JP2016192950A - 歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセット及び歯周病菌の検出方法 - Google Patents
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(1)以下の(a1)のオリゴヌクレオチドと(a2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(a3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(a1)配列番号1に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(a2)配列番号2に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(a3)配列番号3に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(2)以下の(b1)のオリゴヌクレオチドと(b2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(b3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(b1)配列番号4に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b2)配列番号5に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(b3)配列番号6に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(3)以下の(c1)のオリゴヌクレオチドと(c2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(c3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(c1)配列番号7に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(c2)配列番号8に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(c3)配列番号9に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(4)以下の(d1)のオリゴヌクレオチドと(d2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(d3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(d1)配列番号10に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d2)配列番号11に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(d3)配列番号12に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(5)以下の(e1)のオリゴヌクレオチドと(e2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(e3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(e1)配列番号13に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(e2)配列番号14に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(e3)配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(6)以下の(f1)のオリゴヌクレオチドと(f2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(f3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(f1)配列番号13に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(f2)配列番号14に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(f3)配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアによって増幅される遺伝子断片の少なくとも1種を含む、歯周病菌測定用標準プラスミド。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットを1セット以上含む歯周病菌検出用キット。
(9)(7)に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに含む、(8)に記載の歯周病菌検出用キット。
(10)検体中の歯周病菌の検出方法であって、該歯周病菌が、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌から成る群より選択される1種以上であり、(1)〜(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットの少なくとも1セットを用いてリアルタイムPCRを行うことを特徴とする、上記方法。
(11)(7)に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに用いる、(10)に記載の歯周病菌の検出方法。
(12)前記検出を、PCRの増幅産物に由来する蛍光シグナルにより行う、(10)または(11)に記載の歯周病菌の検出方法。
(13)前記検体が唾液又は歯垢である、(10)〜(12)のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
(14)前記オリゴヌクレオチドセットに含まれるプローブが、TaqManプローブ、モレキュラービーコンプローブ又はサイクリングプローブである、(10)〜(12)のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
本発明の歯周病菌検出用オリゴヌクレオチドセットは、検出対象の歯周病菌の16S rRNA遺伝子又は23S rRNA遺伝子の特徴的な塩基配列を含む、2種以上のオリゴヌクレオチドから構成される。オリゴヌクレオチドの塩基長は、限定はされないが、通常プライマーの場合は、少なくとも15塩基以上、好ましくは15〜30塩基、より好ましくは17〜28塩基、さらに好ましくは20〜25塩基である。また、プローブの場合は、少なくとも10塩基以上、好ましくは10〜50塩基、より好ましくは15〜40塩基、さらに好ましくは20〜30塩基である。
(i)鋳型DNAとの間の特異的なアニーリングを可能とするために、プライマー長が15塩基〜30塩基の範囲であること。
(ii)ダイマーや立体構造を形成しないように、両プライマー間の相補的配列を避けること。
(iii) プライマー内のヘアピン構造の形成を防止するため自己相補配列を避けること。
(iv) 鋳型DNAとの安定な結合を確保するため、GC含量を約50%にし、プライマー内においてGC-richあるいはAT-richが偏在しないようにすること。
(v)プライマーの3’末端の塩基配列と鋳型DNA配列との相同性が高いこと。
(vi) アニーリング温度はTm(melting temperature)に依存するので、特異性の高いPCR産物を得るため、Tm値が50〜70℃、好ましくは55〜65℃で互いに近似したプライマーを選定すること。
[トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用オリゴヌクレオチドセットTd1]
フォワードプライマー:5'-TAAGGGCGGCTTGAAATAATAATG-3'(配列番号1)
リバースプライマー:5'-AGAGCAAGCTCTCCCTTACCGT-3'(配列番号2)
プローブ: 5'-CAGCGTTCGTTCTGAGCCAGGATCA-3'(配列番号3)
[タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用オリゴヌクレオチドセットTf1]
フォワードプライマー:5'-CGACGGAGAGTGAGAGCTTTCT-3'(配列番号4)
リバースプライマー:5'-GCGCTCGTTATGGCACACTTAAG-3'(配列番号5)
プローブ: 5'-CGTCTATGTAGGTGCTGCATGGTTGTCG-3'(配列番号6)
[ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用オリゴヌクレオチドセットPg1]
フォワードプライマー:5'- TAGCTTGCTAAGGTCGATGG-3'(配列番号7)
リバースプライマー:5'- CAAGTGTATGCGGTTTTAGT-3'(配列番号8)
プローブ: 5'-TGCGTAACGCGTATGCAACTTGCC-3'(配列番号9)
[プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)検出用のオリゴヌクレオチドセットPi1]
フォワードプライマー:5'-CGGCCTAATACCCGATGTTG-3'(配列番号10)
リバースプライマー:5'-CCCATCCTCCACCGATGA-3'(配列番号11)
プローブ: 5'-CACATATGGCATCTGACGTGGACCAAA-3'(配列番号12)
[フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用のオリゴヌクレオチドセットFn1]
フォワードプライマー:5'-GTCAGGATGAGAAATCTAAGGC-3'(配列番号13)
リバースプライマー:5'-CCTCGTGCGCTTTGTATC-3'(配列番号14)
プローブ: 5'-GAAGAGGAGCCCTTGTGTGTGAGTATAC-3'(配列番号15)
[アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用のオリゴヌクレオチドセットAa1]
フォワードプライマー:5'-CCCCATCGCTGGTTGGT-3'(配列番号16)
リバースプライマー:5'-GTCATCATGGCCCTTACGAGTAG-3'(配列番号17)
プローブ: 5'-ACACGTGCTACAATGGCGTATACAGAGGGT-3'(配列番号18)
上記オリゴヌクレオチドセットはキット化することもできる。本発明のキットは、上記オリゴヌクレオチドセットのうちの1セットを含むものでもよいし、2セット以上を含むものであってもよい。2セット以上を含む場合は、セット数(2セット、3セット、4セット、5セット、6セット)およびその組み合わせは特に限定はされない。また、キットには、歯周病菌の菌数を定量するために、標準DNAとして、本発明のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアによって増幅される検出対象となる歯周病菌の16S rRNA遺伝子または23S rRNA遺伝子の標的領域を含むプラスミド、具体的には、上記の6種の歯周病菌(T.d.菌、T.f.菌、P.g.菌、P.i.菌、F.n.菌、及びA.a.菌)に対して確立した本発明のオリゴヌクレオチドセットTd1、Tf1、Pg1、Pi1、Fn1、Aa1に含まれるプライマーペアによってそれぞれ増幅される遺伝子断片の少なくとも1種、好ましくは6種全部を含む標準プラスミドを含めてもよい。本発明のキットにはまた、上記オリゴヌクレオチドセット及び標準プラスミドのほか、必要に応じて遺伝子増幅及び増幅産物の確認に利用可能な分子量マーカー、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、標識物質、滅菌水、標品(標準菌株など)、説明書などを含んでいてもよい。
本発明の歯周病菌の検出方法は、検体に含まれる検出対象の歯周病菌のゲノムDNAを鋳型として、上記オリゴヌクレオチドセットを用いてリアルタイムPCRを行い、標的増幅産物に由来する蛍光シグナルで、検体に含まれる当該歯周病菌を検出するものである。ここで、歯周病菌の検出には、歯周病菌の有無の判定及び歯周病菌の定量が包含される。
(1)トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用プライマー・プローブの調製
トレポネーマ・デンティコーラ(以下、「T.d.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、T.d.に属する菌株が共通に有し、T.d.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、T.d.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
(オリゴヌクレオチドセットTd1)
フォワードプライマー:5'-TAAGGGCGGCTTGAAATAATAATG-3'(配列番号1)
リバースプライマー:5'-AGAGCAAGCTCTCCCTTACCGT-3'(配列番号2)
プローブ: 5'-CAGCGTTCGTTCTGAGCCAGGATCA-3'(配列番号3)
(オリゴヌクレオチドセットTd2)
フォワードプライマー:5'-TAAGGGCGGCTTGAAATAATGA-3'(配列番号19)
リバースプライマー:5'-AGAGCAAGCTCTCCCTTACCGT-3'(配列番号2)
プローブ: 5'-CAGCGTTCGTTCTGAGCCAGGATCA-3'(配列番号3)
(オリゴヌクレオチドセットTd3)
フォワードプライマー:5'-GACACATTGGGACTGAGATAC-3'(配列番号20)
リバースプライマー:5'-CGGCCTTCTTCATTCACAC-3'(配列番号21)
プローブ:5'-CCATTGCGGAAGATTCTTAGCTGCTGCCTC-3'(配列番号22)
(1)で調製した3組のオリゴヌクレオチドセットのT.d.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。
まず、検量線用遺伝子としてトレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌のうちのいずれか1種の歯周病菌の特異的断片を含むプラスミド(以下、「1種菌含有標準プラスミド」と記す)、または上記6種のすべての歯周病菌の特異的増幅断片を含むプラスミド(以下、「6種菌含有標準プラスミド」と記す)を調製した。具体的には、T.d.菌については、配列番号38に示す塩基配列の43番目〜150番目までの塩基配列からなるDNA断片、T.f.菌については、配列番号39に示す塩基配列の958番目〜1063番目までの塩基配列からなるDNA断片、P.g.菌については配列番号40に示す塩基配列の85番目〜194番目までの塩基配列からなるDNA断片、P.i.菌については配列番号41に示す塩基配列の174番目〜243番目までの塩基配列からなるDNA断片、F.n.菌については配列番号42に示す塩基配列の1666番目〜1791番目までの塩基配列からなるDNA断片、A.a.菌については、配列番号43に示す塩基配列の269番目〜346番目までの塩基配列からなるDNA断片をそれぞれ合成し、1種菌含有標準プラスミドの場合は、検出対象の歯周病菌に応じた1種のDNA断片を含むプラスミド、また、6種菌含有標準プラスミドの場合は、T.f.菌、P.i.菌、A.a.菌、P.g.菌、F.n.菌、T.d.菌由来のDNA断片の順で含むプラスミドを調製した。6種菌含有標準プラスミドは、設計したオリゴヌクレオチドセットを用いて複数の歯周病菌が混在する唾液等の検体中の歯周病菌を実際に検出する場合の検出性能をより正確に反映するものである。
この調製したプラスミドDNAの濃度を107〜102個に希釈して調整し、この既知濃度のプラスミド希釈液をPCRの鋳型DNA試料として用いてリアルタイムPCRを行った。
(1)タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用プライマー・プローブの調製
タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia:以下、「T.f.」と略記する場合がある)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、T.f.に属する菌株が共通に有し、T.f.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、T.f.菌に特徴的な塩基配列部分を、Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
(オリゴヌクレオチドセットTf1)
フォワードプライマー:5'-CGACGGAGAGTGAGAGCTTTCT-3'(配列番号4)
リバースプライマー:5'-GCGCTCGTTATGGCACACTTAAG-3'(配列番号5)
プローブ: 5'-CGTCTATGTAGGTGCTGCATGGTTGTCG-3'(配列番号6)
(オリゴヌクレオチドセットTf2)
フォワードプライマー:5'-TCCCAAAGACGCGGATATCA-3'(配列番号23)
リバースプライマー:5'-ACGGTCGCGATGTCATTGT-3'(配列番号24)
プローブ: 5'-CCGCGACGTGAAATGGTATTCCTC-3'(配列番号25)
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのT.f.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットTf1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図4Aに、また検量線を図4Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットTf2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図5Aに、また検量線を図5Bに示す)。オリゴヌクレオチドセットTf1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図4A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図4B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットTf2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図5A)、検量線を引くことができなかった(図5B)。オリゴヌクレオチドセットTf2のT.f.菌の定量検出の不能の原因としては、増幅ターゲットとしたBFO_2000領域の塩基配列がゲノム上にもう1か所存在し(BFO_2000(2))、そのBFO_2000(2)では、増幅領域におけるフォワードプライマー(配列番号23)とプローブ(配列番号25)の結合部位の端が変異しており、安定して遺伝子が増幅されないことが考えられる。
(1)ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用プライマー・プローブの調製
ポルフィロモナス ジンジバリス(以下、「P.g.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、P.g.に属する菌株が共通に有し、P.g.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、P.g.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
(オリゴヌクレオチドセットPg1)
フォワードプライマー:5'-TAGCTTGCTAAGGTCGATGG-3'(配列番号7)
リバースプライマー:5'-CAAGTGTATGCGGTTTTAGT-3'(配列番号8)
プローブ: 5'-TGCGTAACGCGTATGCAACTTGCC-3'(配列番号9)
(オリゴヌクレオチドセットPg2)
フォワードプライマー:5'-GTTCAGCCTGCCGTTGAAAC-3'(配列番号26)
リバースプライマー:5'-ACCGCTACACCACGAATTCC-3'(配列番号27)
プローブ: 5'-CTTGAGTTCAGCGGCGGCAGG-3'(配列番号28)
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのP.g.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットPg1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図6Aに、また検量線を図6Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットPg2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図7Aに、また検量線を図7Bに示す。オリゴヌクレオチドセットPg1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図6A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図6B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットPg2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図7A)、検量線を引くことができなかった(図7B)。オリゴヌクレオチドセットPg2のP.g.菌の定量検出の不能の原因としては、プローブの中央に存在する一塩基多型の変異の可能性が考えられる。
(1)プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)検出用プライマー・プローブの調製
プレボテラ・インテルメディア(以下、「P.i.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、P.i.に属する菌株が共通に有し、P.i.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、P.i.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
(オリゴヌクレオチドセットPi1)
フォワードプライマー:5'-CGGCCTAATACCCGATGTTG-3'(配列番号10)
リバースプライマー:5'-CCCATCCTCCACCGATGA-3'(配列番号11)
プローブ: 5'-CACATATGGCATCTGACGTGGACCAAA-3'(配列番号12)
(オリゴヌクレオチドセットPi2)
フォワードプライマー:5'-AATACCCGATGTTGTCCACA-3'(配列番号29)
リバースプライマー:5'-TTAGCCGGTCCTTATTCGAA-3'(配列番号30)
プローブ: 5'-TGACGTGGACCAAAGATTCATCGGTGGA-3'(配列番号31)
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのP.i.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットPi1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図8Aに、また検量線を図8Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットPi2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図9Aに、また検量線を図9Bに示す。オリゴヌクレオチドセットPi1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図8A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図8B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットPi2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図9A)、検量線を引くことができなかった(図9B)。
(1)フソバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用プライマー・プローブの調製
フソバクテリウム ヌクレアタム(以下、「F.n.」と略記する)の23S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、F.n.に属する菌株が共通に有し、F.n.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、F.n.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の23S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
(オリゴヌクレオチドセットFn1)
フォワードプライマー:5'-GTCAGGATGAGAAATCTAAGGC-3'(配列番号13)
リバースプライマー:5'-CCTCGTGCGCTTTGTATC-3'(配列番号14)
プローブ: 5'-GAAGAGGAGCCCTTGTGTGTGAGTATAC-3'(配列番号15)
(オリゴヌクレオチドセットFn2)
フォワードプライマー:5'-CTCCCAAGTAACATGGAACAC-3'(配列番号32)
リバースプライマー:5'-TTCTTTTCACCTTTCCCTCAC-3'(配列番号33)
プローブ: 5'-TGCGCTATCGGTTAGTAAGAGTATTTAGCCT-3'(配列番号34)
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのF.n.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットFn1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図10Aに、また検量線を図10Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットFn2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図11Aに、また検量線を図11Bに示す。オリゴヌクレオチドセットFn1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図10A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図10B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットFn2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図11A)、検量線を引くことができなかった(図11B)。
(1)アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用プライマー・プローブの調製
アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(以下、「A.a.」と略記する)の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列のうち、A.a.に属する菌株が共通に有し、A.a.に属さない歯周病菌株は有しない塩基配列部分、すなわち、A.a.菌に特徴的な塩基配列部分を、DDBJのBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用い、歯周病菌を含む種々の細菌の16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列との比較から特定した。
(オリゴヌクレオチドセットAa1)
フォワードプライマー:5'-CCCCATCGCTGGTTGGT-3'(配列番号16)
リバースプライマー:5'-GTCATCATGGCCCTTACGAGTAG-3'(配列番号17)
プローブ: 5'-ACACGTGCTACAATGGCGTATACAGAGGGT-3'(配列番号18)
(オリゴヌクレオチドセットAa2)
フォワードプライマー:5'- ATGCAGCACCTGTCTCAAAGC-3'(配列番号35)
リバースプライマー:5'-CTTACCTACTCTTGACATCCGAA-3'(配列番号36)
プローブ: 5'-AGAACTCAGAGATGGGTTTGTGCCTTAG-3'(配列番号37)
実施例1(2)と同様にして、(1)で調製した2組のオリゴヌクレオチドセットのA.a.菌の検出性能をリアルタイムPCR法によって評価した。オリゴヌクレオチドセットAa1を用いた場合(検量線用遺伝子として6種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図12Aに、また検量線を図12Bに示す。また、オリゴヌクレオチドセットAa2を用いた場合(検量線用遺伝子として1種菌含有標準プラスミドを使用)のPCRの増幅曲線を図13Aに、また検量線を図13Bに示す。オリゴヌクレオチドセットAa1を用いた場合、リアルタイムPCR反応における立ち上がりサイクル数が早く、反応性が良好で(図12A)、かつ、精度の高い検量線が引けた(図12B)。これに対し、オリゴヌクレオチドセットAa2を用いた場合、リアルタイムPCR反応における増幅曲線は立ち上がらず(図13A)、検量線を引くことができなかった(図13B)。
Claims (14)
- 以下の(a1)のオリゴヌクレオチドと(a2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(a3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(a1)配列番号1に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(a2)配列番号2に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(a3)配列番号3に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド - 以下の(b1)のオリゴヌクレオチドと(b2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(b3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(b1)配列番号4に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b2)配列番号5に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(b3)配列番号6に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド - 以下の(c1)のオリゴヌクレオチドと(c2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(c3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(c1)配列番号7に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(c2)配列番号8に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(c3)配列番号9に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド - 以下の(d1)のオリゴヌクレオチドと(d2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(d3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(d1)配列番号10に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d2)配列番号11に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(d3)配列番号12に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド - 以下の(e1)のオリゴヌクレオチドと(e2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(e3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(e1)配列番号13に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(e2)配列番号14に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(e3)配列番号15に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド - 以下の(f1)のオリゴヌクレオチドと(f2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、及び以下の(f3)のオリゴヌクレオチドからなるプローブから構成される、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)検出用のオリゴヌクレオチドセット。
(f1)配列番号16に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(f2)配列番号17に示す塩基配列における連続する少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチド
(f3)配列番号18に示す塩基配列又はその相補配列における連続する少なくとも15塩基を含む塩基配列からなるオリゴヌクレオチド - 請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットに含まれるプライマーペアによって増幅される遺伝子断片の少なくとも1種を含む、歯周病菌測定用標準プラスミド。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットを1セット以上含む歯周病菌検出用キット。
- 請求項7に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに含む、請求項8に記載の歯周病菌検出用キット。
- 検体中の歯周病菌の検出方法であって、該歯周病菌が、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)菌、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)菌、プレボテラ・インテルメディア(Prevoterlla intermedia)菌、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)菌、及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)菌から成る群より選択される1種以上であり、請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドセットの少なくとも1セットを用いてリアルタイムPCRを行うことを特徴とする、上記方法。
- 請求項7に記載の歯周病菌測定用標準プラスミドをさらに用いる、請求項10に記載の歯周病菌の検出方法。
- 前記検出を、PCRの増幅産物に由来する蛍光シグナルにより行う、請求項10または11に記載の歯周病菌の検出方法。
- 前記検体が唾液又は歯垢である、請求項10〜12のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
- 前記オリゴヌクレオチドセットに含まれるプローブが、TaqManプローブ、モレキュラービーコンプローブ又はサイクリングプローブである、請求項10〜12のいずれかに記載の歯周病菌の検出方法。
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