JP2016185687A - ポリビニルアセタールを含有する積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、自着しにくく、高い力学強度を有し伸びにくく、取扱い性に優れ、可塑剤のブリードが起こりにくく、リサイクル性に優れた、積層体を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、平均残存水酸基量、アセタール化度、及び原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が所定の条件を満たすポリビニルアセタール(a)100質量部と可塑剤Xa質量部を含む保護層aと、平均残存水酸基量、アセタール化度、及び原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が所定の条件を満たすポリビニルアセタール(b)100質量部と可塑剤Xb質量部を含む内層bと、平均残存水酸基量、アセタール化度、及び原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が所定の条件を満たすポリビニルアセタール(c)100質量部と可塑剤Xc質量部を含む保護層cとを含み、Xa〜Xcが所定の条件を満たし、保護層aと保護層cとの間に内層bが積層された積層体に関する。【選択図】 なし

Description

本発明はポリビニルアセタールを含有する積層体およびその用途に関する。
ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは、有機・無機基材に対する接着性や相溶性、有機溶剤への溶解性に優れており、種々の接着剤やセラミック用バインダー、各種インク、塗料等や、合わせガラス用中間膜として広範に利用されている。
近年、遮音性合わせガラス用中間膜は、市場におけるニーズの高まりとともに、その検討が進められている。遮音性合わせガラス用中間膜としては、残存水酸基量の比較的少ないポリビニルアセタールと多量の可塑剤を混合した層と、残存水酸基量の比較的多いポリビニルアセタールと中程度の量の可塑剤を混合した層とを含む、多層の遮音性合わせガラス用中間膜が広く検討されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような遮音性合わせガラス用中間膜は、残存水酸基量の異なるポリビニルアセタールを含むため、製造時に発生するトリムやオフスペック品をリサイクルしようとしても、それらが均一に相溶せず、透明な遮音性合わせガラス用中間膜としてリサイクルすることが困難であった。
遮音性合わせガラス用中間膜のうち、前記リサイクルの問題が生じないものとしては、ポリビニルアセタールに比較的多くの可塑剤を含有させた、単層の遮音性合わせガラス用中間膜が知られている。しかしながら、このような遮音性合わせガラス用中間膜は、通常の合わせガラス用中間膜と比較して多量の可塑剤を含んでいるため、その表面が粘着性を有しており、ブロッキング(自着)しやすく、また力学強度が低いために、わずかな応力で伸びが生じやすく、取り扱いが困難であった。
特開2007−331959号公報
本発明は、ポリビニルアセタールと可塑剤を含み、自着しにくく、また高い力学強度を有し伸びにくく、取扱い性に優れ、保管時に積層体から可塑剤のブリードが起こりにくい積層体を提供することを目的とする。また、当該積層体の生産時に発生するトリムやオフスペック品を透明な組成物としてリサイクル可能な積層体を提供することも目的とする。
本発明によれば、上記の課題は、平均残存水酸基量がHaモル%であり、アセタール化度がAaモル%であり、原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度がPaであるポリビニルアセタール(a)100質量部と可塑剤Xa質量部を含む保護層aと、平均残存水酸基量がHbモル%であり、アセタール化度がAbモル%であり、原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度がPbであるポリビニルアセタール(b)100質量部と可塑剤Xb質量部を含む内層bと、平均残存水酸基量がHcモル%であり、アセタール化度がAcモル%であり、原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度がPcであるポリビニルアセタール(c)100質量部と可塑剤Xc質量部を含む保護層cとを含み、Pa、PbおよびPcのいずれもが1100以上であり、Ha−Hb=−5.0〜5.0、Hc−Hb=−5.0〜5.0であり、Xa=0〜120、Xb=20〜150、Xc=0〜120、Xb−Xa≧10、Xb−Xc≧10であり、Aa=67.0〜85.0モル%、Ab=67.0〜85.0モル%、Ac=67.0〜85.0モル%であり、保護層aと保護層cとの間に内層bが積層された積層体を提供することで解決される。
本発明の積層体は、さらに、Ha=15.0〜33.0、Hb=15.0〜33.0、Hc=15.0〜33.0であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、Aa−Ab=−5.0〜5.0、Ac−Ab=−5.0〜5.0であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、ポリビニルアセタール(a)が炭素数Na個のアルデヒドを原料とし、ポリビニルアセタール(b)が炭素数Nb個のアルデヒドを原料とし、ポリビニルアセタール(c)が炭素数Nc個のアルデヒドを原料とするものであって、Na−Nb=−2〜2、Nc−Nb=−2〜2であることが好ましい。
本発明は、さらに、Na、NbおよびNcがいずれも2〜5である、積層体であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、Ha+Aa=95.0〜100.0、Hb+Ab=95.0〜100.0、Hc+Ac=95.0〜100.0であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、保護層a、内層bおよび保護層cに含まれるポリビニルアセタールの合計量を100質量部としたとき、保護層a、内層bおよび保護層cに含まれる可塑剤の合計量が43質量部以上であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、50℃で15日間熱処理した後の保護層aに含まれる可塑剤の量が、熱処理前の保護層aに含まれる可塑剤の量以上であり、50℃で15日間熱処理した後の保護層cに含まれる可塑剤の量が、熱処理前の保護層cに含まれる可塑剤の量以上であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、保護層aの厚さが0.01〜0.5mmであり、内層bの厚さが0.05〜1.5mmであり、保護層c層の厚さが0.01〜0.5mmであることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、厚さが0.2〜2.0mmであることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、保護層aの厚さと保護層cの厚さの和が、内層bの厚さの3倍よりも小さいことが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、可塑剤の5〜100質量%が、分子量360以上の化合物であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、内層bに含まれる可塑剤の水酸基価が30〜450mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、内層bに含まれる可塑剤の5〜100質量%が水酸基を有する化合物であることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに、上記の積層体であって、当該積層体を2枚のガラスに挟んで仮接着後、100〜150℃、1.0〜1.3MPaで10〜120分間オートクレーブで処理して作製した合わせガラスにおいて、25℃または40℃における損失係数が0.15以上となることが好ましい。
本発明は、上記の積層体を2枚のガラスに挟んで得られる合わせガラスに関する。
本発明によれば、ポリビニルアセタールと可塑剤を含み、自着しにくく、また高い力学強度を有し伸びにくく、取扱い性に優れ、保管時に積層体から可塑剤のブリードが起こりにくい積層体を提供することができる。また、当該積層体の生産時に発生するトリムやオフスペック品を透明な組成物としてリサイクル可能な積層体も同時に提供することができる。
まず、本発明で使用するポリビニルアセタール(a)、ポリビニルアセタール(b)、ポリビニルアセタール(c)について説明する。本発明で使用するポリビニルアセタール(a)、ポリビニルアセタール(b)、ポリビニルアセタール(c)は、ポリビニルアセタール(a)の原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度をPa、平均残存水酸基量をHaモル%、アセタール化度をAaとし、ポリビニルアセタール(b)の原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度をPb、平均残存水酸基量をHb、アセタール化度をAbモル%とし、ポリビニルアセタール(c)の原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度をPc、平均残存水酸基量をHc、アセタール化度をAcモル%とした場合に、Pa、PbおよびPcのいずれもが1100以上であり、Ha−Hb=−5.0〜5.0であり、Hc−Hb=−5.0〜5.0であり、Aa=67.0〜85.0モル%、Ab=67.0〜85.0モル%、Ac=67.0〜85.0モル%であれば特に限定されない。
Paは1100〜3500であることが好ましく、1200〜3500であることがより好ましく、1600〜3000であることがさらに好ましい。Pbは1100〜3500であることが好ましく、1200〜3500であることがより好ましく、1600〜3000であることがさらに好ましい。Pcは1100〜3500であることが好ましく、1200〜3500であることがより好ましく、1600〜3000であることがさらに好ましい。
PaまたはPcが1100未満であると、本発明の積層体の耐貫通性が低下したり、本発明の積層体がブロッキング(自着)しやすくなったり、あるいは本発明の積層体の強度が不十分となることがあり、とりわけ本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合に問題となる傾向にある。また、PaまたはPcが3500を超えると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、合わせガラスの生産性が低下する傾向にある。
Pbが1100未満であると、本発明の積層体の耐貫通性が低下したり、あるいは本発明の積層体の強度が不十分となったりすることがあり、とりわけ本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合に問題となる傾向にある。また、Pbが3500を超えると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、合わせガラスの生産性が低下する傾向にある。
Ha−HbおよびHc−Hbの下限は、−5.0であり、−4.0であることが好ましく、−3.0であることがより好ましく、−2.0であることがさらに好ましく、−1.0であることが特に好ましい。また、Ha−HbおよびHc−Hbの上限は5.0であり、4.0であることが好ましく、3.0であることがより好ましく、2.0であることがさらに好ましく、1.0であることが特に好ましい。Ha−Hb若しくはHc−Hbの下限が−5.0未満となる場合、またはHa−Hb若しくはHc−Hbの上限が5.0を超える場合は、本発明の積層体を生産する際に発生するトリムやオフスペック品を透明な組成物としてリサイクルすることが困難になる傾向にある。
HaおよびHcは前記規定を満たしていれば特に限定されないが、HaおよびHcは、15.0〜33.0モル%であることが好ましく、19.0〜32.0モル%であることがより好ましく、19.0〜31.0モル%であることがさらに好ましく、20.0〜30.0モル%であることが特に好ましい。HaまたはHcが15.0モル%未満であると、本発明の積層体の力学強度が低下する傾向にある。HaまたはHcが33.0モル%を超えると、本発明の積層体を保管した際に可塑剤がブリードする傾向にある。
Hbは前記規定を満たしていれば特に限定されないが、Hbは、15.0〜33.0モル%であることが好ましく、19.0〜32.0モル%であることがより好ましく、19.0〜31.0モル%であることがさらに好ましく、20.0〜30.0モル%であることが特に好ましい。Hbが15.0モル%未満であると、本発明の積層体の力学強度が低下する傾向にある。Hbが33.0モル%を超えると、本発明の積層体を保管した際に可塑剤が保護層に移行する傾向にある。
AaおよびAcは67.0〜85.0モル%であり、68.0〜85.0モル%であることが好ましく、69.0〜85.0モル%であることがより好ましく、70.0〜78.0モル%であることがさらに好ましく、70.0〜74.0モル%であることが特に好ましい。AaまたはAcが67.0モル%未満であると、本発明の積層体を保管した際に可塑剤がブリードする傾向にある。AaまたはAcが85.0モル%を超えると、本発明の積層体の強度が不十分となる傾向にある。
Abは67.0〜85.0モル%であり、68.0〜85.0モル%であることが好ましく、69.0〜85.0モル%であることがより好ましく、70.0〜78.0モル%であることがさらに好ましく、70.0〜74.0モル%であることが特に好ましい。Abが67.0モル%未満であると、本発明の積層体を保管した際に可塑剤が保護層に移行する傾向にある。Abが85.0モル%を超えると、本発明の積層体の強度が不十分となる傾向にある。
Aa−AbおよびAc−Abは−5.0〜5.0であり、その下限は、−4.0であることが好ましく、−3.0であることがより好ましく、−2.0であることがさらに好ましく、−1.0であることが特に好ましい。また、Aa−AbおよびAc−Abの上限は5.0であり、4.0であることが好ましく、3.0であることがより好ましく、2.0であることがさらに好ましく、1.0であることが特に好ましい。Aa−Ab若しくはAc−Abの下限が−5.0未満になる場合、またはAa−Ab若しくはAc−Abの上限が5.0を超える場合は、本発明の積層体を生産する際に発生するトリム、オフスペック品を透明な組成物としてリサイクルすることが困難になる傾向にある。
本発明で使用するポリビニルアセタール(a)のHa+Aa、ポリビニルアセタール(c)のHc+Acは、特に限定されないが、Ha+AaおよびHc+Acは、95.0〜100.0であることが好ましく、96.0〜100.0であることがより好ましく、98.0〜100.0であることがさらに好ましく、99.0〜100.0であることが特に好ましい。Ha+AaまたはHc+Acが95.0未満であると、本発明の積層体の耐候性や安定性が低下し、例えば長期間保管した場合に変色や臭気の問題が発生する傾向にある。
本発明で使用するポリビニルアセタール(b)のHb+Abは、特に限定されないが、Hb+Abは、95.0〜100.0であることが好ましく、96.0〜100.0であることがより好ましく、98.0〜100.0であることがさらに好ましく、99.0〜100.0であることが特に好ましい。Hb+Abが95.0未満であると、本発明の積層体の耐候性や安定性が低下し、例えば長期間保管した場合に変色や臭気の問題が発生する傾向にある。
本発明で使用するポリビニルアセタールは通常、ポリビニルアルコールを原料として製造される。上記ポリビニルアルコールは従来公知の手法、すなわち酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。カルボン酸ビニルエステル化合物を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などを適宜選択できる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いた加アルコール分解反応、加水分解反応などを適用できる。
また、前記ポリビニルアルコールは本発明の主旨に反しない限り、カルボン酸ビニルエステル化合物と他の単量体とを共重合させた共重合体をけん化したものであってもよい。他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン、その塩およびその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミドおよびその誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン、その塩およびその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミドおよびその誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸エステルまたはマレイン酸無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、などが挙げられるが、これらに限定されない。これら他の単量体を共重合させる場合には、通常、カルボン酸ビニルエステル化合物に対して10モル%未満の割合で用いられる。
本発明に用いるポリビニルアセタールの製造方法は、特に限定されないが、例えば次のような方法によって得ることができる。まず濃度3〜30質量%のポリビニルアルコール水溶液を、80〜100℃の温度範囲で保持した後、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後反応液を30〜200分かけて20〜80℃の温度まで昇温し、その温度を10〜300分保持する。次に反応液を、必要に応じてアルカリなどの中和剤を添加して中和し、樹脂を水洗、乾燥することにより、本発明で用いるポリビニルアセタールが得られる。
アセタール化反応に用いる酸触媒は、特に限定されないが、有機酸および無機酸のいずれも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でも塩酸、硫酸、硝酸が好ましく用いられる。
アセタール化反応に用いるアルデヒドは、特に限定されないが、炭素数1〜8のアルデヒドを用いることが好ましい。炭素数1〜8のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリビニルアセタール(a)が炭素数Na個のアルデヒドを原料とし、ポリビニルアセタール(b)が炭素数Nb個のアルデヒドを原料とし、ポリビニルアセタール(c)が炭素数Nc個のアルデヒドを原料とする場合、Na−NbおよびNc−Nbは、−2〜2であることが好ましく、−1〜1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。Na−Nb若しくはNc−Nbが−2未満、またはNa−Nb若しくはNc−Nbが2を超えると、本発明の積層体を製造する際に発生するトリム、またオフスペック品を透明な組成物としてリサイクルすることが困難となる傾向にあり、本発明の積層体を長期間保管した場合に、その特性が変化してしまう傾向もある。
NaおよびNcは、2〜5であることが好ましく、4〜5であることがより好ましく、4であることがさらに好ましい。NaまたはNcが2未満であると、アルデヒドの取り扱い性が悪く、ポリビニルアセタールの製造が困難になる傾向にある。NaまたはNcが5を超えると、アルデヒドの水溶性が低下し、ポリビニルアセタール製造後、未反応アルデヒドを水洗により取り除くことが困難となり、残存したアルデヒドにより臭気の問題が発生しやすくなる傾向にある。
Nbは2〜5であることが好ましく、4〜5であることがより好ましく、4であることがさらに好ましい。Nbが2未満であると、アルデヒドの取り扱い性が悪く、ポリビニルアセタールの製造が困難になる傾向にある。Nbが5を超えると、アルデヒドの水溶性が低下し、ポリビニルアセタール製造後、未反応アルデヒドを水洗により取り除くことが困難となり、残存したアルデヒドにより臭気の問題が発生しやすくなる傾向にある。
本発明の積層体で使用する可塑剤は、ポリビニルアセタールとの相溶性に優れ、ポリビニルアセタールを可塑化するものであれば特に限定されない。可塑剤を具体的に例示すると、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(3GO)、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(4GO)、オクタエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(8GO)などのエーテルエステル系可塑剤;アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)(DBEEA)、アジピン酸ジノニルなどのアジピン酸エステル系可塑剤;セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)などの他、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油などの可塑剤が使用可能である。
これら可塑剤の中でも本発明の積層体から可塑剤の揮発を抑制するとともに、本発明の積層体を長期間保管した場合に、可塑剤が内層から保護層に移行することによって積層体の物性が低下することを抑制する観点からは、本発明の積層体で使用される可塑剤に含まれる化合物の5〜100質量%が分子量360以上の化合物であることが好ましく、30〜100質量%が分子量360以上であることがより好ましく、50〜100質量%が分子量360以上であることがさらに好ましく、70〜100質量%が分子量360以上であることが特に好ましく、90〜100質量%が360以上であることが最適である。また5〜100質量%が分子量380以上であることがより好ましく、5〜100質量%が分子量400以上であることがより好ましい。
本発明の積層体で使用される可塑剤に含まれる分子量360以上の化合物としては、例えば、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(3GO)、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(4GO)、オクタエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(8GO)、アジピン酸ジ(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)(DBEEA)、アジピン酸ジノニル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸の交互共重合体からなるポリエステル、プロピレングリコールにε−カプロラクトンを付加重合して得られるポリエステルなどのポリエステル化合物であって分子量が360以上のもの、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物などのポリエーテル化合物であって分子量が360以上のもの、ひまし油などのグリセリンエステルであって分子量が360以上のもの、表2に記載した化合物などが挙げられる。
また、本発明の積層体から可塑剤が揮発することを抑制するとともに、本発明の積層体を特に長期間保管した場合に、可塑剤が内層から保護層に移行することによって積層体の物性が低下することを抑制する観点からは、本発明の積層体で使用する可塑剤は、水酸基を有する化合物を含んでいることが好ましい。特に、本発明の積層体において比較的可塑剤含有量の多い内層bにおいては、前記と同様の理由により、可塑剤の水酸基価が30〜450mgKOH/gであることが好ましく、50〜400mgKOH/gであることがより好ましく、80〜350mgKOH/gであることがさらに好ましく、100〜300mgKOH/gであることが特に好ましい。また比較的可塑剤含有量の少ない保護層a、保護層cにおいても同様に、可塑剤の水酸基価は30〜450mgKOH/gであることが好ましく、50〜400mgKOH/gであることがより好ましく、80〜350mgKOH/gであることがさらに好ましく、100〜300mgKOH/gであることが特に好ましい。
水酸基価が30〜450mgKOH/gである可塑剤としては、例えばポリエステル化合物、ポリエーテル化合物、ひまし油などの化合物が挙げられる。具体的にはPEs−1、PEs−2、PEs−3、PE−1、PE−2、PE−3などが挙げられる。なお、PEs−1〜PEs−3、PE−1〜PE−3は、それぞれ表2に記載した化合物である。可塑剤が複数含まれる混合物である場合には、該混合物が上記水酸基価を満たすことが好ましい。可塑剤が複数含まれる混合物である場合、必ずしも可塑剤として含まれる化合物それぞれが上記水酸基価を満たすものでなくてもよい。なお、水酸基価は、JIS K1557(2007)に準じて測定することができる。
また本発明の積層体から可塑剤が揮発することを抑制するとともに、本発明の積層体を特に長期間保管した場合に、可塑剤が内層から保護層に移行することによって積層体の物性が低下することを抑制する観点からは、内層bに含まれる可塑剤のうち水酸基を含む化合物の含有割合は、5〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることがさらに好ましく、70〜100質量%であることが特に好ましく、90〜100質量%であることが最適である。
本発明の積層体において、保護層aに含まれる可塑剤の量をポリビニルアセタール(a)100質量部に対してXa質量部とし、内層bに含まれる可塑剤の量をポリビニルアセタール(b)100質量部に対してXb質量部とし、保護層cに含まれる可塑剤の量をポリビニルアセタール(c)100質量部に対してXc質量部とした場合、Xb−Xa≧10であり、Xb−Xa>10であることが好ましく、Xb−Xa≧15であることがより好ましく、Xb−Xa≧20であることがさらに好ましく、Xb−Xa≧25であることがいっそう好ましく、Xb−Xa≧30であることが特に好ましく、Xb−Xa≧35であることが最適である。Xb−Xa<10であると、本発明の積層体がブロッキング(自着)しやすくなったり、また強度が不十分となったりする傾向にある。
また、Xb−Xc≧10であり、Xb−Xc>10であることが好ましく、Xb−Xc≧15であることがより好ましく、Xb−Xc≧20であることがさらに好ましく、Xb−Xc≧25であることがいっそう好ましく、Xb−Xc≧30であることが特に好ましく、Xb−Xc≧35であることが最適である。Xb−Xc<10であると、本発明の積層体がブロッキング(自着)しやすくなったり、また強度が不十分となったりする傾向にある。
XaおよびXcは、0〜120であり、0〜110であることが好ましく、10〜90であることがより好ましく、20〜80であることがさらに好ましく、25〜70であることが特に好ましい。XaまたはXcが120を超えると、本発明の積層体が著しくブロッキング(自着)しやすくなったり、強度が著しく不足したりする傾向にある。
Xbは20〜150であり、25〜130であることが好ましく、30〜100であることがより好ましく、40〜90であることがさらに好ましく、50〜80であることが特に好ましい。Xbが20未満であると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用した場合に十分な遮音性が発現しなくなる傾向にある。Xbが150を超えると、本発明の積層体の強度が著しく不十分となる傾向にある。
本発明の積層体で保護層a、内層bおよび保護層cに含まれるポリビニルアセタールの合計量(すなわち、ポリビニルアセタール(a)、ポリビニルアセタール(b)、ポリビニルアセタール(c)の合計量)に対する、保護層a、内層bおよび保護層cに含まれる可塑剤の合計量の割合は、特に限定されないが、ポリビニルアセタール(a)、ポリビニルアセタール(b)、ポリビニルアセタール(c)の合計量を100質量部としたとき、保護層a、内層bおよび保護層cに含まれる可塑剤の合計量が、43質量部以上であることが好ましく、43〜120質量部であることがより好ましく、45〜110質量部であることがさらに好ましい。前記可塑剤の合計量が43質量部未満であると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用した場合に、遮音性が十分に発揮されにくくなる傾向にある。
本発明の積層体は、保管時にはブロッキング(自着)しにくく、また高い強度を有しており取扱い性に優れる一方で、十分な熱処理、例えば合わせガラスの作製工程で使用するオートクレーブにより高温、高圧で処理することで、内層bに含まれる可塑剤が保護層a、保護層cに移行し、合わせガラス用中間膜に要求される柔軟性や遮音性を発現するので好適である。
本発明の積層体は50℃で15日間熱処理した後の保護層aに含まれる可塑剤の量が、熱処理前の保護層aに含まれる可塑剤の量より多く、50℃で15日間熱処理した後の保護層cに含まれる可塑剤の量が、熱処理前の保護層cに含まれる可塑剤の量より多いことが好ましい。本発明の積層体がこのような規定を満たす場合には、本発明の積層体を合わせガラスの作製工程で使用するオートクレーブにより高温、高圧で熱処理することで、内層bに含まれる可塑剤が保護層a、保護層cに速やかに移行し、また移行後の積層体を保管している際に、一度保護層a、保護層cに移行した可塑剤が内層bに再移行する傾向が少なくなる傾向にある。
本発明の積層体は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他添加剤をさらに含有していてもよい。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜など、ガラスとの接着性を適切に調節して使用する用途に用いる場合には、接着性改良剤(接着性調整剤)がさらに添加されていても良い。かかる接着性改良剤としては酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酪酸マグネシウムなどのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩といった、従来公知の接着性改良剤を使用できる。接着性改良剤の添加量は特に限定されず、例えばパンメル試験により得られるパンメル値が目的に応じた値になるように添加量を調節することができる。接着性改良剤を用いる場合は、保護層aと保護層cに含ませることが好ましい。
本発明の積層体は、その含水率を0.1〜1質量%とすることが好ましく、0.2〜0.8質量%とすることが好ましい。
本発明の積層体は、例えばポリビニルアセタール、可塑剤、その他添加剤を従来公知の方法で混合して得られた混合物をシート状に成型し、それらを積層することで得られる。シート状に成型する方法、積層する方法は特に限定されず、従来公知の方法で実施可能である。
保護層aおよび保護層cの厚さは、特に限定されないが、0.01〜0.5mmであることが好ましく、0.04〜0.4mmであることがより好ましく、0.08〜0.35であることがさらに好ましく、0.1〜0.3であることが特に好ましい。保護層aまたは保護層cの厚さが0.01mm未満であると、本発明の積層体を長期間保管したときに可塑剤が内層から保護層に容易に移行し、耐ブロッキング(自着)性や強度が低下する傾向にある。保護層aまたは保護層cの厚さが0.5mmを超えると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用して合わせガラスを製造する際に、保護層aまたは保護層cに十分に可塑剤を移行させるのに長時間を要するため、合わせガラスの生産効率が低下する傾向にある。
内層bの厚さは、特に限定されないが、0.05〜1.5mmであることが好ましく、0.2〜1.1mmであることがより好ましく、0.3〜1.0mmであることがさらに好ましく、0.4〜0.8mmであることが最適である。内層bの厚さが0.05mm未満であると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合に十分な柔軟性や遮音性を発現させることが困難になる傾向にある。内層bの厚さが1.5mmを超えると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用して合わせガラスを作製する際に、内層bが合わせガラス端部から著しくはみ出し、得られる合わせガラスが不良品となる傾向にある。
本発明の積層体は、その厚さが0.2〜2.0mmであることが好ましく、0.25〜1.3mmであることがより好ましく、0.3〜1.0mmであることがさらに好ましい。本発明の積層体の厚さが0.2mm未満であると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用した場合にその耐貫通性が低下する傾向にある。本発明の積層体の厚さが2.0mmを超えると、本発明の積層体を使用した合わせガラスの重量が重くなる傾向にある。
本発明の積層体において、保護層a、保護層cと内層bの厚さの組み合わせは特に限定されないが、保護層aの厚さと保護層cの厚さの和が、内層bの厚さの3倍より小さいことが好ましく、2.5倍より小さいことがより好ましく、2倍より小さいことがさらに好ましく、1.2倍より小さいことが最適である。保護層aの厚さと保護層cの厚さの和が内層bの厚さの3倍以上であると、本発明の積層体を保管した場合に可塑剤がブリードする傾向にあり、かつ本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用した場合、得られる合わせガラスの耐貫通性や遮音性が損なわれる傾向にある。
本発明の積層体の表面は、平らであっても、凹凸構造が形成されていても構わないが、合わせガラス製造時の泡抜け性向上の観点では凹凸構造が形成されていることが好ましい。なお、本発明の積層体では、合わせガラス製造時に表面の凹凸構造が保護層aと内層bの界面、また保護層cと内層bの界面に転写されても透明性低下を引き起こしにくいので、その点でも好適である。
本発明の積層体は、特に合わせガラス用中間膜用途に好適に使用される。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、本発明の積層体と積層させるガラスは特に限定されず、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの従来公知の有機ガ
ラス等を制限なく使用できる。これらは無色または有色のいずれであってもよい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ガラスの厚さは特に限定されないが、通常、100mm以下であることが好ましい。
本発明の積層体を用いて得られる合わせガラスもまた、本発明を構成する。かかる合わせガラスは従来公知の方法で製造できる。例えば真空ラミネーター装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また上記方法により仮圧着した後に、オートクレーブに投入して本接着する方法も挙げられる。オートクレーブで処理する場合、その条件は特に限定されないが、例えば100〜150℃、1.0〜1.3MPaで10〜120分間熱処理することが好ましい。特に本発明の積層体を遮音性に優れる合わせガラス用中間膜として使用する場合には、本発明の積層体を2枚のガラスに挟んで仮接着後、100〜150℃、1.0〜1.3MPaで10〜120分間オートクレーブで熱処理して合わせガラスを作製した場合、25℃または40℃における損失係数が0.15以上、好ましくは0.20以上となるような積層体を使用することが好ましい。また、同様に前記条件で合わせガラスのヘイズが0.01〜1.0となるような積層体を使用することが好ましい。
以下に、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
(製造例1)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5リットルガラス容器に、イオン交換水4050g、ポリビニルアルコール(PVA−1:粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)330gを仕込み、95℃に昇温してポリビニルアルコールを完全に溶解させた。得られた溶液を160rpmで攪拌下、10℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド189gおよび20%塩酸水溶液200mLを添加し、ブチラール化反応を50分間行った。その後、60分かけて65℃まで昇温し、65℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。得られた樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰のイオン交換水で洗浄、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量はJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(製造例2)
ブチルアルデヒドの使用量を194gに変更した以外は製造例1と同様にしてPVB−2を得た。PVB−2のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量をJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(製造例3)
ブチルアルデヒドの使用量を200gに変更した以外は製造例1と同様にしてPVB−3を得た。PVB−3のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量をJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(製造例4)
ブチルアルデヒドの使用量を205gに変更した以外は製造例1と同様にしてPVB−4を得た。PVB−4のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量をJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(製造例5)
ブチルアルデヒドの使用量を216gに変更した以外は製造例1と同様にしてPVB−5を得た。PVB−5のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量をJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(製造例6)
ブチルアルデヒドの使用量を179gに変更した以外は製造例1と同様にしてPVB−6を得た。PVB−6のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量をJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(製造例7)
PVA−1をPVA−2(粘度平均重合度1000、けん化度99モル%)330gに変更した以外は製造例1と同様にしてPVB−7を得た。PVB−7のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量をJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
(製造例8)
ブチルアルデヒドを、ペンチルアルデヒド226gに変更した以外は製造例1と同様にしてPVP−1を得た。PVP−1のアセタール化度、ビニルエステル単位量および平均残存水酸基量をJIS K 6728に基づいて測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2016185687
(実施例1)
PVB−1を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート40質量部を、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所社製20R200)を使用して150℃で5分間溶融混錬し、得られた組成物を、熱プレス機(株式会社神藤金属工業社製SFA−37)を用いて、150℃、50kgf/cm2で10分間プレスして保護層a、保護層c(いずれも厚さ0.2mm)を作製した。またPVB−1を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート65質量部を、ラボプラストミルを使用して150℃で5分間溶融混錬し、得られた組成物を熱プレスで150℃、50kgf/cm2で10分プレスして内層b(厚さ0.4mm)を作製した。保護層a、内層b、保護層cをこの順に重ね、熱プレス機で30℃、100kgf/cm2、30分間プレスして積層体−1(厚さ0.8mm)を得た。
(可塑剤の合計量の測定)
積層体−1について、それぞれの層から可塑剤の量を測定するためのサンプルを採取して重DMSOに溶解し(内部標準TMS)、FT−NMR(日本電子株式会社製JMTC−400/54/SS)を使用してH−NMRにより各層に含まれる可塑剤の量を測定した。測定した可塑剤の量をもとに、保護層a、内層bおよび保護層cに含まれるポリビニルアセタールの合計量を100質量部としたとき、保護層a、内層bおよび保護層cに含まれる可塑剤の合計量を算出した。算出した可塑剤の合計量を表4に示す。
(ブロッキング性評価)
10cm×3cmに切断した積層体−1を2枚重ね、その上に5.5kgのおもりを載せて、約54N/30cm2の荷重をかけ、5℃で24時間保持した。24時間後、おもりを取り除いて23℃、50%RHで24時間調湿後、オートグラフ(株式会社島津製作所社製AG−IS)を使用し、100mm/分でT字剥離試験を実施して、積層体−1の自着力を求めた。
(積層体の強度測定)
10cm×1cmに切断した積層体−1を23℃、50%RHで24時間調湿後、100mm/分で引張試験を行い、5%伸張時の応力(初期5%伸張時応力)を求めたところ、3.4N/8mm2であり、取扱い性に優れるものであった。また、10cm×1cmに切断した積層体−1を5℃で30日間静置した後、100mm/分で引っ張り試験を行い、5%伸張時の応力(30日後5%伸張時応力)を求めたところ、0.7N/8mm2であり、取扱い性に問題があった。初期5%伸張時応力が高いものは取扱い性に優れる傾向があり、初期5%伸張時応力と30日後5%伸張時応力の差が少ないものは、室温での保管性に優れるので好適である。
(積層体の熱処理試験)
積層体−1を2枚のPETフィルムで挟み、50℃で15日間熱処理した後、保護層aに含まれる可塑剤の保護層aに含まれるポリビニルアセタール(a)100質量部に対する量、また保護層cに含まれる可塑剤量の保護層cに含まれるポリビニルアセタール(c)100質量部に対する量を評価した。評価のために、保護層aまたは保護層cにおける可塑剤の量を、熱処理前および熱処理後のそれぞれの時点でH−NMRによって測定し、保護層aまたは保護層cにおける熱処理後の可塑剤の量から、熱処理前の可塑剤の量を差し引いて、可塑剤の変化量を算出した。保護層aまたは保護層cにおける可塑剤の変化量の算出結果を表9に示す。
(保管時の可塑剤のブリード)
積層体−1を23℃、50%で4週間保管し、可塑剤のブリードの有無を調べた。可塑剤のブリードの有無は、積層体‐1の表面をティッシュペーパーで軽くふき取り、ティッシュペーパーに可塑剤が付着するかどうかで確認した。可塑剤のブリードの有無の評価結果を表9に示す。
(合わせガラス作製)
積層体−1を20〜23℃、20〜23%RHで24時間調湿後、フロートガラス2枚に挟んでバキュームバックの中で仮圧着、オートクレーブで140℃、1.2MPa、60分熱処理して合わせガラス−1を得た。
(合わせガラスのヘイズ評価)
合わせガラスのヘイズは、JIS K 7136に基づいて測定した。合わせガラスのヘイズの測定結果は表9に示す。
(遮音性の評価)
合わせガラス−1を2.5cm×30cmの大きさに切断し、25℃または40℃雰囲気下で加振機(EMIC社製、小型振動発生機512−A)により加振し、その際の周波数応答関数をFFTアナライザー(小野測器社製、DS−2100)にて検出し、サーボ解析ソフト(小野測器社製、DS−0242)を使用して3000Hzにおける損失係数を算出した。損失係数は、以下の基準により評価した。損失係数の評価結果は表9に示す。
A:0.2以上
B:0.15以上0.2未満
C:0.1以上0.15未満
D:0.1未満
(積層体リサイクル性の模擬評価)
積層体−1を、ラボプラストミルを使用して150℃、5分間溶融混錬し、得られた組成物を、熱プレス機を用いて、150℃、50kgf/cm2で10分間プレスして、リサイクルシート−1を作製した。作製したリサイクルシート−1を、20〜23℃、20〜23%RHで24時間調湿後、フロートガラス2枚に挟んでバキュームバックの中で仮圧着し、オートクレーブで140℃、12MPa、60分熱処理してリサイクルシート使用合わせガラス−1を得た。得られたリサイクルシート使用合わせガラス−1のヘイズの測定結果は表9に示す。
(実施例2〜25、比較例1〜12)
保護層a、内層b、保護層cを表3〜表8に記載した組成に変更した以外は実施例1と同様に、積層体を作製して各種物性評価を行った。物性評価の結果を表9〜表11に示す。なお、比較例1〜6は積層体ではなく、表7の保護層aの欄に記載した組成で単層シートを作製して各種物性評価を行った。また、表5および表6において、PEs−1〜PEs−3、PE−1〜PE−3は、それぞれ表2に記載した化合物である。
Figure 2016185687
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Claims (16)

  1. 平均残存水酸基量がHaモル%であり、アセタール化度がAaモル%であり、原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度がPaであるポリビニルアセタール(a)100質量部と可塑剤Xa質量部を含む保護層aと、
    平均残存水酸基量がHbモル%であり、アセタール化度がAbモル%であり、原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度がPbであるポリビニルアセタール(b)100質量部と可塑剤Xb質量部を含む内層bと、
    平均残存水酸基量がHcモル%であり、アセタール化度がAcモル%であり、原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度がPaであるポリビニルアセタール(c)100質量部と可塑剤Xc質量部を含む保護層cとを含み、
    Pa、PbおよびPcのいずれもが1100以上であり、
    Ha−Hb=−5.0〜5.0、Hc−Hb=−5.0〜5.0であり、
    Xa=0〜120、Xb=20〜150、Xc=0〜120、
    Xb−Xa≧10、Xb−Xc≧10であり、
    Aa=67.0〜85.0モル%、Ab=67.0〜85.0モル%、Ac=67.0〜85.0モル%であり、
    保護層aと保護層cとの間に内層bが積層された積層体。
  2. Ha=15.0〜33.0、Hb=15.0〜33.0、Hc=15.0〜33.0である、請求項1に記載の積層体。
  3. Aa−Ab=−5.0〜5.0、Ac−Ab=−5.0〜5.0である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. ポリビニルアセタール(a)が炭素数Na個のアルデヒドを原料とし、ポリビニルアセタール(b)が炭素数Nb個のアルデヒドを原料とし、ポリビニルアセタール(c)が炭素数Nc個のアルデヒドを原料とするものであって、Na−Nb=−2〜2、Nc−Nb=−2〜2である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. Na、NbおよびNcがいずれも2〜5である、請求項4に記載の積層体。
  6. Ha+Aa=95.0〜100.0、Hb+Ab=95.0〜100.0、Hc+Ac=95.0〜100.0である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 保護層a、内層bおよび保護層cに含まれるポリビニルアセタールの合計量を100質量部としたとき、保護層a、内層bおよび保護層cに含まれる可塑剤の合計量が43質量部以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 50℃で15日間熱処理した後の保護層aに含まれる可塑剤の量が、熱処理前の保護層aに含まれる可塑剤の量以上であり、50℃で15日間熱処理した後の保護層cに含まれる可塑剤の量が、熱処理前の保護層cに含まれる可塑剤の量以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 保護層aの厚さが0.01〜0.5mmであり、内層bの厚さが0.05〜1.5mmであり、保護層c層の厚さが0.01〜0.5mmである、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 厚さが0.2〜2.0mmである、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. 保護層aの厚さと保護層cの厚さの和が、内層bの厚さの3倍よりも小さい、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
  12. 可塑剤の5〜100質量%が、分子量360以上の化合物である、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
  13. 内層bに含まれる可塑剤の水酸基価が30〜450mgKOH/gである、請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
  14. 内層bに含まれる可塑剤の5〜100質量%が水酸基を有する化合物である、請求項1〜13のいずれかに記載の積層体。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の積層体であって、当該積層体を2枚のガラスに挟んで仮接着後、100〜150℃、1.0〜1.3MPaで10〜120分間オートクレーブで処理して作製した合わせガラスにおいて、25℃または40℃における損失係数が0.15以上となる、積層体。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の積層体を2枚のガラスに挟んで得られる合わせガラス。

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