JP2016190757A - ZnO−MgO系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法 - Google Patents

ZnO−MgO系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速かつ安定した成膜が可能なZnO−MgO系スパッタリングターゲット、ターゲットを作製するための焼結体、及び、焼結体の製造方法の提供。【解決手段】MgをMgO換算で3〜50mol%含有し、残部がZnO及び不可避的不純物からなり、X線回折ピークにおいて、ZnO−MgO焼結体でのMgO相のピーク強度をI1とし、焼結体中のMgとZnの比と同等の比となるZnO粉とMgO粉の混合粉(いずれもランダム方位を持つ)でのMgO相のピーク強度をI2とした場合、0.01≦I1/I2≦1.00を満たすZnO−MgO系焼結体。【選択図】なし

Description

本発明は、Cu−In−Ga−Se系(以下、CIGS系と称す。)太陽電池の窓層材料の形成に適したZnO−MgO系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法に関する。
近年、薄膜太陽電池として高変換効率のCIGS系太陽電池の技術開発が進展している。その太陽電池の窓層材料としては、Znを主成分とする酸化物半導体が知られている。例えば、特許文献1には、ZnOや(Zn、Mg)Oなどのスパッタリングターゲットをマグネトロンスパッタ法により、窓層となる薄膜を形成する方法が開示されている。
特許文献2には、太陽電池のn形窓層として、ZnO又はZnMgO等のn型半導体からなる半導体膜を使用することが開示されている。特許文献3には、太陽電池の窓層として、MgとOとを含む酸化物からなる層をスパッタ法で形成することが開示されている。そして、その層の組成は、スパッタリングターゲットの組成を変化させることによって容易に制御できると記載されている。
特許文献4には、酸化亜鉛を主成分とし、さらにマグネシウムを含有する酸化物焼結体ターゲットにおいて、マグネシウムの含有量をMg/(Zn+Mg)原子数比で0.02〜0.30とすることによって、酸・アルカリに対する薬品耐性が高く、低抵抗の酸化亜鉛系透明導電膜を得ることが記載されている。
また、特許文献5には、酸化亜鉛を主成分とする酸化亜鉛薄膜形成用スパッタターゲットにおいて、元素種として亜鉛(Zn)及び酸素(O)以外の少なくとも1種類以上の元素種を有する添加元素を含み、前記添加元素がターゲット中で酸素を含まない化合物であることを特徴とする酸化亜鉛薄膜形成用スパッタリングターゲットについて開示がある。
しかし、特許文献1〜3は、スパッタリング法によって薄膜を形成することが記載されているものの、使用するターゲットの組織や特性等について言及しない。また、特許文献4〜5では、スパッタリングターゲットの組織についての記載はあるが、そのような組織を有するターゲットを使用した場合、スパッタの際にパーティクルが発生するということがあった。
このようなことから、出願人は以前、MgがMgO換算で3〜50mol%含有し、MgO相(MgOリッチ固溶相を含む)の最大結晶粒径が10μm以下で、均一に分散した組織を有する、ZnO−MgO系スパッタリングターゲット用焼結体を開発し、スパッタの際のノジュールやパーティクルを低減することを可能とした(特許文献6)。
特許文献6のZnO−MgO系スパッタリングターゲットは、スパッタの際のパーティクルの抑制に有効な技術であったが、このターゲットを用いた場合に、成膜速度(スパッタレート)が遅くなり、生産性を低下させるという問題が指摘されることがあった。
特開2008−110911号公報 国際公開第2005/069386号 特開2004−281938号公報 国際公開第2007/141994号 特開2009−263709号公報 国際公開WO2012/014688号
本発明は、高速かつ安定した成膜が可能なZnO−MgO系スパッタリングターゲット及び該ターゲットを作製するための焼結体並びに該焼結体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決のために、本発明者は鋭意研究を行った結果、ZnO−MgO系スパッタリングターゲットにおいて、MgOのZnOへの固溶量が増加すると、成膜速度が低下することを見出し、MgOの固溶を抑制することで、成膜速度を高めることが可能となった。
このような知見に基づき、本願は以下の発明を提供する。
1)MgをMgO換算で3〜50mol%含有し、残部がZnO及び不可避的不純物からなり、X線回折ピークにおいて、ZnO−MgO焼結体でのMgO相(200)のピーク強度をI1とし、焼結体中のMgとZnの比と同等の比となるZnO粉とMgO粉の混合粉(いずれもランダム方位を持つ)でのMgO相(200)のピーク強度をI2とした場合、0.01≦I1/I2≦1.00を満たすことを特徴とするZnO−MgO系焼結体。
2)MgO相の最大結晶粒径が5〜90μm以下であることを特徴とする上記1)記載のZnO−MgO系焼結体。
3)比抵抗が50kΩcm以上であることを特徴とする上記1)又は2)記載のZnO−MgO系焼結体。
4)相対密度が90%以上であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載のZnO−MgO系焼結体。
5)上記1)〜4)のいずれか一に記載のZnO−MgO系焼結体から作製されるスパッタリングターゲット。
6)上記5)記載のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法で作製される薄膜であって、作製した薄膜の膜抵抗が10〜10Ωcmであることを特徴とするZnO−MgO系薄膜。
7)最大粒径5〜90μmのMgO粉と最大粒径5〜90μmのZnO粉とを、MgOが3〜50mol%、残部ZnOとなるように秤量した後、これらを乾式混合し、その後、この混合粉を、アルゴン雰囲気中、温度800〜1300℃、プレス圧力250〜350kgf/cm、保持時間1〜3時間、焼結することを特徴とするZnO−MgO系焼結体の製造方法。
8)昇温温度1〜20℃/minで焼結することを上記7)記載のZnO−MgO系焼結体の製造方法。
本発明によれば、ZnO−MgO系スパッタリングターゲットにおいて、高い成膜速度を実現することができ、生産性を向上することができるという優れた効果を有する。さらに、スパッタの際にアーキングの発生を効果的に抑制できるという優れた効果を有する。また、本発明のZnO−MgO系スパッタリングターゲットを用いることで、安定的に低抵抗の膜を成膜することができる。
焼結体のX線回折ピーク及び結晶粒径の測定個所を示す模式図である。
本発明のZnO−MgO系焼結体はMgをMgO換算で3〜50mol%含有し、残部がZnO及び不可避的不純物からなる。MgがMgO換算で3mおl%未満又は50mol%を超えると、太陽電池の窓層材料として十分な機能を発揮することができないからである。また、本発明のZnO−MgO系焼結体は、ZnO相とMgO相とからなり、MgOの一部がZnOに固溶した組織を有する。
本発明において重要なことは、X線回折ピークにおいて、ZnO−MgO焼結体でのMgO相(200)のピーク強度をI1とし、焼結体中のMgとZnの比と同等の比となるZnO粉とMgO粉の混合粉でのMgO相(200)のピーク強度をI2とした場合、0.01≦I1/I2≦1.00を満たすことである。すなわち本発明は、MgOのZnOへの固溶を抑制し、MgO相を故意に残すことで、ZnOの比較的高いスパッタレートを維持することを可能とする。
X線回折法(XRD)の測定条件は、電圧:40kV、電流:30mA、測定範囲:20°≦2θ≦120°、サンプリング幅:0.02°、スキャンスピード:4.00°/minとする。強度比はそれぞれのピークの積分強度の比とする。X線回折ピーク強度I1は、図1のように焼結体の端部から10mm以上内側の、中心を通り、直角に交差する2本の直線上の4個所から採取した表面を測定し、その平均とする。また、X線回折ピーク強度I2の測定に用いるZnO粉とMgO粉は、特定の配向を持たないランダム方位を持つものを用いる。
また、本発明のZnO−MgO系焼結体は、MgO相の最大結晶粒径が5〜90μm以下であることが好ましい。結晶粒径が5μm未満であると、均質な膜が得られ、低パーティクルが実現できるが、ZnO中にMgOが固溶する傾向が強まり、スパッタレートが低下するという問題がある。一方、結晶粒径が90μm超であると、そこを起点とする異常放電によって、パーティクル発生が増加し易くなる。
結晶粒径は、ターゲット断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により2000倍の視野を、図1に示すように4箇所について観察し、それぞれの視野において、JIS G0551の切断法による評価方法で粒径を測定する。そして、この4視野のうちの最大の粒径を最大粒径として算出する。
また、本発明のZnO−MgO系焼結体は、比抵抗が50kΩcm以上であることが好ましい。ZnOが酸素欠損により導電性を持った場合、MgOがチャージアップして、異常放電してしまうからである。これを防止するためには、全面において高抵抗であることが望ましい。本発明における比抵抗は、薄膜の場合も含めて、四端針法により測定した値とする。
なお、四端針法での測定は、NPS社製のResistivity Processor Model Σ−5+に、焼結体測定時には同社製のプローブFELL−TC−100−SBを、薄膜測定時にはKulicke &Soffa社製のプローブFELL PROBE HEADを取り付け、測定した。
さらに、本発明のZnO−MgO系焼結体は、相対密度が90%以上であることが好ましい。焼結体(ターゲット)の相対密度が低いということは、ターゲット内部に空孔が多数存在することを意味するので、スパッタの際に、空孔を起点とするスプラッシュや異常放電が発生しやすくなるため好ましくない。
本発明において相対密度は次式から算出する。
相対密度(%)={(焼結体密度)/(理論密度)}×100
前記焼結体密度は、焼結体の寸法をノギスで測長し、その体積と測定重量から算出する。また、前記理論密度は、下記の通り、原料の単体密度それぞれに混合質量比を掛け、得られた値の総和とする。
理論密度=Σ{(ZnOの理論密度×混合質量比)+(MgOの理論密度×混合質量比)}
本発明のスパッタリングターゲットは、ZnO−MgO系焼結体を機械加工等により作製することができる。そして、このターゲットを用いて、スパッタリング法で作製した薄膜は、膜抵抗が10〜10Ωcmであり、太陽電池の窓層材料として十分な機能を発揮することができる。なお、成膜はRFスパッタにて行い、出力:500W、基板:ガラス(Eagle2000)、ターゲット−基板間距離:115mm、基板温度:室温、ガス導入前到達真空度:<5×10−4Pa、使用ガス:Ar、ガス圧:2.0Paとした。
次に、本発明のZnO−MgO系焼結体(スパッタリングターゲット)の製造方法について説明する。
まず、最大粒径5〜90μmのMgO粉と最大粒径5〜90μmのZnO粉を用意し、所定の組成となるように調合する。このように、MgO粉の比較的粗い粉を用いることで、大気との反応による変質を防ぐことができ、さらにMgOの固溶を抑制することができる。次に、MgO粉とZnO粉を乾式にて均一に混合する。このとき、MgOの凝集体を残すように比較的緩やかに混合することが重要であり、これにより、MgOの固溶を抑制することができる。また、MgO粉は吸湿等により、Mg(OH)やMgCOを形成するため、湿式混合を避けることが好ましい。
次に、この混合粉を、ホットプレス装置を用いて成形・焼結して焼結体を作製する。焼結前に混合粉を仮焼して、合成する方法が知られているが、合成によりMgOの固溶が促進するため、仮焼は行わない。焼結条件は、温度800〜1300℃、プレス圧力250〜350kgf/cm、保持時間1〜3時間、アルゴン雰囲気とする。このように比較的低温で焼結することにより、MgOの固溶を抑制することができ、さらに、ZnOの揮発を抑制することができる。成型・焼結は、ホットプレスに限らず、プラズマ放電焼結法、熱間静水圧焼結法を使用することもできる。その後、焼結体を旋盤や平面研削等の機械加工により、所望のサイズ、形状のターゲットに加工することができる。
次に、本願発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下の実施例は、あくまで代表的な例を示しているもので、本願発明はこれらの実施例に制限される必要はなく、明細書の記載される技術思想の範囲で解釈されるべきものである。
(実施例1)
ZnO粉、MgO粉を、焼結体組成がZnO:85mol%、MgO:15mol%となるように秤量した。MgO原料は、保管中に大気との反応を防止するため、また焼結中にZnOとの反応を防止するため、最大粒径が90μmのものを選定した。ZnO原料は、最大粒径が5μmのものを選定した。次に、これら原料粉末をスーパーミキサーにて、2000rpm、10分間保持して乾式混合した。混合後、アルゴン雰囲気中、昇温速度5℃/分、最終到達温度1300℃、プレス圧力300kgf/cmにてホットプレスした。
このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は86.25μmであり、相対密度は96%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.20であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。そのとき、スパッタレートは0.87Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmとなり、良好な結果が得られた。
(実施例2)
原料であるMgO粉の最大粒径を50μmとした以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は41.25μmであり、相対密度は97%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.16であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。そのとき、スパッタレートは0.81Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmとなり、良好な結果が得られた。
(実施例3)
原料であるMgO粉の最大粒径を8μmとした以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は6.00μmであり、相対密度は98%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.13であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。そのとき、スパッタレートは0.76Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmとなり、良好な結果が得られた。
(実施例4)
ZnO粉、MgO粉を、焼結体組成がZnO:97mol%、MgO:3mol%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は88.50μmであり、相対密度は99%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.01であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。そのとき、スパッタレートは0.66Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmとなり、良好な結果が得られた。
(実施例5)
ZnO粉、MgO粉を、焼結体組成がZnO:50mol%、MgO:50mol%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は90.25μmであり、相対密度は90%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.66であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは1.27Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmとなり、良好な結果が得られた。
(実施例6)
焼結温度を1000℃に変更した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は87.00μmであり、相対密度は96%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.95であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。そのとき、スパッタレートは1.78Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmとなり、良好な結果が得られた。
(実施例7)
焼結温度を1000℃に変更した以外は、実施例2と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は41.00μmであり、相対密度は97%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.81であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。そのとき、スパッタレートは1.49Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmとなり、良好な結果が得られた。
(比較例1)
原料となるZnO粉とMgO粉を混合後、1400℃での仮焼した後、ボールミルでの湿式粉砕を行った以外は、実施例1と同様の条件にて焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は87.00μmであり、相対密度は96%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.00であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは0.46Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmであった。
(比較例2)
ホットプレスの温度を1400℃とした以外は、実施例1と同様の条件にて焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は88.75μmであり、相対密度は96%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.005であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは0.41Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmであった。
(比較例3)
原料であるMgO粉の最大粒径を5μmとした以外は、実施例1と同様の条件にて焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は4.00μmであり、相対密度は99%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.008であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは0.43Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmであった。
(比較例4)
原料であるMgO粉の最大粒径を100μmとした以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は95.75μmであり、相対密度は96%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.21であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは0.82Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmであった。
(比較例5)
ZnO粉、MgO粉を、焼結体組成がZnO:98mol%、MgO:2mol%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は88.50μmであり、相対密度は98%、抵抗率は45kΩcmであった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.007であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは0.57Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmであった。
(比較例6)
ZnO粉、MgO粉を、焼結体組成がZnO:49mol%、MgO:51mol%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は89.25μmであり、相対密度は90%、抵抗率は48kΩcmであった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.05であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは0.54Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmであった。
(比較例7)
ホットプレスでのプレス圧力を150kgf/cmに変更した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。このようにして作製した焼結体を評価した結果、MgO相の最大結晶粒径は86.25μmであり、相対密度は85%、抵抗率は50kΩcm超であった。また、X線回折ピーク強度比I1/I2は0.23であった。また、残部の焼結体から作製したターゲットを用いてスパッタリングを実施し、シリコン基板上に成膜した。このとき、スパッタレートは0.90Å/秒、膜抵抗は1×10〜10Ωcmと安定しなかった。
以上の結果をまとめたものを表1に示す。
本発明のZnO−MgO系スパッタリングターゲットは、高い成膜速度を実現することができ、生産性を向上することができる。さらに、スパッタの際にアーキングの発生を効果的に抑制できる。本発明のZnO−MgO系スパッタリングターゲットを用いて作製される薄膜は、CIGS系の太陽電池の窓層材料として最適である。

Claims (8)

  1. MgをMgO換算で3〜50mol%含有し、残部がZnO及び不可避的不純物からなり、X線回折ピークにおいて、ZnO−MgO焼結体でのMgO相(200)のピーク強度をI1とし、焼結体中のMgとZnの比と同等の比となるZnO粉とMgO粉の混合粉(いずれもランダム方位を持つ)でのMgO相(200)のピーク強度をI2とした場合、0.01≦I1/I2≦1.00を満たすことを特徴とするZnO−MgO系焼結体。
  2. MgO相の最大結晶粒径が5〜90μm以下であることを特徴とする請求項1記載のZnO−MgO系焼結体。
  3. 比抵抗が50kΩcm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のZnO−MgO系焼結体。
  4. 相対密度が90%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のZnO−MgO系焼結体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のZnO−MgO系焼結体から作製されるスパッタリングターゲット。
  6. 請求項5記載のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法で作製される薄膜であって、作製した薄膜の膜抵抗が10〜10Ωcmであることを特徴とするZnO−MgO系薄膜。
  7. 最大粒径5〜90μmのMgO粉と最大粒径5〜90μmのZnO粉とを、MgOが3〜50mol%、残部ZnOとなるように秤量した後、これらを乾式混合し、その後、この混合粉を、アルゴン雰囲気中、温度800〜1300℃、プレス圧力250〜350kgf/cm、保持時間1〜3時間で、焼結することを特徴とするZnO−MgO系焼結体の製造方法。
  8. 昇温温度1〜20℃/minで焼結することを請求項7記載のZnO−MgO系焼結体の製造方法。
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