JPWO2019123692A1 - 検体中の細菌数の定量方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、PCR法を用いた迅速かつ精度よい検体中の細菌の菌数の定量を可能とする方法を提供することにある。上記の課題を解決する方法として、以下の工程により検体中の細菌の同定及び定量を行う。(1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、(2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、及び(3)検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の細菌数を求める菌数定量工程。また、上記の工程(1)〜(3)に加えて以下の工程(4)及び(5)を追加してもよい。(4)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程。(5)前記菌数定量工程で求めた細菌数を暫定細菌数とし、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて暫定細菌数を補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。

Description

本発明は、PCR法を用いて、検体、特に血液検体中の細菌数の定量、あるいは細菌数の定量及び細菌種の同定を迅速かつ精度良く行う方法に関する。
敗血症の重症度判定に用いられている従来の検査項目は、血液培養、エンドトキシン、プロカルシトニン、白血球数、CRP(C-reactive protein)、血圧、体温、呼吸数、脈拍数等であり、最近新たにプレセプシンが加わった。血液培養結果は時間を要するために早期治療にフィードバックすることは難しい。白血球数やCRPは宿主側の感染防御反応であるため、検査値と重症度に時間差が生じ、実際の重症度とはしばしば乖離した値となる。プロカルシトニンは特異性や定量性に難があり、使いづらい。プレセプシンは腎機能障害の患者では使えない。このように、感染症の重症度や治療効果をリアルタイムに反映する指標として、未だ信頼のおける検査項目は存在しない。可能であれば、患者検体中の菌数をバイオマーカーとして、感染症重症度の判定や治療効果をモニタリングする指標として用いることが最も直接的であり、理に適っている。
現行では、検体中の菌数の標準的定量解析は、採取した患者検体の培養によって行われるが、非常に大まかな定量でしかない(「1+」、「2+」、「3+」との分類のみ)。培養技術は長年利用されているが、検査に時間がかかる(通常2〜3日)上、菌種毎に異なる増殖能に依存するため、Colony-forming unit (CFU)を用いた定量結果の信頼性は低い。よって、細菌数の正確な測定を行うには、培養に頼らない測定法が好ましい。近年、培養以外の方法で最も汎用性が高いと考えられる技術は、定量PCR(real-time PCR)法である。
リアルタイムPCR法で患者検体中の起炎菌の定量を試みる場合、検査開始時点において起炎菌は同定されておらず、また、混合感染もしばしば生じ得るため、bacterial universal primer(ほぼ全ての細菌を検出するプライマーであり、以下単に「ユニバーサルプライマー」と記載することがある。)を用いる必要がある。しかし、患者検体中の起炎菌はしばしば少量であるため、通常のリアルタイムPCRでは正確に定量するだけの十分な感度が得られない場合がある。また、十分な感度が得られたとしても、bacterial universal PCR(ほぼ全ての細菌を検出するPCR)においてはコンタミネーションが検出され易い問題があり、起炎菌の判定に困難が生じる。その結果、患者検体中の起炎菌の定量検査は感染症治療に非常に有用であるにも拘らず、技術的に未解決な問題によって未だ実用化に至っていない。
PCR法による感染症起因菌の同定方法については、特許文献1には、検体由来の核酸を用いて複数の特定のプライマーセットを用いてリアルタイムPCRを行い、得られた複数の増幅産物の融解温度(Tm値)の組合せを用いて検体中の菌を同定する感染症起因菌の迅速同定方法が開示されている。
特許文献2には、検出感度の向上を達成し得る真核生物で生産された耐熱性DNAポリメラーゼとそれを用いたPCR法による細菌種の同定方法が開示されている。
特許文献3には、検体由来の核酸を用いてリアルタイムPCRを行い、得られた増幅産物の融解温度(Tm値)を用いて検体中の菌を同定するための多数のプライマーペアが開示されている。
国際公開2007/097323号 国際公開2010/082640号 国際公開2015/053293号
敗血症における血液検体等の検体中に微量に含まれる起炎菌の菌数やその菌種を従来のPCR法で分析する場合には、以下のような課題がなお残されているのが現状である。
通常のリアルタイムPCRでは、患者検体中の起炎菌数を正確に定量するだけの十分な感度が得られない場合がある。特に、起炎菌が極微量の場合、リアルタイムPCRでの正確な定量は出来ない場合がある。
本発明の目的は、PCR法を用いた迅速かつ精度よい、検体中の細菌数の定量、あるいは細菌数の定量及び細菌種の同定を可能とする方法を提供することにある。
本発明にかかる検体中の細菌数を定量する第1の定量方法の一実施形態は以下の工程を有することを特徴とする。
(1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
(2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いたnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、及び
(3)菌種が既知であるコントロール細菌由来の増幅産物の量と前記コントロール細菌の細菌数との関係を示す検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の細菌数を求める菌数定量工程。
本発明にかかる検体中の細菌数を定量する第1の定量方法の一実施形態は以下の工程を有することを特徴とする。
(A)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
(B)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いたnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、
(C)菌種が既知であるコントロール細菌の既知の細菌数に対応した核酸試料を用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
(D)前記第3のPCR工程により得られた第3の増幅産物を用いてnested PCR法により第4の増幅産物を得る第4のPCR工程、
(E)前記既知の菌数と前記第4の増幅産物の量から検量用のデータを作成する工程、及び
(F)前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検量用のデータを用いて前記検体中の細菌数を求める菌数定量工程。
本発明にかかる検体中の細菌数を定量する第2の定量方法の一実施形態は以下の工程を有することを特徴とする。
(1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
(2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いたnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、
(3)菌種が既知であるコントロール細菌由来の増幅産物の量と前記コントロール細菌の細菌数との関係を示す検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程、
(4)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程、及び
(5)前記菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
本発明にかかる検体中の細菌数を定量する第2の定量方法の一実施形態は以下の工程を有することを特徴とする。
(A)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
(B)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いたnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、
(C)菌種が既知であるコントロール細菌の既知の細菌数に対応した核酸試料を用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
(D)前記第3のPCR工程により得られた第3の増幅産物を用いてnested PCR法により第4の増幅産物を得る第4のPCR工程、
(E)前記既知の菌数と前記第4の増幅産物の量から検量用のデータを作成する工程、
(F)前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検量用のデータを用いて前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程、
(G)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程、及び
(H)前記菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
本発明にかかるコンタミネーションの有無の判定方法は、
血液検体を遠心分離し、赤血球画分、バフィーコート画分及び血漿画分に分離したのち、上清の血漿画分とバフィーコートを含む試料Aと、上清の血漿画分を含みバフィーコートを含まない試料Bを作製する工程(a)、
以下の工程(2−1)、(2−2)及び(2−3)を有する検体中の細菌数を定量する方法により、前記試料Aと前記試料Bの各々の細菌数を定量する工程(b)、
および
前記試料Aと前記試料Bの、細菌数を比較することにより前記血液試料中の細菌のコンタミネーションの有無を判定する工程(c)
を有することを特徴とする。
(2−1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
(2−2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、及び
(2−3)検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程。
本発明にかかるコンタミネーションの有無の判定方法にける細菌数を定量する工程(b)は、さらに以下の工程(2−4)及び(2−5)を有してもよい。
(2−4)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程。
(2−5)前記菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
本発明によれば、PCR法を用いた迅速かつ精度よい検体中の細菌数の定量、あるいは細菌数の定量及び細菌種の同定を可能とする方法を提供することができる。
実施例1における各Stepの関係と手順について示す。 細菌の分散液を100×g、5分で軽度遠心した後のupper halfとlower halfの菌数を示すグラフである。 通常のreal-time PCR法(conventional PCR method)による定量性と本発明にかかるnested PCR法(nested PCR method)による定量性の比較を示すグラフである。 耐熱性DNAポリメラーゼ(市販品と真核生物をホストとして作製した耐熱性DNAポリメラーゼ)に残存するホスト細菌由来DNAの検出結果を示す図である。 Tm mapping法用のプライマーの16S rRNAにおける配置図である。 1塩基異なるプライマーの等量混合により、双方の正確な定量を可能とする実験結果を示す図である。 起炎菌の定量結果とその他のバイオマーカーとの抗菌薬治療前後の動態の比較の一例を示す図である。 起炎菌の定量結果とその他のバイオマーカーとの抗菌薬治療前後の動態の比較の一例を示す図である。 起炎菌の定量結果とその他のバイオマーカーとの抗菌薬治療前後の動態の比較の一例を示す図である。 起炎菌の定量結果とその他のバイオマーカーとの抗菌薬治療前後の動態の比較の一例を示す図である。 起炎菌の定量結果とその他のバイオマーカーとの抗菌薬治療前後の動態の比較の一例を示す図である。 起炎菌の定量結果とその他のバイオマーカーとの抗菌薬治療前後の動態の比較の一例を示す図である。 起炎菌の定量結果とその他のバイオマーカーとの抗菌薬治療前後の動態の比較の一例を示す図である。
本発明の検体中の細菌数の第1の定量方法は、以下の工程を有する。
(i)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程。
(ii)第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程。
(iii)菌種が既知であるコントロール細菌由来の増幅産物の量と前記コントロール細菌の菌数との関係を示す検量用のデータを用いて、第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から検体中の細菌数を求める菌数定量工程。
本発明の検体中の細菌数の第2の定量方法は、以下の工程を有する。
(I)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程。
(II)第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程。
(III)菌種が既知であるコントロール細菌由来の増幅産物の量と前記コントロール細菌の菌数との関係を示す検量用のデータを用いて、第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程。
(IV)検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程。
(V)菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、コントロール細菌及び菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
以下、本発明にかかる検体中の細菌数の定量方法の実施形態について説明する。
まず、本発明にかかる検体中の細菌数の第1の定量方法及び第2の定量方法において共通する第1のPCR工程、第2のPCR工程及び菌数定量工程について説明する。
(検体由来核酸試料の調製)
検体由来の核酸試料の調製は定法により行うことができる。
なお、検体由来の核酸試料の調製は、後述する実施例で用いている方法のように、細菌種による差が生じない集菌および核酸抽出方法を用いることが好ましい。
検体としては、血液だけでなく、脳脊髄液(細菌性髄膜炎)、心嚢水(心膜炎)、胸水(胸膜炎)、腹水(腹膜炎)、関節包液(整形外科の術後感染症)、眼房水(眼内炎)、肺胞洗浄液(肺炎)、尿(尿路感染症)、術後のドレーン排液(術後感染症)、CVカテーテル先端(長期臥床患者のカテ先Biofilmによる敗血症)など多種の感染症の重症度や治療効果の指標、感染症リスク管理の指標として利用されることが期待できる検体を挙げることができる。
(第1のPCR用のプライマーペア)
第1のPCR工程において用いるユニバーサルプライマーペアは、定量対象とする、あるいは定量対象とする可能性のある範囲の細菌種の16S rRNA遺伝子の定量に利用可能な領域を増幅可能であるものであれば、公知のプライマーペアや細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列情報から選択したプライマーペア等、特に制限なく利用できる。
異なる細菌種間でプライマーが結合する16S rRNA遺伝子の部位の配列に1塩基が異なる2種の塩基配列がある場合に、一方の塩基配列のプライマーを用いた場合に1塩基ミスマッチを生じると定量精度が低下する場合がある。このような場合で、これらの両方の塩基配列に対応するプライマーを同時に用い、精度良い定量を可能とする細菌種の範囲を拡大することが好ましい。
つまり、第1のPCR工程に用いるユニバーサルプライマーペアにおいて、フォワードプライマー、リバースプライマーの一方又は両方が、1塩基異なる2種のプライマーが等量混合されたものであることが好ましい。
このようなプライマーペアとして、以下のプライマーペアの組合せを挙げることができる。
パターン1:
Region 1 forward primer 1a: 5′-AGAGTTTGATCATGGCTCAG-3′(配列番号1)
Region 1 forward primer 1b: 5′-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3′(配列番号2)
Region 7 reverse primer: 5′-CCGGGAACGTATTCACC-3′(配列番号3)
このパターン1の場合、Region 1 forward primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用することが好ましい。Region 7 reverse primerは1種類をそのまま使用することが好ましい。第1の PCR工程は1検体につき1 tubeで行うことが好ましい。
パターン2:
Region 1’ forward primer 1a: 5′-AGAGTTTGATCATGGCTCAG-3′(配列番号1)
Region 1’ forward primer 1b: 5′-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3′(配列番号2)
Region 7’ reverse primer 1a: 5′-AGACCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号4)
Region 7’ reverse primer 1b: 5′-AGGCCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号5)
このパターン2の場合、Region 1’ forward primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用することが好ましい。同様にRegion 7’ reverse primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用することが好ましい。第1のPCR工程は1検体につき1 tubeで行うことが好ましい。
(第1のPCR工程)
第1のPCR工程では、定量の精度を向上させる上で鋳型として用いた核酸の量に対応する増幅産物量を得るために、遺伝子増幅がプラトーとなる前、例えば、増幅曲線に傾きがある段階で増幅を終了させることが好ましい。増幅産物の増幅速度は、PCR用の試薬の濃度、PCR用の酵素の活性、増幅のためのサイクル数等により制御することができる。核酸試料中に含まれる核酸の量から予想されるプラトーに達しないサイクル数、あるいは予め実験で求めておいたデータからプラトーに達しないサイクル数を設定して、増幅速度を制御して、遺伝子増幅がプラトーに達する前にPCRを終了することが好ましい。
第1のPCR工程は公知の方法及び装置によって行うことができる。
第1のPCR工程は、検体由来の核酸以外の細菌由来の核酸の混入が極めて少ない、あるいはこのような混入のない反応系で行うことが好ましい。PCR用の試薬、器具、酵素を、特許文献2に開示されるような公知の方法で処理することで、かかる反応系を調製することができる。また、核酸増幅のための酵素としては、特許文献2に開示されている真核生物を宿主として用いて遺伝子工学的に製造した耐熱性DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。検体由来の核酸以外の細菌核酸汚染の無いPCRを行うことで、汚染細菌に由来する核酸からの増幅によるバックグランドがゼロあるいは検出限界以下となり、極微量の起炎菌まで正確に定量することが可能となる。
(第2のPCR用のプライマーペア)
第1のPCR工程により得られた増幅産物を用いて、nested PCR法により第2のPCR工程を行う。
第2のPCR工程用のプライマーペアとしては、第1のPCR工程での増幅産物の塩基配列の内部配列であって、目的とする細菌数の定量に利用できる内部配列を有する核酸断片を増幅できるものであれば特に制限無く利用できる。公知のプライマーペア、あるいは、細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列から選択して得られたプライマーペア等を利用することができる。
第2のPCR工程用の好ましいプライマーペアとして、以下のプライマーペアを挙げることができる。
パターン1:
Region 1 forward primer: 5′-AGAGTTTGATCATGGCTCAG-3′(配列番号1)
Region 1 reverse primer: 5′-CGTAGGAGTCTGGACCGT-3′(配列番号6)
Region 2 forward primer: 5′-GACTCCTACGGGAGGCA-3′(配列番号7)
Region 2 reverse primer: 5′-TATTACCGCGGCTGCTG-3′(配列番号8)
Region 3 forward primer: 5′-AGCAGCCGCGGTAATA-3′(配列番号9)
Region 3 reverse primer: 5′-GGACTACCAGGGTATCTAATCCT-3′(配列番号10)
Region 4 forward primer: 5′-AACAGGATTAGATACCCTGGTAG-3′(配列番号11)
Region 4 reverse primer: 5′-AATTAAACCACATGCTCCACC-3′(配列番号12)
Region 5 forward primer: 5′-TGGTTTAATTCGATGCAACGC-3′(配列番号13)
Region 5 reverse primer: 5′-GAGCTGACGACAGCCAT-3′(配列番号14)
Region 6 forward primer: 5′-TTGGGTTAAGTCCCGC-3′(配列番号15)
Region 6 reverse primer: 5′-CGTCATCCCCACCTTC-3′(配列番号16)
Region 7 forward primer: 5′-GGCTACACACGTGCTACAAT-3′(配列番号17)
Region 7 reverse primer: 5′-CCGGGAACGTATTCACC-3′(配列番号3)
パターン2:
Region 1’ forward primer: 5′-GCAGGCTTAACACATGCAAGTCG-3′(配列番号18)
Region 1’ reverse primer:5′-CGTAGGAGTCTGGACCGT-3′(配列番号6)
Region 2’ forward primer: 5′-GTCCAGACTCCTACGGGAG-3′(配列番号19)
Region 2’ reverse primer: 5′-CCTACGTATTACCGCGG-3′(配列番号20)
Region 3’ forward primer: 5′-AGCAGCCGCGGTAATA-3′(配列番号21)
Region 3’ reverse primer: 5′-GGACTACCAGGGTATCTAATCCT-3′(配列番号10)
Region 4’ forward primer: 5′-AACAGGATTAGATACCCTGGTAG-3′(配列番号11)
Region 4’ reverse primer: 5′-AATTAAACCACATGCTCCACC-3′(配列番号12)
Region 5’ forward primer: 5′-TGGTTTAATTCGATGCAACGC-3′(配列番号13)
Region 5’ reverse primer: 5′-GAGCTGACGACAGCCAT-3′(配列番号14)
Region 6’ forward primer: 5′-GTTAAGTCCCGCAACGAG-3′(配列番号22)
Region 6’ reverse primer: 5′-CCATTGTAGCACGTGTGTAGCC-3′(配列番号23)
Region 7’ forward primer: 5′-GGCTACACACGTGCTACAATGG-3′(配列番号24)
Region 7’ reverse primer: 5′-AGACCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号4)
パターン1及び2からなる群から選択した少なくとも1つのプライマーペアを用いて第2のPCR工程を行うことができる。なお、複数のプライマーペアを用いる場合は、これらのそれぞれを個々に用いて第2のPCR工程を行う。
(第2のPCR工程)
第2のPCR工程は公知の方法及び装置によって行うことができる。
なお、第1のPCR工程で得られた増幅産物を含む反応液は、第2のPCR工程において定量に利用できる増幅産物量を得る上で、必要に応じて希釈してもよい。
希釈率は、第1のPCR工程で得られた反応液の増幅産物の濃度から想定される、あるいは予め行った実験において定量性が担保される範囲となる量の増幅産物が第2のPCR工程で得られるように設定する。
第2のPCR工程においても、検体由来の核酸以外の細菌由来の核酸の混入が極めて少ない、あるいはこのような混入のない反応系で行うことが好ましい。PCR用の試薬、器具、酵素を、特許文献2に開示されるような公知の方法で処理することで、かかる反応系を調製することができる。また、核酸増幅のための酵素としては、特許文献2に開示されている真核生物を宿主として用いて遺伝子工学的に製造した耐熱性DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。検体由来の核酸以外の細菌核酸汚染の無いPCRを行うことで、汚染細菌に由来する核酸からの増幅によるバックグランドがゼロあるいは検出限界以下となり、極微量の起炎菌まで正確に定量することが可能となる。
(検量用のデータの作成)
菌数定量工程において、菌種が既知であるコントロール細菌由来の増幅産物の量と前記コントロール細菌の細菌数との関係を示す検量用のデータを用いて、検体中の細菌数を求めることができる。
検量用のデータは、特に限定されないが、菌種が既知であるコントロール細菌の既知の細菌数に対応した核酸試料を用いてPCR工程を行うことによって得られる既知細菌由来の増幅産物の量と、前記既知の細菌数との関係から作成することができる。検量用のデータは、コントロール細菌の既知の細菌数単独を用いて、あるいはコントロール細菌の既知の複数の異なる細菌数のそれぞれを個々に用いて作成することができる。
検量用のデータとして検量線を用いる場合も特に限定されないが、菌種が既知であるコントロール細菌の異なる複数の既知の細菌数に対応した複数の核酸試料をそれぞれ個々に用いてPCR工程を行うことによって得られる既知細菌由来の増幅産物の量と、前記既知の細菌数との関係から検量線を作成することができる。
検量用のデータを予め用意しておき、菌数定量工程に用いることができる。
PCR装置の操作状態や操作環境による誤差を最少として細菌数の定量精度をより向上させるには、検量用のデータの作成工程を第1のPCR工程及び第2のPCR工程との一連の操作によって行うことが好ましい。その際の検量用のデータの作成は以下の工程により行うことができる。
(C)菌種が既知であるコントロール細菌の既知の細菌数に対応した核酸試料を用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
(D)第3のPCR工程により得られた第3の増幅産物を用いてnested PCR法により第4の増幅産物を得る第4のPCR工程、及び
(E)コントロール細菌の既知の菌数と第4の増幅産物の量から検量用のデータを作成する工程。
なお、同一PCR装置内で、前記第1のPCR工程と前記第3のPCR工程を並行して行い、かつ、同一PCR装置内で、前記第2のPCR工程と前記第4のPCR工程を並行して行うことにより効率よい検量用のデータの作成を行うことができる。
検量用のデータとして検量線を用いる場合は、工程(C)及び(E)を以下の工程(C−1)及び(E−1)により行うことができる。
(C−1)菌種が既知であるコントロール細菌の異なる複数の既知の細菌数に対応した複数の核酸試料をそれぞれ個々に用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
(E−1)前記既知の菌数と前記第4の増幅産物の量から検量線を作成する工程。
検量線作成用として第3のPCR工程の鋳型として用いる複数の核酸試料としては、コントロール細菌を異なる既知菌数で含む複数の試料のそれぞれから核酸を抽出して得られる試料を用いることができる。あるいは、コントロール細菌を既知菌数で含む試料から核酸を抽出して得られる核酸試料を所定濃度に希釈して、複数の異なる既知菌数に対応する複数の核酸試料を調製して、得られた各核酸試料をそれぞれ独立して第3のPCR工程に用いてもよい。
コントロール細菌は、目的とする検量線の作成を可能とするものであれば、特に限定されない。取り扱い性や他菌種との互換性等を考慮してコントロール細菌を選択することができる。このような観点からは、大腸菌をコントロール細菌として好ましく利用することができる。
検量線の作成において用いるプライマーセットは、第1のPCR工程、第2のPCR工程、後述する検体中の細菌の細菌種の同定にPCR法を用いる場合のプライマーセットとの関係で選択することが好ましい。例えば、第1のPCR工程で用いるプライマーセットを工程(C)で用い、第2のPCR工程で用いるプライマーセット(複数のプライマーセットを用いる場合は、そのうちの少なくとも1つ)を工程(D)で用いることができる。後述する検体中の細菌の細菌種の同定に第1のPCR工程での増幅産物を利用する場合にも、同様に、第2のPCR工程で用いるプライマーセット(複数のプライマーセットを用いる場合は、そのうちの少なくとも1つ)を工程(D)で用いることができる。
(細菌数の算出)
細菌数定量工程において、検量線等の検量用データを用いて第2のPCR工程で得られた増幅産物の量から、検体中の細菌数を求めることができる。この細菌数を検体中の細菌数として利用することができる。
なお、本発明にかかる第2の定量方法では、細菌数定量工程において得られた細菌数を暫定的に求めた暫定細菌数として利用する。
以下に、本発明にかかる第2の定量方法における菌種同定工程及び細菌数補正工程について説明する。なお、本発明にかかる第1の定量方法に、菌種同定工程を追加してもよい。その場合、第1の定量方法における第1のPCR工程及び第2のPCR工程を利用して、検体中の細菌の同定を行うことができる。
(細菌種同定用プライマー)
本発明にかかる第2の定量方法では、第1のPCR工程により得られた増幅産物を用いて、検体中の細菌の細菌種の同定を行う。
細菌種の同定にパターン1のプライマーセットを、後述するTm mapping法において用いる場合には、以下のプライマーセットを用いることが好ましい。
・第1の PCR工程(Tm mapping法のパターン1の第1のPCR工程のプライマーセットと同じ)
Region 1 forward primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用する。Region 7 reverse primerは以下の1種類をそのまま使用する。1st PCRの患者検体は1検体につき1 tube、定量コントロールを少なくとも1つの濃度を1 tube、より好ましくは3つの濃度を3 tube、ネガティブコントロールは1 tube、で行う。
Region 1 forward primer 1a: 5′-AGAGTTTGATCATGGCTCAG-3′(配列番号1)
Region 1 forward primer 1b: 5′-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3′(配列番号2)
Region 7 reverse primer: 5′-CCGGGAACGTATTCACC-3′(配列番号3)
・第2のPCR工程(nested PCR):
以下のRegion 3 forward primerとRegion 3 reverse primer とを使用する。2nd nested PCRでの定量は検体1つにつき1 tube、定量コントロールを少なくとも1つの濃度を1 tube、より好ましくは3つの濃度を3 tube、ネガティブコントロールに1 tube、で行う。但し、患者検体においては、Tm mapping法施行時のRegion 3 forward & reverse primerでの増幅結果をそのまま定量測定に用いる(定量用に新たなtubeを用いてPCRを行う必要はない)。
Region 3 forward primer: 5′- AGCAGCCGCGGTAATA -3′(配列番号9)
Region 3 reverse primer: 5′- GGACTACCAGGGTATCTAATCCT -3′(配列番号10)
細菌種の同定にパターン2のプライマーセットを使用するTm mapping法を用いる場合には、以下のプライマーセットを用いることが好ましい。
・第1の PCR工程(Tm mapping法のパターン2の第1の PCR工程のプライマーセットと同じ)
以下のRegion 1’ forward primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用する。同様にRegion 7’ reverse primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用する。1st PCRの検体1つにつき1 tube、定量コントロールを少なくとも1つの濃度を1tube、より好ましくは3つの濃度を3 tube、ネガティブコントロールは1 tube、で行う。
Region 1’ forward primer 1a: 5′-AGAGTTTGATCATGGCTCAG-3′(配列番号1)
Region 1’ forward primer 1b: 5′-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3′(配列番号2)
Region 7’ reverse primer 1a: 5′-AGACCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号4)
Region 7’ reverse primer 1b: 5′-AGGCCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号5)
・第2のPCR工程((nested PCR):
Region 3’ forward primerとRegion 3’ reverse primer とを使用する。2nd nested PCRでの定量は検体1つにつき1 tube、定量コントロールを少なくとも1つの濃度を1 tube、より好ましくは3つの濃度を3 tube、ネガティブコントロールに1 tube、で行う。但し、検体においては、Tm mapping法施行時のRegion 3’ forward & reverse primerでの増幅結果をそのまま定量測定に用いる(定量用に新たなtubeを用いてPCRを行う必要はない)。
Region 3’ forward primer: 5′- AGCAGCCGCGGTAATA -3′(配列番号9)
Region 3’ reverse primer: 5′- GGACTACCAGGGTATCTAATCCT -3′(配列番号10)
なお、上述した各PCR工程における定量コントロールの数は特に限定されず、1つでもよいし、2以上の異なる濃度の定量コントロール用の複数のtubeを用いてもよい。
(検体中の細菌種の同定)
細菌種の同定には、特許文献1〜3に開示される方法などの公知の方法を利用することができる。
例えば、細菌種に特異的な増幅産物の有無を検出して細菌種を同定する方法を用いることができる。この細菌種に特異的な増幅産物の有無の検出には以下の方法を利用することができる。
・検出用の蛍光標識を有するインターカレーターやプローブを用いたリアルタイムPCRにより増幅産物の有無を確認する方法。
・検出用の蛍光標識を有するインターカレーターやプローブを用いたリアルタイムPCRにより増幅産物のTm値を測定する方法。
・増幅産物をゲル上などでの電気泳動により展開、可視化する増幅産物の解析方法。
・増幅産物の塩基配列を解読することによる増幅産物の解析方法。
・増幅産物の分子量を質量分析計で測定する解析方法。
更に、複数のプライマーペアを用いたPCRを行い、得られた複数の増幅産物のTm値を用いて細菌種を同定することもできる。
この複数のプライマーペアを用いる方法としては、第2のPCR工程において挙げたパターン1及びパターン2のプライマーセットを用いたnested PCR法を好ましく用いることができる。
Region 1〜7のforwardおよびreverseプライマーセット、またはRegion 1’〜7’のforwardおよびreverseプライマーセットをそれぞれ1 tube(1検体につき計7 tubes)でPCRを行い、得られた7つのTm値を用いて特許文献1に記載されるTm mapping法にて起炎菌を迅速同定することが好ましい。
Tm mapping法による細菌種の同定は、例えば特許文献1、特許文献2の段落[0237]または特許文献3の段落[0111]〜[0116]に開示の方法に従って、あるいはそれらに開示の方法を適宜改変して行うことができる。Tm mapping法による細菌種の同定では、菌種が既知である細菌から得られる複数の特定のプライマーペアにより増幅された複数の増幅産物のTm値の組合せ、あるいは複数のTm値間の差の組合せに関する同定用データが利用される。検体から集めた未知の菌体試料から同じ複数のプライマーペアによって得られる増幅産物のTm値の組合せ、あるいはTm値間の差の組合せを、同定用データベースと照合し、その一致性を判断して、検体中の未知の細菌の同定を行う。
同定方法の具体例の1つを以下に示す。
<同定方法>
検出細菌を同定するために、本発明にかかるプライマーセットを用いて検出細菌から得られるDNA断片のTm値を利用することができる。特に検体に含まれる可能性が考えられる複数または多くの細菌の16S rRNAまたは16S rDNAを用いて本法とすべてまたは一部同様の方法により、DNA断片とそのTm値をあらかじめ取得しておき、それらのTm値ないしは後述する“Tm値の相対値”を、比較データないしはデータベースとして、検体中の種が不明な細菌を同定することができる。同定するためのアルゴリズムとしては、上述したTm値そのものの組合せだけでなく、各Tm値間の差の組合せを利用して同定することで、例えば機器の試行回毎の測定誤差といった測定誤差の影響を最小限とする工程を付加することができる。
上記の、機器の試行回毎の測定誤差を補正する方法として、“Tm値の組合せの平均値”を算出し、その平均値からの各Tm値の“相対値の組合せ”を利用することが出来る。つまり、Tm値の組合せの配置を“形”として同定する方法である。Tm値の組合せの配置を2次元で示した“形”は測定誤差に影響されない。例えば、検出細菌に特異的なTm値の組合せ(n個(nは例えば4以上、7以下の整数))をT1db〜Tndbとし(dbはdatabase)、その平均値からの相対値をそれぞれd1db〜dndbとする。同様に検体から得られた未知の検出対象生物のTm値の組合せ(n個(nは例えば4以上、7以下の整数))をT1ref〜Tnrefとし(refはreference)、その平均値からの相対値をそれぞれd1ref〜dnrefとする。そうしてdatabaseと比較し、「相対値の組合せが近似したもの=Tm値の組合せの配置の“形”が近いもの」、を同定アルゴリズムとして利用する。
具体的な計算方法としては、例えば、ユークリッド空間上の2点間距離を算出する方法(式1)が挙げられるが、この限りではない。
Figure 2019123692
式1による計算方法であれば、この計算式によって得られるDist.値が0(ゼロ)に最も近いものが求める検出細菌種として同定される。ただし、使用するPCR機器の測定誤差の関係上、機器の温度制御スペックやプライマーの数にもよるが、Dist.値の許容範囲としては、0〜0.37、好ましくは0〜0.30である。
以上のアルゴリズムは、コンピュータ上でデータベース型同定ソフトウェアとして利用できる。
<同定可能な細菌種>
同定可能な微生物は、分類上細菌に該当するものであれば、機構上検出及び細菌種の同定が可能である。
プライマーペアの数やプライマーペアの塩基配列は、細菌種の検出範囲等に応じて選択することができる。
なお、nested PCRに用いる核酸試料としては、第1のPCR工程で得られた増幅産物を、必要に応じて希釈して用いる。その際のプライマーセットとして、第1のPCR工程用として挙げたパターン1のプライマーセットと第2のPCR工程で挙げたパターン1のプライマーセットとの組合せ、並びに、第1のPCR工程用として挙げたパターン2のプライマーセットと第2のPCR工程で挙げたパターン2のプライマーセットとの組合せを用いることが好ましい。
(暫定細菌数の補正)
敗血症における血液検体等の検体中に微量に含まれる起炎菌の菌数を本発明にかかる第1の定量方法で分析する場合には、bacterial universal PCRで起炎菌を定量した結果は、定量コントロールの細菌種での換算値であり、起炎菌そのものの本当の菌数とは異なる場合がある。
本発明にかかる第2の定量方法では、検体中の細菌の同定結果により、検体中の細菌がコントロール細菌と同種である場合は、先に得た暫定細菌数を定量結果として確定する。一方、検体中の細菌の同定結果により、検体中の細菌がコントロール細菌と異種である場合は、同定された細菌の16S ribosomal RNA operon copy numberとコントロール細菌の16S ribosomal RNA operon copy numberとの比によって暫定菌数を補正した細菌数を定量結果として確定する。
(同定及び定量用キット)
上述したプライマーセットの少なくとも1つと、Tm mapping法における同定に用いるデータベース、細菌DNAの混入の無い耐熱性DNAポリメラーゼ、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール等を用いて、検体中の細菌の定量のための、あるいは検体中の細菌の同定及び定量のためのキットを作製することができる。
(コンタミネーションの有無の判定方法)
血液検体中の細菌数の定量、あるいは細菌数の定量及び細菌の同定の両方を行う場合には、検体のサンプリングから第1または第2のPCR工程の間に検体由来以外の細菌が混入すると、目的とする細菌数の定量や、偽陽性の結果含め細菌の同定の精度が低下する場合がある。そこで、このような検体由来以外の細菌のPCR用のサンプルへのコンタミネーションの有無を確認しておくことで、目的とする細菌数の定量や細菌の同定結果の信頼性をより向上させることができる。
本発明にかかるコンタミネーションの有無の判定方法は、
血液検体を遠心分離し、赤血球画分、バフィーコート画分及び血漿画分に分離したのち、上清の血漿画分とバフィーコートを含む試料Aと、上清の血漿画分を含みバフィーコートを含まない試料Bを作製する工程(1)、
以下の工程(2−1)、(2−2)及び(2−3)を有する検体中の細菌数を定量する方法により、前記試料Aと前記試料Bの各々の細菌数を定量する工程(2)、
および
前記試料Aと前記試料Bの、細菌数を比較することにより前記血液試料中の細菌のコンタミネーションの有無を判定する工程(3)
を有することを特徴とする。
(2−1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
(2−2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、及び
(2−3)検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程。
工程(2−1)〜(2−3)は、本発明にかかる第1の定量方法を用いて行うことができる。
細菌数を定量する工程(b)は、さらに以下の工程(2−4)及び(2−5)を有してもよい。
(2−4)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程。
(2−5)前記菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
工程(2−1)〜工程(2−5)は、本発明にかかる第2の定量方法を用いて行うことができる。
血液サンプルの遠心分離により、血液に含まれる成分の比重に応じて、下層から上層に向かって赤血球画分、バフィーコート(白血球)画分、血漿画分をこの順に分離することができる。
血漿画分のみのサンプル(バフィーコート無し)と、血漿画分とバフィーコートを含むサンプル(バフィーコート有り)から本発明にかかる定量方法によって得られる細菌数を比較することで、血液サンプルに対して検体由来以外の細菌の混入の有無を判定することができる。
バフィーコート有りは患者体内で起炎菌を貪食した白血球を含み、バフィーコート無しは貪食した白血球を含まない血漿のみとなる。実際には患者中および患者検体中で感染は起きておらず、採血時の皮膚常在菌や作業環境、器具上の汚染に由来する細菌DNAが検出された場合は、これら細菌は白血球により貪食されておらず、バフィーコートの有無による菌数差はないことになる。一方で、検出菌される細菌が起炎菌であれば、患者血中にて白血球に貪食されることになり、菌数は必ずバフィーコート有りの方が、バフィーコート無しよりも格段に多くなるはずである。つまり以下のような判定が可能である。
先ず、血液検体中に細菌が存在しない場合は、バフィーコート無しとバフィーコート有りのいずれのサンプルにおいても細菌数が測定されない。
血液検体中に細菌が存在しない場合で、検体由来以外の細菌が血液サンプルに混入した場合には、混入した細菌は白血球により貪食されておらず、バフィーコートの有無による菌数差はないことになる。菌数に差がないということは検体由来以外の細菌のコンタミネーションが発生したことの指標となり、このとき同定された細菌については起炎菌であることの信頼性が低く、またその菌数が実際の血液中での菌数を反映したものであるとの信頼性も低いことをあらわす。
感染を発症した患者に由来する血液であり、血液検体中に細菌が存在する場合で、検体由来以外の細菌の血液サンプルへの混入がない場合には、バフィーコート無しと、バフィーコート有りから得られる細菌数は、バフィーコート有りの方が多くなる。菌数に差があることから、得られた細菌数の結果が実際の血液中の菌数を反映したものであるとの信頼性が高いことをあらわし、またこのとき同定された細菌についても起炎菌であるとの信頼性が高いことになる。
感染を発症した患者に由来する血液であり、血液検体中に細菌が存在する場合で、検体由来以外の細菌の血液サンプルへの混入がある場合には、混入によりバフィーコート無しと、バフィーコート有りから得られる見かけの細菌数を増加させる。特に、バフィーコート無しのサンプルの処理中にのみ検体由来以外の細菌の混入が発生した場合には、これらの差が少なくなる。血液中の感染に由来する菌量が非常に少ない場合や、混入する細菌量が非常に多い場合には、バフィーコート無しと、バフィーコート有りから得られる細菌数の差は小さくなる。一方、感染に由来する菌量が非常に多い場合や、混入する細菌量が極微量である場合は、バフィーコート無しと、バフィーコート有りから得られる細菌数の差は大きなものになる。このように細菌数の差の大小によって、検体由来以外の細菌の血液サンプルへの混入の可能性を判定でき、十分な細菌数の差が得られた場合の結果は信頼性が高く、菌数差が小さな場合の結果は信頼性が低いと判定できる。
コンタミネーションの有無を判定する工程(c)においては、本来細菌が含まれない検体に対して、使用器具や作業環境に由来するコンタミが発生した場合や、リアルタイムPCRでの定量値の誤差などにより、どの程度の菌数が検出されうるのか、つまり、実際の測定作業における誤差の範囲を考慮して、バフィーコート無しと、バフィーコート有りの菌数の差からコンタミネーションの有無を判定することが好ましい。この誤差範囲としては、後述する実施例3に示すように、実際の使用器具、作業環境下で、コンタミネーションがない滅菌水などを検体とみなしたネガティブコントロール試験を当業者の常識の範囲内で複数回実施し、その範囲を求めることが好ましい。コンタミネーションが全く発生せず、リアルタイムPCRの誤差もない理想的な環境下では誤差範囲は±0菌/mlとなるが、実施例3記載の±100菌/mlは一定の参考値となる。
なお、コンタミネーションの有無を判定する工程においては、各試験区にいてのリアルタイムPCRの結果を定量コントロールの結果から得られた検量線に基づき数値化した菌数で比較する以外にも、リアルタイムPCRにおいて得られるCt値(Threshold cycle)をもって比較することでもよい。
本発明にかかる方法によれば、従来の生化学的性状検査法に比べて高精度での検体中の細菌の定量を行うことができる。
更に、一般的に採血後2日程度の時間を要する従来の生化学的性状検査法に比べて、採血後3.5時間程度などの迅速な定量も可能となる。
従来の生化学的性状検査法では、細菌種のレベルでは同定不能な場合や、特殊な細菌種の場合は培養不可能な場合もあるが、本発明にかかる方法によれば、16S rRNAの遺伝子配列がデータベースに登録された菌種であり、かつ16S rRNAオペロンコピー数が既知である細菌であれば定量が可能である。
更に、陰性の判定時間についても、従来の生化学的性状検査法では一般的には1週間程度の時間を要するが、本発明にかかる方法では、採血後、3.5時間程度などの迅速な決定も可能となる。
更に、検体中の細菌数が感染症重症度の新たな指標となる場合、検体中の細菌数の経時的変化が治療効果の新たな指標となる場合、菌数が限りなくゼロに近づくことが抗菌薬の止め時の指標となる場合、敗血症の定義が菌数を指標としたものに変わる場合に対して、本発明により極めて有用な検体中の細菌の定量技術を提供することができる。
更に、検体中の細菌数の定量とともに検体中の細菌種の同定を同時に行う場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、特に記載がない場合には、公知の試薬、公知の器具、市販のPCR装置を用い、各種の定法によりPCR及び各種の処理を行った。
(実施例1)
図1に本実施例における各Stepの関係と手順について示す。
(Step 1:菌種による差が生じない集菌およびDNA抽出方法)
先ず、血液検体からの集菌においては、全血を100×g, 5分で軽度遠心して血球を分離した後、得られた上清(バフィーコートを含む)を20,000×g,10分の強遠心によりペレット化して集菌する。この工程で血漿中の菌の分画は変化せず、菌種による集菌効率の差は生じない。
この確認のため、生理食塩水に大腸菌(E. coli ATCC25922)、黄色ブドウ球菌(S. aureus ATCC29213)、肺炎桿菌(K. pneumoniae NBRC3512)、緑膿菌(P. aeruginosa ATCC27853)をそれぞれ溶解し、100×g, 5分で軽度遠心した後、遠心管中の菌体を含む液体の上半分(upper half)と下半分(lower half)をそれぞれ培地に撒いてCFUを測定した。
なお、上記の大腸菌(E. coli ATCC25922)、黄色ブドウ球菌(S. aureus ATCC29213)、緑膿菌(P. aeruginosa ATCC27853)はアメリカン・タイプ・. カルチャー・コレクション(American Type Culture. Collection:10801 University Boulevard, Manassas (VA), 20110-2209 USA)より入手でき、また、肺炎桿菌(K. pneumoniae NBRC3512)は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE) バイオテクノロジーセンター(NBRC)(住所:〒292-0818、千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)より入手できる。
その結果を図2に示す。この結果から、遠心後の上半分と下半分の菌数に変化はみられなかった。つまり、上記の遠心条件においてこれらの菌種による集菌効率の差は無かった。
また、DNA抽出においては、集菌した細菌をプロテアーゼ処理とビーズによる物理的破砕で徹底的に菌壁を破砕することで、菌種によってDNA抽出効率に差が出ないようにした。
(Step 2:細菌DNA汚染の無い耐熱性DNAポリメラーゼを用い、高感度かつ正確な定量を可能とするnested PCRの施行)
血液検体からStep 1の方法により得られた起炎菌DNAをPCRの鋳型として、1st PCR: 30サイクル → 100倍希釈 → 2nd PCR: 30〜35サイクルの条件でnested PCRを施行する。患者検体中の起炎菌数は極微量から多量まで幅広く、1回のPCRで正確に定量するのは難しいため、nested PCR法を組み合わせる。但し、nested PCRで定量する場合、1st PCRで遺伝子増幅がプラトーにならない条件、例えば、1st PCRを30サイクル以下の条件でnested PCRを行うことが望ましい。
図3は、通常のreal-time PCR法(conventional PCR method)による定量性(□で表示)と本発明にかかるnested PCR法(nested PCR method)による定量性(○で表示)の比較を示すグラフである。
参考までに具体的な実施条件を記載する。
nested PCRを行うにあたり、下記に示した反応液組成1で、95℃ 5分間加熱した後に、94℃10秒、57℃ないしは62℃ 10秒、72℃ 30秒、82℃ 2秒を30回繰り返した(1st PCR)。
<反応液組成1>
鋳型 2μL
10xBuffer for rTaq、ないしは10x Thunder Taq buffer 2μL
25mM MgCl2 1.6〜1.8μL
酵母生産Taq DNA polymerase 1Unit
2mM CleanAmp-dNTP 2μL
EvaGreen 1μL
10μM Region 1 forward primer 1a、1b 等量ずつ計、0.8〜1.2μL
10μM Region 7 reverse primer 0.6〜1.2μL (パターン2の場合はRegion 7 reverse primer 1aと1bを等量ずつ計、1.2μL)
滅菌水 適量
Total 20μL
PCR終了後に反応液を回収し、DNAフリーな超純水にて100倍に希釈した。この希釈した溶液を鋳型として、下記に示した反応液組成2で反応を行った(2nd PCR)。PCRの方法については、95℃5分間加熱した後に、94℃ 10秒、57℃ 10秒、72℃ 10秒、82℃ 10秒を35回繰り返した。なお、本工程で使用するforward primer、reverse primerは先に記載した第2のPCR工程用のパターン1、region1〜7それぞれのforward primer、reverse primerをプライマーペアとして用いた。
<反応液組成2>
鋳型 10μL
10xThunder Taq buffer 2μL
25mM MgCl2 2μL
酵母生産Taq DNA polymerase 1Unit
2mM CleanAmp-dNTPないしは通常のdNTP 2μL
EvaGreen 1μL
10μM forward primer 0.6μL
10μM reverse primer 0.6μL
滅菌水 適量
Total 20μL
なお、通常のreal-time PCR法として、前記1stPCRは行わず、前記2ndPCRと同様の条件で繰り返し回数を60回まで延長して反応を行った。また中でも定量性が高かったregion 3のプライマーペアでの結果を図3に比較として示した。
通常のreal-time PCRでは低濃度領域の定量は出来ないが、1stPCRで遺伝子増幅がプラトーにならないサイクル数でnested PCRを行うことにより、低濃度領域まで検量線が直線性を示し、高感度・正確な起炎菌の定量および同定が可能となる。本法での定量性はPCR tubeあたりE. coliで1〜40万個まで確保されることを確認した。
図3の□で示す大腸菌濃度とPCRサイクル数の閾値との関係では、10個/ml以下の低濃度領域では、これらの関係における直線性が失われており、この結果から、従来のPCR法では低濃度領域での定量性が保たれないことが分かる。
また、特許文献2に従って調製した真核生物生産耐熱性DNAポリメラーゼ(eukaryote-made Taq DNA polymerase)を用いて、細菌DNAコンタミネーションの無いbacterial universal PCRを施行する。これにより細菌コンタミネーションによるbackgroundがゼロとなり、極微量の起炎菌まで正確に定量できる(無菌の場合はゼロと言える)ようになる。この確認のため、bacterial universal primerを用い、テンプレートとして大腸菌DNAの有無でPCRを行った後、PCR増幅産物をアガロースゲルに電気泳動した。その結果、市販品の耐熱性DNA合成酵素には細菌DNAの残存が認められるが、eukaryote-made Taq DNA polymerase(酵母 or 植物細胞をホストとして作製)には細菌DNAが全く認められなかった(図4)。
(Step 3:Tm mapping法による起炎菌迅速同定(Step 4と同時並行で行う))
Step 1で得たDNAを鋳型とし、Step 2のPCR条件でTm mapping法による起炎菌の同定を行う。
このTm mapping法における各プライマーの配置図(図5)および本例に使用したプライマー配列を以下に示す。
本例に使用したプライマー配列
・1st PCR:
以下のRegion 1’ forward primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用する。
同様にRegion 7’ reverse primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用する。
1st PCRは1検体につき1 tubeで行う。
Region 1’ forward primer 1a: 5′-AGAGTTTGATCATGGCTCAG-3′(配列番号1)
Region 1’ forward primer 1b: 5′-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3′(配列番号2)
Region 7’ reverse primer 1a: 5′-AGACCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号4)
Region 7’ reverse primer 1b: 5′-AGGCCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号5)
・2nd (nested) PCR:
以下のRegion 1’〜7’のforward および reverseプライマーセットをそれぞれ1 tube(1検体につき計7 tubes)でPCRを行い、7つのTm値を得る。そして、Tm mapping法にて起炎菌を迅速同定する。
Region 1’ forward primer: 5′-GCAGGCTTAACACATGCAAGTCG-3′(配列番号18)
Region 1’ reverse primer:5′-CGTAGGAGTCTGGACCGT-3′(配列番号6)
Region 2’ forward primer: 5′-GTCCAGACTCCTACGGGAG-3′(配列番号19)
Region 2’ reverse primer: 5′-CCTACGTATTACCGCGG-3′(配列番号20)
Region 3’ forward primer: 5′-AGCAGCCGCGGTAATA-3′(配列番号21)
Region 3’ reverse primer: 5′-GGACTACCAGGGTATCTAATCCT-3′(配列番号10)
Region 4’ forward primer: 5′-AACAGGATTAGATACCCTGGTAG-3′(配列番号11)
Region 4’ reverse primer: 5′-AATTAAACCACATGCTCCACC-3′(配列番号12)
Region 5’ forward primer: 5′-TGGTTTAATTCGATGCAACGC-3′(配列番号13)
Region 5’ reverse primer: 5′-GAGCTGACGACAGCCAT-3′(配列番号14)
Region 6’ forward primer: 5′-GTTAAGTCCCGCAACGAG-3′(配列番号22)
Region 6’ reverse primer: 5′-CCATTGTAGCACGTGTGTAGCC-3′(配列番号23)
Region 7’ forward primer: 5′-GGCTACACACGTGCTACAATGG-3′(配列番号24)
Region 7’ reverse primer: 5′-AGACCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号4)
(Step 4:菌種による差が生じない起炎菌の定量方法(Step 3と同時並行で行う))
定量用の検量線を描く目的で、菌数が既知である細菌から抽出したDNAを用い、3つの異なるDNA濃度の希釈系列を作成して定量コントロールとする。定量コントロールの作成法を以下に示す。
(A)菌数があらかじめ分かっている菌よりDNA抽出液を作成
(1)E. coli ATCC25922株を普通寒天培地に散布後、12時間孵卵器で培養した。
(2)生理食塩水を用いて懸濁液(McFarland 0.5)を作成した。
(3)更に1000倍希釈し、BD cell viability kit, BD FACS Canto IIを用いて菌数をカウントした。
(4)Total 3回測定し、その平均値を菌数とした(140605個/ml)。
(5)上記の希釈液100μl(14061個)からDNAを抽出し、最終的にAVE(QIAGEN社DNA抽出キットのDNA抽出液)100μlのDNA抽出液を作成した(140個/μl)。
(B)定量コントロール用のDNA抽出液を大量に作成
(1)E. coli ATCC25922株を普通寒天培地に散布後、12時間孵卵器で培養した。
(2)生理食塩水を用いて懸濁液(McFarland 0.5)を作成した。
(3)上記懸濁液1mlからDNAを抽出し、最終的にAVE 100μlのDNA抽出液を作成した。
(C)菌数があらかじめ分かっている菌からのDAN抽出液を用い、項目(B)の大量のDNA抽出液の菌数を補正
(1)項目(B)で作成したDNA抽出液をAVEで希釈した。希釈したものを項目(A)の検量線で菌数カウントした。
(2)そして、最終的に5000個/μlのDNA抽出液を大量に作成した。
(3)DNA抽出液15μlを1.5mlチューブに小分けにし、−80℃に保存した。
(4)定量検査で使用する際、小分けしたDNA抽出液をAVEで10倍、100倍、1000倍希釈して使用した。その結果、500個/μl(1000個/PCR tube)、50個/μl(100個/PCR tube)、5個/μl(10個/PCR tube)のDNA抽出液となり、それら3濃度で検量線を引いた。
次に、Step 1の起炎菌DNAを鋳型とし、Step 2のPCR条件で定量コントロールと共にnested PCRを行った。定量の1st PCR、2nd PCRは以下のbacterial universal primer(ほぼ全ての細菌を検出するプライマー)を使用した。bacterial universal primerのtarget regionは、16S ribosomal RNA遺伝子のbacterial conserved region(ほぼ全ての細菌に共通する塩基配列領域)である。特定の菌を定量するのであれば、菌種特異的プライマーを用いれば定量可能であるが、敗血症早期において起炎菌は判明しておらず、菌種特異的プライマーは使えない。従って、bacterial universal primerを用いない限り、未同定の菌を検出することは不可能である。
但し、primerとtarget regionとの間に1塩基のミスマッチでもあれば定量結果に影響する(少なく測定される)。bacterial conserved regionは必ずしも全ての細菌において塩基配列が完全一致している訳ではなく、例えば1塩基異なる2つの保存配列が存在する場合などがある。その場合、どちらか1つの配列に完全一致するプライマーを用いると、1塩基ミスマッチとなる細菌では定量結果が少なく測定されてしまう。この解決のため、本発明では1塩基異なる配列それぞれに完全一致したプライマーを等量混合することで、双方の正確な定量を可能とした。以下、それぞれに完全一致した2種類のプライマーの等量混合により、双方の正確な定量が可能となった実験結果を示す(図6)。
・図6の実験の説明:
細菌の16S ribosomal RNA遺伝子のbacterial conserved regionについて、例えばTm mapping法がパターン1のプライマーセットを用いる場合、1st PCR forward primerの標的配列は、全菌種で主にAGAGTTTGATCATGGCTCAG(配列番号1) 或いは AGAGTTTGATCCTGGCTCAG(配列番号2)の1塩基異なる2種類に分かれる。
そこで、我々は以下の3種類の1st PCR forward primer(reverse primerは共通)を用い、E. coli(forward primerの標的配列:AGAGTTTGATCATGGCTCAG:配列番号1)を鋳型とし、希釈系列を作ってstandard curveを作成した。
・1st PCR forward primer with no mismatch against E.coli (AGAGTTTGATCATGGCTCAG:配列番号1)
・1st PCR forward primer with one mismatch against E.coli (AGAGTTTGATCCTGGCTCAG:配列番号2)
・a mix of both 1st PCR forward primers (no mismatch : one mismatch = 1 : 1)
その結果、1st PCR forward primer with one mismatchを用いたPCRでは、1st PCR forward primer with no mismatchを用いた場合に比較して約75%程度まで定量結果が減少した。しかし、a mix of both 1st PCR forward primers (no mismatch : one mismatch = 1 : 1)の場合、定量結果は1stPCR forward primer with no mismatchと殆ど変わらなかった。
つまり、両方の1st PCR forward primers (no mismatch : one mismatch = 1 : 1)の混合物であれば、AGAGTTTGATCATGGCTCAG(配列番号1) 或いはAGAGTTTGATCCTGGCTCAG(配列番号2)のどちらの配列の場合でも、双方が等しく正確に定量出来ることを示した。
本例に使用した定量用のPCRプライマーセットを以下に示す。
・1st PCR;
以下のRegion 1’ forward primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用する。
同様にRegion 7’ reverse primer 1aと1bとを1:1の等量で混合して使用する。
Region 1’ forward primer 1a: 5′-AGAGTTTGATCATGGCTCAG-3′(配列番号1)
Region 1’ forward primer 1b: 5′-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3′(配列番号2)
Region 7’ reverse primer 1a: 5′-AGACCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号4)
Region 7’ reverse primer 1b: 5′-AGGCCCGGGAACGTATTC-3′(配列番号5)
・2nd (nested) PCR;
以下のRegion 3’ forward primerとRegion 3’ reverse primer とを使用する。
Region 3’ forward primer: 5′- AGCAGCCGCGGTAATA -3′(配列番号21)
Region 3’ reverse primer: 5′- GGACTACCAGGGTATCTAATCCT -3′(配列番号10)
以上、菌数が既知の3濃度のE. coli DNAを定量コントロールとして用い、定量コントロールの3濃度で検量線を引き、患者検体より抽出したbacterial DNAの起炎菌数を定量した。菌数を定量コントロールとして用いたE. coliの菌数として換算された値として得ることで、検体中の細菌数をより簡便、迅速かつ精度よく定量することが可能となる。
以上のStep 1 ~ Step 4は本発明にかかる第1の定量方法の一実施例である。
(Step 5:起炎菌迅速同定結果を用いた16S ribosomal RNA operon copy numberによる菌数の補正)
以上、Step 4で定量コントロールとして用いたE. coliの菌数として定量結果が算出された。定量での標的遺伝子は16S ribosomal RNA遺伝子であるが、表1に細菌ゲノムにおける16S ribosomal RNA operon copy numberの多様性を例示する通り、菌種によって16S ribosomal RNA遺伝子のoperon copy numberが異なるため、E.coliの換算値が他菌種の菌数を表す訳ではない。
Figure 2019123692
従って、より正確な菌の定量には菌種毎にoperon copy numberでの補正が必要となる。Step 3およびStep 4で起炎菌の同定と定量を同時並行で行うため、同定された起炎菌の16S ribosomal RNA operon copy numberで菌数を補正して、正しい菌数を算出できる。
例えば、大腸菌をコントロール細菌として検量線を作成し、検体から同定された細菌がBacillus cereusである場合、補正された細菌数=暫定細菌数×(7/13)の計算式により、細菌数を補正する。
以上のStep 1 ~ Step 5は本発明にかかる第2の定量方法の一実施例である。
(実施例2)
実施例1のStep 1〜Step 4により、敗血症患者検体(EDTA採血管2 mL)を用いての起炎菌迅速定量検査を行った。症例は富山大学附属病院で敗血症を疑われ、その後に血液培養検査が陽性となった3症例である。採血は抗菌薬治療前(pretreatment)、抗菌薬投与後24時間(after 24 hrs.)、および72時間(after 72 hrs.)で行い、その3ポイントで起炎菌迅速定量検査と共に、体温、白血球数、CRP、プレセプシン、IL-6を測定した。また、抗菌薬治療前に採血した検体にて血液培養法による起炎菌の同定と薬剤感受性試験を行った。各症例の概要は以下のとおりである。
症例1:
・76歳女性、尿路感染に伴う敗血症
・血液培養・尿培養:Escherichia coli
・抗生物質:メロペネム(感受性あり)
症例2:
・88歳女性、膵癌末期に合併した閉塞性胆管炎に伴う敗血症
・血液培養:Klebsiella oxytoca、Haemophilus influenzae、Streptococcus pneumoniae
・抗生物質:セフェピム(K. oxytocaとH. influenzaeは感受性あり。S. pneumoniaeは中間。)
症例3:
・94歳女性、尿路感染に伴う敗血症
・血液培養・尿培養:Escherichia coli
・抗生物質:タゾバクタム/ピペラシリン(感受性あり)
各症例における検査結果を表2〜4及び図7〜図9に示す。なお、図7〜9における符号は以下の各測定項目を示し、各図に示される「○」の位置の測定値を各表に示す。
a:Pathogen:本発明にかかる方法で測定した起炎菌の菌数
b:WBC:白血球数[×100/μL]
c:CRP: C−リアクティブ・プロテイン[mg/L]
d:BT:体温(body temp.)[℃]
e:Presepsin:プレセプシン[ng/mL]
f:IL-6:インターロイキン−6[pg/mL]
Figure 2019123692
Figure 2019123692
Figure 2019123692
(実施例3)
実施例1のStep 1〜Step 5により、敗血症患者検体(EDTA採血管2 mL)を用いての起炎菌迅速同定・定量検査を行った。症例は富山大学附属病院で敗血症を疑われ、その後に血液培養検査が陽性となった4症例である。採血は抗菌薬治療前(pretreatment)、抗菌薬投与後24時間(after 24 hrs.)、および72時間(after 72 hrs.)で行い、その3ポイントで起炎菌迅速同定・定量検査と共に、体温、白血球数、CRP、プレセプシン、IL-6を測定した。また、抗菌薬治療前に採血した検体にて血液培養法による起炎菌の同定と薬剤感受性試験を行った。各症例の概要は以下のとおりである。
症例4:
・76歳女性、尿路感染に伴う敗血症
・Tm mapping法:Escherichia coli (Dist.値=0.29)
・血液培養・尿培養:Escherichia coli
・抗生物質:メロペネム(感受性あり)
症例5:
・94歳女性、尿路感染に伴う敗血症
・Tm mapping法:Escherichia coli (Dist.値=0.19)
・血液培養・尿培養:Escherichia coli
・抗生物質:タゾバクタム/ピペラシリン(感受性あり)
症例6:
・84歳女性、腰椎前方固定術後創部感染に伴う敗血症
・Tm mapping法:Streptococcus dysgalactiae (Dist.値=0.28)
・血液培養:Streptococcus dysgalactiae
・抗生物質:タゾバクタム/ピペラシリン(感受性は判定基準なし)
症例7:
・81歳女性、尿路感染に伴う敗血症
・Tm mapping法:Enterobacter aerogenes (Dist.値=0.48)
・血液培養・尿培養:Enterobacter aerogenes(mutant strains 2種類)
・抗生物質:タゾバクタム/ピペラシリン(感受性あり)
各症例における検査結果を表5〜8及び図10〜図13に示す。なお、図7〜10における符号は以下の各測定項目を示し、各図に示される「○」の位置の測定値を各表に示す。
a:Pathogen:本発明にかかる方法で測定した起炎菌の菌数
b:WBC:白血球数[×100/μL]
c:CRP: C−リアクティブ・プロテイン[mg/L]
d:BT:体温(body temp.)[℃]
e:Presepsin:プレセプシン[ng/mL]
f:IL-6:インターロイキン−6[pg/mL]
Figure 2019123692
Figure 2019123692
Figure 2019123692
Figure 2019123692
(実施例4)
実施例1のStep 1〜Step 4により、敗血症が疑われる患者血液検体、EDTA採血管2 mL、2本を用いての起炎菌迅速同定・定量検査を行った。ただし、採血した2本のうち1本は、全血を100×g, 5分で遠心して血球を分離した後、得られた上清を、バフィーコートを含めて回収し、これをボルッテックスミキサーで均一に混合し、そこから500μLを回収し、回収液に対して、20,000×g,10分の遠心によりペレット化、集菌の操作を行った。2本のうちもう1本は、上述のとおり血球を分離した後、得られた上清をバフィーコートを含まないよう500μL回収し、これを20,000×g,10分の強遠心によりペレット化、集菌の操作を行った。
バフィーコート有りは貪食した白血球を含み、バフィーコート無しは貪食した白血球を含まない血漿のみとなる。実際には患者中および患者検体中で感染は起きておらず、採血時の皮膚常在菌や作業環境、器具上の汚染に由来する細菌DNAが検出された場合は、これら細菌は白血球により貪食されておらず、バフィーコートの有無による菌数差はないことになる。一方で、検出菌される細菌が起炎菌であれば、患者血中にて白血球に貪食されることになり、菌数は必ずバフィーコート有りの方が、バフィーコート無しよりも格段に多くなるはずである。
各検体から得られた結果の一例を表9〜13に示す。
Figure 2019123692
Figure 2019123692
Figure 2019123692
Figure 2019123692
Figure 2019123692
表9及び10の検体での結果は、バフィーコート有りでの細菌数が大きく、かつ、バフィーコート無しの細菌数を大きく上回った。こうしたことからTm Mappingにより同定された細菌が、非常に高い確率で起炎菌であると判定できる。またこれらの検体については、本方法による細菌同定・定量と同時に実施した血液培養においても、同一の細菌ないしは細菌種が顕著に検出された。
表11の検体は、バフィーコート有りでの細菌数が大きく感染が予想された。ただし、表9及び表10に比べバフィーコート有無での菌数差は小さく、バフィーコート有りの試験区において、偶然コンタミが発生したり、定量の誤差が発生したことも想定された。
そこで、滅菌水をサンプルに見立て、採血管へのサンプリングから、実施例1のStep 1〜Step 4の操作を経て、ネガティブコントロールに相当するサンプル内の菌数定量を複数回実施した。その結果、我々の試験環境下では、大腸菌換算で100菌/mlに相当する数字が、もともとの検体に由来せず、検出されることがあることがわかった。
つまり、仮に患者検体内に起因菌が存在していなくても、バフィーコート有り、ないしは無しのサンプル各々から、誤差として100菌/mlの定量値が得られうる。また、バフィーコート有り、無しの間で菌数差があった場合でも、100菌/ml以下の差であれば誤差に由来する可能性があるということになる。
この結果を踏まえ、表11の結果を解釈すると、以下のように判定することができる。
検体番号84はバフィーコート有り、無しそれぞれ誤差範囲である100菌/mlを超える数字ではあるが、両者での差がないことから白血球による貪食はなく、検出された細菌は起炎菌ではないと判断される。
検体番号89はバフィーコート有で87.5菌/mlと算出され、バフィーコート無に対し、大きな数字にはなっているが、誤差範囲以下であり、検出された細菌、細菌数は起因菌とは言い切れず判定不能。
検体番号16、54、56、66、78、98、133、137は各検体のバフィーコート有で、誤差範囲より大きな菌数が算出され、かつバフィーコート無との菌数差も誤差範囲より大きな数字であり、検出された細菌は起因菌である可能性が高い。
従来の細菌同定法である培養による結果が得られる(数日後)よりも早く、4、5時間でこうした判定を行うことが可能となる。
以上の結果、血液中の菌数は治療後短時間で他のどのバイオマーカーよりも劇的に変動した。この結果から、菌数は敗血症の新たな優れたバイオマーカーであることが示唆された。そして、菌数の臨床データを世界で初めて提供できる本検査法は今後の感染症医療において極めて有用であると考える。

Claims (23)

  1. 以下の工程を有することを特徴とする検体中の細菌数を定量する方法:
    (1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
    (2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、及び
    (3)菌種が既知であるコントロール細菌由来の増幅産物の量と前記コントロール細菌の細菌数との関係を示す検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の細菌数を求める菌数定量工程。
  2. 以下の工程を有することを特徴とする請求項1に記載の検体中の細菌数を定量する方法:
    (A)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
    (B)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、
    (C)菌種が既知であるコントロール細菌の既知の細菌数に対応した核酸試料を用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
    (D)前記第3のPCR工程により得られた第3の増幅産物を用いてnested PCR法により第4の増幅産物を得る第4のPCR工程、
    (E)前記既知の菌数と前記第4の増幅産物の量から検量用のデータを作成する工程、及び(F)前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検量用のデータを用いて前記検体中の細菌数を求める菌数定量工程。
  3. 前記工程(C)、(E)及び(F)を、以下の工程により行う請求項2に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
    (C−1)菌種が既知であるコントロール細菌の異なる複数の既知の細菌数に対応した複数の核酸試料をそれぞれ個々に用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
    (E−1)前記既知の菌数と前記第4の増幅産物の量から検量線を作成する工程、及び
    (F−1)前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検量線を用いて前記検体中の細菌数を求める菌数定量工程。
  4. 前記第1のPCR工程における遺伝子増幅がプラトーにならないサイクル数で前記第1のPCR工程を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  5. 前記第1の増幅産物を含む反応液を希釈して前記第2のPCR工程に供する希釈工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  6. 同一PCR装置内で、前記第1のPCR工程と前記第3のPCR工程を並行して行い、かつ、同一PCR装置内で、前記第2のPCR工程と前記第4のPCR工程を並行して行うことを特徴する請求項2乃至5のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  7. 第2のPCR工程を複数のプライマーペアをそれぞれ個々に用いて行い、各プライマーペアで増幅された複数の増幅産物の融解温度(Tm値)の組合せまたはTm値間の差の組合せに基づいて前記検体中の細菌の菌種を同定する工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  8. 前記第2のPCR工程用の複数のプライマーペアの少なくとも1つを用いて前記第4のPCR工程を行う(但し、複数のプライマーペアを用いる場合は、複数のプライマーペアをそれぞれ個々に用いて第4のPCR工程を行う)ことを特徴とする請求項7に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  9. 前記コントロール細菌が、大腸菌であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  10. 前記第1のPCR工程に用いるユニバーサルプライマーペアにおいて、フォワードプライマー、リバースプライマーの一方又は両方が、1塩基異なる2種のプライマーが等量混合されたものである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  11. 以下の工程を有することを特徴とする検体中の細菌数を定量する方法:
    (1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
    (2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、
    (3)菌種が既知であるコントロール細菌由来の増幅産物の量と前記コントロール細菌の細菌数との関係を示す検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程、
    (4)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程、及び
    (5)前記菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
  12. 以下の工程を有することを特徴とする請求項11に記載の検体中の細菌数を定量する方法:
    (A)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
    (B)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、
    (C)菌種が既知であるコントロール細菌の既知の細菌数に対応した核酸試料を用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
    (D)前記第3のPCR工程により得られた第3の増幅産物を用いてnested PCR法により第4の増幅産物を得る第4のPCR工程、
    (E)前記既知の菌数と前記第4の増幅産物の量から検量用のデータを作成する工程、
    (F)前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検量用のデータを用いて前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程、
    (G)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程、及び
    (H)前記菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
  13. 前記工程(C)、(E)及び(F)を、以下の工程により行う請求項12に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
    (C−1)菌種が既知であるコントロール細菌の異なる複数の既知の細菌数に対応した複数の核酸試料をそれぞれ個々に用いてPCR法により第3の増幅産物を得る第3のPCR工程、
    (E−1)前記既知の菌数と前記第4の増幅産物の量から検量線を作成する工程、及び
    (F−1)前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検量線を用いて前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程。
  14. 前記第1のPCR工程における遺伝子増幅がプラトーにならないサイクル数で前記第1のPCR工程を行うことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  15. 前記第1の増幅産物を含む反応液を希釈して前記第2のPCR工程に供する希釈工程を有することを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  16. 同一PCR装置内で、前記第1のPCR工程と前記第3のPCR工程を並行して行い、かつ、同一PCR装置内で、前記第2のPCR工程と前記第4のPCR工程を並行して行うことを特徴する請求項12乃至15のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  17. 前記菌種同定工程が、第2のPCR工程を複数のプライマーペアをそれぞれ個々に用いて行い、各プライマーペアで増幅された複数の増幅産物の融解温度(Tm値)の組合せまたはTm値間の差の組合せに基づいて前記検体中の細菌の菌種を同定する工程を有することを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  18. 前記第2のPCR工程用の複数のプライマーペアの少なくとも1つを用いて前記第4のPCR工程を行う(但し、複数のプライマーペアを用いる場合は、複数のプライマーペアをそれぞれ個々に用いて第4のPCR工程を行う)ことを特徴とする請求項17に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  19. 前記コントロール細菌が、大腸菌であることを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  20. 前記第1のPCR工程に用いるユニバーサルプライマーペアにおいて、フォワードプライマー、リバースプライマーの一方又は両方が、1塩基異なる2種のプライマーが等量混合されたものである、請求項11乃至19のいずれか1項に記載の検体中の細菌数を定量する方法。
  21. 血液検体を遠心分離し、赤血球画分、バフィーコート画分及び血漿画分に分離したのち、上清の血漿画分とバフィーコートを含む試料Aと、上清の血漿画分を含みバフィーコートを含まない試料Bを作製する工程(a)、
    以下の工程(2−1)、(2−2)及び(2−3)を有する検体中の細菌数を定量する方法により、前記試料Aと前記試料Bの各々の細菌数を定量する工程(b)、
    および
    前記試料Aと前記試料Bの、細菌数を比較することにより前記血液試料中の細菌のコンタミネーションの有無を判定する工程(c)
    を含む、コンタミネーションの有無の判定方法。
    (2−1)検体由来の核酸を鋳型として、細菌の16S rRNA遺伝子の増幅用のユニバーサルプライマーペアを用いてPCR法により第1の増幅産物を得る第1のPCR工程、
    (2−2)前記第1のPCR工程により得られた第1の増幅産物の有する配列の内部配列を増幅するためのプライマーペアを用いてnested PCR法により第2の増幅産物を得る第2のPCR工程、及び
    (2−3)検量用のデータを用いて、前記第2のPCR工程で得られた第2の増幅産物の量から前記検体中の暫定細菌数を求める菌数定量工程。
  22. 前記細菌数を定量する工程(b)が、さらに工程(2−4)及び(2−5)を含む、請求項21に記載のコンタミネーションの有無の判定方法。
    (2−4)前記検体中の細菌の菌種を同定する菌種同定工程、及び
    (2−5)前記菌数定量工程で求めた暫定細菌数を、前記コントロール細菌及び前記菌種同定工程で同定された菌種の16S rRNAオペロンコピー数に基づいて補正して前記検体中の細菌数を確定する細菌数補正工程。
  23. 前記コンタミネーションの有無を判定する工程(c)において、前記試料Aと前記試料Bの菌数の差と誤差範囲を考慮して判定する、請求項21または22に記載のコンタミネーションの有無の判定方法。
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