JP2016191025A - プロピレン系樹脂組成物、成形体および容器 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物、成形体および容器 Download PDF

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Abstract

【課題】食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、従来と同等の剛性、従来と同等あるいはそれ以上の低温耐衝撃性を有し、かつ従来よりも透明性に優れるプロピレン系樹脂組成物および該組成物から形成される容器等の成形体を提供すること。
【解決手段】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、Mw/Mnが1.5〜4.5、粘度η*(25rad/s)が100〜400Pa・s、MFR(230℃、荷重2.16kg)が1〜500g/10分であるプロピレン系重合体(A)、密度が885〜925kg/m3、MFR(190℃、荷重2.16kg)が0.1〜50g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、Mw/Mnが1.5〜4.5、エチレン単位が25〜35質量%であるプロピレン・エチレン共重合体(C)を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物、該組成物から形成される成形体および該組成物から形成される容器に関する。
ゼリー、プリン、コーヒー等の食品の包装容器(以下、食品包装容器とも記す)として、内容物の視認性、すなわち透明性に優れる容器が従来から求められている。透明性に優れる容器としては、その原料として、耐熱性、剛性および透明性に優れるプロピレン系樹脂組成物が用いられることが多い。
また、食品はその保管・流通において、低温の環境で扱われることが多いため、食品包装容器には、常温における耐衝撃性だけではなく、低温時の耐衝撃性、すなわち低温耐衝撃性が求められる。
衝撃性に優れるプロピレン系樹脂組成物として、プロピレン‐エチレンブロック共重合体、造核剤、および低密度ポリエチレン樹脂若しくは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含む組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
衝撃性に優れるプロピレン系樹脂組成物としては、プロピレンブロック共重合体と、エチレン系樹脂からなる、特定の物性を有する組成物が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
また、特許文献4には、特定のプロピレン系重合体と、特定のエチレン・α-オレフィン共重合体と、造核剤とを含むプロピレン系樹脂組成物、および該組成物から得られる成形体や容器が知られている。
従来から、弾性率などの機能に優れた食品包装容器を製造するために、プロピレン系樹脂にエチレン系樹脂を添加することが行われてきたが、このようにして得られた組成物は、プロピレン系樹脂単味の場合に比べると透明性が劣後することが知られており、適度なエチレン系樹脂を配合した透明性の高い材料が求められていた。
特開2001−26686号公報 特開2002−187996号公報 特開2002−187997号公報 国際公開第2010/074001号
本発明は上記従来技術の有する課題を鑑みてされたものであり、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、従来と同等の剛性、従来と同等あるいはそれ以上の低温耐衝撃性を有し、かつ従来よりも透明性に優れるプロピレン系樹脂組成物および該組成物から形成される容器等の成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系重合体、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体、および特定のプロピレン・エチレン共重合体を含む組成物が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のプロピレン系樹脂組成物は下記要件(A1)〜(A3)を満たすプロピレン系重合体(A)、下記要件(B1)および(B2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、下記要件(C1)および(C2)を満たすプロピレン・エチレン共重合体(C)を含む。
(A1)プロピレン系重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.5〜4.5である
(A2)プロピレン系重合体(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)が100〜400Pa・sである
(A3)プロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が1〜500g/10分である
(B1)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が885〜925kg/m3である
(B2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)が0.1〜50g/10分である
(C1)プロピレン・エチレン共重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.5〜4.5である
(C2)プロピレン・エチレン共重合体(C)のエチレンに由来する構成単位の質量が、プロピレン・エチレン共重合体(C)100質量%中25〜35質量%である
前記プロピレン系樹脂組成物は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とプロピレン系重合体(A)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Bの粘度/Aの粘度)が、2.0〜6.0であることが好ましい。
前記プロピレン系樹脂組成物は、前記プロピレン・エチレン共重合体(C)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Cの粘度/Bの粘度)が、1.0〜4.0であることが好ましい。
本発明の成形体は前記プロピレン系樹脂組成物から形成される。
本発明の容器は前記プロピレン系樹脂組成物から形成される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、従来と同等の剛性、従来と同等あるいはそれ以上の低温耐衝撃性を有し、かつ従来よりも透明性に優れる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明のプロピレン系樹脂組成は、下記要件(A1)〜(A3)を満たすプロピレン系重合体(A)、下記要件(B1)および(B2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、下記要件(C1)および(C2)を満たすプロピレン・エチレン共重合体(C)を含む。
(A1)プロピレン系重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.5〜4.5である
(A2)プロピレン系重合体(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)が100〜400Pa・sである
(A3)プロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が1〜500g/10分である
(B1)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が885〜925kg/m3である
(B2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)が0.1〜50g/10分である
(C1)プロピレン・エチレン共重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.5〜4.5である
(C2)プロピレン・エチレン共重合体(C)のエチレンに由来する構成単位の質量が、プロピレン・エチレン共重合体(C)100質量%中25〜35質量%である
(プロピレン系重合体(A))
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、要件(A1)〜(A3)を満たすプロピレン系重合体(A)を含む。なお、要件(A1)〜(A3)を満たすプロピレン系重合体(A)を、プロピレン系重合体(A)とも記す。
プロピレン系重合体(A)は、要件(A1)〜(A3)を満たしていればよく、特に制限はされないが、通常はプロピレン単独重合体、プロピレンと、少量のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)との共重合体であってもよい。
プロピレン系重合体(A)が、プロピレン単独重合体または、プロピレンと、少量のα−オレフィンとの共重合体である場合には、プロピレン系重合体(A)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とすると、プロピレン由来の構成単位を80〜100モル%有し、α−オレフィン由来の構成単位を0〜20モル%有することが好ましく、プロピレン由来の構成単位を90〜100モル%有し、α−オレフィン由来の構成単位を0〜10モル%有することがより好ましい。
前記α−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、エチレン、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
(要件(A1))
前記プロピレン系重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が、1.5〜4.5であり、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは2.0〜3.5である。
Mw/Mnが、前記範囲にあると、プロピレン系樹脂組成物や該組成物から得られた成形体の透明性に優れ、前記範囲を上回ると透明性が悪化し、ヘイズが大きくなる傾向がある。
要件(A1)を満たすプロピレン系重合体(A)は、製造時に使用する触媒として、メタロセン触媒等の所謂シングルサイト触媒を用いることにより得ることができる。
(要件(A2))
前記プロピレン系重合体(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)が100〜400Pa・sであり、好ましくは100〜300Pa・sである。前記粘度η*は、温度210℃で測定した温度であるが、該温度は、本発明のプロピレン系樹脂組成物の成形に適した範囲であり、要件(A2)を満たすと、プロピレン系樹脂組成物の成形性に優れる傾向がある。
(要件(A3))
前記プロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が1〜500g/10分であり、好ましくは10〜250g/10分であり、さらに好ましくは35〜170g/10分である。
プロピレン系重合体(A)のMFRが上記範囲を上回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性が劣り、またプロピレン系重合体(A)のMFRが上記範囲を下回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いて、容器等の成形体を製造する際の樹脂の流動性が劣り、薄肉化した成形体を製造することが困難となる。
なお、プロピレン系重合体(A)のMFRは、重合時に水素を連鎖移動剤として用いるなどの製造条件を調整することにより、任意のMFRに調整することができる。
また、上記方法以外でも、重合で得られたプロピレン系重合体を有機過酸化物存在下で溶融混練処理することによりMFRを調整することができる。重合で得られたプロピレン系重合体を、有機過酸化物存在下での溶融混練処理を行うことによりMFRは高くなり、有機過酸化物存在下での溶融混練処理を行う際の有機過酸化物の添加量を増やすことでMFRをより高くすることができる。
重合で得られたプロピレン系重合体に、有機過酸化物存在下での溶融混練処理を行う場合、プロピレン系重合体100質量部に対して有機過酸化物を0.005〜0.05質量部使用することが好ましい。
上記有機過酸化物存在下での溶融混練処理で使用することができる有機過酸化物としては、特に限定はされないが、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキユミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5,−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキユミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キユメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイドもしくは2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物を例示できる。また、これらのうち、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンがより好ましい。
前記プロピレン系重合体(A)は、前記要件(A1)〜(A3)に加えて、さらに要件(A4)、(A5)を満たすことが好ましい。
(要件(A4))
本発明のプロピレン系重合体(A)は、mmmm(ペンタッド分率)が、91〜97%であることが好ましい。
mmmmは、例えば特開2007−186664号公報に記載されているように、13C−NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック連鎖の存在割合、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、同公報に開示された測定法によって算出することができる。
なお、13C−NMRの測定条件としては、特に限定は無いが例えば、実施例に記載の条件で行うことができる。
(要件(A5))
本発明のプロピレン系重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)によって測定した融解温度(Tm)ピークの半値幅が、5.0〜10.0℃であることが好ましい。
Tmピークの半値幅は、プロピレン系重合体(A)の立体規則性分布の指標であり、半値幅が前記範囲内では、本発明のプロピレン系樹脂組成物や、該組成物から形成される成形体のヘイズが特に小さくなるため好ましい。
(プロピレン系重合体(A)の製造方法)
本発明に用いるプロピレン系重合体(A)の製造方法としては、特に限定はないが、通常は、メタロセン化合物含有触媒存在下あるいは、チーグラーナッタ触媒存在下で、プロピレンを重合することにより得られる。
プロピレン系重合体(A)は、メタロセン化合物含有触媒存在下で、プロピレンを重合することにより得られることが好ましい。この触媒を用いる際には本発明に用いられる分子量分布が狭い重合体が得られる。
また、プロピレン系重合体(A)が、プロピレンと、少量のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)との共重合体である場合には、通常重合時においてプロピレンに加えて、少量のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)が添加される。
(メタロセン化合物含有触媒)
前記メタロセン化合物含有触媒としては、メタロセン化合物、並びに、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒を挙げることができ、好ましくはアイソタクチックまたはシンジオタクチック構造等の立体規則性重合をすることのできるメタロセン触媒を挙げることができる。前記メタロセン化合物の中では、国際公開第01/27124号に例示されている架橋性メタロセン化合物が好適に用いられ、下記一般式[I]で表される架橋性メタロセン化合物が好ましい。
Figure 2016191025
上記一般式[I]において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
このような炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、tert-ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基等を挙げることができる。
ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。
また、R5からR12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式[I]において、シクロペンタジエニル環に置換するR1、R2、R3、R4は水素、または炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。さらに好ましくはR1、R3が炭素数1〜20の炭化水素基であり、R2、R4が水素である。
前記一般式[I]において、フルオレン環に置換するR5〜R12は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。R5〜R12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
一般式[I]で表されるメタロセン化合物を構成する置換フルオレニル基(フルオレン環およびR5〜R12で形成される基)としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙げることができる。
前記一般式[I]において、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環を架橋するYは周期表第14族元素であることが好ましく、より好ましくは炭素、ケイ素、ゲルマニウムであり、さらに好ましくは炭素原子である。このYに置換するR13、R14は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。これらは相互に同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。さらに好ましくはR13、R14は炭素数6〜20のアリール(aryl)基である。アリール基としては、前述の環状不飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有環状不飽和炭化水素基を挙げることができる。また、R13、R14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。このような置換基としては、フルオレニリデン基、10−ヒドロアントラセニリデン基、ジベンゾシクロヘプタジエニリデン基などが好ましい。
前記一般式[I]において、Mは好ましくは周期表第4族遷移金属であり、さらに好ましくはTi、Zr、またはHfである。また、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては前述と同様のものなどが挙げられる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基、アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基、メシレート、トシレートなどのスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類等が挙げられる。Qは少なくとも1つがハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
このような架橋性メタロセン化合物としては、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド(下記式[II]で表される化合物)、下記式[III]で表される化合物などが好ましく挙げられる。
Figure 2016191025
Figure 2016191025
なお、プロピレン系重合体(A)の製造に用いられるメタロセン触媒において、前記一般式[I]で表わされる架橋性メタロセン化合物とともに用いられる、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、さらには必要に応じて用いられる粒子状担体については、前記国際公開第01/27124号や特開平11−315109号公報中に開示された化合物を制限無く使用することができる。
本発明に用いるプロピレン系重合体(A)は、実施例に記載の方法等により、前述のメタロセン化合物含有触媒存在下あるいは、チーグラーナッタ触媒存在下でプロピレンあるいはプロピレンと少量のα−オレフィンを重合することにより得られる。
重合は、気相重合法あるいは溶液重合法、懸濁重合法などの液相重合法いずれで行ってもよく、各段を別々の方法で行ってもよい。また連続式、半連続式のいずれの方式で行ってもよく、各段を複数の重合器たとえば2〜10器の重合器に分けて行ってもよい。工業的には連続式の方法で重合するのが最も好ましい。
(エチレン・α−オレフィン共重合体(B))
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、要件(B1)および(B2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含む。なお、要件(B1)および(B2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とも記す。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、要件(B1)および(B2)を満たしていればよく、特に限定はされないが、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンを共重合することにより得られる共重合体が、耐衝撃性および透明性に優れるため好ましい。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。なかでも透明性・耐衝撃性・剛性・経済性の観点から炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とすると、エチレン由来の構成単位を80〜99モル%有し、α−オレフィン由来の構成単位を1〜20モル%有することが好ましく、エチレン由来の構成単位を90〜99モル%有し、α−オレフィン由来の構成単位を1〜10モル%有することがより好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、いわゆるシングルサイト触媒を用いて重合により製造することができる。
シングルサイト触媒としては、例えば、(a)後述するような遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、(c)微粒子状担体、必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物から形成されるシングルサイトのオレフィン重合触媒を用いることができる。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)がシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体であると、透明性の高いプロピレン系樹脂組成物を得ることができる傾向がある。
上記シングルサイト触媒としては拘束幾何錯体を含んだ触媒(いわゆる拘束幾何触媒(CGC(constrained geometry catalyst)触媒ともいわれる))、あるいはメタロセン化合物含有触媒などが挙げられる。これらのなかでも、特に低温耐衝撃性が良好であるとの観点からメタロセン化合物含有触媒を用いることが好ましい。
(要件(B1))
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が885〜925kg/m3であり、好ましくは900〜919kg/m3であることが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が上記範囲を下回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の剛性、透明性が劣る傾向がある。これは前記範囲を下回るとエチレン・α−オレフィン共重合体の結晶性の低下し、かつプロピレン系重合体(A)との屈折率差も大きくなる為と推測される。
一方、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が上記範囲を上回ると、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の透明性が低下する傾向がある。これもエチレン・α−オレフィン共重合体とプロピレン系重合体(A)との屈折率差が大きくなる為と考えられる。つまり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度範囲が上記範囲から外れると、透明性が悪化する。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度の調整は、後述する製造条件を調整することにより任意の量とすることができる。
より具体的には、後述するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の重合において、エチレン・αオレフィン共重合体を重合する際の、エチレンとα-オレフィンのフィード量の比率を変える事により調整可能である。具体的には、エチレンのフィード量に対してα-オレフィンのフィード量を多くする事により、密度を低くすることが可能であり、エチレンのフィード量に対してα-オレフィンのフィード量を少なくする事により、密度を高くすることが可能である。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート測定時(ASTM D-1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)に得られるストランドを、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したものをサンプルとして用い、密度勾配管法にて密度の測定を行いエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度として決定した。
(要件(B2))
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)が0.1〜50g/10分であり、好ましくは1〜10g/10分であり、より好ましくは2.0〜5.0g/10分である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRが上記範囲を下回ると、分子量が高くなるため、容器等の成形体を製造する際の樹脂の流動性が劣り、薄肉化した成形体を製造することが困難となり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRが上記範囲を上回ると、分子量が低く衝撃に対しての吸収エネルギーが低くなるため、発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた容器等の成形体の耐衝撃性が劣る。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRの調整は、後述する製造条件を調整することにより任意の量とすることができる。
より具体的には、後述するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の重合において、重合する際のエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を調整することで調整することが可能である。重合する際のエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を多くすることでMFRを高くすることが可能であり、エチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対する水素ガスのフィード量を少なくすることでMFRを低くすることが可能である。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)が通常は200〜2400Pa・sであり、好ましくは250〜1500Pa・sである。前記粘度η*は、温度210℃で測定した温度であるが、該温度は、本発明のプロピレン系樹脂組成物の成形に適した範囲であり、前記範囲内では、プロピレン系樹脂組成物の成形性に優れる傾向がある。
以下エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造に使用するシングルサイトのオレフィン重合触媒および各触媒成分について説明する。本発明で用いられる(a)遷移金属化合物(以下「成分(a)」と記載することがある。)は、下記式(I)で表わされる遷移金属化合物である。
MLx・・・(I)
(I)式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
xは、遷移金属原子Mの原子価であり、遷移金属原子に配位するLの個数を示す。Lは、遷移金属原子Mに配位する配位子であり、これらのうち少なくとも2個の配位子Lは、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基であるか、または炭素数3〜10の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基であり、(置換)シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子である。
なお置換シクロペンタジエニル基は、置換基を2個以上有していてもよく、2個以上の置換基は各同一でも異なっていてもよい。置換シクロペンタジエニル基は、置換基を2個以上有する場合は、少なくとも1個の置換基が炭素数3〜10の炭化水素基であればよく、他の置換基は、メチル基、エチル基または炭素数3〜10の炭化水素基である。また、Mに配位している置換シクロペンタジエニル基は同一でも異なっていてもよい。
炭素数3〜10の炭化水素基として具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができる。より具体的には、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基を例示することができる。
これらのうちアルキル基が好ましく、n-プロピル基、n-ブチル基が特に好ましい。本発明では、遷移金属に配位する(置換)シクロペンタジエニル基としては、置換シクロペンタジエニル基が好ましく、炭素数3以上のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基がより好ましく、二置換シクロペンタジエニル基が更に好ましく、1,3−置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
また上記式(I)において、遷移金属原子Mに配位する(置換)シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子である。
炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができ、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基を例示することができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基などを例示することができる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などを例示することができる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を例示することができる。
トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基などを例示することができる。
このような一般式(I)で表わされる遷移金属化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチル−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチル−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチル−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムハイドライドクロリドなどが挙げられる。なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2−および1,3−置換体を含み、三置換体は1,2,3−および1,2,4−置換体を含む。本発明では、上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属置き換えた遷移金属化合物を用いることができる。
これらの、一般式(I)で表わされる遷移金属化合物のうちでは、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが特に好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物(b)(以下「成分(b)」と記載することがある。)は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノオキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノオキサンは、例えば後述するような有機アルミニウム化合物と、吸着水、結晶水、氷、水蒸気などの水とを接触させるか、または後述するような有機アルミニウム化合物と、有機スズ酸化物を反応させることにより製造することができる。
微粒子状担体(c)は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物、例えばSiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgO等を例示することができる。これらの中でSiO2およびAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
このような微粒子状担体(c)はその種類および製法により性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる微粒子状担体は、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/gであることが望ましい。該微粒子状担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
さらに、微粒子状担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分とする(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分とする重合体もしくは共重合体を例示することができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造に用いられるオレフィン重合触媒は、上記成分(a)、成分(b)および(c)微粒子状担体から形成されるが、必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
必要に応じて用いられる(d)有機アルミニウム化合物(以下「成分(d)」と記載することがある。)としては、例えば下記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
1 nAlX3-n ・・・(III)
(式中、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。)
上記一般式(III)において、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
また有機アルミニウム化合物(d)として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることもできる。
1 n AlY3-n ・・・(IV)
式(IV)中、R1 は上記一般式(III)中のR1と同様の炭化水素を示し、Yは−OR2基、−OSiR3 3基、−OAlR4 2基、−NR5 2基、−SiR6 3基または−N(R7)AlR8 2基を示し、nは1〜2であり、R2、R3 、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R5 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6 およびR7 はメチル基、エチル基などである。)
このような有機アルミニウム化合物のなでは、R1 n Al(OAlR4 23-nで表される化合物、例えばEt2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2などが好ましい。
上記一般式(III)および(IV)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式R1 3Alで表される化合物が好ましく、特にR1がイソアルキル基である化合物が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を製造するに際して、上記のような成分(a)、成分(b)および微粒子状担体(c)、必要に応じて成分(d)を接触させることにより調製される触媒が用いられる。
上記各成分の接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができ、触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造に用いられる触媒は、上記のような成分(a)、成分(b)、微粒子状担体(c)および必要に応じて成分(d)の存在下にオレフィンを予備重合させて得られる予備重合触媒であってもよい。予備重合は、上記のような成分(a)、成分(b)、微粒子状担体(c)および必要に応じて成分(d)の存在下、不活性炭化水素溶媒中にオレフィンを導入することにより行うことができる。
予備重合の際に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび前記と同様の炭素原子数が3〜20のα−オレフィンなどを例示することができる。これらの中では、重合の際に用いられるエチレンまたは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの組合せが特に好ましい。
予備重合は、回分式あるいは連続式のいずれでも行うことができ、また減圧、常圧あるいは加圧下のいずれでも行うことができる。予備重合においては、水素を共存させて、少なくとも135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.2〜7dl/gの範囲、好ましくは0.5〜5dl/gであるような予備重合体を製造することが望ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、前記のようなオレフィン重合触媒または予備重合触媒の存在下に、エチレンを気相で重合または、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとを気相で共重合することによって得られる。また、必要に応じて水素ガスに代表される連鎖移動剤も導入し、生成される重合体の分子量を調整することが可能であり、その結果、メルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)を調整する事が可能である。
重合の際には、上記のようなオレフィン重合触媒または予備重合触媒は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
また、重合に際して成分(b)と同様の有機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミニウム化合物(d)を添加してもよい。この際、有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物に由来するアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物(a)に由来する遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150の範囲である。
重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2 、好ましくは2〜50kg/cm2の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行うことができる。
さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、上記工程を行うことにより製造されるが、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に関する要件(B1)は上記重合工程におけるエチレンとα−オレフィンのフィード量の比率を調整することで調整が可能である。エチレンのフィード量に対してα-オレフィンのフィード量を多くする事により、密度を低くする事が可能であり、エチレンのフィード量に対してα-オレフィンのフィード量を少なくする事により、密度を高くする事が可能である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に関する要件(B2)は、上記重合工程におけるエチレンまたはエチレンとα−オレフィンをフィードする場合にはエチレンおよびα−オレフィンのフィード量と連鎖移動剤としてフィードする水素ガスのフィード量の比率を変えることで調整が可能である。エチレンのフィード量またはエチレンとα−オレフィンをフィードする場合にはエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対して水素ガスのフィード量を多くすることでエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)は高くなり、エチレンのフィード量またはエチレンとα−オレフィンをフィードする場合にはエチレンおよびα−オレフィンのフィード量に対して水素ガスのフィード量を少なくすることでエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)は低くなる。
(プロピレン・エチレン共重合体(C))
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、要件(C1)および(C2)を満たすプロピレン・エチレン共重合体(C)を含む。
なお、要件(C1)および(C2)を満たすプロピレン・エチレン共重合体(C)を、プロピレン・エチレン共重合体(C)とも記す。
プロピレン・エチレン共重合体(C)は、要件(C1)および(C2)を満たしていればよく、特に限定はされない。プロピレン・エチレン共重合体(C)は、プロピレン由来の構成単位およびエチレン由来の構成単位を有するが、炭素数4以上のα−オレフィン由来の構成単位を有していてもよい。
炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンから選択される少なくとも1種のα−オレフィンが好ましい。
(要件(C1))
前記プロピレン・エチレン共重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.5〜4.5であり、好ましくは2.0〜3.5である。かかる分子量分布を有するプロピレン・エチレン共重合体(C)からなる本発明のプロピレン系樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性等に優れる。
(要件(C2))
前記プロピレン・エチレン共重合体(C)のエチレンに由来する構成単位の質量が、プロピレン・エチレン共重合体(C)100質量%中25〜35質量%であり、好ましくは25〜30質量%である。
プロピレン・エチレン共重合体(C)100質量%中、プロピレン由来の構成単位の質量が通常は65〜75質量%であり、好ましくは70〜75質量%である。また、炭素数4以上のα−オレフィン由来の構成単位を有する場合には、炭素数4以上のα−オレフィン由来の質量が、通常は5〜30質量%であり、好ましくは10〜25質量%である。
前記プロピレン・エチレン共重合体(C)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)が通常は600〜3000Pa・sであり、好ましくは700〜2800Pa・sである。前記粘度η*は、温度210℃で測定した温度であるが、該温度は、本発明のプロピレン系樹脂組成物の成形に適した範囲であり、前記範囲内では、プロピレン系樹脂組成物の成形性に優れる傾向がある。
本発明に関わるプロピレン・エチレン共重合体(C)は、特に限定されるものではないが、メタロセン化合物含有触媒等のシングルサイト触媒の存在下で製造されることが好ましい。プロピレン・エチレン共重合体(C)の製造に使用するメタロセン化合物含有触媒としては例えば、メタロセン化合物、ならびに有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン化合物含有触媒である。メタロセン化合物としては、例えば前述の一般式[1]で表される架橋性メタロセン化合物を用いることができる。また、メタロセン化合物や、メタロセン化合物含有触媒としては、本出願人による国際公開第01/27124号または特開平11−315109号公報中に既に開示されているものが好適に用いられる。
(造核剤)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、プロピレン・エチレン共重合体(C)を含むが、さらに造核剤を含んでいてもよい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物に含まれる造核剤としては、特に限定はないが、ソルビトール系造核剤、リン系造核剤、カルボン酸金属塩系造核剤、ポリマー造核剤、無機化合物等を用いることができる。造核剤としては、ソルビトール系造核剤、リン系造核剤、ポリマー造核剤を用いることが好ましい。造核剤は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
ソルビトール系造核剤としては例えば、ノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン](nonitol 1,2,3 -trideoxy-4,6:5,7 -bis- O-[(4-propylphenyl) methylene])、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトールを用いることができる。
リン系造核剤としては例えば、ナトリウム−ビス−(4―t―ブチルフェニル)フォスフェート、カリウム−ビス−(4―t―ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ―t―ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ―t―ブチルフェニル)フォスフェート、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩を用いることができる。
カルボン酸金属塩造核剤としては例えば、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムを用いることができる。
ポリマー造核剤としては分岐状α−オレフィン重合体が好適に用いられる。分岐状α−オレフィン重合体の例として、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンの単独重合体、あるいはそれら相互の共重合体、さらにはそれらと他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。透明性、低温耐衝撃性、剛性の特性が良好であること、および経済性の観点から、特に、3−メチル−1−ブテンの重合体が好ましい。
無機化合物としては例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウムを用いることができる。
これらの造核剤の中でも、透明性、低温耐衝撃性、剛性および低臭気であるとの観点からノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]、および/またはビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩を用いることが好ましい。
本発明に用いる造核剤としては、市販品を用いることができ、例えば、ノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]は、ミラードNX8000(ミリケン社製)の商品名で市販されており、アデカスタブNA−21(商品名、アデカ社製)はビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩を主成分として含んだ造核剤として市販されている。
本発明のプロピレン系樹脂組成物が、造核剤を含有する場合には、本発明の組成物から形成される容器等の成形体の剛性および透明性に優れる傾向がある。これはプロピレン系樹脂組成物中の結晶の球晶サイズが小さくなり、光の乱反射が低減されることによる透明性の向上と、結晶化度の向上による高剛性化によると推定される。
プロピレン系樹脂組成物の造核剤の含量が、下記範囲より少ないと、剛性および透明性の改良効果が不充分であり、造核剤の含量が下記範囲より多いと、それ以上の改良効果は少なく、経済的でない。
〔プロピレン系樹脂組成物〕
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、プロピレン・エチレン共重合体(C)を含む。プロピレン系樹脂組成物の各成分の含有量は、プロピレン系重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)およびプロピレン・エチレン共重合体(C)の合計を100質量部とすると、通常はプロピレン系重合体(A)57〜80質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)17〜40質量部、プロピレン・エチレン共重合体(C)3〜20質量部であり、好ましくはプロピレン系重合体(A)62〜75質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)22〜35質量部、プロピレン・エチレン共重合体(C)3〜10質量部である。プロピレン系樹脂組成物が造核剤を含有する場合にはその含有量は、プロピレン系重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)およびプロピレン・エチレン共重合体(C)の合計を100質量部とすると、通常は0.1〜0.5質量部であり、好ましくは0.1〜0.4質量部である。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜、中和剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、気泡防止剤、分散剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、架橋剤、架橋助剤等の添加剤、デグラ剤(有機過酸化物);染料、顔料等の着色剤等の他の成分を含んでいてもよい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物が、他の成分を含む場合には、プロピレン系重合体(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計を100質量部とすると、通常は0.00001〜10質量部の範囲で含まれる。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)(測定温度230℃、荷重2.16kg)が20〜200g/10分であることが好ましく、25〜140g/10分であることがより好ましく、30〜80g/10分であることが更に好ましい。上記範囲では、プロピレン系樹脂組成物を用いて容器等の成形体を成形する際の流動性に優れるため好ましい。
プロピレン系樹脂組成物のMFRは、プロピレン系樹脂組成物を構成するプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)を適宜選択することにより調整が可能である。
また、上記方法以外でも、各成分を混練機で溶融混練する際に、有機過酸化物を共存させることにより、調整が可能である。すなわち、溶融混練する際に有機過酸化物を添加すること、あるいは溶融混練する際に、有機過酸化物の添加量を増やすことにより、プロピレン系樹脂組成物のMFRを高くすることができる。本発明で使用することができる有機過酸化物としては、特に限定はされないが、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキユミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5,−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキユミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キユメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイドもしくは2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物を例示できる。また、これらのうち、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンがより好ましい。有機過酸化物を使用する場合、プロピレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計100質量部に対して0.005〜0.05質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、引張弾性率が700〜1700MPaであることが好ましく、900〜1500MPaであることがより好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の引張弾性率は、該組成物を型締め力40トンの射出成形機を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度40℃の条件で、射出成形することにより得られる引張弾性率用試験片を用いて測定される。プロピレン系樹脂組成物の引張弾性率の具体的な測定方法としては、後述の実施例に記載した方法が挙げられる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、実施例に記載の方法で測定したシャルピー衝撃強度が、1.5kJ/m2以上であることが好ましく、1.7kJ/m2以上であることがより好ましい。上限としては特に限定は無いが、通常は4.0kJ/m2以下である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、実施例に記載の方法で測定したヘイズが、15%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましい。下限としては特に限定は無い。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の引張弾性率が上記範囲内であると、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を従来よりも薄肉化、軽量化しても剛性が高く、大きな荷重がかかっても変形し難いため好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、主としてプロピレン系重合体(A)を連続相、すなわち海相とした、いわゆる海島構造をとる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は主に島相を構成する。このため、本発明のプロピレン系樹脂組成物は高い剛性と耐衝撃性とを両立できる。また、プロピレン・エチレン共重合体(C)は、プロピレン系重合体(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との界面に存在することが望ましく、その場合は成形体が高透明になる。
(粘度比)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とプロピレン系重合体(A)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Bの粘度/Aの粘度)が、通常は2.0〜6.0であり、好ましくは2.0〜5.5であり、より好ましくは2.5〜5.0である。
この範囲を上回るとプロピレン系樹脂組成物のヘイズが悪化する。また、この範囲を下回るとプロピレン系樹脂組成物のMFRが著しく低くなり望ましくない。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン・エチレン共重合体(C)と前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Cの粘度/Bの粘度)が、通常は1.0〜4.4であり、好ましくは1.0〜4.0であり、より好ましくは1.0〜3.0であり、特に好ましくは1.0〜2.0である。
この範囲を上回るとプロピレン系樹脂組成物のヘイズが悪化する場合がある。
プロピレン系重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、プロピレン・エチレン共重合体(C)それぞれの粘度は、レオメータを用い、温度210℃、周波数25rad/sで測定することが可能である。
プロピレン系樹脂組成物を成形すると、プロピレン系重合体(A)から形成される海相に、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)から形成される島相が分散した相構造を形成する。プロピレン・エチレン共重合体(C)と前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比が前記範囲内であると、プロピレン・エチレン共重合体(C)が、プロピレン系重合体(A)から形成される海相に単独で分散せず、プロピレン系重合体(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)との界面にプロピレン・エチレン共重合体(C)が配置され、より透明性に優れる傾向があり、好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を射出成形した場合には、成形体の表面付近と、成形体内部とで島構造が異なる。具体的には、表面に近い部分では、島構造が扁平(成形体の深さ方向が短い扁平)となり、成形体内部では球形に近づく。成形体の表面付近の島構造が扁平であるため、当該部分における光散乱が抑制され内部ヘイズが小さくなる。このため本発明の成形体は透明性に優れる。また、プロピレン系重合体(A)として、シングルサイト触媒により得られた重合体を用いることにより、内部ヘイズを小さくする効果をより発揮することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前述の各成分を上記範囲で含むため、食品包装容器等の容器をはじめとする成形体を製造した際に、従来と同等の剛性、従来と同等あるいはそれ以上の低温耐衝撃性を有し、かつ従来よりも透明性に優れる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、該製造方法としては、例えば各成分を混練機で溶融混練して、プロピレン系樹脂組成物を製造する方法が挙げられる。混練機として、例えば単軸混練押出機、多軸混練押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。溶融混練条件は、混練時の剪断、加熱温度、剪断による発熱などによって溶融樹脂の劣化が起こらない限り、特に制限されない。溶融樹脂の劣化を防止する観点から、加熱温度を適正に設定したり、酸化防止剤や熱安定剤を添加したりすることは、効果的である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を公知の成形技術に従い成形することにより、さまざまな成形品を得ることができる。成形技術としては、例えば射出成型、射出延伸ブロー成型、圧縮成形、射出圧縮成形、Tダイフィルム成形、延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、シート成形、カレンダ成形、圧空成形、真空成形、パイプ成形、異型押出成形、中空成形、ラミネート成形等が挙げられる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物から形成される成形体としては、容器、家電部品、日用品等が挙げられる。中でも耐衝撃性・剛性の観点から容器が好ましい。
本発明の容器は、前述のプロピレン系樹脂組成物から形成される。容器としては、洗髪剤・調髪剤・化粧品・洗剤・殺菌剤などの液体日用品用の包装容器;清涼飲料水・水・調味料などの液体用の食品包装容器;ゼリー、プリン、ヨーグルトなどの固体用の食品包装容器;その他の薬品用の包装容器;工業用の液体用の包装容器などとして広範囲に使用できる。
中でも、従来よりも薄肉化、軽量化することが求められるとともに、内容物の視認性に優れ、臭気が少ないことが求められる食品包装容器として好適に用いることができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物から形成される容器(例えば食品包装容器)は射出成形または射出延伸ブロー成形により得られることが好ましい。
射出成形の方法としては例えば射出成形機を用いて下記のような方法で成形を行うことができる。まず、射出機構のホッパー内にプロピレン系樹脂組成物を導入し、およそ200℃〜250℃に加熱してあるシリンダーにプロピレン系樹脂組成物を送り込み、混練可塑化して溶融状態にする。これをノズルから高圧高速(最大圧力700〜1500kg/cm3)で、冷却水あるいは温水等により5〜50℃好ましくは30〜50℃に温調された、型締め機構にて閉じられている金型内に射出する。金型からの冷却により射出されたプロピレン系樹脂組成物を冷却固化させ型締め機構にて金型を開き、成型品を得ることにより行うことができる。
また、射出延伸ブロー成形としては例えば、射出成形機のホッパー内にプロピレン系樹脂組成物を導入し、およそ200℃〜250℃に加熱してあるシリンダーに樹脂を送り込み、混練可塑化して溶融状態にする。これをノズルから高圧高速(最大圧力700〜1500kg/cm3)で、冷却水あるいは温水等により5〜50℃好ましくは10〜30℃に温調された、型締め機構にて閉じられている金型内に射出成型し、そこで1.0〜3.0秒間冷却してプリフォームを形成し、その後直ちに型を開き延伸ロッドを用いて縦方向へと延伸配向し、さらにブロー成形によって横方向へと延伸配向させ成型品を得ることにより行うことができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[評価方法]
以下に記載の方法に従い、プロピレン系重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、プロピレン・エチレン共重合体(C)およびプロピレン系樹脂組成物の物性を測定した。
[メルトフローレート(MFR)]
MFRは、ASTM D 1238に従い、230℃または190℃、2.16kg荷重で測定した。
[密度]
密度は、下記の方法で測定した。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の、測定温度190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート測定時(ASTM D−1238)に得られるストランドを、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したものをサンプルとして用い、密度勾配管法にて密度の測定を行った。
[粘度]
密度はレオメータ(アントンパールジャパン製 PHYSICA MCR301)を用いて測定した。
測定条件は以下の通り設定した。
サンプル:プレス板 28mmφ×1mm
測定治具:プレート−プレート
ギャップ:0.8mm
測定温度:210℃
測定周波数:25rad/s
[分子量分布]
ポリマーの分子量分析に、次の条件でGPC分析を実施し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
装置:Waters社製 Alliance GPC 2000型
カラム:TSKgel GMH6−HTx2 TSKgel GMH6−HTLx2(いずれも東ソー社製、内径7.5mmx長さ30cm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロロベンゼン(0.025%ジブチルヒドロキシトルエン含有)
検出器:示差屈折計
流量:1.0mL/min
試料濃度:0.15%(w/v)
注入量:0.5mL
サンプリング時間間隔:1秒
カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)。
[立体規則性]
ペンタッド分率(mmmm:〔%〕)
プロピレン系重合体(A)のペンタッド分率(mmmm,%)を、Macromolecules 8,687(1975)に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
[立体規則性分布 DSC半値幅]
プロピレン系重合体(A)の融解温度(Tm)ピークの半値幅は、以下の条件でDSC測定を行い求めた。
示差走査熱量計〔SII社 RDC220〕を用いて、約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度500℃/minで230℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/minで50℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/minで190℃まで昇温した。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピークとし、その温度を融解温度(Tm)として求め、そのピークの半値幅を導出した。
[エチレン割合]
プロピレン・エチレン共重合体(C)のエチレンに由来する構成単位の割合(wt%)を、13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
[ヘイズ]
各実施例比較例で得たヘイズ測定用角板試験片のヘイズは、JIS K 7136に定められたヘイズ試験法に従って日本電色工業社製NDH2000を用いて測定した。
試験片は後述の射出成形で得られた、長さ60mm、幅60mm、厚さ1mmの試験片を用いた。この、ヘイズの評価結果を透明性の指標とした。つまり、値の小さいものが透明性に優れているとした。
[引張弾性率]
各実施例、比較例で得た引張弾性率測定用の試験片の引張弾性率は、JIS K7202に定められた引張弾性率試験法に従って、下記測定条件で行った。
<測定条件>
温度 : 23℃
試験片 : JIS K7162−BA ダンベル
5mm(幅)×2mm(厚さ)×75mm(長さ)
引張速度 : 1.0mm/分
スパン間距離 : 58mm
[低温耐衝撃性]
シャルピー衝撃試験を、JIS K7111に従って下記の条件で行い、シャルピー衝撃強度〔kJ/m2〕を求めた。
<試験条件>
温度:0℃
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ)
シングルノッチ、エッジワイズ垂直、 ノッチは機械加工
[プロピレン系重合体(A1)の製造]
(1)固体触媒担体の製造
1L枝付フラスコにSiO2(AGCエスアイテック製サンスフェアH121)300gをサンプリングし、トルエン800mLを入れ、スラリー化した。次に5L4つ口フラスコへ移液をし、トルエン260mLを加えた。メチルアルミノキサン(以下、MAO)−トルエン溶液(10wt%溶液)を2830mL導入した。室温のままで、30分間攪拌した。1時間で110℃に昇温し、4時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した。冷却後、上澄みトルエンを抜き出し、フレッシュなトルエンで、置換率が95%になるまで、置換を行った。
(2)固体触媒の製造(担体への金属触媒成分の担持)
グローブボックス内にて、5L4つ口フラスコに[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライドを1.0g秤取った。フラスコを外へ出し、トルエン0.5Lおよび前記(1)で調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー2.0L(固体成分として100g)を窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。
得られた[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド/MAO/SiO2/トルエンスラリーはn−ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を4.5リットルとした。この操作は、室温で行った。その後に固形分(固体触媒成分)を回収した。
(3)前重合触媒の製造
前記(2)で調製した固体触媒成分101g、トリエチルアルミニウム111mL、ヘプタン80Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちエチレンを303g挿入し、180分間攪拌しながら反応させた。
重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去およびヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で1g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は固体触媒成分1g当りポリエチレンを3g含んでいた。
(4)本重合
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を5NL/時間、前記(3)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として3.2g/時間、トリエチルアルミニウム1.0ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量1000Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを50kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.10mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。次いで得られたスラリーを内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.10mol%になるように供給した。重合温度69℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行った。更に得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを12kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.10mol%になるように供給した。重合温度68℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行った。最後に得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを13kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.10mol%になるように供給した。重合温度67℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行い、プロピレン系重合体を40kg/時間で得た。
得られたスラリーを気化後、気固分離を行い、コニカル乾燥機に導入して80℃で真空乾燥を行った。
以上のようにして得られたプロピレン系重合体のMFR(230℃、荷重2.16kg)は4.0g/10分、ペンタッド分率(mmmm)は95%、Tmピークの半値幅は3.3℃、Mw/Mnは3.0であった。
得られたプロピレン系重合体を、デグラ剤(カヤヘキサAD;化薬アクゾ株式会社)を用いて処理し、プロピレン系重合体(A1)を得た。プロピレン系重合体(A1)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は103g/10分、粘度η*(周波数:25rad/s)(210℃)は210Pa・s、Mw/Mnは2.2、ペンタッド分率(mmmm)は95%、Tmピークの半値幅は8.5℃であった。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造]
(触媒の調製)
充分に窒素置換した300リットルの反応器に600℃で10時間乾燥したシリカ10.0kgとトルエン154リットルとを装入し、懸濁状にして0℃まで冷却した。その後、この懸濁液に、メチルアミノキサンのトルエン溶液(Al=3.02モル/リットル)23.4リットルを1時間かけて滴下した。この際、系内の温度を0〜5℃の範囲に保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法により除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100リットルで再懸濁し、全量を160リットルとした。
このようにして得られた懸濁液に、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr=25.6ミリモル/リットル)20.0リットルを35℃で30分間かけて滴下し、さらに35℃で2時間反応させた。その後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、固体触媒成分1g当り3.2mgのジルコニウムを含有する固体触媒成分(1)を得た。
(予備重合触媒の調製)
充分に窒素置換した350リットルの反応器に、上記で調製した固体触媒成分(1)7.0kgとヘキサンを装入し、全容積を285リットルにした。系内を10℃まで冷却した後、エチレンを8Nm3/hrの流量で5分間ヘキサン中に吹き込んだ。この間、系内の温度は、10〜15℃に保持した。その後、エチレンの供給を停止し、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBALH)を2.4モルおよび1−ヘキセンを1.2kg装入した。系内を密閉系にした後、8Nm3/hrの流量でエチレンの供給を再度開始した。15分後、エチレンの流量を2Nm3/hrに下げ、系内の圧力を0.08MPaGにした。この間に、系内の温度は35℃まで上昇した。その後、系内の温度を32〜35℃に調節しながら、エチレンを4Nm3/hrの流量で3.5時間供給した。この間、系内の圧力は0.07〜0.08MPaGに保持されていた。次いで、系内を窒素により置換を行った後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄した。このようにして固体触媒成分1g当たり3gのポリマーが予備重合された予備重合触媒(2)を得た。
(重合)
連続式流動床気相重合装置を用い、全圧2.0MPaG、重合温度80℃、ガス線速0.7m/秒で、エチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。
上記で調製した予備重合触媒(2)を4.1g/hrおよびトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を5ミリモル/hrの割合で連続的に供給しながら重合を開始した。
重合の間一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成;1−ヘキセン/エチレン=0.03、水素/エチレン=4.2×10-4、エチレン濃度=71%)。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体の収量は6.0kg/hrであり、密度が913kg/m3であり、MFR(230℃、荷重2.16kg)が6.2g/10分、MFR(190℃、荷重2.16kg)が3.3g/10分、粘度η*(周波数:25rad/s)(210℃)が746Pa・sであった。
なお、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体をエチレン・α−オレフィン共重合体(B1)とも記す。
[プロピレン・エチレン共重合体(C1)の製造]
容積300リットルの連続重合器の供給口より、メタロセン触媒化合物((8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド)を0.026mmol/hr、修飾メチルアルミノキサンを6.5mmol/hr、トリイソブチルアルミニウムを3.5mmol/hrで、トルエンとともに連続的に供給した(合計33L/hr)。
同時に重合器の別の供給口より、プロピレンを15kg/hr、エチレンを2.7kg/hr、水素を4L/hrの割合で連続供給し、重合温度60℃、全圧1.3MPaG、滞留時間100分の条件下で連続溶液重合を行った。
重合器で生成したプロピレン・エチレン共重合体のトルエン溶液は、加温しトルエンを除去した。その結果、プロピレン・エチレン共重合体が11.1kg/hの生産スピードで得られた。
得られたプロピレン・エチレン共重合体(C1)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は10g/10min、エチレン含量は28mol%、粘度η*(周波数:25rad/s)は961Pa・s、Mw/Mnは3であった。
[プロピレン・エチレン共重合体(C2)の製造]
容積300リットルの連続重合器の供給口より、メタロセン触媒化合物((8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド)を0.023mmol/hr、修飾メチルアルミノキサンを5.8mmol/hr、トリイソブチルアルミニウムを3.1mmol/hrで、トルエンとともに連続的に供給した(合計33L/hr)。
同時に重合器の別の供給口より、プロピレンを15kg/hr、エチレンを3.1kg/hr、水素を2L/hrの割合で連続供給し、重合温度60℃、全圧1.3MPaG、滞留時間100分の条件下で連続溶液重合を行った。
重合器で生成したプロピレン・エチレン共重合体のトルエン溶液は、加温しトルエンを除去した。その結果、プロピレン・エチレン共重合体が9.3kg/hの生産スピードで得られた。
得られたプロピレン・エチレン共重合体(C2)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は6g/10min、エチレン含量は26mol%、粘度η*(周波数:25rad/s)は1640Pa・s、Mw/Mnは3であった。
[プロピレン・エチレン共重合体(C3)の製造]
容積300リットルの連続重合器の供給口より、メタロセン触媒化合物((8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド)を0.020mmol/hr、修飾メチルアルミノキサンを5.0mmol/hr、トリイソブチルアルミニウムを2.7mmol/hrで、トルエンとともに連続的に供給した(合計33L/hr)。
同時に重合器の別の供給口より、プロピレンを14kg/hr、エチレンを2.1kg/hr、水素を1L/hrの割合で連続供給し、重合温度60℃、全圧1.3MPaG、滞留時間100分の条件下で連続溶液重合を行った。
重合器で生成したプロピレン・エチレン共重合体のトルエン溶液は、加温しトルエンを除去した。その結果、プロピレン・エチレン共重合体が8.01kg/hの生産スピードで得られた。
得られたプロピレン・エチレン共重合体(C3)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は2g/10min、エチレン含量は24mol%、粘度η*(周波数:25rad/s)は3250Pa・s、Mw/Mnは3であった。
[プロピレン・エチレン共重合体(C4)の製造]
C1〜3と同様の手法を適用し、MFR(230℃、荷重2.16kg)が1g/10min、エチレン含量は24mol%、粘度η*(周波数:25rad/s)は4540Pa・s、Mw/Mnは3なるように調整し、プロピレン・エチレン共重合体(C4)を得た。
[参考例1]
プロピレン系重合体(A1)を100質量部、造核剤としてミラードNX8000(ミリケン社製)を0.3質量部、および添加剤としてリン系酸化防止剤[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト]を0.1質量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.09質量部、滑剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部、デグラ剤としてカヤヘキサAD(化薬アクゾ株式会社)を0.12質量部、ヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、その混合物をナカタニ機械社製の二軸押出機(NR−36)を用いて下記条件にて溶融混練しストランドを得た。
得られたストランドを水冷後ペレタイザーにて切断する事によりプロピレン系樹脂組成物のペレット(1)を得た。
(二軸押出機条件)
型式:NR−36
スクリュー回転数250rpm
樹脂温度200℃
得られたペレット(1)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(1)から、型締め力40トンの電動射出成形機(東芝機械製シリーズモデルEC40NII)を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度40℃の条件で、長さ60mm、幅60mm、厚さ1mmの試験片を射出成形しヘイズ測定用角板試験片を得た。
また、同条件で引張弾性率用試験片(JIS K7162−BA)(5mm(幅)×2mm(厚さ)×75mm(長さ))、シャルピー衝撃強度用試験片(10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ))を作製した。
これら試験片を用いて、ヘイズ、引張弾性率、シャルピー衝撃強度(シングルノッチ、エッジワイズ垂直、温度0℃)を測定した。結果を表4に示した。
[参考例2]
造核剤の量を0.3質量部から0.41質量部に変更した以外は、参考例1と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(2)を得た。
得られたプロピレン系樹脂組成物のペレット(2)を73質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)を27質量部を混合し、その混合物を東洋精機製作所社製の二軸押出機(ラボプラストミル・マイクロ)を用いて、溶融混練しストランドを得て、さらにペレタイザーで切断し、プロピレン系樹脂組成物のペレット(3)を得た。
得られたペレット(3)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(3)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
(二軸押出機条件)
型式:ラボプラストミル・マイクロ
スクリュー回転数45rpm
樹脂温度200℃
[実施例1]
造核剤の量を0.3質量部から0.43質量部に変更した以外は、参考例1と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(4)を得た。
得られたプロピレン系樹脂組成物のペレット(4)を69質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)を25質量部、プロピレン・エチレン共重合体(C1)を6質量部を混合し、その混合物を東洋精機製作所社製の二軸押出機(ラボプラストミル・マイクロ)を用いて、溶融混練しストランドを得て、さらにペレタイザーで切断し、プロピレン系樹脂組成物のペレット(5)を得た。
得られたペレット(5)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(5)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
(二軸押出機条件)
型式:ラボプラストミル・マイクロ
スクリュー回転数45rpm
樹脂温度200℃
[比較例1]
プロピレン系樹脂組成物1(J13BP;プライムポリマー社製)を70質量部、プロピレン系樹脂組成物2(J105P;プライムポリマー社製)を30質量部、造核剤としてミラードNX8000(ミリケン社製)を0.3質量部、および添加剤としてリン系酸化防止剤[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト]を0.1質量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.09質量部、滑剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部をヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、その混合物をナカタニ機械社製の二軸押出機(NR−36)を用いて参考例1と同じ条件にて溶融混練しストランドを得た。
得られたストランドを水冷後ペレタイザーにて切断する事によりプロピレン系樹脂組成物のペレット(6)を得た。
得られたペレット(6)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(6)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例2]
造核剤の量を0.3質量部から0.41質量部に変更した以外は、比較例1と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(7)を得た。
得られたプロピレン系樹脂組成物のペレット(7)を73質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)を27質量部を混合し、参考例2と同様の方法で、溶融混練しストランドを得て、ペレタイザーで切断し、プロピレン系樹脂組成物のペレット(8)を得た。
得られたペレット(8)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(8)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例3]
造核剤の量を0.3質量部から0.43質量部に変更した以外は、比較例1と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(9)を得た。
得られたプロピレン系樹脂組成物のペレット(9)を69質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)を25質量部、プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)を6質量部を混合し、実施例1と同様の方法で、溶融混練しストランドを得て、ペレタイザーで切断し、プロピレン系樹脂組成物のペレット(10)を得た。
得られたペレット(10)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(10)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
なお、タフマーS4020は、チグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたPERであり、MFR(230℃)は2g/10分、エチレン含有割合は31重量%、粘度η*(周波数:25rad/s)は2430Pa・s、Mw/Mnは5であった。
であった。
[比較例4]
プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(C1)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(11)を得た。
得られたペレット(11)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(11)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例5]
プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(C2)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(12)を得た。
得られたペレット(12)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(12)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例6]
プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(C3)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(13)を得た。
得られたペレット(13)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(13)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例7]
プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4030、三井化学社製)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(14)を得た。
得られたペレット(14)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(14)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
なお、タフマーS4030は、チグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたPERであり、MFR(230℃、荷重2.16kg)は0.4g/10分、エチレン含有割合は31mol%、粘度η*(周波数:25rad/s)は4870Pa・s、Mw/Mnは5であった。
[比較例8]
プロピレン系樹脂組成物1(J13BP;プライムポリマー社製)を70質量部から100質量部に変更し、プロピレン系樹脂組成物2(J105P;プライムポリマー社製)を30質量部から0質量部に変更し、プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(C4)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(15)を得た。
得られたペレット(15)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(15)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例9]
プロピレン系樹脂組成物1(J13BP;プライムポリマー社製)を70質量部から85質量部に変更し、プロピレン系樹脂組成物2(J105P;プライムポリマー社製)を30質量部から15質量部に変更し、プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(C4)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(16)を得た。
得られたペレット(16)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(16)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例10]
プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(C4)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(17)を得た。
得られたペレット(17)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(17)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
[比較例11]
プロピレン系樹脂組成物1(J13BP;プライムポリマー社製)を70質量部から52質量部に変更し、プロピレン系樹脂組成物2(J105P;プライムポリマー社製)を30質量部から48質量部に変更し、プロピレン・エチレン共重合体(タフマーS4020;三井化学社製)をプロピレン・エチレン共重合体(C4)に変更した以外は、比較例3と同様に行い、プロピレン系樹脂組成物のペレット(18)を得た。
得られたペレット(18)を用いて、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFR(230℃、荷重2.16kg)の測定を実施した。結果を表4に示した。
得られたペレット(18)について、参考例1と同様の方法で、成形し、試験片を得て、各物性を評価した。結果を表4に示す。
参考例、実施例、比較例で用いたプロピレン系重合体の物性を表1に示し、エチレン・α−オレフィン共重合体の物性を表2に示し、プロピレン・エチレン共重合体の物性を表3に示し、参考例、実施例、比較例で得られたプロピレン系樹脂組成物の物性、評価結果を表4に示す。
なお、表1におけるJ13BP:J105P=70:30、J13BP:J105P=85:15、J13BP:J105P=52:48との記載は、それぞれ、J13BPとJ105Pとの質量比が70:30、85:15、52:48の混合物であることを意味する。
なお、J13BPとJ105Pとの混合物の物性は、J13BPとJ105Pとを所定の質量比で、ヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、その混合物をナカタニ機械社製の二軸押出機(NR−36)を用いて参考例1と同じ条件にて溶融混練することにより得られたストランドについて測定した。
Figure 2016191025
Figure 2016191025
Figure 2016191025
Figure 2016191025
実施例および比較例1〜4より、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、引張弾性率、シャルピー衝撃強度に優れるとの特性を有したまま、ヘイズが低い(透明性に優れる)ことがわかる。
また、実施例および比較例3、5〜11より、前述の粘度の比(Bの粘度/Aの粘度)および(Cの粘度/Bの粘度)の最適範囲がわかる。

Claims (5)

  1. 下記要件(A1)〜(A3)を満たすプロピレン系重合体(A)、下記要件(B1)および(B2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、下記要件(C1)および(C2)を満たすプロピレン・エチレン共重合体(C)を含むプロピレン系樹脂組成物。
    (A1)プロピレン系重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.5〜4.5である
    (A2)プロピレン系重合体(A)のレオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)が100〜400Pa・sである
    (A3)プロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度230℃、荷重2.16kg)が1〜500g/10分である
    (B1)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が885〜925kg/m3である
    (B2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D−1238、測定温度190℃、荷重2.16kg)が0.1〜50g/10分である
    (C1)プロピレン・エチレン共重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.5〜4.5である
    (C2)プロピレン・エチレン共重合体(C)のエチレンに由来する構成単位の質量が、プロピレン・エチレン共重合体(C)100質量%中25〜35質量%である
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とプロピレン系重合体(A)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Bの粘度/Aの粘度)が、2.0〜6.0である請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記プロピレン・エチレン共重合体(C)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)との、レオメータにより210℃で測定した粘度η*(周波数:25rad/s)の比(Cの粘度/Bの粘度)が、1.0〜4.0である請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物から形成される成形体。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物から形成される容器。
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