JP2016187015A - 油温推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】油温の推定精度を向上させる。【解決手段】油温推定装置は、作動油を有する油圧駆動装置を駆動するソレノイドに実際に印加されている駆動電流の検出値である検出電流値と、駆動電流の推定値である推定電流値との偏差に抵抗値推定パラメータを乗じて積分補償して、ソレノイドのコイルの推定の抵抗値である推定抵抗値を算出する抵抗値推定部と、推定抵抗値に基づいてソレノイドの温度であるソレノイド温度を推定する温度推定部と、検出電流値に基づいてソレノイドの自己発熱の飽和した温度である自己発熱飽和温度を推定する飽和温度推定部と、ソレノイド温度と自己発熱飽和温度とに基づいて作動油の温度である油温を推定する推定部とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、油温推定装置に関する。
従来、ソレノイドのコイルに駆動電流を印加することによって駆動する油圧駆動装置において、作動油の油温を推定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ソレノイドの抵抗値と、冷却水温とによって油温を高温、常温、及び、低温のいずれかであることを判定する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、油温を高温、常温、及び、低温のいずれかであると判定するだけなので、油温の推定精度が十分でないといった課題がある。
上述した課題を解決するために、本発明は、作動油を有する油圧駆動装置を駆動するソレノイドに実際に印加されている駆動電流の検出値である検出電流値と、駆動電流の推定値である推定電流値との偏差に抵抗値推定パラメータを乗じて積分補償して、ソレノイドのコイルの推定の抵抗値である推定抵抗値を算出する抵抗値推定部と、推定抵抗値に基づいてソレノイドの温度であるソレノイド温度を推定する温度推定部と、検出電流値に基づいてソレノイドの自己発熱の飽和した温度である自己発熱飽和温度を推定する飽和温度推定部と、ソレノイド温度と自己発熱飽和温度とに基づいて作動油の温度である油温を推定する推定部とを備える油温推定装置である。
本発明にかかる油温推定装置は、検出電流値と推定電流値との偏差を積分補償して算出した推定抵抗値に基づいて油温を推定しているので、ソレノイドが過渡状態でも油温の推定精度を向上できる。
以下の例示的な実施形態や変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が部分的に省略される。実施形態や変形例に含まれる部分は、他の実施形態や変形例の対応する部分と置き換えて構成されることができる。また、実施形態や変形例に含まれる部分の構成や位置等は、特に言及しない限りは、他の実施形態や変形例と同様である。
<実施形態>
図1は、実施形態の油温推定装置を含むソレノイド制御ECUを示すブロック図である。図1に示すように、ソレノイド10は、ソレノイド制御ECU(electronic control unit)12によって駆動電流が印加されて、油圧駆動装置を駆動する。例えば、ソレノイド10は、ソレノイド制御ECU(electronic control unit)12によって制御されたコイルの電磁力によって作動油の油路を開閉する油圧駆動装置に設けられる。具体的には、ソレノイド10は、コイルに駆動電流が印加された通電状態ではバルブを開け、電流がほとんど印加されていない非通電状態ではバルブを閉じるように駆動する。ソレノイド制御ECU12は、マイクロコンピュータ14と、駆動回路16と、電流検出部18とを備える。
図1は、実施形態の油温推定装置を含むソレノイド制御ECUを示すブロック図である。図1に示すように、ソレノイド10は、ソレノイド制御ECU(electronic control unit)12によって駆動電流が印加されて、油圧駆動装置を駆動する。例えば、ソレノイド10は、ソレノイド制御ECU(electronic control unit)12によって制御されたコイルの電磁力によって作動油の油路を開閉する油圧駆動装置に設けられる。具体的には、ソレノイド10は、コイルに駆動電流が印加された通電状態ではバルブを開け、電流がほとんど印加されていない非通電状態ではバルブを閉じるように駆動する。ソレノイド制御ECU12は、マイクロコンピュータ14と、駆動回路16と、電流検出部18とを備える。
マイクロコンピュータ14は、ソレノイド制御ECU12の中核として機能して、ソレノイド10の制御全般を司る。マイクロコンピュータ14は、CPU、揮発性のメモリ及び不揮発性のメモリを含む記憶部等を有する。マイクロコンピュータ14は、ソレノイド10を駆動させるための制御指令に基づく目標の駆動電流値と、実際のソレノイド10の駆動電流の検出値である検出電流値ifb(k)との偏差に基づいて電流フィードバック制御を行う。そして、例えばPWM(pulse width modulation)制御などによって、駆動回路16に印加される電圧をスイッチングすることによって駆動電流を制御する。また、マイクロコンピュータ14は、後述する油温推定装置30としても機能する。
駆動回路16は、IGBT(insulated gate bipolar transistor)等のパワー半導体を用いたスイッチング回路と、マイクロコンピュータ14の出力信号をパワー半導体へドライブするドライバ回路とを有する。
電流検出部18は、ソレノイド10に実際に流れる電流を検出する。電流検出部18は、検出した電流の値である検出電流値ifb(k)をマイクロコンピュータ14へ出力する。電流検出部18は、例えば、ホールIC等を有する電流センサ等によって電流を検出する。
図2は、油温推定装置30を有するマイクロコンピュータ14のブロック図である。図3は、ソレノイド温度マップの一例を示す図である。図4は、自己発熱マップの一例を示す図である。図5は、自己発熱温度の一次遅れ特性の一例を示す図である。図6は、ソレノイドのコイルに流れる電流の一例を示す図である。図2に示すように、マイクロコンピュータ14は、油温推定装置30と、記憶部32とを備える。
油温推定装置30は、ソレノイド10によって駆動される油圧駆動装置の作動油の温度である油温を推定する。油温推定装置30は、抵抗値推定部34と、温度推定部36と、飽和温度推定部38と、推定部40とを備える。各機能部は、マイクロコンピュータ14を中核として、ハードウエアとソフトウエアとの協働により実現される。図2は、機能ブロックとしての構成を示したものであり、各機能部は必ずしも独立して存在する必要はない。
抵抗値推定部34は、ソレノイド10に実際に印加されている駆動電流の検出値である検出電流値ifb(k)と、駆動電流の推定値である推定電流値との偏差を算出する。例えば、抵抗値推定部34は、電流検出部18から検出電流値ifb(k)を取得して、検出電流値ifb(k)と推定電流値との偏差を算出する。抵抗値推定部34は、当該偏差に予め定められた抵抗値推定パラメータrを乗じて積分補償する。これにより、抵抗値推定部34は、ソレノイド10のコイルの推定の抵抗値である推定抵抗値Kr(n)を算出して、推定する。抵抗値推定部34は、算出した推定抵抗値Kr(n)を温度推定部36へ出力する。
温度推定部36は、推定抵抗値Kr(n)に基づいてソレノイド10の温度であるソレノイド温度Tcoを推定する。例えば、温度推定部36は、抵抗値推定部34から推定抵抗値Kr(n)を取得する。温度推定部36は、取得した推定抵抗値Kr(n)に対応するソレノイド温度Tcoを、記憶部32に格納されたソレノイド温度マップ48から抽出する。図3に示すように、ソレノイド温度マップ48は、複数のソレノイド温度Tcoと、複数の推定抵抗値Kr(n)とが関連付けられたデータである。このようにして、温度推定部36は、推定抵抗値Kr(n)からソレノイド温度Tcoを推定する。温度推定部36は、推定したソレノイド温度Tcoを推定部40へ出力する。
飽和温度推定部38は、検出電流値ifb(k)に基づいてソレノイド10の自己発熱の飽和した温度である自己発熱飽和温度Tselを推定する。例えば、飽和温度推定部38は、電流検出部18から検出電流値ifb(k)を取得する。飽和温度推定部38は、取得した検出電流値ifb(k)に対応する自己発熱飽和温度Tselを自己発熱マップ50から抽出する。図4に示すように、自己発熱マップ50は、複数の検出電流値ifb(k)と、複数の自己発熱飽和温度Tselとが関連付けられたデータである。このようにして、飽和温度推定部38は、検出電流値ifb(k)から自己発熱飽和温度Tselを推定する。飽和温度推定部38は、推定した自己発熱飽和温度Tselを推定部40へ出力する。
推定部40は、ソレノイド温度Tcoと自己発熱飽和温度Tselとに基づいて、作動油の温度である油温T0を推定する。例えば、推定部40は、自己発熱飽和温度Tselと、自己発熱飽和温度Tselへの温度変化の遅れを示す一時遅れ成分(1/θs+1)との乗算値を算出する。推定部40は、ソレノイド温度Tcoと、自己発熱飽和温度Tsel及び一時遅れ成分(1/θs+1)の乗算値との差から油温T0を推定する。推定部40は、算出部42と、減算器44と、判断部46とを有する。
算出部42は、自己発熱飽和温度Tselを飽和温度推定部38から取得する。算出部42は、一次遅れ特性(1/θs+1)を設定する。θの一例は、予め定められた時定数である。例えば、時定数θは、図5に示すように、実験的に求めたソレノイド10の目標の駆動電流値毎の自己発熱飽和温度Tselの特性を近似することによって設定される。即ち、算出部42は、目標の駆動電流値に応じて、一次遅れ特性(1/θs+1)を算出する。sの一例は、伝達関数におけるラプラス変換演算子である。算出部42は、自己発熱飽和温度Tselと一時遅れ特性(1/θs+1)とを乗じて自己発熱余剰温度Tsolを算出する。算出部42は、自己発熱余剰温度Tsolを減算器44へ出力する。
減算器44は、温度推定部36からソレノイド温度Tcoを取得するとともに、算出部42から自己発熱余剰温度Tsolを取得する。減算器44は、ソレノイド温度Tcoから自己発熱余剰温度Tsolを減算した温度を通電時油温T1として算出する。減算器44は、通電時油温T1を判断部46へと出力する。通電時油温T1とは、ソレノイド10が駆動している通電状態において、油温T0として推定される値である。
判断部46は、温度推定部36からソレノイド温度Tcoを取得して、当該ソレノイド温度Tcoを非通電時油温T2とする。非通電時油温T2とは、ソレノイド10が駆動していない非通電状態において、油温T0として推定される値である。判断部46は、減算器44から通電時油温T1を取得する。判断部46は、電流検出部18から検出電流値ifb(k)を取得する。判断部46は、電流検出部18から取得した検出電流値ifb(k)と、予め定められた電流閾値とを比較して、通電状態か、非通電状態かを判断する。ここで、図6に実線で示すように、マイクロコンピュータ14は、駆動回路16を介して、通電状態においては油圧駆動装置のバルブを開けることができる電流(例えば、1A)をソレノイド10に供給するとともに、非通電状態においては油圧駆動装置のバルブが開かない程度の電流(例えば、0.1A)をソレノイド10に供給する。尚、図6において、一点鎖線は設定された電流値であって、実線が実際にソレノイド10のコイルに流れる電流値である。判断部46は、通電状態では、ソレノイド温度Tcoと自己発熱飽和温度Tselとに基づいて算出した通電時油温T1を油温T0として推定して出力する。一方、判断部46は、非通電状態では、ソレノイド温度Tcoである非通電時油温T2を油温T0として推定して出力する。
記憶部32は、揮発性のメモリ、及び、不揮発性のハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等のメモリを有する。記憶部32は、油温推定装置30とデータを送受信可能に接続されている。記憶部32は、油温推定に必要なデータであるソレノイド温度マップ48、自己発熱マップ50、一次遅れ特性に関するデータ、抵抗値推定パラメータr、及び、油温推定処理に必要なプログラム等を記憶する。
図7は、油温推定装置による油温の推定処理を説明するフローチャートである。図7に示すように、油温の推定処理が開始すると、抵抗値推定部34は、目標の駆動電流値に対応する電圧指示値Vrを取得する(S10)。電圧指示値Vrは、マイクロコンピュータ14が駆動回路16に指令して、ソレノイド10に印加する電圧の値である。
抵抗値推定部34、飽和温度推定部38、及び、判断部46は、電流検出部18から検出電流値ifb(k)を取得する(S12)。
抵抗値推定部34は、電圧指示値Vr(k)、検出電流値ifb(k)及び抵抗値推定パラメータrに基づいて、推定抵抗値Kr(n)を算出する(S14)。具体的には、抵抗値推定部34は、式(1)に各値を代入して推定抵抗値Kr(n)を算出する。尚、抵抗値推定部34は、k=1における推定抵抗値の初期値であるKr(0)として、外気温センサから取得した温度情報を活用し、ソレノイド10の抵抗値をソレノイド温度マップ48から抽出して代入する。式(1)の右辺における“Vr(k)/Kr(k−1)”が、推定電流値に相当する。抵抗値推定部34は、算出した推定抵抗値Kr(n)を温度推定部36へと出力する。
温度推定部36は、推定抵抗値Kr(n)に対応するソレノイド温度Tcoをソレノイド温度マップ48から抽出する(S16)。温度推定部36は、抽出したソレノイド温度Tcoを推定部40の減算器44及び判断部46へと出力する。
飽和温度推定部38は、電流検出部18から取得した検出電流値ifb(k)に対応する自己発熱飽和温度Tselを自己発熱マップ50から抽出する(S18)。飽和温度推定部38は、抽出した自己発熱飽和温度Tselを、推定部40の算出部42へ出力する。
算出部42は、自己発熱飽和温度Tselを取得すると、一次遅れ特性(1/θs+1)を算出する。算出部42は、自己発熱飽和温度Tselに一時遅れ特性(1/θs+1)を乗じて、自己発熱余剰温度Tsolを算出する(S20)。算出部42は、自己発熱余剰温度Tsolを減算器44へ出力する。
判断部46は、電流検出部18から取得した検出電流値ifb(k)に基づいて、ソレノイド10が通電状態か否かを判断する(S24)。例えば、判断部46は、検出電流値ifb(k)と、予め設定されて記憶部32に記憶されている電流閾値との比較結果に基づいて、ソレノイド10のコイルが通電されているか否かを判断する。
判断部46は、検出電流値ifb(k)が電流閾値未満の場合、ソレノイド10のコイルが通電されていないと判断して(S24:No)、温度推定部36から非通電時油温T2として取得したソレノイド温度Tcoをソレノイド10の油温T0として出力する(S26)。一方、判断部46は、検出電流値ifb(k)が電流閾値以上の場合、ソレノイド10のコイルが通電されていると判断して(S24:Yes)、減算器44から取得した通電時油温T1をソレノイド10の油温T0として出力する(S28)。
上述したように、油温推定装置30では、検出電流値ifb(k)と推定電流値との偏差を積分補償することによって、推定抵抗値Kr(n)を推定しているので、検出電流値ifb(k)が変動している通電開始時及び通電終了時の電流の過渡状態(図6の期間TR参照)、及び、外乱の影響下でも推定抵抗値Kr(n)を算出できる。これにより、油温推定装置30では、ソレノイド10が過渡状態でも油温T0を精度よく推定することができる。
油温推定装置30では、通電時油温T1を算出する過程で、自己発熱飽和温度Tselの一次遅れ特性(1/θs+1)を採用している。これにより、油温推定装置30では、ソレノイド10に電圧が印加されてから検出電流値ifb(k)が安定するまでの間の過渡状態でも、油温T0を精度よく推定することができる。
油温推定装置30では、ソレノイド10を駆動させない非通電状態でも、バルブが開かない程度の電流を流しているので、当該非通電状態でも推定抵抗値Kr(n)を推定することができる。これにより、油温推定装置30では、非通電状態でも、当該推定抵抗値Kr(n)によって、油温T0を精度よく推定できる。
油温推定装置30では、ソレノイド10に印加する電圧の指示値である電圧指示値Vrを推定抵抗値Kr(k−1)で除算して算出した推定電流値に基づいて、推定抵抗値Kr(n)を算出する。これにより、油温推定装置30は、電圧指示値Vrによって、精度よく推定抵抗値Kr(n)を算出できる。
上述した実施形態は適宜変更してよい。
10…ソレノイド、30…油温推定装置、34…抵抗値推定部、36…温度推定部、38…飽和温度推定部、40…推定部、Kr…推定抵抗値、T0…油温、T1…通電時油温、T2…非通電時油温、Tco…ソレノイド温度、Tsel…自己発熱飽和温度、Tsol…自己発熱余剰温度、Vr…電圧指示値、ifb…検出電流値、r…抵抗値推定パラメータ
Claims (4)
- 作動油を有する油圧駆動装置を駆動するソレノイドに実際に印加されている駆動電流の検出値である検出電流値と、前記駆動電流の推定値である推定電流値との偏差に抵抗値推定パラメータを乗じて積分補償して、前記ソレノイドのコイルの推定の抵抗値である推定抵抗値を算出する抵抗値推定部と、
前記推定抵抗値に基づいて前記ソレノイドの温度であるソレノイド温度を推定する温度推定部と、
前記検出電流値に基づいて前記ソレノイドの自己発熱の飽和した温度である自己発熱飽和温度を推定する飽和温度推定部と、
前記ソレノイド温度と前記自己発熱飽和温度とに基づいて前記作動油の温度である油温を推定する推定部と
を備える油温推定装置。 - 前記推定部は、
前記自己発熱飽和温度と、前記自己発熱飽和温度への温度変化の遅れを示す一時遅れ成分との乗算値を算出して、
前記ソレノイド温度と、前記乗算値との差から前記油温を推定する
請求項1に記載の油温推定装置。 - 前記推定部は、
前記ソレノイドが駆動している通電状態では前記ソレノイド温度と前記自己発熱飽和温度とに基づいて前記油温を推定して、
前記ソレノイドが駆動していない非通電状態では前記ソレノイドの温度を前記油温として推定する
請求項1または2に記載の油温推定装置。 - 前記抵抗値推定部は、前記ソレノイドに印加する電圧の指示値である電圧指示値を前記推定抵抗値で除算して前記推定電流値を算出する請求項1から3のいずれか1項に記載の油温推定装置。
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