本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、画像読取装置1の概略構成について説明する。図1に示すように、画像読取装置1は、筐体10、給紙トレイ16、及び排紙トレイ18を備えている。以下の説明においては、図1の上側、下側、左側、右側、手前側、奥側を、それぞれ、画像読取装置1の上側、下側、前側、後側、右側、左側とする。
図1に示すように、筐体10は、第一筐体11及び第二筐体12を有する。第一筐体11及び第二筐体12のそれぞれの形状は、略箱形状である。第一筐体11は、筐体10の下部を形成する。第二筐体12は、第一筐体11に対して上側から重なり、筐体10の上側の側面を形成する。第一筐体11と第二筐体12との上下方向における間の位置には、複数のシート35が搬送される搬送経路20が形成されている。搬送経路20は、画像読取装置1がシート35を取り込んで画像を読み取る過程で、シート35が通過する面に対応する。搬送経路20は、給紙口10A及び排紙口10Bによって筐体10の外側と繋がる。搬送経路20は、第一筐体11の上面と、第二筐体の下面との間に定義される。
給紙トレイ16は、第一筐体11のうち給紙口10Aの後ろ側から、後方斜め上側に向けて延びる略板形状である。給紙トレイ16の上側の面に、A4サイズ、レターサイズ等の薄紙又は厚紙からなる複数のシート35が載せられる。
排紙トレイ18は、第一筐体11のうち排紙口10Bの下側から、前側に向けて延びる略板形状である。排紙トレイ18の上側の面は、排紙口10Bから筐体10の外部に排出されるシート35を受ける。
図1に示すように、第一筐体11には、給紙ローラ41、搬送ローラ91、及び搬送ローラ92が設けられる。給紙ローラ41、搬送ローラ91、及び搬送ローラ92は、搬送経路20に沿って後方斜め上側から前方斜め下側に順番に並ぶ。
給紙ローラ41は円柱状である。給紙ローラ41の軸方向は、左右方向を向く。給紙ローラ41の軸線に沿って軸部材42が延びる。軸部材42は、第一筐体11に回転可能に支持される。軸部材42は、後述する第一モータ71(図2参照)の回転に応じて回転する。給紙ローラ41は、軸部材42の回転に応じて、右側面視における反時計回りに回転する(矢印321)。給紙ローラ41の一部(例えば、給紙ローラ41の上に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。
搬送ローラ91、92は円柱状である。搬送ローラ91、92の軸方向は、左右方向を向く。搬送ローラ91、92は同一形状を有する。搬送ローラ91の軸線に沿って軸部材91Aが延びる。搬送ローラ92の軸線に沿って軸部材92Aが延びる。軸部材91A、92Aは、第一筐体11に回転可能に支持される。軸部材91A、92Aは、後述する第二モータ72(図2参照)の回転に応じて回転する。搬送ローラ91は、軸部材91Aの回転に応じて、反時計回りに回転する(矢印323)。搬送ローラ92は、軸部材92Aの回転に応じて、反時計回りに回転する(矢印324)。搬送ローラ91、92の一部(例えば、搬送ローラ91、92の上に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。
以下、搬送経路20に沿った方向を「搬送方向」という。搬送方向は、概して、前方斜め下側と後方斜め上側との間に亘って延びる方向に対応する。ただし、搬送方向は、搬送経路20に沿った方向であるため、第一筐体11の上面と第二筐体12の下面との形状に対応し、直線方向として定義されなくてもよい。即ち、搬送方向は、搬送経路20における位置に応じて、前後、上下、左右方向に対する向きの関係が変化してもよい。搬送方向のうち、搬送経路20における給紙口10A側を「上流」という。搬送方向のうち、搬送経路20における排紙口10B側を「下流」という。
第一筐体11は、第一読取部93を備える。第二筐体12は、第二読取部94を備える。第一読取部93及び第二読取部94は、周知の接触型イメージセンサである。第一読取部93及び第二読取部94は、後述する制御部50(図2参照)と電気的に接続する。第一読取部93は、搬送経路20の下側において、搬送方向において搬送ローラ91,92の間に設けられる。第二読取部94は、搬送経路20の上側において、搬送方向において搬送ローラ91,92の間に設けられる。第一読取部93及び第二読取部94は、左右方向にライン状に延びる。第一読取部93及び第二読取部94は、左右方向を主走査方向としている。第一読取部93は、搬送経路20に沿って上流から下流に向けて搬送されるシート35の、下面の画像を読み取る。第二読取部94は、搬送経路20に沿って上流から下流に向けて搬送されるシート35の、上面の画像を読み取る。第一読取部93及び第二読取部94は、は、読み取った画像のデータを、制御部50に出力する。
第二筐体12は、リバースローラ46、従動ローラ95,96、フロントセンサ691、リアAセンサ692、及びリアBセンサ693を備える。給紙ローラ41に対して上側に、リバースローラ46が配置される。リバースローラ46は円柱状である。リバースローラ46の直径は、給紙ローラ41の直径よりも小さい。リバースローラ46の軸方向は左右方向を向く。リバースローラ46の軸線に沿って軸部材47が延びる。軸部材47は、第二筐体12に回転可能に支持される。軸部材47は、後述する第二モータ72(図2参照)の回転に応じて回転する。リバースローラ46は、図示しないワンウェイクラッチを介して軸部材47に接続される。リバースローラ46は、軸部材47から、反時計回りの駆動力を受ける(矢印322)。ワンウェイクラッチの空転トルクは、シート35とリバースローラ46との間の摩擦力、及び、給紙ローラ41とリバースローラ46との間の摩擦力によって空転する値に設定されている。一方、ワンウェイクラッチの空転トルクは、シート35同士の間の摩擦力によっては空転しない値に設定されている。このため、給紙ローラ41とリバースローラ46との間にシート35が存在しない場合、又は、一枚だけ存在する場合、リバースローラ46は、軸部材47から受ける駆動力に逆らって、時計回りに回転する。一方、給紙ローラ41とリバースローラ46との間にシート35が2枚以上存在する場合、リバースローラ46は、軸部材47から受ける駆動力に応じて、反時計回りに回転する。リバースローラ46の一部(例えば、リバースローラ46の上に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。リバースローラ46のうち給紙ローラ41と近接する端部は、搬送経路20において給紙ローラ41に接触する。リバースローラ46は、搬送経路20に対して上側に配置される。
従動ローラ95,96は円柱状である。従動ローラ95は、搬送ローラ91の上側に接触する。従動ローラ96は、搬送ローラ92の上側に接触する。従動ローラ95,96の軸方向は、左右方向を向く。従動ローラ95,96は同一形状を有する。従動ローラ95,96が固定されるそれぞれの軸部材は、第二筐体12に回転可能に支持される。軸部材91A,92Aは、後述する第二モータ72(図2参照)の回転に応じて回転する。従動ローラ95は、図示しないバネによって、搬送ローラ91に向けて付勢される。従動ローラ96は、図示しないバネによって、搬送ローラ92に向けて付勢される。従動ローラ95,96の一部(例えば、従動ローラ95,96の下に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。
フロントセンサ691、リアAセンサ692、及びリアBセンサ693は、シート35を検知可能なセンサである。フロントセンサ691、リアAセンサ692、及びリアBセンサ693は、シート35の接触に応じて回動する回動部材と、回動部材の回動を検知可能な周知の光学センサとを含む。フロントセンサ691、リアAセンサ692、及びリアBセンサ693は、後述する制御部50(図2参照)と電気的に接続する。フロントセンサ691、リアAセンサ692、及びリアBセンサ693は、図示しない発光部及び受光部を備え、発光部から発光された光が受光部によって受光されたか否かを検出し、検出結果を示す信号を制御部50に出力する。例えば、シート35が回動部材に接触していない場合、回動部材は発光部から発光された光を遮り、受光部は光を検出しない。一方、シート35が回動部材に接触している場合、回動部材が回動することにより、発光部から発光された光は遮られず、受光部が光を検出する。ただし、発光部と受光部とを、搬送経路20を挟んで対向させることにより、シート35が光を遮ったか否かを検出してもよい。この場合、回動部材は不要になる。
フロントセンサ691は、搬送経路20の第一側(例えば、上側)において、搬送方向において給紙口10Aと給紙ローラ41との間の部分に設けられる。言い換えると、フロントセンサ691は、搬送経路20において給紙ローラ41の上流、且つ、給紙トレイ16の前下端部側の給紙口10A付近に配置されている。フロントセンサ691は、フロントセンサ691の配置される位置において、給紙トレイ16に配置されているシート35の有無を検出する。
リアAセンサ692は、搬送経路20の第一側(例えば、上側)において、搬送方向において給紙ローラ41と搬送ローラ91の間との部分に設けられる。言い換えると、リアAセンサ692は、搬送経路20の途中において、給紙ローラ41の下流に配置されている。リアAセンサ692は、リアAセンサ692の配置される位置において、搬送経路20に沿って給紙ローラ41から搬送ローラ91へ向けて搬送されるシート35の有無を検出する。
リアBセンサ693は、搬送経路20の第一側(例えば、上側)において、搬送方向において搬送ローラ91と第一読取部93及び第二読取部94の間の部分に設けられる。言い換えると、リアBセンサ693は、搬送経路20の途中において、搬送ローラ91の下流であり、且つ第一読取部93及び第二読取部94の上流に配置されている。リアBセンサ693は、リアBセンサ693の配置される位置において、搬送経路20に沿って搬送ローラ91から第一読取部93及び第二読取部94へ向けて搬送されるシート35の有無を検出する。
画像読取装置1によって複数のシート35が搬送され、原稿の画像である原稿画像が読み取られる場合の動作について説明する。使用者によって複数のシート35が給紙トレイ16の上面に配置されると、フロントセンサ691がシート35を検出し、制御部50に検出信号を送信する。これによって、制御部50は、給紙トレイ16にシート35が配置されたことを検出する。
制御部50(図2参照)は、第一モータ71を回転駆動する。第一モータ71の回転駆動力は、軸部材42に伝達されて、給紙ローラ41を反時計回りに回転させる(矢印321)。制御部50は、第二モータ72を回転駆動する。第二モータ72の回転駆動力は、軸部材91A,92Aに伝達されて、搬送ローラ91,92のそれぞれを反時計回りに回転させる(矢印323,324)。なお、複数のシート35が給紙ローラ41とリバースローラ46との間に到達するまでは、リバースローラ46は、時計回りに回転する。複数のシート35が給紙ローラ41とリバースローラ46との間に到達すると、第二モータ72の回転駆動力は、リバースローラ46を反時計回りに回転させる(矢印322)。
上記の状態で、搬送経路20に沿って搬送方向の下流に移動する複数のシート35のうち最も下側のシート351に、給紙ローラ41が第一側から接触する。このとき、給紙ローラ41及びリバースローラ46の回転によって、複数のシート35からシート351が1枚分離される。シート35は、搬送経路20に沿って下流に移動する。リアAセンサ692はシート35を検出し、制御部50に検出信号を送信する。これによって、制御部50は、リアAセンサ692の配置される位置にシート35があることを検出する。
リアAセンサ692の下流に搬送されたシート35は、搬送経路20に沿って下流に移動する。搬送ローラ91は、搬送経路20に沿って移動するシート35に下側から接触し、従動ローラ95との間にシート35を挟んで、シート35を下流に更に搬送する。リアBセンサ693はシート35を検出し、制御部50に検出信号を送信する。これによって、制御部50は、リアBセンサ693の配置される位置にシート35があることを検出する。
リアBセンサ693の下流に搬送されたシート35は、搬送経路20に沿って下流に移動する。搬送ローラ91は、搬送経路20に沿って移動するシート35に下側から接触し、シート35を下流に更に搬送する。搬送ローラ91の下流に配置された第一読取部93は、シート35の下面の画像を読み取る。搬送ローラ91の下流に配置された第二読取部94は、シート35の上面の画像を読み取る。第一読取部93及び第二読取部94の出力信号は、制御部50に伝達され、データ化される。
搬送ローラ92は、第一読取部93及び第二読取部94を通過したシート35に下側から接触し、従動ローラ96との間にシート35を挟んで、シート35を下流に更に搬送する。シート35は、排紙口10Bから筐体10の外部に排出され、排紙トレイ18に配置される。
図2を参照し、画像読取装置1の電気的構成について説明する。図2に示すように、画像読取装置1は、入出力インターフェースインターフェース(以下、「入出力I/F」という。)30、外部通信I/F40、及び制御部50とを備える。
入出力I/F30は、所定の規格(例えば、Universal Serial Bus (USB))に適合したインターフェース素子であり、画像読取装置1とUSBメモリ等のリムーバルメディアを接続するためのインターフェースである。本実施形態において、入出力I/F30は、USBポートである。
外部通信I/F40は、画像読取装置1をLANに接続されているPC(パーソナルコンピュータ)等の外部装置との間で、LANを経由した通信を行うための回路等を備えている。なお、外部通信I/F40は、LANを経由せずに外部装置との間で直接通信を行うためのインターフェース(例えばUSBインターフェース)で構成されてもよい。
制御部50は、画像読取装置1全体の制御を司るCPU51を備える。また、制御部50は、CPU51からの指示に応じて、第一モータ71、第二モータ72に対して駆動信号(例えば、駆動電流)を送信する所定の電気回路等を備える。CPU51は、RAM52、ROM53と電気的に接続する。RAM52は、CPU51による演算処理で得られた演算結果等、各種のデータを一時的に記憶する。特に、RAM52は、原稿画像の画像データを記憶する画像データ記憶エリア521の記憶領域を少なくとも確保している。
ROM53は、OSを記憶する。また、ROM53は、CPU51に後述の第一モード処理及び第二モード処理(図3から図5参照)を実行させるプログラム、及び各種プログラムが使用するフラグやデータの初期値等を記憶する。ROM53は、非一時的な記憶媒体の一例である。非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を記憶可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。本実施形態における記憶装置はROM53であるが、記憶装置は、情報を記憶する時間の長さに関わらずデータを保持できる、他の非一時的な記憶媒体、例えば、フラッシュメモリ、RAM等で構成されてもよい。
制御部50は、第一モータ71、第二モータ72、第一読取部93、第二読取部94、フロントセンサ691、リアAセンサ692、リアBセンサ693と電気的に接続する。第一モータ71は、軸部材42(図1参照)を介して給紙ローラ41を回転駆動する。第二モータ72は、軸部材47、91A、92Aを介してリバースローラ46、搬送ローラ91,92を回転駆動する。第一モータ71及び第二モータ72には、種々のタイプのモータを使用できる。本実施形態では、第一モータ71及び第二モータ72は、共にステッピングモータである。ステッピングモータの駆動信号は、通常、所定周波数のパルス信号である。制御部50は、CPU51の制御に応じて、第一モータ71及び第二モータ72をステップ駆動するための駆動信号を生成することで、第一モータ71及び第二モータ72を駆動する。第一モータ71及び第二モータ72の回転速度の切替えは、例えば、駆動パルスの周波数を切替えることによって行われる。
第一読取部93は、CIS(Contact Image Sensor)21A及びAFE(Analog Front End)22Aを備えている。第二読取部94は、CIS22A及びAFE22Bを備えている。CIS21A,21Bは、原稿画像を読み取る。AFE22A,22Bは、CIS22A,21Bによって読み取られたアナログの画像をデジタルの画像データに変換する。画像データは、RAM52の画像データ記憶エリア521にライン毎に格納される。「ライン毎」とは、第一読取部93及び第二読取部94の主走査方向(「紙幅方向」に相当)に並ぶ画素列毎という意味である。画像データ記憶エリア521に格納された画像データは、CPU51によって読み出され、ガンマ補正や拡大、縮小などの画像処理が施される。画像処理された画像データは、CPU51によって圧縮や符号化等のデータ処理が施された後に再び画像データ記憶エリア521に格納される。そして、画像データ記憶エリア521に格納された、データ処理の施された画像データはPC等外部装置の転送指令に応じて、ライン毎に順次入出力I/F30又は外部通信I/F40を介して外部装置に転送される。
フロントセンサ691は、給紙トレイ16に配置されているシート35を検出した場合、制御部50にON信号を出力し、給紙トレイ16に配置されているシート35を検出しない場合、制御部50にOFF信号を出力する。リアAセンサ692は、リアAセンサ692の配置される位置のシート35を検出した場合、制御部50にON信号を出力し、リアAセンサ692の配置される位置のシート35を検出しない場合、制御部50にOFF信号を出力する。リアBセンサ693は、リアBセンサ693の配置される位置のシート35を検出した場合、制御部50にON信号を出力し、リアBセンサ693の配置される位置のシート35を検出しない場合、制御部50にOFF信号を出力する。
ここで、本実施形態における画像読取装置1の読取モードについて説明する。本実施形態の画像読取装置1は、原稿画像を読み取るための読取モードとして、第一読取モード及び第二読取モード二種類の読取モードを備えている。第一読取モードは、高解像度による読取を行う場合における読取モードである。第二読取モードは、第一読取モードよりも低解像度の読み取りを行う場合における読取モードである。使用者は、所望する原稿の読取解像度に応じて、第一読取モード及び第二読取モードのいずれかを選択して画像読取装置1に実行させることができる。なお、使用者によって指定された読取解像度に応じて、第一読取モード及び第二読取モードのいずれか一方が自動的に選択されてもよい。
画像読取装置1において、複数のシート35の搬送方向(即ち、副走査方向)における搬送速度は、主走査方向における読取解像度に合わせて設定される。読取ライン数は搬送速度に比例するため、読取ライン数も、主走査方向における読取解像度に合わせて設定される。原稿読取時の搬送ローラ91,92による複数のシート35の搬送速度は、読取解像度と、第一読取部93及び第二読取部94による画像データの処理速度等の仕様に応じて調整される。画像読取装置1は、原稿読取時の搬送ローラ91,92による複数のシート35の搬送速度を速くする程、画像データの読取ライン数を減少させることができるので、画像データの副走査方向の読取解像度を低くすることができる。また、画像読取装置1は、原稿読取時の搬送ローラ91,92による複数のシート35の搬送速度を遅くする程、画像データの読取ライン数を増加させることができるので、画像データの副走査方向の読取解像度を高くすることができる。
原稿読取時における第一読取部93及び第二読取部94に対する複数のシート35の搬送速度は、搬送ローラ91,92の周速によって規定される。制御部50は、第一読取モードにおける搬送ローラ91,92の周速Lbが、第二読取モードにおける搬送ローラ91,92の周速Hbよりも遅くなるように第二モータ72を制御する。制御部50が、上記のように第二モータ72を制御するのは、給紙ローラ41によって搬送経路20を搬送されるシート35の先端が、リアBセンサ693の配置される位置を通過してリアBセンサ693が「ON」となった後である。シート35の先端がリアBセンサ693の配置される位置に到達した状態は、シート35が第一読取部93及び第二読取部94の読取開始位置に到達した状態である。なお、リアBセンサ693が「ON」となる前(即ち、原稿読取開始前)においては、複数のシート35の搬送速度を読取解像度に応じて設定する必要がないので、上記のような第一モータ71及び第二モータ72の制御は不要である。
シート35が第一読取部93及び第二読取部94の読取開始位置に到達すると、制御部50は第一モータ71を停止させる。給紙ローラ41は停止する。第一読取部93及び第二読取部94は、原稿画像の読み取りを開始する。第一読取モード又は第二読取モードでの原稿の読み取りが進行するにつれて、シート35は、搬送ローラ91,92によって搬送方向の下流に向けて順次搬送される。第一読取モードでは、シート35の後端がリアBセンサ693の配置される位置を通過してリアBセンサ693が「OFF」となった場合、制御部50は、給紙ローラ41を周速Haで回転させて、次に読み取るシート35を搬送ローラ91へ向けて搬送する。第二読取モードでは、シート35の後端がリアAセンサ692の配置される位置を通過してリアAセンサ692が「OFF」となった場合、制御部50は、給紙ローラ41を周速Haで回転させて、次に読み取るシート35を搬送ローラ91へ向けて搬送する。なお、給紙ローラ41は、第一読取モード及び第二読取モードのいずれにおいても、周速Haで回転される。ここで、本実施形態において、給紙ローラ41の周速Ha、搬送ローラ91,92の周速Hb,Lbは、下記の関係となっている。
Lb<Ha≦Hb
図3及び図4を参照して、第一モード処理について説明する。第一モード処理は、第一読取モードにおける第一モータ71及び第二モータ72の駆動を制御する処理である。使用者が給紙トレイ16に複数のシート35を配置し、画像読取装置1の操作部(図示せず)を操作して第一読取モードでの原稿画像の読取開始指示を入力すると、CPU51は、ROM53に記憶されたプログラムを実行することによって第一モード処理を開始する。
図3に示すように、第一モード処理が開始されると、CPU51は、第一モータ71を駆動する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S11)。第一モータ71の駆動開始時には、徐々に駆動パルスの周波数を増加していくスルーアップ制御が行われる。CPU51から駆動開始指示を受けた第一モータ71は、スルーアップ制御によって徐々に回転速度を増加し、スルーアップに必要な所定のステップ数の駆動後に給紙ローラ41を周速Haで回転させる回転速度に至る。給紙ローラ41は、第一モータ71のスルーアップに応じて徐々にスルーアップし、周速Haにて定速回転する。これによって、シート35は、周速Haでの給紙ローラ41の回転に応じて、搬送経路20を搬送ローラ91,92へ向けて移動する。
CPU51は、第二モータ72を駆動する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S12)。CPU51から駆動開始指示を受けた第二モータ72は、スルーアップ制御によって徐々に回転速度を増加し、スルーアップに必要な所定のステップ数の駆動後に搬送ローラ91,92を周速Hbで回転させる回転速度に至る。搬送ローラ91,92は、第二モータ72のスルーアップに応じて徐々にスルーアップし、周速Hbにて定速回転する。これによって、シート35は、周速Hbでの搬送ローラ91の回転に応じて、搬送経路20を第一読取部93及び第二読取部94へ向けて移動する。
CPU51は、リアBセンサ693からON信号が出力されているか否かを判断する(S13)。リアBセンサ693からON信号が出力されていない場合(S13:NO)、CPU51は、リアBセンサ693からON信号が出力されるまで、即ち、シート35が第一読取部93及び第二読取部94の読取開始位置に到達するまで、S13の判断を繰り返す。
リアBセンサ693からON信号が出力された場合(S13:YES)、即ち、シート35が第一読取部93及び第二読取部94の読取開始位置に到達した場合、CPU51は、第二モータ72を停止する(S14)。第二モータ72の駆動停止時には、徐々に駆動パルスの周波数を減少していくスルーダウン制御が行われる。CPU51から駆動開始指示を受けた第二モータ72は、スルーダウン制御によって徐々に回転速度数を減少し、スルーダウンに必要な所定のステップ数の駆動後に駆動を停止する。搬送ローラ91,92は、第二モータ72のスルーダウンに応じて徐々にスルーダウンした後、回転を停止する。
CPU51は、第一モータ71を停止する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S15)。CPU51から駆動停止指示を受けた第一モータ71は、スルーダウン制御によって徐々に回転速度数を減少し、スルーダウンに必要な所定のステップ数の駆動後に駆動を停止する。給紙ローラ41は、第一モータ71のスルーダウンに応じて徐々にスルーダウンした後、回転を停止する。なお、第二モータ72の駆動停止前の搬送ローラ91,92の周速Hbは、第一モータ71の駆動停止前の給紙ローラ41の周速Haよりも速い。このため、S15における第一モータ71の停止は、第二モータ72の停止の完了を待たず、S14における第二モータ72の停止と同時に行われる。第一モータ71と第二モータ72とが同時に停止を開始しても、給紙ローラ41に搬送されるシート35は、搬送ローラ91,92に搬送されるシート35に衝突しないためである。
CPU51は、第二モータ72を駆動する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S16)。CPU51から駆動開始指示を受けた第二モータ72は、スルーアップ制御によって徐々に回転速度を増加し、スルーアップに必要な所定のステップ数の駆動後に、搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる回転速度に達する。搬送ローラ91,92は、第二モータ72のスルーアップに応じて徐々にスルーアップし、周速Hbにて定速回転する。即ち、CPU51は、搬送ローラ91,92を周速Hbで回転させる回転速度で駆動する第二モータ72を、S14の処理において一旦停止させた後に、S16の処理において回転速度を切り替えて再始動させる。
CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94に、シート35の原稿画像の読み取りを開始させる(S18)。第一読取部93及び第二読取部94は、読み取った原稿画像の画像データを、RAM52の画像データ記憶エリア521にライン毎に格納する。搬送ローラ91は、第一読取モードに応じた周速Lbで回転しながら、シート35を第一読取部93及び第二読取部94へ向けて搬送する。
CPU51は、第一メモリフル処理を実行する(S19)。第一モード処理において、CPU51は、原稿画像の読み取りを開始してから、シート35の後端がリアBセンサ693の配置される位置を通過してリアBセンサ693が「OFF」となるまでの間、第一メモリフル処理によって第二モータ72の制御を行う。
本実施形態では、画像読取装置1は、第二モータ72がスルーアップ制御及びスルーダウン制御されている間も、第一読取部93及び第二読取部94は原稿画像の読み取りを続行する。これにより、画像読取装置1は、原稿画像全体の読み取りに必要な時間の短縮化を図っている。第一読取部93及び第二読取部94によって読み取られた原稿画像に対応する画像データは、RAM52の画像データ記憶エリア521に記憶された後、順次入出力I/F30又は外部通信I/F40を介して外部装置に転送される。ここで、画像データが画像データ記憶エリア521から入出力I/F30又は外部通信I/F40を介して外部装置に転送される速度は、外部装置との通信状況に左右されるため、一定の速度でないことがある。画像データの転送速度が低下すると、画像データ記憶エリア521に記憶されている画像データのデータ量が増大する。画像データ記憶エリア521の記憶容量には限りがある。円滑な画像データ形成のため、画像読取装置1は、画像データ記憶エリア521に記憶可能な最大容量(メモリフル)に達する前に、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを停止させる必要がある。第一メモリフル処理は、画像データ記憶エリア521に記憶されている画像データのデータ量である記憶データ量と、第二モータ72のスルーアップ制御及びスルーダウン制御に必要な期間を考慮した所定のデータ量とを比較して、第二モータ72の制御を行う処理である。
図6を参照して、第一メモリフル処理(S19、図6参照)について説明する。第一メモリフル処理が開始されると、CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が、後述する第一停止閾値以下であるか否かを判断する(S71)。CPU51は、空き容量が第一停止閾値よりも大きい場合(S71:NO)、第一メモリフル処理を終了し、処理を第一モード処理(図3参照)へ戻す。一方、空き容量が第一停止閾値以下の場合(S71:YES)、CPU51は、第二モータ72を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信し(S72)、処理をS73の判断へ移行する。
ここで、画像データ記憶エリア521の空き容量とは、メモリフルから画像データ記憶エリア521に記憶されている記憶データ量を減じた値によって示される。S71の判断をCPU51に実行させるため、読取ラインの1ライン分の画像データのデータ量、及び第二モータ72のステップ数と読取ライン数との関係が予め求められる。これによって、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量を逐次特定できる。また、CPU51は、画像データ記憶エリア521から入出力I/F30又は外部通信I/F40を介して画像データが出力される速度を検出することで、画像データ記憶エリア521から外部装置への画像データ出力量を逐次特定できる。このようにして特定した画像データ記憶エリア521への画像データ入力量から画像データ記憶エリア521から外部装置への画像データ出力量を減じることで、CPU51は、画像データ記憶エリア521の記憶データ量を特定できる。本実施形態では、この記憶データ量が、メモリフルから、予め求められた第一停止閾値を減じた値以上になった場合、CPU51は、第二モータ72を停止させる。空き容量、メモリフル、記憶データ量、及び第一停止閾値の関係は、以下のようになる。
(空き容量)=(メモリフル)−(記憶データ量)≦(第一停止閾値)
第一停止閾値は、第二モータ72がS72の処理において停止を開始してから、スルーダウン制御されて停止を完了するまでの間の、第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量に相当する。図9に示すように、搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる速度で駆動する第二モータ72が停止を開始してからスルーダウン制御を経て停止するまでに、時間T2がかかるとする。第一停止閾値は、この時間T2の間に、第一読取部93及び第二読取部94によって画像データ記憶エリア521へ入力される画像データ入力量に相当する。仮に、S71の判断を、空き容量が「0」であるか否かに応じて行うとすると、画像読取装置1は、S72の処理において停止を開始した第二モータ72がスルーダウン制御されて停止するまでの間、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを続行させることができない。CPU51は、第一停止閾値に基づいて第二モータ72の停止制御を行うことで、第二モータ72がスルーダウン制御されて停止するまでの間にも、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを続行させることができる。
CPU51は、第二モータ72の停止が完了したか否かを判断する(S73)。この判断は、図9に示す時間T2の経過、あるいは、時間T2に対応するステップ数(スルーダウンに必要なステップ数)を予め特定しておき、第二モータ72が停止を開始してから特定のステップ数の駆動をしたか否かに応じて行われればよい。第二モータ72の停止が完了していない場合(S73:NO)、CPU51は第二モータ72の停止が完了するまで、S73の判断を繰り返す。第二モータ72の停止が完了した場合(S73:YES)、CPU51は、処理をS74の判断へ移行する。
CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が、後述する第一開始閾値以上であるか否かを判断する(S74)。第一開始閾値は、第二モータ72がスルーアップ制御及びスルーダウン制御される間における第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量に相当する。第二モータ72のスルーアップ制御に必要な時間は、図9に示す時間T3である。第二モータ72のスルーダウン制御に必要な時間は、図9に示す時間T2である。
第一開始閾値は、時間T2と時間T3とを加算した時間における、第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量に相当する。仮に、S74の判断を、画像データ記憶エリア521の記憶データ量が「0」であるか否かに応じて行うとすると、第一開始閾値に基づいて判断する場合よりも第二モータ72の駆動開始タイミングが遅れることとなる。第二モータ72がスルーアップ制御及びスルーダウン制御されている間の画像データ入力量を、第一開始閾値として求めておき、第一開始閾値に基づいて第二モータ72を駆動する制御を行うことで、CPU51は、第二モータ72の駆動を迅速に再開できる。S71で判断される空き容量、メモリフル、記憶データ量、及び第一開始閾値の関係は、以下のようになる。
(空き容量)=(メモリフル)−(記憶データ量)≧(第一開始閾値)
CPU51は、空き容量が第一開始閾値未満の場合(S74:NO)、空き容量が第一開始閾値以上になるまでS74の判断を繰り返す。CPU51は、空き容量が第一開始閾値以上の場合(S74:YES)、第二モータ72を駆動する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S75)。第一読取モードに対応する第二モータ72の駆動であるので、CPU51は、第二モータ72を、搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる回転速度で駆動する。CPU51は、処理を第一モード処理(図3参照)へ戻す。
図3の説明に戻る。CPU51は、リアBセンサ693からOFF信号が出力されているか否かを判断する(S21)。CPU51は、リアBセンサ693からOFF信号が出力されていない場合(S21:NO)、処理をS19へ戻し、第一メモリフル処理を続行する。
リアBセンサ693からOFF信号が出力された場合(S21:YES)、即ち、シート35の後端がリアBセンサ693の配置される位置を通過した場合、CPU51は、第一モータ71を駆動する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S22)。CPU51から駆動開始指示を受けた第一モータ71は、スルーアップ制御によって徐々に回転速度を増加し、スルーアップに必要な所定のステップ数の駆動後に給紙ローラ41を周速Haで回転させる回転速度に至る。周速Haで定速回転する給紙ローラ41は、次に読み取るシート35を搬送ローラ91へ向けて搬送する。ここで、搬送ローラ91,92によってシート35が搬送されている状態で、搬送経路20の上流から給紙ローラ41によって新たに搬送されるシート35を、以下、「次原稿」という。
CPU51は、第二メモリフル処理を実行する(S23)。第一モード処理において、搬送ローラ91,92によって搬送されているシート35の後端がリアBセンサ693の配置される位置を通過してから、所定の読取終了位置まで移動するまでの間、第二メモリフル処理によって第一モータ71及び第二モータ72の制御が行われる。ここで、次原稿よりも先に搬送ローラ91,92によって搬送されているシート35を、以下、「先原稿」という。
第一読取モードにおいて、先原稿の後端がリアBセンサ693の配置される位置を通過した以降は、第一モータ71及び第二モータ72の双方が駆動する。給紙ローラ41の周速Haは、搬送ローラ91,92の周速Lbよりも速い。このため、第一モータ71が停止を開始してから停止を完了するまでに必要な時間は、第二モータ72が停止を開始してから停止を完了するまでに必要な時間よりも長くなる。なお、本実施形態においては、図9に示すように、第一モータ71と第二モータ72の加速及び減速を示す直線が、第一モータ71と第二モータ72とで同じ傾きであり、第一モータ71と第二モータ72の加速度及び減速度は同じであるとする。又、前述したように、周速Ha、Lbの関係は、Lb<Ha である。この場合、第一モータ71が停止を開始してから停止を完了するまでの間に給紙ローラ41がシート35を搬送する距離は、第二モータ72が停止を開始してから停止を完了するまでの間に搬送ローラ91がシート35を搬送する距離よりも長くなる。言い換えると、第一読取モードにおいては、第一モータ71が停止を開始してから停止を完了するまでの第一減速量は、第二モータ72が停止を開始してから停止を完了するまでの第二減速量よりも大きくなる。ここで、減速量は、速度の変化量であり、減速度に第一モータ71又は第二モータ72が停止を開始してから停止を完了するまでにかかる時間を乗ずることで求められる。このような場合に、第一モータ71と第二モータ72とを同時に停止させると、搬送ローラ91によって搬送される先原稿に、給紙ローラ41によって搬送される次原稿が衝突する可能性がある。
第二メモリフル処理では、第一モータ71及び第二モータ72を停止させる場合、第二モータ72よりも減速量の大きい第一モータ71を、第二モータ72よりも先に停止させる。そして、第一モータ71が停止を完了した後に、第二モータ72を停止させる。給紙ローラ41が停止を完了した後に搬送ローラ91,92が停止するので、画像読取装置1は、搬送ローラ91,92によって搬送されている先原稿に、給紙ローラ41によって搬送される次原稿が衝突することを防止できる。
本実施形態では、画像読取装置1は、第一モータ71及び第二モータ72がスルーアップ制御及びスルーダウン制御されている間も、原稿画像全体の読み取りに必要な時間の短縮化のため、第一読取部93及び第二読取部94は原稿画像の読み取りを続行する。第二メモリフル処理は、画像データ記憶エリア521の記憶データ量と、第一モータ71及び第二モータ72のスルーアップ制御及びスルーダウン制御に必要な期間を考慮した所定のデータ量とを比較して、第一モータ71及び第二モータ72の制御を行う処理である。
図7を参照して、第二メモリフル処理(S23、図3参照)について説明する。第二メモリフル処理が開始されると、CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が、後述する第二停止閾値以下であるか否かを判断する(S81)。CPU51は、空き容量が第二停止閾値よりも大きい場合(S81:NO)、第二メモリフル処理を終了し、処理を第一モード処理(図3参照)へ戻す。一方、空き容量が第二停止閾値以下の場合(S81:YES)、CPU51は、第一モータ71及び第二モータ72を停止することを決定する。CPU51は、まず、第一モータ71を停止する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信し(S82)、処理をS83の判断へ移行する。CPU51から駆動開始指示を受けた第一モータ71は、スルーダウン制御によって徐々に回転速度数を減少し、スルーダウンに必要な所定のステップ数の駆動後に駆動を停止する。
CPU51は、第一モータ71の停止が完了したか否かを判断する(S83)。図9に示すように、給紙ローラ41を周速Haで回転させる速度で駆動する第一モータ71が停止を開始してからスルーダウン制御を経て停止するまでに、時間T1がかかるとする。CPU51は、図9に示す時間T1の経過、あるいは、時間T1に対応するステップ数を予め特定しておき、第一モータ71が停止を開始してから特定のステップ数の第一モータ71の駆動をしたか否かに応じて、S83の判断を行えばよい。第一モータ71の停止が完了していない場合(S83:NO)、CPU51は第一モータ71の停止が完了するまで、S83の判断を繰り返す。なお、時間T1の間も、搬送ローラ91は、第一読取部93及び第二読取部94へ向けて、シート35を搬送する。
CPU51は、第一モータ71の停止が完了した場合(S83:YES)、第二モータ72を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S84)。CPU51から駆動停止指示を受けた第二モータ72は、スルーダウン制御によって徐々に回転速度数を減少し、スルーダウンに必要な所定のステップ数の駆動後に駆動を停止する。CPU51は、第二モータ72の停止が完了したか否かを判断する(S85)。第二モータ72の停止が完了していない場合(S85:NO)、CPU51は第二モータ72の停止が完了するまで、S85の判断を繰り返す。第二モータ72の停止が完了した場合(S85:YES)、CPU51は、処理をS86の判断へ移行する。
図9に示すように、搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる速度で駆動する第二モータ72が停止を開始してからスルーダウン制御を経て停止するまでに、時間T2がかかるとする。時間T2の間も、搬送ローラ91は、第一読取部93及び第二読取部94へ向けて、シート35を搬送する。第二停止閾値は、図9に示す時間T1と時間T2とを加算した時間U1において、第一読取部93及び第二読取部94が画像データ記憶エリア521へ入力可能な画像データ入力量に相当する。時間U1は、第一モータ71がCPU51から停止指示を受けてから第一減速量での停止を完了させた後、第二モータ72がCPU51から停止指示を受け、第二減速量での停止を完了させるまでの時間に相当する。仮に、S81の判断を、画像データ記憶エリア521の空き容量が「0」であるか否かに応じて行うとすると、画像読取装置1は、第一モータ71をスルーダウン制御した後に第二モータ72をスルーダウン制御する間、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを続行させることができない。CPU51は、第二停止閾値に基づいて第一モータ71及び第二モータ72の停止制御を行うことで、第一モータ71及び第二モータ72がスルーダウン制御されている間も、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを続行させることができる。S81で判断される空き容量、メモリフル、記憶データ量、及び第一開始閾値の関係は、以下のようになる。
(空き容量)=(メモリフル)−(記憶データ量)≦(第二停止閾値)
CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が、後述する第二開始閾値以上であるか否かを判断する(S86)。第二開始閾値は、第一モータ71のスルーアップ・スルーダウン制御及び第二モータ72のスルーアップ・スルーダウン制御の双方が行われる間における第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量に相当する。第一モータ71がスルーダウン制御されて停止を完了した後、第二モータ72が停止を開始してスルーダウン制御されて停止を完了するまでの時間は、図9に示す時間U1(=T1+T2)である。第二モータ72がスルーアップ制御されて搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる回転速度に至った後、第一モータ71がスルーアップ制御されて給紙ローラ41を周速Haで回転させる速度に至るまでの時間は、図9に示す時間U2(=T3+T4)である。本実施形態では、時間U1及び時間U2に、所定ステップ分のマージンに相当する時間U3を加えた時間(U1+U2+U3)における、第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量を、第二開始閾値としている。S86で判断される空き容量、メモリフル、記憶データ量、及び第二開始閾値の関係は、以下のようになる。
(空き容量)=(メモリフル)−(記憶データ量)≧(第一開始閾値)
CPU51は、空き容量が第二開始閾値未満の場合(S86:NO)空き容量が第二開始閾値以上になるまでS86の判断を繰り返す。CPU51は、空き容量が第二開始閾値以上の場合(S86:YES)、まず、第二モータ72を駆動する(S87)。CPU51から駆動開始指示を受けた第二モータ72は、スルーアップ制御によって徐々に回転速度を増加し、スルーアップに必要な所定のステップ数の駆動後に搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる回転速度に至る。
CPU51は、第二モータ72が搬送ローラ91,92を周速Lbで定速回転させる回転速度に達しているか否かを判断する(S88)。第二モータ72が搬送ローラ91,92を周速Lbで定速回転させる回転速度に達していない場合(S88:NO)、CPU51はS88の判断を繰り返す。第二モータ72がスルーアップに必要な所定のステップ数の駆動を行っている場合、CPU51は、第二モータ72が搬送ローラ91,92を周速Lbで定速回転させる回転速度に達していると判断し(S88:YES)、第一モータ71を駆動する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S89)。CPU51から駆動開始指示を受けた第一モータ71は、スルーアップ制御によって徐々に回転速度を増加し、スルーアップに必要な所定のステップ数の駆動後に給紙ローラ41を周速Haで定速回転させる回転速度に至る。その後、CPU51は、処理を第一モード処理(図3参照)へ戻す。
給紙ローラ41の周速Haは、搬送ローラ91,92の周速Lbよりも速い。このように、CPU51は、停止していた第一モータ71及び第二モータ72の駆動を再開するときに、搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる第二モータ72を先に駆動し、その後に給紙ローラ41を周速Haで回転させる第一モータ71を駆動する。これによって、CPU51は、第一モータ71及び第二モータ72の駆動再開時に、先原稿に次原稿が衝突することを防止している。
図3の説明に戻る。CPU51は、先原稿が読取終了位置を通過したか否かを判断する(S24)。CPU51は、S21の処理において先原稿の後端がリアBセンサ693の配置される位置を通過してから第二モータ72が所定ステップ数の駆動を行ったことに応じて、先原稿が読取終了位置を通過したと判断する。先原稿が読取終了位置を通過していない場合(S24:NO)、CPU51は、処理をS23へ戻し、第二メモリフル処理を続行する。先原稿が読取終了位置を通過している場合(S24:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを終了させる(S25)。
図4に示すように、CPU51は、第一モータ71を停止する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S31)。CPU51は、第一モータ71の停止が完了したか否かを判断する(S32)。第一モータ71の停止が完了していない場合(S32:NO)、CPU51は第一モータ71の停止が完了するまで、S32の判断を繰り返す。
CPU51は、第一モータ71の停止が完了した場合(S32:YES)、第二モータ72を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S33)。S33における第二モータ72への停止指示は、第二モータ72の回転速度を、搬送ローラ91,92を周速Lbで定速回転させる速度から、後述するS36の処理において搬送ローラ91,92を周速Hbで定速回転させる速度に切り替えるために行われる。また、S32において第一モータ71が停止されるのは、先原稿に次原稿が衝突することを防止するため、第一モータ71の停止を完了した上で、S33における第二モータ72の停止を行うためである。
CPU51は、第二モータ72の停止が完了したか否かを判断する(S34)。第二モータ72の停止が完了していない場合(S34:NO)、CPU51は第二モータ72の停止が完了するまで、S34の判断を繰り返す。第二モータ72の停止が完了した場合(S34:YES)、CPU51は、第一モータ71を駆動する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S35)。また、CPU51は第二モータ72を駆動する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する。第一モータ71はスルーアップ制御されて、給紙ローラ41を周速Haで回転させる速度に至る。第二モータ72はスルーアップ制御されて、搬送ローラ91,92を周速Hbで回転させる速度に至る。画像読取装置1は、第二モータ72の回転速度を、搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる速度から、搬送ローラ91,92を周速Hbで回転させる速度に切り替えることで、先原稿を排紙口10Bから迅速に排出させ、次原稿の原稿画像の読み取りを迅速に開始できる。
CPU51は、フロントセンサ691からON信号が出力されているか否かを判断する(S38)。フロントセンサ691からON信号が出力されている場合(S38:YES)、給紙トレイ16にシート35が配置されているので、次原稿以降の原稿画像読取のため、CPU51は、処理をS13(図3参照)へ戻す。フロントセンサ691からON信号が出力されていない場合(S38:NO)、給紙トレイ16にシート35が配置されていないので、CPU51は、第二モータ72が先原稿を排紙口10Bから排出させるための所定ステップ数の駆動を行ったか否かを判断する(S39)。第二モータ72が先原稿を排紙口10Bから排出させるための所定ステップ数の駆動を行っていない場合(S39:NO)、CPU51は、処理をS38の判断へ戻し、S38及びS39の判断を繰り返す。
第二モータ72が先原稿を排紙口10Bから排出させるための所定ステップ数の駆動を行った場合(S39:YES)、CPU51は、第二モータ72を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S41)。次いで、CPU51は第一モータ71を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信し(S42)、第一モード処理を終了する。
図5を参照して、第二モード処理について説明する。第二モード処理は、第二読取モードにおける第一モータ71及び第二モータ72の駆動を制御する処理である。使用者が給紙トレイ16に複数のシート35を配置し、画像読取装置1の操作部(図示せず)を操作して第二読取モードでの原稿画像の読取開始指示を入力すると、CPU51は、ROM53に記憶されたプログラムを実行することによって第二モード処理を開始する。
図5に示すように、第二モード処理が開始されると、CPU51は、第一モータ71を駆動する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S51)。また、CPU51は、第二モータ72を駆動する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S52)。第一モータ71はスルーアップ制御されて、給紙ローラ41を周速Haで定速回転させる速度に至る。第二モータ72はスルーアップ制御されて、搬送ローラ91,92を周速Hbで定速回転させる速度に至る。
CPU51は、リアBセンサ693からON信号が出力されているか否かを判断する(S53)。リアBセンサ693からON信号が出力されていない場合(S53:NO)、CPU51は、リアBセンサ693からON信号が出力されるまで、S53の判断を繰り返す。
ることができる。行うことができる。リアBセンサ693からON信号が出力された場合(S53:YES)、シート35が第一読取部93及び第二読取部94の読取開始位置に到達しているので、CPU51は、第一モータ71を停止する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S54)。このとき、第二モータ72は、搬送ローラ91,92を周速Hbで回転させる速度での定速駆動を継続している。
CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94に、シート35の原稿画像の読み取りを開始させる(S55)。第一読取部93及び第二読取部94は、読み取った原稿画像の画像データを、RAM52の画像データ記憶エリア521にライン毎に格納する。搬送ローラ91は、第二読取モードに応じた周速Hbで定速回転しながら、シート35を第一読取部93及び第二読取部94へ向けて搬送する。
CPU51は、第一メモリフル処理を実行する(S56)。ここで実行される第一メモリフル処理は、S75(図6参照)の処理における第二モータ72の駆動が、第二読取モードに対応する周速Hbで定速回転させる回転速度で行われること以外は、前述のとおりであるので、説明を省略する。
CPU51は、リアAセンサ692からOFF信号が出力されているか否かを判断する(S58)。CPU51は、リアAセンサ692からOFF信号が出力されていない場合(S58:NO)、CPU51は、リアAセンサ692からOFF信号が出力されるまで、即ち、シート35の後端がリアAセンサ692の配置される位置を通過するまで、S58の判断を繰り返す。リアAセンサ692からOFF信号が出力された場合(S58:YES)、即ち、シート35の後端がリアAセンサ692の配置される位置を通過した場合、CPU51は、第一モータ71を駆動する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信する(S59)。
ここで、第一モード処理においては、給紙ローラ41に次原稿の搬送を開始させるタイミングを、リアBセンサ693からOFF信号が出力の有無に基づいて判断している(S21、図3参照)。第二読取モードにおける搬送ローラ91,92の周速Hbは、第一読取モードにおける搬送ローラ91,92の周速Lbよりも速い。また、第二読取モードにおいて、先原稿を搬送する搬送ローラ91,92の周速Hbは、次原稿を搬送する給紙ローラ41の周速Haよりも速い。このため、第二読取モードでは、第一読取モードにおける次原稿の給紙開始タイミングよりも早いタイミングで次原稿の給紙を開始できる。画像読取装置1は、第二モード処理において、リアBセンサ693よりも搬送経路20の上流に配置されるリアAセンサ692からのOFF信号の出力の有無に基づいて第一モータ71の駆動を開始することで、先原稿の後端と次原稿の先端との間の紙間距離を縮め、原稿画像の読み取りを迅速に行うことができる。
CPU51は、第三メモリフル処理を実行する(S61)。第二モード処理において、搬送ローラ91,92によって搬送されている先原稿の後端がリアAセンサ692の配置される位置を通過してから、所定の読取終了位置まで移動するまでの間、第三メモリフル処理によって第一モータ71及び第二モータ72の制御が行われる。
図8を参照して、第三メモリフル処理(S61、図5参照)について説明する。第三メモリフル処理が開始されると、CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が第一停止閾値以下であるか否かを判断する(S91)。
前述したように、第一停止閾値は、第二モータ72がスルーダウン制御される間における第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量に相当する。第二モード処理においては、第二モータ72は、搬送ローラ91,92を周速Hbで定速回転させる回転速度で駆動する。したがって、ここでの第一停止閾値は、搬送ローラ91,92を周速Hbで定速回転させる速度で駆動する第二モータ72が停止を開始してからスルーダウン制御を経て停止するまでの間に、第一読取部93及び第二読取部94が画像データ記憶エリア521への入力可能な画像データ入力量を考慮する。
CPU51は、空き容量が第一停止閾値よりも大きい場合(S91:NO)、第三メモリフル処理を終了し、処理を第二モード処理(図5参照)へ戻す。一方、空き容量が第一停止閾値以下の場合(S91:YES)、CPU51は、第一モータ71を停止する指示を、制御部50を介して第一モータ71へ送信するとともに、第二モータ72を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S92)。ここで、CPU51は、第一モータ71への駆動停止指示及び第二モータ72への駆動停止指示を同時に送信する。ここで、「同時」とは、第一モータ71の停止の完了を待たず第二モータ72へ駆動停止指示が送信されること、または、第二モータ72の停止の完了を待たず第一モータ71へ駆動停止指示が送信されることを意味する。したがって、第一モータ71への駆動停止指示と、第二モータ72への駆動停止指示との間にタイムラグがあっても、一方のモータの停止完了を待たず他方のモータへの駆動停止指示がなされているのであれば、双方のモータへの駆動停止指示は「同時」になされたものといえる。
ここで、第二読取モードにおいて、搬送ローラ91,92は周速Hbで定速回転して先原稿を搬送する。又、給紙ローラ41は周速Haで定速回転して次原稿を搬送する。前述したように、周速Ha、Hbの関係は、Ha≦Hb である。このため、第二読取モードにおいて、搬送ローラ91,92が先原稿を搬送する速度は、給紙ローラ41が次原稿を搬送する速度よりも速い。言い換えると、第二読取モードにおいては、第一モータ71が停止を開始してから停止を完了するまでの第一減速量は、第二モータ72が停止を開始してから停止を完了するまでの第二減速量以下である。このような場合、第一モータ71及び第二モータ72が同時に停止されても、搬送経路20において先原稿に次原稿が衝突することはない。このため、第三メモリフル処理では、CPU51は、第一モータ71及び第二モータ72を同時に停止させてよい。CPU51は、第三メモリフル処理においては、第二メモリフル処理のように、第一モータ71及び第二モータ72のうち一方のモータの停止が完了してから他方のモータの停止を開始する制御を行わないこととして、処理を単純化できる。
CPU51は、第一モータ71の停止が完了し、且つ、第二モータ72の停止が完了したか否かを判断する(S94)。第一モータ71及び第二モータ72の双方またはいずれかの停止が完了していない場合(S94)、CPU51は第一モータ71及び第二モータ72の双方の停止が完了するまで、S94の判断を繰り返す。
第一モータ71及び第二モータ72の双方の停止が完了した場合(S94:YES)、CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が、第一開始閾値以上であるか否かを判断する(S95)。
前述したように、第一開始閾値は、第二モータ72がスルーアップ制御される間における第一読取部93及び第二読取部94による画像データ記憶エリア521への画像データ入力量に相当する。第二モード処理においては、第二モータ72は、搬送ローラ91,92を周速Hbで定速回転させる回転速度で駆動する。したがって、ここでの第一開始閾値は、停止している第二モータ72が、搬送ローラ91,92を周速Hbで定速回転させる速度までスルーアップ制御されるまでの間に、第一読取部93及び第二読取部94が画像データ記憶エリア521への入力可能な画像データ入力量を考慮する。
CPU51は、空き容量が第一開始閾値未満の場合(S95:NO)、空き容量が第一開始閾値以上になるまでS95の判断を繰り返す。CPU51は、空き容量が第一開始閾値以上の場合(S95:YES)、第一モータ71を駆動する指示を、制御部50を介して第一モータ71に送信するとともに(S96)、第二モータ72を駆動する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S97)。CPU51は、処理を第二モード処理(図5参照)へ戻す。
図5の説明に戻る。CPU51は、先原稿が読取終了位置を通過したか否かを判断する(S62)。CPU51は、S58の処理において先原稿の後端がリアAセンサ692の配置される位置を通過してから第二モータ72が所定ステップ数の駆動を行ったことに応じて、先原稿が読取終了位置を通過したと判断する。先原稿が読取終了位置を通過していない場合(S62:NO)、CPU51は、処理をS61へ戻し、第三メモリフル処理を続行する。先原稿が読取終了位置を通過している場合(S62:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを終了させる(S63)。
CPU51は、フロントセンサ691からON信号が出力されているか否かを判断する(S64)。フロントセンサ691からON信号が出力されている場合(S38:YES)、給紙トレイ16にシート35が配置されているので、次原稿以降の原稿画像読取のため、CPU51は、処理をS53へ戻す。フロントセンサ691からON信号が出力されていない場合(S64:NO)、給紙トレイ16にシート35が配置されていないので、CPU51は、第二モータ72が先原稿を排紙口10Bから排出させるための所定ステップ数の駆動を行ったか否かを判断する(S65)。第二モータ72が先原稿を排紙口10Bから排出させるための所定ステップ数の駆動を行っていない場合(S65:NO)、CPU51は、処理をS64の判断へ戻し、S64及びS65の判断を繰り返す。
第二モータ72が先原稿を排紙口10Bから排出させるための所定ステップ数の駆動を行った場合(S66:YES)、CPU51は、第二モータ72を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信する(S66)。次いで、CPU51は第一モータ71を停止する指示を、制御部50を介して第二モータ72に送信し(S67)、第二モード処理を終了する。
以上説明したように、第一読取モードにおいて、先原稿の後端がリアBセンサ693の配置される位置を通過した以降は、第一モータ71及び第二モータ72の双方が駆動する。この場合、CPU51は、第二メモリフル処理によって第一モータ71及び第二モータ72を制御する。CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が、第二停止閾値以下の場合(S81:YES)、第一モータ71を停止する(S82)。CPU51から駆動開始指示を受けた第一モータ71は、スルーダウン制御によって徐々に回転速度数を減少し、スルーダウンに必要な所定のステップ数の駆動後に駆動を停止する。CPU51は、第一モータ71の停止が完了した場合(S83:YES)、第二モータ72を停止する(S84)。CPU51から駆動開始指示を受けた第二モータ72は、スルーダウン制御によって徐々に回転速度数を減少し、スルーダウンに必要な所定のステップ数の駆動後に駆動を停止する。第一モータ71が停止を開始してから停止を完了するまでの第一減速量は、第二モータ72が停止を開始してから停止を完了するまでの第二減速量よりも大きい。このため、第二メモリフル処理では、第一モータ71及び第二モータ72を停止させる場合、第二モータ72よりも減速量の大きい第一モータ71を、第二モータ72よりも先に停止させる。この場合、給紙ローラ41が停止を完了した後に搬送ローラ91,92が停止するので、画像読取装置1は、搬送ローラ91,92によって搬送されている先原稿に、給紙ローラ41によって搬送される次原稿が衝突することを防止できる。
第二メモリフル処理において、CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が第二開始閾値以上の場合(S86:YES)、第二モータ72を駆動する(S87)。その後、第二モータ72が搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる回転速度に達している場合(S88:YES)、第一モータ71を駆動する(S89)。給紙ローラ41が周速Haで回転される回転速度になるように駆動する(S89)。CPU51は、停止していた第一モータ71及び第二モータ72の駆動を再開するときに、搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる第二モータ72を先に駆動し、その後に給紙ローラ41を周速Haで回転させる第一モータ71を駆動する。これによって、CPU51は、第一モータ71及び第二モータ72の駆動再開時に、先原稿に次原稿が衝突することを防止できる。
CPU51は、画像データ記憶エリア521の空き容量が、第二停止閾値以下であるか否かを判断し(S81)、空き容量が第二停止閾値以下の場合(S81:YES)、第一モータ71を停止する(S82)。その後、第一モータ71の停止が完了した場合(S83:YES)、CPU51は、第二モータ72を停止する(S84)。このようにして、画像読取装置1は、第一モータ71及び第二モータ72がスルーダウン制御されている間も、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを続行させることができる。
画像データ記憶エリア521の空き容量が第二停止閾値以下の場合(S81:YES)、CPU51は、第一モータ71及び第二モータ72を停止することを決定する。第一モータ71及び第二モータ72は、スルーダウン制御によって停止される。給紙ローラ41を周速Haで回転させる速度で駆動する第一モータ71が停止を開始してからスルーダウン制御を経て停止するまでに、時間T1がかかるとする。時間T1の間も、搬送ローラ91は、第一読取部93及び第二読取部94へ向けて、シート35を搬送する。搬送ローラ91,92を周速Lbで回転させる速度で駆動する第二モータ72が停止を開始してからスルーダウン制御を経て停止するまでに、時間T2がかかるとする。時間T2の間も、搬送ローラ91は、第一読取部93及び第二読取部94へ向けて、シート35を搬送する。第二停止閾値は、図9に示す時間T1と時間T2とを加算した時間U1において、第一読取部93及び第二読取部94が画像データ記憶エリア521へ入力可能な画像データ入力量に相当する。CPU51は、第二停止閾値に基づいて第一モータ71及び第二モータ72の停止制御を行うことで、第一モータ71及び第二モータ72がスルーダウン制御されている間も、第一読取部93及び第二読取部94に原稿画像の読み取りを続行させることができる。
画像読取装置1は、第一読取モードにおいて、第一モータ71及び第二モータ72の双方が駆動している場合において、シート35の搬送を停止する場合、第一モータ71の駆動停止を完了させることで、搬送ローラ91,92の周速Lbよりも速い周速Haによる給紙ローラ41のシート35の搬送をまず停止する。その後、第一モータ71の停止が完了した後に、その後に第二モータ72の駆動を停止させて搬送ローラ91,92によるシート35の搬送を停止する。よって、画像読取装置1は、第一読取モードにおいてシート35の搬送を停止するときに、先原稿と次原稿とが衝突することを防止できる。一方、第二読取モードにおいては、搬送ローラ91,92の周速Hbが給紙ローラ41の周速Ha以上になるように第一モータ71及び第二モータ72が駆動される。このため、第二読取モードにおいては、シート35の搬送を停止するときに、第一モータ71及び第二モータ72を同時に停止させても、先原稿と次原稿とが衝突し難い。よって、画像読取装置1は、第二読取モードにおいては、シート35の搬送を停止するときに第一モータ71及び第二モータ72を同時に停止させることで、迅速にシート35の搬送を停止できる。したがって、画像読取装置1は、モードに応じた第一モータ71及び第二モータ72の停止制御を行うことができる。
第一読取モードにおいて、CPU51は、第二減速量よりも減速量の大きな第一減速量で第一モータの停止を完了させた後に、第二減速量で第二モータの停止を開始するように第一モータ及び第二モータを制御する(S82〜S85)。これにより、画像読取装置1は、先原稿と次原稿とが衝突することを防止できる。又、第二読取モードにおいては、第一減速量は第二減速量以下であるので、CPU51は、第一モータ及び第二モータを同時に停止させる制御を行うが(S92)、先原稿と次原稿とが衝突することを防止できる。
上記実施形態において、画像読取装置1が、本発明の「画像読取装置」に相当する。搬送経路20が、本発明の「搬送経路」に相当する。給紙ローラ41が、本発明の「給紙ローラ」に相当する。搬送ローラ91が、本発明の「搬送ローラ」に相当する。第一モータ71が、本発明の「第一モータ」に相当する。第二モータ72が、本発明の「第二モータ」に相当する。第一読取部93及び第二読取部94が、本発明の「読取部」に相当する。制御部50が、本発明の「制御部」に相当する。RAM52の画像データ記憶エリア521が、本発明の「記憶部」に相当する。リアBセンサ693が、本発明の「検出部」に相当する。
S81及びS82の処理を実行するCPU51が、本発明の「第一モータ停止手段」として機能する。S83及びS84の処理を実行するCPU51が、本発明の「第二モータ停止手段」として機能する。S87の処理を実行するCPU51が、本発明の「第二モータ開始手段」として機能する。S89の処理を実行するCPU51が、本発明の「第一モータ開始手段」として機能する。S81の処理を実行するCPU51が、本発明の「停止判断手段」として機能する。
S81及びS82の処理が、本発明の「第一モータ停止ステップ」に相当する。S83及びS84の処理が、本発明の「第二モータ停止ステップ」に相当する。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、第一読取部93及び第二読取部94の画像データ出力先は、制御部50に備えられたRAM52の画像データ記憶エリア521であるが、第一読取部93及び第二読取部94の画像データ出力先は、制御部50に設けられていなくてもよい。
上記実施形態では、画像読取装置1は、原稿画像を読み取るための読取モードとして、第一読取モード及び第二読取モード二種類の読取モードを備えているが、画像読取装置1は、第一読取モードのみを備えていてもよい。また、画像読取装置1は、第一読取モード及び第二読取モード以外の他の読取モードを備えていてもよい。
上記実施形態では、第一読取部93及び第二読取部94は、CIS21A,21B及びAFE22A,22Bを備えている。例えば、第一読取部93及び第二読取部94は、CIS21A,21Bのみを備え、CIS22A,21Bによって読み取られたアナログの画像をデジタルの画像データに変換するための回路を、制御部50等に別途備えていてもよい。
上記実施形態では、第一モータ71及び第二モータ72はステッピングモータによって構成されているが、これに限られず、第一モータ71及び第二モータ72は、その他のモータで構成されていてもよい。
第一モード処理及び第二モード処理は、複数の電子機器(つまり、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。例えば、第一モード処理の一部が、インターネット又はLAN等に接続した外部装置で実行されてもよい。プログラムは、例えば、インターネット又はLAN等に接続したサーバ等の外部装置からダウンロードされて、画像読取装置1のROM53に記憶されてもよい。