実施形態の情報処理装置は、スーパーなどに備えられたPOS(Point Of Sale)端末や売上装置などへの適用が可能なものである。以下では、実施形態の情報処理装置をPOS端末へ適用した例を示す。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、係るPOS端末の売上データ活用システム内での利用例を示す。
売上データ活用システムは、複数の装置の売上データをPOS端末で集中的に管理し、売上金の回収や販売計画などに活用するシステムである。
図1は、売上データ活用システムの全体構成を示す概念図である。
図1に示すように、売上データ活用システム1は、自動販売機10、POS端末11、及びNFC(Near Field Communication)カード12を含むシステムからなる。なお、NFCカード12については、これに限らず、NFC機能付きの例えば携帯電話機などを代用することができる。また、NFCに代わるその他の無線式の記憶媒体を利用できるように変形しても良い。また、無線機以外の可搬型の記憶媒体を使用できるように変形しても良い。
自動販売機10は、スーパーの店内或いは店外(店の外の出入口付近など)に設置される。なお、ここでは一例として店外に設置されるものとして説明する。POS端末11は店内の精算エリアなどに設置される。NFCカード12はスーパーの管理者などに提供される。
自動販売機10は、飲み物や、菓子類や、たばこや、プリペイドカードなどの商品を販売する。また、交換チケットなどにより役務を販売する。以下では、一例としてその内の商品(具体的には飲み物)を自動販売機10の販売対象とする。
自動販売機10は、販売対象の商品を内部の収納エリアで保管し、金銭の支払いと引き換えに収納エリアの商品を商品取出口へ排出する機構を有する。自動販売機10は更にNFCリーダ/ライタ部103を備え、現金だけでなく電子マネー情報による決済も可能にする。
POS端末11は、レジ機能や売上データの管理機能を有する装置である。POS端末11は、レジ機能を用いて店内の取扱商品の登録処理や精算処理などを行う。POS端末11は更にNFCリーダ/ライタ装置118を備え、現金だけでなく電子マネー情報により決済も可能にする。また、POS端末11は売上データの管理機能を用いて、自動販売機10に蓄積されている売上データをNFCカード12から取り込む処理を行う。更に、POS端末11は売上データを取り込んだ後、その売上データと店内で精算した商品の売上データとを統括的に管理する。
NFCカード12は、ICチップを備えたプラスチックカードである。ICチップは売上データを格納するためのメモリやNFCの近距離無線通信部などにより構成される。
売上データ活用システム1では、先ず、スーパーの管理者がNFCカード12を自動販売機10にかざす。すると、自動販売機10は自機の記憶部に蓄積されている売上データをNFCカード12に書き込む。その後、管理者がそのNFCカード12をPOS端末11にかざす。これにより、POS端末11がNFCカード12内の売上データを自機に登録する処理を行う。
この一連の手続きにより、管理者は、自動販売機10側の売上金をデータで取得してPOS端末11側で管理する。
また、POS端末11は店内で購入された商品等の売上データを登録する処理を行う。従って、管理者はPOS端末11で店内の売上データと自動販売機10の売上データとを使って商品配置等の販売計画を立てる処理を実行する。
次に、装置構成について説明する。
図2は、POS端末11の外観斜視図である。図2に示すPOS端末11は、一例として示すものであり、実施形態の情報処理装置をこの態様に限定するものではない。
図2に示すPOS端末11は、上部に示す本体11aと下部に示すドロワ11bにより構成されるものである。
本体11aは、店員用ディスプレイ110と客用ディスプレイ111を有する。店員用ディスプレイ110と客用ディスプレイ111には、それぞれタッチパネル112、113を配設している。店員用ディスプレイ110は、商品登録画面や売上データ登録画面などを表示する。タッチパネル112はオペレータが画面上で行ったキーのタッチを検出する。客用ディスプレイ111は、会計情報画面や確認画面などを表示する。タッチパネル113は、客が画面上で行った確認キーなどのタッチを検出する。店員用ディスプレイ110と客用ディスプレイ111には液晶ディスプレイなどが用いられる。
また、本体11aは、キーボード114や、カードリーダ115や、プリンタ116などを有する。
キーボード114は、オペレータが各種操作入力を行うための操作キーが配置されている。操作キーには、例えば預かり金額などを置数するための置数キーや、商品の合計出力を指示する小計キーや、会計を行うための会計キーなどがある。
カードリーダ115は、クレジットカードなどの決済カードの情報を読み取るための磁気カードリーダである。
プリンタ116は、本体11aに内蔵され、レシート、ジャーナルやクーポン等を印字する印字装置である。プリンタ116によって印字されたレシート等はレシート発行口116aから発行される。
ドロワ11bは、主に硬貨や紙幣を収納するための引き出し部11b−1を有する。引き出し部11b−1は、本体11aからの制御によりロックが解除され引き出される。
本体11aには、商品に付与されたバーコードや二次元コード等の商品コードを読取るためのスキャナ117が接続されている。
また、本体11aには、NFCカード12のカード情報の読み取りと書き込みを行うNFCリーダ/ライタ装置118が接続されている。
図3は、POS端末11のハードウエアのブロック図である。
図3に示すように、POS端末11は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、計時部304、I/O制御部305、記憶部306、キーボード114、店員用ディスプレイ110、店員用タッチパネル112、客用ディスプレイ111、客用タッチパネル113、スキャナ117、磁気カードリーダ115、プリンタ116、ドロワ11b、通信I/F307、308を備える。各部301〜305、307、308は、バス309により相互に接続されている。これらの内のCPU301、ROM302、及びRAM303は、POS端末11全体の制御を司る制御部30である。
CPU301は、中央演算処理装置である。CPU301は、プログラムを実行し、データ処理やPOS端末11の各部の制御処理などを行う。
ROM302は、不揮発性メモリである。ROM302は、固定のプログラムやデータを記憶する。例えばNFCカード12内の情報にアクセスするための権限データなどを記憶する。
RAM303は、揮発性メモリである。RAM303は、CPUが実行する記憶部306のプログラムを一時的に記憶する。また、RAM303はCPU301のワークエリアとして使用する。
計時部304は、現在の日時を計時する。
I/O制御部305は、記憶部306、キーボード114、店員用ディスプレイ110、店員用タッチパネル112、客用ディスプレイ111、客用タッチパネル113、スキャナ117、磁気カードリーダ115、プリンタ116、及びドロワ11bが接続されている。I/O制御部305は、それらと制御部30との命令やデータの入出力を制御する。
記憶部306は、ハードディスクやフラッシュROM等の補助記憶装置である。記憶部306は、OS(Operating System)やアプリケーションを含む制御プログラムを記憶する。また、売上データを格納するためのデータ領域などを有する。
通信I/F307は、NFCリーダ/ライタ装置118と通信を行うための通信インタフェースである。
通信I/F308は、通信ネットワークに接続するための通信インタフェースである。
POS端末11は、図示を省略しているがAC電源に接続可能な電源部を有する。POS端末11は電源部から各部が電力供給を受けることにより動作する。
NFCリーダ/ライタ装置118は、NFCによる近距離無線通信を行う通信インタフェースである。NFCリーダ/ライタ装置118は、NFCカード12と無線通信を行うためのRF部やアンテナ部などを備えている。
次に自動販売機10の構成を示す。ここでは一例として缶類等の飲み物の自動販売機の一態様を示す。
図4は、自動販売機10の外観正面図である。
図4に示す自動販売機10の上部には、商品画像や商品情報を表示するディスプレイ100(例えば液晶ディスプレイなど)を設けている。ディスプレイ100には、販売対象の各飲み物のイメージ画像m1、m2、・・・を後述する商品選択ボタンB1、B2、・・・に一対一に対応させて並べて表示させる。
ディスプレイ100の下方には商品選択ボタンB1、B2、・・・や、硬貨や紙幣の投入口101や、釣銭口102や、NFCリーダ/ライタ部103や、商品取出口104などを設けている。
この内、商品選択ボタンB1、B2、・・・は、客が販売対象の飲み物の中から購入対象を選択するためのものである。
また、NFCリーダ/ライタ部103は、客が電子マネーカードにより決済する場合や、管理者が自動販売機10内の売上データを回収する場合などに使用するNFCカード12に対する通信インタフェースである。
図5は、自動販売機10のハードウエアのブロック図である。
自動販売機10は、制御部50、計時部51、記憶部52、NFCリーダ/ライタ部103、接客案内部53、金銭処理部54、商品保管部55などにより構成される。
制御部50は自動販売機10全体の制御を司る。制御部50はCPU、ROM、及びRAMがバス接続されるなどして構成される。
CPUは制御プログラムの実行や演算処理などを行う。RAMはCPUの作業領域に使用される。
ROMは、制御プログラムや、NFCカード12内の情報にアクセスするための権限データや、製造元コードや管理者用コードなどの権限データを記憶する。
計時部51は、現在時刻等を計時し、計時したデータを制御部50などに出力する。
記憶部52は、自動販売機10の商品の売上データや、自動販売機10のメンテナンス等に用いる製造元用データなどを記憶するメモリである。記憶部52は、制御部50からのアクセスにより、データ等の読み取りや書き込みなどが行われる。記憶部52はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュROMなどにより構成される。
NFCリーダ/ライタ部103は、NFCによる近距離無線通信を行う通信インタフェースである。NFCリーダ/ライタ部103は、NFCカード12と無線通信を行うためのRF部やアンテナ部などを備えている。
接客案内部53は、商品のイメージ画像や金額情報等を表示するディスプレイ100や、商品の入力を受け付ける商品選択ボタンB1、B2、・・・や、自動販売機10の利用者を検出するセンサ(不図示)などである。接客案内部53では、制御部50が出力する商品のイメージ画像や金額等のデータをディスプレイに表示する。また、客が商品選択ボタンB1、B2、・・・を押下すると、その選択信号を制御部50に入力する。また、利用者が自動販売機10の前に立った場合に、その利用者をセンサで検出し、制御部50に検出信号を出力する。
金銭処理部54は、硬貨や紙幣の投入口101、釣銭口102、硬貨選別部(不図示)、紙幣鑑別部(不図示)、硬貨又は紙幣の繰出部(不図示)などからなる現金処理部である。金銭処理部54は制御部50との通信に基づいて動作する。
商品保管部55は、商品収納部、商品排出部、商品取出口104、保存のための温度調節部などである。商品保管部55は制御部50と通信を行い、選択された商品の排出などを行う。
次にNFCカード12の構成を示す。
図6は、NFCカード12のハードウエアのブロック図である。
NFCカード12は、MPU60、メモリ61、及び通信部62を備える。
MPU60は、マイクロプロセッサーであり、命令や演算処理を実行する。
メモリ61は、ROM、SRAM、EEPROM(又はFRAM(登録商標))などからなる。ROMは各種プログラムやデータを記憶するメモリである。SRAMは、MPU60の作業領域等に用いられるメモリである。EEPROM(又はFRAM)は売上データなどを書換自在に記憶するためのメモリである。
通信部62は、RF部やループアンテナなどにより構成される。
NFCカード12は、通信部62を介してNFCリーダ/ライタ装置118やNFCリーダ/ライタ部103などと近距離無線通信を行う。また、NFCカード12は、POS端末11や自動販売機10が有する権限データに応じ、読取用の記憶領域や、読取/書込用の記憶領域へのアクセスを許可/制限する。
各部60〜62は、バス63により接続されている。
このNFCカード12は電磁結合方式で電力を得るものであり、無電池で動作する。
図7は、NFCカード12のメモリマップである。
ここでは、説明を理解し易いように係る情報処理装置において特徴的なものを示す。
図7に示すように、NFCカード12の記憶領域に製造元キーエリアX1、管理者用キーエリアX2、製造元データ格納エリアX3、売上データ登録日エリアX4、及び売上データ格納エリアX5を設ける。
製造元キーエリアX1は、製造元を示す識別コード(製造元コード)を格納するための領域である。管理者用キーエリアX2は、管理者の識別コード(管理者コード)を格納するための領域である。製造元データ格納エリアX3は、自動販売機10の製造元データを格納するための領域である。製造元用データとは、例えば自動販売機10の製造番号や、製造日や、メンテナンス情報など、製造元が必要とするデータである。売上データ登録日エリアX4は、売上データの最終登録日を示す日付データを格納するための領域である。売上データ格納エリアX5は、自動販売機10の売上データを格納するための領域である。
製造元キーエリアX1及び管理者用キーエリアX2は、予め各種のコードを格納し、読み取り専用にする。売上データ登録日エリアX4及び売上データ格納エリアX5はアクセス権を有するものによる読み取り及び書き込みを許可するようにする。
次に、管理者がNFCカード12で自動販売機10の売上データを回収するときの自動販売機10側の処理について説明する。
図8は、自動販売機10がNFCカードを読み取るときの処理フロー図である。
自動販売機10の制御部50は、自動販売機10の利用者をセンサで検出し、飲み物の購入前(商品選択ボタンの押下前)や、飲み物の購入中(精算時)に本処理を開始する。
自動販売機10の制御部50は本処理を実行すると先ず、NFCリーダ/ライタ部103に対しNFCカードの読み取りを行うよう指示する(S1)。この指示により、NFCリーダ/ライタ部103は、内蔵のアンテナ部から電波を放射しカード情報の読み取りを試行する。
続いて、制御部50は、NFCカードの有無を判定する(S2)。制御部50はステップS2の判定でNFCカードを検出しない場合(No判定)、ステップS1に戻りNFCカードの読み取りを繰り返し試行する。
ここで、利用者がNFCリーダ/ライタ部103のアンテナ部にNFCカードをかざしたとする。すると、NFCカードとNFCリーダ/ライタ部103が通信を開始し、権限等の認証後、NFCカードがNFCリーダ/ライタ部103にカード情報を送信する。NFCリーダ/ライタ部103はNFCカードからのその応答情報に基づき、制御部50に対しNFCカードの検出を通知する。制御部50は、その通知によりステップS2の判定をYes判定にする。
ステップS2でYes判定になると、制御部50は、続いてNFCカードの使用者が商品購入中であるか否かを判定する(S3)。
利用者が商品を購入するときには、先ず利用者により商品選択ボタンB1、B2、・・・(図4参照)が押され、その後、制御部50がNFCカードの読み取りを行う。ステップS3の判定処理で制御部50は、商品選択ボタンB1、B2、・・・の中に選択状態のものがあるか否かをチェックする。そして、制御部50は商品選択ボタンの中に選択状態のものがある場合に、利用者が商品購入中であると判定する(Yes判定)。一方、商品選択ボタンの中に選択状態のものが無い場合には、制御部50は利用者が商品購入中ではないと判定する(No判定)。
ステップS3でYes判定の場合、制御部50は本処理を終了する。そして、本処理は商品購入処理中に商品購入処理を中断して実行されたものであるので、制御部50は一時中断した商品購入処理を再開する。
因みに、商品購入処理の再開後の処理を一例として挙げると次のようになる。先ず制御部50は商品選択ボタンB1、B2、・・・で指定された商品の金額データをNFCリーダ/ライタ部103に出力する。NFCリーダ/ライタ部103はその金額をNFCカード(この場合、電子マネーカード)から送信されたカード情報内の残金から差し引く。そして、NFCリーダ/ライタ部103はNFCカード12内の電子マネー情報の記憶領域にアクセスし、残金データを差し引き後の値に書き換える。また、制御部50は購入された商品の商品コード、購入日、購入点数、購入金額などの売上データを記憶部52に保存する。このように電子決済処理を行うと、制御部50は商品選択ボタンB1、B2、・・・で指定された商品を商品取出口104(図4参照)に排出する。そして、制御部50は商品選択ボタンB1、B2、・・・の選択状態を解除し、次の商品選択ボタンB1、B2、・・・が押下されるまで待機する。
なお、自動販売機で使用された電子マネー情報は、後に一括して電子マネー管理会社に送られ、その相当額が電子マネー管理会社から自動販売機の管理会社に振り込まれることになる。
図8のフローの続きを説明する。
ステップS3でNo判定の場合、制御部50は、NFCリーダ/ライタ部103からカード情報を取得し、カード情報内に製造元コードが含まれているか否かを判定する(S4)。この判定は自動販売機10が予め記憶する製造元コードとの比較などにより行う。
ここで制御部50が製造元コードが含まれると判定したとする(ステップS4:Yes判定)。すると、制御部50は記憶部52に記憶されている製造元用データを読み出し、NFCリーダ/ライタ部103に対しその製造元用データの書き込みを指示する(S5)。NFCリーダ/ライタ部103は、権限によりNFCカード(この場合NFCカード12)の製造元データ格納エリアX3(図7参照)にアクセスし、その製造元用データを製造元データ格納エリアX3に書き込む。
ステップS4のNo判定後或いはステップS5の処理後、制御部50はカード情報内に管理者コードが含まれているか否かを判定する(S6)。この判定は自動販売機10が予め記憶する管理者コードとの比較などにより行う。
ここで制御部50が管理者コードが含まれていると判定したとする(ステップS6:Yes判定)。すると、制御部50は記憶部52に記憶されている売上データを読み出し、NFCリーダ/ライタ部103に対しその売上データの書き込みを指示する(S7)。NFCリーダ/ライタ部103は、権限によりNFCカード12の売上データ格納エリアX5(図7参照)にアクセスし、その売上データを売上データ格納エリアX5に書き込む。
制御部50は、ステップS6のNo判定後或いはステップS7の処理後、本処理を終了する。
なお、以上に示した処理は自動販売機10の利用者がNFCカードを利用する場合の処理である。利用者がNFCカードを使用せず現金支払いする場合や、利用者がすぐに自動販売機10から離れ、センサで検出できなくなった場合には、本処理を終了する。
現金支払いの場合、制御部50は、ステップS1、S2のサイクルで硬貨や紙幣の投入を投入口のセンサ等で監視し、投入信号を検出すると本処理を終了する。そこで、制御部50は商品取引処理の中で釣銭を返却口に返却するなどして現金精算を終えるとする。すると、制御部50は、購入された商品の商品コードや購入日や購入点数や購入金額などの売上データを記憶部52に保存する。
また、利用者がすぐに自動販売機10から離れる場合には、制御部50は、ステップS1、S2のサイクルでセンサからの未入力信号を監視し、その信号を検出した場合に本処理を終了する。
以上に示した売上データの回収では、管理者が自動販売機10の正面に立ち、NFCリーダ/ライタ部103に管理者コードを含むNFCカード12をかざす。すると、自動販売機10はNFCカード12に含まれる管理者コードを読み取って認証し、認証が成立すると記憶部52に蓄積している売上データをNFCカード12側に渡す処理を行う。こうして、自動販売機10の売上データをNFCカード12により回収する。
また、管理者がNFCリーダ/ライタ部103に製造元コードを更に含むNFCカード12をかざしたとする。その場合は、自動販売機10はNFCカード12に含まれる製造元コードも読み取って認証し、認証が成立すると自動販売機10の製造元データをNFCカード12に更に書き込む。
また、飲み物を購入する利用者が商品取引中にNFCリーダ/ライタ部103にNFCカード(電子マネーカード)をかざしたとする。その場合は、自動販売機10はNFCカード内の電子マネー情報から購入商品の金額を差し引くなどの従来の電子決済処理を行う。
次に、POS端末11に売上データを登録する処理について説明する。
POS端末11は、CPU301が記憶部306の制御プログラムを実行することにより、制御部30に次に示す機能部を実現する。
図9は、制御部30の機能ブロック図である。
データ処理部900は、商品登録処理などを行う。
表示制御部901は、画面データを店員用ディスプレイ110や客用ディスプレイ111に出力する制御を行う。
読取部(読取手段)902は、NFCカード12からデータを読み取るための処理を行う。読取対象となるデータは、電子マネー情報や、自動販売機10における商品の売上データなどである。
登録部(登録手段)903は、売上データを自機の記憶部306に登録する処理を行う。対象となる売上データは、読取部902の処理により読み取った売上データや、データ処理部900の商品登録処理で売り上げた商品の売上データなどである。
解析部(解析手段)904は、登録部903によって記憶部306に登録された売上データを解析処理し、自動販売機10や店内で販売する商品の販売計画を見直すための情報を生成する処理を行う。
図10は、POS端末11がNFCカードを読み取るときの制御部30の処理フロー図である。
POS端末11の制御部30は、POS端末の操作者による商品登録処理の前や、商品登録処理中の所定の時点(精算時)において本処理を開始する。
制御部30は、先ず通信I/F307に対しNFCカード12の読み取りを行うよう指示する(S11)。この指示により、通信I/F307は、NFCリーダ/ライタ装置118に読取命令を送信する。そして、NFCリーダ/ライタ装置118がアンテナ部から電波を放射しカード情報の読み取りを試行する。
続いて、制御部30はNFCカードの有無を判定する(S12)。この判定でNFCカードを検出しない場合(No判定)、制御部30はステップS11に戻り、NFCカードの読み取りを繰り返し試行する。通信I/F307はNFCリーダ/ライタ装置118から検出信号を受信するまで待機する。
ここで、操作者(又は客)がNFCリーダ/ライタ装置118のアンテナ部にNFCカードを近づけたとする。すると、NFCカードとNFCリーダ/ライタ装置118が通信を開始し、権限などの照合後、NFCカードがNFCリーダ/ライタ装置118にカード情報を送信する。NFCリーダ/ライタ装置118はNFCカードからのその応答情報に基づき、通信I/F307に検出信号を送信する。通信I/F307は制御部30に対しNFCカードの検出を通知する。この通知により、制御部30は、NFCカードを検出する(ステップS12:Yes判定)。
ステップS12でYes判定になると、続いて制御部30はPOS端末11が商品登録中であるか否かを判定する(S13)。
既に商品登録中の場合、POS端末11は商品登録モードで動作し、操作者により取引商品の登録処理や決済処理などが行われる。ステップS13の判定処理で制御部30は、実行中のモードを示すフラグなどからモード情報を取得し、商品登録中か否かを判定する。
ステップS13で商品登録中であるとする判定の場合(Yes判定)、制御部30は本処理を終了する。そして、本処理は商品取引処理を中断して実行された処理なので、制御部30は中断した商品登録処理を再開する。
因みに、商品登録処理の再開後の処理の一例を示すと次のようになる。
制御部30は、取引商品の取引額を通信I/F307へ出力し電子決済を指示する。NFCリーダ/ライタ装置118は取引額を通信I/F307から受信し、取引額をNFCカード(この場合、電子マネーカード)から送信されたカード情報内の残金から差し引く。そして、NFCリーダ/ライタ装置118は権限によりNFCカード内の電子マネー情報の記憶領域にアクセスし、残金データを差し引き後の値に書き換える。このように電子決済処理を行うと、制御部30は、プリンタ116に取引情報を出力しレシートを発行させる。更に、制御部30は決済を終えた店内商品の売上データ(取引商品の商品コード、売上日、販売数、販売額など)を記憶部306に登録する。
なお、POS端末11で使用された電子マネー情報は、後に一括して電子マネー管理会社に送られ、その相当額が電子マネー管理会社から店に振り込まれることになる。
図10のフローの続きを説明する。
ステップS13でNo判定の場合、制御部30は通信I/F307を介してNFCリーダ/ライタ装置118からカード情報を取得する。そして、カード情報内の売上データ登録日エリアX4の情報(売上データの最終登録日)を読み取る(S14)。続いて、制御部30はカード情報内の売上データ格納エリアX5の情報を読み取る。そして、POS端末11へ未登録の状態の売上データがあるか否かを判定する(S15)。
図11は、売上データを表形式で示した図である。
図11の一例として示す売上データD1は、売上日K0、販売機識別情報K1、商品コードK2、店外販売数K3、店外販売額K4、店外電子マネー情報販売数K5などの項目を含む。
売上日K0は、自動販売機で商品(飲み物)が購入された日付を示す。
販売機識別情報K1は、自動販売機の識別番号を示す。
商品コードK2は、自動販売機で販売する商品又は店内で販売する商品の商品コードを示す。
店外販売数K3は、自動販売機で販売された商品の一日の販売数を示す。
店外販売額K4は、自動販売機で販売された商品の販売額を示す。
店外電子マネー情報販売数K5は、店外販売数K3が示す一日の販売数の内の電子マネー情報で販売された商品の一日の販売数を示す。この販売数は、電子マネー情報が使用されたときに、自動販売機10で電子マネー支払いを示す情報を対象商品の販売数に付加し、それを手掛かりに電子マネー情報による一日の販売数を集計したものである。
売上データD1においてデータ部d1の一行は一商品の一日の売上データを示している。一商品の一日の売上データの集計は、自動販売機10が売上データをNFCカード12に出力する際に行っても良いし、POS端末11に読み取られた際にPOS端末11が行っても良い。
図10のステップS15の判定において、制御部30は最終登録日情報と売上データD1の売上日K0の日付情報とを比較する。そして、最終登録日以降の日付に売り上げた商品の売上データが売上データD1に含まれている場合に未登録の状態の売上データがあるものと判定する(Yes判定)。
なお、ステップS15に示すような判定を行う場合、管理者が自動販売機10から売上データを回収してPOS端末11へ登録する手続きは、日付変更の直前に行うことが望ましい。自動販売機10が店内に配置されている場合には、閉店後から日付変更前までに行うことが望ましい。
ステップS15でYes判定の場合、制御部30は自動販売機10の売上データの登録メニュー画面のデータを店員用ディスプレイ110に出力する(S16)。登録メニュー画面は、操作者に未登録の売上データの登録を実行してもらうためのメニュー画面である。メニュー画面には、未登録データを一覧表示する表示窓や、登録ボタンや、取消ボタンなどを設ける。この他、未登録データの一部を編集する編集メニュー項目などを設ける。
ステップS16に続き、制御部30は店員用ディスプレイ110に表示させた登録メニュー画面の登録ボタンが操作者により押下されたか否かを判定する(S17)。
ここで、操作者が登録ボタンを押下し、制御部30がその押下信号を検出したとする(ステップS17:Yes判定)。この場合、制御部30は自動販売機10の売上データの登録処理を行う(S18)。この登録処理として、制御部30は操作者により未登録として指定された売上データを記憶部306に登録する処理を行う。更に、制御部30は登録日の情報を通信I/F307に出力し、NFCカード12の売上データ登録日エリアX4の日付の更新を指示する。NFCリーダ/ライタ装置118は通信I/F307から書込命令と登録日の情報を受信すると、権限によりNFCカード12の売上データ登録日エリアX4にアクセスし、売上データ登録日エリアX4の最終登録日を登録日に更新する。
ステップS18の処理後、制御部30は本処理を終了する。
制御部30はステップS15でNo判定、或いはステップS17でNo判定になった場合にも、本処理を終了する。
なお、以上の処理はPOS端末11の操作者(又は客)がNFCカードをかざす場合の処理である。操作者がNFCカードをかざすことなく別の入力処理を実行した場合や、客がNFCカードをかざすことなく現金支払いする場合には、本処理を終了する。
現金支払いの場合、制御部30は、ステップS11、S12のサイクルで現金キーの入力を監視し、その信号を検出すると本処理を終了する。その後、現金決済が行われると、制御部30はプリンタ116に取引情報を出力しレシートを発行させる。更に、制御部30は決済を終えた店内商品の売上データ(取引商品の商品コード、売上日、販売数、販売額など)を記憶部306に保存する。
また、操作者が別の入力処理を行う場合、制御部30はステップS11、S12のサイクルで入力信号を監視し、別の入力を行う信号を検出すると本処理を終了する。
POS端末11では、制御部30が記憶部306に店内商品の売上データを保存する。これにより、記憶部306に、取引商品の商品コード、売上日、店内商品の販売数(店内販売数)、店内商品の販売額(店内販売額)、電子マネー情報で取り引きされた商品の販売数(店内電子マネー情報販売数)などを示すデータが格納される。店内販売数や店内電子マネー情報販売数は、一商品の一日の売上データの集計値として格納される。
POS端末11の記憶部306には自動販売機10の売上データも登録される。従って、記憶部306では、自機で売り上げた売上データと自動販売機10で売り上げた売上データとが混在する売上データが管理される。
次に、POS端末11が管理する記憶部306の売上データの解析処理について説明する。
図12は、記憶部306の売上データを表形式で示した図である。
図12に示す売上データD2は、販売機識別情報K1、商品コードK2、店外販売数K3、店外販売額K4、店外電子マネー情報販売数K5、店内販売数K6、店内販売額K7、店内電子マネー情報販売数K8などの項目を含む。
販売機識別情報K1、商品コードK2、店外販売数K3、店外販売額K4、及び店外電子マネー情報販売数K5は図11において説明したものと同様であるので説明を省略する。
店内販売数K6は、店内で販売された店内販売商品(菓子類や飲み物など)の一日の販売数を示す。
店内販売額K7は、店内で販売された店内販売商品の販売額を示す。
店内電子マネー情報販売数K8は、店外販売数K6が示す一日の販売数の内の電子マネー情報で販売された商品の一日の販売数を示す。
図12において、店内と店外のそれぞれについての販売額の項目(店外販売額K4、店内販売額K7)を設けている。これは店内と店外とで販売額を異ならせる場合があるためである。
図12に示す例では、店内と店外で共に販売する商品として飲み物A、飲み物B、及び飲み物Cを示している。
飲み物Aは、店外では販売数15(個)、販売額100(円)となっている。店内では販売数13(個)、販売額100(円)となっている。
飲み物Bは、店外では販売数3(個)、販売額100(円)となっている。店内では販売数30(個)、販売額100(円)となっている。
飲み物Cは、店外では販売数40(個)、販売額120(円)となっている。店内では販売数1(個)、販売額100(円)となっている。
この結果から、飲み物Aについては、店内でも店外でも販売数に大きな差が見られないことが分かる。飲み物Bについては、店外より店内の販売数が圧倒的に多いことが分かる。例えば店内で販売する茶菓子などの商品と結びつきが強いお茶などがこれに該当する。客は店内で茶菓子と共にお茶を購入するため、自動販売機よりも店内の方が販売数が伸びている。飲み物Cについては、店内の方が販売額が20円安いにもかかわらず、店外の自動販売機の方が販売数が伸びている。これは、例えば、冬などにおいて通行人が購入するスープなどの暖かい飲み物が該当する。通行人は店内に入るまでもなく自動販売機で飲み物を購入する。このため、冬などの時期において自動販売機での暖かい飲み物の販売数が伸びる。
従って、飲み物Aは現状のままとし、飲み物Bは店外の自動販売機での販売を止めて別の商品に入れ替えるなどの販売計画の見直しが検討される。また、飲み物Cは店内での販売を止めて別の商品に入れ替えるなどの販売計画の見直しが検討される。
このような販売計画の見直しを示す情報は、POS端末11の制御部30が各商品の店内と店外の売上データを解析することにより生成する。例えば、制御部30は各商品の店内と店外の販売数の差をとり、その差が閾値を超えるか否かを判定する。制御部30は、販売数の差が閾値を超え、その差がマイナス側に振れた商品について、店内又は店外の売れ行きの悪い方の販売を中止する情報を生成する。そして、中止した側の商品を予め登録した新商品へ優先度の順に品替えする情報を生成する。この生成情報は制御部30が店員用ディスプレイ110に通知し、管理者はその情報に基づいて店内と店外で販売する商品を最終決定する。
図13は、店員用ディスプレイ110の通知画面の一例である。
図13に示すように制御部30は通知画面G1に通知情報として品替えリストL1を組み込む。
リストL1には、制御部30が決定した販売中止の商品に「中止」を示す情報Q1を含める。また、販売を中止せずに販売を継続する商品については「販売」Q2を示す情報を含める。また、入れ替えを行う新規商品については、入れ替え先となる販売中止商品の商品コード等を示す情報Q3を含める。
これにより、管理者は自動販売機や店内の販売商品を最適な品揃えに適合させてゆく。
第1の実施形態では、POS端末が自動販売機の売上データとPOS端末の売上データとを一括管理し、これらを比較するなどして解析する、これにより、自動販売機と店内で販売する商品の品揃えを最適な品揃えに適合させる。
しかしながら、それぞれの売上データを用いた解析処理は、自動販売機と店内で販売する商品の品揃えの決定に向けての処理に限らず、他のものへ向けたものであっても良い。
例えば、複数の自動販売機を設置している場合には、POS端末は各自動販売機の商品の売上データを相互比較する。そして、POS端末は、各自動販売機の各商品の販売数が一律して所定数を超える場合に、自動販売機の供給不足と判定し、自動販売機を増設する旨を店員用ディスプレイに表示する。また、POS端末は、各自動販売機の各商品の販売数が一律して所定数を下回る場合に、自動販売機の過剰供給と判定し、自動販売機を減らす旨を店員用ディスプレイに表示する。また、POS端末は、他と比べて売上の極端に少ない自動販売機について配置替えや撤去の旨を店員用ディスプレイに表示する。
以上により、第1の実施形態では、自動販売機における商品の売上が現金によるものか電子マネーによるものかをデータ上で判別でいるようにした。これにより、売上データを受け取ったPOS端末は、売上データ中の、自動販売機の現金による売上を集計することにより、自動販売機の売上を回収することができる。従って、自動販売機の売上金の回収者は、自動販売機から売上金を採取し、採取した売上金を入金機にかけて金額を算出し、そして算出した金額をPOS端末に入力するなどの操作が不要になる。また、売上金の回収者による入力ミスや、実際の回収金額と入力金額をごまかす等の不正を防止することができる。
また、第1の実施形態では、自動販売機において広く利用されているNFCの通信手段を利用した。これにより、自動販売機において売上データを回収するためのインタフェースを増設する必要がないので、売上データ活用システムを低コストで実現することが可能になる。
また、第1の実施形態では、管理者用コードなどの所定の権限データを記憶するNFCカードに対し、自動販売機から売上データを書き込むようにした。従って、自動販売機は、所定の権限データを記憶していないNFCカードの所持者に対し、売上データを渡さないようになる。これにより、第1の実施形態ではセキュリティを確保することができるので、売上データの不正取得などを抑止することができる。
また、第1の実施形態では、「製造元コード」や「管理者コード」などのように、自動販売機内の情報を取得するための複数の権限データをNFCカードに対し設定した。このため、一組のカードとリーダライタだけで、製造元にしか取得できない情報、店舗の管理者にしか取得できない情報、一般ユーザも取得できる情報など、別々の情報を受け渡すことが可能になる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、NFCカード12内の管理者コードを自動販売機10での売上データの回収に使用した。第2の実施形態では、その管理者コードをPOS端末11のサインオンにも利用する売上データ活用システムの態様について示す。NFCカード12の適用対象は、例えば店舗の管理者専用の従業員カードなどである。
ここでは、第1実施形態と同一の構成については適宜説明を省略し、第1の実施形態と主に異なる構成について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して主にPOS端末11におけるNFCカード12の読み取り処理が異なる。この処理は、予め記憶部306にサイン処理を含む制御プログラムを格納しておくことにより実現される。
CPU301が記憶部306のサイン処理を含む制御プログラムを実行することにより、POS端末11の制御部30は次に示す機能部を実現する。
図14は、制御部30の機能ブロック図である。
図14は、図9に示す機能ブロックと比較すると、読取部902aとサイン操作部(サインオン手段)905が異なる。
読取部902aは、NFCカード12からデータを読み取るための処理を行う。読取対象となるデータは、電子マネー情報や、自動販売機10における商品の売上データなどである。また、読取部902aは、NFCカード12内の管理者用キーエリアX2(図7参照)の情報を、サインオン時やサインオフ時に読み取る。
サイン操作部905は、読取部902aが読み取った管理者用キーエリアX2の情報を用いてサインオン操作やサインオフ操作を行う。
図15は、POS端末11にNFCカード12を読み取らせるときの制御部30の処理フロー図である。
POS端末11の制御部30は、POS端末11の起動後の待機時又は操作者がサインオフした後の待機時に、サインオン画面データを店員用ディスプレイ110に対し出力するなどして本処理を開始する。
POS端末11の制御部30は、先ずステップS21及びステップS22において、NFCリーダ/ライタ装置118にNFCカード12の読み取りを行わせる。なお、この処理は、第1の実施形態の制御部30の処理(図10のステップS11及びステップS12)と同じ処理であり、ここでの説明は繰り返しとなるため省略する。
NFCカード12の検出によりステップS22の判定がYes判定になると、制御部30は続いてサインオン操作を行う(S23)。この処理で制御部30は通信I/F307を介してNFCリーダ/ライタ装置118からカード情報(ここではカード情報内の管理者用キーエリアX2(図7参照)の管理者コード)を読み取り、サインオン操作を行う。
ステップS23のサインオン操作後、制御部30は業務処理を実行する(S24)。業務処理において、制御部30は商品登録モードの処理や売上登録モードの処理などの各種業務処理を実行する。
ここで、操作者の選択により制御部30が売上登録モードの処理を実行するとする。
この場合、制御部30は、再び、通信I/F307に対しNFCカード12の読み取りを行うよう指示し(S25)、NFCカード12の有無の判定を行う(S26)。制御部30は操作者がNFCリーダ/ライタ装置118のアンテナ部にNFCカード12をかざすまでステップS25、S26の処理を繰り返す。
ここで、操作者がNFCリーダ/ライタ装置118のアンテナ部にNFCカード12をかざしたとする。すると、制御部30はNFCカード12を検出し(ステップS26:Yes判定)、続く処理を実行する。
制御部30は、ステップS26のYes判定に続き、ステップS27〜ステップS31に示す売上データの登録処理を行う。なお、売上データの登録処理は、第1の実施形態の制御部30の処理(図10のステップS14〜ステップS18)に相当し、既に説明しているため、ここでは説明を省略する。
制御部30は、ステップS31の処理後、売上登録モードを終了し、ステップS24の処理に戻る。ステップS24では、制御部30は店員用ディスプレイ110にモード選択画面データを出力し、操作者が続いて選択する業務を実行する。
なお、制御部30は、ステップS28のNo判定或いはステップS30のNo判定の場合にも、売上登録モードを終了してステップS24の処理に戻る。
また、ステップS24で商品登録モードが選択された場合には、制御部30は一連の商品登録処理(S32)を行って、ステップS24の処理に戻る。
また、処理フロー図には示していないが、サインオン後の所定のタイミング(例えばステップS24)に操作者によりNFCカード12がNFCリーダ/ライタ装置118にかざされるとする。すると、制御部30はサインオフ操作を行う。サインオフは、操作者が交代するときなどに行われる。サインオフ後の制御部30は、サインオン画面データを店員用ディスプレイ110に出力するなどして、ステップS21の処理を開始する。
第2の実施形態では、自動販売機においてNFCカードから読み取って売上データを渡すか否かの判定に使用した管理者コードを、POS端末のサインオン時に同じNFCカードから読み取り、サインオンの権限データとして利用した。これにより、自動販売機の売上データの回収処理とPOS端末での処理を一つのNFCカードで行うことができるので、カードを変えるなどの操作者の手間をなくすことができる。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、NFCカード12に売上データを記憶させ、その売上データを販売計画などに利用する態様を示した。
第3の実施形態では、NFCカードに更に勤務データを記憶させ、その勤務データを勤務状況の管理に利用する態様を示す。
第3の実施形態に示すPOS端末とNFCカードのそれぞれの態様は、第1、2の実施形態に示すPOS端末11とNFCカード12の態様に一部を除いて対応する。主な違いは、NFCカード12のメモリマップ、POS端末11におけるNFCカードの読み取りのフロー、及び勤務データの解析処理などとなる。
以下では、第3の実施形態について主に上記の点を示すことにする。
図16は、第3の実施形態のNFCカード12aのメモリマップである。図16に示すメモリマップは、第1の実施形態のNFCカード12aのメモリマップ(図7参照)に更に追加するエリアを示したものである。
図16に示すように、NFCカード12aのメモリに、キャッシャ識別キーエリアX11と管理データ格納エリアX12を設ける。
キャッシャ識別キーエリアX11は、NFCカード所持者(キャッシャ)の識別コードを格納するための領域である。ここではキャッシャについて説明するが、キャッシャに限らず、操作者の全て(キャッシャ、チェッカ、管理者など)を含めても良い。
管理データ格納エリアX12は、勤務開始日時や、勤務終了日時や、商品登録点数などの勤務データを格納するための領域である。
キャッシャ識別キーエリアX11は、予めキャッシャ識別コードを格納し、読み取り専用にする。管理データ格納エリアX12のアクセス権を有するものによる読み取り及び書き込みを許可するようにする。
次に、POS端末11におけるNFCカード12aの読み取りフローを説明する。
CPU301が記憶部306の制御プログラムを実行することにより、POS端末11の制御部30は次に示す機能部を実現する。
図17は、機能ブロック図である。
データ処理部900は、商品登録処理などを行う。
表示制御部901は、画面データを店員用ディスプレイ110や客用ディスプレイ111に出力する制御を行う。
書込部1001は、勤務データをNFCカード12aに書き込む処理を行う。
読取部1002は、読取部902(図9参照)又は読取部902a(図14参照)の処理に加え、書込部1001により書き込まれた勤務データをNFCカード12aから読み取る処理を行う。
登録部1003は、登録部903(図9、図14参照)の処理に加え、読取部1002が読み取った勤務データを自機の記憶部306に登録する処理を行う。
解析部1004は、解析部904(図9、図14参照)の処理に加え、登録部1003により記憶部306に登録された勤務データを解析処理し、勤務状況を見直す情報を生成する処理を行う。
図18は、POS端末11にNFCカード12aを読み取らせるときのPOS端末11の制御部30(図3参照)の処理フロー図である。なお、図18に示す処理は、商品登録モードの処理を一例として示したものであり、売上登録モードの処理については図を省略している。
第3の実施形態において、POS端末11の制御部30は、起動後の待機時又は操作者がサインオフした後の待機時に、サインオン画面データを店員用ディスプレイ110に出力する。操作者は、そのサインオン画面においてモード変更の指示を行うものとする。本例では、キャッシャがモード変更を指示せず、サインオン画面でNFCカード12aを読み取らせることにより、デフォルトで設定された商品登録モードの処理が開始される。
先ず、制御部30は、通信I/F307(図3参照)に対しNFCカード12aの読み取りを行うよう指示する(S31)。この指示により、通信I/F307は、NFCリーダ/ライタ装置118(図3参照)に読取命令を送信する。そして、NFCリーダ/ライタ装置118がアンテナ部から電波を放射しカード情報の読み取りを試行する。
続いて、制御部30はNFCカードの有無を判定する(S32)。この判定でNFCカードを検出しない場合(No判定)、制御部30はステップS31に戻り、NFCカードの読み取りを繰り返し試行する。通信I/F307はNFCリーダ/ライタ装置118から検出信号を受信するまで待機する。
ここで、キャッシャがNFCリーダ/ライタ装置118のアンテナ部にNFCカード12aをかざしたとする。すると、NFCカード12aとNFCリーダ/ライタ装置118が通信を開始し、権限などの照合後、NFCカード12aがNFCリーダ/ライタ装置118にカード情報を送信する。NFCリーダ/ライタ装置118はNFCカード12aからのその応答情報に基づき、通信I/F307に検出信号を送信する。通信I/F307は制御部30に対しNFCカード12aの検出を通知する。この通知により、制御部30は、NFCカード12aを検出する(ステップS32:Yes判定)。
ステップS32でYes判定になると、続いて制御部30はサインオン操作を行う(S33)。この処理で制御部30は通信I/F307を介してNFCリーダ/ライタ装置118からカード情報を読み取り、カード情報内のキャッシャ識別キーエリアX11(図16参照)に位置するキャッシャ識別コードを使ってサインオン操作を行う。更に、制御部30は読み取ったカード情報(管理データ格納エリアX12(図16参照)に位置する勤務データを含む)を記憶部306(図3参照)に保存する。
次に、制御部30は、計時部304(図3参照)から日時情報を取得し、その日時情報を記憶部306に保存した勤務データ内の勤務開始日時K31(図19参照)を示すエリアに追加登録する(S34)。
ステップS34の処理後、制御部30は商品登録処理を実行する(S35)。
この処理で、制御部30は、商品コードの入力をキーボード306(図3参照)やバーコードリーダ308(図3参照)などから受け付ける。そして、商品登録後、制御部30は現金又は決済カードによる支払処理を行い、プリンタ116(図3参照)に一取引分の取引データを出力しレシートに印字させる。
ステップS35の処理後、制御部30は、一取引で登録した商品点数を示す情報を記憶部306の勤務データ内の商品登録点数を示すエリアに追加登録する(S36)。具体的に制御部30は一取引分の取引データに含まれる登録商品の数を累計する。そして商品登録点数の累計結果を、勤務データの商品登録点数を示すエリアに追加登録する。なお、商品登録点数の追加登録は、サインオンしたときの勤務時間に対応する商品登録点数のエリアに行う。
図19は、記憶部306に記憶されている、あるキャッシャの勤務データの一例を表形式で示した図である。ここではデータ項目を説明し、データの詳細については後に参照する際に説明する。
図19に示す勤務データD3は、勤務開始日時K31、勤務終了日時K32、登録点数K33−1、K33−2、K33−3、・・・などの項目からなる。
勤務開始日時K31は、サインオンしたときの勤務開始日時を示す。
勤務終了日時K32は、サインオフしたときの勤務終了日時を示す。
登録点数K33−1、K33−2、K33−3、・・・は、それぞれ、勤務時間中の一取引分の商品の登録点数を示す。勤務時間中に先ず一番目の取引を終えると、その取引時の商品の登録点数が登録点数K33−1に保存される。同じ勤務時間中に二番目の取引を終えると、その取引時の商品の登録点数が登録点数K33−2に追加される。その後の取引については、登録点数K33−3から順次K33−n(nは整数)に追加されることになる。
ステップS36の処理後、制御部30は、キャッシャが処理を続行するか終了するかを判定する(S37)。この判定処理は、例えば制御部30が店員用ディスプレイ110にサインオフ画面のデータを出力する。サインオフ画面には、キャッシャが商品登録処理の続行を宣言するための続行ボタンとサインオフを宣言するためのサインオフボタンを含める。
キャッシャにより続行ボタンがタッチされ、ステップS37において制御部30がそのタッチ入力を検出し続行と判定したとする(Yes判定)。この場合、制御部30はステップS35に戻り、次の客に対する商品登録処理等を実行する(S35、S36)。その後も商品取引を続行する場合には、ステップS35、S36の処理を繰り返す。2巡目以後の商品登録点数の追加登録は、1巡目に追加登録したエリアK33−1(図19参照)に続くエリアK33−2、・・・に順次追加登録してゆく。
一方、キャッシャがPOS端末11から離れる場合には、サインオフ画面上のサインオフボタンをタッチする。ステップS37において制御部30がそのタッチ入力を検出し終了と判定したとする(No判定)。この場合、制御部30は通信I/F307に対しNFCカード12の読み取りを行うよう指示する(S38)。
ステップS38の処理後、キャッシャは自分のNFCカード12aをNFCリーダ/ライタ装置118のアンテナ部にかざす。すると、NFCリーダ/ライタ装置118が通信I/F307に検出信号を送信し、制御部30はNFCカードを検出する(S39)。
続いて制御部30は通信I/F307を介してNFCリーダ/ライタ装置118からカード情報を読み取り、カード情報内のキャッシャ識別コードがサインオン時のものか照合する(S40)。この照合は、記憶部306に保存したカード情報内のキャッシャ識別コードにより行う。
照合後、制御部30は、計時部304から日時情報を取得し、その日時情報を記憶部306に保存した勤務データ内の勤務終了日時K32(図19参照)を示すエリアに追加登録する(S41)。
続いて制御部30はNFCカード12の管理データ格納エリアX12の情報を記憶部306の勤務データで更新するよう通信I/F307に指示する(S42)。NFCリーダ/ライタ装置118は通信I/F307から書込命令と勤務データを受信すると、権限によりNFCカード12aの管理データ格納エリアX12にアクセスし、その勤務データ(最新の勤務データ)により管理データ格納エリアX12の勤務データを更新する。
その後、制御部30は、通信I/F307から書込完了の通知を受けると、サインオフ操作をし(S43)、最初の処理に戻る。つまり、店員用ディスプレイ110にサインオン画面データを出力し、ステップS31の処理を開始する。
次に、NFCカード12に記憶させた勤務データを解析処理し、勤務状況を見直す情報を生成する処理について説明する。ここでは、図19に示す勤務データD3を例に説明する。
勤務データD3は、あるキャッシャの勤務データを示している。一レコードは、一日の勤務データを表す。例えば、レコードr1は、2015年2月4日の勤務データであり、このキャッシャが10時に勤務を開始し、17時に勤務を終了していることが分かる。また、その日の商品の登録点数が一取引を単位に10点、8点、15点、・・・であることが分かる。
制御部30は、これらの数値を解析処理し、そのキャッシャの単位時間の処理能力を算出する。他のキャッシャについても同様に行い、キャッシャ別に単位時間の処理能力を算出する。そして、制御部30は、それらの処理能力を示す情報とキャッシャの勤務予定情報とから、キャッシャの配置情報(図20の符号d2参照)を生成する。例えば各POS端末の商品登録処理のスピードが均一になるようにキャッシャの識別情報を組み合わせてなる配置情報を生成する。商品登録処理が遅いキャッシャについては、キャッシャとチェッカを配置する2人制を示す情報(図20の符号j1、j2参照)を付加する。制御部30は、生成した情報を管理者が勤務状況を見直すための情報として店員用ディスプレイ110に通知する。管理者は、この通知情報から、必要人数分のチェッカの確保などを行うことができる。
図20は、店員用ディスプレイ110に表示される通知情報画面の一例を示す図である。
図20に示すものは、複数台のPOS端末を備えた店を例にしたものである。POS端末の識別情報K40の下にキャッシャの配置情報d2を設定している。POS端末1(識別情報「1」)については、キャッシャ1を配置し、更に、2人制を示す情報として「2人制」を示す文字列j1とチェッカとして配置される人の識別情報j2を付加している。
以上では、POS端末を二人制にするなどの配置人数を決定する処理例を示した。しかし、POS端末が解析等により行う処理は、これに限らない。例えば、キャッシャ等の勤務時間を集計して画面表示することにより、管理者に対し勤務時間管理の手段を提供しても良い。
第3の実施形態では、NFCカード12に勤務データを記憶させて労働者の勤務状況を後に解析できるようにした。しかし、POS端末11においてのNFCカード12の利用方法はこの限りではなく、適宜変形を行っても良い。例えばPOS端末11のユーザ環境情報をNFCカード12に記憶させておく。そして、POS端末12の利用時にユーザがそのNFCカード12をPOS端末11に読み取らせる。これによりPOS端末12の表示画面等のユーザ環境をNFCカード12内の設定に基づかせて変更させる。
以上により、第1及び第2の実施形態に示すPOS端末では、可搬式の記憶媒体への書込みが可能な自動販売機内の売上データを計画を見直すための解析処理に利用することが可能になる。
また、第3の実施形態に示すPOS端末では、可搬式の記憶媒体への書込みが可能な、自動販売機内の売上データ、及び勤務データを、計画を見直すための解析処理に利用することが可能になる。
本実施形態及び変形例の情報処理装置で使用する各種プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供し、情報処理装置のフラッシュROMなどに読み込ませて実行してもよい。
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
以上の実施形態及び変形例において、情報処理装置及びプログラムについての構成を説明したが、この実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。