JP2016192950A - 歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセット及び歯周病菌の検出方法 - Google Patents

歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセット及び歯周病菌の検出方法 Download PDF

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【課題】歯周病菌の代表的な原因菌を、リアルタイムPCR法にて効率よくかつ正確に定量的に検出する手段の提供。【解決手段】トレポネーマ・デンティコーラ菌、タンネレラ・フォーサイシア菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、プレボテラ・インテルメディア菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌の16SrRNA遺伝子又は23SrRNA遺伝子の当該菌に特徴的な配列に基づいて設計したプライマーペアとプローブから構成される歯周病菌の検出用オリゴヌクレオチドセット、及び当該オリゴヌクレオチドセットを用いる歯周病菌の検出方法。【選択図】なし

Description

本発明は、歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセット及び歯周病菌の検出方法に関する。
歯周病は、炎症によって歯肉に限局して出血や腫れを起こす歯肉炎と、歯肉の炎症に加えて歯を支えている歯槽骨が破壊される歯周炎に分けられる。いわゆる歯槽膿漏は、慢性歯周炎と呼ばれ、歯周組織を破壊することにとどまらず、糖尿病、心血管疾患、嚥下性肺炎などの全身疾患を悪化させるため、早期に発見し、その症状と進行度に応じた適切な治療を行うことが重要である。
歯周病は、歯肉縁上や歯肉縁下の歯垢(プラーク)中で歯周病菌が増殖・感染することにより引き起こされる。歯周病の原因菌としては、スピロヘータの一種であるトレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola:T.d.)菌、グラム陰性嫌気性菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g.)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:T.f.)菌、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans:A.a.)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia:P.i.)菌、フソバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum:F.n.)菌などが知られている。なかでも、P.g.菌、T.d.菌、T.f.菌は、歯周病が進行している患者において高頻度で発見される菌である。歯周病の進行度合いの診断としては、ペリオドンタルプローブと呼ばれる探針で歯と歯肉の境目にできる歯周ポケットの深さを測るプロービング検査が知られているが、被験者に負担であり、また、位相差顕微鏡で確認できるのはらせん状菌(T.d.菌)のみである。よって、唾液等の検体を用いて、歯周病菌を定量的に検出する方法が、被験者の負担の軽減、及び検査の効率性や正確性の観点から望ましい。これまで検体中の歯周病菌の定量方法として、P.i.菌、A.a.菌、及びT.d.菌を、それらの菌の16S rRNA遺伝子の特定領域を指標としてリアルタイムPCR法にて定量検出する方法(特許文献1)、検体中のP.g.菌、P.i.菌、A.a.菌、B.f(T.f.)菌、及びT.d.菌を、それらの菌の16S rRNA遺伝子の特定部位の塩基を指標としてインベーダー・アッセイ法にて定量検出する方法(特許文献2)、唾液中のP.g.菌又はB.f(T.f.)菌の菌数をリアルタイムPCR法で計測し、それぞれの菌数の唾液中の全菌数に対する割合と唾液中の乳酸脱水素酵素活性を指標として歯周疾患を検出する方法(特許文献3)、P.g.菌を特異的に検出するプローブを固定したプローブ固定担体と検体を反応させ、リアルタイムPCR法により固定プローブと標的核酸との反応を検出することにより、検体中のP.g.菌を定量検出する方法(特許文献4)などが報告されている。しかしながら、これまでT.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n菌、A.a.菌の6種の歯周病菌をリアルタイムPCR法にて正確に定量検出するには至っていない。
特開2007-222136号公報 特開2007-244349号公報 特開2004-229537号公報 特開2007-289179号公報
本発明は、歯周病菌の代表的な原因菌であるトレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola:T.d.)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:T.f.)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g.)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia:P.i.)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum:F.n.)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans:A.a.)菌から成る群より選択される1種以上の歯周病菌を、リアルタイムPCR法にて効率よくかつ正確に定量的に検出する手段を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola:T.d.)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:T.f.)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g.)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia:P.i.)菌、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans:A.a.)菌の16S rRNA遺伝子、及びフゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum:F.n.)菌の23S rRNA遺伝子について、これまで報告されている領域とは異なる領域をターゲットとし、その領域の塩基配列に基づいてプライマーペアとプローブから構成されるオリゴヌクレオチドセットを設計した。また、当該オリゴヌクレオチドセットを用いて、段階希釈した鋳型サンプルに対してリアルタイムPCRを行ったところ、初発DNA量が多い順に等間隔の増殖曲線が得られること、また、それらの増殖曲線から算出したCt値と初発DNA量との間には極めて良好な直線関係が成立することを確認し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の(a1)のオリゴヌクレオチドと(a2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(a3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(a1)配列番号1に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(a2)配列番号2に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(a3)配列番号3に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(2)以下の(b1)のオリゴヌクレオチドと(b2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(b3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(b1)配列番号4に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b2)配列番号5に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(b3)配列番号6に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(3)以下の(c1)のオリゴヌクレオチドと(c2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(c3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(c1)配列番号7に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(c2)配列番号8に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(c3)配列番号9に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(4)以下の(d1)のオリゴヌクレオチドと(d2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(d3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(d1)配列番号10に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d2)配列番号11に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(d3)配列番号12に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(5)以下の(e1)のオリゴヌクレオチドと(e2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(e3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(e1)配列番号13に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(e2)配列番号14に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(e3)配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(6)以下の(f1)のオリゴヌクレオチドと(f2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(f3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(f1)配列番号13に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(f2)配列番号14に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(f3)配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアによって増幅される遺伝子断片の少なくとも1種を含む、歯周病菌測定用標準プラスミド。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットを1セット以上含む歯周病菌検出用キット。
(9)(7)に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに含む、(8)に記載の歯周病菌検出用キット。
(10)検体中の歯周病菌の検出方法であって、該歯周病菌が、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌から成る群より選択される1種以上であり、(1)〜(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットの少なくとも1セットを用いてリアルタイムPCRを行うことを特徴とする、上記方法。
(11)(7)に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに用いる、(10)に記載の歯周病菌の検出方法。
(12)前記検出を、PCRの増幅産物に由来する蛍光シグナルにより行う、(10)または(11)に記載の歯周病菌の検出方法。
(13)前記検体が唾液又は歯垢である、(10)〜(12)のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
(14)前記オリゴヌクレオチドセットに含まれるプローブが、TaqManプローブ、モレキュラービーコンプローブ又はサイクリングプローブである、(10)〜(12)のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
本発明によれば、歯周病菌の代表的な原因菌であるトレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola:T.d.)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:T.f.)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g.)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia:P.i.)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum:F.n.)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans:A.a.)から成る群より選択される1種以上の歯周病菌を、リアルタイムPCR法にて検出するためのプライマーペアとプローブから構成されるオリゴヌクレオチドセット、及び当該オリゴヌクレオチドセットを用いる歯周病菌の検出方法が提供される。従って、本発明によれば、多くの種類の細菌を含み得る唾液などの検体から、上記歯周病菌を正確かつ効率よく、しかも被験者に負担をかけることなく検出でき、歯周病検査の信頼性と利用性を向上させることができる。
図1Aは、配列番号1の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号3の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌由来の各プライマーペアによってそれぞれ増幅される6種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図1Bは、図1Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図2Aは、配列番号19の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号3の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、 T.d.菌由来のプライマーペアによって増幅される1種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図2Bは、図2Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図3Aは、配列番号20の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号21の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号22の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.d.菌由来のプライマーペアによって増幅される1種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図3Bは、図3Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図4Aは、配列番号4の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号5の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号6の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌由来の各プライマーペアによってそれぞれ増幅される6種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図4Bは、図4Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図5Aは、配列番号23の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号24の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号25の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.f.菌由来のプライマーペアによって増幅される1種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図5Bは、図5Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図6Aは、配列番号7の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号8の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号9の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌由来の各プライマーペアによってそれぞれ増幅される6種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図6Bは、図6Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図7Aは、配列番号26の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号27の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号28の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、P.g.菌由来のプライマーペアによって増幅される1種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図7Bは、図7Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図8Aは、配列番号10の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号11の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号12の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌由来の各プライマーペアによってそれぞれ増幅される6種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図8Bは、図8Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図9Aは、配列番号29の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号30の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号31の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、P.i.菌由来のプライマーペアによって増幅される1種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図9Bは、図9Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図10Aは、配列番号13の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号14の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号15の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌由来の各プライマーペアによってそれぞれ増幅される6種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図10Bは、図10Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図11Aは、配列番号32の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号33の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号34の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、F.n.菌由来のプライマーペアによって増幅される1種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図11Bは、図11Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図12Aは、配列番号16の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号17の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号18の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌由来の各プライマーペアによってそれぞれ増幅される6種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図12Bは、図12Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。 図13Aは、配列番号35の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、配列番号36の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマー、配列番号37の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをTaqManプローブとして用い、A.a.菌由来のプライマーペアによって増幅される1種の遺伝子断片を含む標準プラスミドDNAに対してリアルタイムPCRを行うことによって得られた増幅曲線を示す。図13Bは、図13Aの増幅曲線におけるCt値をもとに作成した検量線を示す。
1.歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセット
本発明の歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセットは、検出対象の歯周病菌の16S rRNA遺伝子又は23S rRNA遺伝子の特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される。オリゴヌクレオチドの塩基長は、限定はされないが、通常プライマーの場合は、少なくとも15塩基以上、好ましくは15〜30塩基、より好ましくは17〜28塩基、さらに好ましくは20〜25塩基である。また、プローブの場合は、少なくとも10塩基以上、好ましくは10〜50塩基、より好ましくは15〜40塩基、さらに好ましくは20〜30塩基である。
検出対象の歯周病菌の16S rRNA遺伝子又は23S rRNA遺伝子の特徴的な塩基配列とは、広範囲の既知の歯周病菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列と相同性が低く、かつ、検出対象となる歯周病菌にのみ特徴的と考えられる、長さが50塩基〜200塩基、好ましくは80塩基〜150塩基の塩基配列をいう。
本発明における検出対象の歯周病菌とは、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌から成る群より選択される1種以上の歯周病菌をいう。上記の6種の歯周病菌の16S rRNA遺伝子又は23S rRNA遺伝子の特徴的な塩基配列を特定するにあたり、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNA遺伝子又は23S rRNA遺伝子の塩基配列情報をデータベース(DDBJ、NCBI等)より入手し、アライメント解析を行う。
次に、特定した特徴的な塩基配列に基づき、プライマーを設計する。プライマーの設計は、オリゴヌクレオチドの長さ、GC含量、Tm値、オリゴヌクレオチド間の相補性、オリゴヌクレオチド内の二次構造などを考慮して行う。プライマーの設計は、プライマー設計用の市販のソフトウェア、例えばOligoTM[National Bioscience Inc.(米国)製]、GENETYX[ソフトウェア開発(株)(日本)製]等を用いることもできる。
具体的に採用したプライマーの設計基準は以下のとおりである。
(i)鋳型DNAとの間の特異的なアニーリングを可能とするために、プライマー長が15塩基〜30塩基の範囲であること。
(ii)ダイマーや立体構造を形成しないように、両プライマー間の相補的配列を避けること。
(iii) プライマー内のヘアピン構造の形成を防止するため自己相補配列を避けること。
(iv) 鋳型DNAとの安定な結合を確保するため、GC含量を約50%にし、プライマー内においてGC-richあるいはAT-richが偏在しないようにすること。
(v)プライマーの3’末端の塩基配列と鋳型DNA配列との相同性が高いこと。
(vi) アニーリング温度はTm(melting temperature)に依存するので、特異性の高いPCR産物を得るため、Tm値が50〜70℃、好ましくは55〜65℃で互いに近似したプライマーを選定すること。
また、プローブの設計は、ABI Prism 7900HT Real-time PCR System (ライフテクノロジーズジャパン株式会社)等の市販のリアルタイムPCR装置に付属しているソフトウェアやTaqMan Universal PCR Master Mix (ライフテクノロジーズジャパン)等の市販のリアルタイムPCR試薬に添付のプロトコルに基づいて行なえばよい。プローブの設計基準としては、一般的には、GC含量が20〜80%の範囲内であること、配列内に4塩基以上のG又はCの連続を避けること、対応するプライマーペアのTm値よりも8〜10℃程度高く設定すること等が挙げられる。
上記基準に基づき、本発明の歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセットとして以下のものを確立した。
[トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用オリゴヌクレオチドセットTd1]
フォワードプライマー:5'-TAAGGGCGGCTTGAAATAATAATG-3'(配列番号1)
リバースプライマー:5'-AGAGCAAGCTCTCCCTTACCGT-3'(配列番号2)
プローブ: 5'-CAGCGTTCGTTCTGAGCCAGGATCA-3'(配列番号3)
[タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用オリゴヌクレオチドセットTf1]
フォワードプライマー:5'-CGACGGAGAGTGAGAGCTTTCT-3'(配列番号4)
リバースプライマー:5'-GCGCTCGTTATGGCACACTTAAG-3'(配列番号5)
プローブ: 5'-CGTCTATGTAGGTGCTGCATGGTTGTCG-3'(配列番号6)
[ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用オリゴヌクレオチドセットPg1]
フォワードプライマー:5'- TAGCTTGCTAAGGTCGATGG-3'(配列番号7)
リバースプライマー:5'- CAAGTGTATGCGGTTTTAGT-3'(配列番号8)
プローブ: 5'-TGCGTAACGCGTATGCAACTTGCC-3'(配列番号9)
[プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)検出用のオリゴヌクレオチドセットPi1]
フォワードプライマー:5'-CGGCCTAATACCCGATGTTG-3'(配列番号10)
リバースプライマー:5'-CCCATCCTCCACCGATGA-3'(配列番号11)
プローブ: 5'-CACATATGGCATCTGACGTGGACCAAA-3'(配列番号12)
[フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用のオリゴヌクレオチドセットFn1]
フォワードプライマー:5'-GTCAGGATGAGAAATCTAAGGC-3'(配列番号13)
リバースプライマー:5'-CCTCGTGCGCTTTGTATC-3'(配列番号14)
プローブ: 5'-GAAGAGGAGCCCTTGTGTGTGAGTATAC-3'(配列番号15)
[アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用のオリゴヌクレオチドセットAa1]
フォワードプライマー:5'-CCCCATCGCTGGTTGGT-3'(配列番号16)
リバースプライマー:5'-GTCATCATGGCCCTTACGAGTAG-3'(配列番号17)
プローブ: 5'-ACACGTGCTACAATGGCGTATACAGAGGGT-3'(配列番号18)
上記のプライマー又はプローブとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホロアミダイト法、H−ホスホネート法等により、通常用いられるDNA自動合成装置を利用して合成することが可能である。
本発明のオリゴヌクレオチドセットを構成するオリゴヌクレオチドは、上記の配列番号1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号3、6、9、12、15、18に示す塩基配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドのみならず、歯周病菌検出用のプライマー又はプローブとして機能しうる限り、それらの相同オリゴヌクレオチドであってもよい。よって、本発明のオリゴヌクレオチドセットを構成するオリゴヌクレオチドは、配列番号1に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号2に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド、配列番号3に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号4に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号5に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド、配列番号6に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号7に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号8に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド、配列番号9に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号10に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号11に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド、配列番号12に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号13に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号14に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド、配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号16に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号17に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド、配列番号18に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである。相同オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1〜18に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含めばよいが、全長は30塩基以下が好ましい。連続する少なくとも15塩基のオリゴヌクレオチド中の存在部位(3’末端側、5’末端側)についても特に限定はされない。
また、本発明のプローブは、検出対象となる歯周病菌の標的増幅産物に由来する蛍光シグナルを検出するための標識物質で標識されていてもよい。標識プローブとしては、TaqManプローブ、モレキュラービーコン(Molecular Beacon)プローブ、サイクリングプローブが挙げられるが、TaqManプローブが好ましい。TaqManプローブは、5'末端を蛍光物質(レポーター蛍光色素)で修飾し、3'末端を消光物質(クエンチャー蛍光色素)で修飾したプローブである。モレキュラービーコン(Molecular Beacon)プローブは、5'末端を蛍光物質(レポーター蛍光色素)で修飾し、3'末端を消光物質(クエンチャー蛍光色素)で修飾したステムループ構造をとりうるプローブである。サイクリングプローブは、オリゴヌクレオチドの5'末端を蛍光物質(レポーター蛍光色素)で修飾し、3'末端を消光物質(クエンチャー蛍光色素)で修飾したRNAとDNAからなるプローブである。上記TaqManプローブのレポーター蛍光色素の例としては6-FAM(6-カルボキシフルオレセイン)、TET(6-カルボキシ-4, 7, 2',7'-テトラクロロフルオレセイン)、HEX(6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン)等のフルオレセイン系蛍光色素が挙げられ、クエンチャー蛍光色素の例としては、6-カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)等のローダミン系蛍光色素が挙げられる。これらの蛍光色素は公知であり、市販のリアルタイムPCR用キットに含まれているのでそれを用いることができる。
2.歯周病検出用キット
上記オリゴヌクレオチドセットはキット化することもできる。本発明のキットは、上記オリゴヌクレオチドセットのうちの1セットを含むものでもよいし、2セット以上を含むものであってもよい。2セット以上を含む場合は、セット数(2セット、3セット、4セット、5セット、6セット)およびその組み合わせは特に限定はされない。また、キットには、歯周病菌の菌数を定量するために、標準DNAとして、本発明のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアによって増幅される検出対象となる歯周病菌の16S rRNA遺伝子または23S rRNA遺伝子の標的領域を含むプラスミド、具体的には、上記の6種の歯周病菌(T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌)に対して確立した本発明のオリゴヌクレオチドセットTd1、Tf1、Pg1、Pi1、Fn1、Aa1に含まれるプライマーペアによってそれぞれ増幅される遺伝子断片の少なくとも1種、好ましくは6種全部を含む標準プラスミドを含めてもよい。本発明のキットにはまた、上記オリゴヌクレオチドセット及び標準プラスミドのほか、必要に応じて遺伝子増幅及び増幅産物の確認に利用可能な分子量マーカー、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、標識物質、滅菌水、標品(標準菌株など)、説明書などを含んでいてもよい。
3.歯周病菌の検出方法
本発明の歯周病菌の検出方法は、検体に含まれる検出対象の歯周病菌のゲノムDNAを鋳型として、上記オリゴヌクレオチドセットを用いてリアルタイムPCRを行い、標的増幅産物に由来する蛍光シグナルで、検体に含まれる当該歯周病菌を検出するものである。ここで、歯周病菌の検出には、歯周病菌の有無の判定及び歯周病菌の定量が包含される。
検体としては、検出対象の歯周病菌であるトレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌を含む可能性のある生体試料であれば特に限定はされず、典型的には、被験体の口腔から採取した唾液、歯垢(歯肉縁上歯垢及び/又は歯肉縁下歯垢)、舌苔、歯肉溝滲出液などが挙げられるが、血漿や血清等の血液、尿であってもよい。唾液は、そのまま吐出したもの、又は水などで含嗽したものを用いることができる。歯垢は、歯科用スケーラー、綿棒、ブラシなどによる歯面の刷掃、又はペーパーポイントの挿入などで採取することができる。舌苔は、ブラシ、綿棒、ガーゼなどで採取することができる。歯肉溝滲出液は、ペーパーポイントなどを歯肉溝に挿入して採取することができる。
上記検体からのDNAの抽出は、従来のゲノムDNAの調製の場合と同様の手法により行えばよく、例えば、唾液やペーパーポイント上のプラークなどの検体から、SDS法、フェノール法、エタノール法等の常法や、自動DNA抽出機を用いて行うことができる。
次いで、抽出したDNAを鋳型とし、上記の本発明のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアを用いて、PCR増幅を行う。PCR増幅は前述のオリゴヌクレオチドセットを用いる以外は特に制限はなく、常法に従って行えばよい。具体的には、鋳型DNAの変性、プライマーへの鋳型へのアニーリング、及び耐熱性酵素(TaqポリメラーゼやThermus themophilis由来のTth DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ)を用いたプライマーの伸長反応を含むサイクルを繰り返すことにより、検出対象となる歯周病菌に特徴的な塩基配列を増幅させる。PCR溶液の組成(鋳型DNA量、緩衝液の種類、プライマー濃度、DNAポリメラーゼの種類や濃度、dNTP濃度等)、PCR反応条件(温度サイクル、サイクルの回数等)は、当業者であれば適切に選択及び設定することができる。
本発明の検出方法では、リアルタイムPCRにより細菌の定量を行う。リアルタイムPCRは、リアルタイムPCR装置を用いてPCRを行い、PCRによる増幅を継時的に測定することで、増幅率に基づいて鋳型となるDNAの定量を行う手法である。この方法には、通常、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置を用いる。まず、段階希釈した既知量のDNAを標準(スタンダード)としてPCRを行い、これをもとに、増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle;Ct値)を縦軸に、初発のDNA量を横軸にプロットし、検量線を作成する。未知濃度の試料についても、同じ条件下で反応を行い、Ct値を求め、この値と検量線から、試料中の目的のDNA量を測定することができる。リアルタイムPCR法には、遺伝子増幅産物の検出法の違いにより、蛍光標識プローブを用いる方法と、蛍光試薬を用いる方法が含まれる。蛍光標識プローブを用いる方法としては、上述のTaqManプローブ、モレキュラービーコンプローブ、サイクリングプローブをそれぞれ用いるTaqMan法、モレキュラービーコン法、サイクリングプローブ法が挙げられ、蛍光試薬を用いる方法としては、プライマーペアとともに二本鎖DNAに結合することによって蛍光を発する化合物であるSYBR Green IなどのインターカレーターをPCR反応系に加えるインターカレーター法が挙げられるが、本発明においてはTaqMan法が好ましい。
TaqMan法は、5'末端を蛍光物質(FAMなど)で、3'末端をクエンチャー物質(TAMRAなど)で修飾したオリゴヌクレオチドプローブをPCR反応系に添加してPCRを行う。TaqMan法では、TaqManプローブがPCRによる増幅反応においてポリメラーゼの伸長反応に使用される条件下で鋳型DNAに特異的にハイブリダイズし、DNA鎖の伸長、すなわち鋳型DNAの増幅に伴って分解され、蛍光物質を遊離することによりPCR溶液中の蛍光量が増加する。この蛍光量の増加が鋳型DNAの増幅の指標となり、PCRにおける増幅の様子をリアルタイムで簡便に検出することができる。リアルタイムPCR法は、上記のオリゴヌクレオチドセットを用いる以外は、当業者に知られている通常の方法に基づいて、市販のリアルタイムPCRキットやリアルタイムPCR装置を用い、それらに添付の操作説明書に従って行なえばよい。リアルタイムPCR装置としては、例えば、Takara-bio社製 Thermal Cycler Dice Real Time System II等を用いることができる。
本発明の検出方法において、歯周病菌の定量を行うためには、検出対象となる歯周病菌の菌株を標準として用いてもよいし、本発明のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアによって増幅される遺伝子断片を含むプラスミド等の標準DNAを標準として用いてもよいが、取り扱いの容易性や保存性の点において標準DNAを用いることが好ましい。標準DNAとして用いるプラスミド(標準プラスミド)としては、検出対象となる歯周病菌に対応する本発明のオリゴヌクレオチドセットTd1、Tf1、Pg1、Pi1、Fn1、Aa1に含まれるプライマーペアによって増幅される遺伝子断片を少なくとも1種含むプラスミドであればよいが、上記オリゴヌクレオチドセットによって増幅される遺伝子断片の6種全部を含むプラスミドが好ましい。具体的には、標準プラスミドの2種以上の希釈系列を用いて検量線を求め、得られた検量線から、検出対象の歯周病菌の16S rDNAのコピー数を定量することにより、検体中の当該歯周病菌の菌数を定量することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola:T.d.)検出用オリゴヌクレオチドセット
(1)トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用プライマー・プローブの調製
トレポネーマ・デンティコーラ(以下、「T.d.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、T.d.に属する菌株が共通に有し、T.d.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、T.d.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
その結果、配列番号38に示す塩基配列の43番目〜150番目までの領域、及び374番目〜484番目までの領域をT.d.に特徴的な塩基配列部分として特定し、これらを増幅ターゲットとすることにした。
43番目〜150番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットTd1とした。
(オリゴヌクレオチドセットTd1)
フォワードプライマー:5'-TAAGGGCGGCTTGAAATAATAATG-3'(配列番号1)
リバースプライマー:5'-AGAGCAAGCTCTCCCTTACCGT-3'(配列番号2)
プローブ: 5'-CAGCGTTCGTTCTGAGCCAGGATCA-3'(配列番号3)
また、同領域から、プライマーとして下記の配列番号19に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットTd2とした。
(オリゴヌクレオチドセットTd2)
フォワードプライマー:5'-TAAGGGCGGCTTGAAATAATGA-3'(配列番号19)
リバースプライマー:5'-AGAGCAAGCTCTCCCTTACCGT-3'(配列番号2)
プローブ: 5'-CAGCGTTCGTTCTGAGCCAGGATCA-3'(配列番号3)
また、374番目〜484番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号20に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号21に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号22に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットTd3とした。
(オリゴヌクレオチドセットTd3)
フォワードプライマー:5'-GACACATTGGGACTGAGATAC-3'(配列番号20)
リバースプライマー:5'-CGGCCTTCTTCATTCACAC-3'(配列番号21)
プローブ:5'-CCATTGCGGAAGATTCTTAGCTGCTGCCTC-3'(配列番号22)
(2)トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用オリゴヌクレオチドセットの評価
(1)で調製した3組のオリゴヌクレオチドセットのT.d.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。
まず、検量線用遺伝子としてトレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌のうちのいずれか1種の歯周病菌の特異的断片を含むプラスミド(以下、「1種菌含有標準プラスミド」と記す)、または上記6種のすべての歯周病菌の特異的増幅断片を含むプラスミド(以下、「6種菌含有標準プラスミド」と記す)を調製した。具体的には、T.d.菌については、配列番号38に示す塩基配列の43番目〜150番目までの塩基配列からなるDNA断片、T.f.菌については、配列番号39に示す塩基配列の958番目〜1063番目までの塩基配列からなるDNA断片、P.g.菌については配列番号40に示す塩基配列の85番目〜194番目までの塩基配列からなるDNA断片、P.i.菌については配列番号41に示す塩基配列の174番目〜243番目までの塩基配列からなるDNA断片、F.n.菌については配列番号42に示す塩基配列の1666番目〜1791番目までの塩基配列からなるDNA断片、A.a.菌については、配列番号43に示す塩基配列の269番目〜346番目までの塩基配列からなるDNA断片をそれぞれ合成し、1種菌含有標準プラスミドの場合は、検出対象の歯周病菌に応じた1種のDNA断片を含むプラスミド、また、6種菌含有標準プラスミドの場合は、T.f.菌、P.i.菌、A.a.菌、P.g.菌、F.n.菌、T.d.菌由来のDNA断片の順で含むプラスミドを調製した。6種菌含有標準プラスミドは、設計したオリゴヌクレオチドセットを用いて複数の歯周病菌が混在する唾液等の検体中の歯周病菌を実際に検出する場合の検出性能をより正確に反映するものである。
この調製したプラスミドDNAの濃度を107〜102個に希釈して調整し、この既知濃度のプラスミド希釈液をPCRの鋳型DNA試料として用いてリアルタイムPCRを行った。
リアルタイムPCRは、Takara-bio社製 Thermal Cycler Dice Real Time System II)を用いて行った。PCR反応液の組成は、鋳型DNA試料(プラスミド希釈液)1μl、フォワードプライマー(10μM)0.4μl、リバースプライマー(10μM)0.4μl、プローブ(10μM)1μl、Takara-bio社製 Premix EX Taq 10μl、超純水7.2μlで、総容量20μlとした。PCR反応は、95℃30秒間の前処理の後、95℃30秒間の熱変性、60℃30秒間のアニーリング処理と伸長反応を1サイクルとする2-step PCRを、40サイクル行った。反応終了後、DNAの定量はスタンダードカーブ法にて行い、Threshold cycleはCrossing Point Methodにて設定した。
オリゴヌクレオチドセットTd1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図1Aに、また検量線を図1Bに示す)。オリゴヌクレオチドセットTd2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図2Aに、また検量線を図2Bに示す。オリゴヌクレオチドセットTd3を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図3Aに、また検量線を図3Bに示す。オリゴヌクレオチドセットTd1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図1A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図1B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットTd2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がるが(図2A)、オリゴヌクレオチドセットTd1を用いた図1Aと比較して、立ち上がりサイクル数より1サイクル程度遅く、検量線の精度が劣った(図2B)。よって、オリゴヌクレオチドセットTd2は、オリゴヌクレオチドセットTd1に比べてT.d.菌の定量検出の効率、精度が低いことがわかった。また、オリゴヌクレオチドセットTd3を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図3A)、検量線を引くことができなかった(図3C)。オリゴヌクレオチドセットTd3のT.d.菌の定量検出の不能の原因としては、フォワードプライマーとリバースプライマーによるプライマーダイマーの形成が考えられる。
以上の結果から、オリゴヌクレオチドセットTd1(フォワードプライマー:配列番号1に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、リバースプライマー:配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブ:配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)及び上記で得られた検量線を用いることにより、検体中のT.d.菌の16S rDNAのコピー数を定量することができ、ひいては、検体中のT.d.菌の菌数を定量できることが示された。
(実施例2)タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:T.f.)検出用オリゴヌクレオチドセット
(1)タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用プライマー・プローブの調製
タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:以下、「T.f.」と略記する場合がある)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、T.f.に属する菌株が共通に有し、T.f.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、T.f.菌に特徴的な塩基配列部分を、Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
その結果、配列番号39に示す塩基配列の958番目〜1063番目までの領域をT.f.菌に特徴的な塩基配列部分として特定し、これらを増幅ターゲットとすることにした。
958番目〜1063番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットTf1とした。
(オリゴヌクレオチドセットTf1)
フォワードプライマー:5'-CGACGGAGAGTGAGAGCTTTCT-3'(配列番号4)
リバースプライマー:5'-GCGCTCGTTATGGCACACTTAAG-3'(配列番号5)
プローブ: 5'-CGTCTATGTAGGTGCTGCATGGTTGTCG-3'(配列番号6)
また、16S rRNA遺伝子とは別に、T.f.のBFO_2000(1)をコードする遺伝子の塩基配列内に特定したT.d.菌に特徴的な塩基配列から、プライマーとして下記の配列番号23に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号24に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号25に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットTf2とした。
(オリゴヌクレオチドセットTf2)
フォワードプライマー:5'-TCCCAAAGACGCGGATATCA-3'(配列番号23)
リバースプライマー:5'-ACGGTCGCGATGTCATTGT-3'(配列番号24)
プローブ: 5'-CCGCGACGTGAAATGGTATTCCTC-3'(配列番号25)
(2)タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用オリゴヌクレオチドセットの評価
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのT.f.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットTf1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図4Aに、また検量線を図4Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットTf2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図5Aに、また検量線を図5Bに示す)。オリゴヌクレオチドセットTf1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図4A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図4B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットTf2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図5A)、検量線を引くことができなかった(図5B)。オリゴヌクレオチドセットTf2のT.f.菌の定量検出の不能の原因としては、増幅ターゲットとしたBFO_2000領域の塩基配列がゲノム上にもう1か所存在し(BFO_2000(2))、そのBFO_2000(2)では、増幅領域におけるフォワードプライマー(配列番号23)とプローブ(配列番号25)の結合部位の端が変異しており、安定して遺伝子が増幅されないことが考えられる。
以上の結果から、オリゴヌクレオチドセットTf1(フォワードプライマー:配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、リバースプライマー:配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブ:配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)及び上記で得られた検量線を用いることにより、検体中のT.f.菌の16S rDNAのコピー数を定量することができ、ひいては、検体中のT.f.菌の菌数を定量できることが示された。
(実施例3)ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g.)検出用オリゴヌクレオチドセット
(1)ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用プライマー・プローブの調製
ポルフィロモナス ジンジバリス(以下、「P.g.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、P.g.に属する菌株が共通に有し、P.g.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、P.g.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
その結果、配列番号40に示す塩基配列の85番目〜194番目までの領域、及び628番目〜696番目までの領域をP.g.に特徴的な塩基配列部分として特定し、これらを増幅ターゲットとすることにした。
85番目〜194番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号7に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号9に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットPg1とした。
(オリゴヌクレオチドセットPg1)
フォワードプライマー:5'-TAGCTTGCTAAGGTCGATGG-3'(配列番号7)
リバースプライマー:5'-CAAGTGTATGCGGTTTTAGT-3'(配列番号8)
プローブ: 5'-TGCGTAACGCGTATGCAACTTGCC-3'(配列番号9)
また、628番目〜696番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号26に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号27に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号28に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットPg2とした。
(オリゴヌクレオチドセットPg2)
フォワードプライマー:5'-GTTCAGCCTGCCGTTGAAAC-3'(配列番号26)
リバースプライマー:5'-ACCGCTACACCACGAATTCC-3'(配列番号27)
プローブ: 5'-CTTGAGTTCAGCGGCGGCAGG-3'(配列番号28)
(2)ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用オリゴヌクレオチドセットの評価
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのP.g.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットPg1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図6Aに、また検量線を図6Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットPg2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図7Aに、また検量線を図7Bに示す。オリゴヌクレオチドセットPg1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図6A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図6B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットPg2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図7A)、検量線を引くことができなかった(図7B)。オリゴヌクレオチドセットPg2のP.g.菌の定量検出の不能の原因としては、プローブの中央に存在する一塩基多型の変異の可能性が考えられる。
以上の結果から、オリゴヌクレオチドセットPg1(フォワードプライマー:配列番号7に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、リバースプライマー:配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブ:配列番号9に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)及び上記で得られた検量線を用いることにより、検体中のP.g.菌の16S rDNAのコピー数を定量することができ、ひいては、検体中のP.g.菌の菌数を定量できることが示された。
(実施例4)プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia:P.i.)検出用オリゴヌクレオチドセット
(1)プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)検出用プライマー・プローブの調製
プレボテラ・インテルメディア(以下、「P.i.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、P.i.に属する菌株が共通に有し、P.i.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、P.i.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
その結果、配列番号41に示す塩基配列の174番目〜518番目までの領域をP.i.に特徴的な塩基配列部分として特定し、これらを増幅ターゲットとすることにした。
174番目〜518番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号10に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号11に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号12に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットPi1とした。
(オリゴヌクレオチドセットPi1)
フォワードプライマー:5'-CGGCCTAATACCCGATGTTG-3'(配列番号10)
リバースプライマー:5'-CCCATCCTCCACCGATGA-3'(配列番号11)
プローブ: 5'-CACATATGGCATCTGACGTGGACCAAA-3'(配列番号12)
また、同領域から、プライマーとして下記の配列番号29に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号30に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号31に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットPi2とした。
(オリゴヌクレオチドセットPi2)
フォワードプライマー:5'-AATACCCGATGTTGTCCACA-3'(配列番号29)
リバースプライマー:5'-TTAGCCGGTCCTTATTCGAA-3'(配列番号30)
プローブ: 5'-TGACGTGGACCAAAGATTCATCGGTGGA-3'(配列番号31)
(2)プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)検出用オリゴヌクレオチドセットの評価
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのP.i.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットPi1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図8Aに、また検量線を図8Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットPi2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図9Aに、また検量線を図9Bに示す。オリゴヌクレオチドセットPi1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図8A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図8B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットPi2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図9A)、検量線を引くことができなかった(図9B)。
以上の結果から、オリゴヌクレオチドセットPi1(フォワードプライマー:配列番号10に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、リバースプライマー:配列番号11に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブ:配列番号12に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)及び上記で得られた検量線を用いることにより、検体中のP.i.菌の16S rDNAのコピー数を定量することができ、ひいては、検体中のP.i.菌の菌数を定量できることが示された。
(実施例5)フソバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum:F.n.)検出用オリゴヌクレオチドセット
(1)フソバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用プライマー・プローブの調製
フソバクテリウム ヌクレアタム(以下、「F.n.」と略記する)の23S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、F.n.に属する菌株が共通に有し、F.n.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、F.n.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の23S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
その結果、配列番号42に示す塩基配列の428番目〜546番目までの領域、及び1666番目〜1791番目までの領域を、F.n.に特徴的な塩基配列部分として特定し、これらを増幅ターゲットとすることにした。
1666番目〜1791番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号13に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号14に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号15に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットFn1とした。
(オリゴヌクレオチドセットFn1)
フォワードプライマー:5'-GTCAGGATGAGAAATCTAAGGC-3'(配列番号13)
リバースプライマー:5'-CCTCGTGCGCTTTGTATC-3'(配列番号14)
プローブ: 5'-GAAGAGGAGCCCTTGTGTGTGAGTATAC-3'(配列番号15)
また、428番目〜546番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号32に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号33に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号34に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットFn2とした。
(オリゴヌクレオチドセットFn2)
フォワードプライマー:5'-CTCCCAAGTAACATGGAACAC-3'(配列番号32)
リバースプライマー:5'-TTCTTTTCACCTTTCCCTCAC-3'(配列番号33)
プローブ: 5'-TGCGCTATCGGTTAGTAAGAGTATTTAGCCT-3'(配列番号34)
(2)フソバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用オリゴヌクレオチドセットの評価
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのF.n.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットFn1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図10Aに、また検量線を図10Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットFn2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図11Aに、また検量線を図11Bに示す。オリゴヌクレオチドセットFn1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図10A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図10B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットFn2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図11A)、検量線を引くことができなかった(図11B)。
以上の結果から、オリゴヌクレオチドセットFn1(フォワードプライマー:配列番号13に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、リバースプライマー:配列番号14に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブ:配列番号15に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)及び上記で得られた検量線を用いることにより、検体中のF.n.菌の23S rDNAのコピー数を定量することができ、ひいては、検体中のF.n.菌の菌数を定量できることが示された。
(実施例6)アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans:A.a.)検出用オリゴヌクレオチドセット
(1)アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用プライマー・プローブの調製
アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(以下、「A.a.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、A.a.に属する菌株が共通に有し、A.a.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、A.a.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
その結果、配列番号43に示す塩基配列の269番目〜346番目までの領域、及び488番目〜564番目までの領域を、A.a.に特徴的な塩基配列部分として特定し、これらを増幅ターゲットとすることにした。
269番目〜346番目での領域から、プライマーとして下記の配列番号16に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号17に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号18に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットAa1とした。
(オリゴヌクレオチドセットAa1)
フォワードプライマー:5'-CCCCATCGCTGGTTGGT-3'(配列番号16)
リバースプライマー:5'-GTCATCATGGCCCTTACGAGTAG-3'(配列番号17)
プローブ: 5'-ACACGTGCTACAATGGCGTATACAGAGGGT-3'(配列番号18)
また、488番目〜564番目までの領域から、プライマーとして下記の配列番号35に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号36に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブとして配列番号37に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを設計し、オリゴヌクレオチドセットAa2とした。
(オリゴヌクレオチドセットAa2)
フォワードプライマー:5'- ATGCAGCACCTGTCTCAAAGC-3'(配列番号35)
リバースプライマー:5'-CTTACCTACTCTTGACATCCGAA-3'(配列番号36)
プローブ: 5'-AGAACTCAGAGATGGGTTTGTGCCTTAG-3'(配列番号37)
(2)アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用オリゴヌクレオチドセットの評価
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのA.a.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットAa1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図12Aに、また検量線を図12Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットAa2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図13Aに、また検量線を図13Bに示す。オリゴヌクレオチドセットAa1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図12A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図12B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットAa2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図13A)、検量線を引くことができなかった(図13B)。
以上の結果から、オリゴヌクレオチドセットAa1(フォワードプライマー:配列番号10に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、リバースプライマー:配列番号11に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、プローブ:配列番号12に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)及び上記で得られた検量線を用いることにより、検体中のA.a.菌の16S rDNAのコピー数を定量することができ、ひいては、検体中のA.a.菌の菌数を定量できることが示された。
本発明によれば、主要歯周病菌であるトレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola:T.d.)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:T.f.)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g.)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia:P.i.)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum:F.n.)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans:A.a.)菌から選ばれる1種又は2種以上の歯周菌を効率よくかつ正確に検出するためのオリゴヌクレオチドセットが得られる。よって、本発明は、歯周病の検査薬の製造分野において利用可能である。

Claims (14)

  1. 以下の(a1)のオリゴヌクレオチドと(a2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(a3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
    (a1)配列番号1に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (a2)配列番号2に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
    (a3)配列番号3に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  2. 以下の(b1)のオリゴヌクレオチドと(b2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(b3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
    (b1)配列番号4に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (b2)配列番号5に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
    (b3)配列番号6に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  3. 以下の(c1)のオリゴヌクレオチドと(c2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(c3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
    (c1)配列番号7に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (c2)配列番号8に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
    (c3)配列番号9に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  4. 以下の(d1)のオリゴヌクレオチドと(d2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(d3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
    (d1)配列番号10に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (d2)配列番号11に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
    (d3)配列番号12に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  5. 以下の(e1)のオリゴヌクレオチドと(e2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(e3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
    (e1)配列番号13に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (e2)配列番号14に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
    (e3)配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  6. 以下の(f1)のオリゴヌクレオチドと(f2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(f3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
    (f1)配列番号16に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
    (f2)配列番号17に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
    (f3)配列番号18に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアによって増幅される遺伝子断片の少なくとも1種を含む、歯周病菌測定用標準プラスミド。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットを1セット以上含む歯周病菌検出用キット。
  9. 請求項7に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに含む、請求項8に記載の歯周病菌検出用キット。
  10. 検体中の歯周病菌の検出方法であって、該歯周病菌が、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌から成る群より選択される1種以上であり、請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットの少なくとも1セットを用いてリアルタイムPCRを行うことを特徴とする、上記方法。
  11. 請求項7に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに用いる、請求項10に記載の歯周病菌の検出方法。
  12. 前記検出を、PCRの増幅産物に由来する蛍光シグナルにより行う、請求項10または11に記載の歯周病菌の検出方法。
  13. 前記検体が唾液又は歯垢である、請求項10〜12のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
  14. 前記オリゴヌクレオチドセットに含まれるプローブが、TaqManプローブ、モレキュラービーコンプローブ又はサイクリングプローブである、請求項10〜12のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
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