JP2016190794A - 錠剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】崩壊性に優れ、強度が高い錠剤、および崩壊性に優れ、強度が高い錠剤を簡便に製造できる方法を簡便に製造できる方法の提供。
【解決手段】本発明の錠剤は、下記(A)成分と、下記(B)成分と、下記(C)成分とを併有する薬物層を備え、前記薬物層の水分量が5質量%以上である。
(A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種。
(B)成分:乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種。
(C)成分:着色料。
【選択図】なし

Description

本発明は、錠剤およびその製造方法に関する。
非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)の中でもロキソプロフェンナトリウムは、優れた消炎、鎮痛、解熱作用を有し、副作用が比較的少ないことから解熱鎮痛剤の成分として広く使用されている。
しかし、ロキソプロフェンナトリウムを配合した錠剤は一般に崩壊が遅く、優れた鎮痛効果が迅速に発現されないという問題があった。
ロキソプロフェンナトリウムを配合した錠剤の崩壊性を高める手段としては、例えばロキソプロフェンナトリウムに、特定のグレードのヒドロキシプロピルセルロースとステアリン酸マグネシウムとを組み合わせることで、錠剤の吸水力を高める方法が知られている(特許文献1、2参照)。
また、ロキソプロフェンナトリウムとトラネキサム酸とを共配合することで遅延した錠剤の崩壊時間を、酸化マグネシウムをさらに配合することにより改善する方法(例えば特許文献3参照)、ロキソプロフェンナトリウムとチペピジンとを共配合することで遅延した錠剤の崩壊時間を、L−カルボシステインをさらに配合することにより改善する方法(例えば特許文献4参照)なども知られている。
特開平09−169641号公報 特開2000−178190号公報 特開2014−162743号公報 特開2014−111565号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法によって得られる錠剤の崩壊性は十分に早いとはいえない。
また、特許文献3、4に記載の方法によって得られる錠剤の崩壊性も、十分なものとはいえなかった。特許文献3、4に記載の方法は、配合変化を及ぼす薬剤を共配合しない場合には活用でいない技術であり、そのような場合においても優れた崩壊性が求められている。
ところで、錠剤には、服用後は優れた崩壊性が求められるが、製造時や保管時などの服用前は欠けや割れが発生しにくい強度も求められる。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、崩壊性に優れ、強度が高い錠剤、および崩壊性に優れ、強度が高い錠剤を簡便に製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記(A)成分と、下記(B)成分と、下記(C)成分とを併有する薬物層を備え、前記薬物層の水分量が5質量%以上である、錠剤。
(A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種。
(B)成分:乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種。
(C)成分:着色料。
[2] 前記(C)成分が三二酸化鉄および黄色三二酸化鉄の少なくとも一方である、[1]に記載の錠剤。
[3] 1000×(C)成分/(A)成分で表される質量比が0.15〜3.5である、[1]または[2]に記載の錠剤。
[4] (B)成分/(A)成分で表される質量比が0.14〜3である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の錠剤。
[5] [1]〜[4]のいずれか1つに記載の錠剤の製造方法であって、前記薬物層を構成する粉体を打錠成型して薬物層を形成する、錠剤の製造方法。
[6] 粉体の前記(A)成分と、粉体の前記(B)成分と、粉体の前記(C)成分とを混合し、前記の薬物層を構成する粉体を調製する、[5]に記載の錠剤の製造方法。
[7] 前記の薬物層を構成する粉体は、(D)成分として前記(A)成分、前記(B)成分および前記(C)成分以外の粉体を含み、粉体の前記(C)成分と前記(D)成分の一部との混合粉体と、粉体の前記(A)成分、粉体の前記(B)成分および前記(D)成分の残部とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、[5]または[6]に記載の錠剤の製造方法。
[8] 前記の薬物層を構成する粉体は、(D)成分として前記(A)成分、前記(B)成分および前記(C)成分以外の粉体を含み、粉体の前記(C)成分と前記(D)成分との混合粉体と、粉体の前記(A)成分および粉体の前記(B)とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、[5]または[6]に記載の錠剤の製造方法。
[9] 前記(D)成分が、結合剤、賦形剤、崩壊剤からなる群より選ばれる1種以上である、[7]または[8]に記載の錠剤の製造方法。
[10] 前記薬物層の水分量が5質量%以上になるように、前記(A)成分および前記(B)成分の少なくとも一方の水分量を調整し、前記の薬物層を構成する粉体を調製する、[6]〜[9]のいずれか1つに記載の錠剤の製造方法。
本発明の錠剤は、崩壊性に優れ、強度が高い。
また、本発明の錠剤の製造方法によれば、崩壊性に優れ、強度が高い錠剤を簡便に製造できる。
[錠剤]
本発明の錠剤は薬物層を備える。錠剤は、薬物層のみで構成された単層構造(単層錠)であってもよいし、薬物層と薬物層以外の層(任意層)とで構成された積層構造(積層錠)であってもよい。
薬物層は、以下に示す(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを併有する。
<(A)成分>
(A)成分は、ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(A)成分は、解熱鎮痛成分である。
ロキソプロフェンの塩としては、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩であれば特に制限されず、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
また、ロキソプロフェンおよびその塩は、水和物の状態で存在していてもよい。水和物の状態であるものの好適例としては、ロキソプロフェンナトリウム二水和物が挙げられる。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の場合、原末の水分量は約12質量%である。
(A)成分としては、ロキソプロフェンの塩が好ましく、ロキソプロフェンナトリウムがより好ましい。
(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
<(B)成分>
(B)成分は、乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(B)成分は、制酸剤の役割を果たす。
乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトには、結合水等の水が保持されていてもよい。
(B)成分としては、崩壊性に優れた錠剤が得られやすく、しかも錠剤を保存した後も崩壊遅延が生じにくくなることから、乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトが好ましく、乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネートがより好ましい。
なお、乾燥水酸化アルミニウムゲルとしては、「第十六改正 日本薬局方」に所載の乾燥水酸化アルミニウムゲルが挙げられる。
(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
<(C)成分>
(C)成分は、着色料である。
(C)成分と(B)成分とを併用することにより、顆粒同士の付着性が低下し、錠剤の崩壊性が向上する。
(C)成分としては、食用着色料、食用着色料以外の有機顔料および無機顔料、動植物抽出物などが挙げられる。
食用着色料としては、例えば、オレンジエッセンス、カラメル、カルミン、β−カロテン、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、銅クロロフイリンナトリウム、銅クロロフィル、リボフラビンなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、金箔、薬用炭などが挙げられる。
動植物抽出物としては、例えば、カンゾウエキス、アセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、緑茶末などが挙げられる。
これらの中でも、打錠成型時における杵付着がより抑えられる点から、無機顔料が好ましく、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄等の鉄を主成分とする無機顔料がより好ましく、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄が特に好ましい。
(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
<錠剤の形態>
錠剤の大きさは特に限定されないが、錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の観点から、錠剤の直径は6〜13mmφが好ましく、7〜10mmφがより好ましく、7〜9mmφがさらに好ましい。
錠剤の形状としては、丸みを帯びたR錠または2段階R錠が好ましく、キャップ部分の高さは服用性の観点から1.0〜2.0mmが好ましい。キャップ部の高さが上記範囲内であれば、錠剤の崩壊性がより向上し、錠剤強度もより高まる。
錠剤は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを併有する薬物層を備える。すなわち、(A)成分と(B)成分と(C)成分とが同一層に存在する。(A)成分と(B)成分と(C)成分とを同一層に存在させるには、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを一緒に打錠して、1つの層(薬物層)を形成すればよい。
また、(A)成分、(B)成分および(C)成分は、同一顆粒中に存在しないことが好ましい。ここで、「同一顆粒中に存在しない」とは、(A)成分の原末と(B)成分の原末と(C)成分の原末とを一緒に造粒しないことを意味する。
薬物層における(A)成分の含有量は、薬物層の総質量100質量%中、15〜35質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が、15質量%以上であれば一回当たりの服用錠剤数を減らすことができ、十分な解熱、鎮痛効果が得られ、35質量%以下であれば(B)成分および(C)成分を十分に含有させることができるので、十分な制酸効果および崩壊性の向上効果が得られる。
薬物層における(B)成分の含有量は、薬物層の総質量100質量%中、4.5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、28〜40質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が、4.5質量%以上であれば十分な制酸効果が得られ、50質量%以下であれば(A)成分を十分に含有させることができるので、一回当たりの服用錠剤数を減らすことができる。
薬物層における(C)成分の含有量は、薬物層の総質量100質量%中、0.001〜0.2質量%が好ましく、0.01〜0.1質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が、0.001質量%以上であれば十分な崩壊性の向上効果が得られ、0.2質量%以下であれば(A)成分を十分に含有させることができるので、一回当たりの服用錠剤数を減らすことができる。
なお、(A)成分および(B)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
また、錠剤中の(A)成分の含有量は、45〜85mgが好ましく、50〜70mgがより好ましい。
錠剤中の(B)成分の含有量は、20〜170mgが好ましく、40〜130mgがより好ましい。
錠剤中の(C)成分の含有量は、0.01〜0.2mgが好ましく、0.03〜0.1mgがより好ましい。
なお、1錠あたりの錠剤質量は、150〜550mgが好ましい。
また、(A)成分および(B)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
また、(B)成分/(A)成分で表される質量比は、0.14〜3が好ましく、0.14〜2.9がより好ましく、0.3〜2.9がさらに好ましく、0.7〜2.9が特に好ましく、1.4〜2.2が最も好ましい。質量比を上記範囲内とすることで、錠剤の崩壊性がより向上する。
なお、(A)成分および(B)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
また、1000×(C)成分/(A)成分で表される質量比は、0.15〜3.5が好ましく、0.5〜3.5がより好ましく、1.0〜3.5がさらに好ましい。質量比を上記範囲内とすることで、錠剤の崩壊性がより向上する。また、錠剤の外観も良好となる。
なお、(A)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
また、1000×(C)成分/(B)成分で表される質量比は、0.2〜3が好ましく、0.25〜2.35がより好ましく、0.35〜2がさらに好ましい。質量比を上記範囲内とすることで、錠剤の崩壊性がより向上する。また、錠剤の外観も良好となる。
なお、(B)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とする。
<錠剤の物性>
薬物層の水分量は、薬物層100質量%中、5質量%以上であり、5〜15質量%が好ましく、6〜12質量%がより好ましく、7〜10質量%がさらに好ましい。薬物層の水分量が5質量%以上であれば、優れた錠剤強度と、錠剤の崩壊性を発揮することができる。また、打錠適性の観点から水分量は15質量%以下が好ましい。
錠剤が単層錠の場合、薬物層の水分量が錠剤の水分量となる。すなわち、錠剤の水分量は、錠剤100質量%中、5質量%以上であり、5〜15質量%が好ましく、6〜12質量%がより好ましく、7〜10質量%がさらに好ましい。
一方、錠剤が積層錠の場合、少なくとも薬物層の水分量が5質量%以下であれば、任意層の水分量は特に制限されず、5質量%以下であってもよいし、5質量%超であってもよいが、錠剤全体としての水分量が5質量%以上となることが好ましい。
薬物層の水分量は、薬物層を構成する各成分の水分量(質量%)と含有量(mg)とから、各成分の水分量(mg)を求め、それらの合計を各成分の含有量の合計(mg)で割ることで算出できる。また、薬物層の水分量は以下のようにして求めてもよい。
錠剤が単層錠の場合は、まず、錠剤を乳鉢で粗粉砕する。次いで、粉砕した錠剤を電子水分計にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から錠剤の水分量を算出し、これを薬物層の水分量とする。
一方、錠剤が積層錠の場合、例えば、薬物層に任意層が含まれないように、薬物層と任意層との界面で積層錠を切断し、薬物層のみを乳鉢で粗粉砕した後に、電子水分計にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から水分量を算出し、これを薬物層の水分量とする。また、積層錠の全体の水分量は、単層錠の場合と同様にして測定すればよい。
<任意成分>
錠剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分以外の成分(任意成分)を含有していてもよい。
任意成分は、錠剤が単層錠の場合は薬物層に含まれ、錠剤が積層錠の場合は薬物層に含まれていてもよいし、任意層に含まれていてもよいが、一回の打錠工程で製造できる観点から薬物層に含まれていることが好ましい。
任意成分としては、生理活性成分、添加剤などが挙げられる。
生理活性成分としては、(A)成分以外の解熱鎮痛成分(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、セロコキシブ、ロフェコキシブ、チアラミド、アセトアミノフェン、エテンザミド、スルピリン等)、鎮静催眠成分(例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等)、抗ヒスタミン成分(例えば、塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等)、中枢興奮成分(例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等)、鎮咳去痰成分(例えば、コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、dl−メチルエフェドリン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン)、ビタミン成分(例えば、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等)などが挙げられる。これらの生理活性成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、香料、甘味剤、酸味料などが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
結合剤としては、デンプン、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなどが挙げられる。
賦形剤としては、結晶セルロース、乳糖水和物、乳糖造粒物、コーンスターチ、粉糖、マンニトール、L−システインなどが挙げられる。
崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、部分α化デンプンなどが挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
香料としては、メントール、リモネン、植物精油(例えば、ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)などが挙げられる。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロースなどが挙げられる。
酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、氷酢酸、リン酸およびそれらの塩などが挙げられる。
生理活性成分や添加剤の含有量は、本発明の効果および保存安定性を損なわない範囲内であれば特に制限されない。ただし、上述した添加剤のうち、酸味料は(A)成分と組み合わせて用いると(A)成分の効果を低下させることがある。そのため、錠剤は酸味料を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、錠剤100質量%中、0.1質量%未満のことをいう。
<製造方法>
本発明の錠剤は、薬物層を構成する粉体(以下、「薬物含有粉体」という。)を打錠成型して薬物層を形成することで得られる。
錠剤の製造方法としては、例えば、臼と杵とを有する打錠機を用いて、薬物含有粉体を打錠成型して錠剤を得る工程(打錠工程)を有するものが挙げられる。
薬物含有粉体は、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する粉体であればよく、必要に応じて任意成分を含有してもよい。
薬物含有粉体は、例えば、粉体の(A)成分と、粉体の(B)成分と、粉体の(C)成分との粉体混合物でもよいし、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含む造粒物でもよい。中でも、より簡便に錠剤を製造できる点で、粉体混合物が好ましい。
薬物含有粉体は、予め混合されたものでもよく、新たに調製されたものでもよい。すなわち、錠剤の製造方法は、粉体の各成分を混合して薬物含有粉体を調製する工程(粉体調製工程)を有してもよい。
粉体調製工程は、粉体の(A)成分と、粉体の(B)成分と、粉体の(C)成分とを混合して薬物含有粉体を得る。
粉体調製工程における混合方法としては特に限定されず、従来公知の粉体混合方法が挙げられる。
粉体調製工程に用いられる各成分は、公知の製造方法により得られたものでもよく、市販のものを用いてもよい。各成分は、原末がそのまま用いられてもよく、造粒されたものでもよい。より簡便に錠剤を製造する点から、原末をそのまま用いるのが好ましい。
造粒したものを用いる場合、造粒方法は公知の造粒方法を採用できる。造粒方法としては、例えば乾式造粒法、流動層造粒法などが挙げられる。
粉体調製工程における混合方法としては、粉体の(A)成分と、粉体の(B)成分と、粉体の(C)成分と、必要に応じて任意成分とを粉体混合機に一括して仕込み、粉体混合して薬物含有粉体を得る方法(一括混合法)が挙げられる。
また、例えば粉体調製工程における混合方法としては、粉体の(A)成分と、粉体の(B)成分と、粉体の(C)成分と、必要に応じて任意成分とを粉体混合機に順次投入しつつ、これらを混合する方法(順次混合法)が挙げられる。
薬物混合粉体が(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の粉体(すなわち、粉体の任意成分。以下、「(D)成分」という。)を含む場合、粉体調製工程における混合方法としては、粉体の(C)成分と(D)成分の一部との混合粉体(混合粉体i)と、粉体の(A)成分、粉体の(B)成分および(D)成分の残部とを混合する方法(分割混合法I)、粉体の(C)成分と(D)成分との混合粉体(混合粉体ii)と、粉体の(A)成分および粉体の(B)成分とを混合する方法(分割混合法II)が挙げられる。
中でも、薬物含有粉体および錠剤中における(C)成分の分散状態を高めるとともに、錠剤の崩壊性や強度をより高める点で、粉体調製工程における混合方法としては、分割混合法I、分割混合法IIが好ましい。
混合粉体i、混合粉体iiに含まれる(D)成分(以下、混合粉体i、混合粉体iiに用いられる(D)成分を特に「倍散粉体」という。)としては、上述した生理活性成分および添加剤のうち、粉体のものが挙げられる。中でも倍散粉体としては、結合剤、賦形剤、崩壊剤が好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、デンプン類、乳糖水和物、乳糖造粒物、結晶セルロース、マンニトールからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。これらの倍散粉体であれば、薬物含有粉体および錠剤中における(C)成分の分散状態のさらなる向上を図れる。
ここで、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとは、セルロースのヒドロキシ基がヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシプロピルセルロースのうち、低置換のものをいう。具体的には、ヒドロキシプロポキシ基の置換度(含有量)が7〜16質量%のものをいう。
デンプン類としては、トウモロコシデンプン、α化デンプン、部分α化デンプン、バレイショデンプン、コメデンプンなどが挙げられる。
倍散粉体としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、乳糖水和物、結晶セルロース、マンニトールが好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、結晶セルロースがより好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい。
倍散粉体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
混合粉体iは、予め混合されたものでもよいし、新たに調製されたものでもよい。
混合粉体iの調製方法(倍散方法)としては、粉体の(C)成分と(D)成分の一部(倍散粉体)とを高速攪拌装置、石臼式粉砕機、乳鉢等で混合する方法;粉体の(C)成分と(D)成分の一部(倍散粉体)との混合物を任意の目開きの篩で篩過する方法などが挙げられる。中でも、より均一に混合でき、かつ生産性を高められる点で、高速攪拌装置、石臼粉砕機で混合する方法が好ましい。
混合粉体i中、(C)成分と倍散粉体との配合比は、倍散粉体の種類等を勘案して決定され、例えば、1000×(B)成分/倍散粉体で表される質量比は、1〜10が好ましい。質量比を上記範囲内とすることで、薬物含有粉体および錠剤中における(C)成分の分散状態のさらなる向上を図りつつ、倍散粉体以外の成分を適切な量にしやすい。
混合粉体iiは、予め混合されたものでもよいし、新たに調製されたものでもよい。
混合粉体iiの調製方法(倍散方法)としては、粉体の(C)成分と(D)成分の全部(倍散粉体)とを高速攪拌装置、石臼式粉砕機、乳鉢等で混合する方法;粉体の(C)成分と(D)成分の全部(倍散粉体)との混合物を任意の目開きの篩で篩過する方法などが挙げられる。中でも、より均一に混合でき、かつ生産性を高められる点で、高速攪拌装置、石臼粉砕機で混合する方法が好ましい。
混合粉体ii中、(C)成分と倍散粉体との配合比は、混合粉体iと同様である。
粉体調製工程において、分割混合法I、分割混合法IIのいずれを採用するかは、(C)成分および(D)成分の配合量に応じて適宜決定される。
(打錠工程)
打錠工程で用いられる打錠機としては、例えば、ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製:リブラ3L)等が挙げられる。
打錠圧、回転盤の回転速度等の打錠条件は適宜設定される。
なお、錠剤が積層錠である場合、薬物含有粉体は、臼に最初に充填されてもよく、任意層を構成する成分よりも後に充填されてもよい。
(水分量の調整)
錠剤を製造する際には、薬物層の水分量が5質量%以上となるように水分量を調整する。
水分量を調整する方法としては、以下の方法(1)〜(3)が挙げられる。
(1)薬物層の水分量が5質量%以上になるように、(A)成分および(B)成分の少なくとも一方の水分量を調整し、薬物含有粉体を調製する。
(2)薬物層の水分量が5質量%以上になるように、薬物含有粉体の水分量を調整した後に打錠成型する。
(3)水分量が5質量%以上の薬物層を形成し、この薬物層の水分量が所望の値(好ましくは5〜15質量%)になるまで乾燥する。
方法(1)では、(A)成分および(B)成分の少なくとも一方の水分量を調整する。
(A)成分を造粒せずに原末のまま用いる場合、(A)成分の原末を乾燥する方法としては棚乾燥が挙げられ、例えば箱式通気型式乾燥機で、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間5〜120分の条件で(A)成分の原末を乾燥することが好ましい。
(A)成分の原末を造粒して用いる場合、造粒しながら乾燥してもよいし、造粒した後に乾燥を行ってもよい。
造粒しながら乾燥する場合は流動層造粒が好適であり、例えば給気温度70℃未満で流動層造粒しながら水分量を調整する。さらに、結合剤の噴霧を停止した後も給気温度70℃未満で10〜30分程度、熱風を供給して乾燥を行うことが好ましい。
造粒した後に乾燥を行う場合は、例えば攪拌造粒により(A)成分の原末を造粒した後、上述した棚乾燥を行うことが好ましい。
(B)成分を造粒せずに原末のまま用いる場合、(B)成分の原末の乾燥方法としては上述した棚乾燥が挙げられる。
(B)成分の原末を造粒して用いる場合、(A)成分と同様、造粒しながら乾燥してもよいし、造粒した後に乾燥を行ってもよい。
方法(1)では、(A)成分および(B)成分の水分量を調整してもよいし、いずれか一方の水分量を調整してもよい。錠剤の崩壊性、強度および打錠適性の点で、(B)成分の水分量を調整することが好ましい。
(B)成分の水分量の下限値は5質量%以上が好ましく、7.5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。(B)成分の上限値は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。(B)成分の水分量を5質量%以上に調整することで、錠剤の強度がより高まる。
(A)成分および(B)成分の水分量は、各成分を電子水分計にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から算出する。
方法(2)では、薬物層の水分量が5質量%以上になるように、薬物含有粉体の水分量を調整した後に打錠する。
薬物含有粉体の乾燥方法としては、上述した棚乾燥が挙げられる。
薬物含有粉体の水分量は、打錠されて錠剤となったときに、薬物層の水分量が5質量%以上となれば特に制限されないが、5質量%以上が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、6〜12質量%がさらに好ましく、7〜10質量%が特に好ましい。薬物含有粉体の水分量が上記範囲内であれば、水分量が5質量%以上の薬物層を容易に形成できる。
薬物含有粉体の水分量は、混合物を電子水分計にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から算出する。
方法(3)では、水分量が5質量%以上の薬物層を形成し、この薬物層の水分量が所望の値(好ましくは5〜15質量%)になるまで乾燥する。
錠剤の乾燥方法としては、上述した棚乾燥が挙げられる。
錠剤の水分量の調整方法としては、崩壊性がより向上し、より高い強度の錠剤が効率よく得られる点で、方法(1)が好ましく、(B)成分の原末を造粒せずに乾燥して水分量を調整することがより好ましい。
(その他の工程)
得られた錠剤は、必要に応じてコーティング剤によりコーティング処理を施してもよい。
コーティング剤としては、錠剤の崩壊性を損なわないものを選択して用いることが好ましく、水溶性高分子化合物、可塑剤が適している。
水溶性高分子化合物としては、例えば、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖など)、乳糖水和物、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、トリアセチン等の日本薬局方(広川書店)および医薬品添加物規格(株式会社薬事日報社)等の公定書に記載されているものが挙げられる。
これら水溶性高分子化合物や可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
コーティング剤の被覆量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定される。
<作用効果>
本発明の錠剤は、上述した(A)成分と(B)成分と(C)成分とを同一層中に含有するので、崩壊性に優れる。加えて、薬物層の水分量が5質量%以上であるため、強度も高い。
また、上述した錠剤の製造方法によれば、崩壊性に優れ、高い強度の錠剤を簡便に製造できる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
各実施例および比較例で使用した原料、打錠条件、(C)成分の倍散方法、測定・評価方法は、以下の通りである。
[使用原料]
・ロキソプロフェンナトリウム水和物:大和薬品工業株式会社製
・乾燥水酸化アルミニウムゲル:協和化学工業株式会社製
・アルミニウムグリシネート:協和化学工業株式会社製
・合成ヒドロタルサイト:協和化学工業株式会社製
・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:富士化学工業株式会社製
・酸化マグネシウム:富田製薬株式会社製
・炭酸マグネシウム:富田製薬株式会社製
・三二酸化鉄:癸巳化成株式会社製
・黄色三二酸化鉄:癸巳化成株式会社製
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:信越化学工業株式会社製、製品名:LH−31
・トウモロコシデンプン:松谷化学工業株式会社製
・部分α化デンプン:旭化成ケミカルズ株式会社製
・マンニトール:ロケットジャパン株式会社製
・乳糖水和物:DSP五協フード&ケミカルズ株式会社製
・乳糖造粒物:フロイント産業株式会社製、製品名:乳糖G
・カルメロース:ニチリン化学工業株式会社製
・ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業株式会社製
[打錠条件]
・打錠機:ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製、「リブラ3L」)
・盤回転速度:20rpm
・臼杵:直径8.5mm(2段R)×12本立て、刻印無し(キャップ高さ0.1mm、R1=10、R2=3.4)
・本圧:10kN(約100MPa、約1000kg/cm
[(C)成分の倍散方法]
<高速攪拌>
(C)成分と倍散粉体とを所定の割合、かつ合計で200gとなるように計量し、高速攪拌機ハイスピードミキサー2L型(株式会社アーステクニカ製)に投入し、以下の条件にて高速攪拌して、(C)成分を乾式倍散した。
・アジテーター回転数:300rpm
・チョッパー回転数:2000rpm
・攪拌時間:5分
<篩過>
(C)成分と倍散粉体とを所定の割合、かつ合計で200gとなるように計量し、ビニール袋に入れ、20回程度手で振って混合した後、目開き150μmの篩を用いて篩過し、(C)成分を乾式倍散した。
<湿式造粒>
(C)成分と倍散粉体とを所定の割合、かつ合計で200gとなるように計量し、高速攪拌機ハイスピードミキサー2L型(株式会社アーステクニカ製)に投入し、水を4g/分で滴下しながら以下の条件にて5分間高速攪拌し(水の滴下量は、合計で20g)、顆粒を得た。得られた顆粒を流動層造粒機(スパイラーフロー5型)に投入し、給気温度70℃未満で乾燥し、(C)成分を湿式倍散した。
・アジテーター回転数:300rpm
・チョッパー回転数:2000rpm
・攪拌時間:5分
[測定・評価方法]
<水分量の算出>
薬物層の水分量(質量%)は、薬物層を構成する各成分の水分量(質量%)と含有量(mg)とから、各成分の水分量(mg)を求め、それらの合計を各成分の含有量の合計(mg)で割ることで算出した。
各成分の水分量(質量%)は、電子水分計(株式会社島津製作所製、「MOISTURE BALANCE MOC−120H」)にて120℃で10分間加熱したときの乾燥減量から算出した。具体的には、加熱前の質量をa、加熱後の質量をbとし、下記式より求めた。
水分量(質量%)=(a−b)/a×100
<崩壊性の評価>
(初期)
日本薬局方に収載される錠剤の崩壊試験法に準じ、錠剤の水への崩壊時間を測定した。崩壊試験は6錠について行い、測定結果の平均値を算出し、下記評価基準にて評価した。崩壊時間が短いほど、崩壊性が良好であることを意味する。3点以上を合格する。
6点:崩壊時間の平均値が1分未満である。
5点:崩壊時間の平均値が1分以上、1.5分未満である。
4点:崩壊時間の平均値が1.5分以上、2分未満である。
3点:崩壊時間の平均値が2分以上、3分未満である。
2点:崩壊時間の平均値が3分以上、5分未満である。
1点:崩壊時間の平均値が5分以上であるか、5分以上経過しても崩壊しない。
(保存後)
錠剤をPTP(プレススルーパッケージ)包装し、温度50℃、湿度75%RHの条件下で6週間保存した。
保存後の錠剤について、初期と同様にして崩壊試験を行い、崩壊性を評価した。
<強度の評価>
錠剤20錠を摩損度試験機(富山産業株式会社製)に供し、25rpmで10分間回転させた。回転終了後に錠剤の質量を測定し、摩損度を求めた。具体的には、試験前の錠剤20錠の質量をc、試験後の錠剤20錠の質量をdとし、下記式より求めた。
摩損度(%)=(c−d)/c×100
求めた摩損度から、下記評価基準にて評価した。摩損度が低いほど錠剤の強度が高いことを意味する。3点以上を合格とした。
6点:摩損率度0.1%未満である。
5点:摩損率度0.1%以上、0.2%未満である。
4点:摩損率度0.2%以上、0.3%未満である。
3点:摩損率度0.3%以上、0.4%未満である。
2点:摩損率度0.4%以上であるが、錠剤割れは生じていない。
1点:錠剤割れが生じた。
[実施例1]
乾燥水酸化アルミニウムゲル((B)成分)を水分量が15質量%になるまで、温度40℃、湿度75%RHの条件下で乾燥し、調湿した。
三二酸化鉄((C)成分)0.05mgに対し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース((D)成分:倍散粉体)5mgとなる割合で、三二酸化鉄および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを合計で200g計量し、高速攪拌により三二酸化鉄を乾式倍散した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物((A)成分)68.1mgと、調湿した乾燥水酸化アルミニウムゲル120mgと、乾式倍散した三二酸化鉄と、乳糖造粒物((D)成分)100mgと、ステアリン酸マグネシウム((D)成分)2mgとを混合して薬物混合粉体とし、これを打錠成型して、薬物層からなる錠剤を得た。乾式倍散した三二酸化鉄の分量は、薬物層中での三二酸化鉄の量が0.05mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの量が5mgとなる量とした。
各成分の質量比を表1に示す。なお、(A)成分および(B)成分の質量は、純分換算量(無水物換算量)とした。
得られた錠剤について、崩壊性および強度の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
また、錠剤(薬物層)の水分量を算出したところ、以下に示すようになった。結果を表1に示す。
(A)成分であるロキソプロフェンナトリウム水和物の水分量は、11.9質量%であった。よって、ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mg中には、8.1mgの水分が含まれていることになる。
(B)成分である乾燥水酸化アルミニウムゲルの水分量は15質量%であるため、乾燥水酸化アルミニウムゲル120mg中には、18mgの水分が含まれていることになる。
(A)成分および(B)成分以外の成分((C)成分および(D)成分)の水分量は、合計で1質量%であった。よって、(C)成分および(D)成分の合計107.05mgには、1.07mgの水分が含まれていることになる。
薬物層を構成する各成分に含まれる水分量の合計(すなわち、薬物層の水分量))は27.17mgであり、薬物層を構成する各成分の含有量の合計(すなわち、錠剤の質量)は295.15mgであるので、錠剤(薬物層)100質量%中の水分量は9.2質量%であった。
[実施例2〜6]
表1に示す種類の(B)成分を水分量が15質量%になるまで、温度40℃、湿度75%RHの条件下で乾燥し、調湿した。
調湿した(B)成分を表1に示す分量になるように用いた以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表1に示す。
[実施例7]
(C)成分の種類を黄色三二酸化鉄に変更した以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表1に示す。
[比較例1]
ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mgと、実施例1と同様にして調湿した乾燥水酸化アルミニウムゲル120mgと、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース5mgと、乳糖造粒物100mgと、ステアリン酸マグネシウム2mgとを混合して薬物混合粉体とし、これを打錠成型して、薬物層からなる錠剤を得た。各成分の質量比を表2に示す。
錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表2に示す。
[比較例2]
調湿した乾燥水酸化アルミニウムゲルを用いなかった以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表2に示す。
[比較例3]
乾燥水酸化アルミニウムゲルを水分量が2.2質量%になるまで乾燥した以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出した。結果を表2に示す。
なお、崩壊性および強度を評価しようとしたが、錠剤を摘むとすぐに崩れてしまうため、評価できなかった。
Figure 2016190794
Figure 2016190794
表1から明らかなように、各実施例で得られた錠剤は、崩壊性に優れ、強度も高かった。
一方、比較例1、2で得られた錠剤は崩壊性に劣り、強度が低かった。
なお、上述したように、比較例3で得られた錠剤は手で摘むとすぐに崩れてしまうことから、崩壊性には優れるものの、強度が低かった。
[実施例8〜13]
調湿した乾燥水酸化アルミニウムゲルを表3に示す分量になるように用いた以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表3に示す。
[実施例14〜18]
表4に示す量の三二酸化鉄に対し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース5mgとなる割合で、三二酸化鉄および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを合計で200g計量し、高速攪拌により三二酸化鉄を乾式倍散した。
薬物層中での三二酸化鉄および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの量が表4に示す分量となるように、乾式倍散した三二酸化鉄を用いた以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表4に示す。
Figure 2016190794
Figure 2016190794
表3、4から明らかなように、各実施例で得られた錠剤は、崩壊性に優れ、強度も高かった。
[実施例19〜24]
乾燥水酸化アルミニウムゲルを水分量(質量%)が表5に示す値になるまで乾燥した。水分量を15質量%未満とする場合は、温度40℃、湿度75%RHの条件下で乾燥した。水分量を15質量%以上とする場合は、温度40℃、湿度90%RHの条件下で加湿した。また、(B)成分の水分量は、乾燥または加湿時間の調整により調整した。例えば、実施例21では240分間乾燥させ、水分量が7.5質量%の乾燥水酸化アルミニウムゲルを得た。
各水分量に調湿した乾燥水酸化アルミニウムゲルを用いた以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表5に示す。
Figure 2016190794
表5から明らかなように、各実施例で得られた錠剤は、崩壊性に優れ、強度も高かった。
[実施例25]
三二酸化鉄0.05mgに対し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース10mgとなる割合で、三二酸化鉄および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを合計で200g計量し、高速攪拌により三二酸化鉄を乾式倍散した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mgと、実施例1と同様にして調湿した乾燥水酸化アルミニウムゲル100mgと、乾式倍散した三二酸化鉄と、乳糖造粒物100mgと、ステアリン酸マグネシウム2mgとを混合して薬物混合粉体とし、これを打錠成型して、薬物層からなる錠剤を得た。乾式倍散した三二酸化鉄の分量は、薬物層中での三二酸化鉄の量が0.05mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの量が10mgとなる量とした。各成分の質量比を表6に示す。
錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表6に示す。
[実施例26〜30]
表6に示す種類の倍散粉体を用いて三二酸化鉄を乾式倍散した以外は、実施例25と同様にして錠剤を製造し、錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表6に示す。
[実施例31、32]
表6に示す方法にて三二酸化鉄を倍散した以外は、実施例25と同様にして錠剤(薬物層)の水分量を算出し、崩壊性および強度を評価した。これらの結果を表6に示す。
Figure 2016190794
表6から明らかなように、各実施例で得られた錠剤は、崩壊性に優れ、強度も高かった。中でも、(C)成分を高速攪拌により乾式倍散した実施例25〜30で得られた錠剤は、(C)成分を篩過または湿式造粒により倍散した実施例31、32で得られた錠剤よりも特に崩壊性に優れていた。

Claims (10)

  1. 下記(A)成分と、下記(B)成分と、下記(C)成分とを併有する薬物層を備え、前記薬物層の水分量が5質量%以上である、錠剤。
    (A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種。
    (B)成分:乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種。
    (C)成分:着色料。
  2. 前記(C)成分が三二酸化鉄および黄色三二酸化鉄の少なくとも一方である、請求項1に記載の錠剤。
  3. 1000×(C)成分/(A)成分で表される質量比が0.15〜3.5である、請求項1または2に記載の錠剤。
  4. (B)成分/(A)成分で表される質量比が0.14〜3である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の錠剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、
    前記薬物層を構成する粉体を打錠成型して薬物層を形成する、錠剤の製造方法。
  6. 粉体の前記(A)成分と、粉体の前記(B)成分と、粉体の前記(C)成分とを混合し、前記の薬物層を構成する粉体を調製する、請求項5に記載の錠剤の製造方法。
  7. 前記の薬物層を構成する粉体は、(D)成分として前記(A)成分、前記(B)成分および前記(C)成分以外の粉体を含み、
    粉体の前記(C)成分と前記(D)成分の一部との混合粉体と、粉体の前記(A)成分、粉体の前記(B)成分および前記(D)成分の残部とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、請求項5または6に記載の錠剤の製造方法。
  8. 前記の薬物層を構成する粉体は、(D)成分として前記(A)成分、前記(B)成分および前記(C)成分以外の粉体を含み、
    粉体の前記(C)成分と前記(D)成分との混合粉体と、粉体の前記(A)成分および粉体の前記(B)とを混合して、前記の薬物層を構成する粉体を得る工程を有する、請求項5または6に記載の錠剤の製造方法。
  9. 前記(D)成分が、結合剤、賦形剤、崩壊剤からなる群より選ばれる1種以上である、請求項7または8に記載の錠剤の製造方法。
  10. 前記薬物層の水分量が5質量%以上になるように、前記(A)成分および前記(B)成分の少なくとも一方の水分量を調整し、前記の薬物層を構成する粉体を調製する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
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