以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、車両1の概略構成図である。車両1は、エンジン2と、トルクコンバータ3と、モータジェネレータ4と、ポンプ部5と、ワンウェイクラッチ6と、前後進切替機構7と、バリエータ8と、終減速機構9と、駆動輪10と、油圧回路100と、を備える。
エンジン2は、車両1やポンプ部5の駆動源を構成する。エンジン2の出力は、トルクコンバータ3、ワンウェイクラッチ6、前後進切替機構7、バリエータ8、終減速機構9を介して駆動輪10へと伝達される。換言すれば、トルクコンバータ3やワンウェイクラッチ6や前後進切替機構7やバリエータ8や終減速機構9は、エンジン2から駆動輪10に動力を伝達する動力伝達経路に設けられる。
トルクコンバータ3は、流体を介して動力を伝達する。トルクコンバータ3では、ロックアップクラッチを締結することで、動力伝達効率を高めることができる。
モータジェネレータ4は、ポンプ部5の駆動源を構成する。以下では、モータジェネレータ4をM/G4と称す。M/G4には、インバータ41が設けられる。M/G4は、インバータ41のから出力される電力により駆動される。インバータ41には、バッテリ42が接続される。M/G4が車両1の制動時に電力として回生するエネルギは、インバータ41を介してバッテリ42に供給される。M/G4は、例えば三相交流により駆動される同期型回転電機により構成される。
ポンプ部5は、第1ポンプ51と、第2ポンプ52と、を備える。第1ポンプ51はポンプ部5の第1ポンプ部を構成し、第2ポンプ52はポンプ部5の第2ポンプ部を構成する。第1ポンプ51と第2ポンプ52とは、共通の回転軸で駆動するように設けられる。
ワンウェイクラッチ6は、エンジン2及びバリエータ8間、具体的にはトルクコンバータ3及び前後進切替機構7間に設けられる。ワンウェイクラッチ6は、内輪61と、外輪62と、クラッチ部63と、を備える。また、ワンウェイクラッチ6には、第1動力伝達部64と、第2動力伝達部65と、が設けられる。
内輪61は、クラッチ部63を介して外輪62と係合する。内輪61には、エンジン2の動力が伝達される。内輪61は、エンジン2の出力軸の回転に応じて回転するように設けられる。内輪61は具体的には、エンジン2の出力軸と一体回転するように設けられる。
外輪62は、第1動力伝達部64を介してM/G4の回転軸と連結するとともに、第2動力伝達部65を介してポンプ部5の回転軸と連結する。第1動力伝達部64と第2動力伝達部65とは例えば、ベルトで構成することができる。なお、第1動力伝達部64や第2動力伝達部65は例えば、さらに動力を断続するクラッチを有して構成されてもよい。
クラッチ部63は、エンジン2の駆動に応じて得られる内輪61の回転速度が、M/G4の駆動に応じて得られる外輪62の回転速度よりも高い場合に、内輪61と外輪62とを係合し、内輪61から外輪62に動力を伝達する。また、クラッチ部63は、エンジン2の駆動に応じて得られる内輪61の回転速度が、M/G4の駆動に応じて得られる外輪62の回転速度よりも低い場合に、内輪61と外輪62との係合を解除し、内輪61から外輪62への動力の伝達を遮断する。
エンジン2の駆動に応じて得られる内輪61の回転速度は、ワンウェイクラッチ6におけるエンジン側回転速度である回転速度Neを構成する。また、M/G4の駆動に応じて得られる外輪62の回転速度は、ワンウェイクラッチ6におけるモータ側回転速度である回転速度Nmを構成する。
このため、ワンウェイクラッチ6は、回転速度Neが回転速度Nmよりも高い場合に、エンジン2の動力をポンプ部5に伝達する。また、ワンウェイクラッチ6は、回転速度Neが回転速度Nmよりも低い場合に、M/G4の動力をポンプ部5に伝達する。
なお、回転速度Neが回転速度Nmよりも高い場合、実際の外輪62の回転速度は、M/G4の駆動に応じて得られる外輪62の回転速度すなわち回転速度Nmとは一致しない。外輪62が内輪61と一体となって回転するためである。
前後進切替機構7は、エンジン2及びバリエータ8間、具体的にはワンウェイクラッチ6及びバリエータ8間に設けられる。前後進切替機構7は、前進走行に対応する正転方向と後退走行に対応する逆転方向との間で、入力される回転の回転方向を切り替える。
前後進切替機構7は具体的には、前進クラッチ71と、後退ブレーキ72と、を備える。前進クラッチ71は、回転方向を正転方向とする場合に連結される。後退ブレーキ72は、回転方向を逆転方向とする場合に連結される。前進クラッチ71及び後退ブレーキ72の一方は、エンジン2とバリエータ8と間で回転を断続するクラッチとして構成することができる。
バリエータ8は、プライマリプーリ81と、セカンダリプーリ82と、プライマリプーリ81及びセカンダリプーリ82に巻き掛けられたベルト83と、を有する。以下では、プライマリをPRIとも称し、セカンダリをSECとも称す。バリエータ8は、PRIプーリ81とSECプーリ82との溝幅をそれぞれ変更することでベルト83の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式無段変速機構を構成している。
PRIプーリ81は、固定プーリ81aと、可動プーリ81bと、PRI室81cと、を有する。PRIプーリ81では、PRI室81cに供給されるプライマリ圧を制御することにより、可動プーリ81bが作動し、PRIプーリ81の溝幅が変更される。
SECプーリ82は、固定プーリ82aと、可動プーリ82bと、SEC室82cと、を有する。SECプーリ82では、SEC室82cに供給されるセカンダリ圧を制御することにより、可動プーリ82bが作動し、SECプーリ82の溝幅が変更される。
ベルト83は、PRIプーリ81の固定プーリ81aと可動プーリ81bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ82の固定プーリ82aと可動プーリ82bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。
終減速機構9は、バリエータ8からの出力回転を駆動輪10に伝達する。終減速機構9は、複数の歯車列やディファレンシャルギアを有して構成される。終減速機構9は、車軸を介して駆動輪10を回転する。
油圧回路100は、バリエータ8のPRIプーリ81にプライマリ圧を供給するとともに、SECプーリ82にセカンダリ圧を供給する。油圧回路100は、前後進切替機構7にも油圧を供給する。油圧回路100は具体的には、次のように構成される。
図2は、油圧回路100の概略構成図である。油圧回路100は、ポンプ部5のほか、第1のSOL101と、ライン圧調整弁102と、減圧弁103と、ライン圧ソレノイドバルブ104と、前後進切替機構用ソレノイドバルブ105と、PRI圧ソレノイドバルブ106と、SEC圧ソレノイドバルブ107と、マニュアルバルブ108と、ライン圧油路109と、低圧系制御弁130と、チェック弁140と、を備える。以下では、ソレノイドバルブをSOLと称す。
ポンプ部5の第1ポンプ51及び第2ポンプ52は、ライン圧油路109に並列に連結される。具体的には第1ポンプ51の吐出口は、ライン圧油路109に直接接続され、第2ポンプ52の吐出口は、第1のSOL101を介してライン圧油路109に接続される。第1ポンプ51及び第2ポンプ52の吸入口は、共通であってもよく、個別に設けられてもよい。
第1のSOL101は切替弁であり、ライン圧油路109とオイルパンとの間で第2ポンプ52の吐出口の接続先を切り替える。このため、第1のSOL101は、第1ポンプ51及び第2ポンプ52のうち一方の第1ポンプ51の吐出を行う場合と、第1ポンプ51及び第2ポンプ52それぞれの吐出を行う場合との間で、ポンプ部5からライン圧油路109への吐出を切り替える。以下では、前者の場合を単に1ポート吐出と称し、後者の場合を単に2ポート吐出と称す。
第1のSOL101は具体的には、通電時にすなわちONのときに第2ポンプ52の吐出口とオイルパンとを接続し、非通電時にすなわちOFFのときに第2ポンプ52の吐出口とライン圧油路109とを、チェック弁140を介して接続する。このため、第1のSOL101がONのとき、ポンプ部5の固有吐出量Qnは固有吐出量Qn1になる。また、第1のSOL101がOFFのとき、固有吐出量Qnは固有吐出量Qn1及び固有吐出量Qn2の合計値になる。
固有吐出量Qn1と固有吐出量Qn2とは、例えば9cc/revである。固有吐出量Qn1と固有吐出量Qn2とは同じであってもよく、異なっていてもよい。
OFFのときに2ポート吐出となるように第1のSOL101を構成することで、第1のSOL101に断線等の不具合が発生した場合の吐出量不足を回避するフェールセーフが図られる。
ポンプ部5は、ライン圧油路109を介して、ライン圧調整弁102、減圧弁103、PRI圧SOL106及びSEC圧SOL107と接続される。ライン圧油路109はライン圧PLの油路を構成する。ライン圧PLは、後述するPRI圧やSEC圧の元圧となる油圧である。
ライン圧調整弁102は、ポンプ部5が発生させる油圧を調整してライン圧PLを生成する。ポンプ部5がライン圧PLを発生させることは、このようなライン圧調整弁102の作用のもと、ライン圧PLを発生させることを含む。ライン圧調整弁102が調圧時にリリーフするオイルは、低圧系制御弁130を介して潤滑系に供給される。
減圧弁103は、ライン圧PLを減圧する。減圧弁103によって減圧された油圧は、ライン圧SOL104や前後進切替機構用SOL105に供給される。
ライン圧SOL104は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じた制御油圧を生成する。ライン圧SOL104が生成した制御油圧は、ライン圧調整弁102に供給され、ライン圧調整弁102は、ライン圧SOL104が生成した制御油圧に応じて作動することで調圧を行う。このため、ライン圧SOL104への制御電流によってライン圧PLの指令値を設定することができる。
前後進切替機構用SOL105は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じた油圧を生成する。前後進切替機構用SOL105が生成した油圧は、運転者の操作に応じて作動するマニュアルバルブ108を介して前進クラッチ71や後退ブレーキ72に供給される。
PRI圧SOL106は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じてPRI圧を生成する。このため、PRI圧SOL106への制御電流によってPRI圧の指令値を設定することができる。PRI圧SOL106が生成したPRI圧は、PRI室81cに供給される。PRI圧は例えば、制御電流に応じた制御油圧を生成するSOLと、当該SOLが生成した制御油圧に応じてライン圧PLからPRI圧を生成する調圧弁とによって生成されてもよい。
SEC圧SOL107は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じてSEC圧を生成する。このため、SEC圧SOL107への制御電流によってSEC圧の指令値を設定することができる。SEC圧SOL107が生成したSEC圧は、SEC室82cに供給される。SEC圧は例えば、制御電流に応じた制御油圧を生成するSOLと、当該SOLが生成した制御油圧に応じてライン圧PLからSEC圧を生成する調圧弁とによって生成されてもよい。
次に、ポンプ部5の駆動パターンについて図3から図8を用いて説明する。図3に示すように、ポンプ部5は、駆動パターンとして第1のパターンから第5のパターンを有する。
第1のパターンは、ポンプ部5の負荷が低負荷である場合の駆動パターンである。第1のパターンでは、エンジン2を駆動源とし、1ポート吐出を行う。このため、ポンプ部5の固有吐出量Qnは、固有吐出量Qn1となり、ポンプ部5の吐出量Qpは、回転速度Neに応じた吐出量に固定される。第1のパターンでは、図4に太線の矢印で示すように、エンジン2からポンプ部5及び駆動輪10に動力が伝達される。
第2のパターンは、ポンプ部5の負荷が中負荷である場合の駆動パターンである。第2のパターンでは、M/G4を駆動源とし、1ポート吐出を行う。このため、ポンプ部5の固有吐出量Qnは、固有吐出量Qn1となり、ポンプ部5の吐出量Qpは、回転速度Neに関わらず連続的に可変となる。第2のパターンでは、図5に太線の矢印で示すように、M/G4からポンプ部5、エンジン2から駆動輪10に動力がそれぞれ伝達される。
第3のパターンは、ポンプ部5の負荷が高負荷である場合の駆動パターンである。第3のパターンでは、エンジン2を駆動源とし、2ポート吐出を行う。このため、ポンプ部5の固有吐出量Qnは、固有吐出量Qn1及び固有吐出量Qn2の合計値となり、ポンプ部5の吐出量Qpは、回転速度Neに応じた吐出量に固定される。第3のパターンでは、図6に太線の矢印で示すように、エンジン2からポンプ部5及び駆動輪10に動力が伝達される。
第4のパターンは、減速走行時の駆動パターンである。第4のパターンでは、駆動輪10を駆動源とし、1ポート吐出を行う。このため、ポンプ部5の固有吐出量Qnは、固有吐出量Qn1となり、ポンプ部5の吐出量Qpは、車速Vspに応じた吐出量に固定される。第4のパターンでは、図7に太線の矢印で示すように、駆動輪10からM/G4及びポンプ部5に動力が伝達される。このため、第4のパターンでは、M/G4でエネルギを回生することができる。
第5のパターンは、エンジン2が停止状態となるアイドルストップ及びコーストストップ時の駆動パターンである。第5のパターンでは、M/G4を駆動源とし、1ポート吐出を行う。このため、ポンプ部5の固有吐出量Qnは、固有吐出量Qn1となり、ポンプ部5の吐出量Qpは、回転速度Neに関わらず連続的に可変となる。第5のパターンでは、図8に太線の矢印で示すように、M/G4からポンプ部5に動力が伝達される。
図1に戻り、車両1はコントローラ11をさらに備える。コントローラ11は、電子制御装置であり、コントローラ11には、センサ・スイッチ群12からの信号が入力される。
センサ・スイッチ群12は例えば、車両1のアクセル開度を検出するアクセル開度センサや、車両1のブレーキ踏力を検出するブレーキセンサや、車速Vspを検出する車速センサや、回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサを含む。
センサ・スイッチ群12はさらに例えば、PRI圧を検出するPRI圧センサや、SEC圧を検出するSEC圧センサや、PRIプーリ81の入力側回転速度を検出するPRI回転速度センサや、SECプーリ82の出力側回転速度を検出するSEC回転速度センサや、変速レバーの操作位置を検出するインヒビタスイッチを含む。
コントローラ11は、センサ・スイッチ群12からの信号に基づき、M/G4や油圧回路100を制御する。コントローラ11は例えば、M/G4及び油圧回路100を制御することで、前述した第1のパターンから第5のパターンのいずれかにポンプ部5の駆動パターンを設定する。
M/G4を制御するにあたり、コントローラ11は具体的には、インバータ41にトルク指令を出力する。コントローラ11は、インバータ41ヘのトルク指令に基づき回転速度Nmを把握することができる。
油圧回路100を制御するにあたり、コントローラ11は具体的には、図2に示す第1のSOL101のほか、ライン圧SOL104や前後進切替機構用SOL105やPRI圧SOL106やSEC圧SOL107を制御する。
コントローラ11は、油圧回路100、具体的には第1のSOL101とともに、吐出制御部を構成する。コントローラ11は、複数の電子制御装置で構成されてもよい。
次に、コントローラ11が行う制御の一例を図9に示すフローチャートを用いて説明する。図9では、第1、第2及び第3のパターン間での駆動パターンの切替制御について説明する。コントローラ11は、図9のフローチャートに示す処理を微小時間毎に繰り返し実行することができる。
ステップS1で、コントローラ11は、回転速度Neを検出する。
ステップS2で、コントローラ11は、ポンプ部5の要求吐出圧Preq及び要求吐出量Qreqを取得する。要求吐出圧Preq及び要求吐出量Qreqは、回転速度Neに応じて、予めマップデータ等で設定しておくことができる。
ステップS3で、コントローラ11は、次の数1を満たすか否かを判定する。数1において、体積効率ηvは、要求吐出圧Preqにおける第1ポンプ51の体積効率である。コントローラ11は、このような判定を行うことで、要求吐出量Qreqが第1ポンプ51の吐出量よりも低いか否かを判定する。
[数1]
Qreq<ηv×Ne×Qn1
ステップS3で肯定判定であれば、ポンプ部5の負荷は低負荷であると判定される。したがって、ポンプ部5の負荷が低負荷である場合は具体的には、要求吐出量Qreqが第1ポンプ51の吐出量よりも低い場合とすることができる。ステップS3で肯定判定であった場合、処理はステップS4に進む。
ステップS4で、コントローラ11は、回転速度Nmを回転速度Ne未満に制限する。これにより、回転速度Neが回転速度Nmよりも高くなり、ワンウェイクラッチ6がエンジン2の動力をポンプ部5に伝達するので、エンジン2でポンプ部5を駆動することができる。
ステップS4で、コントローラ11は具体的には、回転速度Nmを回転速度Neよりも所定値αだけ低い回転速度に制御することで、回転速度Nmを回転速度Ne未満に制限する。所定値αは、実験などに応じて予め設定することができる。
ステップS5で、コントローラ11は第1のSOL101をONにする。これにより、駆動パターンが第1のパターンとなり、エンジン2による1ポート吐出が行われる。ステップS5の後には、本フローチャートを一旦終了する。
ステップS3で否定判定であれば、処理はステップS6に進む。この場合、コントローラ11は、次の数2を満たすか否かを判定する。数2において、効率ηmは、M/G4の効率であり、出力Lmは、M/G4の最高出力である。コントローラ11は、このような判定を行うことで、ポンプ部5の必要仕事がM/G4の上限出力よりも低いか否かを判定する。数2の右辺に示されるM/G4の上限出力には例えば、さらにバッテリ42の蓄電量SOC等の影響が考慮されたり、1未満の係数が掛けられたりしてもよい。
[数2]
Preq×Qreq<ηm×Lm
ステップS6で肯定判定であれば、ポンプ部5の負荷は中負荷であると判定される。したがって、ポンプ部5の負荷が中負荷である場合は具体的には、要求吐出量Qreqが第1ポンプ51の吐出量以上であり、且つポンプ部5の必要仕事がM/G4の上限出力よりも低い場合とすることができる。要求吐出量Qreqが第1ポンプ51の吐出量である場合は、ポンプ部5の負荷が低負荷である場合に含まれてもよい。
ステップS6で肯定判定であった場合、処理はステップS7に進む。この場合、コントローラ11は、回転速度Nmが次の数3を満たすか否かを判定する。
[数3]
Nm<(Qn1+Qn2)/Qn1×Ne
数3の右辺は具体的には、現時点の回転速度Neによってエンジン2による2ポート吐出で得られるポンプ部5の吐出量QpをM/G4による1ポート吐出で得るために必要な回転速度Nmを示す。これについては、図11Bで後述する。コントローラ11は、このような判定を行うことで、回転速度Nmが、ステップS2で取得した要求吐出圧Preq及び要求吐出量Qreqに基づき算出される要求仕事の分、ポンプ部5を駆動するのに必要な回転速度よりも低いか否かを判定する。
ステップS7で肯定判定であれば、処理はステップS8に進む。この場合、コントローラ11は、回転速度Nmを回転速度Neよりも高くすることで、M/G4でポンプ部5を駆動する。すなわちこの場合には、ワンウェイクラッチ6がM/G4の動力をポンプ部5に伝達するので、M/G4がポンプ部5を駆動する。
ステップS9で、コントローラ11は第1のSOL101をONにする。これにより、駆動パターンが第2のパターンとなり、M/G4による1ポート吐出が行われる。ステップS9の後には、本フローチャートを一旦終了する。
ステップS6で否定判定であった場合、処理はステップS10に進む。この場合、ポンプ部5の負荷が高負荷であると判定される。したがって、ポンプ部5の負荷が高負荷である場合は具体的には、ポンプ部5の必要仕事がM/G4の上限出力以上の場合とすることができる。ポンプ部5の必要仕事がM/G4の上限出力である場合は、ポンプ部5の負荷が中負荷である場合に含まれてもよい。
ステップS10で、コントローラ11は、現時点の回転速度Neに基づき、次の数4で得られる回転速度に回転速度Nmを制御する。
[数4]
Nm=(Qn1+Qn2)/Qn1×Ne
ステップS11で、コントローラ11は、回転速度Nmが数4を満たすか否かを判定する。ステップS11で否定判定であれば、処理はステップS10に戻る。
ステップS11で肯定判定であった場合、処理はステップS12に進む。この場合、コントローラ11は、回転速度Nmを回転速度Ne未満に制限する。ステップS12で、コントローラ11は具体的には、回転速度Nmの制限を開始する。
ステップS13で、コントローラ11は、第1のSOL101をOFFにする。これにより、駆動パターンが第3のパターンとなり、エンジン2による2ポート吐出が行われる。コントローラ11は、ステップS11に続き、ステップS12の処理を行う前にステップS13の処理を行ってもよい。
ステップS7で否定判定であった場合も、コントローラ11はステップS12及びステップS13の処理を行う。この場合、M/G4による1ポート吐出を経ることなく、エンジン2による1ポート吐出から2ポート吐出に切り替えられる。ステップS13の後には、本フローチャートを一旦終了する。
次に、第2のパターンから第3のパターンに切り替える場合、したがってM/G4による1ポート吐出からエンジン2による2ポート吐出に切り替える場合の切替制御に着目した第1の制御要部について説明する。
図10は、第1の制御要部の一例をフローチャートで示す図である。
ステップS21で、コントローラ11は、駆動パターンが第2のパターンであるか否かを判定する。このような判定は例えば、ポンプ部5の負荷が中負荷であるか否かによって行うことができる。ステップS21で否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了し、ステップS21で肯定判定であれば、処理はステップS22に進む。
ステップS22で、コントローラ11は第3のパターンへの切替要求があるか否かを判定する。このような判定は、ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になったか否かによって行うことができる。ステップS22で否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了し、ステップS22で肯定判定であれば、処理はステップS23に進む。ステップS23からステップS26までの処理は、図9に示すフローチャートのステップS10からステップS13までの処理と同様である。
図11Aは、第1の制御要部に対応するタイミングチャートの一例を示す図である。図11Bは、第1の制御要部に応じた回転速度Nmの変化の一例を示す図である。
タイミングT11よりも前では、M/G4による1ポート吐出が行われている。このため、回転速度Nmは破線で示す回転速度Neよりも高く、第1のSOL101はONになっている。M/G4による1ポート吐出では、ポンプ部5の吐出量Qpが回転速度Neに関わらず連続的に可変であるので、ポンプ部5の吐出量Qpを破線で示す要求吐出量Qreqに追従させることができる。回転速度Neは一定になっている。
タイミングT11では、回転速度Nmが回転速度Nm11になる。タイミングT11では、エンジン2による2ポート吐出への切替要求が発生する。このため、タイミングT11からは、回転速度Nmが回転速度Nm11よりも高い回転速度Nm12になるように、すなわち回転速度Nm12まで上昇するように制御される。
タイミングT11からは、回転速度Nmの上昇に応じてポンプ部5の吐出量Qpも大きくなる。要求吐出量Qreqは、タイミングT11からは一定になっている。
回転速度Nmは、タイミングT12で回転速度Nm12になる。回転速度Nm12は、前述の数4で得られる回転速度であり、図11Bにおいてハッチングで示す三角形と太線で示す三角形との相似関係から導き出される。
図11Bに示すように、タイミングT11で示される現時点の回転速度Neによって2ポート吐出で得られるポンプ部5の吐出量Qp11と、回転速度Nmが回転速度Nm12の場合に1ポート吐出で得られるポンプ部5の吐出量Qp12とは、同じになる。
ところで、M/G4による1ポート吐出を行っている場合、ポンプ部5の吐出量QpはM/G4の出力に応じて変化する。
このため、タイミングT12におけるM/G4の出力は、上述した相似関係と同様の相似関係から、タイミングT11で示される現時点の出力よりもNm12/Nm倍、したがって(Qn1+Qn2)/Qn1×Ne/Nm倍大きくされる。なお、この例では、現時点の回転速度Nmが回転速度Nm11なので、倍率は具体的には(Qn1+Qn2)/Qn1×Ne/Nm11倍となる。
タイミングT12ではさらに、回転速度Nmが回転速度Ne未満に制限されるとともに、第1のSOL101がOFFにされる。結果、ポンプ部5の吐出がエンジン2による2ポート吐出に切り替えられる。回転速度Nmを回転速度Nm12まで上昇させてから2ポート吐出に切り替えることで、タイミングT12でポンプ部5の吐出量Qpの変化が不連続になることが改善される。タイミングT12以降の2ポート吐出では、要求吐出量Qreqを満たすポンプ部5の吐出量Qpが確保される。
次に、第3のパターンから第2のパターンに切り替える場合、したがってエンジン2による2ポート吐出からM/G4による1ポート吐出に切り替える場合の切替制御に着目した第2の制御要部について説明する。
図12は、第2の制御要部の一例をフローチャートで示す図である。
ステップS31で、コントローラ11は、駆動パターンが第3のパターンであるか否かを判定する。このような判定は例えば、ポンプ部5の負荷が高負荷であるか否かによって行うことができる。ステップS31で否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了し、ステップS31で肯定判定であれば、処理はステップS32に進む。
ステップS32で、コントローラ11は第2のパターンへの切替要求があるか否かを判定する。このような判定は例えば、ポンプ部5の負荷が高負荷から中負荷になったか否かによって行うことができる。ステップS32で否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了し、ステップS32で肯定判定であれば、処理はステップS33に進む。
ステップS33で、コントローラ11は、現時点の回転速度Neに基づき、前述した数4で得られる回転速度に回転速度Nmを制御する。コントローラ11は、このような制御を行うことで、M/G4の動力に応じて得られるポンプ部5の仕事率が、エンジン2の動力に応じて得られる現時点のポンプ部5の仕事率と同じになるように、回転速度Nmを上昇させる。
ステップS34で、コントローラ11は、回転速度Nmが数4を満たすか否かを判定する。ステップS34で否定判定であれば、処理はステップS33に戻り、ステップS34で肯定判定であれば、処理はステップS35に進む。
ステップS35で、コントローラ11は、第1のSOL101をONにする。これにより、駆動パターンが第2のパターンとなり、M/G4による1ポート吐出が行われる。
ステップS36で、コントローラ11はさらに、要求吐出量Qreqに応じて回転速度Nmを制御する。具体的にはコントローラ11は、ポンプ部5の吐出量Qpが要求吐出量Qreqになるように回転速度Nmを調整する。
これにより、ステップS33で一時的に高められた回転速度Nmが要求吐出量Qreqに応じた回転速度に調整される。ステップS36の後には、本フローチャートを一旦終了する。
図13Aは、第2の制御要部に対応するタイミングチャートの一例を示す図である。図13Bは、第2の制御要部に応じた回転速度Nmの変化の一例を示す図である。
タイミングT21よりも前では、エンジン2による2ポート吐出が行われている。このため、回転速度Nmは回転速度Ne未満の回転速度Nm21に制限されており、第1のSOL101はOFFになっている。回転速度Neは一定になっている。なお、図13Bでは、図が煩雑になるのを避けるために、回転速度Nm21を回転速度Neと同じ位置に示している。
タイミングT21では、M/G4による1ポート吐出への切替要求が発生する。結果、タイミングT21からは、回転速度Nmが回転速度Nm21よりも高い回転速度Nm22になるように、すなわち回転速度Nm22まで上昇するように制御される。
タイミングT21からは、回転速度Nmの上昇に応じてポンプ部5の吐出量Qpも大きくなる。要求吐出量Qreqは、タイミングT21からは一定になっている。
タイミングT22では、回転速度Nmが回転速度Nm22になる。回転速度Nm22は、数4で得られる回転速度である。図13Bに示すように、タイミングT21で示される現時点の回転速度Neによって2ポート吐出で得られるポンプ部5の吐出量Qp21と、回転速度Nmが回転速度Nm22の場合に1ポート吐出で得られるポンプ部5の吐出量Qp22とは、同じとなる。
タイミングT23では、第1のSOL101がONにされる。結果、ポンプ部5の吐出がM/G4による1ポート吐出に切り替えられる。タイミングT23からは、ポンプ部5の吐出量Qpが要求吐出量Qreqになるように、回転速度Nmが調整される。そして、タイミングT24で回転速度Nmは回転速度Nm23になり、ポンプ部5の吐出量Qpは要求吐出量Qreqになる。
次に、車両1の主な作用効果について説明する。車両1は、エンジン2及びM/G4と、ポンプ部5と、ワンウェイクラッチ6と、コントローラ11及び油圧回路100と、を備える。コントローラ11及び油圧回路100は、ポンプ部5の負荷が低負荷である場合に、エンジン2でポンプ部5を駆動するとともに、1ポート吐出を行う。また、コントローラ11及び油圧回路100は、ポンプ部5の負荷が中負荷である場合に、回転速度Nmを回転速度Neよりも高くすることで、M/G4でポンプ部5を駆動するとともに、1ポート吐出を行う。また、コントローラ11及び油圧回路100は、ポンプ部5の負荷が高負荷である場合に、エンジン2でポンプ部5を駆動するとともに、2ポート吐出を行う。
このような構成の車両1によれば、ポンプ部5の負荷が低負荷から中負荷に増加した場合には、ポンプ部5の固有吐出量Qnを変更せずに、M/G4でポンプ部5を駆動するので、ポンプ部5から必要な分だけ吐出を行うことができる。したがって、余分な負荷を発生させることなく、吐出量を確保することができる。
また、このような構成の車両1によれば、ポンプ部5の負荷が高負荷の場合には、エンジン2でポンプ部5を駆動するとともに、ポンプ部5の固有吐出量Qnを固有吐出量Qn1及び固有吐出量Qn2の合計値にするので、高負荷の場合でも吐出量を確保することができる。
このため、このような構成の車両1によれば、固有吐出量Qnの切替が行われるポンプ部5で吐出量を確保しつつ燃費改善を図ることができる(請求項1及び7に対応する効果)。
ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になる場面では、回転速度Nmを回転速度Neよりも低く制限することで、エンジン2でポンプ部5を駆動することになる。このとき、そのまま回転速度Nmを低下させると、ポンプ部5の吐出量Qpも低下するので、2ポート吐出に切り替えるまでの間に、吐出量Qpが一時的に要求吐出量Qreqを下回り、吐出量不足が発生する可能性がある。
このため、車両1では、コントローラ11及び油圧回路100は、ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になった場合に、現時点の回転速度Neに基づき、回転速度Nmを数4で得られる回転速度にした後に、1ポート吐出から2ポート吐出に切り替える。
このような構成の車両1によれば、ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になる場面においても、ポンプ部5の吐出量Qpの落ち込みを防ぐことで、吐出量を確保することができる。また、ポンプ部5の固有吐出量Qnを切り替える際に、吐出量Qpの変化が不連続になることを改善することができるので、ライン圧調整弁102の油圧振動が誘発されることを改善することができる(請求項2に対応する効果)。
車両1では、コントローラ11及び油圧回路100は、ポンプ部5の負荷が高負荷から中負荷になった場合に、M/G4の動力に応じて得られるポンプ部5の仕事率が、エンジン2の動力に応じて得られる現時点のポンプ部5の仕事率と同じになるように、回転速度Nmを上昇させる。また、コントローラ11及び油圧回路100は、このように回転速度Nmを上昇させた後、2ポート吐出から1ポート吐出に切り替え、その後、回転速度Nmをポンプ部5の要求吐出量Qreqに応じて制御する。
このような構成の車両1によれば、ポンプ部5の負荷が高負荷から中負荷になった場合に、エンジン2による2ポート吐出で確保していたポンプ部5の吐出量QpをM/G4による1ポート吐出でも確保することで、吐出量を確保することができる。また、その後に要求吐出量Qreqに応じて回転速度Nmを制御することで、余分な負荷を発生させることなく、吐出量を確保することもできる。さらに、この場合には短時間の間、一時的に吐出量Qpが上昇するだけなので、吐出量Qpの変化の影響を必要最小限に留めることで、ライン圧調整弁102の油圧振動が誘発されることを改善することができる(請求項3に対応する効果)。
車両1では、コントローラ11及び油圧回路100は、ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になった場合であって、現時点での回転速度Nmが数4で得られる回転速度よりも低い場合に、M/G4の出力を現時点の出力よりも(Qn1+Qn2)/Qn1×Ne/Nm倍大きくした後に、2ポート吐出から1ポート吐出に切り替える。
車両1は、このように構成されることで、ポンプ部5の固有吐出量Qnを切り替える際に、吐出量Qpの変化が不連続になることを改善することができる(請求項4に対応する効果)。
車両1は、バリエータ8を備え、第1ポンプ51及び第2ポンプ52が並列に連結される油路をライン圧油路109とする構成となっている。
車両1は、このような構成である場合に、固有吐出量Qnが切り替えられるポンプ部5で吐出量を確保しつつ燃費改善を図ることができる(請求項6に対応する効果)。
(第2実施形態)
図14は、本実施形態の車両1が備える油圧回路100を示す図である。本実施形態の車両1では、油圧回路100が蓄圧回路部110をさらに備える。
蓄圧回路部110は、ライン圧油路109に設けられる。蓄圧回路部110は、アキュムレータ111、第2のSOL112及びチェック弁113を有して構成される。蓄圧回路部110は、アキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断を行う。
アキュムレータ111は、油圧P1を蓄え、また、蓄えた油圧P1を放出する。アキュムレータ111は、第2のSOL112を介してライン圧油路109に接続されるとともに、チェック弁113を介してライン圧油路109に接続される。アキュムレータ111には、蓄圧設定値として設定値PSが設定される。設定値PSは例えば、6MPaである。設定値PSの設定は例えば、油圧P1が設定値PSよりも高くならないように油圧P1を調整するレギュレータを蓄圧回路部110にさらに設けることで、行うことができる。
第2のSOL112は、アキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断を行う。第2のSOL112には、ノーマルクーロズタイプのバルブが適用されている。このため、第2のSOL112は、ONのときにアキュムレータ111とライン圧油路109とを連通し、OFFのときにアキュムレータ111とライン圧油路109との連通を遮断する。
チェック弁113は、ライン圧油路109側からアキュムレータ111側への流通を許容し、アキュムレータ111側からライン圧油路109側への流通を阻止するように設けられる。
蓄圧回路部110では、チェック弁113を介してライン圧油路109からアキュムレータ111に油圧の供給を行うことで、アキュムレータ111への蓄圧を行うことができる。また、チェック弁113が閉弁する圧力状態で、第2のSOL112がアキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断を行うことで、アキュムレータ111に蓄えた油圧P1の放出を行うことができる。
次に、本実施形態における第1の制御要部について図15を用いて説明する。ステップS41及びステップS42の処理は、前述した図10に示すフローチャートのステップS21及びステップS22の処理と同じである。
ステップS43で、コントローラ11は、第2のSOL112をONにする。これにより、アキュムレータ111からライン圧油路109への油圧P1の放出が許可される。
このように、本実施形態の車両1では、コントローラ11は蓄圧回路部110、具体的には第2のSOL112をさらに制御する。本実施形態において、センサ・スイッチ群12は例えば、油圧P1を検知する圧力センサをさらに含んでもよい。これにより、第2のSOL112をONにするにあたり、油圧P1及びライン圧PLに基づき、チェック弁113が閉弁する圧力状態であるか否かをさらに判定することもできる。
ステップS44で、コントローラ11は、回転速度Nmを回転速度Ne未満に制限する。
ステップS45で、コントローラ11は、第2のSOL112をOFFにする。これにより、アキュムレータ111からの油圧P1の放出が禁止される。
ステップS46で、コントローラ11は、第1のSOL101をOFFにする。これにより、駆動パターンが第3のパターンとなり、エンジン2による2ポート吐出が行われる。ステップS46の後には、本フローチャートを一旦終了する。
本実施形態において、第1、第2及び第3のパターン間での駆動パターンの切替制御を行う場合、コントローラ11は例えば、図9に示すフローチャートのステップS10からステップS13までの処理の代わりに、ステップS43からステップS46までの処理を行うことができる。この場合、ステップS7の否定判定に続いて、ステップS44の処理を行うことができる。
図16は、本実施形態でコントローラ11が行う制御に対応するタイミングチャートの一例を示す図である。
タイミングT31よりも前では、ポンプ部5の負荷が低負荷となっている。このときには、エンジン2による1ポート吐出が行われる。このため、回転速度Nmは回転速度Ne未満に制限されている。また、第1のSOL101はONになっており、第2のSOL112はOFFになっている。車速Vspは次第に高くなり、バリエータ8の変速比は次第にHigh側に変化する。
タイミングT31では、アクセル開度が大きくなり、ポンプ部5の負荷が低負荷から中負荷になる。したがって、タイミングT31からは、M/G4による1ポート吐出が行われる。このため、M/G4のトルクが高められ、回転速度Nmが回転速度Neよりも高くなる。車速Vspは低負荷の場合よりも大きな度合いで次第に高くなる。バリエータ8の変速比は次第にLow側に変化し、ライン圧PLは回転速度Nmに応じて変化する。
タイミングT32では、アクセル開度がさらに大きくなり、ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になる。このため、タイミングT32からは、M/G4のトルクを低下させることで、回転速度Nmが回転速度Ne未満に制限され始める。
このときには、M/G4による1ポート吐出がまだ行われている。このため、ライン圧PLは本来、回転速度Nmの低下に応じて破線で示すように低下することになる。
本実施形態では、タイミングT32で第2のSOL112をONにすることで、アキュムレータ111からライン圧油路109への油圧P1の放出が開始される。これにより、ライン圧PLはタイミングT32から実線で示すように上昇し、ライン圧PLの一時的な落ち込みが防止される。したがって、ポンプ部5の吐出量Qpの一時的な落ち込みも防止される。
タイミングT33では、回転速度Nmが回転速度Ne未満になる。また、第1のSOL101がOFFになる。これにより、エンジン2による2ポート吐出が開始される。また、タイミングT33では、第2のSOL112がOFFになり、油圧P1の放出が禁止される。このため、タイミングT33からは、エンジン2による2ポート吐出に応じたライン圧PLが発生する。
次に、本実施形態の車両1の主な作用効果について説明する。本実施形態の車両1は、蓄圧回路部110をさらに備える。蓄圧回路部110は、ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になった場合に、アキュムレータ111に蓄えられた油圧P1をライン圧油路109に放出する。
このような構成の車両1によれば、ポンプ部5の負荷が中負荷から高負荷になった場合に、ポンプ部5の吐出量Qpの一時的な落ち込みを防止することができる。このため、このような構成の車両1によれば、ライン圧調整弁102の油圧振動が引き起こされないようにすることができ、吐出量を確保することもできる(請求項5に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、ポンプ部5は、M/G4で駆動される代わりにジェネレータとして機能しないモータで駆動されてもよい。
また、ポンプ部5は、前述の特許文献1で開示されたポンピングユニットのように、二つのポンプまたは二つのポンプ部分の連結状態を直列連結と並列連結との間で切り替えるものであってもよい。
また、ポンプ部5は、第1ポンプ51及び第2ポンプ52間で動力の伝達を断続するなど、第1ポンプ51及び第2ポンプ52を駆動する場合と、第1ポンプ51を駆動する場合とを選択可能に構成されたものであってもよい。