JP2016188282A - 可塑剤含有部材貼り合せ用アクリル系粘着剤、並びに粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル系樹脂(A)および可塑剤(B)を含有し、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が−20℃以上であることを特徴とする可塑剤含有部材貼り合せ用アクリル系粘着剤。
【選択図】なし
Description
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
またアクリル系樹脂とは(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも1種含有するモノマー成分を重合して得られる樹脂である。
本発明の可塑剤含有部材貼り合せ用アクリル系粘着剤は、ガラス転移温度が−20℃以上であるアクリル系樹脂(A)を含有することを最大の特徴とする。アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、好ましくは−15〜35℃、更に好ましくは−10〜30℃である。ガラス転移温度が低すぎると、凝集力が低下して保持力が低下したり糊残りが生じやすくなり好ましくなく、また可塑剤を配合した際に可塑剤がブリードアウトしやすくなり被着体に貼り跡や糊残りが生じやすくなる傾向があり好ましくない。またガラス転移温度が高すぎても、粘着力が低下する傾向がある。
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
本発明においては、アクリル系樹脂(A)が共重合成分として官能基含有モノマーを使用したものであることが、アクリル系樹脂(A)の架橋点となり、凝集力を保持し、基材や被着体との密着性を上昇させる点で好ましい。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合成分全体に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの含有割合が少なすぎると、被着体に対する粘着性や剥離性が低下する傾向がある。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの含有量が多すぎると粘着力が低下しやすい傾向があり、少なすぎると被着体に対する剥離性が低下しやすい傾向がある。
また、官能基含有モノマーのうち、カルボキシル基含有モノマーが、重合成分全体に対して3重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは5重量%以上である。カルボキシル基含有モノマーの含有量が少なすぎると凝集力が不足し粘着力が低下する傾向がある。
さらに、官能基含有モノマーのうち、水酸基含有モノマーが、重合成分全体に対して5重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは1重量%未満であることが好ましい。水酸基含有モノマーの含有量が多すぎると、架橋密度が高くなりすぎて粘着力が低下したり、極性が高くなりすぎて可塑剤との相溶性が低下する傾向がある。
なかでも、共重合性モノマー(a1)として、官能基含有モノマー以外の共重合性モノマーを含有することが特に好ましい。
これらの溶剤の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のし易さ、安全上の点から、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく、更に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
かかる重量平均分子量が小さすぎると凝集力が低下し糊残りが発生しやすい傾向があり、重量平均分子量が大きすぎると粘着力が低下し、また塗工性が悪くなる傾向がある。
かかる分散度が高すぎると、糊残りがある生じやすくなる傾向があり、低すぎると粘着力が低下しやすく、また製造が困難となる傾向がある。
次に本発明で用いられる可塑剤(B)について説明する。
可塑剤(B)としては、通常用いられる公知一般の可塑剤を用いることができ、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル系可塑剤;トリメリット酸トリオクチル、トリ‐2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル系可塑剤、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸2EHAヘキシル、アジピン酸イソブチル、アジピン酸イソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジビニル、アジピン酸ジベンジル等のアジピン酸エステル系可塑剤;アゼライン酸ジオクチル、アゼライン酸2エチルエキシル、アゼライン酸イソブチル、アゼライン酸イソデシル、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジビニル、アゼライン酸ジベンジル等のアゼライン酸エステル系可塑剤;リン酸トリクレシル、トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)等のリン酸エステル系可塑剤;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;セバシン酸エステル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジフェニル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、m−トルエンスルホンアミド、N−エチル−o/p−トルエンスルホンアミド、N−n−ブチル−o/p−トルエンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。
本発明の可塑剤含有部材貼り合せ用アクリル系粘着剤は、アクリル系樹脂(A)および可塑剤(B)を含有するアクリル系粘着剤組成物を架橋剤により架橋することにより本発明のアクリル系粘着剤を得ることができる。
本発明においては、上記アクリル系樹脂(A)および可塑剤(B)を含有してなるアクリル系粘着剤組成物を塗工した後に、架橋させることによって本発明の可塑剤含有部材貼り合せ用アクリル系粘着剤とすることができる。
なお、かかるアジリジン系架橋剤は、ポットライフが短く、変異原性があることから、粘着剤の使用用途によっては使用が好ましくない場合がある。
これらの添加量は、所望する物性が得られるように適宜設定すればよいが、アクリル系粘着剤組成物全体の30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量%以下である。
本発明における可塑剤含有部材とは、可塑剤を含有する部材であれば、特に限定されるものではなく、部材の形状としては、シート状、フィルム上、テープ状等いかなる形状のものであってもよく、部材を構成する原料もいかなるものであってもよい。好ましくは、塩化ビニル樹脂からなる部材であることが好ましく、特に好ましくは塩化ビニルからなるフィルム、シート、テープである。
本発明のアクリル系粘着剤は、可塑剤含有部材貼り合せ用として用いるものであるが、基材テープ上に積層形成した粘着テープや、前記粘着剤層を離型テープ上に設けた両面粘着テープとして用いることが好ましい。
この場合、可塑剤含有部材は、粘着テープの基材となるものであってもよいし、被着体となるものであってもよい。
なお、本発明において、「粘着テープ」とは「粘着シート」や「粘着フィルム」と表現されるものも含む意味である。
また、剥離シートに粘着剤組成物を塗工し、加熱乾燥処理することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層面に剥離シートを貼り合わせることにより、基材レスの粘着テープを作製することもできる。
上記溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、アセトン、トルエンが好適に用いられる。
かかるゲル分率が低すぎると、剥離の際に凝集破壊を起し糊残りが発生しやすい傾向があり、高すぎると、粘着力やタックが低下する傾向がある。
SUS板、塩化ビニル板、プラスチック板に貼着する場合には、貼付直後の粘着力が1N/25mm〜30N/25mmであることが好ましく、さらには3N/25mm〜25N/25mmであることが好ましい。
〔アクリル系樹脂(A−1)〕
温度計、攪拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた2L4ツ口フラスコに、アセトン210g、酢酸エチル65g、アクリル酸ブチル(BA(Tg=−56℃))282.5g、メタクリル酸イソボロニル(IBXMA(Tg=180℃))175g、アクリル酸(AAc(Tg=106℃))40g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA(Tg=−15℃))2.5g、開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15gを投入後攪拌し、ウォーターバスの温度を85℃に設定した。還流開始時を反応開始時間とし、反応開始から1.5時間後、追加触媒としてAIBN0.15gと溶解用溶剤の酢酸エチル70gの混合溶液を投入した。続いて反応開始から4.5時間後、追加開始剤としてAIBN0.15gと溶解用溶剤の酢酸エチル30gの混合溶液を投入した。反応開始から7時間後、希釈溶媒のトルエン237gを投入し、その後冷却して反応を終了させ、アクリル系樹脂(A−1)溶液(重量平均分子量(Mw)97万;分散度2.89;ガラス転移温度(Tg)4.3℃;樹脂分34%;粘度15,400mPa・s/25℃)を得た。なお、反応開始時から終了まで還流温度を一定に保って反応を行なった。
温度計、攪拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた2L4ツ口フラスコに、アセトン210g、酢酸エチル65g、アクリル酸ブチル(BA(Tg=−56℃))267.5g、メタクリル酸イソボロニル(IBXMA(Tg=180℃))190g、アクリル酸(AAc(Tg=106℃))40g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA(Tg=55℃))2.5g、開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15gを投入後攪拌し、ウォーターバスの温度を85℃に設定した。還流開始時を反応開始時間とし、反応開始から1.5時間後、追加触媒としてAIBN0.15gと溶解用溶剤の酢酸エチル70gの混合溶液を投入した。つづいて反応開始から5.5時間後、追加開始剤としてAIBN0.15gと溶解用溶剤の酢酸エチル30gの混合溶液を投入した。反応開始から7時間後、希釈溶媒のトルエン237gを投入し、その後冷却して反応を終了させ、アクリル系樹脂(A−2)溶液(重量平均分子量(Mw)95万;分散度2.530;ガラス転移温度(Tg)10.2℃;樹脂分35%;粘度14,500mPa・s/25℃)を得た。なお、反応開始時から終了まで還流温度を一定に保って反応を行った。
温度計、攪拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた2L4ツ口フラスコに酢酸エチル191.28g、トルエン45.01g、BMT−K40(過酸化物系開始剤:日油株式会社製)を投入後攪拌しウォーターバスの温度を93℃に設定した。還流開始後アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA(Tg=−70℃))98.6g、アクリル酸ブチル(BA(Tg=−56℃))217.26g、アクリル酸(AAc(Tg=106℃))6.8g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA(Tg=55℃))0.34g、ビニルピロリドン(n−VP(Tg=175℃))17.0gのモノマー混合物を2時間かけて滴下投入した。滴下開始から3時間後に追加開始剤としてBMT−K401.19gと溶解用溶剤のトルエン8.5gの混合溶液を投入した。ついで滴下開始から5時間後に追加開始剤としてBMT−K400.5948gと溶解用溶剤のトルエン8.5gの混合溶液を投入した。反応開始より8時間後、希釈溶媒の酢酸エチル16.04gとトルエン165.46を投入し、その後冷却して反応を終了させ、アクリル系樹脂(A’−1)溶液(重量平均分子量(Mw)44万;分散度4.67;ガラス転移温度(Tg)−52.8℃;樹脂分44%;粘度5,000mPa・s/25℃)を得た。なお、反応開始時から終了まで還流温度を一定に保って反応を行った。
上記アクリル系樹脂(A−1)100部(固形分換算)に、可塑剤(B)としてジオクチルフタレート(DOP)16部と架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL55」)3部を配合した後、トルエンで全固形分濃度が23.3重量%となるように希釈して、アクリル系粘着剤組成物の塗工液を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物の塗工液を、離型PET(ポリエチレンテレフタレートフィルム)(東レ株式会社製:商品名「SP−PET38−01」)に、アプリケータを用いて乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布し100℃×3分乾燥させた。その後、形成された粘着剤層側を市販のビニールフィルム(膜厚0.1mm、材質:ポリ塩化ビニル)と貼りあわせ、次いで40℃×7日間エージングさせて粘着剤層付きビニールフィルムを得た。
得られた粘着剤層付きビニールフィルムを用いて下記の評価を行い、結果を表2にまとめた。
(測定方法)
上記粘着剤層付きビニールフィルムを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を被着体(JIS Z−0237の「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じ研磨したステンレス板(SUS304BA板)に23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、引っ張り試験機(島津オートグラフAG−X)で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
(評価基準)
◎…5N/25mm以上
○…3N/25mm以上〜5N/25mm未満
×…3N/25mm未満
(測定方法)
上記粘着剤層付きビニールフィルムをさらに60℃×7日間エージングした。このビニールフィルムについて、幅25mm×長さ100mmに裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を被着体(JIS Z−0237の「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じ研磨したステンレス板(SUS304BA板)に23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、引っ張り試験機(島津オートグラフAG−X)で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
(評価基準)
◎…5N/25mm以上
○…3N/25mm以上〜5N/25mm未満
×…3N/25mm未満
下記の式より、粘着力の経時変化率を計算した。
経時後の粘着力/初期粘着力×100=変化率(%)
(測定方法)
経時後の粘着力測定後の被着体試験板の表面を目視観察した。
(評価基準)
○…きれいに剥離されていた
×…糊残りまたは貼り跡が認められた
各配合成分を、下記の表1に示す割合で配合し、それ以外は実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤組成物の塗工液を調製し、それを用いて実施例1と同様の評価を行い、結果を表2にまとめた。
また、ガラス転移温度が特定温度以上であるアクリル系樹脂を用いた場合でも、可塑剤を配合しない比較例2のアクリル系粘着剤においては、初期の粘着力が充分に得られないものであった。
Claims (6)
- アクリル系樹脂(A)および可塑剤(B)を含有し、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が−20℃以上であることを特徴とする可塑剤含有部材貼り合せ用アクリル系粘着剤。
- 可塑剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して2重量部以上であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系粘着剤。
- アクリル系樹脂(A)が、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−5℃以上である共重合性モノマー(a1)を含有する共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載のアクリル系粘着剤。
- 可塑剤含有部材、塩化ビニル樹脂からなる部材であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のアクリル系粘着剤。
- 請求項1〜4記載のアクリル系粘着剤からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。
- アクリル系樹脂(A)および可塑剤(B)を含有し、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が−20℃以上であることを特徴とする可塑剤含有部材貼り合せ用アクリル系粘着剤組成物。
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