以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各図において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、車両が配置された路面と直交する方向をZ方向、Z方向と直交する特定の方向をX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向と示す。Z方向は、特許請求の範囲に記載の第1方向に相当する。X方向及びY方向により規定される平面をXY平面と示す。特に断わりのない限り、XY平面に沿う形状を平面形状と示す。
(第1実施形態)
先ず、図1及び図2に基づき、本実施形態の電子制御装置の搭載環境について説明する。
図1に示すように、車両10は、フロントウインドシールド11よりも前方に、ボンネット12を有している。ボンネット12は、フードとも称される。ボンネット12は、特許請求の範囲に記載の蓋に相当する。車両の左右方向において、ボンネット12の両サイドには、図示しないタイヤや、タイヤによる石、泥、水などのはねから乗員を保護するために、フロントフェンダ13が取り付けられている。また、車両10の前方には、左右両側にヘッドライト14が設けられている。ヘッドライト14の間には、外部から空気を取り入れるためのフロントグリル15が設けられている。
図2に示すように、隔壁16により、乗員が搭乗する車室内(キャビン)と隔てられたボンネット12の下のエンジンコンパートメント17には、エンジン18や車両補機などが配置されている。エンジンコンパートメント17は、エンジンルームとも称される。エンジンコンパートメント17は、特許請求の範囲に記載の区画室に相当する。エンジンコンパートメント17は、フロントフェンダ13、フロントグリル15、及び隔壁16などによって区画形成されている。
エンジンコンパートメント17には、エンジン18以外にも、バッテリ19、電子制御装置20、及びリレーボックス21などが配置されている。バッテリ19は、特許請求の範囲に記載の箱状部材に相当する。電子制御装置20は、車両10に取り付けられている。言い換えると、本実施形態では、電子制御装置20が取り付けられる被取付部材として、車両10を採用している。なお、本実施形態では、重力方向と直交する路面に車両10が配置されている。そのため、Z方向は重力方向に沿う方向であって、特許請求の範囲に記載の第2方向に相当する。以下、Z方向のうち、車両10から路面に向かう方向を下方、下方と反対の方向を上方と示す。
電子制御装置20は、エンジンECU(Electric Control Unit)として構成されている。電子制御装置20は、エンジン18が出力すべき目標トルクを算出する。また、電子制御装置20は、エンジン18が要求される目標トルクを生じるために、ワイヤハーネス22を通じて、スロットルバルブの開度、燃料噴射量、及び点火タイミングなどを制御する。
リレーボックス21は、車内の電装品に対してバッテリ19の電力を分配するために、多数のリレーやヒューズなどで構成されている。このリレーボックス21には、ワイヤハーネス23の一部を通じて、電子制御装置20から制御信号が入力される。この制御信号により、車両10に搭載された電装品への電力の供給が制御される。また、ワイヤハーネス23の残りは、隔壁16に設けられた貫通孔16aを通じて、図示しないボディECUに接続されている。これにより、電子制御装置20とボディECUとの間で相互の通信が可能となっている。
次に、図3〜図9に基づき、バッテリ19及び電子制御装置20について説明する。
バッテリ19は、各種の電機制御を行うために充放電する。図3及び図4に示すように、バッテリ19は、略直方体形状をなしており、外面として、図示しない端子などが形成された上面19aと、側面である長側面19b及び短側面19cと、上面19aと反対の図示しない底面と、を有している。長側面19bは、略長方形をなす上面19aの長辺に連結された側面であり、短側面19cは、上面19aの短辺に連結された側面である。一対の長側面19b及び一対の短側面19cは、いずれもほぼ全面がほぼ平坦な面、すなわち平面部19dとなっている。バッテリ19は、下記のトレイ部54を構成する底板部55上に配置されている。
バッテリ19は、クランプ構造により、トレイ部54、ひいては車両10に固定されている。バッテリ19の上面19aには、クランプ部材24が配置されている。クランプ部材24は、長辺の中央付近において短辺方向に沿って上面19aを跨ぐように配置されている。図3及び図5に示すように、クランプ部材24の両端は、上面19aよりも外側に延設されている。クランプ部材24の両端には、J型のフック部材25が連結されている。フック部材25において、クランプ部材24との連結端と反対の下端部は、J字状に屈曲されている。上記したトレイ部54を構成する横板部56,57のうち、バッテリ19の長側面19bに対向配置された横板部57に掛け止め部59が形成されており、この掛け止め部59にフック部材25の下端部が掛け止めされている。このように、バッテリ19は、底板部55とクランプ部材24によって挟持されている。
図3〜図9に示すように、電子制御装置20は、回路基板30と、筐体31と、コネクタ32と、ブラケット33と、を有している。回路基板30は、プリント基板に電子部品が実装されてなる。回路基板30の板厚方向、すなわちプリント基板の板厚方向は、X方向に沿う方向とされている。
図9に示すように、回路基板30は、筐体31内に収容されており、図示しない固定手段により、筐体31に固定されている。回路基板30には、コネクタ32も実装されている。図9では、便宜上、電子部品の図示を省略している。また、図9では、一例として、筐体31内に、1枚のプリント基板のみが収容されている。
筐体31は、その内部空間に回路基板30を収容する。本実施形態において、筐体31は、金属材料を用いて形成されている。これにより、回路基板30の生じた熱を筐体31の外部に放熱する機能を果たす。筐体31は、袋形状をなしており、自身の深さ方向であるZ方向の一端側に底壁部40を有し、底壁部40と反対の他端側に開口部41を有している。また、筐体31は、底壁部40に連結され、底壁部40とともに回路基板30を収容する空間を形成する側壁部42を有している。
筐体31は、その外面として、底面43aと、対向面43bと、裏面43cと、一対の連結面43dと、を有している。底面43aは、底壁部40の外面である。対向面43bはバッテリ19の短側面19cに対向配置される面であり、裏面43cは対向面43bと反対の面である。そして、一対の連結面43dが、Z方向の少なくとも一部であってX方向の所定範囲に、裏面43cに近づくほどY方向における一対の連結面43d間の長さが短くなるように傾斜した斜面部43eをそれぞれ有している。
本実施形態では、底面43a及び裏面43cがほぼ平坦な面となっている。そして、連結面43dは、底面43a及び裏面43cとの連結部分である屈曲部を除いて、斜面部43eとなっている。すなわち、連結面43dのほぼ全面が斜面部43eとなっている。このため、図8に示すように、Z方向からみて、筐体31は略台形状をなしている。したがって、Y方向において、一対の連結面43dの間に裏面43cが位置している。また、底壁部40には、底面43aに開口する所定深さの図示しないねじ孔が形成されている。
このように構成される筐体31は、図3及び図4に示すように、バッテリ19における一方の短側面19cの隣(横)に配置されている。詳しくは、短側面19cに対し、筐体31の対向面43bが対向配置されている。筐体31は、開口部41が底壁部40に対して上方となるように、短側面19c(平面部19d)の横に配置されている。すなわち、コネクタ32が、底壁部40に対して上方となるように配置されている。
コネクタ32は、回路基板30に実装されており、回路基板30と外部機器とを電気的に中継する。コネクタ32の一部は、図9に示すように、筐体31に収容され、残りの部分は、筐体31から外部に露出されている。コネクタ32には、外部機器側のコネクタ(メスコネクタ)が嵌合され、コネクタ32及びメスコネクタを介して、回路基板30が上記したワイヤハーネス22,23と電気的に接続される。
コネクタ32は、図9に示すように、樹脂などの電気絶縁性材料を用いて形成されたハウジング32aと、導電性材料を用いて形成され、ハウジング32aに保持された複数の端子32bと、を有している。複数の端子32bは、ハウジング32aに対してY方向に配列されるとともに、X方向に多段に配置されている。なお、段数は、特に限定されない。
コネクタ32は、筐体31の開口部41及びその周辺に配置され、開口部41を閉塞している。ハウジング32aと筐体31とは、開口部41の周辺において嵌合している。また、ハウジング32aと側壁部42における開口部41の周囲部分との間には、図示しない防水用のシール材が配置されている。これにより、筐体31の内部空間が防水空間となっている。図9では、端子32bが回路基板30(プリント基板)に対して挿入実装されているが、表面実装構造を採用することもできる。
図3、図6、及び図7に示すように、コネクタ32のハウジング32aは3つのポートを有している。3つのポートの一部が、エンジン18を駆動させるためのワイヤハーネス22との接続に供せられるエンジンブロックとされ、残りのポートが、リレーボックス21及びボディECUに対応するワイヤハーネス23との接続に供せられるボディブロックとされている。そして、図2に示した配置において、エンジンブロックがエンジン18に近い側、ボディブロックがリレーボックス21や貫通孔16aに近い側となるように、ワイヤハーネス22,23の配索を考慮して、各ブロックの配置が決定されている。なお、コネクタ32のポート数は特に限定されない。
ブラケット33は、電子制御装置20が車両10に取り付けるための部材である。このブラケット33は、介在部50と、板ばね部51と、支持部52と、トレイ部54と、を有している。
介在部50は、バッテリ19の短側面19cと筐体31の対向面43bとの間に介在する。介在部50は、対向面43bと対向する対向面50aを有している。対向面50aと対向面43bとの一部同士は、接触している。対向面50a及び対向面43bにおいて、接触部分を除く少なくとも一部により空気流通路80が形成されている。空気流通路80については、下記で詳細に説明する。介在部50のY方向両端に板ばね部51がそれぞれ連結されている。
板ばね部51は、介在部50のY方向両端からX方向において裏面43c側に延びるとともに、X方向において介在部50と対向するように、介在部50に対して折り返されている。このように折り返された板ばね部51は、X方向にばね変形可能となっている。一対の板ばね部51は、上記折り返し構造により、一対の連結面43dの斜面部43eにそれぞれ接触して、対応する斜面部43eにばね変形による反力を付与する。ばね変形は、弾性変形とも称される。
板ばね部51と介在部50との連結方法は特に限定されない。本実施形態では、平板状の金属板が折曲されて、介在部50及び板ばね部51が構成されている。すなわち、板ばね部51と介在部50とが、同一金属板の一部同士として一体的に連結されている。介在部50と板ばね部51とを別部材で構成し、たとえば溶接により連結してもよい。
板ばね部51は、介在部50のY方向両端にそれぞれ設けられており、介在部50に対してバッテリ19とは反対側に折曲されている。詳しくは、筐体31の斜面部43eに接触するように、介在部50とのなす角度が鋭角となっている。板ばね部51は、介在部50との連結端に屈曲部(折曲部)を有しており、これにより板ばね部51は、対応する斜面部43eに接触するとともに、該斜面部43eにばね変形による反力を付与することができる。
板ばね部51には、補助固定部51aが形成されている。補助固定部51aは、板ばね部51から斜面部43eに向かって突出している。補助固定部51aは、斜面部43eに接触するとともに、該斜面部43eにばね変形による反力を付与する。補助固定部51aにより、より強固に筐体31を固定することができる。
板ばね部51は、Z方向において、介在部50の上端から下端にわたって連結されている。なお、板ばね部51が、Z方向において、介在部50の一部のみに連結される構成としてもよい。板ばね部51の介在部50に対する曲げ角度は、Z方向においてほぼ一定となっている。
図5に示すように、支持部52は、筐体31の底壁部40を支持する。本実施形態では、この支持部52に、筐体31をねじ締結するための貫通孔が形成されている。そして、図5に示すねじ34が、支持部52の貫通孔を挿通し、底壁部40に形成されたねじ孔にねじ込まれて、筐体31が支持部52に固定されている。
また、支持部52は、図5に示すように、トレイ部54を構成する底板部55に連結されている。図5では、支持部52と底板部55との境界を破線で示している。支持部52は、底板部55のX方向の端部であって、Y方向の両端付近にそれぞれ連結されている。支持部52は、Z方向の投影視において、筐体31の底壁部40におけるY方向の両端付近と重なっている。
トレイ部54は、ブラケット33のうち、バッテリ19が配置される部分である。このトレイ部54は、底板部55と、横板部56,57と、を有している。本実施形態では、平板状の金属板を所定形状に加工することで、支持部52、底板部55、及び横板部56,57が構成されている。すなわち、支持部52、底板部55、及び横板部56,57が、同一の金属板の一部として構成されている。本実施形態では、支持部52、底板部55、及び横板部56,57が構成された金属板を、介在部50及び板ばね部51が構成された金属板と溶接により連結することで、ブラケット33を構成する。しかしながら、底板部55と横板部56,57とを別部材とすることもできる。さらには、横板部56と横板部57を別部材とすることもできる。
支持部52及びトレイ部54の構成材料としては、金属材料及び樹脂材料の少なくとも一方を採用することができる。支持部52及びトレイ部54を樹脂材料により一体的に成形し、成形された部材に対して、介在部50及び板ばね部51を有する金属部材を、たとえば圧入により固定することで連結してもよい。また、金属材料を用いて形成された支持部52を、介在部50及び板ばね部51のいずれかに連結させ、介在部50、板ばね部51、及び支持部52を有する金属部材を、樹脂成形されたトレイ部54に対して圧入固定してもよい。また、金属材料を用いて形成された支持部52と、金属材料を用いて形成されたトレイ部54を、たとえば溶接により連結してもよい。さらには、金属材料を用いて形成された支持部52及びトレイ部54を、溶接などによって、介在部50や板ばね部51に連結してもよい。
底板部55は、バッテリ19を支持する。底板部55は、平面形状が、バッテリ19に対応して矩形状(長方形)をなしている。上記したように、底板部55のX方向における一端、すなわちバッテリ19の短側面19cに対応する端部の一方には、支持部52が連結されている。支持部52は、底板部55と同一平面に位置するとともに、底板部55からX方向に延設されている。介在部50は、底板部55における支持部52が連結された一端から上方に延設されている。
底板部55は、中心付近に貫通形成された固定孔58を有している。この固定孔58により、ブラケット33、すなわち電子制御装置20は、車両10のボディ、又は、該ボディに固定された取り付け部に、ねじ締結される。なお、電子制御装置20の車両10への固定部位は、底板部55に限定されるものではない。ブラケット33の他の部分での固定も可能である。また、クランプ部材24を介して、ラジエータサポートなどの取り付け部に固定することもできる。底板部55における介在部50と反対側の一端は、横板部56と連結されている。
横板部56は、底板部55から上方に延設され、板厚方向がX方向に沿う平板状をなしている。図6に示すように、介在部50と横板部56とは、X方向において互いに対向している。横板部56におけるY方向の両端は、横板部57と連結されている。
一対の横板部57は、横板部56のY方向における両端から、X方向に延設されている。横板部57は、板厚方向がY方向に沿う平板状をなしている。一対の横板部57における下端部は、底板部55におけるY方向の端部にそれぞれ連結されている。一対の横板部57は、Y方向において互いに対向している。
また、図6に示すように、横板部57における横板部56と反対側の一端は、介在部50に連結されている。すなわち、横板部57は、介在部50に対し、X方向において第1横板部53と反対側に延設されている。
横板部57のZ方向の高さは、横板部56との連結端からX方向に所定の範囲、具体的には、X方向の中央付近までの範囲において、横板部56とほぼ同じ高さとなっている。一方、介在部50側の端部において、横板部57の高さは、介在部50とほぼ同じ高さとなっている。そして、横板部57の高さは、X方向の中央付近から介在部50側の端部に向けて、徐々に高くなっている。このように、X方向において回路基板30に近い側の方が、横板部57の高さが高くなっている。また、横板部57には、X方向における中央付近に、フック部材25のJ字状の下端部が掛け止めされる掛け止め部59が形成されている。
次に、図8及び図9に基づき、空気流通路80について説明する。
以下、側壁部42のうち、X方向における介在部50側の部分を、第1側壁部45と示す。対向面43bは、第1側壁部45の外面である。第1側壁部45は、板厚方向がX方向に沿う平板状をなしている。そのため、対向面43b全体が、ほぼ平坦な面であって、X方向と直交している。
介在部50は、Y方向において中心部分を含む所定範囲が、X方向において第1側壁部45と反対側へ凹んでいる。介在部50は、XY平面に沿う断面形状が、Z方向において下端部から上端部まで、ほぼ同じ形状とされている。介在部50の対向面50aは、対向面43bと接触する第1接触部50bと、第1接触部50bに対して対向面43bと離反する方向に凹んだ第1凹部50cと、を有している。
第1接触部50bは、ほぼ平坦な面とされ、X方向と直交している。第1接触部50bは、対向面43bに対して接触している。第1凹部50cに対してY方向の両端に、第1接触部50bが設けられている。対向面50aは、第1凹部50cとして、X方向において対向面43bと所定距離を有して対向するとともにX方向と直交する底部と、この底部と第1接触部50bとを連結する連結部とを有している。X方向において、対向面43b、及び、第1凹部50cの底部の距離は、0.5mm程度とされている。対向面43bにおける第1接触部50bと接触していない部分、及び、第1凹部50cは、空気流通路80を規定する壁面をなしている。
空気流通路80は、複数の開口部を有している。本実施形態では、空気流通路80が2つの開口部を有している。空気流通路80は、開口部として、空気導入口81と、空気導入口81の上方に設けられた空気排出口82と、を有している。空気導入口81は、空気流通路80内に空気を導入する開口部である。空気排出口82は、空気流通路80から空気を排出する開口部である。
空気流通路80は、Z方向に沿って形成されている。空気流通路80は、Z方向の両端に開口部を有している。空気流通路80において、下端が空気導入口81であり、上端が空気排出口82である。空気流通路80を規定する壁面の形状は、Z方向において下端から上端まで、ほぼ同じとされている。以下、XY平面において空気流通路80を規定する壁面により囲まれる部分の面積を、空気流通路80の断面積と示す。空気流通路80の断面積は、Z方向において、空気排出口82から空気導入口81まで、ほぼ一定とされている。そのため、空気導入口81の面積は、空気排出口82の面積とほぼ同じ大きさとされている。
次に、上記した電子制御装置20の効果について説明する。
本実施形態では、回路基板30の駆動により、空気流通路80内の空気が暖められる。暖められた空気流通路80内の空気は、膨張し、空気流通路80よりも上方の空気に較べて比重が小さくなる。これによれば、空気流通路80内の空気は、空気排出口82から、空気流通路80に対して上方へ排出される。
この空気の排出により、空気流通路80内の気圧が下がる。空気流通路80内の気圧が下がると、空気流通路80に対して下方の空気は、空気導入口81から、空気流通路80内に導入される。空気流通路80内に導入された空気は、回路基板30の駆動により暖められ、空気排出口82から排出される。以上により、空気流通路80内、及び、空気流通路80に対してZ方向の両側において、空気導入口81から空気排出口82へ向かう空気の流れ、すなわち空気の対流が生じる。
空気流通路80に対して下方の空気は、空気流通路80内の空気よりも温度が低い。したがって、対流が生じることにより、低い温度の空気が空気流通路80内に導入され、空気流通路80を形成する筐体31が冷却される。筐体31が冷却されることにより、回路基板30から筐体31へ伝熱し、回路基板30が冷却される。
また、対流が生じることにより、空気流通路80を形成するブラケット33も冷却される。ブラケット33が冷却されると、筐体31からブラケット33へ伝熱し、筐体31が冷却される。そのため、ブラケット33が冷却されると、回路基板30から筐体31へ伝熱し、回路基板30が冷却される。以上により、本実施形態では、伝熱部材を用いることなく、回路基板30が高温となるのを抑制することができる。
本実施形態では、伝熱部材を設ける必要がなく、電子制御装置20の部品点数が増大するのを抑制することができる。また、電子制御装置20の組み付けにおいて、伝熱部材を配置する工程を実施する必要がない。よって、電子制御装置20の組み付け工数の増大を抑制することができる。
伝熱部材を設ける構成では、経年劣化により伝熱部材の熱伝導性が低下する虞がある。これに対し、本実施形態では、経年劣化による伝熱部材の熱伝導性低下を考慮する必要がなく、長期にわたって回路基板30が高温となるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、空気流通路80が、Z方向に沿って形成されている。これによれば、空気流通路80が屈曲形状とされた構成に較べて、空気導入口81から空気排出口82へ空気が流れ易い。よって、空気流通路80内において、高い温度の空気を排出し易く、低い温度の空気を導入し易い。そのため、効果的に筐体31及びブラケット33を冷却することができる。したがって、回路基板30がより冷却され易く、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
ところで、車両10が配置された路面の傾斜角度に応じて、重力方向における空気導入口81及び空気排出口82の相対位置が変化する。本実施形態では、車両10が配置された路面と直交する方向に、空気導入口81及び空気排出口82が並んでいる。これによれば、路面の傾斜角度によらず、空気排出口82が空気導入口81よりも上方に設けられた構成を確保することができる。よって、空気導入口81及び空気排出口82が、重力方向において互いに同じ位置に設けられ難い。そのため、路面の傾斜角度によらず、対流が生じ易い。したがって、路面の傾斜角度によらず、回路基板30が高温となるのを抑制することができる。
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
図10に示すように、ブラケット33における介在部50は、板厚方向がX方向に沿う平板状をなしている。そのため、介在部50の対向面50a全体は、ほぼ平坦な面とされ、X方向と直交している。なお、第1実施形態と同様に、対向面50aが、第1接触部50bと第1凹部50cとを有する構成としてもよい。
第1側壁部45は、Y方向において中心部分を含む所定範囲が、X方向において介在部50と反対側へ凹んでいる。第1側壁部45は、XY平面に沿う断面形状が、Z方向において下端部から上端部まで、ほぼ同じ形状とされている。第1側壁部45の対向面43bは、対向面50aと接触する第2接触部43fと、第2接触部43fに対して対向面50aと離反する方向に凹んだ第2凹部43gと、を有している。
第2接触部43fは、ほぼ平坦な面とされ、X方向と直交している。第2接触部43fは、対向面50aに対して接触している。第2凹部43gに対してY方向の両端に、第2接触部43fが設けられている。対向面43bは、第2凹部43gとして、X方向において対向面50aと所定距離を有して対向するとともにX方向と直交する底部と、底部と第2接触部43fとを連結する連結部とを有している。対向面50aにおける第2接触部43fと接触していない部分、及び、第2凹部43gは、空気流通路80の壁面をなしている。本実施形態の電子制御装置20は、第1実施形態の電子制御装置20と同等の効果を奏することができる。
(第3実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
図11及び図12に示すように、筐体31及びブラケット33の少なくとも一方は、空気流通路80を規定する壁面に形成された第1放熱フィン83を有している。第1放熱フィン83は、空気流通路80を規定する壁面から突出している。本実施形態では、筐体31のみが、第1放熱フィン83を有している。第1放熱フィン83は、対向面43bから、対向面50aのうち第1凹部50cの底部に向かってX方向に突出している。
本実施形態では、筐体31が複数の第1放熱フィン83を有している。複数の第1放熱フィン83は、Y方向に並んでいる。各第1放熱フィン83は、Z方向に延設されている。言い換えると、各第1放熱フィン83は、空気流通路80を規定する壁面に沿って、空気導入口81から空気排出口82へ延設されている。本実施形態において、第1放熱フィン83の平面形状は、略半円形状とされている。
本実施形態では、第1放熱フィン83により、空気流通路80を規定する壁面の表面積を増やすことができる。すなわち、第1放熱フィン83により、低い温度の空気と接触する部分の表面積を増やすことができる。これによれば、筐体31が、より冷却され易い。したがって、回路基板30がより冷却され易く、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、第1放熱フィン83がZ方向に延設されている。これによれば、空気流通路80を規定する壁面の表面積を増やしつつ、空気流通路80内において、第1放熱フィン83により対流が妨げられるのを抑制することができる。したがって、筐体31及びブラケット33がより冷却され易く、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態では、筐体31のみが第1放熱フィン83を有する例を示したが、これに限定するものではない。ブラケット33が、第1放熱フィン83を有する例を採用することもできる。この例では、第1凹部50cから第1放熱フィン83が突出する。また、筐体31及びブラケット33の両方が、第1放熱フィン83を有する例を採用することもできる。
(第4実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
図13に示すように、筐体31は、介在部50と対向する第1側壁部45として、第2側壁部46と、第2側壁部46に対して下方に設けられた第3側壁部47と、を有している。第2側壁部46は、板厚方向がX方向に沿う平板状をなし、上端部が開口部41を形成している。第2側壁部46の外面である対向面46aは、第1側壁部45における対向面43bの一部であって、空気流通路80を規定する壁面をなしている。第2側壁部46の下端部は、第3側壁部47に連結されている。
第3側壁部47は、上端部が第2側壁部46と連結され、下端部が底壁部40と連結されている。底壁部40は、X方向における介在部50側の一端が、第3側壁部47と連結されている。底壁部40は、X方向における介在部50側の一端が、X方向において第2側壁部46よりも介在部50から離れている。
第3側壁部47の外面であって、介在部50とX方向に対向する対向面47aは、Z方向において底壁部40に近づくほど、X方向において介在部50との距離が長くなる。対向面47aは、第1側壁部45における対向面43bの一部であって、空気流通路80を規定する壁面をなしている。対向面47aは、ほぼ平坦な面とされている。
空気導入口81の面積は、空気排出口82の面積よりも大きくされている。本実施形態では、空気流通路80の断面積が、Z方向において、空気排出口82から第2側壁部46の下端部まで、ほぼ一定とされている。さらに、空気流通路80の断面積は、Z方向において、第2側壁部46の下端部から空気導入口81まで、空気導入口81に近づくほど大きくされている。以上により、空気導入口81の面積は、空気流通路80の断面積における最大値とされ、空気排出口82の面積は、空気流通路80の断面積における最小値とされている。
本実施形態では、空気排出口82の面積が小さいため、空気流通路80内における空気排出口82付近の空気が暖まり易い。そのため、空気流通路80内における空気排出口82付近の空気の密度を、より小さくすることができる。また、本実施形態では、空気導入口81の面積が大きいため、空気流通路80内に空気が導入され易い。すなわち、空気流通路80内において、高い温度の空気を排出し易く、低い温度の空気を導入し易い。したがって、筐体31及びブラケット33がより冷却され易く、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態では、筐体31が、空気排出口82の面積に対して空気導入口81の面積を大きくするように、第2側壁部46と第3側壁部47とを有する例を示した。しかしながら、これに限定するものではない。ブラケット33が、空気導入口81の面積を大きくするように、構成された例を採用することもできる。たとえば、介在部50の対向面50aが、Z方向において底板部55に近づくほど、X方向における筐体31との距離が大きくなるように構成される。また、筐体31及びブラケット33の両方が、空気排出口82の面積に対して空気導入口81の面積を大きくするように構成される例を採用することもできる。
また、本実施形態では、空気導入口81の面積が空気流通路80の断面積における最大値とされ、空気排出口82の面積が空気流通路80の断面積における最小値とされた例を示した。しかしながら、これに限定するものではない。空気導入口81の面積が空気排出口82の面積よりも大きくされた構成であれば採用することができる。空気流通路80において、空気導入口81と空気排出口82との間の部分の断面積が、空気導入口81の面積よりも大きくされた例を採用することもできる。また、空気流通路80において、空気導入口81と空気排出口82との間の部分の断面積が、空気排出口82の面積よりも小さくされた例を採用することもできる。
(第5実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。図15では、第2放熱フィン84の形状を明確にするために、第2放熱フィン84にハッチングを施している。
図14及び図15に示すように、筐体31及びブラケット33の少なくとも一方は、第2放熱フィン84を有している。本実施形態では、筐体31のみが第2放熱フィン84を有している。第2放熱フィン84は、底面43aから下方に突出している。なお、底面43aは、空気導入口81側で、空気流通路80を規定する壁面である対向面43bと連結している。
第2放熱フィン84は、空気導入口81を中心とする放射方向に延設されている。言い換えると、第2放熱フィン84は、空気導入口81と反対側の一端から空気導入口81に向かって延設されている。本実施形態では、第2放熱フィン84が、下方からみて、空気導入口81に対してX方向における一方側に設けられている。第2放熱フィン84は、X方向に延設されている。また、本実施形態では、筐体31が、複数の第2放熱フィン84を有している。複数の第2放熱フィン84は、Y方向に並んでいる。各第2放熱フィン84は、下方からみて、支持部52と重ならない位置に形成されている。
低い温度の空気は、空気導入口81へ導入されるまでに、底面43aと接触し易い。本実施形態では、第2放熱フィン84により、底面43aの表面積を増やすことができる。すなわち、筐体31において、低い温度の空気と接触し易い部分の表面積を増やすことができる。これによれば、筐体31が、より冷却され易い。そのため、回路基板30がより冷却され易く、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、第2放熱フィン84が、空気導入口81と反対側の一端から空気導入口81に向かって延設されている。これによれば、筐体31において低い温度の空気と接触し易い部分の表面積を増やしつつ、第2放熱フィン84により対流が妨げられるのを抑制することができる。したがって、筐体31及びブラケット33がより冷却され易く、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態では、筐体31のみが第2放熱フィン84を有する例を示したが、これに限定するものではない。ブラケット33が、第2放熱フィン84を有する例を採用することもできる。この例では、底板部55における下方側の面から第1放熱フィン83が突出する。また、筐体31及びブラケット33の両方が、第2放熱フィン84を有する例を採用することもできる。
(第6実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
先ず、図16〜図19に基づき、筐体31について説明する。図18及び図19では、便宜上、コネクタ32の端子32bを省略している。
本実施形態の筐体31は、中間ケース61と、中間ケース61に対してX方向の一面側に配置される上ケース62と、中間ケース61に対して上ケース62と反対側に配置される下ケース63と、を有している。すなわち、複数の部材により、筐体31が構成されている。さらに筐体31は、板ばね部51が接触する部分である一対の受け部64を有している。
中間ケース61は、樹脂成形体である。本実施形態では、中間ケース61が、熱可塑性樹脂を用いて形成されている。熱可塑性樹脂としては、耐熱性に優れるもの、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT)を採用することができる。
中間ケース61は環状をなしており、X方向に沿う貫通孔61aを有している。このため、中間ケース61を枠体と称することもできる。具体的には、図17及び図18に示すように、中間ケース61は略矩形環状をなしている。この中間ケース61には、図16に示すように、コネクタ32のハウジング32aが一体化されている。換言すれば、ハウジング32aが、中間ケース61の一部分として一体的に成形されている。しかしながら、中間ケース61の形状は上記例に限定されない。たとえば略C字状(換言すれば略コの字状)の中間ケース61を採用し、中間ケース61のC字の開口部(間隙部)にハウジング32aが配置された構成を採用することもできる。この場合、溶着により、中間ケース61とハウジング32aとをシールすることもできる。
中間ケース61は、図17及び図18に示すように、略矩形環状をなす枠部65と、枠部65の内周側の四隅部にそれぞれ設けられた台座部66と、を有している。なお、図17では、中間ケース61の内周端61bを破線で示し、図18では、台座部66を破線で示している。枠部65は、X方向の厚みが全周においてほぼ一定となっている。台座部66は、上ケース62側において枠部65に略面一で連なっており、下ケース63側において枠部65よりも一段下がった位置に設けられている。すなわち、台座部66の厚みは、枠部65の厚みよりも薄くされている。これにより、台座部66と下ケース63との間に、所定の隙間が設けられている。
図16及び図18に示すように、回路基板30は、台座部66における下ケース63側の面上に配置され、台座部66(中間ケース61)に固定されている。回路基板30の固定方法は特に限定されない。たとえば接着やねじ締結などを採用することができる。回路基板30が中間ケース61に固定された状態で、回路基板30と下ケース63との間に、所定の隙間が設けられている。
回路基板30の図示しない電子部品は、図示しない放熱グリスを介して、筐体31と熱的に接続されている。詳しくは、プリント基板における上ケース62側の面に電子部品が配置されている場合、放熱グリスを介して電子部品が上ケース62と熱的に接続されている。一方、プリント基板における下ケース63側の面に電子部品が配置されている場合、放熱グリスを介して電子部品が下ケース63と熱的に接続されている。
上ケース62は、金属材料を用いて形成されている。本実施形態では、上ケース62が平板状をなしている。上ケース62は、貫通孔61aの一方の開口端を閉塞するように、枠部65及び台座部66に固定されている。上ケース62の外形輪郭は、X方向からの投影視において、中間ケース61の外周端とほぼ一致する。したがって、上ケース62により、裏面43c側の側壁部42が構成されている。すなわち、上ケース62における中間ケース61とは反対の面が、裏面43cをなしている。
上ケース62の固定方法は特に限定されない。本実施形態では、上ケース62が中間ケース61に溶着されている。溶着を用いると、上ケース62と中間ケース61との間のシール材を不要とすることができる。上ケース62として、中間ケース61側の面の少なくとも溶着される部分が、エッチングなどにより粗化(凹凸化)されたものを採用すると、アンカー効果が期待できる。また、リークパスも長くなり、防水性も向上することができる。
下ケース63も、上ケース62同様、金属材料を用いて形成されている。下ケース63は、図17及び図19に示すように、貫通孔61aの一方の開口端を閉塞する本体部67と、本体部67から延びる延設部68と、を有している。
本体部67は、平板状をなしている。本体部67は、貫通孔61aにおける上ケース62とは反対側の開口端を閉塞するように、枠部65に固定されている。本体部67の外形輪郭は、X方向からの投影視において、中間ケース61の外周端とほぼ一致する。本体部67(下ケース63)の固定方法も特に限定されない。本体部67も中間ケース61に溶着されている。したがって、下ケース63として、中間ケース61側の面の少なくとも溶着される部分が粗化されたものを採用するとよい。
電子制御装置20の組み付けにおいて、上ケース62及び下ケース63の少なくとも一方を中間ケース61に固定する前に、回路基板30の電子部品に放熱グリスを配置する。そして、上ケース62及び下ケース63の少なくとも一方を中間ケース61に固定することで、放熱グリスを介して電子部品を筐体31と熱的に接続する。
延設部68は、本体部67におけるY方向の両端から、Y方向に沿って本体部67よりも外側に延設された部分である。延設部68は、Y方向において本体部67の両側に設けられている。延設部68上に受け部64が設けられるため、延設部68のZ方向の長さは、受け部64のZ方向の長さに応じて決定される。本実施形態では、延設部68が、本体部67と同一の部材で構成されている。しかしながら、これに限定するものではない。延設部68が、本体部67と別部材で構成された例を採用することもできる。
本体部67及び延設部68、すなわち下ケース63により、第1側壁部45が構成されている。したがって、下ケース63における中間ケース61と反対の面が、対向面43bをなしている。また、中間ケース61、上ケース62、及び下ケース63により、底壁部40が構成されている。
一対の受け部64は、筐体31のうち、ブラケット33の板ばね部51が接触する部分である。換言すれば、受け部64は、筐体31のうち、板ばね部51を受ける部分である。受け部64は、下ケース63における対向面43bと反対の面のうち、延設部68の部分に設けられている。このため、受け部64は、下ケース63の一部分とも言える。受け部64は、延設部68からX方向に突出しているため、凸部とも称される。受け部64の突出先端は、X方向において対向面43bと裏面43cとの間の位置とされている。受け部64は、本体部67を挟んで両側に位置する一対の延設部68のそれぞれに設けられている。このため、Y方向において、一対の受け部64の間に裏面43cが位置している。
本実施形態では、受け部64が、延設部68と別部材で構成されており、たとえば溶接により延設部68に固定されている。受け部64は略角柱状をなしており、Z方向に所定の長さを有している。本実施形態では、Z方向において、本体部67よりも若干短い長さとされている。なお、受け部64と延設部68とが、同じ金属板の一部同士として一体的に連結された構成を採用することもできる。
次に、図16、図20〜図23に基づき、ブラケット33、及び、ブラケット33への筐体31の固定構造について説明する。なお、図21では、便宜上、コネクタ32の端子32bを省略している。
ブラケット33は、第1実施形態同様、介在部50と、一対の板ばね部51と、を有している。板ばね部51は、介在部50のY方向両端からX方向において裏面43c側に延びるとともに、X方向において介在部50と対向するように、介在部50に対して折り返されている。具体的には、図21及び図22に示すように、板ばね部51が介在部50と略平行となるように、折り返されている。このため、介在部50と板ばね部51とが、略コの字状(換言すれば略C字状)をなしている。このように折り返された板ばね部51は、X方向にばね変形可能となっている。板ばね部51を折り返し部と称することもできる。
ブラケット33に筐体31が配置されない状態で、板ばね部51は第1接触部50bとX方向に対向する。また、ブラケット33に筐体31が配置されない状態で、板ばね部51と介在部50との対向距離が、下ケース63の板厚と受け部64の高さとの合計長さよりも短くなっている。このため、板ばね部51は、受け部64の突出先端に接触した状態、すなわち板ばね部51と介在部50との間で受け部64を挟んだ状態で、図21及び図22に破線矢印で示すように、対応する受け部64にばね変形(弾性変形)による反力を付与する。なお、板ばね部51は、受け部64に対応して、Z方向に所定の長さを有して設けられている。また、組み付け性向上のため、板ばね部51の接触面側に楔状や半球状など突起を設けてもよい。なお、受け部64の突出先端面に、楔状や半球状など突起を設けてもよい。さらには、受け部64の一部を突出高さが徐々に変化するテーパ状とし、ブラケット33に組み付け易くしてもよい。
ブラケット33は、図20、図21及び図23に示すように、支持部52も有している。支持部52は、Z方向からの投影視において、受け部64と重なるように設けられている。そして、ねじ(図示略)が、支持部52に設けられた貫通孔(図示略)を挿通し、受け部64に設けられたねじ孔(図示略)にねじ込まれて、筐体31が支持部52に固定されている。なお、筐体31が支持部52にねじ締結されない例を採用することもできる。この例では、筐体31が、支持部52に配置されるとともに、板ばね部51からの応力によってブラケット33に固定される。
本実施形態では、板ばね部51が折り返し構造をなしており、ブラケット33に対して筐体31をより強固に固定することができる。そのため、筐体31からブラケット33へ伝熱し易い。これによれば、筐体31が冷却され易く、筐体31を介して回路基板30からブラケット33へ伝熱し易い。したがって、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
なお、筐体31は3分割構造に限定されるものではない。たとえば2分割構造の筐体31に対して適用することもできる。この場合、2つの筐体構成部材の一方に受け部64が設けられることとなる。また、受け部64が設けられる位置も、下ケース63における対向面43bと反対の面上に限定されない。たとえば、筐体31の連結面43dに段差部を設け、この段差部を受け部64とすることもできる。本実施形態では、回路基板30が固定される中間ケース61に対して受け部64が離れて配置されているため、狭持により受け部64に作用する応力が、回路基板30に伝達され難い。
(第7実施形態)
本実施形態において、第6実施形態に示した電子制御装置20と共通する部分についての説明は割愛する。
第6実施形態では、一対の板ばね部51が、対応する受け部64に弾性変形による反力を付与する例を示した。これに対し、本実施形態では、一対の受け部69が、対応する折り返し部70に弾性変形による反力を付与する。図24は、図22に対応している。
図24に示すように、介在部50と折り返し部70との間で受け部69が挟まれた状態で、一対の受け部69は、弾性変形による反力を介在部50及び折り返し部70に付与するように設けられている。それ以外の構成は、第6実施形態と同じである。したがって、本実施形態においても、第6実施形態で示した変形態様を適用することができる。
一対の折り返し部70は、弾性変形機能を有していない点を除けば、第6実施形態の板ばね部51と基本的に同じ構成となっている。すなわち、折り返し部70は、介在部50のY方向両端からX方向において裏面43c側に延びるとともに、X方向において介在部50と対向するように、介在部50に対して折り返されている。具体的には、折り返し部70が介在部50と略平行となるように、折り返されている。このため、介在部50と折り返し部70とが、略コの字状(換言すれば略C字状)をなしている。また、折り返し部70と介在部50との対向距離は、所定距離とされている。この対向距離は、Z方向においてほぼ一定となっている。
一対の受け部69は、ゴムに、熱伝導性を高めるためのフィラーを混入してなる。ゴムとしては、たとえばシリコーンゴムを採用することができる。シリコーンゴムは、シリコンゴムとも称される。フィラーとしては、黒鉛、アルミニウム、銅、銀などの金属フィラー、酸化アルミニウムなどの酸化物や窒化物などの無機フィラー、表面が金属メッキされたフィラーなどを採用することができる。このように、受け部69は、ゴムを用いて形成されており、弾性変形機能を有している。
受け部69のX方向の高さは、延設部68の厚みとの長さの総和が、狭持前の状態で、折り返し部70と介在部50との対向距離よりも長くなるように設定されている。よって、折り返し部70が受け部69の突出先端に接触した状態、すなわち折り返し部70と介在部50との間で受け部69を挟んだ状態で、受け部69は、図24に破線矢印で示すように、対応する折り返し部70と介在部50に弾性変形による反力を付与する。なお、組み付け性向上のために、折り返し部70の接触面側に楔状や半球状など突起を設けてもよい。この場合、介在部50との対向距離は突起先端からの距離となる。また、受け部69の一部を突出高さが徐々に変化するテーパ状とし、ブラケット33に組み付け易くしてもよい。
本実施形態では、第6実施形態に示した電子制御装置20と同等の効果を奏することができる。なお、受け部69を構成するゴムには、熱伝導性を高めるためのフィラーが混入されているため、回路基板30の熱を、受け部69及び折り返し部70を介して、ブラケット33側に効率よく放熱させることもできる。したがって、回路基板30が高温となるのを効果的に抑制することができる。
弾性変形可能な受け部69としては、ゴムを用いたものに限定されない。金属ばねを用いることもできる。たとえば下ケース63上に金属ばねを固定し、金属ばねの突出先端に、たとえば樹脂製の接触部を設け、この接触部が折り返し部70と接触するようにしてもよい。また、ねじ34により、受け部69を支持部52に固定する場合、ねじ孔が形成される固定部分を金属で構成し、固定部分上にゴムの弾性変形部を固定して、受け部69としてもよい。また、筐体31の連結面43dに段差部を設け、この段差部をゴムを用いて形成された部材を固定することで、この部材を受け部69とすることもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態では、空気流通路80が2つの開口部を有する例を示したが、これに限定するものではない。空気流通路80が、3つ以上の開口部を有する例を採用することもできる。
また、上記実施形態では、空気流通路80がZ方向に沿って形成された例を示したが、これに限定するものではない。空気流通路80が屈曲形状とされた例を採用することもできる。
また、上記実施形態では、電子制御装置20が取り付けられる被取付部材として、車両10を採用する例を示したが、これに限定するものではない。被取付部材にブラケット33が取り付けられた状態で、空気排出口82が空気導入口81よりも上方に設けられる構成であれば、採用することができる。
また、上記実施形態では、ブラケット33が、介在部50と、板ばね部51と、支持部52と、トレイ部54と、を有する例を示したが、これに限定するものではない。ブラケット33は、車両10に取り付けられ、筐体31が固定された構成であれば、採用することができる。
また、上記実施形態では、ブラケット33全体が、金属材料を用いて形成された例を示したが、これに限定するものではない。ブラケット33の少なくとも一部が、樹脂材料を用いて形成された例を採用することもできる。また、1枚の金属板を所定形状に加工してブラケット33を構成する例を採用することもできる。
また、上記実施形態では、筐体31全体が金属材料を用いて形成された例、及び、筐体31の一部が金属材料を用いて形成された例を示したが、これに限定するものではない。筐体31全体が樹脂材料を用いて形成された例を採用することもできる。
また、上記実施形態では、バッテリ19がトレイ部54に配置された例を示したが、これに限定するものではない。バッテリ19とトレイ部54との間に、ブラケット33からバッテリ19への伝熱を抑制する断熱部材が設けられる例を採用することもできる。
また、本実施形態では、特許請求の範囲に記載の箱状部材として、バッテリ19を採用する例を示したが、これに限定するものではない。箱状部材としては、エンジン18、リレーボックス21、エアクリーナなどを採用することもできる。