JP2016186611A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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浩美 永井
大介 中井
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大介 中井
上原 康博
Yasuhiro Uehara
康博 上原
松村 保雄
Yasuo Matsumura
保雄 松村
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Abstract

【課題】圧力定着に用いる定着部材が用紙の繊維より弾性率が低い弾性体層を有しない場合に比較して、表面の粗い用紙の変形を抑制しつつ画像抜けの発生を低減させる定着装置を提供する。
【解決手段】金属製基体421の外周に被覆された弾性体からなる弾性体層422を有し、記録媒体5上に形成された圧力流動性トナーからなる未定着トナー像Tを加圧することで定着する定着ロール42と、定着ロール42に対向して配置され、定着ロールに圧接する加圧ロール43と、を備え、弾性体層422は、記録媒体5としての紙よりも低い弾性率を有するように構成した。
【選択図】図4

Description

この発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
近年、定着装置としては、省エネルギー(低消費電力)化などの要請に応えるため、非加熱でトナー像を定着する圧力定着方式を採用したものが種々提案されている(特許文献1〜3)。
特許文献1は、複数の作像部で用いるトナーが、圧力相転移樹脂を含む圧力相転移樹脂トナー、又は熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂トナーであり、記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する圧力相転移樹脂トナーを、記録媒体に定着させる定着手段の定着ニップが形成される圧力定着ニップ部と、記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する熱可塑性樹脂トナーを、記録媒体に定着させる定着手段の定着ニップが形成される熱定着ニップ部とを別に備え、圧力定着ニップ部での圧力相転移樹脂トナーの定着条件における温度Tb及び圧力Pbと、熱定着ニップ部での熱可塑性樹脂トナーの定着条件における温度Ta及び圧力Paとの大小関係が、Tb<TaかつPb>Paを満たすように構成したものである。
特許文献2は、3種のトナーのうち少なくとも1種のトナーは、定着装置の圧力を変更することにより、イエロー、マゼンタ、並びにシアンのうちの1色及びブラックのいずれかの1色を選択して記録媒体に定着可能なものであり、定着装置は1台だけ配置されており、定着装置はフルカラーでの印刷時とフルカラー以外の作像時で異なる圧力で定着を行うように構成したものである。
特許文献3は、圧力相転移樹脂を含むトナーを用いて記録媒体上に形成したトナー画像に、非加熱で圧力を加えることにより、トナー画像を記録媒体に定着させる圧力定着手段を備え、圧力定着手段による定着の際に記録媒体上のトナー画像に加える圧力は、0.5MPa以上100MPa以下であるように構成したものである。
特開2013−015664号公報 特開2009−217106号公報 特開2013−037311号公報
この発明は、圧力定着に用いる定着部材が用紙の繊維より弾性率が低い弾性体層を有しない場合に比較して、表面の粗い用紙の変形を抑制しつつ画像抜けの発生を低減させることを目的とする。
請求項1に記載された発明は、金属製基体の外周に被覆された弾性体からなる弾性体層を有し、記録媒体上に形成された圧力流動性トナーからなる未定着トナー像を加圧することで定着する定着部材と、
前記定着部材に対向して配置され、前記定着部材に圧接する加圧部材と、
を備え、
前記弾性体層は、前記記録媒体としての紙よりも低い弾性率を有する定着装置である。
請求項2に記載された発明は、前記定着部材は、前記弾性体層の表面に被覆された被覆層を有し、
前記被覆層は、前記記録媒体としての紙より弾性率が高いことを特徴とする請求項1に記載の定着装置である。
請求項3に記載された発明は、前記被覆層は、表面が粗い前記紙の凹凸よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置である。
請求項4に記載された発明は、記録媒体の表面に圧力流動性トナーからなるトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記記録媒体の表面に形成された圧力流動性トナーからなるトナー像を圧力により定着する定着手段と、
を備え、
前記定着手段として請求項1乃至3のいずれかに記載された定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項1に記載された発明によれば、圧力定着に用いる定着部材が用紙の繊維より弾性率が低い弾性体層を有しない場合に比較して、表面の粗い用紙の変形を抑制しつつ画像抜けの発生を低減させることができる。
請求項2に記載された発明によれば、定着部材が、弾性体層の表面に被覆され、記録媒体としての紙より弾性率が高い被覆層を有しない場合に比較して、定着部材にトナーが付着するのを抑制することができる。
請求項3に記載された発明によれば、被覆層の厚さが、表面が粗い紙の凹凸よりも厚い場合に比較して、表面の粗い用紙の変形を抑制しつつ画像抜けの発生を低減させることができる。
請求項4に記載された発明によれば、圧力定着に用いる定着部材が用紙の繊維より弾性率が低い弾性体層を有しない場合に比較して、表面の粗い用紙の変形を抑制しつつ画像抜けの発生を低減させることができ、記録媒体に形成される画像の画質が向上する。
この発明の実施の形態1に係る定着装置を適用した画像形成装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1に係る定着装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1に係る定着装置を示す側面構成図である。 この発明の実施の形態1に係る定着装置を示す断面構成図である。 同図(a)は表面に凹凸を有するラフ紙を示す模式図、同図(b)(c)はラフ紙を加圧する状態をそれぞれ示す模式図である。 有限要素法による計算結果を示すグラフである。 この発明の実施の形態2に係る定着装置を示す断面構成図である。 ラフ紙を加圧する状態を示す模式図である。 有限要素法による計算結果を示すグラフである。 有限要素法による計算結果としてのグラフを示す図表である。 実験例を示す模式図である。 実験結果としての顕微鏡写真を示す模式図である。
以下に、この発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に係る定着装置を適用した画像形成装置を示すものである。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤4を構成する圧力流動性トナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる本実施の形態に係る定着装置40等を備えている。なお、図中の1aは画像形成装置1の本体を示し、この本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。また、図中の破線は、本体1a内において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、本体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。
4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、図1に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤4の圧力流動性トナーで現像してトナー像にする現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15(Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K)等である。なお、この実施の形態では、トナー像形成手段として4つの作像装置10(Y,M,C,K)と中間転写装置20を備えたものを用いている。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触しない状態で配置されるコロナ放電器等の非接触型の帯電装置で構成される。帯電装置12は、その放電部材に対して帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11に接触した状態で配置される帯電ローラ等の接触型の帯電装置を用いても勿論よい。
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き点線)LBを、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13は、図1に示されるように、半導体レーザ130が画像データに応じて変調され、この半導体レーザ130からは、レーザ光LBが画像データに応じて出射される。この半導体レーザ130から出射されたレーザ光LBは、反射ミラー131,132を介して回転多面鏡133によって偏向走査され、図示しないf−θレンズで走査角度に応じて焦点距離が調整された状態で、複数枚の反射ミラー134,135を介して感光体ドラム11の軸方向に沿って走査露光される。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力されるフルカラー又は白黒に対応した画像の情報(信号)が送信される。
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロールと、現像ロールの表面に現像剤4の薄層を形成する図示しない層厚規制部材などを配置して構成したものである。この現像装置14には、その現像ロールと感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。さらに、4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、圧力流動性トナーとしての非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。また、4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、非磁性又は磁性トナーのみからなる一成分現像剤を使用しても良い。
ここで、圧力流動性トナーとしては、例えば、特開2011−14533号公報に記載された静電荷現像用トナーを用いることができる。この圧力流動性トナーは、酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体、並びに、無機粒子と複合化された酸化重合触媒を含有し、かつ、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)
なる式を満たすように、圧力が加わることで流動性を生じるものである。
この実施の形態において、定着時の圧力によって記録用紙5上でトナーが押しつぶされ、トナーの一領域に存在する酸化重合性単量体及び/又は不飽和結合を有する重合体と、トナーの他の一領域に存在する無機粒子と複合化された酸化重合触媒とが溶解混合されてトナーの流動性が向上するとともに、接触することで、重合又は架橋反応が生じ、トナー像全体が硬化されるものである。
ここで、トナーに含まれる酸化重合性単量体及び/又は不飽和結合を有する重合体と、無機粒子と複合化された酸化重合触媒とは、転写・定着前のトナー粒子の状態では互いに接触せずに酸化重合を生じず、トナーが定着されることによりこれらが初めて接触し、徐々に酸化重合を生じてトナーの定着性が向上するものであることが好ましい。従って、酸化重合性単量体及び/又は不飽和結合を有する単量体と、無機粒子と複合化された酸化重合触媒とは、異なる領域に存在することが好ましい。
このようなトナーとしては、トナーがコアシェル構造を有する場合には、コアに酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体を含有し、シェルに無機粒子と複合化された酸化重合触媒を含有する態様が例示される。また、これとは逆に、シェルに酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和結合を有する重合体を含有し、コアに無機粒子と複合化された酸化重合触媒を有する態様のものであっても良い。さらに、この実施の態様のトナーは、前記の態様に限定されるものではなく、トナー母粒子が酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体を含有し、トナーの外添剤として、無機粒子と複合化された酸化重合触媒を有する態様でもよく、無機粒子との複合化された酸化重合触媒は、トナーの外殻及び/又は表面に含有されていてもよい。
ところで、トナー母粒子が酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体を含有し、単にトナーの外添剤として酸化重合触媒を配置する方法は、一見容易であるように見えるが、触媒化合物が通常の外添剤のように数nm〜数100nmレベルまで微粒子化されることは必ずしも良いことではないこと、このために定着時の流動混合における均一性が阻害されることから効果が十分といえない場合があった。
このため、シリカやチタニアなど通常外添剤に使われる無機粒子表面に酸化重合触媒を担持させて酸化重合触媒を無機粒子と複合化し、トナー表面に均一に配置することが有効である。なお、無機粒子と複合化された酸化重合触媒とは、無機粒子の表面に物理的に吸着した酸化重合触媒、酸化重合触媒の表面を無機粒子で被覆した粒子、それらの両方を併用した粒子などを含むものである。
また、一次転写装置15(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、一次転写後の感光体ドラム11の周面に接触する清掃ブラシ等を用いて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する。尚、ドラム清掃装置16としては、残留トナーの流動性を阻害しないものを用いるのが望ましい。
中間転写装置20は、各作像装置10(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜29と、ベルト支持ロール28に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置31とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23,24,25は中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール26は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール27は二次転写前の中間転写ベルト21の走行位置などを規制する転写前ロールとして構成され、ベルト支持ロール28は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール29はクリーニング前の中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール28に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール30又は中間転写装置20の支持ロール28には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
ベルト清掃装置31は、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃するものである。尚、ベルト清掃装置31としては、残留トナーの流動性を阻害しないものを用いるのが望ましい。
定着装置40は、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された筐体41の内部に、矢印で示す方向に回転する加圧定着方式による定着部材の一例としての定着ロール42と、この定着ロール42の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転する加圧部材の一例としての加圧ロール43などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、定着ロール42と加圧ロール43が接触する接触部が所要の圧力定着処理(加圧)を行う定着処理部になる。尚、定着装置40の構成については、後に詳述する。
給紙装置50は、中間転写装置20及び二次転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、筐体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。また、記録用紙5としては、普通紙やOHPシート等以外に、表面に微少な凹凸を有するラフ紙等の表面が粗い用紙が用いられる。なお、記録用紙5としては、その表面粗さが、JIS B0601測定法における10点平均表面粗さで5〜13μm程度の用紙を用いることができる。
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール対53〜56や図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路57が設けられている。給紙搬送路57において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対56は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するための2連のベルト形態の用紙搬送装置58,59が設けられている。さらに、画像形成装置本体1aに形成される用紙の排出口に近い部分には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を本体1aの外部の用紙排出部60に排出するための用紙排出ロール対61が設けられている。
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する動作を説明する。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロールからそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路57に送り出す。給紙搬送路57では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対56が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置31が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール30から剥離された後に用紙搬送装置58,59により定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する定着ロール42と加圧ロール43との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な圧力定着処理(加圧)をして未定着の圧力流動性トナーからなるトナー像を記録用紙5に圧力定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対61により、例えば、本体1aの外部に設置された用紙排出部60に排出される。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
<定着装置の構成>
図2乃至図4はこの実施の形態1に係る定着装置を示す構成図である。
定着装置40は、大別して、非加熱で圧力のみの定着により記録用紙5上の圧力流動性トナーからなる未定着トナー像Tを加圧定着する定着部材(圧力定着用回転体)の一例としての定着(圧力定着)ロール42と、記録用紙5を定着ロール42に圧接(加圧)する加圧部材の一例としての加圧ロール43とを備えている。この定着装置40では、定着ロール42と加圧ロール43が接触(圧接)する接触部が記録用紙5に対して所要の圧力定着処理(加圧のみ)を行う定着処理部N(ニップ部)となる。
定着ロール42は、図4に示されるように、鋼鉄などの鉄やステンレスあるいはアルミニウム等の金属によって円柱状又は円筒形状に形成された金属製基体の一例としての芯金部材421と、芯金部材421の表面に予め定められた厚さに被覆されたシリコーンゴム等の弾性体からなる弾性体層の一例としての支持層422とを備えている。なお、定着ロール42は、非加熱による圧力定着を行うものであり、その内部又は外部に当該定着ロール42を加熱する加熱源を備えていない。
定着ロール42の芯金部材421としては、例えば、表面が焼き入れされた一般構造用炭素鋼(S45C)に硬質クロムメッキ処理を施したものが用いられる。定着ロール42の大きさは、例えば、有効長310mm、外径φ35mmに設定されている。定着ロール42の芯金部材421の材質は、圧力定着に用いられる荷重に耐え得るものであれば良く、一般構造用炭素鋼(S45C)に限定されない。
定着ロール42は、軸方向に沿った両端部にそれぞれ設けられた回転軸424を備えている。定着ロール42の回転軸424は、図2に示されるように、定着装置40の断面矩形の枠体状に形成された装置フレーム44に軸受45を介して回転自在に支持されている。
また、定着ロール42の支持層422は、例えば、30〜500μm程度の厚さに被覆されたシリコーンゴム等の弾性体からなる。支持層422は、その弾性率が記録用紙5としての紙よりも低く設定されている。紙の弾性率は、温度や湿度等にも依存するが、常温常湿環境(20℃、50%)下において0.25〜10GPa程度である。これに対して、支持層422の弾性率は、10〜500MPa程度であって且つ紙の弾性率よりも低い値に設定されている。
一方、加圧ロール43は、例えば、鋼鉄などの鉄やステンレスあるいはアルミニウム等の金属によって円柱状又は円筒形状に形成されたロールからなる。加圧ロール43としては、例えば、定着ロール42の芯金部材421と同様、表面が焼き入れされた一般構造用炭素鋼(S45C)に硬質クロムメッキ処理を施したものが用いられる。加圧ロール43の大きさは、例えば、有効長310mm、外径φ35mmに設定されている。定着ロール42と加圧ロール43は、ロールの中央部を回転中心として1.79度の角度で互いに交差している。
加圧ロール43は、図2に示されるように、その中心に軸方向に沿って貫通した状態で配置された固定軸46を備えている。加圧ロール43は、その軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置された軸受47を介して固定軸46に回転自在に取り付けられている。なお、加圧ロール43は、固定軸46に対して回転自在となるよう、加圧ロール43と固定軸46との間には、図示しない間隙が設けられている。また、図4では、便宜上、固定軸46が省略されている。
加圧ロール43の固定軸46は、図3に示されるように、装置フレーム44の両側面にそれぞれ配置された可動アーム48に支持されている。可動アーム48は、装置フレーム44に対して揺動軸49を中心にして揺動自在に取り付けられている。可動アーム48は、揺動軸49から加圧ロール43を介して対向する位置に延在するよう配置された外側の可動アーム48aと内側の可動アーム48bとから二重に構成されている。加圧ロール43は、二重構造の可動アーム48のうち、外側の可動アーム48aに支持されている。また、可動アーム48の先端部には、加圧ロール43を定着ロール42に加圧(圧接)させるための弾性部材の一例としてのコイルバネ70が、外側の可動アーム48aと内側の可動アーム48bとの間に介在するよう配置されている。図中、符号71は内側の可動アーム48bに固定した状態で設けられ、コイルバネ70を貫通して外側の可動アーム48aと内側の可動アーム48bを接離する方向に移動自在に連結する連結ピンを示している。
さらに、内側の可動アーム48bの先端部には、円筒形状のロールからなるカムフォロワー72が回転自在に取り付けられている。また、装置フレーム44には、カムフォロワー72と対向する位置に偏心カム73が回転可能に配置されている。偏心カム73は、図2に示されるように、装置フレーム44に軸受74を介して回転自在に設けられた回転軸75の両端部に固定した状態で取り付けられている。また、回転軸75の一端部には、当該回転軸75を所要の角度にわたり回転駆動する直流モータやギア等からなる駆動手段76を備えている。そして、定着装置40は、駆動手段76により回転軸75を所要の角度にわたり回転駆動することで、偏心カム73によってカムフォロワー72を備えた内側の可動アーム48bを上方へ移動させるとともに、コイルバネ70の弾性力により外側の可動アーム48aを上方へ移動させることで、加圧ロール43を定着ロール42に所要の圧力で圧接させる。また、非定着時には、偏心カム73を回動させることにより、内側の可動アーム48bを下方へ移動させるとともに、コイルバネ70の弾性力を解除して外側の可動アーム48aを下方へ移動させ、加圧ロール43を定着ロール42から離間させることで加圧状態を解除する。
加圧ロール43を定着ロール42に圧接させる加圧力(加圧荷重)は、圧力流動性トナーの定着性にも依存するが、例えば、片側で40〜200(kgf/cm)程度に設定される。ただし、加圧荷重は、これに限定されるものではなく、40(kgf/cm)未満、又は200(kgf/cm)を超える値に設定しても良い。特に、圧力流動性トナーとして、特開2011−14533号公報に記載された圧力定着性に優れた静電荷現像用トナーを用いた場合には、加圧力(加圧荷重)を40(kgf/cm)未満に設定することが可能となる。
図5は定着ロール42と加圧ロール43によって記録用紙5の一例としてのラフ紙を加圧した状態を模式的に示したものである。
ラフ紙5は、図5(a)に示されるように、表面に深さDが5〜20μm程度、長さLが50〜200μm程度の凹部5aを略一様に有し、表面に凹凸がある粗い用紙である。一方、トナー像を形成するトナー粒子の外径は、小粒径化の傾向にあり、例えば、体積平均粒径が3〜10μm程度に設定されている。
定着装置40において、定着ロール42として加圧ロール43と同様に表面が一般構造用炭素鋼(S45C)からなるものを用いた場合には、圧力定着時、ラフ紙5の凹部5aに転写されたトナー粒子に対して十分な定着圧力を印加することが困難となり、定着不良に起因した画像抜けが発生する虞れがある。
ラフ紙5に対する画像抜けの発生を抑制するには、定着ロール42と加圧ロール43との加圧荷重を増加させることが考えられる。しかし、定着ロール42と加圧ロール43との加圧荷重を過大に増加させた場合には、定着時の荷重によりラフ紙5表面の凸部が潰され、ラフ紙5に半透明化などを含めた変形が発生するという新たな技術的課題を生じる。
そこで、この実施の形態では、定着ロール42として芯金部材421の外周に被覆された弾性体からなる支持層422を有するものを採用し、支持層422として記録用紙5の弾性率よりも低い弾性率を有する弾性体からなるものを用いている。
更に説明すると、この実施の形態では、定着ロール42として芯金部材421の外周に被覆されたシリコーンゴムからなる支持層422を設け、当該支持層422の弾性率をラフ紙5よりも低く設定している。
本発明者らは、定着ロール42の支持層422の弾性率と記録用紙5としてのラフ紙の弾性率がどのような関係を満たせば、定着圧力を過大に増加させることなく画像抜けの発生を抑制することが可能であるかを明らかにするため、次のような有限要素法を用いた数値解析を行った。
ラフ紙5は、図5(a)に示されるように、全体として100μmの厚さを有し、表面に深さD=11μm及び長さL=100μmの凹部5aを有するものとした。また、ラフ紙5の繊維の弾性率は、相対的に低い値である256MPaに設定した。
一方、定着ロール42としては、芯金部材421の表面に弾性体からなる支持層422を有するものとした。支持層422の厚さは100μmに設定した。また、支持層422の弾性率は、弾性体を構成するシリコーンゴム等の配合比や重合率等を調整することを考慮して、30MPa、60MPa、90MPa、200MPa、300MPaの5種類に設定した。なお、定着ロール42の芯金部材421及び加圧ロール43は、表面が焼き入れされた一般構造用炭素鋼(S45C)に硬質クロムメッキ処理を施したものからなり、変形しない平面とした。
このような定着装置40において、定着ロール42と加圧ロール43を圧接する加圧荷重Pを0〜100(kgf/cm)まで変化させた場合における定着ロール42の支持層422及びラフ紙5の凹部5aの形状変化を有限要素法により求めた。なお、有限要素法の計算にあたっては、米国のHKS社により開発された有限要素解析を行うプロプライエタリーソフトウエアである“ABAQUS”を使用した。
図6は上記有限要素解析を用いて定着ロールの支持層の変形量及び定着ロールの変形した支持層がラフ紙の凹部の底面に与える圧力を求めた結果を示すグラフである。尚、図6の左側の縦軸は、定着ロール42の変形した支持層422とラフ紙5の凹部5aとの間隙Gap(μm)を、右側の縦軸は、ラフ紙5の凹部5aに定着ロール42の変形した支持層422が及ぼす圧力(グラフ中の破線)(kgf/cm)を、横軸は、定着ロール42と加圧ロール43の加圧荷重P(kgf/cm)をそれぞれ示している。
この図6から明らかなように、定着ロール42の支持層422の弾性率が30MPa、60MPa、90MPaとラフ紙5の弾性率である256MPaに対して1/2以下と大幅に小さい場合には、定着ロール42の支持層422の弾性率が30MPaのとき、加圧荷重Pが60kgf/cmで定着ロール42の支持層422が弾性変形してラフ紙5の凹部5aの底面に接触し、定着ロール42の支持層422の表面とラフ紙5の凹部5aの底面との間隙Gapが0μmとなり、ラフ紙5の凹部5aの底面に転写されたトナー粒子に対して加圧力を印加することができることが判る。そして、加圧荷重Pが60kgf/cmを超えると、定着ロール42の支持層422がラフ紙5の凹部5aの底面を押圧する荷重(グラフ中の破線)が直線状に増加し、加圧荷重Pが100kgf/cmに達すると、定着ロール42の支持層422がラフ紙5の凹部5aの底面を押圧する荷重が約37kgf/cmとなる。
また、定着ロール42の支持層422の弾性率が60MPaの場合においては、加圧荷重が100kgf/cmで定着ロール42の支持層422の表面とラフ紙5の凹部5aの底部との間隙が0μmとなり、定着ロール42の支持層422の弾性率が90MPaのときには、加圧力が120kgf/cmで定着ロール42の支持層422の表面とラフ紙5の凹部5aの底部との間隙が0μmとなることが判る。
<定着装置の動作>
以下、定着装置の動作について説明する。
画像形成装置1が画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)等とともに定着装置40が始動する。
定着装置40は、図2に示されるように、駆動手段76を駆動することにより、加圧ロール43を定着ロール42に対して所要の加圧力(加圧荷重)で圧接させるとともに、定着ロール42を回転駆動する。このとき、加圧荷重Pは、例えば、100(kgf/cm)に設定される。
この実施の形態に係る定着装置40では、定着ロール42が芯金部材421の表面に支持層422を有しており、当該支持層422の弾性率がラフ紙5の弾性率よりも低く設定されている。そのため、定着装置40では、図4に示されるように、定着ロール42と加圧ロール43とで形成される定着ニップ部Nに圧力流動性トナーからなる未定着トナー像Tを保持したラフ紙5を通過させる際に、定着ロール42の支持層422がラフ紙5の凹部5aに沿って弾性変形する。その結果、ラフ紙5の凹部5aの底部に転写された圧力流動性トナーからなるトナー粒子に対しては、図6に示されるような定着圧力を印加することができ、ラフ紙5の凹部5aに転写されたトナー粒子の定着不良に起因した画像抜けの発生が抑制される。また、定着ロール42と加圧ロール43を圧接させる加圧力(加圧荷重)は、100kgf/cm程度で良く、従来の圧力定着方式を採用した定着装置における加圧荷重である200〜700kgf/cmと比較して小さな加圧力でよく、ラフ紙が定着圧力により変形することが抑制される。
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2に係る定着装置を示すものである。
実施の形態2に係る定着装置40は、図7に示されるように、定着ロール42が支持層422の表面に被覆された被覆層の一例としての表面層423を有している。表面層423は、記録用紙5としてのラフ紙より弾性率が高く、且つ表面が粗いラフ紙5の凹部5aの深さDよりも厚さが薄く設定されている。
更に説明すると、定着ロール42は、図7に示されるように、鋼鉄などの鉄やステンレスあるいはアルミニウム等の金属によって円柱状又は円筒形状に形成された金属製基体の一例としての芯金部材421と、芯金部材421の表面に予め定められた厚さに被覆されたシリコーンゴム等の弾性体からなる支持層422と、支持層422の表面に被覆されたポリイミド、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる表面層423とから構成されている。なお、支持層422と表面層423とは、図示しない接着層を介して接着されていても良い。
表面層423としてのポリイミドの弾性率は、2〜7GPa程度であり、PFAの弾性率(引張弾性率)は、0.31〜0.35GPa程度であり、PTFEの弾性率(引張弾性率)は、0.40〜0.60GPa程度であり、いずれもラフ紙5の弾性率256MPaよりも大きい。また、表面層423の厚さは、ラフ紙5の凹部5aの深さDよりも薄く、例えば、2〜10μm程度に設定されている。
なお、表面層423を形成する材料の弾性率は、JIS K7161,7162「プラスチック―引張特性の試験方法」に準拠して測定した値を用いた。
本発明者らは、定着ロール42の支持層422及び表面層423の厚さ並びに弾性率がどのような条件を満たせば、定着ロール42に対するトナー付着を抑制することが可能であるかを明らかにするため、次のような有限要素法を用いた第2の数値解析を行った。
ラフ紙5は、図8に示されるように、100μmの厚さを有し、表面に深さD=11μm及び長さL=100μmの凹部5aを有するものとした。また、ラフ紙5の繊維の弾性率は、相対的に低い値である256MPaに設定した。さらに、ラフ紙5は、その表面に厚さ10μmのトナー層Tを一様に有するものとした。また、定着ロール42は、支持層422の弾性率が14MPa、厚さが50μm、表面層423の弾性率が2GPa、厚さが2μmとした。なお、トナー層Tの厚さは10μm、トナーの弾性率は50MPaに設定した。
このような定着装置40において、定着ロール42と加圧ロール43を圧接する加圧荷重Pを0〜100(kgf/cm)まで変化させた場合における表面層423とラフ紙5の凹部5aの底部に位置するトナー像Tとの間隔と、ラフ紙5の凹部5a内外におけるトナー層に対する加圧荷重を有限要素法により求めた。
図9は上記有限要素解析を用いて表面層423とラフ紙5の凹部5aの底部に位置するトナー像Tとの間隔と、ラフ紙5の凹部5a内外におけるトナー層に対する加圧荷重を求めた結果を示すグラフである。
この図9から、図6と同様に定着ロール42の表面層423とラフ紙5の凹部5aの底部との間隙が0となったときの加圧力(加圧荷重)(1)と、ラフ紙5の凹部5a以外の表面に位置するトナー層Tに対する加圧荷重とラフ紙5の凹部5aの底部に位置するトナー層Tに対する加圧荷重との圧力差(2)とを求めた。また、この間隙が0となったときの加圧力(加圧荷重)と、ラフ紙5の凹部5aの内外におけるトナー層に対する加圧荷重の圧力差とを、定着ロール42の支持層422の厚さ及び弾性率、並びに表面層423の厚さ及び弾性率を変化させて求めた。なお、変化させないパラメータは、以下に固定して計算を行った。支持層422の弾性率14MPa、厚さ50μm、表面層423の弾性率2GPa、厚さ2μmとした。
図10は上記の如く、定着ロール42の支持層422の厚さ及び弾性率、並びに表面層423の厚さ及び弾性率を変化させた場合における、間隙が0となったときの加圧力(加圧荷重)と、ラフ紙の凹部の内外におけるトナー層に対する加圧荷重の圧力差とを求めた結果(グラフ)をそれぞれ示した図表である。
この図10の左端の上下段に示すグラフから明らかなように、定着ロール42の支持層422は、厚さが20μm、50μm、100μmと厚くなるに従って、間隙が0となったときの加圧力(加圧荷重)が低下するとともに、ラフ紙5の凹部5aの内外におけるトナー層Tに対する加圧荷重の圧力差が減少し、定着性が良好となるとともに、ラフ紙5の凹部5a以外におけるトナー層Tに対する加圧荷重が低下し、トナーオフセットの発生が抑制されることが判る。
また、図10の左端から2番目の上下段に示すグラフから明らかなように、定着ロール42の支持層422は、弾性率が5MPa、10MPa、20MPaと増加するに従って、間隙が0となったときの加圧力(加圧荷重)が増加するとともに、ラフ紙5の凹部5aの内外におけるトナー層に対する加圧荷重の圧力差も増加し、定着性が低下するとともに、ラフ紙5の凹部5a以外におけるトナー層Tに対する加圧荷重が増大し、トナーオフセットが発生し易くなる傾向にあることが判る。
一方、図10の右端から2番目の上下段に示すグラフから明らかなように、定着ロール42の表面層422は、厚さが2μm、5μm、12μmと厚くなるに従って、間隙が0となったときの加圧力(加圧荷重)が増加するとともに、ラフ紙5の凹部5aの内外におけるトナー層Tに対する加圧荷重の圧力差が増加し、定着性が低下するとともに、ラフ紙5の凹部5a以外におけるトナー層Tに対する加圧荷重が増加し、トナーオフセットが発生し易くなる傾向にあることが判明した。
また、図10の右端の上下段に示すグラフから明らかなように、定着ロール42の表面層423は、弾性率が300MPa、2000MPaと増加しても、間隙が0となったときの加圧力(加圧荷重)及びラフ紙5の凹部5aの内外におけるトナー層Tに対する加圧荷重の圧力差が僅かに増加する傾向がみられるものの変化は小さく、定着性並びにトナーオフセットに与える影響は小さいことが判る。
実験例
次に、本発明者らは、定着ロール42の表面状態によってトナーオフセットの発生度合いがどのように変化するかを確認する実験を行った。
図11は実験例に用いた装置を示す模式図である。
符号81は加圧ロール43としての金属製の台座を示すものであり、台座81の表面にラフ紙5を載せ、当該ラフ紙5の表面にトナー像としてランダムに圧力流動性トナーのトナー粒子Tを散布した。そして、ラフ紙5の表面にガラスコーティングを施したシートの表面にPTFEを積層したものを定着ロール42の表面層423として介在させ、当該PTFEからなる表面層423の上部に定着ロール42の支持層422として31MPaの弾性率を有するシリコーンゴム製のシートを積層して、シリコーンゴム製シート423の上面から100(kgf/cm)の加圧力Pをもって加圧して、圧力流動性トナーTをラフ紙5の表面に圧力定着する実験を行った。そして、ラフ紙5に定着されたトナーT及び定着ロール42側に付着したオフセットトナーの様子を光学顕微鏡を用いて観察した。
なお、比較例として、PTFEからなる表面層423を有しない支持層422のみからなるものを用いて同様の実験を行った。
図12は上記実験例の結果を示す顕微鏡写真の模式図である。
この図12の右側の上下段から明らかなように、定着ロール42の表面層423としてガラスコーティングを施したシートの表面にPTFEを積層したものを用いた場合には、圧力流動性トナーTの殆どがラフ紙5の表面に圧力定着され(同図上欄)、定着ロール42の表面層423(加圧部材)に付着した圧力流動性トナーTは、極僅かであった(同図下欄)。
これに対して、定着ロール42の表面層423としてガラスコーティングを施したシートの表面にPTFEを積層したものを用いなかった場合には、図12の左側の上下段から明らかなように、圧力流動性トナーTの殆どが定着ロール42の支持層422(加圧部材)に付着し(同図下欄)、ラフ紙5の表面に圧力定着された圧力流動性トナーTは、極僅かであった(同図上欄)。
これは、定着ロール42の支持層422の表面にラフ紙5より弾性率が高い表面層423を設けることにより、圧力流動性トナーTのラフ紙5に対する付着力が圧力流動性トナーTの定着ロール42の表面層423に対する付着力よりも大きくなった結果、圧力流動性トナーTの殆どがラフ紙5に定着されたものと考えられる。
なお、本発明者らは、トナーの付着性に対して、表面層423の表面エネルギーよりも表面層423の弾性率の寄与が大きいことを確認している。
このように、上記実施の形態2によれば、圧力流動性トナーの定着性が向上するとともに、トナーオフセットが発生することが抑制される。
1…画像形成装置
2…画像出力装置
5…ラフ紙
40…定着装置
42…定着ロール
43…加圧ロール
421…芯金部材
422…支持層
423…表面層

Claims (4)

  1. 金属製基体の外周に被覆された弾性体からなる弾性体層を有し、記録媒体上に形成された圧力流動性トナーからなる未定着トナー像を加圧することで定着する定着部材と、
    前記定着部材に対向して配置され、前記定着部材に圧接する加圧部材と、
    を備え、
    前記弾性体層は、前記記録媒体としての紙よりも低い弾性率を有する定着装置。
  2. 前記定着部材は、前記弾性体層の表面に被覆された被覆層を有し、
    前記被覆層は、前記記録媒体としての紙より弾性率が高いことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記被覆層は、表面が粗い前記紙の凹凸よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 記録媒体の表面に圧力流動性トナーからなるトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記記録媒体の表面に形成された圧力流動性トナーからなるトナー像を圧力により定着する定着手段と、
    を備え、
    前記定着手段として請求項1乃至3のいずれかに記載された定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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