JP2016192882A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
あるマイクロコンピュータのPWMクロックの周波数が、例えば、10[MHz]であるとする。PWM信号の周波数を10[kHz]に設定した場合、PWMカウント数は、10,000,000×(1/10,000)=1000となる。電動モータへの印加電圧の分解能(印可電圧の刻み幅。以下、「電圧分解能Vr」という。)は、PWMカウント数をCntとし、電源電圧をVbとすると、Vr=Vb÷Cntで表される。したがって、PWM信号の周波数が10[kHz]である場合の電圧分解能Vrは、Vb/1000[V/LSB]となる。電圧分解能Vrの値が小さい程、印加電圧の刻み幅が細かくなり、電圧分解能が高くなる。言い換えれば、電圧分解能Vrの値が大きい程、印加電圧の刻み幅が粗くなり、電圧分解能が低くなる。デューティ比の分解能(デューティ比の刻み幅)は、(1/Cnt)×100[%]であるので、0.1[%]となる。したがって、PWM信号の周波数が10[kHz]である場合には、電動モータへの印加電圧を、例えば、電源電圧の72.5[%]に設定することができる。
この発明の目的は、PWM周波数に対応した実電圧分解能よりも高い電圧分解能で電動モータを制御することができるモータ制御装置を提供することにある。
請求項2記載の発明は、前記PWM信号出力手段は、前記実電圧分解能をVroとし、前記目標電圧分解能をVrtとすると、Vro/Vrtを、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号のとの組み合わせからなる1セット分の周期数Nとして演算する手段と、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号との組み合わせからなる前記N周期数分のPWM信号のデューティ比の平均値が前記目標デューティ比と等しくなるように、前記第1PWM信号の出力回数であるN1と前記第2PWM信号の出力回数であるN2(=N−N1)とを演算する出力回数演算手段と、前記1セット分の周期数N内に、前記第1PWM信号がN1回出力され、前記第2PWM信号がN2回出力されるように、これらのPWM信号を組み合わせて出力する手段とを含む、請求項1に記載のモータ制御装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置(EPS:electric power steering)1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
トーションバー10の近傍には、トルクセンサ11が配置されている。トルクセンサ11は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルクTを検出する。この実施形態では、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクTは、たとえば、右方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、左方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクの大きさが大きくなるものとする。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ18には、電動モータ18のロータの回転角を検出するための、例えばレゾルバからなる回転角センサ23が配置されている。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。
ECU12は、マイクロコンピュータ31と、マイクロコンピュータ31によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、電動モータ18に流れるモータ電流を検出する電流検出部33とを含んでいる。
電動モータ18は、例えば三相ブラシレスモータであり、図3に図解的に示すように、界磁としてのロータ100と、U相、V相およびW相のステータ巻線101,102,103を含むステータ105とを備えている。
アシスト電流値設定部41は、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTと車速センサ24によって検出される車速Vとに基づいて、アシスト電流値Ia*を設定する。検出操舵トルクTに対するアシスト電流値Ia*の設定例は、図4に示されている。検出操舵トルクTは、例えば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、アシスト電流値Ia*は、電動モータ18から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータ18から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。アシスト電流値Ia*は、検出操舵トルクTの正の値に対しては正をとり、検出操舵トルクTの負の値に対しては負をとる。
UVW/dq変換部47は、電流検出部33によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVWを、dq座標系の二相検出電流IdおよびIq(以下総称するときには「二相検出電流Idq」という。)に座標変換する。この座標変換には、回転角演算部48によって演算されるロータ回転角θeが用いられる。
PI制御部44は、電流偏差演算部43によって演算された電流偏差に対するPI演算を行なうことにより、電動モータ18に印加すべき二相電圧指令値Vdq *(d軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *)を生成する。この二相電圧指令値Vdq *は、dq/UVW変換部45に与えられる。
駆動回路32は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部46から与えられるPWM信号によって制御されることにより、三相電圧指令値VUVW *に相当する電圧が電動モータ18の各相のステータ巻線101,102,103に印加されることになる。
以下、PWM制御部46の動作について、詳しく説明する。説明の便宜上、この実施形態では、マイクロコンピュータ31のPWMクロックの周波数は10[MHz]であるとする。PWM信号の周波数を10[kHz]に設定した場合、PWM信号の1周期当たりのPWMクロック数(以下、「PWMカウント数」という)は、10,000,000×(1/10,000)=1000となる。電動モータへの印加電圧の分解能(印可電圧の刻み幅。以下、「電圧分解能Vr」という。)は、PWMカウント数をCntとし、電源電圧をVbとすると、Vr=Vb÷Cntである。説明の便宜上、Vb=100[V]とすると、PWM信号の周波数が10[kHz]である場合の電圧分解能Vrは、0.1(=100÷1000)[V/LSB])となる。
このマイクロコンピュータ31を用いて、PWM信号の周波数を100[kHz]に設定した場合、PWMカウント数Cntは、10,000,000×(1/100,000)=100となる。このため、電圧分解能Vrは1[V/LSB]となり、デューティ比の分解能は1[%]となる。この場合には、電動モータ18への印加電圧を、72.5[%]に設定することはできない。
PWM信号の周波数が100[kHz]である場合の実電圧分解能をVroで表す。この例では、実電圧分解能Vroは、Vro=Vb÷Cnt=1[V/LSB]となる。また、デューティ比の分解能(以下、「デューティ比の実分解能Dro」という。)は1[%]となる。
PWM制御部46は、dq/UVW変換部45によって生成されたU相電圧指令値VU *、V相電圧指令値VV *およびW相電圧指令値VW *毎に、それに応じたU相、V相およびW相の目標デューティ比を演算する。この例では、目標電圧分解能Vrtに対応するデューティ比の分解能は0.1[%]であるので、dq/UVW変換部45は、0.1[%]刻みのデューティ比を設定可能な電圧指令値VU *,VV *,VW *(デューティカウント;0〜1000)を生成する。U相電圧指令値VU *、V相電圧指令値VV *およびW相電圧指令値VW *に対するPWM制御部46の動作は同様なので、以下、U相電圧指令値VU *に対するPWM制御部46の動作について説明する。
Dut=(VU *÷Cntt)×100[%] …(1)
なお、この例では、Cnttは、1000である。
PWM制御部46は、目標デューティ比Dutよりも小さくかつ実電圧分解能Vro(デューティ比の実分解能Dro)に適合したデューティ比を、第1デューティ比Du1として設定する。また、PWM制御部46は、目標デューティ比Dutよりも大きくかつ実電圧分解能Vro(デューティ比の実分解能Dro)に適合したデューティ比を、第2デューティ比Du2として設定する。目標デューティ比Dutが72.5[%]である場合には、第1デューティ比Du1は72[%]に設定され、第2デューティ比Du2は73[%]に設定される。
PWM制御部46は、次式(2)に基づいて、第1PWM信号と第2PWM信号とを組み合わせからなる1セット分のPWM信号の周期数Nを演算する。
この例では、N=Vro÷Vrt=1÷0.1=10となる。
PWM制御部46は、第1PWM信号と第2PWM信号との組み合わせからなるN周期数分のPWM信号のデューティ比の平均値が目標デューティ比Dutと等しくなるように、第1PWM信号の出力回数であるN1と第2PWM信号の出力回数であるN2(=N−N1)とを演算する。より具体的には、PWM制御部44は、次式(3)に基づいて、第1PWM信号の出力回数N1を演算し、次式(4)に基づいて、第2PWM信号の出力回数N2を演算する。
N2=N−N1 …(4)
ここで、Droは、実電圧分解能Vroに対応するデューティ比の実分解能[%]であり、この例では1[%]である。この例では、Dut=72.5であり、Du1=72であるので、N1=N2=5となる。
N2={(Du2−Dut)÷Dro}×N …(5)
N1=N−N2 …(6)
この後、PWM制御部44は、第1PWM信号がN1回出力され、第2PWM信号がN2回出力されるように、これらのPWM信号を組み合わせて出力する。
PWM制御部46は、dq/UVW変換部45から与えられたU相電圧指令値VU *(デューティカウント)と前記式(1)とを用いて、U相電圧指令値VU *に応じた目標デューティ比Dutを演算する(ステップS1)。
次に、PWM制御部46は、前記式(3),(4)または前記式(5),(6)に基づいて、前記1セット内における第1PWM信号の出力回数N1と第2PWM信号の出力回数N2とを求める(ステップS4)。この例では、N1=N2=5となる。
次に、PWM制御部46は、前記1セット内の1からNまでの各周期を表すためのカウンタ値kに1を設定する(ステップS6)。PWM制御部46は、第1PWM信号および第2PWM信号のうち、カウンタ値kに対応したPWM信号を出力する(ステップS7)。この後、PWM制御部46は、カウンタ値kを1だけインクリメント(+1)する(ステップS8)。そして、PWM制御部46は、カウンタ値kがNよりも大きいか否かを判別する(ステップS9)。k≦Nであれば(ステップS9:NO)、PWM制御部46は、ステップS7に戻る。
図7は、ECUの他の例の電気的構成を示すブロック図である。図7において、前述の図2の各部に対応する部分には、図2と同じ符号を付して示す。
このECU12A内のマイクロコンピュータ31Aにおいても、PWM信号の周波数は100[kHz]に設定される。そして、PWM信号の周波数が100[kHz]である場合の実電圧分解能Vroは、前述の実施形態と同様にVro=1[V/LSB]であり、実電圧分解能Vroに対応するデューティ比の実分解能Droは1[%]である。
モータ回転速度演算部51は、回転角演算部48によって演算される回転角θmに基づいてモータ回転速度ωを演算する。この実施形態では、PWM制御部46Aは、電動モータ18の回転速度に応じて、目標電圧分解能Vrtを変更する機能を備えている。具体的には、PWM制御部46Aは、電動モータ18の回転速度ωが所定値A以下では、前述の実施形態と同様に目標電圧分解能(以下、「第1目標電圧分解能Vrt1」という)を0.1[V/LSB]に設定する。一方、PWM制御部44Aは、電動モータ18の回転速度ωが所定値Aより大きいときには、応答速度を高めるために目標電圧分解能(以下、「第2目標電圧分解能Vrt2」という)を0.2[V/LSB]に設定する。第2目標電圧分解能Vrt2は0.2[V/LSB]であるので、1セット分のPWM信号の周期数Nは5となる。これにより、応答速度が高くなる。
dq/UVW変換部45は、PWM制御部46aで設定される複数の目標電圧分解能のうち最も高い(細かい)目標電圧分解能を持つ三相電圧指令値VU *,VV *,VW *を出力する。この例では、dq/UVW変換部45は、第1目標電圧分解能Vrt1-を持つ三相電圧指令値VU *,VV *,VW *を出力する。言い換えれば、dq/UVW変換部45は、0.1[%]刻みのデューティ比を設定可能な三相電圧指令値VU *,VV *,VW *(デューティカウント)を生成する。例えば、第1目標電圧分解能Vrt1(=0.1[V/LSB])において反映したい印加電圧が20[V]である場合には、第1目標電圧分解能Vrt1での三相電圧指令値(デューティカウント)は200[LSB](デューティカウント=印加電圧÷電圧分解能)となる。
一方、電動モータ18の回転速度ωが所定値Aより大きい場合(目標電圧分解能Vrtが第2目標電圧分解能Vrt2である場合)には、三相電圧指令値変換部52は、次式(7)に基づいて、dq/UVW変換部45から出力される第1目標電圧分解能用の三相電圧指令値を、第2目標電圧分解能Vrt2に適合した三相電圧指令値に変換する。
例えば、dq/UVW変換部45から出力される第1目標電圧分解能Vrt1のU相電圧指令値VU *が200[LSB](印加電圧=20[V])である場合には、三相電圧指令値変換部52によって、U相電圧指令値VU *は、200÷(0.2÷0.1)=100[LSB]に変換される。この場合、第2目標電圧分解能Vrt2は0.2[V/LSB]であるので、印加電圧は100×0.2=20[V]となり、U相電圧指令値VU *が適切に変換されていることがわかる。ただし、前記式(7)の演算結果が小数点を含む場合には、四捨五入等によって、演算結果は整数値に変換される。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (3)
- 電動モータをPWM駆動するためのモータ制御装置であって、
PWM周波数に対応した電圧分解能を実電圧分解能とすると、前記実電圧分解能よりも高い所定の目標電圧分解能に適合した目標デューティ比を演算する目標デューティ比演算手段と、
前記目標デューティ比演算手段によって演算された目標デューティ比よりも小さくかつ前記実電圧分解能に適合したデューティ比を第1デューティ比として設定するとともに、前記目標デューティ比よりも大きくかつ前記実電圧分解能に適合したデューティ比を第2デューティ比として設定する手段と、
前記第1デューティ比を有する第1PWM信号と、前記第2デューティ比を有する第2PWM信号との組み合わせからなる複数周期分のPWM信号のデューティ比の平均値が前記目標デューティ比と等しくなるように、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号とを組み合わせて出力するPWM信号出力手段とを含む、モータ制御装置。 - 前記PWM信号出力手段は、
前記実電圧分解能をVroとし、前記目標電圧分解能をVrtとすると、Vro/Vrtを、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号のとの組み合わせからなる1セット分の周期数Nとして演算する手段と、
前記第1PWM信号と前記第2PWM信号との組み合わせからなる前記N周期数分のPWM信号のデューティ比の平均値が前記目標デューティ比と等しくなるように、前記第1PWM信号の出力回数であるN1と前記第2PWM信号の出力回数であるN2(=N−N1)とを演算する出力回数演算手段と、
前記1セット分の周期数N内に、前記第1PWM信号がN1回出力され、前記第2PWM信号がN2回出力されるように、これらのPWM信号を組み合わせて出力する手段とを含む、請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記電動モータの回転速度に応じて、前記目標電圧分解能Vrtを変更させる手段をさらに含む、請求項2に記載のモータ制御装置。
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