JP2016186331A - バタフライ弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏心構造のバタフライ弁において、水密及び気密状態を確実に確保すること。【解決手段】内部に流路が形成された弁箱1と、弁箱1の流路内に、この流路を開閉自在に設けられる弁体2と、弁体2の弁体面から前記流路の流動方向に偏心するとともに、弁体2の中心から前記流路の一方の内壁面側に偏心し、弁体2を回動させる回動軸3と、前記流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有し、前記中心軸に対して傾斜した前記中心軸上からの偏心方向に沿う短軸を有する仮想楕円錐面f1を、前記中心軸に垂直かつ所定距離離れた二枚の平面で切断したときの、この両平面で囲まれる仮想楕円錐面f1を当接面とし、弁箱1の内径側に設けられる弁箱弁座4と、弁箱弁座4に臨む外周端部5bを断面円弧状とし、弁体2の外周縁に設けられる前記当接面に当接する弁体弁座5と、を備えたバタフライ弁を構成する。【選択図】図1

Description

この発明は、バタフライ弁に関し、特に偏心構造を採用したものに関する。
各種火力発電や地熱発電設備の蒸気ライン等のように、高温・高圧条件下で使用される偏心構造を有するバタフライ弁の一つとして、例えば特許文献1に示すように、三重偏心構造のバタフライ弁がある。このバタフライ弁は、弁体を回動させる回動軸が、弁体の弁体面から流体の流動方向に偏心するとともに(一次偏心)、弁体の中心から前記流路の一方の内壁面側に偏心し(二次偏心)、さらに、弁箱弁座の弁体弁座との当接面が、前記流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有する円錐面上にあり(三次偏心)、三つの偏心軸を有している。
この三重偏心構造のバタフライ弁は、弁体の開閉時に弁箱弁座と弁体弁座との間の摺動が生じにくいため、閉弁状態の弁体をスムーズに開弁することができ、両弁座の長寿命化を図ることができる。
特許第3709196号公報
特許文献1に示す三重偏心構造のバタフライ弁は、弁箱弁座と弁体弁座との間に摺動がほとんど生じない代わりに、両弁座が面接触することによってこの弁体による水密及び気密状態が確保される構成となっている。すなわち、バタフライ弁のアセンブリ上の誤差等によって、弁箱弁座と弁体弁座との間に位置ずれや傾きが生じた場合は、両弁座の間に隙間が生じ、水密及び気密状態が確保できなくなる問題がある。
そこで、この発明は、偏心構造のバタフライ弁において、水密及び気密状態を確実に確保することを課題とする。
上記の課題を解決するため、この発明は、内部に流路が形成された弁箱と、前記弁箱の流路内に、この流路を開閉自在に設けられる弁体と、前記弁体の弁体面から前記流路の流動方向に偏心するとともに、前記弁体の中心から前記流路の一方の内壁面側に偏心し、前記弁体を回動させる回動軸と、前記流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有し、前記中心軸に対して傾斜した前記中心軸上からの偏心方向に沿う短軸を有する仮想楕円錐面を、前記中心軸に垂直かつ所定距離離れた二枚の平面で切断したときの、この両平面で囲まれる前記仮想楕円錐面を当接面とし、前記弁箱の内径側に設けられる弁箱弁座と、前記弁箱弁座に臨む外周端部を断面円弧状とし、前記弁体の外周縁に設けられる前記当接面に当接する弁体弁座と、を備えたバタフライ弁を構成した。
あるいは、内部に流路が形成された弁箱と、前記弁箱の流路内に、この流路を開閉自在に設けられる弁体と、前記弁体の弁体面から前記流路の流動方向に偏心するとともに、前記弁体の中心から前記流路の一方の内壁面側に偏心し、前記弁体を回動させる回動軸と、前記流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有し、前記中心軸に対して傾斜した仮想円錐面を、前記中心軸に垂直かつ所定距離離れた二枚の平面で切断したときの、この両平面で囲まれる前記仮想円錐面を当接面とし、前記弁箱の内径側に設けられる弁箱弁座と、前記弁箱弁座に臨む外周端部を断面円弧状とし、前記弁体の外周縁に設けられる前記当接面に当接する弁体弁座と、を備えたバタフライ弁を構成することもできる。
このように、弁体弁座の弁箱弁座に臨む外周端部を断面円弧状とすることにより、弁箱弁座と断面円弧状の弁体弁座とが線接触状態で密接し、水密及び気密状態が確保される。しかも、回動軸の回動によって、両弁座の締め代(押付力)を調節できるため、常に最適な水密及び気密状態を確保することができる。なお、弁体弁座を弾性を備えた素材で構成すると、弁箱弁座と弁体弁座との間の当接状態がさらに高まるため、より好ましい。ここでいう弁体面とは、弁体弁座を閉じたときに弁箱弁座と弁体弁座とが当接した当接部を含み、前記流路の中心軸に垂直な面のことを指す。
前記各構成においては、前記弁箱弁座及び前記弁体弁座のうち少なくとも一方を前記弁体面の面内で、前記弁箱弁座及び前記弁体弁座との間で相対移動して、前記弁箱弁座と前記弁体弁座との間の当接状態を調節する自動調心機構をさらに備えた構成とするのが好ましい。
この自動調心機構を備えた構成として、前記弁体弁座が円環状であって、前記自動調心機構が、前記弁体弁座の内周縁の基部が嵌め込まれる前記弁体に設けられた嵌合凹部と、この嵌合凹部の底部に形成された間隙部と、を備えた構成とすることができる。
このように間隙部を設けることにより、弁体弁座が弁箱弁座によって押圧された時に、この弁体弁座が間隙部内にずれることができる。このため、弁箱弁座に対する弁体弁座の自動調心機能が発揮され、弁箱弁座と弁体弁座の間の当接力が弁体弁座の全周に亘って均等となり、水密及び気密状態の一層の向上が期待できる。
この自動調心機構を備えた構成として、前記自動調心機構が、前記弁体弁座を弁体に固定する弁体固定部材と、前記弁体弁座に形成され、この弁体弁座が前記弁体固定部材に対して前記弁体面の面内で相対移動するのを許容する貫通孔状の弁体変位許容部と、を備えた構成とすることもできる。
このように弁体変位許容部を設けることによって、弁体弁座が弁箱弁座によって押圧された時に、弁箱弁座に対する弁体弁座の自動調心機能が発揮され、水密及び気密状態の一層の向上が期待できる。
この自動調心機構を備えた構成として、前記自動調心機構が、前記弁箱弁座を弁箱に固定する弁箱固定部材と、前記弁箱弁座に形成され、この弁箱弁座が前記弁箱固定部材に対して前記弁体面の面内で相対移動するのを許容する貫通孔状の弁箱変位許容部と、を備えた構成とすることもできる。
このように弁箱変位許容部を設けることによって、弁箱弁座と弁体弁座が当接した時に、弁体弁座に対する弁箱弁座の自動調心機能が発揮され、水密及び気密状態の一層の向上が期待できる。
前記各実施形態においては、前記弁体弁座の外周端部に、前記弁体の前記弁体面から偏心する前記回動軸の偏心方向の逆方向に臨む開口凹部を形成した構成とするのが好ましい。
弁体に、この弁体の弁体面から偏心する回動軸の偏心方向に圧力が作用した場合、この圧力によって弁体が開弁方向にわずかに動き、しかも偏心構造のバタフライ弁は弁箱弁座と弁体弁座が基本的に面接触状態であることから、水密及び気密状態が低下する虞がある。そこで、このように開口凹部を形成することにより、水圧が開口凹部に作用して弁体弁座が径方向外側に膨らみ、弁体がこの水圧によってわずかに動いて両弁座の間に隙間が生じたとしても、弁体弁座の膨らみによってその隙間が閉じられる。このため、上記偏心方向に圧力が作用した際の水密及び気密状態が確保される。
前記各構成においては、前記弁体に、前記弁体との間に所定間隔をもって配置される補強板と、前記弁体と前記補強板とを連結するリブ板とを設けて複葉弁の弁体構造(以下、複葉弁体と称する。)とすることもできる。
このように、弁体を複葉弁体とすることにより、流体の圧力損失の低減を図ることができる。
この発明では、偏心構造を有するバタフライ弁において、弁体の外周縁に設けられ、弁箱弁座に臨む外周端部を断面円弧状とした、前記弁箱弁座の内径よりも大きい外径を有する柔軟性を備えた弁体弁座を備える構成を採用した。このように構成することにより、弁箱弁座と断面円弧状の弁体弁座とが線接触状態で密接し、水密及び気密状態が確保される。しかも、回動軸の回動によって、両弁座の締め代(押付力)を調節できるため、常に最適な水密及び気密状態を確保することができる。
本願発明に係るバタフライ弁の第一実施形態を示す縦断面図 図1に示すバタフライ弁の要部縦断面図 図1に示すバタフライ弁の要部縦断面図であって、(a)は第一例、(b)は第二例、(c)は第三例 図1に示すバタフライ弁の作用を示す要部縦断面図 図1に示すバタフライ弁を少し開弁した状態を示す縦断面図 図1に示すバタフライ弁に水圧が作用した状態を示す要部縦断面図であって、(a)は偏心側端縁、(b)は反対側端縁 本願発明に係るバタフライ弁の第二実施形態を示す縦断面図 図7に示すバタフライ弁の要部縦断面図 本願発明に係るバタフライ弁の第三実施形態を示し、(a)は縦断面図、(b)は横断面図
本願発明に係るバタフライ弁の第一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すバタフライ弁は、弁箱1、弁体2、弁体2の回動軸3、弁箱1の内周面に設けられる弁箱弁座4、及び弁体2の外周縁に設けられる弁体弁座5を主要な構成要素とする四重偏心構造のものである。
弁箱1の内部には液体又は気体を流動させる流路が形成されている。流路内には、回動軸3周りに回動してこの流路を開閉する弁体2が設けられている。この回動軸3は、弁体2の弁体弁座5の取付面から流体の流動方向(図1では右側)に偏心するとともに(一次偏心。図1中の符号S1参照)、弁体2の中心から流路の一方の内壁面側(図1では上部内壁面側)に偏心した状態となっている(二次偏心。図1中の符号S2参照)。
弁箱弁座4は円環状をなし、弁箱固定部材(ボルト)6で弁箱1の内径側に取り付けられている。この弁箱弁座4の内周面(弁体弁座5との当接面)は、流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有し(三次偏心。図1中の符号S3参照)、前記中心軸に対して傾斜した、中心軸上からの偏心方向に沿う短軸を有する仮想楕円錐面f1(四次偏心。図1中の符号S4参照)を、前記中心軸に垂直かつ所定距離離れた二枚の平面で切断したときの、この両平面で囲まれる仮想楕円錐面f1からなる。より具体的には、図2に示すように、仮想楕円錐面f1の偏心側において、内周面は、仮想楕円錐面f1の頂点に向かう中心軸に平行な平行面4a(流動方向に沿う面)であるのに対し、図3(a)〜(c)に示すように、前記偏心側の反対側において、内周面は、仮想楕円錐面f1の頂点に向かう傾斜面4bとなっている。この傾斜面4bの傾斜角は、この反対側で最も大きく、偏心側に向かうほど次第に小さくなる。
弁体弁座5は、図2に示すように、金属製の薄肉円環状の部材であって、弁体弁座5の内周縁に形成した基部5aが、弁体2の外周縁と円環状の保持部材8との間に形成された嵌合凹部7に嵌め込まれ、保持部材8に設けられた弁体固定部材(ボルト)9によって固定されている。この弁体弁座5の弁箱弁座4に臨む外周端部5bは径方向外側に向かう断面円弧状となっており、この外周端部5bの保持部材8側には、この保持部材8側に臨む開口凹部5cが形成されている。弁体弁座5の断面円弧状とした外周端部5bは、外力が作用した際に若干たわむ程度の柔軟性を有しており、弁箱弁座4と弁体弁座5の当接に伴って、この外周端部5bが弁箱弁座4に密接して、十分な水密及び気密状態が維持される。また、弁体弁座5の外周端部5bに保持部材8側から水圧が作用した場合においても、この水圧によって外周端部5bが径方向外向きに膨らみ、水密及び気密状態が確実に維持される。なお、この弁体弁座5の材質は、水密及び気密状態を確保し得る程度の強度と柔軟性を有するとともに、流体によって物理的又は化学的に変性しないものであれば、ゴムや樹脂等の金属製以外のものも採用できる。この弁体弁座5として、図3(a)〜(c)に示すように、種々の形状のものを採用し得る。
弁体弁座5の外周端部5bは断面円弧状となっていることから、弁箱弁座4と断面円弧状の弁体弁座5とは周方向全体に亘って、ほぼ線接触状態で密接する。このため、両弁座4、5が面接触する場合と比較して、より小さい当接力でも高い当接圧力を確保することができ、高い水密及び気密状態を確保することができる。また、弁体弁座5が回動して、その角度が多少変化しても、この弁体弁座5の周方向全体に亘って、弁箱弁座4との当接状態を維持し易くなっている。
弁体弁座5を嵌め込む嵌合凹部7の底部には、所定深さの間隙部10が嵌合凹部7と連続して形成されており、この嵌合凹部7及び間隙部10によって自動調心機構が構成される。この自動調心機構によって、弁体弁座5を弁体面の面内で弁箱弁座4に対して相対移動させることにより、弁箱弁座4と弁体弁座5との間の当接状態を調節することができる。
弁箱1の中心軸と弁体2の中心軸が完全に一致している状態で、弁体2が閉弁された場合、弁体2と弁体弁座5が完全に同心円上の位置にあり、弁体2の周方向全周に亘って間隙部10の深さ(弁体弁座5の基部5aの底部から間隙部10の底部までの距離)は均等となっている。これに対し、バタフライ弁のアセンブリにおける誤差等により、弁箱弁座4と弁体弁座5との間に位置ずれや傾きが生じた場合、図4に示すように、弁体2に対し弁体弁座5が相対移動することによって、弁体弁座5の一部が間隙部10内にずれた状態となる。なお、弁体弁座5の一部が間隙部10内にずれたときには、弁体弁座5の中心に対する反対側の位置においては、逆に弁体弁座5が嵌合凹部7から若干突出した状態となる。
このように、弁体弁座5の一部が間隙部10内にずれるとともに、反対側の位置において嵌合凹部7からやや突出することによって、弁体2と弁体弁座5との間の軸心をずらして、弁箱弁座4と弁体弁座5との間の軸心を一致させる自動調心がなされる。この自動調心により、弁箱弁座4と弁体弁座5との間の隙間が解消して、高い水密及び気密状態が確保される。この間隙部10の深さは、弁箱弁座4の内径や、弁体弁座5の外径等を考慮して適宜変更してもよい。
弁体2と弁体弁座5との間には、シール部材11が介在して設けられており、このシール部材11によって、弁体2と弁体弁座5との間の隙間を通って水が漏れる裏漏れを防止している。
この弁体2は、図5に示すように、矢印の方向に回動軸3を回動すると、弁箱弁座4と弁体弁座5が離れて開弁する。この発明に係る四重偏心構造のバタフライ弁の弁箱弁座4と弁体弁座5は、上述したように、ほぼ線接触状態となっており、開弁時にほとんど摺動しない。このため、閉弁状態の弁体2をスムーズに開弁することができ、両弁座4、5の長寿命化を図ることができる。
偏心構造のバタフライ弁においては、弁箱1内の流路を流れる流体は、一方向(本実施形態では、図1に記載のバタフライ弁において右から左に向かう方向)に流動することを前提として設計されているものがある。ところが、管路の接続構成や流体の流量等に起因して、図6(a)(b)中に白抜き矢印で示すように、設計上の流動方向とは逆の方向に流体が流動し、弁体2が閉弁状態のときに、この弁体2に対して水圧が作用する(図1に記載のバタフライ弁において、弁体2の左側の面に右向きの圧力が作用する)ことがある。このように弁体2に水圧が作用した場合、その水圧によって弁体2が水圧の作用方向にわずかに変位し、特に弁箱弁座4に傾斜面4bが形成されている側において、弁箱弁座4と弁体弁座5との間に隙間が生じる虞がある。
このように水圧によって弁体2が変位した場合、弁体弁座5の外周端部5bに形成した流路下流側(すなわち、弁体2の弁体面から偏心する回動軸3の偏心方向の逆方向)に臨む開口凹部5cにその水圧が作用することにより、弁体弁座5(外周端部5b)が径方向外側に膨らむ。この膨らみによって、弁箱弁座4と弁体弁座5との間の隙間が完全に閉じられ、水圧作用時の水密及び気密状態が確保される。
弁体2に水圧が作用した場合に、回動軸3を回動して弁体2を増し閉めすることによって、弁箱弁座4と弁体弁座5とを一層確実に当接させるようにすることもできる。この増し閉めの際に弁箱弁座4と弁体弁座5との間の軸心がずれた場合は、上述したように、弁体2に対し弁体弁座5が相対移動することによって、弁体2と弁体弁座5との間の軸心をずらして、弁箱弁座4と弁体弁座5との間の軸心を一致させる自動調心がなされる。この自動調心によって、弁体弁座5の外周端部5bが径方向外側に膨らむ作用と相まって、さらなる水密及び気密状態の向上を図ることができる。
なお、四重偏心構造のバタフライ弁に用いる弁箱弁座4は、5軸マシニングセンタ等を用いることにより加工することができる。また、弁体弁座5及び保持部材8は単なるリング状をなしているため、加工方法を特に限定されることなく、容易に加工することができる。
上記においては、四重偏心構造のバタフライ弁について説明したが、弁体2を回動させる回動軸3が、弁体2の弁体弁座5の取付面から流体の流動方向に偏心するとともに(一次偏心。図1中の符号S1参照)、弁体2の中心から流路の一方の内壁面側に偏心し(二次偏心。図1中の符号S2参照)、弁箱弁座4の内周面(弁体弁座5との当接面)は、前記流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有し(三次偏心。図1中の符号S3参照)、さらに、前記中心軸に対して傾斜した仮想円錐面f2を、前記中心軸に垂直かつ所定距離離れた二枚の平面で切断したときの、この両平面で囲まれる仮想円錐面f2を当接面とした三重偏心構造のバタフライ弁に対しても適用することができる(図1参照)。この発明に係る三重偏心構造のバタフライ弁は、弁箱弁座4と弁体弁座5の当接関係、弁体弁座5の自動調心機能、及び水圧作用時の水密及び気密状態の確保のための構成が四重偏心構造のバタフライ弁と共通しており、四重偏心構造のバタフライ弁と同様に、水密及び気密状態を確実に確保するという本願発明の課題を解決することができる。
なお、三重偏心構造のバタフライ弁は、流路の中心軸に対して傾斜した仮想円錐面f2と弁箱1との内周とが、前記流路に対して面内で楕円状に交差していることから、弁箱弁座4、弁体2、及び弁体弁座5の前記流路に垂直な断面が楕円状となっている。これらの加工には、四重偏心構造のバタフライ弁の場合と同様に、5軸マシニングセンタ等を用いるのが有利である。
この発明に係るバタフライ弁の第二実施形態を図7、図8に示す。この第二実施形態に係るバタフライ弁の基本構成は、第一実施形態に係るバタフライ弁と同じであるが、自動調心機構の構成が異なっている。
この実施形態の自動調心機構においては、弁体弁座5が円板状をしており、この弁体弁座5は、保持部材8を介して弁体固定部材9によって弁体2に固定されている。この弁体弁座5には、弁体固定部材9を通す貫通孔(弁体変位許容部)14が形成されており、この貫通孔14の内径は、弁体固定部材9の直径よりも若干大きめとなっている(図8参照)。このようにすると、貫通孔14の内径と弁体固定部材9の直径の差の分だけ、弁体弁座5を弁体固定部材9に対して、弁体面の面内で相対移動させることが可能となり、弁体弁座5の調心作用が発揮される。
保持部材8の弁体弁座5に臨む面には、座繰り15が形成されている。このように、座繰り15を形成することにより、保持部材8と弁体弁座5との間の摺動摩擦を減らすことができ、弁体弁座5の自動調心を一層スムーズに行うことができる。
さらに、この実施形態の自動調心機構においては、弁箱弁座4は、弁箱固定部材(ボルト)6によって弁箱1に固定されている。この弁箱弁座4には、弁箱固定部材6を通す貫通孔(弁箱変位許容部)16が形成されており、この貫通孔16の内径は、弁箱固定部材6の直径よりも若干大きめとなっている(図8参照)。このようにすると、貫通孔16の内径と弁箱固定部材6の直径の差の分だけ、弁箱弁座4を弁箱固定部材6に対して、弁体面の面内で相対移動させることが可能となり、弁箱弁座4の調心作用が発揮される。
このように、自動調心機構を設けることにより、さらなる水密及び気密状態の向上を図ることができる。この実施形態においては、弁体弁座5側の自動調心機構と、弁箱弁座4側の自動調心機構の両方を設けた構成について示したが、いずれか一方の自動調心機構を設けた構成としてもよい。
この発明に係るバタフライ弁の第三実施形態を図9(a)(b)に示す。この第三実施形態に係るバタフライ弁の基本構成は、第一実施形態に係るバタフライ弁と同じであるが、弁体2に、弁体2との間に所定間隔をもって、弁体2の全開時に流路に沿う方向に平行に配置される補強板12と、弁体2と補強板12とを連結するリブ板13とを設け、複葉弁体とした点において相違する。このように、弁体2を複葉弁体とすると弁体2の開弁時に圧力損失の低減を図ることができる。この複葉弁体は、三重偏心又は四重偏心いずれのバタフライ弁にも適用することができる。
上記の各実施形態において説明したバタフライ弁はあくまでも一例であって、偏心構造のバタフライ弁において、水密及び気密状態を確実に確保する、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、各部材の形状や材質は適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、弁箱弁座4は、弁箱固定部材6で弁箱1に取り付けられているが、弁箱1と弁箱弁座4を一体に構成することもできる。また、上記実施形態においては、弁箱弁座4の内周面の偏心側を流路の中心軸に平行な平行面4aとしたが、この構成もあくまで一例であって、前記中心軸に対して傾斜した傾斜面とする等、他の構成を採用することもできる。
1 弁箱
2 弁体
3 回動軸
4 弁箱弁座
4a 平行面
4b 傾斜面
5 弁体弁座
5a 基部
5b 外周端部
5c 開口凹部
6 弁箱固定部材
7 嵌合凹部
8 保持部材
9 弁体固定部材
10 間隙部
11 シール部材
12 補強板
13 リブ板
14 貫通孔(弁体変位許容部)
15 座繰り
16 貫通孔(弁箱変位許容部)
f1 仮想楕円錐面
f2 仮想円錐面

Claims (8)

  1. 内部に流路が形成された弁箱(1)と、
    前記弁箱(1)の流路内に、この流路を開閉自在に設けられる弁体(2)と、
    前記弁体(2)の弁体面から前記流路の流動方向に偏心するとともに、前記弁体(2)の中心から前記流路の一方の内壁面側に偏心し、前記弁体(2)を回動させる回動軸(3)と、
    前記流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有し、前記中心軸に対して傾斜した前記中心軸上からの偏心方向に沿う短軸を有する仮想楕円錐面(f1)を、前記中心軸に垂直かつ所定距離離れた二枚の平面で切断したときの、この両平面で囲まれる仮想楕円錐面(f1)を当接面とし、前記弁箱(1)の内径側に設けられる弁箱弁座(4)と、
    前記弁箱弁座(4)に臨む外周端部(5b)を断面円弧状とし、前記弁体(2)の外周縁に設けられる前記当接面に当接する弁体弁座(5)と、
    を備えたバタフライ弁。
  2. 内部に流路が形成された弁箱(1)と、
    前記弁箱(1)の流路内に、この流路を開閉自在に設けられる弁体(2)と、
    前記弁体(2)の弁体面から前記流路の流動方向に偏心するとともに、前記弁体(2)の中心から前記流路の一方の内壁面側に偏心し、前記弁体(2)を回動させる回動軸(3)と、
    前記流路の中心軸上から偏心した位置に頂点を有し、前記中心軸に対して傾斜した仮想円錐面(f2)を、前記中心軸に垂直かつ所定距離離れた二枚の平面で切断したときの、この両平面で囲まれる仮想円錐面(f2)を当接面とし、前記弁箱(1)の内径側に設けられる弁箱弁座(4)と、
    前記弁箱弁座(4)に臨む外周端部(5b)を断面円弧状とし、前記弁体(2)の外周縁に設けられる前記当接面に当接する弁体弁座(5)と、
    を備えたバタフライ弁。
  3. 前記弁箱弁座(4)及び前記弁体弁座(5)のうち少なくとも一方を前記弁体面の面内で、前記弁箱弁座(4)及び前記弁体弁座(5)との間で相対移動して、前記弁箱弁座(4)と前記弁体弁座(5)との間の当接状態を調節する自動調心機構をさらに備えた請求項1又は2に記載のバタフライ弁。
  4. 前記弁体弁座(5)が円環状であって、前記自動調心機構が、
    前記弁体弁座(5)の内周縁の基部(5a)が嵌め込まれる前記弁体(2)に設けられた嵌合凹部(7)と、
    この嵌合凹部(7)の底部に形成された間隙部(10)と、
    を備えた請求項3に記載のバタフライ弁。
  5. 前記自動調心機構が、
    前記弁体弁座(5)を弁体(2)に固定する弁体固定部材(9)と、
    前記弁体弁座(5)に形成され、この弁体弁座(5)が前記弁体固定部材(9)に対して前記弁体面の面内で相対移動するのを許容する貫通孔からなる弁体変位許容部(14)と、
    を備えた請求項3に記載のバタフライ弁。
  6. 前記自動調心機構が、
    前記弁箱弁座(4)を弁箱(1)に固定する弁箱固定部材(6)と、
    前記弁箱弁座(4)に形成され、この弁箱弁座(4)が前記弁箱固定部材(6)に対して前記弁体面の面内で相対移動するのを許容する貫通孔からなる弁箱変位許容部(16)と、
    を備えた請求項3から5のいずれか1項に記載のバタフライ弁。
  7. 前記弁体弁座(5)の外周端部(5b)に、前記弁体(2)の前記弁体面から偏心する前記回動軸(3)の偏心方向の逆方向に臨む開口凹部(5c)を形成した請求項1から6のいずれか1項に記載のバタフライ弁。
  8. 前記弁体(2)に、前記弁体(2)との間に所定間隔をもって配置される補強板(12)と、前記弁体(2)と前記補強板(12)とを連結するリブ板(13)とを設けて複葉弁体とした請求項1から7のいずれか1項に記載のバタフライ弁。
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