や、富士シリシア化学株式会社等から入手することができる。
(3)含有量(配合量)
本発明に係る層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)では、無定形シリカ(D)の含有量は、プロピレン系重合体(B)100重量部に対し、無定形シリカ(D)0.1〜0.5重量部である。
また、無定形シリカ(D)の含有量(配合量)が、前記の層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)における定形非晶質シリカ(C)含有量(配合量)より、大であることを必要とする。
すなわち、本発明の多層ポリプロピレンフィルムでは、層(1)の定形非晶質シリカ(C)の配合量と層(2)の無定形シリカ(D)の配合量の関係が、
層(1)の定形非晶質シリカ(C)配合量<層(2)の無定形シリカ(D)配合量
であることを特徴とする。
無定形シリカ(D)の含有量が上記範囲であり、また、層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)における定形非晶質シリカ(C)含有量(配合量)より、大であることにより、本発明の多層ポリプロピレンフィルムは、耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、印刷特性、透明性などに、優れる。
2−3.層(2)の特性
本発明の多層ポリプロピレンフィルムでは、層(2)の厚みは、好ましくは0.5〜2.0μmであり、また、前記の層(1)の厚みと、同一であることが好ましい。
また、本発明の多層ポリプロピレンフィルムの層(2)は、そのフィルム表面の表面粗さについて、1mm当たり、高さ1.5μm以上の突起が1つ以上存在し、かつ平均粗さ(Ra)が0.012〜0.025μmで、最大高さ(Rt)が1.4〜3.5μmであることが好ましい。そして、層(2)の平均粗さ(Ra)は、前記層(1)の平均粗さ(Ra)より、大であることが好ましい。
すなわち、層(1)と層(2)の平均粗さ(Ra)の関係が、
層(1)の平均粗さ(Ra)<層(2)の平均粗さ(Ra)
であることが好ましい。
3.層(3)のプロピレン系樹脂組成物(3)
本発明の多層ポリプロピレンフィルムでは、前記層(1)と層(2)の少なくとも2層からなるが、好ましい態様として、層(1)と層(2)の中間層に、層(3)を有することが好ましく、層(3)は、前記プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)又はプロピレン系重合体(A)と(B)の混合物100重量部に対し、定形非晶質シリカ(C)及び無定形シリカ(D)の合計含有量0.2重量部未満からなるプロピレン系樹脂組成物(3)からなることが好ましい。
3−1.プロピレン系重合体
本発明に係る層(3)に用いられるプロピレン系重合体は、前記プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)又はプロピレン系重合体(A)と(B)の混合物である。
3−2.アンチブロッキング剤
本発明に係る中間層に用いられる層(3)のプロピレン系樹脂組成物(3)では、アンチブロッキング剤として、前記の層(1)の定形非晶質シリカ(C)でもよく、また、前記の層(2)の無定形シリカ(D)でもよく、特に限定されない。
また、本発明に係る層(3)のプロピレン系樹脂組成物(3)では、好ましくはアンチブロッキング剤の含有量は、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)又はプロピレン系重合体(A)と(B)の混合物100重量部に対し、定形非晶質シリカ(C)及び無定形シリカ(D)の合計含有量0.2重量部未満からなる。
3−3.層(3)の特性
本発明の多層ポリプロピレンフィルムでは、中間層に用いられる層(3)の厚みは、特に限定されないが、フィルムの総厚みが20μm程度であれば、好ましくは層厚み比が層(1):層(3)の中間層:層(2)=1:3:1〜1:20:1程度である。
4.その他の添加剤
本発明の多層ポリプロピレンフィルムは、層(1)のプロピレン系樹脂組成物(1)や、層(2)のプロピレン系樹脂組成物(2)および層(3)のプロピレン系樹脂組成物(3)には、前記のプロピレン系重合体(A)、(B)、アンチブロッキング剤(C)、(D)に加えて、通常、ポリプロピレン系樹脂に配合される各種の公知の添加剤、例えば、無機充填剤、顔料、酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、帯電防止剤などを、性能に悪影響を与えない範囲で、配合することができる。また、公知の酸変性ポリオレフィン系樹脂などを、性能に悪影響を与えない範囲で、配合することもできる。
5.多層ポリプロピレンフィルム
本発明の多層ポリプロピレンフィルムは、前述の構成により、特に、印刷適性を向上させるために、特定の性状を有する定形非晶質シリカ(C)を、印刷面の層(1)に用い、一方、非印刷面の層(2)には、無定形シリカ(D)を用いることなどにより、耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、印刷特性、および透明性に優れている。そのため、例えば、食品包装、繊維包装、雑貨包装等の包装用途に広く用いることができ、特に、食品包装フィルムの用途に、好適に用いることができる。
以下、本発明を、より具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例との対照において説明し、本発明の構成要件の合理性と有意性を実証するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例で用いた材料は、以下の通りである。
1.使用材料
(1)プロピレン系重合体(成分A及び成分B)
プロピレン系重合体(A及びB)として、下記のものを使用した。
A−1(又はB−1):日本ポリプロ社製、商品名「NOVATEC FL100A」(プロピレン単独重合体、MFR=3.0g/10分、Tm=162℃)
(2)定形非晶質シリカ(成分C)
無機微粒子(C)として、下記のものを使用し、その特性を表1に示す。
C−1:水澤化学工業株式会社製、商品名「ミズパールK−150」
(3)無定形シリカ(成分D)
無機微粒子(D)として、下記のものを使用し、それらの特性を表1に示す。
D−1:グレースジャパン株式会社製、商品名「サイロブロック25」
D−2:富士シリシア化学株式会社製、商品名「サイリシア550」
Figure 2016196159
[実施例1〜4及び比較例1〜3]
1.サンプルの作製
(1)層(1)原料及び層(2)原料のコンパウンド
下記表2に示すように、日本ポリプロ株式会社製商品名「NOVATEC FL100A」(成分A及びB)100重量部に対して、所望量のアンチブロッキング剤(成分C又はD)、及びその他適宜酸化防止剤などの添加剤を加え、ドライブレンドを行い、230℃で溶融混練し、層(1)及び層(2)用原料を得た。
Figure 2016196159
(2)多層ポリプロピレンフィルムの作製
事前にコンパウンドした層(1)及び層(2)用の原料を表層原料とし、また、層(3)の中間層原料として日本ポリプロ株式会社製、商品名「NOVATEC FL100A」(成分A及びB)を使用し、それぞれ樹脂温度240℃でTダイから溶融押出し、30℃の冷却ロールで急冷して、20m/分の速度で引き取りながら、片方の表面層(層(1))のぬれ指数が40dyne/cmとなるように、コロナ放電処理を施し、3種3層の多層ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムは、総厚みが20μmで、層厚み比が層(1):層(3)の中間層:層(2)=1:18:1であった。
2.フィルムの評価方法
(1)透明性(HAZE)
ASTM D1003に準拠し、成形したフィルムの透明性をヘイズメータで測定した。得られた値が小さいほど、透明性に優れるものと評価した。
(2)分散性(フィッシュアイ)
得られたフィルム15cm(幅)×20cm(長)に存在するフィッシュアイ(個数/300cm)を、目視でカウントした。
カウントされたフィッシュアイの個数に応じて、その分散性を以下の基準により、評価した。
◎:20個未満。
○:20個以上50個未満。
△:50個以上100個未満。
×:100個以上又は個数が多すぎて測定不可。
(3)表面粗さ(Ra)
フィルム表面を、東京精密社製粗さ計(SURFCOM1500DX)にて、JIS B0651(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性」に準拠して、平均の表面粗さ(Ra)を測定した。
測定器の測定条件は、触針先端曲率半径:5μm、カットオフ波長:0.05mm、カットオフ種別:2CR(位相補償)、測定速度:0.3mm/秒、測定方向:フィルムのMD方向、測定範囲:1mmである。測定方向であるMD方向とは、押出成形するときのフィルムの送り方向、すなわちフィルムの流れ方向と平行な方向をいう。尚、平均表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)は、JIS B0601(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」で、定義される。
(4)表面突起
上記表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)と同様の条件で、フィルム表面の表面突起を測定し、1.5μm以上の突起数を測定した。
(5)印刷特性
層(1)の表面粗さ(Ra)と最大高さ(Rt)及び表面突起数の総合判定により、下記の基準により評価を行った。
(判定基準)
(i)平均表面粗さ(Ra)が0.005〜0.013μmの範囲である。
(ii)最大高さ(Rt)が0.600〜1.300μmの範囲である。
(iii)表面突起数は、高さ1.5μm以上の個数が0である。
○:上記(i)〜(iii)の全ての項目を満たす。
△:上記(i)〜(iii)のうち2項目を満たす。
×:上記(i)〜(iii)のうち1項目を満たす又は(i)〜(iii)の全てを満たさない。
(6)耐ブロッキング性
ASTM D1893に記載の方法に準拠して、耐ブロッキング性を評価した。
フィルムを30cm(幅)×20cm(長さ)の大きさに調整し、これらのフィルムのコロナ処理面(層(1))とコロナ非処理面(層(2))を重ね、15kg/cm(1.47MPa)の荷重下で、40℃のギアオーブン(タバイエスペック社製/タバイギアオーブン:GPH−100)内で7日間放置した後、2cm(幅)×1cm(長さ)、重なり面積10cmにカットした試験片を、引張試験機(東洋精機製作所社製/C型ショッパー抗張力試験機)を用いて、引張速度500mm/分の剥離強度を測定した。この剥離強度が小さいほど、耐ブロッキング性に優れるものと評価した。下記の基準により評価を行った。
(判定基準)
○:剥離強度が10g/10cm(0.981MPa)以下である。
×:剥離強度が10g/10cm(0.981MPa)より大きい。
(7)総合評価(判定)
上記の全ての評価結果から、総合判定を以下の基準により、実施した。
○:すべての評価結果に、『△』又は『×』が存在しない。
△:すべての評価結果に、『×』は存在しないが、『△』の項目がある。
×:1項目でも特性結果に、『×』がある。
3.フィルムの評価結果
実施例1〜4及び比較例1〜3について、フィルムの評価結果を下記表3に示す。
Figure 2016196159
表1〜3に示す評価結果から、印刷面に特定の性状を有する定形非晶質シリカを使用し、非印刷面より少ない配合量にすることにより、印刷適性を付与することが可能である。
また、印刷面の定形非晶質シリカより粒子径の大きい無定形シリカを、印刷面より多く配合することによって、非印刷面の表面粗さが荒くなり、この効果によって、耐ブロッキング性が付与できる。
さらに、アンチブロッキング剤を多く添加することにより、耐ブロッキング性を向上させることが可能であるが、比較例3のように、両表層同量の配合を行うと、印刷特性が悪くなるため、好ましくない。
本発明の多層ポリプロピレンフィルムは、表層の一層に、アンチブロッキング剤として、特定の性状を有する定形非晶質シリカ微粒子を特定量含有させ、また、表層の他の一層に、アンチブロッキング剤として、特定の平均粒子径の無定形シリカ微粒子を特定量含有させ、かつ、無定形シリカの含有量を定形非晶質シリカの含有量より大きくすることにより、特に、耐ブロッキング性と印刷特性に優れるため、産業上の利用可能性が高い。

Claims (4)

  1. 層(1)と層(2)の少なくとも2層からなる多層ポリプロピレンフィルムであって、
    層(1)は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、レーザー回折法で測定した平均粒子径が1〜3μm、N吸着法で測定した細孔容積が0.1〜0.5ml/g、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が50〜150ml/100g、及びB.E.T法により測定した比表面積が100〜200m/gである定形非晶質シリカ(C)0.01〜0.2重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(1)からなり、
    層(2)は、プロピレン系重合体(B)(ただし、プロピレン系重合体(A)と(B)は同一であってもよい。)100重量部に対し、平均粒子径が層(1)の定形非晶質シリカ(C)の平均粒子径より大きい無定形シリカ(D)0.1〜0.5重量部からなるプロピレン系樹脂組成物(2)からなり、さらに、
    層(1)の定形非晶質シリカ(C)の配合量と層(2)の無定形シリカ(D)の配合量の関係が、
    層(1)の定形非晶質シリカ(C)配合量<層(2)の無定形シリカ(D)配合量
    であることを特徴とする多層ポリプロピレンフィルム。
  2. 層(1)と層(2)の間に、さらに、層(3)を有し、
    層(3)は、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)又はプロピレン系重合体(A)と(B)の混合物100重量部に対し、定形非晶質シリカ(C)及び無定形シリカ(D)の合計含有量0.2重量部未満からなるプロピレン系樹脂組成物(3)からなることを特徴とする請求項1に記載の多層ポリプロピレンフィルム。
  3. 層(1)及び層(2)の厚みが共に0.5〜2.0μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層ポリプロピレンフィルム。
  4. 層(1)のフィルム表面は、1mm当たり、高さ1.5μm以上の突起が存在せず、かつ平均粗さ(Ra)が0.005〜0.013μmで、最大高さ(Rt)が0.6〜1.3μmであり、
    層(2)のフィルム表面は、1mm当たり、高さ1.5μm以上の突起が1つ以上存在し、かつ平均粗さ(Ra)が0.012〜0.025μmで、最大高さ(Rt)が1.4〜3.5μmであり、及び
    層(1)と層(2)の平均粗さ(Ra)の関係が、
    層(1)の平均粗さ(Ra)<層(2)の平均粗さ(Ra)
    であると共に、二次加工時に印刷が施されるのが層(1)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層ポリプロピレンフィルム。
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