JP6895856B2 - 固形製剤および錠剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固形製剤および錠剤の製造方法に関する。
非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)の中でもロキソプロフェンおよびその塩(以下、これらをまとめて「ロキソプロフェン(塩)」ともいう。)は、優れた消炎、鎮痛、解熱作用を有し、副作用が比較的少ないことから解熱鎮痛剤の成分として広く使用されている。解熱鎮痛薬や感冒薬等の一般用医薬品には、種々の症状に対する幅広い薬理効果を期待して複数の有効成分が配合されており、ロキソプロフェン(塩)においても様々な薬剤と組み合せて用いることが検討されている。
例えば特許文献1には、カフェイン類、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素、アセトアミノフェン類およびエテンザミドより選ばれる1種または2種以上の薬剤と、ロキソプロフェンナトリウム二水和物とを含有する、経口投与用の医薬組成物が開示されている。
特開平11−139971号公報
しかしながら、ロキソプロフェン(塩)にアセトアミノフェンを組み合わせた場合、これらを含有する組成物や錠剤等の固形製剤を保存した後に服用する際に、不快な臭いが感じられることがあった。また、ロキソプロフェン(塩)が分解して固形製剤中のロキソプロフェン(塩)の含有量が低下することもあった。
本発明は、ロキソプロフェン(塩)とアセトアミノフェンとを含有する固形製剤において、ロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いが抑制された固形製剤および錠剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ロキソプロフェン(塩)とアセトアミノフェンとの組み合わせにおいて、分子中にマグネシウム原子を実質的に含まないアルミニウム系制酸剤や、分子中にアミノ基を実質的に含まない有機酸をさらに用いることで、保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いが抑制された固形製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する、固形製剤。
(A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる1種以上
(B)成分:アセトアミノフェン
(C)成分:分子中にマグネシウム原子を実質的に含まないアルミニウム系制酸剤(c1)および分子中にアミノ基を実質的に含まない有機酸(c2)からなる群より選ばれる1種以上
[2] 前記(C)成分が、乾燥水酸化アルミニウムゲル、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸およびマレイン酸からなる群より選ばれる1種以上である、[1]に記載の固形製剤。
[3] 前記(A)成分の含有量が、固形製剤の総質量に対して3〜85質量%である、[1]または[2]に記載の固形製剤。
[4] 前記(B)成分の含有量が、固形製剤の総質量に対して3〜85質量%である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の固形製剤。
[5] 前記(C)成分の含有量が、固形製剤の総質量に対して1〜90質量%である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の固形製剤。
[6] (C)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比が0.01〜5である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の固形製剤。
[7] (B)成分/(A)成分で表される質量比が0.25〜15である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の固形製剤。
[8] カフェイン、無水カフェイン、アリルイソプロピルアセチル尿素、結晶セルロース、澱粉および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる1種以上をさらに含有する、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の固形製剤。
[9] 錠剤である、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の固形製剤。
[10] 下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含む薬物含有粉体を打錠成形して錠剤を得る工程を有する、錠剤の製造方法。
(A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる1種以上
(B)成分:アセトアミノフェン
(C)成分:分子中にマグネシウム原子を実質的に含まないアルミニウム系制酸剤(c1)および分子中にアミノ基を実質的に含まない有機酸(c2)からなる群より選ばれる1種以上
[11] 下記(A)成分を含む粉体Aと、下記(B)成分を含む粉体B(ただし、粉体Aおよび粉体Bの少なくとも一方には、下記(C)成分が含まれる)とを臼に充填し、打錠成形して錠剤を得る工程を有する、錠剤の製造方法。
(A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる1種以上
(B)成分:アセトアミノフェン
(C)成分:分子中にマグネシウム原子を実質的に含まないアルミニウム系制酸剤(c1)および分子中にアミノ基を実質的に含まない有機酸(c2)からなる群より選ばれる1種以上
本発明によれば、ロキソプロフェン(塩)とアセトアミノフェンとを含有する固形製剤において、ロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いが抑制された固形製剤および錠剤の製造方法を提供できる。
本発明の固形製剤は、以下に示す(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する。
本発明の固形製剤の剤形としては、例えば、粒状剤(散剤、顆粒剤、腸溶性顆粒剤等)、錠剤(素錠、糖衣錠、コーティング錠、腸溶錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠等)、カプセル剤、丸剤、トローチ剤などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果(ロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および臭い抑制)をより享受しやすい点から、錠剤が好ましい。
本発明の固形製剤が錠剤の場合、錠剤の寸法は特に限定されないが、錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の観点から錠剤の径として5〜14mmφが好ましく、6〜13mmφがより好ましく、7〜12mmφがさらに好ましい。また1錠あたりの錠剤質量は、150mg〜550mgが好ましい。
また、錠剤の形状としては特に限定されないが、スミ角平錠、スミ丸平錠、丸みを帯びたR錠もしくは2段階R錠が好ましい。
また、本発明の固形製剤が錠剤の場合、錠剤は単層構造(単層錠)であってもよいし、積層構造(積層錠)であってもよい。本発明の効果をより享受しやすい点から、以下に示す(A)成分、(B)成分および(C)成分を併有する層を有する(すなわち、(A)成分、(B)成分および(C)成分が同一層に存在する)ことが好ましい。以下、(A)成分、(B)成分および(C)成分を併有する層を「薬物層」ともいう。固形製剤が単層錠の場合、固形製剤は薬物層で構成される。固形製剤が積層錠の場合、固形製剤は薬物層と薬物層以外の層(任意層)とで構成される。
なお、本発明の固形製剤を、(A)成分と(B)成分とが別々の層に存在し、かつこれらの層が隣接する積層錠とする場合、(C)成分は少なくとも一方の層に含有させればよい。すなわち、(A)成分が存在する層を「A層」とし、(B)成分が存在する層を「B層」とした場合、(C)成分は、A層およびB層の少なくとも一方に含有させればよく、こうすることで本発明の効果が十分に得られる。特に本発明の効果が得られやすい点で、(C)成分は少なくともA層に含まれていることが好ましい。この場合、(C)成分はB層にも含まれていてもよい。
<(A)成分>
(A)成分は、ロキソプロフェンおよびその塩(ロキソプロフェン(塩))からなる群より選ばれる1種以上である。
ロキソプロフェン(塩)は、日本薬局方に収載されている解熱鎮痛成分である。
ロキソプロフェンの塩としては、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩であれば特に制限されず、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
ロキソプロフェン(塩)は、水和物の状態で存在していてもよい。水和物の状態のロキソプロフェン(塩)の好適例としては、ロキソプロフェンナトリウム二水和物が挙げられる。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の場合、原末の水分量は約12質量%である。
なお、(A)成分が水和物の場合、後述する(A)成分の含有量、1回当たりの服用量および他の成分との質量比には、(A)成分中の水分量も含まれるものとする。
(A)成分としては、ロキソプロフェンの塩が好ましく、ロキソプロフェンナトリウムがより好ましく、ロキソプロフェンナトリウム二水和物がさらに好ましい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の含有量は、固形製剤の総質量に対して3〜85質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
固形製剤が積層錠であって、(A)成分、(B)成分および(C)成分が同一層に存在する場合、(A)成分の含有量は、薬物層の総質量に対して3〜90質量%が好ましく、5〜55質量%がより好ましい。
固形製剤が積層錠であって、(A)成分と(B)成分とが別々の層に存在する場合、(A)成分の含有量は、A層の総質量に対して3〜90質量%が好ましく、10〜65質量%がより好ましい。
(A)成分の含有量が多くなるほど保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下や不快な臭いが顕著となるため、(C)成分の添加による本発明の効果が発揮されやすい。加えて、解熱鎮痛効果が十分に得られる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば製造工程における製造機への付着を抑制できる。
なお、固形製剤が単層錠の場合、薬物層の総質量に対する(A)成分の含有量は、固形製剤の総質量に対する(A)成分の含有量と同じである。
(A)成分の1回当たりの服用量は、11〜170mgが好ましく、22〜113mgがより好ましい。(A)成分の1回当たりの服用量が、上記下限値以上であれば解熱鎮痛効果が十分に得られ、上記上限値以下であれば製造工程における製造機への付着を抑制できる。
<(B)成分>
(B)成分は、アセトアミノフェンである。
アセトアミノフェン(N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド)は、別名パラセタモールとも呼ばれ、日本薬局方に収載されている解熱鎮痛成分である。
(B)成分の含有量は、固形製剤の総質量に対して3〜85質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
固形製剤が積層錠であって、(A)成分、(B)成分および(C)成分が同一層に存在する場合、(B)成分の含有量は、薬物層の総質量に対して5〜90質量%が好ましく、20〜85質量%がより好ましい。
固形製剤が積層錠であって、(A)成分と(B)成分とが別々の層に存在する場合、(B)成分の含有量は、B層の総質量に対して5〜90質量%が好ましく、20〜85質量%がより好ましい。
(B)成分の含有量が多くなるほど、解熱鎮痛効果が十分に得られる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば固形製剤が錠剤の場合、錠剤硬度を良好に維持できる。
なお、固形製剤が単層錠の場合、薬物層の総質量に対する(B)成分の含有量は、固形製剤の総質量に対する(B)成分の含有量と同じである。
固形製剤中の(A)成分と(B)成分との配合比率は任意に設定できるが、本発明の効果をより得られやすくするためには(B)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「B/A比」ともいう。)は、0.25〜15が好ましく、1〜10がより好ましく、4.5〜7がさらに好ましい。B/A比が上記下限値以上であれば、保存後の不快な臭いをより効果的に抑制でき、保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下を抑制すると共に、製造工程における製造機への付着を抑制できる。一方、B/A比が上記上限値以下であれば、保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下を抑制すると共に、固形製剤が錠剤の場合、錠剤硬度を良好に維持できる。
(B)成分の1回当たりの服用量は、30〜500mgが好ましく、50〜300mgがより好ましい。(B)成分の1回当たりの服用量が、上記下限値以上であれば解熱鎮痛効果が十分に得られ、上記上限値以下であれば固形製剤が錠剤の場合、錠剤硬度を良好に維持できる。
<(C)成分>
(C)成分は、分子中にマグネシウム原子を実質的に含まないアルミニウム系制酸剤(c1)(以下、「(c1)成分」ともいう。)および分子中にアミノ基を実質的に含まない有機酸(c2)(以下、「(c2)成分」ともいう。)からなる群より選ばれる1種以上である。
ここで、「分子中にマグネシウム原子を実質的に含まない」とは、製造方法や製造環境で混入する他の多価金属は本発明の効果を損なわない範囲で許容されるが、(c1)成分の総質量に対するマグネシウム原子の含有量が10質量%未満、好ましくは5質量%未満であることを意味する。
また、「分子中にアミノ基を実質的に含まない」とは、(c2)成分の総質量に対するアミノ基の含有量が10質量%未満であることを意味する。
(c1)成分としては、分子中にアルミニウム原子を含み、かつマグネシウム原子を実質的に含まない制酸剤であれば特に制限されないが、例えば乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物(クムライト等)、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)などが挙げられる。これらの中でも、乾燥水酸化アルミニウムゲルが好ましい。
(c1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(c2)成分としては、分子中にアミノ基を実質的に含まない有機酸であれば特に制限されないが、例えば、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、酪酸などが挙げられる。これらの中でも、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸が好ましい。
(c2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した中でも、(C)成分としては、保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いをより効果的に抑制できる点で、乾燥水酸化アルミニウムゲル、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸およびマレイン酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。また、(C)成分が少なくとも(c1)成分を含んでいれば、固形製剤が錠剤の場合、錠剤の硬度や崩壊性等の錠剤物性のばらつきを軽減できる。
(C)成分の含有量は、固形製剤の総質量に対して1〜90質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。
固形製剤が積層錠であって、(A)成分、(B)成分および(C)成分が同一層に存在する場合、(C)成分の含有量は、薬物層の総質量に対して1〜95質量%が好ましく、2〜70質量%がより好ましい。
固形製剤が積層錠であって、(A)成分と(B)成分とが別々の層に存在する場合、A層中の(C)成分の含有量は、A層の総質量に対して1〜95質量%が好ましく、2〜70質量%がより好ましい。また、B層中の(C)成分の含有量は、B層の総質量に対して0〜95質量%が好ましく、2〜70質量%がより好ましい。ただし、A層中の(C)成分の含有量の合計と、B層中の(C)成分の含有量の合計が、1〜90質量%となることが好ましく、より好ましくは1〜60質量%である。
(C)成分の含有量が、上記下限値以上であれば保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いをより効果的に抑制でき、上記上限値以下であれば1回当たりの服用量を抑えることができる。
なお、固形製剤が単層錠の場合、薬物層の総質量に対する(C)成分の含有量は、固形製剤の総質量に対する(C)成分の含有量と同じである。
固形製剤中の(A)成分、(B)成分および(C)成分の含有量の合計は、固形製剤の総質量に対して6.5〜100質量%が好ましく、26〜90質量%がより好ましく、40〜90質量%がさらに好ましい。
また、固形製剤が積層錠であって、(A)成分、(B)成分および(C)成分が同一層に存在する場合、(A)成分、(B)成分および(C)成分の含有量の合計は、薬物層の総質量に対して10〜100質量%が好ましく、26〜95質量%がより好ましく、40〜95質量%がさらに好ましい。
(A)成分、(B)成分および(C)成分の含有量の合計が、上記下限値以上であれば保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いを抑制しつつ解熱鎮痛効果が十分に得られ、上記上限値以下であれば服用性に優れた固形製剤とすることができる。
固形製剤中の(A)成分および(B)成分の合計と、(C)成分との配合比率は任意に設定できるが、本発明の効果をより得られやすくするためには(C)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比(以下、「C/(A+B)比」ともいう。)は、0.01〜5が好ましく、0.02〜3がより好ましく、0.03〜1がさらに好ましい。C/(A+B)比が、上記下限値以上であれば保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いをより効果的に抑制でき、上記上限値以下であれば服用性に優れた固形製剤とすることができる。
また、(C)成分が(c1)成分の場合、(c1)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比(以下、「c1/(A+B)比」ともいう。)は、0.01〜5が好ましく、0.05〜2がより好ましく、0.1〜1.5がさらに好ましい。c1/(A+B)比が上記下限値以上であれば、固形製剤が錠剤の場合、製造直後の錠剤の崩壊性が高まるとともに、錠剤の硬度や崩壊性等の錠剤物性のばらつきがより改善される。一方、c1/(A+B)比が上記上限値以下であれば、他の有効成分を十分に配合することができるため、1回当たりの服用量を抑えることができる。
(C)成分の1回当たりの服用量は、1〜500mgが好ましく、5〜300mgがより好ましい。(C)成分の1回当たりの服用量が、上記下限値以上であれば保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いをより効果的に抑制でき、上記上限値以下であれば1回当たりの服用量を抑えることができる。
また、1回当たりの服用量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計で、42〜1170mgが好ましく、82〜813mgがより好ましい。(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計の1回当たりの服用量が、上記下限値以上であれば保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いを抑制しつつ解熱鎮痛効果が十分に得られ、上記上限値以下であれば服用性に優れた固形製剤とすることができる。
<任意成分>
本発明の固形製剤は、本発明の効果や保存安定性等の物性を損なわない範囲内であれば、(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、(A)成分および(B)成分以外の生理活性成分、(C)成分以外の添加剤などが挙げられる。
生理活性成分としては、例えば(A)成分および(B)成分以外の解熱鎮痛成分(ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、セロコキシブ、ロフェコキシブ、チアラミド、エテンザミド、スルピリン等)が挙げられる。
また、解熱鎮痛成分以外の生理活性成分も配合可能である。解熱鎮痛成分以外の生理活性成分としては、例えば鎮静催眠成分(アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等)、抗ヒスタミン成分(塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等)、中枢興奮成分(安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等)、鎮咳去痰成分(コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、dl−メチルエフェドリン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン等)、ビタミン成分(ビタミンB1およびその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB2およびその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンCおよびその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジンおよびその誘導体並びにそれらの塩類等)などが挙げられる。
これら生理活性成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、固形製剤がカフェイン、無水カフェインおよびアリルイソプロピルアセチル尿素からなる群より選ばれる1種以上をさらに含めば、保存後の不快な臭いをより抑制でき、保存安定性のより高い固形製剤が得られる。特に、効果が得られる点で、カフェインおよび無水カフェインと、アリルイソプロピルアセチル尿素とを組み合わせて用いることが好ましい。
添加剤としては、例えば結合剤、賦形剤、崩壊剤、香料、滑沢剤、甘味剤、着色剤などが挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、澱粉、ショ糖、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、ヒプロメロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールなどが挙げられる。
賦形剤としては、例えば乳糖、乳糖造粒物、マンニトール、コーンスターチ、L−システイン、メチルエチルセルロース、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、マルチロール、ラクチトール、ソルビトールなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、部分α化デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。
香料としては、例えばメントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)などが挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、タルクなどが挙げられる。
甘味剤としては、例えばサッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロースなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば食用着色剤、食用着色剤以外の有機顔料及び無機顔料、動植物抽出物などが挙げられる。食用着色剤としては、例えばオレンジエッセンス、カラメル、カルミン、β−カロテン、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号などが挙げられる。有機顔料としては、例えば銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、リボフラビンなどが挙げられる。無機顔料としては、例えば三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、黒酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化亜鉛、金箔、薬用炭などが挙げられる。動植物抽出物としては、例えばカンゾウエキス、アセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、緑茶末などが挙げられる。これらの中でも、保存後も固形製剤が退色しにくく、製造機への付着性を低減できる点から、無機顔料が好ましく、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄等の鉄を主成分とする無機顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましく、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタンがより好ましく、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄がさらに好ましい。
これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、固形製剤が結晶セルロース、澱粉および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる1種以上をさらに含めば、保存後の不快な臭いをより抑制でき、保存安定性のより高い固形製剤が得られる。
また、固形製剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、マグネシウムを含む制酸剤やアミノ基を含む有機酸を含有してもよい。
マグネシウムを含む制酸剤としては、例えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
これらマグネシウムを含む制酸剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固形製剤中のマグネシウムを含む制酸剤の含有量は、固形製剤の総質量に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
アミノ基を含む有機酸としては、例えばメチオニン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸等のアミノ酸;トラネキサム酸などが挙げられる。
これらアミノ基を含む有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固形製剤中のアミノ基を含む有機酸の含有量は、固形製剤の総質量に対して10質量%以下が好ましい。
なお、固形製剤が積層錠であって、(A)成分、(B)成分および(C)成分が同一層に存在する場合、任意成分は任意層のみに含まれていてもよいし、任意成分の一部が薬物層に含まれていてもよい。また、(C)成分の一部は任意層にも含まれていてもよい。
固形製剤が積層錠であって、(A)成分と(B)成分とが別々の層に存在する場合、任意成分はA層およびB層の少なくとも一方に含まれていてもよいし、A層およびB層以外の層に含まれていてもよい。
<水分量>
固形製剤中の水分量は、固形製剤の総質量に対して1〜15質量%が好ましく、1.5〜13質量%がより好ましく、1.5〜7質量%がより好ましい。
水分量が上記範囲内であれば、保存後の不快な臭いをより効果的に抑制できる。
水分量の測定法は電子水分計で、固形製剤を120℃で10分間熱したときの乾燥減量から算出することができる。電子水分計としては、例えは株式会社島津製作所製の「MOISTURE BALANCE MOC−120H」などを用いることができる。
固形製剤中の水分量は、固形製剤の製造時における加水または乾燥により調整できる。なお、(A)成分としてロキソプロフェンナトリウム二水和物等の水和物を用いる場合、固形製剤中の水分量には、この水和物により持ち込まれる水分量も含まれる。
<製造方法>
本発明の固形製剤は、例えば(A)成分、(B)成分および(C)成分と、必要に応じて任意成分とを混合することで得られる。
各成分は、公知の製造方法により得られたものでもよく、市販のものを用いてもよい。また、各成分は、原末がそのまま用いられてもよく、造粒されたものでもよい。
固形製剤が錠剤の場合、例えば薬物層を構成する粉体(以下、「薬物含有粉体」という。)を打錠成形して薬物層を形成することで得られる。このようにして得られる錠剤は、(A)成分、(B)成分および(C)成分が同一錠剤中に存在する。
錠剤の製造方法としては、例えば、臼と杵とを有する打錠機を用いて、薬物含有粉体を打錠成形して錠剤を得る工程(打錠工程)を有するものが挙げられる。
薬物含有粉体は、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する粉体であればよく、必要に応じて任意成分を含有してもよい。
薬物含有粉体は、例えば粉体の(A)成分と、粉体の(B)成分と、粉体の(C)成分との粉体混合物でもよいし、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含む造粒物でもよい。
薬物含有粉体は、予め混合されたものでもよく、新たに調製されたものでもよい。すなわち、錠剤の製造方法は、粉体の各成分を混合して薬物含有粉体を調製する工程(粉体調製工程)を有してもよい。
粉体調製工程は、粉体の(A)成分と、粉体の(B)成分と、粉体の(C)成分とを混合して薬物含有粉体を得る。
粉体調製工程における混合方法としては特に限定されず、従来公知の粉体混合方法が挙げられる。
粉体調製工程に用いられる各成分は、公知の製造方法により得られたものでもよく、市販のものを用いてもよい。各成分は、原末がそのまま用いられてもよく、造粒されたものでもよい。
造粒したものを用いる場合、造粒方法は公知の造粒方法を採用できる。
打錠工程で用いられる打錠機としては、例えばロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製、「リブラ3L」)などが挙げられる。
打錠圧、回転盤の回転速度等の打錠条件は適宜設定される。
なお、錠剤が積層錠である場合、薬物含有粉体は、臼に最初に充填されてもよく、任意層を構成する成分よりも後に充填されてもよい。
(A)成分と(B)成分とが別々の層に存在する積層錠を製造する場合は、薬物含有粉体の代わりに、A層を構成する粉体(以下、「粉体A」ともいう。)とB層を構成する粉体(以下、「粉体B」ともいう。)とを臼に充填し、打錠すればよい。
粉体Aは、臼に最初に充填されてもよく、粉体Bよりも後に充填されてもよい。
粉体Aは、(A)成分を含有する粉体であればよく、必要に応じて任意成分を含有してもよい。粉体Bは、(B)成分を含有する粉体であればよく、必要に応じて任意成分を含有してもよい。ただし、粉体Aおよび粉体Bの少なくとも一方には、(C)成分が含まれているものとする。特に本発明の効果が得られやすい点で、(C)成分は少なくとも粉体Aに含まれていることが好ましい。
粉体Aは、粉体の(A)成分や他の粉体の成分との粉体混合物でもよいし、(A)成分を含む造粒物でもよい。粉体Bは、粉体の(B)成分や他の粉体の成分との粉体混合物でもよいし、(B)成分を含む造粒物でもよい。
得られた錠剤は、必要に応じてコーティング剤によりコーティング処理を施してもよい。
コーティング剤としては、崩壊性を著しく損なわないものを選択することが好ましく、中でも水溶性高分子化合物や可塑剤が好ましい。
水溶性高分子化合物としては、例えばカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物等)などが挙げられる。特に、製造性および防湿性に優れる点からヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリビニルアルコールが好ましい。
可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、トリアセチン、カルナウバロウ等の日本薬局方(広川書店)および医薬品添加物規格(株式会社薬事日報社)等の公定書に記載されているものが挙げられる。
これらコーティング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、製造性や防湿性の観点から、コーティング剤と着色剤とを併用することが好ましい。着色剤としては、任意成分の説明において先に例示した着色剤などが挙げられる。
<作用効果>
本発明によれば、(A)成分と(B)成分とを含有する固形製剤において、(C)成分をさらに用いるので、保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いが抑制された固形製剤を提供できる。
特に、固形製剤が粒錠剤の場合や、(A)成分と(B)成分とが同一層に存在する錠剤や、(A)成分と(B)成分とが別々の層に存在する場合であっても各層が隣接する積層錠の場合は、(A)成分と(B)成分が接触しやすいため、ロキソプロフェン(塩)の含有量が低下したり、不快な臭いが生じたりしやすいが、本発明であれば、保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いを抑制できる。また、(C)成分として少なくとも(c1)成分を用いれば、製造直後の錠剤の崩壊性が高まり、錠剤の硬度や崩壊性等の錠剤物性のばらつきが改善される。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
各実施例および比較例で使用した原料、打錠条件、保存条件および評価方法は、以下の通りである。
なお、実施例2〜5、10〜21、44は参考例である。
[使用原料]
(A)成分またはその代替品((A’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・ロキソプロフェンナトリウム二水和物:大和薬品工業株式会社製、「日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物」
・イブプロフェン:BASF社製、「Ibuprofen」
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・アセトアミノフェン:岩城製薬株式会社製、「ピレチノール」
(C)成分またはその代替品((C’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・乾燥水酸化アルミニウムゲル:協和化学工業株式会社製、「乾燥水酸化アルミニウムゲル S−100」
・リンゴ酸:扶桑薬品工業株式会社製、「リンゴ酸フソウL」
・クエン酸:扶桑薬品工業株式会社製、「精製クエン酸」
・フマル酸:和光純薬工業株式会社製、「フマル酸」
・マレイン酸:和光純薬工業株式会社製、「マレイン酸」
・酸化マグネシウム:富田製薬株式会社製、「酸化マグネシウム」
・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:富士化学工業株式会社製、「ノイシリン」(登録商標)
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・結晶セルロース:旭化成ケミカルズ株式会社製、「CEOLUS UF−702」(登録商標)
・トウモロコシデンプン:松谷化学工業株式会社製、「局方松谷コーンスターチ」
・部分α化デンプン:旭化成ケミカルズ株式会社製、「PCS PC−10」(登録商標)
・無水カフェイン:白鳥製薬株式会社製、「無水カフェイン0.2/0.5」
・アリルイソプロピルアセチル尿素:金剛化学株式会社製、「アリプロナール コンゴー」
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:信越化学工業株式会社製、「L−HPC LH−31」(登録商標)
・乳糖造粒物:フロイント産業株式会社製、「乳糖G」
・ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業株式会社製、「ステアリン酸マグネシウム」
[打錠条件]
・打錠機:ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製、「リブラ3L」)
・盤回転速度:20rpm
・臼杵:直径9.0mm(2段R)×12本立て、刻印無し(キャップ高さ0.1mm、R1=3.4、R2=10)
・予圧:2kN(約20MPa、約200kg/cm
・本圧:10kN(約100MPa、約1000kg/cm
[保存条件]
粉体混合物は、ガラス瓶(4K規格瓶)に入れ、蓋をのせた状態で50℃75%RH条件下にて保存した。なお、安定性の評価の際は蓋をのせて閉めた状態で保存し、臭いの評価の際は蓋のせて閉めない状態で保存した。
錠剤は、予め成形した樹脂シート(大成化工株式会社製、「TAS−230」、ポリプロピレン−環状ポリオレフィン−ポリプロピレンの積層体)のポケットに入れ、アルミニウム箔でPTP(プレススルーパッケージ)包装し、50℃75%RH条件下にて保存した。
[評価方法]
<安定性の評価:ロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下抑制の評価>
保存前と、保存開始から3ヵ月後の粉体混合物または錠剤について、24時間室温(25℃)で放置して乾燥させた後、乳鉢ですりつぶし、得られた粉末の一部を採取して測定用サンプルとした。
測定用サンプルを用い、抽出液のpHを3以下とした以外は、日本薬局方収載のロキソプロフェンナトリウム水和物定量法に準拠して試料を調製し、高速液体クロマトグラフ(株式会社島津製作所製、「LC−2010」)にてロキソプロフェンナトリウム含量を定量し、下記式(1)よりロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下率を求め、以下の評価基準にて評価した。5点以上を合格とする。ロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下率が低いほどロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下が良好に抑制され、安定しているといえる。
低下率(%)={(保存前のロキソプロフェンナトリウム含量−保存後のロキソプロフェンナトリウム含量)/保存前のロキソプロフェンナトリウム含量}×100 ・・・(1)
(評価基準)
8:低下率が5.0%未満。
7:低下率が5.0%以上、6.5%未満。
6:低下率が6.5%以上、8.0%未満。
5:低下率が8.0%以上、9.5%未満。
4:低下率が9.5%以上、11.0%未満。
3:低下率が11.0%以上、12.5%未満。
2:低下率が12.5%以上、14.0%未満。
1:低下率が14.0%以上。
<臭い評価:定量評価>
保存前と、保存開始から2ヵ月後の粉体混合物または錠剤について、臭いセンサー(相互薬工株式会社製、「Fragarance Sensor SF−105」)を用いて臭いの強度を測定し、保存後の臭いの強度から保存前の臭いの強度を差し引くことで、保存前後における臭いの強度の変化量を求め、以下の評価基準にて評価した。5点以上を合格とする。
7:変化量が41Hz未満。
6:変化量が41Hz以上、55Hz未満。
5:変化量が55Hz以上、70Hz未満。
4:変化量が70Hz以上、85Hz未満。
3:変化量が85Hz以上、100Hz未満。
2:変化量が100Hz以上、115Hz未満。
1:変化量が115Hz以上。
<臭い評価:官能評価>
保存開始から2ヵ月後の粉体混合物または錠剤について、成人男性5名による官能評価を実施し、以下の評価基準にて評価し、5名の平均値を求めた。4点以上を合格とする。
6:臭いを感じない。
5:ほとんど臭いを感じない。
4:やや臭いが感じられるが、服用には問題ない。
3:やや不快な臭いが感じられる。
2:不快な臭いを感じる。
1:極めて不快な臭いに変化しており、服用が憚られる。
<硬度のばらつきの評価>
錠剤硬度破壊測定機(富山産業株式会社製、「TH−203CP」)を用いて、錠剤の硬度を測定した。
測定用の試料としては、製造直後の錠剤10錠を用いた。そして、錠剤10錠の各硬度を測定し、これらの平均値及び標準偏差を求めた。標準偏差を平均値で除して変動係数(C.V.)を求めた。変動係数が小さいほど硬度のばらつきが少ないことを意味する。実用上、変動係数は12.0%未満が好ましい。
[実施例1〜25]
混合容器に、表1〜3に示す配合組成となるように、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを投入して混合し、粉体混合物を得た。
得られた粉体混合物について、ロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下抑制の評価および臭い評価を行った。結果を表1〜3に示す。
[比較例1〜3]
混合容器に、表4に示す配合組成となるように、(A)成分と(B)成分と(C’)成分とを投入して混合し、粉体混合物を得た。
得られた粉体混合物について、ロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下抑制の評価および臭い評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例A]
(A)成分について、粉体混合物と同様にしてロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下抑制の評価および臭い評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例B]
混合容器に、表4に示す配合組成となるように、(A’)成分と(B)成分とを投入して混合し、粉体混合物を得た。
得られた粉体混合物について、ロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下抑制の評価および臭い評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例26〜44]
混合容器に、1錠当たりの組成が表5、6に示す配合組成となるように、(A)成分と(B)成分と(C)成分と任意成分とを投入して混合した後、前記打錠条件にて打錠成形し、薬物層からなる錠剤(単層錠)を得た。
得られた錠剤について、ロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下抑制の評価、臭い評価および硬度のばらつきの評価を行った。結果を表5、6に示す。
Figure 0006895856
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Figure 0006895856
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Figure 0006895856
表中、「B/A比」は、(B)成分/(A)成分で表される質量比である。「B/A’比」は、(B)成分/(A’)成分で表される質量比である。「C/(A+B)比」は、(C)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比である。「C’/(A+B)比」は、(C’)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比である。「C’/(A’+B)比」は、(C’)成分/((A’)成分+(B)成分)で表される質量比である。「(A)+(B)+(C)」は、粉体混合物または錠剤中の(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計含有量の割合である。「(A)+(B)+(C’)」は、粉体混合物または錠剤中の(A)成分、(B)成分および(C’)成分の合計含有量の割合である。「(A’)+(B)+(C’)」は、粉体混合物または錠剤中の(A’)成分、(B)成分および(C’)成分の合計含有量の割合である。
表1〜3、5、6の結果より、各実施例で得られた粉体混合物および錠剤は、保存後のロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下および不快な臭いが抑制されたものであった。また、(C)成分として少なくとも(c1)成分を用いた実施例26〜43で得られた錠剤は、硬度のばらつきが少なかった。
一方、表4の結果より、各比較例で得られた粉体混合物を保存すると、ロキソプロフェンナトリウムの含有量が低下した。特に、比較例1の場合は、不快な臭いも感じられた。
また、(A)成分単独、イブプロフェンと(B)成分との組み合わせの場合は、保存してもロキソプロフェンナトリウムの含有量の低下や不快な臭いは感じられなかった(参考例A、B)。これらの結果からも明らかなように、保存後のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および不快な臭いは、(A)成分と(B)成分との組み合わせのときに発生する。
このように、本発明によれば、(A)成分および(B)成分に(C)成分を添加するという簡便な方法により、保存後の固形製剤中のロキソプロフェン(塩)の含有量の低下および固形製剤の不快な臭いを抑制できた。

Claims (4)

  1. 下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する、固形製剤。
    (A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる1種以上
    (B)成分:アセトアミノフェン
    (C)成分:分子中にマグネシウム原子を実質的に含まないアルミニウム系制酸剤(c1
  2. 前記(C)成分が、乾燥水酸化アルミニウムゲルである、請求項1に記載の固形製剤。
  3. 錠剤である、請求項1または2に記載の固形製剤。
  4. 下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含む薬物含有粉体を打錠成形して錠剤を得る工程を有する、錠剤の製造方法。
    (A)成分:ロキソプロフェンおよびその塩からなる群より選ばれる1種以上
    (B)成分:アセトアミノフェン
    (C)成分:分子中にマグネシウム原子を実質的に含まないアルミニウム系制酸剤(c1
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