JP2016195054A - マイクロ波励起無電極ランプ及びそれを用いた水溶液処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロ波発生手段1と、MDEL2と、MDEL2において発生した活性酸素を含むガスで処理対象の水溶液を曝気する曝気手段3とを備え、MDEL2は、マイクロ波の照射により紫外線を発光する放電ガスを内部に封入した発光管20と、発光管20を覆い、発光管20の周囲に外套流路を形成する外套管21とを備え、外套管21は、酸素分子(O2)を含む気体を外套流路に導入するための気体流入ポート21aと、外套流路において紫外線の照射により酸素分子(O2)から生成された活性酸素を含む気体を曝気手段3へ導くための気体流出ポート21bとを有する。
【選択図】図1
Description
内部設置型MDELは、電極及び配線を必要としないMDELの特徴を活かしたものであり、処理対象の水溶液Lに、その内部から紫外線(UV)を効果的に照射することができる。しかし、マイクロ波が水溶液に吸収されてしまうため、内部設置型MDELに到達するマイクロ波のエネルギーは激減する。このため、内部設置型MDELには、マイクロ波をMDELに効果的に照射することが困難であるという問題があった。
そのうえ、外部設置型MDELの外部において、水溶液に照射されなかった紫外線によってオゾン等の活性酸素が発生する。その結果、外部設置型MDELの周囲の物体(例えば、MDELを収容するアプリケータの内壁)が活性酸素によって腐食、劣化してしまうという問題があった。
前記マイクロ波励起無電極ランプは、マイクロ波の照射により紫外線を発光する放電ガスを内部に封入した発光管と、発光管を覆い、発光管の周囲に外套流路を形成する外套管とを備え、
外套管は、外套流路に、酸素分子(O2)を含む気体を導入するための気体流入ポートと、外套流路において紫外線の照射によって酸素分子(O2)から生成された活性酸素を含む気体を処理対象の水溶液へ導くための気体流出ポートとを有することを特徴としている。
図1(a)は、本発明の第1実施形態による水溶液処理システムの模式図である。この水溶液処理システムは、マイクロ波発生手段1と、マイクロ波発生手段1により発生したマイクロ波MWが照射されるマイクロ波励起無電極ランプ(MDEL)2と、マイクロ波励起無電極ランプ2内で発生した活性酸素を含むガスで処理対象の水溶液を曝気する曝気手段3とを備えている。
なお、処理室内のMDEL2には、マイクロ波発生手段1からマイクロ波MWが導波路(図示せず)を介して照射されてもよいし、アンテナ(図示せず)を介して照射されてもよい。また、照射されるマイクロ波MWは、シングルモードであってもよいし、マルチモードであってもよい。
なお、発光管20を含むMDEL2全体の容量は特に限定されないが、例えば、数十mL〜数百mLの範囲内としてもよいし、更に大容量としてもよい。
なお、発光管20に封入される放電ガスの種類はこれに限定されず、例えば、水銀の代わりにキセノンガス又は窒素ガスを封入してもよい。また、発光管20の圧力も、低圧に限定されず、高圧(0.1〜0.5MPa)又は超高圧(1〜30MPa)としてもよい。
なお、気体流入ポート21aに酸素ボンベを接続して、空気の代わりに高濃度酸素(O2)を導入してもよい。また、空気の供給手段はブロアに限定されず、任意好適なポンプを採用することができる。また、酸素分子(O2)を含む気体は、一定の流量で連続的に導入してもよいし、断続的に導入してもよい。
なお、曝気手段の構成は、これに限定されず、任意好適な構成を採用することができる。また、処理対象の水溶液は、容器に貯留したものであってもよいし、流動又は循環しているものであってもよい。
図3(a)は、本発明の第2実施形態による水溶液処理システムの模式図である。この水溶液処理システムは、マイクロ波発生手段1と、マイクロ波発生手段1により発生したマイクロ波MWが照射されるマイクロ波励起無電極ランプ(MDEL)4と、マイクロ波励起無電極ランプ4内で発生した活性酸素を含むガスで処理対象の水溶液を曝気する曝気手段3とを備えている。
発光管40は、内部導管42が貫通している点を除いて第1実施形態の発光管20と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
なお、ポンプ35の流量は特に限定されないが、例えば、毎分2Lで水溶液を送出してもよい。
ダイオキシンモデル化合物である4-クロロフェノール(4-CP)(東京化成工業製)を0.01mMの濃度に調整したモデル汚染水1Lを処理対象の水溶液Lとし、MDEL4に、2.45GHz、70Wのマイクロ波を照射し、下記の条件で汚染水を処理した。
実施例1では、MDEL4で空気(酸素(O2)濃度約20%)から生成された活性酸素だけを使用して汚染水を処理した。
ポンプ35を停止して内部導管42に汚染水が流入させずに、気体流入ポート41aにブロア30で空気を送り込み、生成した活性酸素を含むガスを気体流出ポート41bから容器33に導いて汚染水Lを曝気した。
MDEL4の気体流出ポート41bから流出するガス中のオゾン濃度は、簡易式のオゾン測定器を使用して測定したところ、約0.5ppmであった。
なお、実施例1は、上述した第1実施形態の水溶液処理システムによっても実施することができる。
実施例2では、MDEL4で発生した紫外線だけを使用して汚染水を処理した。
ブロア30を停止して外套管41内に空気を流入させずに、ポンプ35によって汚染水を毎分0.6Lの流量で内部導管42内に循環させた。
実施例2では、MDEL4で発生した紫外線と、MDEL4で空気(酸素(O2)濃度約20%)から生成された活性酸素の両方を使用して汚染水を処理した。
ポンプ35によって汚染水を毎分0.6Lの流量で内部導管42内に循環させるとともに、気体流入ポート41aにブロア30で空気を送り込み、生成した活性酸素を含むガスを気体流出ポート41bから容器33に導いて汚染水Lを曝気した。
実施例4では、MDEL4で酸素ガス(酸素(O2)濃度100%)から生成された活性酸素だけを使用して汚染水を処理した。
ポンプ35を停止して内部導管42に汚染水が流入させずに、気体流入ポート41aに酸素ボンベから酸素ガスを送り込み、生成した活性酸素を含むガスを気体流出ポート41bから容器33に導いて汚染水Lを曝気した。
MDEL4の気体流出ポート41bから流出するガス中のオゾン濃度は、簡易式のオゾン測定器を使用して測定したところ、約1.5ppmであった。
なお、実施例4は、上述した第1実施形態の水溶液処理システムによっても実施することができる。
実施例5では、MDEL4で発生した紫外線と、MDEL4で酸素ガス(酸素(O2)濃度100%)から生成された活性酸素の両方を使用して汚染水を処理した。
ポンプ35によって汚染水を毎分0.6Lの流量で内部導管42内に循環させるとともに、気体流入ポート41aに酸素ボンベから酸素ガスを送り込み、生成した活性酸素を含むガスを気体流出ポート41bから容器33に導いて汚染水Lを曝気した。
MDEL4の気体流出ポート41bから流出するガス中のオゾン濃度は、簡易式のオゾン測定器を使用して測定したところ、約1.5ppmであった。
実施例1〜5の条件でそれぞれ処理した汚染水の分解率の時間変化を図5(a)のグラフにそれぞれ曲線I〜Vで示す。グラフの横軸は、マイクロ波の照射時間を表し、縦軸は、UV/Vis吸光光度計を用いて算出した汚染水中の4-CPの分解率を示す。グラフ中の曲線I〜Vに示すように、紫外線と活性酸素の両方を使用すると、紫外線だけ又は空気由来の活性酸素だけを使用する場合よりも、より効果的に汚染水が処理される。また、酸素ガスから生成したより高い濃度の活性酸素を使用すると、空気から生成した活性酸素を使用する場合よりも、より効果的に汚染水が処理される。
塩素系農薬である2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)(和光純薬工業製)を0.01mMの濃度に調整したモデル汚染水1Lを処理対象の水溶液Lとし、MDEL4に、2.45GHz、70Wのマイクロ波を照射し、実施例6〜10として、上記の実施例1〜5と同じ条件で汚染水を処理した。
実施例6〜10の条件でそれぞれ処理した汚染水の分解率の時間変化を図5(b)のグラフにそれぞれ曲線I〜Vで示す。グラフの横軸は、マイクロ波の照射時間を表し、縦軸は、UV/Vis吸光光度計を用いて算出した汚染水中の2,4-Dの分解率を示す。グラフ中の曲線I〜Vに示すように、紫外線と活性酸素の両方を使用すると、紫外線だけ又は活性酸素だけを使用する場合よりも、より効果的に汚染水が処理される。
第3実施形態の水溶液処理システムは、マイクロ波励起無電極ランプ(MDEL)を除いて、図1(a)に示した第1実施形態のものと同じ構成を有する。このため、MDEL以外の構成の詳細な説明を省略する。
発光管50の長手方向の両端は、結合部50aを介して内殻51と結合している。また、内殻51の長手方向の両端部は、結合部51cを介して外殻52と結合されている。
なお、気体流入ポート51aと気体流出ポート52aとを入れ替えてもよい。
第4実施形態の水溶液処理システムは、マイクロ波励起無電極ランプ(MDEL)を除いて、図2(a)に示した第2実施形態のものと同じ構成を有する。このため、MDEL以外の構成の詳細な説明を省略する。
なお、気体流入ポート61aと気体流出ポート62aとを入れ替えてもよい。
第5実施形態の水溶液処理システムは、マイクロ波励起無電極ランプ(MDEL)を除いて、図1(a)に示した第1実施形態のものと同じ構成を有する。このため、MDEL以外の構成の詳細な説明を省略する。
第6実施形態の水溶液処理システムは、マイクロ波励起無電極ランプ(MDEL)を除いて、図2(a)に示した第2実施形態のものと同じ構成を有する。このため、MDEL以外の構成の詳細な説明を省略する。
2、4、5、6、7、8、10a、10b マイクロ波励起無電極ランプ(MDEL)
3 曝気手段
20、40、50、60、70、80 発光管
20a、20b、50a、51c 結合部
21、41、71、81 外套管
21a、41a、51a、61a、71a、81a 気体流入ポート
21b、41b、52a、62a、71b、81b 気体流出ポート
23 延長管
30 ブロア
31 供給管
32 導管
33 容器
34 流入管
35 ポンプ
36 流出管
42、63、82 内部導管
42a、63a、82a 液体流入ポート
42b、63b、82b 液体流出ポート
51、61 内殻
51b、61b 連通部
52、62 外殻
MW マイクロ波
L 処理対象の水溶液
Claims (5)
- マイクロ波の照射により紫外線を発光する放電ガスを内部に封入した発光管と、
前記発光管を覆い、前記発光管の周囲に外套流路を形成する外套管と、を備え、
前記外套管は、前記外套流路に酸素分子(O2)を含む気体を導入するための気体流入ポートと、前記外套流路において前記紫外線の照射によって前記酸素分子(O2)から生成された活性酸素を含む気体を処理対象の水溶液へ導くための気体流出ポートとを有する
ことを特徴とする、マイクロ波励起無電極ランプ - 前記発光管を貫通し、前記発光管の内側に内部流路を形成する内部導管を更に備え、
前記内部導管は、当該内部導管に前記処理対象の水溶液を流入させるための液体流入ポートと、前記処理対象の水溶液を前記内部導管から流出させるための液体流出ポートとを有する
ことを特徴とする、請求項1記載のマイクロ波励起無電極ランプ。 - 前記外套管は、前記発光管の外側に互いに積層した複数の流路層を形成する複数の殻から構成され、
前記複数の流路層は、互いに連通し、
前記気体流入ポートは、最も内側の流路層と最も外側の流路層のうちの一方と連通し、
前記気体流出ポートは、最も内側の流路層と最も外側の流路層のうちの他方と連通している
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のマイクロ波励起無電極ランプ。 - 前記外套管は、前記発光管の周囲に螺旋状に巻き付いた前記外套流路を形成している
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のマイクロ波励起無電極ランプ。 - マイクロ波発生手段と、
前記マイクロ波発生手段により発生したマイクロ波が照射されるマイクロ波励起無電極ランプと、
前記マイクロ波励起無電極ランプにおいて発生した活性酸素で処理対象の水溶液を曝気する曝気手段と、を備え、
前記マイクロ波励起無電極ランプは、
マイクロ波の照射により紫外線を発光する放電ガスを内部に封入した発光管と、
前記発光管を覆い、前記発光管の周囲に外套流路を形成する外套管と、を備え、
前記外套管は、前記外套流路に、酸素分子(O2)を含む気体を導入するための気体流入ポートと、前記外套流路において前記紫外線の照射によって前記酸素分子(O2)から生成された活性酸素を含む気体を処理対象の水溶液へ導くための気体流出ポートとを有する
ことを特徴とする、水溶液処理システム。
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