JP2016193968A - 乾性潤滑被膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイドロフルオロエーテルを溶剤として含み、オイルを含まない完全にドライの潤滑被膜を形成できる乾性潤滑被膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る乾性潤滑被膜形成用組成物は、固体潤滑剤と、アクリル樹脂と、ハイドロフルオロエーテル溶剤とを含有する。具体的に、固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることが好ましい。また。アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体を含み、芳香族モノマーを含まないものであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、乾性潤滑被膜形成用組成物に関するものであり、より詳しくは、溶剤として環境負荷の低いハイドロフルオロエーテルを用い、オイル成分を含まない乾性潤滑被膜を形成するための組成物に関する。
従来、低摩擦を得るために固体潤滑剤を利用する方法として、オイルやグリース中に固体潤滑剤を混合する方法がある。一方、オイルやグリースの存在下では適用できない箇所に対しては、例えば非特許文献1に示すように、固体潤滑剤を混合した塗料を用いて乾式潤滑被膜を形成する方法が知られている。その場合の代表的な固体潤滑剤としては、低摩擦係数を示し、また真空中等の特殊環境下でも使用できるという点から、フッ素系樹脂のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が広く使用されている。
このような乾式潤滑被膜について、特に近年では、様々な用途部材に対して乾式潤滑被膜を形成して、潤滑性、耐磨耗性、耐蝕性、耐薬品性、耐熱性等の複合機能を向上させることが要求され、種々の乾式潤滑被膜を形成するための組成物が研究開発されている。
さて、このような潤滑被膜を形成させるための組成物において、溶剤として、ハイドロフルオロエーテルの使用が注目されている。ハイドロフルオロエーテルは、各種の材料に対する化学的浸食性が低く、またオゾン層を破壊せず地球温暖化係数が低く、環境に対する悪影響が少ない化合物である。さらに、速乾性を有し、不燃性であって低毒性でもあることから、作業性が良好で、安全に使用することが可能となる。
これまで、種々のフッ素グリースを、ハイドロフルオロエーテル溶剤に溶解させて得られる潤滑剤が提供されている。例えば、フッ素グリースとしては、PTFE等の固体潤滑剤と、フッ素オイル等の合成油を含有したものが用いられ、これをハイドロフルオロエーテルに溶解して得られる潤滑剤を、各種の部材に塗布して潤滑被膜を形成している。
ところが、そのような潤滑剤は、ハイドロフルオロエーテルに対して良好な溶解性を確保するために、上述したような合成油等のオイル成分を含んでいる。そのため、得られる潤滑被膜は、そのオイル成分に起因する周辺への汚染性が高く、また、このようなオイル成分を含む被膜は、経時的に油膜の破断等を起こして、潤滑特性を急激に低下させてしまうという問題点もあった。
桐生春雄著、「特殊塗料の機能と開発プロセス」、シーエムシー、1984年、p.93〜97
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ハイドロフルオロエーテルを溶剤として含み、オイルを含まない完全にドライの潤滑被膜を形成できる乾性潤滑被膜形成用組成物を提供することを目的とする。
(1)本発明の第1の発明は、固体潤滑剤と、アクリル樹脂と、ハイドロフルオロエーテル溶剤とを含有する乾性潤滑被膜形成用組成物である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記固体潤滑剤が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である乾性潤滑被膜形成用組成物である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記アクリル樹脂が、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体を含み、芳香族モノマーを含まない乾性潤滑被膜形成用組成物である。
(4)本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記アクリル樹脂が、数平均分子量が65,000〜70,000であり、且つ、重量平均分子量が150,000〜200,000である乾性潤滑被膜形成用組成物である。
本発明によれば、ハイドロフルオロエーテルを溶剤として含み、オイルを含まない完全にドライの潤滑被膜を形成できる乾性潤滑被膜形成用組成物を提供することができる。
荷重:50gとしたとき摩擦係数測定試験の結果を示すグラフ図であり、経過時間に対する摩擦係数(μ)の変動の様子を示すグラフ図である。 荷重:100gとしたとき摩擦係数測定試験の結果を示すグラフ図であり、経過時間に対する摩擦係数(μ)の変動の様子を示すグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.乾性潤滑被膜形成用組成物≫
本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物は、ハイドロフルオロエーテルを溶剤として含有する。ハイドロフルオロエーテルは、炭素(C)原子、フッ素(F)原子、水素(H)原子、及びエーテル結合(−O−)からなる化合物である。
ハイドロフルオロエーテルは、各種の材料に対する化学的浸食性が低く、環境に対する悪影響が少ない(環境への負荷が少ない)化合物である。特に、溶剤による悪影響を排除することが強く要求される光学部品や電子部品におけるプラスチックやゴム等に対する潤滑被膜を形成するための溶剤として好ましい。また、このハイドロフルオロエーテルは、速乾性を有し、不燃性であって低毒性でもあり、優れた性能を有する。
本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物では、このような優れた性能を有するハイドフルオロエーテルを溶剤とし、その溶剤に、アクリル樹脂と、固体潤滑剤とを溶解、分散させて含有する。このような乾性潤滑被膜形成用組成物は、オゾン層を破壊せず地球温暖化係数が低く、不燃性の組成物であり、人体に対する安全性も高い。
また、この乾性潤滑被膜形成用組成物は、従来の潤滑剤組成物(フッ素グリースを溶剤に溶解させた組成物)のようにオイル(油)を含有しないことから、完全にドライ(乾性)の潤滑被膜を形成することができる。従来の潤滑剤では、例えば環境温度が高くなると、オイルと固体分との分離が生じやすく、分離したオイルによって周辺への汚染性が高かった。ところが、本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物では、オイル成分を含まず、形成される乾性潤滑被膜は完全にドライの潤滑被膜であることから、その被膜からオイルが滲み出るといったことなく、周辺への汚染がない。
さらに、本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物により形成される乾性潤滑被膜は、従来の潤滑剤により形成される潤滑被膜と比較して、優れた潤滑特性を有する。一般的に、潤滑剤による潤滑被膜では、荷重や速度の値が一定値以上となると、潤滑被膜において油膜の破断が生じ、いわゆる「オイル切れ」の状態となって、潤滑性が急激に低下する。これに対して、本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物では、オイルを含有しない、完全にドライの乾性潤滑被膜を形成できることから、その乾性潤滑被膜による耐荷重特性は長期にわたって維持され、安定的な潤滑性を示し、その被膜を形成させた部品に対して良好な耐久性を付与する。
以下、この乾性潤滑被膜形成用組成物の各成分について説明する。
[ハイドロフルオロエーテル溶剤]
ハイドロフルオロエーテルは、下記の一般式(I)で表される。
2n+1−O−C2x+1 ・・・(I)
ここで、式(I)中において、n、Xは、それぞれ1以上の整数であり、特に1〜6の整数であることが好ましい。
具体的に、ハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、メチルパーフルオロエーテル、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−ペンタン等が挙げられ、これらの化合物を1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。なお、2種以上のハイドロフルオロエーテル化合物を混合して用いる場合、それらの化合物成分の混合比率は任意であってよい。
なお、上述したようなハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、3M株式会社製のノベックHFE7100(化学式COCH)、ノベックHFE7200(化学式COC)、ノベックHFE7300(化学式C13OCH)、旭硝子株式会社製のアサヒクリンAE−3000等が市販されており、好適に用いることができる。
[固体潤滑剤]
固体潤滑剤としては、上述したハイドロフルオロエーテル溶剤との溶解、分散性の観点から、また低摩擦係数を示すという観点から、フッ素樹脂潤滑剤であることが好ましい。
具体的に、フッ素樹脂潤滑剤としては、例えは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フルオネートエチレンポリエチレン(FEP)、パーフルオロアルキル(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を併せて用いることができる。その中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることが特に好ましい。
このフッ素樹脂潤滑剤は、安定的な粘弾性を有しており、固体潤滑剤のなかでも軟らかい性質を有する。また、フッ素樹脂潤滑剤は、耐摩耗性、耐薬品性に優れている。そのため、フッ素樹脂潤滑剤を固体潤滑剤として組成物中に含有させることによって、非常に広範囲に亘る種々の部材に対して潤滑性能の優れた乾性被膜を形成することができ、またその乾性被膜の耐摩耗性を向上させることができる。
[アクリル樹脂]
本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物においては、ハイドロフルオロエーテル溶剤にアクリル樹脂を溶解させている。アクリル樹脂としては、一例として、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとが重合した共重合体を含み、スチレン等の芳香族モノマーを共重合成分として含まないものを用いることができる。
アクリル樹脂としては、その分子量がポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)65,000〜70,000であり、且つ、重量平均分子量(Mw)150,000〜200,000であるものが好ましい。このような分子量のアクリル樹脂であることにより、より効率的にハイドロフルオロエーテル溶剤に溶解させることができる。なお、多分散度(Mw/Mn)としては、特に限定されないが、2.0〜3.0程度であることが好ましい。
また、例えばメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとが重合した共重合体からなるアクリル樹脂を用いる場合、より効率的にハイドロフルオロエーテル溶剤に溶解、分散させる観点から、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとのモノマー比率を適宜調整することが好ましい。
また、アクリル樹脂としては、フッ素変性されたものを用いてもよい。フッ素変性アクリル樹脂は、アクリル樹脂における水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置換したものであれば特に限定されない。例えば、アクリル樹脂の側鎖に、炭素数が1〜20のパーフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基等のフッ素化有機基を導入することによって得られるものが挙げられる。具体的には、フッ素化有機基を連結させたアクリル酸エステルとフッ素化有機基を連結したメタクリル酸エステルとを重合させて得られるもの等が挙げられる。なお、フッ素化有機基の連結には、有機連結基を介して行ってもよい。
[添加剤]
なお、乾性潤滑被膜形成用組成物には、その用途に応じて、ハイドロフルオロエーテル溶剤に対する必須成分の溶解性を損なわせない範囲で、各種の添加剤を添加することができる。例えば、界面活性剤、分散剤、防錆剤、防食剤、酸化防止剤、極圧剤、付着性向上剤(ポリマー等)、油性剤等を添加することができる。
以上のように、本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物は、各種の材料に対する化学的浸食性が低く、環境への負荷が少なく、また速乾性があり、不燃性を有するハイドロフルオロエーテルを溶剤とし、その溶剤に、アクリル樹脂と、固体潤滑剤とを溶解させて含有する。この組成物は、オイル成分を含まず、したがって完全にドライの潤滑被膜を形成することができる。
そして、この乾性潤滑被膜形成用組成物により形成される潤滑被膜は、摩擦係数が低く、長期間にわたって安定的に耐荷重性を維持するものであり、耐久性のある優れた潤滑特性を示す。
≪2.乾性潤滑被膜形成用組成物の製造方法≫
本実施の形態に係る乾性潤滑被膜形成用組成物は、上述した構成成分、すなわちフッ素潤滑剤等の固体潤滑剤と、アクリル樹脂と、また必要に応じた各種の添加剤とを、ハイドロフルオロエーテル溶剤中にそれぞれ所定量配合させて溶解させ、攪拌処理を施して均一に分散させることによって得ることができる。
各成分を均一に分散させる方法としては、特に限定されないが、それぞれの成分をハイドロフルオロエーテル溶剤に溶解させた後に、物理的にせん断力を加えて分散させることが好ましく、例えば3本ロールミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ビーズミル等の混練装置によって混練しながら分散させる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<1.乾性潤滑被膜形成用組成物>
[実施例1]
アクリル樹脂が2.6質量%、固体潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が6.0質量%の割合となるように、それぞれハイドロフルオロエーテル溶剤(アサヒクリンAE−300,旭硝子株式会社製)に加え、各成分を十分に攪拌分散させて溶解させた。なお、ハイドロフルオロエーテル溶剤の含有量は組成物中91.6質量%となるようにし、残余を添加剤とした。
ここで、アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体を樹脂成分として含み、数平均分子量(Mn)が69,000で、重量平均分子量(Mw)が170,000であり、多分散度(Mw/Mn)が2.5であるものを用いた。なお、アクリル樹脂は、芳香族モノマーを共重合成分として含んでいなかった。
攪拌分散に際しては、ビーズミルを用いて混練して行った。ビーズミルによる攪拌分散条件としては、分散メディアとしてφ1.5ジルコニアビーズを用いてベッセル容量1.4Lに対して80%充填させ、流量0.4L/minにて2パスの分散処理を行った。
これにより、アクリル樹脂と、PTFEとが、ハイドロフルオロエーテル溶剤に溶解した乾性潤滑被膜形成用組成物を得ることができた。
[比較例1]
比較例1では、アクリル樹脂としてアクリディックKL−345(DIC株式会社製)を用い、これを固体潤滑剤であるPTFEと共に、ハイドロフルオロエーテル溶剤に溶解させる処理を行った。なお、使用したアクリル樹脂の数平均分子量は34,000であり、重量平均分子量は230,000であった。
しかしながら、そのアクリル樹脂がハイドロフルオロエーテル溶剤に完全に溶解せず、組成物を調製することができなかった。
[比較例2]
比較例2では、アクリル樹脂としてアクリディックCL−540(DIC株式会社製)を用い、これを固体潤滑剤であるPTFEと共に、ハイドロフルオロエーテル溶剤に溶解させる処理を行った。なお、使用したアクリル樹脂の数平均分子量は9,100であり、重量平均分子量は60,000であった。
しかしながら、そのアクリル樹脂がハイドロフルオロエーテル溶剤に完全に溶解せず、組成物を調製することができなかった。
<2.潤滑特性の評価>
[実施例2]
(乾性潤滑被膜形成用組成物の製造)
上述した実施例1と同様に、乾性潤滑被膜形成用組成物を製造した。
すなわち、アクリル樹脂が2.6質量%、固体潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が6.0質量%の割合となるように、それぞれハイドロフルオロエーテル溶剤(アサヒクリンAE−3000,旭硝子株式会社製)に加えて各成分を十分に攪拌分散させた。なお、ハイドロフルオロエーテル溶剤の含有量は組成物中91.6質量%となるようにし、残余を添加剤とした。なお、アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとを共重合体を樹脂成分として含むものを用いた。
攪拌分散に際しては、ビーズミルを用いて混練して行った。ビーズミルによる攪拌分散条件としては、分散メディアとしてφ1.5ジルコニアビーズを用いてベッセル容量1.4Lに対して80%充填させ、流量0.4L/minにて2パスの分散処理を行った。これにより、乾性潤滑被膜形成用組成物を作製した。
(摩擦係数測定試験)
作製した乾性潤滑被膜形成用組成物を用いて摩擦係数測定試験を行った。具体的には、摩擦摩耗試験機(フリクションプレーヤー)(株式会社レスカ製、フリクションプレーヤーFRP−2100)を使用し、乾性潤滑被膜形成用組成物を塗布して形成された乾性潤滑被膜の摩擦係数を測定した。試験の設定条件としては、相手材をφ3/16インチSUS304ボールとし、荷重0.49N(50g)の場合と、荷重1.00N(100g)の場合とで、摺速度0.05m/s(回転円径:φ15mm、回転数63.7rpm)で、測定時間を60分として行った。
テストピース(試験片)としては、縦50mm×横50mm×厚さ1.0mmのポリカーボネートフィルム片を使用し、室温下で、製造した乾性潤滑被膜形成用組成物をテストピースの表面に刷毛を用いてコーティングし、常温で放置して乾燥させ、膜厚10μmの乾性潤滑被膜を形成した。
[比較例3]
比較例3として、フッ素グリースを溶剤に溶解させた潤滑剤組成物を用い、その潤滑剤組成物を刷毛によりテストピースに塗布して潤滑被膜を形成し、その潤滑被膜について摩擦係数を測定した。具体的に、潤滑剤組成物としては、合成油(フッ素オイル)を5質量%、PTFEを5質量%の割合でハイドロフルオロエーテル溶剤(90質量%)に溶解させた組成を有しているものを用いた。なお、摩擦係数測定試験については、実施例1と同じ条件で行った。
図1、図2に、実施例2にて形成した乾性潤滑被膜と、比較例3にて形成した潤滑被膜の摩擦係数評価試験の結果を示す。図1が荷重:50gとしたときの経過時間に対する摩擦係数(μ)の変動の様子を示すものであり、図2が荷重:100gとしたときの経過時間に対する摩擦係数の変動の様子を示すものである。
図1のグラフ図に示すように、荷重:50gの条件では、実施例2の乾性潤滑被膜は60分間にわたる測定において安定的に低い摩擦係数を維持し、良好な耐荷重特性を長期間に亘って示した。一方で、比較例3の潤滑剤組成物により形成された潤滑被膜では、試験開始から45分を経過したあたり(図1中のX部)から摩擦係数が急激に上昇して潤滑特性が低下した。このことは、比較例1の潤滑被膜ではオイル成分を含むため、時間結果と共にその油膜が破断したことによると考えられる。
図2のグラフ図に示すように、荷重:100gの条件においても、実施例2の乾性潤滑被膜では、安定的に低い摩擦係数を維持し、良好な耐荷重特性を長期間に亘って示した。これに対して、比較例3の潤滑剤組成物により形成された潤滑被膜では、試験開始から数分程度の僅かな時間の経過後(図1中のY部)から摩擦係数が急激に上昇して潤滑特性が低下した。これも、比較例3の潤滑被膜ではオイル成分を含むため、初期に油膜が破断したことによると考えられる。

Claims (4)

  1. 固体潤滑剤と、アクリル樹脂と、ハイドロフルオロエーテル溶剤とを含有する乾性潤滑被膜形成用組成物。
  2. 前記固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である
    請求項1に記載の乾性潤滑被膜形成用組成物。
  3. 前記アクリル樹脂は、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体を含み、芳香族モノマーを含まない
    請求項1又は2に記載の乾性潤滑被膜形成用組成物。
  4. 前記アクリル樹脂は、数平均分子量が65,000〜70,000であり、且つ、重量平均分子量が150,000〜200,000である
    請求項3に記載の乾性潤滑被膜形成用組成物。
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