JP2016192354A - ワイヤーハーネスの製造方法及びコネクタ保持部支持装置 - Google Patents

ワイヤーハーネスの製造方法及びコネクタ保持部支持装置 Download PDF

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Abstract

【課題】図板に載せなくても、コネクタに電線を挿入した部分完成品に分岐形成を施すことができ、且つ、製造の自由度を高めることができる技術を提供することを目的とする。【解決手段】ワイヤーハーネスの製造方法は、次に示す工程(a)と、工程(b)とを備える。工程(a)は、電線12が挿入された複数のコネクタ14が、前記電線12が垂れ下がる態様でそれぞれコネクタ保持部16に保持されると共に、前記コネクタ保持部16を鉛直方向に直交する第1の方向に複数支持可能な支持部が、前記第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように配置されたものを準備する工程である。工程(b)は、前記コネクタ保持部16に前記コネクタ14が保持された状態のままで、前記電線12のうち前記コネクタ14から垂れ下がる部分に分岐を形成する工程である。【選択図】図1

Description

この発明は、車両等に搭載されるワイヤーハーネスを製造する方法に関する。
特許文献1は、複数の電線を図板上で車両における布線経路に応じた状態に布線すると共に、前記布線経路に応じた形態に分岐させつつ結束することによってワイヤーハーネスを製造する方法を開示している。
しかしながら、特許文献1のように図板上で分岐形成をするには、コネクタに電線を挿入して回路が完成した部分完成品を図板に載せる必要が有り、手間がかかる。また、部分完成品を図板に載せる際に、電線同士が絡まる等の問題が発生する恐れがある。
ここで、特許文献2は、複数の縦レールに沿って複数本の電線を配索するハーネス整形装置を用いることで、図板に載せずに、ワイヤーハーネスの整形を行う方法を開示している。
特開2014−32840号公報 特開2008−192456号公報
しかしながら、特許文献2では、複数の縦レールにコネクタを1つずつ配置するため、コネクタが横一列に並んだ状態で、ワイヤーハーネスの整形が行われる。このため、製造可能なワイヤーハーネスは、両端のコネクタを結ぶ電線長によって左右される恐れがある。また、複雑な分岐の形状を形成できない恐れがある。
そこで、本発明は、図板に載せなくても、コネクタに電線を挿入した部分完成品に分岐形成を施すことができ、且つ、より多種多様な分岐形態に対応することができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、(a)電線が挿入された複数のコネクタが、前記電線が垂れ下がる態様でそれぞれコネクタ保持部に保持されると共に、前記コネクタ保持部を鉛直方向に直交する第1の方向に複数支持可能な支持部が、前記第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように配置されたものを準備する工程と、(b)前記コネクタ保持部に前記コネクタが保持された状態のままで、前記電線のうち前記コネクタから垂れ下がる部分に分岐を形成する工程と、を備える。
第2の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、第1の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、前記工程(b)において、前記コネクタ保持部は、複数の前記コネクタ保持部同士間で相対移動可能に配置される。
第3の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、第1又は第2の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、前記工程(a)において、前記コネクタ保持部は、棒状に形成されたコネクタバーに直接的又は間接的に、且つ、前記コネクタバーの長手方向に沿って摺動可能に取り付けられており、前記コネクタバーがその長手方向に直交する方向に沿って複数設けられている。
第4の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、第3の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、前記コネクタ保持部は、前記コネクタバーに前記コネクタバーの長手方向に沿って摺動可能に取り付けられたコネクタ保持部取付部に、前記コネクタバーの長手方向に直交する方向に沿って摺動可能に取り付けられている。
第5の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、第3又は第4の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、複数の前記コネクタバー同士が、その整列する方向に沿って相対移動可能に配置されている。
第6の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、第3から第5のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、前記電線を前記コネクタに挿入する際に、前記コネクタが前記コネクタバーに保持されており、電線挿入に用いた前記コネクタバーがそのまま分岐形成に用いられる。
第7の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、第1から第6のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、前記工程(b)において、前記コネクタから垂れ下がる前記電線の画像データを取得し、前記画像データを処理することで、前記コネクタからの距離を計測し、分岐を形成する位置を決定する。
第8の態様に係るコネクタ保持部支持装置は、コネクタを保持可能な複数のコネクタ保持部を、前記コネクタ保持部に保持された前記コネクタから延出する電線が垂れ下がる態様で直接的又は間接的に支持可能な支持部を複数備え、前記支持部は、前記コネクタ保持部を鉛直方向に直交する第1方向に複数支持可能であるとともに、複数の前記支持部が前記第1方向に直交する第2方向に沿って並ぶように設けられている。
第1から第7の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、電線が挿入された複数のコネクタが、電線が垂れ下がる態様でそれぞれコネクタ保持部に保持された状態のままで、電線のうちコネクタから垂れ下がる部分に分岐を形成するため、図板に載せなくても、コネクタに電線を挿入した部分完成品に分岐形成を施すことができる。この際、コネクタ保持部を鉛直方向に直交する第1の方向に複数支持可能な支持部が、第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように配置されているため、より多種多様な分岐形態に対応することができる。
特に、第2の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、工程(b)において、コネクタ保持部が複数のコネクタ保持部同士間で相対移動可能に配置されるため、コネクタ同士の相対的な位置関係を調整しやすい。特に、分岐形成の際等に、コネクタの配列を車両での配列により近づけることができる。これにより、車両に搭載される際の形状により近い形状のワイヤーハーネスを得ることができる。
特に、第3の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、工程(a)において、コネクタ保持部は、棒状に形成されたコネクタバーに直接的又は間接的に、且つ、コネクタバーの長手方向に沿って摺動可能に取り付けられているため、コネクタ同士の相対的な位置関係を調整しやすい。また、コネクタバーがその長手方向に直交する方向に沿って複数設けられているため、コネクタ保持部を、電線挿入方向から見て2次元状に配置することが容易となる。これらにより、車両に搭載される際の形状により近い形状のワイヤーハーネスを得ることができる。
特に、第4の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、コネクタ保持部は、コネクタバーにコネクタバーの長手方向に沿って摺動可能に取り付けられたコネクタ保持部取付部に、コネクタバーの長手方向に直交する方向に沿って摺動可能に取り付けられているため、コネクタ同士の相対的な位置関係を調整しやすい。また、コネクタバーからコネクタまでの位置を、コネクタから分岐を形成する位置までの距離に対応させることで、作業者により分岐が形成される場合等に作業者が分岐を形成する位置を特定しやすくなる。
特に、第5の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、複数のコネクタバー同士が、その整列する方向に沿って相対移動可能に配置されているため、コネクタ同士の相対的な位置関係を調整しやすい。これにより、車両に搭載される際の形状により近い形状のワイヤーハーネスを得ることができる。
特に、第6の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、電線をコネクタに挿入する際に、コネクタがコネクタバーに保持されており、電線挿入に用いたコネクタバーがそのまま分岐形成に用いられる。つまり、電線挿入から分岐形成に至るまで、同じコネクタバーが用いられる。これにより、電線挿入作業から分岐形成作業に移る際にコネクタを載せ替えることにより生じる工数の増加を抑制することができる。
特に、第7の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、工程(b)において、コネクタから垂れ下がる電線の画像データを取得し、当該画像データを処理することで、コネクタからの距離を計測し、分岐を形成する位置を決定するため、分岐形成に係る作業の自動化を図ることができる。
第8の態様に係るコネクタ保持部支持装置によると、コネクタを保持可能な複数のコネクタ保持部を、コネクタ保持部に保持されたコネクタから延出する電線が垂れ下がる態様で直接的又は間接的に支持可能な支持部を複数備えるため、電線のうち垂れ下がる部分に分岐を形成することによって、図板に載せなくても、コネクタに電線を挿入した部分完成品に分岐形成を施すことができる。また、コネクタ保持部を鉛直方向に直交する第1方向に複数支持可能であるとともに、複数の支持部が第1方向に直交する第2方向に沿って並ぶように設けられているため、製造の自由度を高めることができる。
実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の流れ作業図である。 実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法によって製造されるワイヤーハーネスの一例を平面に展開した図である。 コネクタ保持部支持装置を示す斜視図である。 コネクタ保持部支持装置を示す概略側面図である。 図3の部分拡大図である。 電線挿入装置を示す概略斜視図である。 電線を挿入する動作を説明するための図である。 電線を挿入する動作を説明するための図である。 電線を挿入する動作を説明するための図である。 電線を挿入する動作を説明するための図である。 電線群加工装置を示す概略図である。 電線に分岐を形成する動作を説明するための図である。 電線に分岐を形成する動作を説明するための図である。 電線に分岐を形成する動作を説明するための図である。 電線に分岐を形成する動作を説明するための図である。 電線に分岐を形成する動作を説明するための図である。 変形例に係るワイヤーハーネスの製造方法を説明するための図である。 別の変形例に係るワイヤーハーネスの製造方法を説明するための図である。 さらに別の変形例に係るワイヤーハーネスの製造方法を説明するための図である。 電線の中間部分が支持されている様子を説明するための図である。
{実施形態}
以下、実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法について説明する。ここでは、まず、図1を用いて、実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の全体の流れについて説明した後、各作業について詳述する。図1は、実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法の流れ作業図である。
実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法において、まずは、複数のコネクタ14と、複数のコネクタ保持部16と、コネクタ保持部支持装置20とを準備する。コネクタ保持部16は、コネクタ14を少なくとも1つ保持可能に形成されている。コネクタ保持部支持装置20は、コネクタ保持部16を複数支持可能に形成されている。そして、コネクタ保持部支持装置20にコネクタ保持部16をセットすると共に、コネクタ保持部16にコネクタ14をセットする。
次に、コネクタ14がセットされたコネクタ保持部支持装置20を電線挿入装置30に搬送し、コネクタ保持部支持装置20にセットされたコネクタ14に電線12を挿入する。
次に、それぞれのコネクタ14に所定の電線12が挿入されたコネクタ保持部支持装置20を電線群加工装置50に搬送し、電線12に分岐を形成し、ワイヤーハーネス10をなす。ここで、コネクタ14に電線12を挿入した時点では、各電線12はバラバラに延在している。電線群加工装置50は、このバラバラに延在する複数の電線12を、敷設経路に沿った形態で分岐させた状態に維持する作業を行う。なお、各図において、同じ経路を通る電線12は、1本の線で描かれている。このため、各図において、1本の線で描かれた電線12は、実際には、複数の電線12の束であることがあり得る。
ここで、実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法によって製造されるワイヤーハーネス10について、図2を交えて説明する。図2は、実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法によって製造されるワイヤーハーネス10の一例を平面に展開した図である。
加工対象となるワイヤーハーネス10は、複数の電線12が分岐しつつ結束された構成とされている。ワイヤーハーネス10の各分岐先では、電線12がコネクタ14に挿入接続されている。本ワイヤーハーネス10が車両に組込まれた状態で、各コネクタ14が車両に搭載された各種電気部品に接続される。これにより、ワイヤーハーネス10は、車両に搭載された各種電気部品を電気的に接続する役割を果す。ワイヤーハーネス10に含まれる電線12は、車両における敷設経路に応じた形態で分岐されつつ結束される。
電線12は、銅又はアルミニウムなどの金属を主成分とする線材である芯線と、芯線の周囲を覆う絶縁被覆とを備える。絶縁被覆は、例えば、ポリエチレン、塩化ビニル又はポリアミド系ナイロンなどを主成分とする合成樹脂の部材である。
上述したように、電線12の端部には、コネクタ14が接続される。電線12は、例えば、その端部に圧着又は溶接などによって接続された端子を介してコネクタ14に接続される。なお、端子は、例えば、銅又はスズなどの金属を主成分とする金属の部材である。
コネクタ14の本体部は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの絶縁性の樹脂材料で一体成型されている。コネクタ14の本体部には、電線12が接続される主面において複数のキャビティ141が形成される(図5参照)。
キャビティ141は、電線12の端部(例えば端子)を収容する開口構造である。キャビティ141は、コネクタ14の本体部の主面に対し例えば略垂直な方向に一定の深さを有しており、キャビティ141内に収容された電線12は、キャビティ141内の所定の深さ位置に位置決めされた状態で保持される。キャビティ141の数は、電線12の本数に対応して設けられていることが望ましいが、特にそのような数に限定されるものではない。本実施形態においては、縦横合わせて6つのキャビティ141が設けられているが、複数のキャビティ141が設けられていればよい。また、各キャビティ141の深さ及び幅は同一である必要はなく、異なる深さ及び幅を有するキャビティ141が含まれていてもよい。
キャビティ141内に電線12が保持された状態のコネクタ14は、例えば、主面とは反対側の面から相手側コネクタと接続される。
ここでは、例として、図2に示されるように分岐するワイヤーハーネス10を製造するものとして説明する。もちろん、これ以外の分岐形態を有するワイヤーハーネス10を製造するものであってもよい。ワイヤーハーネス10は、幹線部121の一方側端部から2つの枝線部122が延びると共に幹線部121の他方側端部から3つの枝線部122が延び、幹線部121の中間部分から1本の枝線部122が延びている。この際、各枝線部122の端部にはコネクタ14が接続されている。以降、各コネクタ14について、特に区別が必要な場合は、コネクタ14a〜14fと称する。
ここで、分岐部分は、コネクタ14に近い側から順に一次分岐、二次分岐と呼ばれることがある。つまり、一次分岐とは、コネクタ14から延出する電線12のうちそれよりコネクタ14側に分岐が形成されない部分同士を集合させて形成される分岐である。また、二次分岐とは、一次分岐が形成された部分間で、それより一次分岐側に分岐が形成されない部分に形成される分岐である。
具体的には、図2に示されるワイヤーハーネス10において、幹線部121からコネクタ14a、14bに連なる枝線部122が分岐する部分(分岐位置P1)及び幹線部121からコネクタ14d、14e、14fに連なる枝線部122が分岐する部分(分岐位置P2)が一次分岐の部分である。また、図2に示されるワイヤーハーネス10において、幹線部121からコネクタ14cに連なる枝線部122が分岐する部分(分岐位置P3)が二次分岐の部分である。
なお、ワイヤーハーネス10によっては、一次分岐のみが設けられる場合もあり得る。また、三次以降の分岐が設けられる場合もあり得る。
<コネクタ保持部支持装置20>
次に、コネクタ保持部16を保持するコネクタ保持部支持装置20について、図3〜図5を交えて説明する。図3は、コネクタ保持部支持装置20を示す斜視図である。図4は、コネクタ保持部支持装置20を示す概略側面図である。図5は、図3の部分拡大図である。なお、図5では、コネクタ保持部16にコネクタ14が支持されると共にコネクタ14に電線12が挿入された図が描かれている。
ここでは、コネクタ保持部支持装置20は、支持部を複数備える。支持部は、複数のコネクタ保持部16を、コネクタ保持部16に保持されたコネクタ14から延出する電線12が垂れ下がる態様で直接的又は間接的に支持可能に設けられている。支持部は、コネクタ保持部16を鉛直方向に直交する第1方向に複数支持可能であるとともに、複数の支持部が第1方向に直交する第2方向に沿って並ぶように設けられている。
より具体的には、ここでは、コネクタ保持部支持装置20は、フレーム22と、コネクタバー取付部24と、コネクタバー26とを備える。さらにここでは、コネクタ保持部支持装置20は、コネクタ保持部取付部28を備える。ここでは、コネクタバー26が上記支持部である例について説明する。
フレーム22は、コネクタバー取付部24を支持可能に形成されている。より詳細には、フレーム22は、一対の第1棒状部221と、一対の第1棒状部221を連結する第2棒状部222と、一対の第1棒状部221の長手方向一方端部にそれぞれ設けられた第3棒状部223とを含む。第1棒状部221は、鉛直方向に沿って延びるように設けられている。第2棒状部222は、一対の第1棒状部221の長手方向中間部分のうち一方端部側寄りの部分を連結している。また、第2棒状部222は、第1棒状部221の長手方向に直交する方向に延在している。第3棒状部223は、第1棒状部221の長手方向一方端部の先端から両側方であって、第1棒状部221の長手方向及び第2棒状部222の長手方向に直交する方向に延びるように設けられている。第3棒状部223の下面には、一対のキャスタ224が設けられている。これにより、コネクタ保持部支持装置20は移動自在とされている。
なお、以降では便宜上、図3における第2棒状部222が延びる方向をx軸方向、第3棒状部223が延びる方向をy軸方向、第1棒状部221が延びる方向をz軸方向と呼ぶ場合がある。この際、ここでは、z軸方向が鉛直方向に沿った方向であり、x軸方向及びy軸方向が水平方向に沿った方向であるものとして説明する。
コネクタバー取付部24は、フレーム22に取り付けられ、コネクタバー26を支持可能に形成されている。より詳細には、コネクタバー取付部24は、連結部241と第1レール部242とを含む。
連結部241は、短尺の棒状に形成され、一対の第1棒状部221の長手方向他方端部側にそれぞれ連なっている。この際、連結部241は、第1棒状部221から第1棒状部221の長手方向に交差する方向(y軸方向)に突出するように連結されている。
第1レール部242は、一対の連結部241の先端側にそれぞれ連なっている。ここでは、第1レールの中間部分が連結部241に取り付けられている。
また、ここでは、コネクタバー取付部24は、フレーム22に対して回動可能とされている。より詳細には、ここでは、図4に示すように、連結部241と第1レール部242とが回動可能に連結されている。フレーム22に対するコネクタバー取付部24の回動範囲は、適宜定められていればよい。好ましくは、第1レール部242が、第1レール部242の長手方向が鉛直方向に沿った状態から水平方向に沿った状態までの範囲内で姿勢変形可能であるとよい。
コネクタバー26は、コネクタバー取付部24に取り付けられ、コネクタ保持部16を支持可能に形成されている。より詳細には、ここでは、コネクタバー26は、第2レール部261と第3レール部262とを含む。
第2レール部261は、棒状に形成され、一対の第1レール部242にそれぞれ取り付けられている。ここでは、第2レール部261は、第1レール部242の長手方向及び一対の第1レール部242を結ぶ方向に直交する方向(図2では、y軸方向)に延びるように、第2レール部261の長手方向一方端部側の側面が第1レール部242に取り付けられている。また、第2レール部261は、第1レール部242に対して、第1レール部242の長手方向に沿って位置を変更可能に設けられている。ここでは、第2レール部261は、第1レール部242に対して、第1レール部242の長手方向に沿って摺動可能に設けられている。なお、第2レール部261が第1レール部242に対して摺動可能となる構成について、他の摺動する各部材が摺動可能となる構成と合わせて、詳しくは後述する。
第3レール部262は、棒状に形成され、一対の第2レール部261の間に介在するように、その両端部側が一対の第2レール部261にそれぞれ取り付けられている。第3レール部262は、x軸方向に沿って延在している。第3レール部262は、第2レール部261に対して、第2レール部261の長手方向に沿って位置を変更可能に設けられている。ここでは、第3レール部262は、第2レール部261に対して、第2レール部261の長手方向に沿って摺動可能に設けられている。
コネクタバー26は、その長手方向に直交する方向(図2では、z軸方向)に沿って複数(ここでは、2つ)設けられている。ここでは、2つのコネクタバー26がコネクタバー取付部24に取り付けられている。ここでは、2つのコネクタバー26は、コネクタバー取付部24に対して同じ側に出っ張るように、つまり、第1レール部242に対して第2レール部261が同じ側(図2では、y軸方向負の側)に突出するように、取り付けられているが、このことは必須ではない。2つのコネクタバー26がコネクタ14取付部に対して互いに反対側(図2において、y軸方向正の側及び負の側)に出っ張るように取り付けられていてもよい。
なお、コネクタバー26の数は変更可能であることが好ましい。ここでは、コネクタバー26は、コネクタバー取付部24に着脱可能に取り付けられている。これにより、コネクタバー26の数は、製造するワイヤーハーネスの形状等に応じて適宜設定可能となる。
コネクタバー26には、コネクタ保持部16が、直接的又は間接的に取り付けられている。ここでは、コネクタ保持部16は、コネクタ保持部取付部28を介して、間接的にコネクタバー26に取り付けられているものとして説明する。
コネクタ保持部取付部28は、コネクタバー26にコネクタバー26(第3レール部262)の長手方向(x軸方向)に沿って摺動可能に取り付けられている。より詳細には、コネクタ保持部取付部28は、第4レール部281と、突出部282とを含む。
第4レール部281は、長尺平板状に形成されている。第4レール部281の一方主面には、コネクタ保持部16が取り付けられる。また、第4レール部281の他方主面は、長手方向一方端部側で第3レール部262に取り付けられる。
突出部282は、第4レール部281の長手方向一方側端部の先端から第4レール部281の他方主面側に突出するように平板状に形成されている。このため、コネクタ保持部取付部28は、側面視略L字状に形成されている。突出部282の主面のうち、第4レール部281の他方端部側を向く主面は、第3レール部262に取り付けられる。
また、コネクタ保持部取付部28は、コネクタバー26に着脱可能に取り付けられている。
<コネクタ保持部>
ここで、コネクタ14を保持するコネクタ保持部16について説明する。
コネクタ保持部16は、コネクタ14を保持可能に形成されている。より具体的には、コネクタ保持部16は、ここでは、略直方体状に形成され、その一方主面にコネクタ14が嵌る凹部161が形成されている。凹部161の内周面は、コネクタ14の外周面に沿った形状に形成され、コネクタ14を精度よく位置決め可能であることが好ましい。この際、複数のコネクタ保持部16は、保持したいコネクタ14の形状に合わせて適宜設定されるとよい。
コネクタ保持部16は、上述したように、コネクタバー26に直接的又は間接的に取り付けられている。この際、コネクタ保持部16は、コネクタバー26にコネクタバー26の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられている。これにより、コネクタ14同士の相対的な位置関係を調整しやすくなる。また、コネクタ保持部16は、コネクタバー26に着脱可能に取り付けられている。これにより、コネクタ保持部16の数を、製造するワイヤーハーネス10に応じて適宜設定可能となる。また、製造するワイヤーハーネス10に応じてコネクタ14の形状に合ったコネクタ保持部16を取り付けることが可能となる。
ここでは、コネクタ保持部16は、コネクタ保持部取付部28を介して、間接的にコネクタバー26に取り付けられている。つまり、ここでは、コネクタ保持部取付部28がコネクタバー26にコネクタバー26の長手方向(x軸方向)に沿って摺動可能に取り付けられていることによって、コネクタ保持部16が、コネクタバー26の長手方向(x軸方向)に沿って摺動可能とされる。また、コネクタ保持部16は、コネクタ保持部取付部28に着脱可能に取り付けられていることによって、コネクタバー26に対して着脱可能とされる。
また、ここでは、コネクタ保持部16は、コネクタ保持部取付部28に、コネクタバー26の長手方向に直交する方向(図2では、y軸方向)に沿って摺動可能に取り付けられている。ここでは、コネクタ保持部16は、第4レール部281に対して第4レール部281の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられている。
ここで、各部材間で摺動可能となるための構成について説明する。各部材間で摺動可能となるための構成としては、例えば、相対的に摺動する一対の部材のうちの一方の部材に溝が形成され、他方の部材が当該溝に嵌まると共に当該溝に沿って摺動することが考えられる。この際、他方の部材は、一方の部材に対して直接取り付けられ、摺動してもよいし、別部材を介して取り付けられ、摺動してもよい。別部材としては、他方の部材に取り付け可能であって、溝に嵌まって溝に沿って摺動可能なスライダ部材等が考えられる。ここでは、溝が形成されることで、各部材が摺動可能であるものとして説明する。
即ち、第1レール部242に対して第2レール部261が摺動可能となるための構成として、第1レール部242は、断面長方形状の棒状に形成されると共に1つの側面に長手方向(図2では、z軸方向)に沿って溝242aが形成されている。ここでは、第1レール部242の側面のうち一対の第1レール部242が互いに対向する側面(x軸方向を向く側面)に溝242aが形成されている。そして、第2レール部261の一部が当該溝242aに嵌まって当該溝242aに沿って摺動する。
同様に、第2レール部261に対して第3レール部262が摺動可能となるための構成として、第2レール部261は、断面長方形状の棒状に形成されると共に1つの側面に長手方向(図2では、y軸方向)に沿って溝261aが形成されている。ここでは、第2レール部261の側面のうち一対の第2レール部261が互いに対向する側面(x軸方向を向く側面)に溝261aが形成されている。そして、第3レール部262の一部が当該溝261aに嵌まって当該溝261aに沿って摺動する。
また、第3レール部262に対してコネクタ保持部取付部28が摺動可能であるための構成として、第3レール部262は、断面長方形状の棒状に形成されると共に2つの側面に長手方向(x軸方向)に沿って溝262aが形成されている。ここでは、第3レール部262の側面のうち、第1レール部242が鉛直方向に沿った姿勢を取った際に、鉛直方向上向きの側面と、水平方向に沿って第2レールの先端側を向く側面にそれぞれ溝262aが形成されている。そして、コネクタ保持部取付部28の一部が当該溝262aに嵌まって当該溝262aに沿って摺動する。
また、第4レール部281に対してコネクタ保持部16が摺動可能であるための構成として、ここでは、長尺平板状に形成された第4レール部281の一方主面に長手方向(図2では、y軸方向)に沿って溝281aが形成されている。そして、コネクタ保持部16の一部が当該溝281aに嵌まって当該溝281aに沿って摺動する。
互いに摺動する各部材は、摺動する軌道に沿った任意の位置又は所定の位置で固定可能であることが好ましい。互いに摺動する各部材が、摺動する軌道に沿った任意の位置又は所定の位置で固定可能であるための構成としては、例えば、ボルトとナットとを採用することができる。つまり、相対的に摺動する一対の部材が固定したい位置に到達したら、ボルトとナットとを締めて固定する。また、一対の部材を相対的に摺動させたい場合は、ボルトとナットとを緩めることで摺動可能となる。この際、例えば、ボルト穴の幅が溝に沿って溝と同様に長尺状に設けられていれば、互いに摺動する各部材を任意の位置で固定可能となる。また、例えば、ボルト穴が溝に沿って点在するように設けられていれば、互いに摺動する各部材を所定の位置で固定可能となる。
もっとも、互いに摺動する各部材が、摺動する軌道に沿った任意の位置又は所定の位置で固定可能であるための構成としては、ボルトとナットとに限られるものではない。例えば、相対的に摺動する一対の部材の一方に操作部と操作部に連動して引っ込む突起とが設けられる構成が考えられる。つまり、一対の部材を相対的に摺動させたい場合は、操作部を操作して突起を引っ込めることで摺動可能となる。そして、相対的に摺動する一対の部材が固定したい位置に到達したら、操作部を離して、突起を突出させることで固定可能となる。
<コネクタ支持動作>
コネクタ保持部支持装置20にコネクタ保持部16を支持させるとともに、コネクタ保持部16にコネクタ14を保持させる作業は、特定の治具などによって行われてもよいし、作業者の手によって行われてもよい。この際、コネクタ保持部支持装置20にコネクタ保持部16を支持させる作業とコネクタ保持部16にコネクタ14を保持させる作業とは、どちらか一方が先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
ここでは、1つの一次分岐に連なる3つ以上のコネクタ14が、電線12の挿入方向から見て2次元状に配列されているものとして説明する。この際、当該3つ以上のコネクタ14は、車両搭載時の相対的な位置関係に近い配列に設定されているとよい。これにより、分岐形成後に、当該1つの一次分岐に連なる3つ以上のコネクタ14の相対的な位置関係を直す必要がなくなる。このため、1つの一次分岐に連なる3つ以上のコネクタ14の相対的な位置関係を直す際に生じる電線12のねじれ等の発生を抑制することができる。
具体的には、図2に示されるように、ここでは、コネクタ14d、14e、14fが1つの一次分岐に連なっている。この3つのコネクタ14d、14e、14fのうち2つのコネクタ14(ここでは、コネクタ14e、14f)を一方のコネクタバー26に支持させ、残りの1つのコネクタ14(ここでは、コネクタ14d)を他方のコネクタバー26に支持させる(図11参照)。つまり、コネクタ保持部支持装置20において、コネクタ14a、14b、14dをそれぞれ保持するコネクタ保持部16が一方のコネクタバー26に支持され、コネクタ14c、14e、14fをそれぞれ保持するコネクタ保持部16が他方のコネクタバー26に支持される。
もっとも、コネクタ14の配列は上記したものに限られない。例えば、後述する変形例のように、1つの一次分岐に連なる3つ以上のコネクタ14が電線12の挿入方向から見て1次元状に配列されていてもよい。また、コネクタ14の配列が上記した配列になる場合であっても、上記したコネクタ14の配列は、分岐形成時にその配列であればよく、電線挿入の際には、上記配列でなくとも構わない。つまり、電線挿入の際には、例えば、コネクタ14の配列が電線12の絡みにくい配列に設定され、電線挿入後にコネクタ14の配列が上記配列に直されてもよい。
コネクタ保持部16が取り付けられた上記コネクタ保持部支持装置20は、電線挿入装置30に送られる。そして、電線挿入装置30によってコネクタ保持部支持装置20に取り付けられたコネクタ14に電線12が挿入される。
<電線挿入装置30>
次に、コネクタ14に電線12を挿入する電線挿入装置30について、図6を参照しつつ説明する。図6は、電線挿入装置30を示す概略斜視図である。
ここでは、電線挿入装置30は、鉛直方向下方側から鉛直方向上向きに電線12を挿入するものとして説明する。このため、コネクタ14は、そのキャビティ141の開口が鉛直方向下方を向くようにコネクタ保持部支持装置20に支持されている。ここでは、図4の仮想線(二点鎖線)に示されるように、第1レール部242の長手方向が水平方向に沿う姿勢にすることで、コネクタ保持部支持装置20に取り付けられたコネクタ14が鉛直方向下方を向く。この際、図6に示されるように、コネクタ14は、コネクタバー26に対して1箇所に集められるとよい。これにより、自動機を用いて電線12を挿入しやすくなる。
具体的には、電線挿入装置30は、電線挿入機構32と、電線固定機構40とを備える。なお、本実施形態においては、電線挿入機構32と、電線固定機構40とは、1つの支持体48に組み込まれる態様で設けられているが、そのような態様に限られるものではない。
電線固定機構40は、電線12を固定する電線固定部42と、電線固定部42を移動させる移動機構44とを備える。
移動機構44は、リニアモータ、ネジ軸とネジ軸を回転駆動するモータとネジ軸に螺合されたナット部とを有する直線駆動機構、あるいは、エアシリンダ又は油圧シリンダなどのリニアアクチュエータによって構成される。移動機構44は、略水平方向に延びて設けられ、かつ、電線固定部42を支持する第1駆動部44aと、第1駆動部44aとは直交する方向に延びて設けられる第2駆動部44bとを備える。
電線固定部42は、第1駆動部44aによって第1駆動部44aが延びる方向(ここでは、x軸方向)において移動される。第2駆動部44bは、略鉛直方向で、かつ、第1駆動部44aとは直交する方向(ここでは、z軸方向)に延びて設けられる。
また、第2駆動部44bは、第1駆動部44aの端部に設けられ、第1駆動部44aを第2駆動部44bが延びる方向(ここでは、y軸方向)において移動させる。なお、第2駆動部44bは、第1駆動部44aの両端部にそれぞれ設けられていてもよく、その場合には、それぞれの第2駆動部44bは連動して駆動し、第1駆動部44aが延びる方向と第2駆動部44bが延びる方向とが直交する関係が維持されるように制御される。
上記のような構造により、電線12を固定する電線固定部42は、x軸方向及びz軸方向に移動することができる。なお、さらに、第2駆動部44bの端部に設けられ、y軸方向に延びる第3駆動部が備えられれば、電線固定部42はy軸方向にも移動することができる。本実施形態では、後述する電線挿入機構32における第2駆動部36cを、当該第3駆動部として流用することができる。
電線固定部42は、略水平方向を向く側面において、通常、複数本の電線12を固定する。電線固定部42の具体的な構造としては、例えば、電線12を固定する側面において、電線12が挟まれる程度の幅を有する溝が形成される弾性体などからなる構造が想定される。電線固定部42において、電線12は、例えば、略鉛直下向きに垂れ下がった状態で固定される。
電線挿入機構32は、電線12を挿入させる電線挿入部34と、電線挿入部34を移動させる移動機構36とを備える。
移動機構36は、上記と同様にリニアアクチュエータによって構成される。移動機構36は、略水平方向に延びて設けられる第1駆動部36aと、第1駆動部36aによって支持されて設けられる可動部36bと、第1駆動部36aとは直交する方向に延びて設けられる第2駆動部36cとを備える。
可動部36bは、第1駆動部36aによって第1駆動部36aが延びる方向(すなわちx軸方向)において移動される。第2駆動部36cは、略水平方向で、かつ、第1駆動部36aとは直交する方向(すなわちy軸方向)に延びて設けられる。
また、第2駆動部36cは、第1駆動部36aの端部に設けられ、第1駆動部36aを第2駆動部36cが延びる方向において移動させる。なお、第2駆動部36cは、第1駆動部36aの両端部にそれぞれ設けられていてもよく、その場合には、それぞれの第2駆動部36cは連動して駆動し、第1駆動部36aが延びる方向と第2駆動部36cが延びる方向とが直交する関係が維持されるように制御される。
また、可動部36bは、第1駆動部36aによって支持されて設けられる第1可動部361と、第1可動部361によって支持されて設けられる第2可動部362とを備える。
第2可動部362は、例えば、第1可動部361の略水平方向を向く側面に設けられる。第2可動部362は、第1可動部361に対してy軸方向に移動可能である。当該移動は、例えば、第1可動部361に搭載されるリニアアクチュエータによって実現される。
電線挿入部34は、例えば、第2可動部362の、第1可動部361に支持されている面とは反対側の面に設けられる。電線挿入部34は、第2可動部362に対してz軸方向に移動可能である。当該移動は、例えば、第2可動部362に搭載されるリニアアクチュエータによって実現される。
また、電線挿入部34は、第2可動部362によって支持され、y軸方向に延びて設けられる腕部34aと、腕部34aの端部に設けられる把持部34bとを有する。把持部34bは、例えば一対の棒状の部材であり、少なくとも一方が他方に対し接近又は離間するように駆動することができる。
上記のような構造により、電線12を挿入する電線挿入部34は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向に移動することができる。
また、本実施形態では、電線挿入機構32及び電線固定機構40の移動方向が、便宜上、xyz軸方向に沿うものとして記載されているが、これらは例示であって、特にこれらに限られるものではない。すなわち、それぞれの機構が3次元空間内を移動できればよく、例えば、直交座標系によらない移動方向が定義される場合及び各機構で異なる移動方向が定義される場合であってもよい。
また、本実施形態に関する電線挿入装置30は、本装置の全体動作制御を司る挿入制御部31を備える。挿入制御部31は、CPU、ROM及びRAMなどを備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、本装置の各駆動部に接続されている。そして、挿入制御部31は、あらかじめ格納されたソフトウェアプログラムにしたがって、後述する電線12を挿入する動作を含む動作を制御する構成である。
<電線挿入動作>
次に、図6に加えて図7から図10を参照しつつ、本実施形態に関する電線挿入装置30の動作を説明する。図7から図10は、本実施形態に関する電線挿入装置30の、電線12を挿入する動作を説明するための図である。以下に示される動作は、上記の挿入制御部により、リニアアクチュエータを含む各駆動部の駆動が制御されることによって行われるものとして説明する。
まず、電線固定部42の側面において電線12が固定されるとともに、コネクタ14が取り付けられたコネクタ保持部支持装置20が電線挿入装置30に対して所定の位置に設置される。電線固定部42への電線12の固定は、特定の治具などによって行われてもよいし、作業者の手によって行われてもよい。図6に示されるように、電線固定部42において、電線12は、例えば、略鉛直下向きに垂れ下がった状態で固定される。また、コネクタ保持部支持装置20が電線挿入装置30に対して所定の位置に設置されることによって、コネクタ14の主面が水平方向よりも下を向く姿勢で支持されるため、コネクタ14の主面におけるキャビティ141の開口も水平方向よりも下を向くこととなる。
次に、電線挿入部34における把持部34bが、電線固定部42において固定された電線12の端部を把持する。当該動作に際しては、まず、第1駆動部36a及び第2駆動部36cを駆動させることによって、電線挿入部34をxy平面における電線固定部42が配置された箇所まで移動させる。このとき、移動機構44を駆動させて、電線固定部42を移動させてもよい。さらに、第1可動部361に搭載されたリニアアクチュエータ及び第2可動部362に搭載されたリニアアクチュエータを駆動させて微調整することによって、電線挿入部34における把持部34bを、電線固定部42に固定された電線12を把持できる位置まで移動させる。その状態で、一対の把持部34bが相対的に接近するように駆動することによって、図7に示されるように、把持部34bが電線12の端部を把持する。把持された電線12は、把持された箇所から略鉛直下向きに垂れ下がって保持される。
次に、図8さらには図9に示されるように、電線挿入部34を移動させる移動機構36を駆動させることにより、把持部34bに把持された電線12の鉛直方向の上方の端部をコネクタ14に設けられたキャビティ141の開口前方に位置させる。そして、図10に示されるように、第2可動部362に搭載されたリニアアクチュエータを主に駆動させることにより、電線12の端部をキャビティ141の開口内へ挿入する。このとき、電線12がキャビティ141の深さ方向に沿ってキャビティ141内に挿入されるように、電線挿入部34の腕部34a及び把持部34bを移動させる。例えば、コネクタ14の主面が鉛直下向きである場合には、z軸方向に沿って電線挿入部34の腕部34a及び把持部34bを移動させることとなる。このような動作によって、把持部34bに把持された電線12が、キャビティ141内に挿入される。
上記のような動作を繰り返すことで、複数のキャビティ141に対し、順次電線12を挿入することができる。そして、コネクタ保持部支持装置20に取り付けられたコネクタ14に所定の電線12が挿入されたら、コネクタ保持部支持装置20は、電線群加工装置50に送られる。電線群加工装置50によって、コネクタ14から垂れ下がる電線12に分岐が形成される。
<電線群加工装置50>
次に、コネクタ14から垂れ下がる電線12に分岐を形成する電線群加工装置50について、図11を参照しつつ説明する。図11は、電線群加工装置50を示す概略図である。なお、図11から図18では、コネクタ保持部16及びコネクタ保持部取付部28が省略されている。
電線群加工装置50は、加工ロボット60と、加工制御部52と、画像取得システム70とを備える。
加工ロボット60は、一般的な産業用ロボットであり、図11では、一般的な垂直多関節ロボットが図示されている。加工ロボット60は、ロボットアーム62と、ロボットアーム62の先端部に設けられた加工作業部64とを備える。ロボットアーム62は、複数のアーム部が関節機構を介して軸周りに回転可能に連結された構成とされており、その先端部に加工作業部64が設けられている。この加工ロボット60は、ロボットアーム62を動作させることによって、加工作業部64を、電線群加工装置50に対して設置されたコネクタ保持部支持装置20の任意の位置に任意の姿勢で移動させることができる。
加工作業部64は、電線12に対する分岐形成を含む加工を行う部分である。ここでは、分岐形成として、電線12の延在方向の所定位置を一定位置に集約させる(複数の電線12の延在方向中間位置を束ねる)加工、及び、電線12を集約させた状態を維持する加工が行われる。ここでは、電線12を集約させた状態を維持する加工として、複数の電線12を結束する(例えば、粘着テープを巻付ける)加工が行われるものとして説明する。
前者の加工を行うためには、加工作業部64として、電線12を掴んで一定位置に移動させたり、複数の電線12を寄せ集めるように掴んだりすることが可能な周知のロボットハンドを用いることができる。後者の加工を行うためには、加工作業部64として、周知のテープ自動巻機を用いることができる。
複数種の加工作業を行うため、加工ロボット60が複数備えられてもよいし、或は、ロボットアーム62の先端部に複数の加工作業部64が相対移動可能な状態で取付けられていてもよい。
なお、加工ロボットは、垂直多関節ロボットの他、直角座標型ロボット等であってもよい。また、加工作業部は、電線12群に対して行われる作業に応じて、適宜変更される。
加工制御部52は、CPUと、RAMと、ROMと、入力回路部等を備える一般的なコンピューターによって構成されている。ROMは、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性半導体メモリ等によって構成されており、画像取得システム70により取得された画像データに基づいて加工対象領域、加工対象(電線12群)の位置及び姿勢等を決定するための手順、電線12群に対する加工手順及び加工内容を記述したプログラム等を格納している。そして、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより、画像取得システム70により取得された画像データに基づいて電線12群に対する諸加工を行うべく、加工ロボット60に対して諸指示を与える処理を実行する。
画像取得システム70は、上記ワイヤーハーネス10を構成する電線12群を認識するための画像データを取得するためのシステムであり、第1ビジョンシステムとしての2次元ビジョンシステム80と、第2ビジョンシステムとしての3次元ビジョンシステム90とを備える。
2次元ビジョンシステム80は、ワイヤーハーネス10を構成する電線12群を第1撮像範囲R1で認識するための第1画像データD1を取得可能に構成されている(図12参照)。
すなわち、2次元ビジョンシステム80は、2次元カメラ82を備える。2次元カメラ82は、カメラ支持部材等によって、例えば、コネクタ保持部支持装置20のフレーム22等、コネクタ保持部16から離れた位置に支持されており、コネクタ保持部支持装置20において電線12群が配設されることが予想される全ての領域を第1撮像範囲R1として撮像可能に配設されている。2次元ビジョンシステム80によって得られた第1画像データD1は、加工制御部52に与えられる。
なお、2次元ビジョンシステム80は、第1撮像範囲R1を部分的に撮像可能な2次元カメラを複数備えており、複数の2次元カメラによって撮像された画像が結合されることによって、第1撮像範囲R1の第1画像データD1が得られてもよい。また、2次元ビジョンシステム80は、第1撮像範囲R1を部分的に撮像可能な2次元カメラを1つ備えると共に、当該2次元カメラを移動駆動可能な移動機構部を備えており、この2次元カメラを移動させることによって、第1撮像範囲R1を部分的に撮像した画像を複数得、この複数の画像を結合することによって、第1撮像範囲R1の第1画像データD1が得られてもよい。また、第1ビジョンシステムとして、3次元画像データを取得する3次元ビジョンシステムが用いられてもよい。
3次元ビジョンシステム90は、ワイヤーハーネス10を構成する電線12群を、第1撮像範囲R1と重なる領域であって第1撮像範囲R1よりも小さい第2撮像範囲R2で、かつ、単位面積当りの情報量が第1画像データD1よりも多い第2画像データD2を取得可能に構成されている(図12及び図13参照)。
ここでは、3次元ビジョンシステム90は、複数のカメラを含むステレオカメラ92と、3次元画像処理部96とを備えている。ステレオカメラ92による撮像範囲は、上記第1撮像範囲R1よりも小さい。また、ステレオカメラ92は、加工ロボット60のロボットアーム62の先端部であって加工作業部64と干渉しない位置に取りつけられている。このため、ステレオカメラ92は、第1撮像範囲R1と重なる領域であって第1撮像範囲R1よりも小さい第2撮像範囲R2で、電線12群を撮像することができる。
なお、ステレオカメラ92は、加工ロボット60とは別の移動機構部によってコネクタ保持部支持装置20に対して移動可能に配設されていてもよい。
ステレオカメラ92は、第2撮像範囲R2を異なる方向から撮像し、これにより得られた画像データを3次元画像処理部96に出力する。3次元画像処理部96は、CPUと、RAMと、ROMと、入力回路部等を備える一般的なコンピューターによって構成されている。ROMは、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性半導体メモリ等によって構成されており、第2撮像範囲R2を異なる方向から撮像した複数の画像データに基づいて、加工対象である電線12群の3次元データ(点群データ)を第2画像データD2として生成する手順を記述したプログラム等を格納している。そして、この3次元画像処理部96により得られた第2画像データD2が加工制御部52に出力される。ステレオカメラ92の画像に基づいて3次元データを作成する処理としては、異なる位置からの複数の画像データに基づき、3角測量の原理によって3次元点群データを生成する周知の各種処理を採用することができる。なお、ステレオカメラ92は、必ずしも複数のカメラを備えている必要はなく、1つのカメラを移動させることによって、異なる方向からの複数の画像データを得るようにしてもよい。
上記3次元データである第2画像データD2は、上記第1画像データD1よりも、単位面積当りの情報量が多いデータである。ここで、単位面積当りの情報量とは、コネクタ保持部支持装置20によって支持されたコネクタ14から延出する電線12群を一定方向から見て観察した場合において、電線12群を表すための情報量をいう。これには、例えば、次の2つの場合が想定される。1つ目は、本実施形態で説明するように、第1ビジョンシステムが第1画像データD1として2次元画像データを取得し、第2ビジョンシステムが第2画像データD2として3次元画像データを取得する場合である。2つ目は、第1ビジョンシステムが第1画像データD1として2次元画像データ又は3次元画像データを取得し、第2ビジョンシステムが第2画像データD2として第1画像データD1と同じ次元の2次元画像データ又は3次元画像データを取得する場合であっても、後者の第2画像データD2が前者の第1画像データD1よりも分解能(解像度)が高い場合である。
<分岐形成動作>
以下では、電線群加工装置50による電線12群の分岐形成例をより具体的に説明する。
まず、初期状態では、図11に示すように、電線12群の端部に接続されたコネクタ14がコネクタ保持部支持装置20に取り付けられたコネクタ保持部16により支持される。各コネクタ14間の電線12は、U字状に垂れ下がった状態となる。この際、上述したように、ここでは、コネクタ14のキャビティ141の開口が鉛直方向下方を向くようにコネクタバー26の姿勢が設定される。
この状態で、2次元ビジョンシステム80により、図12に示すように、電線12群を含む第1撮像範囲R1の第1画像データD1が得られる。ここでは、鉛直方向下方から第1画像データD1を撮像するものとして説明する。得られた第1画像データD1には、コネクタ14を出発位置として水平面に延出する電線12群が含まれている。
ここで、電線12群に対する1番目の加工処理として、コネクタ14a、14bから延出する電線12に対して、当該コネクタ14a、14bから一定寸法離れた位置(分岐位置P1に対応する位置)で分岐を形成する作業が規定されているとする。また、各コネクタ14は、コネクタ保持部支持装置20により支持されているため、既知の位置として取扱うことができる。
この場合、第1画像データD1においてエッジ抽出処理等の画像処理を行って電線12を認識し、コネクタ14aとコネクタ14bから延出する電線12のうち前記一定寸法内にある部分が含まれるように、第2撮像範囲R2を決定すればよい。これにより、第1撮像範囲R1内において、加工対象領域(第2撮像範囲R2)を決定することができる。なお、第1画像データD1に対するエッジ抽出処理等の認識処理は、加工制御部52外であって加工制御部52と2次元カメラ82との間に設けられた2次元画像処理部によって構成されていてもよい。この場合、2次元カメラ82と当該2次元画像処理部とを含む構成が、2次元ビジョンシステムであると捉えてもよい。
この後、加工ロボット60のロボットアーム62により、ステレオカメラ92を移動させて、当該ステレオカメラ92を、第2撮像範囲R2を撮像可能な位置に配設する。そして、ステレオカメラ92を含む3次元ビジョンシステム90により、図12に示すように、第2撮像範囲R2の第2画像データD2を取得する。なお、図12に示される第2画像データD2は、3次元データとして得られる第2撮像範囲R2を2次元で表した第2画像データの1つの表示態様である。
そして、第2画像データD2に基づいて、既知の位置であるコネクタ14a(14b)の位置を基準として、各電線12の経路を追跡し、コネクタ14a(14b)から前記一定寸法離れた位置(図13において丸で囲んだ位置)を特定する。各位置は、分岐点として束ねられるべき場所である。なお、第2画像データD2は、3次元データであるため、図12においてy軸方向の電線12の位置をも含めて、電線12の位置を特定することができる。そして、加工ロボット60に対して、各電線12の前記各位置を1箇所に集合させるように指示を与える。この場合、別々のロボットハンドによって、各電線12の前記各位置を1箇所に集合させるようにしてもよい。或は、単一のロボットハンドによって複数の電線12を1箇所に寄せ集めるようにしてもよい。後者の場合でも、各電線12の前記各位置が1箇所に位置するように、コネクタ14a(14b)の支持位置を調整しておくと共に、各電線12をコネクタ14a(14b)から引っ張りつつ寄せ集めるようにすることで、各電線12の前記各位置を1箇所に集合させることができる。
この後、電線12を集合させた上記位置から延出する電線12の集合状態を維持する。ここでは、上述したように、集合状態を維持するため、電線12を結束する。すなわち、上記各電線12が1箇所に集合させられた位置は、ロボットハンドによって移動させられた既知の位置であるため、当該位置からコネクタ14a、14bに延出する部分及びその下方に延出する部分を結束する。結束作業は、上記したように、ロボットアーム62に取付けられたテープの自動巻機等によって行うことができる。
この結束作業を行う際には、電線12の位置等が全体撮像したときとは異なっているため、再度、3次元ビジョンシステム90を通じて第2画像データを取得し、当該第2画像データによって加工位置等を再度特定することが好ましい。
なお、複数のコネクタバー26のうちの一部のコネクタバー26に取り付けられたコネクタ14に対して分岐形成を行う場合、分岐形成に関わらないコネクタ14が取り付けられた他のコネクタバー26は分岐形成の邪魔になりにくい位置に移動していることが考えられる。
例えば、コネクタ14a、14bから延出する電線に分岐を形成する場合、コネクタ14c、14e、14fが取り付けられたコネクタバー26(第3レール部262)は、コネクタ14a、14bが取り付けられたコネクタバー26(第3レール部262)に対して下方に離れた位置に移動していることが考えられる。このような移動は、第2レール部261に対して第3レール部262を摺動させることで行うことができる。
加工後の状態は、図14に示すようになる。図14では、分岐点が2点鎖線で描かれた四角によって示されており、結束部分が2点鎖線で描かれた丸によって示されている。
続いて、上記と同様にして、残りのコネクタ14から延出する複数の電線12に対しても分岐形成を行う。ここでは、コネクタ14d、コネクタ14e及びコネクタ14fから延出する複数の電線12に対して所定位置(分岐位置P2に対応する位置)での分岐形成を行う。
すると、図15に示すように、各コネクタ14a、14b、14d、14e、14fから延出する複数の電線12は、各コネクタ14a、14b、14d、14e、14fに近い分岐位置P1、P2で分岐が形成された状態となる。
続いて、これまでの分岐位置P1、P2間において、複数の電線12に分岐を形成する。ここでは、複数の電線12が多数束ねられる幹線部121からコネクタ14cに接続される電線12が分岐するように、複数の電線12に分岐を形成する作業を行う。
この際にも、まず、2次元ビジョンシステム80を通じて第1画像データを取得し、この第1画像データにおいてエッジ抽出処理等の画像処理を行って電線12を認識し、次の加工内容(分岐位置P1、P2間の電線12のどの部分を結束するか等)に応じて、いずれかの分岐位置P1、P2から延出する電線12のうち一定寸法内にある部分及びコネクタ14cから延出する電線12のうち一定寸法内にある部分が含まれるように、第2撮像範囲を決定する。
この後、加工ロボット60のロボットアーム62により、ステレオカメラ92を移動させて、当該ステレオカメラ92を、第2撮像範囲を撮像可能な位置に配設する。そして、ステレオカメラ92を含む3次元ビジョンシステム90により、第2撮像範囲の第2画像データを取得する。
そして、第2画像データに基づいて、コネクタ14c及び既に形成された分岐位置P1、P2(分岐位置P1、P2自体は、既知の位置であるか、第2画像データD2において複数方向から電線12が集合する位置として特定される)を基準として、各電線12の経路を追跡し、コネクタ14cから一定寸法離れた位置、及び、既に形成された分岐位置P1、P2からいずれかの方向に一定寸法離れた位置を特定する。各位置は、幹線部121において束ねられるべき場所である。そして、電線12の当該位置の部分を、加工ロボット60によって1箇所に集合させるように指示を与える。この後、電線12を束ねた上記位置の周辺部で電線12を結束する。
分岐位置P1、P2の間で、複数の電線12を束ねると、図15に示すように、複数の電線12が複数の分岐位置P1、P2、P3で分岐されつつ結束された状態となり、ワイヤーハーネス10を製造することができる。
なお、必要に応じて、ワイヤーハーネス10に対して、加工ロボット60又は手作業によって、ワイヤーハーネス10を車両に固定するためのクランプ部品、ワイヤーハーネス10を保護するためのプロテクタ、コルゲートチューブ等の外装部品が取付けられてもよい。
以上のようなワイヤーハーネスの製造方法によると、電線12が挿入された複数のコネクタ14が、電線12が垂れ下がる態様でそれぞれコネクタ保持部16に保持された状態のままで、電線12のうちコネクタ14から垂れ下がる部分に分岐を形成するため、図板に載せなくても、コネクタ14に電線12を挿入した部分完成品に分岐形成を施すことができる。この際、コネクタ保持部16を鉛直方向に直交する第1の方向に複数支持可能な支持部が、第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように配置されているため、より多種多様な分岐形態に対応することができる。
また、コネクタ保持部16が複数のコネクタ保持部16同士間で相対移動可能に配置されるため、コネクタ14同士の相対的な位置関係を調整しやすい。特に、分岐形成の際等に、コネクタ14の配列を車両での配置により近づけることができる。これにより、車両に搭載される際の形状により近い形状のワイヤーハーネス10を得ることができる。
特に、電線挿入時には、挿入を容易にする又は挿入の効率を上げるという観点からコネクタ14同士はなるべく集合していることが好ましい。一方、分岐形成時には、製造可能なワイヤーハーネスを多様化するという観点から、コネクタ14同士はなるべくばらけて配列されていることが好ましい。このようにコネクタ14同士の相対位置に対して相反する条件が求められる電線挿入及び分岐形成に対しても、コネクタ保持部16同士間で相対移動可能であることによって、同じコネクタ保持部支持装置20を用いることができる。
また、コネクタ保持部16は、棒状に形成されたコネクタバー26に直接的又は間接的に、且つ、コネクタバー26の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられているため、コネクタ14同士の相対的な位置関係を調整しやすい。また、コネクタバー26がその長手方向に直交する方向に沿って複数設けられているため、コネクタ保持部16を、電線挿入方向から見て2次元状に配置することが容易となる。これらにより、車両に搭載される際の形状により近い形状のワイヤーハーネス10を得ることができる。
また、コネクタ保持部16は、コネクタバー26にコネクタバー26の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられたコネクタ保持部取付部28に、コネクタバー26の長手方向に直交する方向に沿って摺動可能に取り付けられているため、コネクタ14同士の相対的な位置関係を調整しやすい。
また、コネクタバー26は、コネクタバー取付部24に摺動可能に取り付けられている。このため、複数のコネクタバー26同士が、その整列する方向に沿って相対移動可能に配置されていることによって、コネクタ14同士の相対的な位置関係を調整しやすい。これにより、車両に搭載される際の形状により近い形状のワイヤーハーネス10を得ることができる。
また、電線12をコネクタ14に挿入する際に、コネクタ14がコネクタバー26に保持されており、電線挿入に用いたコネクタバー26がそのまま分岐形成に用いられる。つまり、電線挿入から分岐形成に至るまで、同じコネクタバー26が用いられる。これにより、電線挿入作業から分岐形成作業に移る際にコネクタ14を載せ替えることにより生じる工数の増加を抑制することができる。
また、コネクタ14から垂れ下がる電線12の画像データを取得し、当該画像データを処理することで、コネクタ14からの距離を計測し、分岐を形成する位置を決定するため、分岐形成に係る作業の自動化を図ることができる。
{変形例}
次に、ワイヤーハーネスの製造方法の変形例について説明する。なお、各変形例の説明において、実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
実施形態において、コネクタ14への電線挿入は、電線挿入装置30を用いてすべて自動で行われるものとして説明したが、このことは必須ではない。コネクタ14への電線挿入の一部またはすべてを人手で行ってもよい。また、コネクタ14への電線挿入を自動で行う場合であっても、電線挿入装置30が採用されることは必須ではない。電線挿入装置30以外の電線挿入装置が採用されてもよい。
また、実施形態において、同じコネクタバー26にコネクタ14が支持された状態で、電線挿入作業及び分岐形成作業が行われるものとして説明したがこのことは必須ではない。例えば、電線が挿入されたコネクタ又は当該コネクタを保持するコネクタ保持部がコネクタバー26に取り付けられてもよい。つまり、電線挿入作業には、コネクタ保持部支持装置は用いられなくてもよい。
また、実施形態において、電線12への分岐形成は、電線群加工装置50を用いてすべて自動で行われるものとして説明したが、このことは必須ではない。電線12への分岐形成の一部またはすべてを人手で行ってもよい。電線12への分岐形成の少なくとも一部の作業を人手で行う場合、例えば、図17及び図18のようにすることが考えられる。
図17は、変形例に係るワイヤーハーネスの製造方法を説明するための図である。図18は、別の変形例に係るワイヤーハーネスの製造方法を説明するための図である。ここでは、一次分岐を人手で行うものとして説明する。
分岐形成を人手で行う場合、電線群加工装置50のようにコネクタ14からの距離をいちいち計測して分岐位置を特定することは面倒である。そこで、作業者が分岐位置を特定しやすいように分岐位置を特定可能な目印が設定されているとよい。図17と図18とでは、当該目印の設定の仕方が異なっている。
即ち、図17に係るワイヤーハーネスの製造方法において、作業者から見て、電線12の後方に目印となる別の部材が設けられている。ここでは、作業者から見てコネクタバー26の後方に板状部材Sが配置され、当該板状部材上の所定の位置に目印M1,M2が設けられている。ここで、板状部材S上の所定の位置とは、板状部材Sが作業者から見てコネクタバー26の後方に配置された際に、板状部材S上においてコネクタ14a、14bに対応する位置から前記一定寸法離れた位置である。そして、作業者は、コネクタ14aから延びる電線12を目印M1と重なるように張った状態にすることで、目印M1と重なる位置がコネクタ14aから延びる電線12に対して一次分岐を形成する位置と認識することができる。あとは、コネクタ14bから延びる電線12に対しても同様に目印M2を利用して一次分岐を形成する位置を認識したら、2つの電線12をそれぞれの分岐位置で集合させて分岐を形成する。
これに対して、図18に係るワイヤーハーネスの製造方法においては、コネクタ保持部取付部28(コネクタバー26)自体が目印となる。より詳細には、コネクタ14を前記一定寸法分だけコネクタバー26から離すようにコネクタ保持部取付部28上を摺動させる。これにより、コネクタ保持部取付部28の縁部(コネクタバー26の縁部)がコネクタ14から延出する電線12に対して一次分岐を形成する位置の目印となる。そして、作業者は、コネクタ14aから延びる電線12をコネクタ保持部取付部28の縁部(コネクタバー26の縁部)まで張った状態にすることで、電線12のうちコネクタ保持部取付部28の縁部(コネクタバー26の縁部)と重なる位置がコネクタ14aに対して一次分岐を形成する位置と認識することができる。あとは、コネクタ14bに対しても同様に一次分岐を形成する位置を認識したら、2つの電線12をそれぞれの分岐位置で集合させて分岐を形成する。
このように、コネクタ保持部16をコネクタ保持部取付部28に対して摺動させることによって、コネクタバー26からコネクタ14までの位置を、コネクタ14から分岐を形成する位置までの距離に対応させることで、作業者により分岐が形成される場合等に作業者が分岐を形成する位置を特定しやすくなる。
なお、図17では、コネクタ14に対して鉛直方向に沿って下方に離れた位置に目印を設けているが、このことは必須ではない。目印の位置は、コネクタ14に対して鉛直方向に沿って上方でもよいし、水平方向に沿って離れた位置であってもよい。
また、電線12への分岐形成を自動で行う場合であっても、電線群加工装置50以外の装置が採用されてもよい。
また、実施形態において、電線12への分岐形成を行う際に、1つの一次分岐に連なる3つ以上のコネクタ14が、電線12の挿入方向から見て2次元状に配列されているものとして説明したが,このことは必須ではない。1つの一次分岐に連なる3つ以上のコネクタ14が、例えば、図19のように、電線12の挿入方向から見て1次元状(一列)に配列されていてもよい。
図19は、さらに別の変形例に係るワイヤーハーネスの製造方法を説明するための図である。図19に係るワイヤーハーネスの製造方法において、1つの一次分岐に連なる3つのコネクタ14d、14e、14fが、1つのコネクタバー26に支持されている。これにより、1つの一次分岐に連なる3つ以上のコネクタ14が、電線12の挿入方向から見て1次元状(一列)に配列された状態で分岐が形成されている。このようなワイヤーハーネスの製造方法によっても、電線12にねじれが生じることを抑制することができること以外の効果については、実施形態に係るワイヤーハーネスの製造方法と同様の効果を得ることができる。
また、実施形態において、コネクタ14のキャビティ141の開口が鉛直方向下向きとされた状態で、電線12への分岐形成が行われるものとして説明したが、このことは必須ではない。例えば、コネクタ14のキャビティ141の開口が水平方向に向いた状態で、電線12への分岐形成が行われてもよい。具体的には、例えば、コネクタ保持部支持装置20において、第1レール部242の長手方向が鉛直方向に沿うように、コネクタ保持部支持装置20の姿勢が設定された状態で、分岐形成が行われてもよい。
また、実施形態において、コネクタ14間の電線12をすべて垂れ下げているものとして説明したが、このことは必須ではない。コネクタ14間の電線12の中間部分は、例えば、図20に示されるように、コネクタバー26などコネクタ保持部支持装置20の一部又はコネクタ保持部支持装置20とは別の部材に引っ掛けられるなどして支持されていてもよい。コネクタ14間の電線12の中間部分が支持されていると、電線長が長い場合であっても、電線12を垂れ下げた際に、コネクタ保持部支持装置20のフレーム22又は床面等に接触することを抑制することができる。また、分岐形成の邪魔になる電線12を避難させておくことができる。この際、図20に示されるように、電線12を蛇行させて分岐形成を行うことも考えられる。なお、図20において、コネクタバー26の延在方向が上記x軸方向である。3つのコネクタバー26が並ぶ方向は、y軸方向である場合もありうるし、z軸方向である場合もあり得る。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 ワイヤーハーネス
12 電線
14 コネクタ
16 コネクタ保持部
20 コネクタ保持部支持装置
26 コネクタバー
28 コネクタ保持部取付部
30 電線挿入装置
40 電線固定機構
50 電線群加工装置
60 加工ロボット
70 画像取得システム
D1 第1画像データ
D2 第2画像データ

Claims (8)

  1. (a)電線が挿入された複数のコネクタが、前記電線が垂れ下がる態様でそれぞれコネクタ保持部に保持されると共に、前記コネクタ保持部を鉛直方向に直交する第1の方向に複数支持可能な支持部が、前記第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように配置されたものを準備する工程と、
    (b)前記コネクタ保持部に前記コネクタが保持された状態のままで、前記電線のうち前記コネクタから垂れ下がる部分に分岐を形成する工程と、
    を備える、ワイヤーハーネスの製造方法。
  2. 請求項1に記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
    前記工程(b)において、前記コネクタ保持部は、複数の前記コネクタ保持部同士間で相対移動可能に配置される、ワイヤーハーネスの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
    前記工程(a)において、前記コネクタ保持部は、棒状に形成されたコネクタバーに直接的又は間接的に、且つ、前記コネクタバーの長手方向に沿って摺動可能に取り付けられており、
    前記コネクタバーがその長手方向に直交する方向に沿って複数設けられている、ワイヤーハーネスの製造方法。
  4. 請求項3に記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
    前記コネクタ保持部は、前記コネクタバーに前記コネクタバーの長手方向に沿って摺動可能に取り付けられたコネクタ保持部取付部に、前記コネクタバーの長手方向に直交する方向に沿って摺動可能に取り付けられている、ワイヤーハーネスの製造方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
    複数の前記コネクタバー同士が、その整列する方向に沿って相対移動可能に配置されている、ワイヤーハーネスの製造方法。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
    前記電線を前記コネクタに挿入する際に、前記コネクタが前記コネクタバーに保持されており、
    電線挿入に用いた前記コネクタバーがそのまま分岐形成に用いられる、ワイヤーハーネスの製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
    前記工程(b)において、前記コネクタから垂れ下がる前記電線の画像データを取得し、前記画像データを処理することで、前記コネクタからの距離を計測し、分岐を形成する位置を決定する、ワイヤーハーネスの製造方法。
  8. コネクタを保持可能な複数のコネクタ保持部を、前記コネクタ保持部に保持された前記コネクタから延出する電線が垂れ下がる態様で直接的又は間接的に支持可能な支持部を複数備え、
    前記支持部は、前記コネクタ保持部を鉛直方向に直交する第1方向に複数支持可能であるとともに、複数の前記支持部が前記第1方向に直交する第2方向に沿って並ぶように設けられている、コネクタ保持部支持装置。
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