JP2016182809A - 化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐摩耗性に優れ、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができ、製造が容易な化粧板を提供する。【解決手段】表面の一部の領域に離型層が形成されており、表面の残部の前記離型層が形成されていない領域には、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層が形成されており、前記耐摩耗層上に前記熱硬化性樹脂層が積層されている、ことを特徴とする化粧板。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧板に関する。
従来、テーブル、カウンター、壁、床等の表面には、チタン紙等の多孔質基材にメラミン樹脂を含浸させ、必要に応じてフェノールコア紙等に積層した化粧板が積層されている。このようなメラミン樹脂を含浸させた化粧板は、強度、硬さ、耐熱性等の物性を示す。
上述のような化粧板には、高級感を示す意匠が求められており、グロスマット調の意匠感を表面に付与することが行われている。
表面にグロスマット調の意匠感が付与された化粧板として、表面にグロスマット調のエンボス形状が形成されたエンボス板(テクスチャーを付けた鏡面板)を用いて熱圧プレスされた化粧板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載されている化粧板の表面にグロスマット調の意匠感を付与する場合、意匠の種類だけ表面処理した鏡面板が必要であり、コストがかかり製造が困難であるという問題がある。また、この化粧板は、エンボス形状を下地の絵柄と同調させることが困難であり、より意匠性を高めることが困難であるという問題がある。
また、絵柄模様と同調した凹状部等が形成された化粧板の製造方法として、原紙の表面に浸透防止層と撥液性模様層を設けることで熱硬化性樹脂を含浸して熱圧成形する際に、撥液性模様が熱硬化性樹脂の皮膜に被覆される現象を防止する製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に記載されている製造方法では、完全に熱硬化性樹脂の被覆を防止することは困難であり、このような製造方法により製造された化粧板は、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することが困難であるという問題がある。
また、特許文献1及び2に記載では、化粧板の耐摩耗性について十分に検討されていない。これらの化粧板では、表面には熱硬化性樹脂が被覆されているだけで耐摩耗性が劣るため、化粧板の表面が削られるとグロスマット調の意匠が消失し易いという問題がある。耐摩耗性を付与する目的で浸透防止層と撥液性模様層の上にオーバーレイ層を設けることも考えられるが、この場合、グロスマット調の意匠感が発現しないという問題がある。
従って、耐摩耗性に優れ、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができ、製造が容易な化粧板の開発が望まれている。
特開昭47−14273号公報 特開2002−166501号公報
本発明は、耐摩耗性に優れ、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができ、製造が容易な化粧板を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、表面の一部の領域に離型層を有し、前記離型層を有しない表面の残部の領域に、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層を有しており、前記耐摩耗層上に前記熱硬化性樹脂層を配置してなる化粧板の構成とすることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧板に関する。
1.表面の一部の領域に離型層を有し、前記離型層有しない表面の残部の領域に、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層を有しており、前記耐摩耗層上に前記熱硬化性樹脂層を配置してなる、ことを特徴とする化粧板。
2.前記耐摩耗層は、モース硬度が4以上の無機フィラーを含有する、項1に記載の化粧板。
3.前記熱硬化性樹脂層は、メラミン樹脂を含有する、項1又は2に記載の化粧板。
4.前記離型層は、硬化性樹脂を含有する、項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
5.前記硬化性樹脂は、電離放射線硬化型樹脂である、項4に記載の化粧板。
6.前記電離放射線硬化型樹脂は、重量平均分子量が500以上である、項5に記載の化粧板。
7.多孔質基材の表面の一部の領域に前記離型層を有し、前記離型層を有しない、前記多孔質基材の表面の残部の領域には、前記耐摩耗層及び前記熱硬化性樹脂層を有しており、前記耐摩耗層上に前記熱硬化性樹脂層が存在する、項1〜6のいずれかに記載の化粧板。
8.前記多孔質基材と、前記耐摩耗層及び/又は前記離型層との間に、更に、絵柄模様層を有する、項7に記載の化粧板。
9.前記多孔質基材の、前記耐摩耗層及び前記離型層を有する側とは反対側の面に、フェノール樹脂含浸紙を有する、項7又は8に記載の化粧板。
本発明の化粧板は、表面の一部の領域に離型層が形成されており、離型層が形成されていない表面の残部の領域には、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層が形成されており、耐摩耗層上に熱硬化性樹脂層が積層されているので、化粧板表面において視認される熱硬化性樹脂層と離型層とが異なる意匠感を示すことにより、化粧板表面が鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができる。
また、本発明の化粧板は、耐摩耗層を備えるので、耐摩耗性に優れており、化粧板の表面が削られることによるグロスマット調の意匠の消失が抑制されている。
更に、上記構成を備える本発明の化粧板は、表面の一部の領域に離型層を設け、離型層が形成されている表面から耐摩耗性インキを塗布して耐摩耗層を形成し、更に、熱硬化性樹脂を含浸させて加熱し、離型層を被覆している耐摩耗層及び熱硬化した樹脂膜を剥離することにより製造することができるので、容易に製造することができる。
本発明の化粧板の層構成の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の化粧板を製造する製造方法において、工程1終了後の状態の一例を示す断面図である。 本発明の化粧板を製造する製造方法において、工程2終了後の状態の一例を示す断面図である。 本発明の化粧板を製造する製造方法において、工程3終了後の状態の一例を示す断面図である。
本発明の化粧板は、表面の一部の領域に離型層を有し、上記離型層を有しない表面の残部の領域に、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層を有しており、上記耐摩耗層上に上記熱硬化性樹脂層を配置してなる化粧板である。即ち、本発明の化粧板は、表面の一部の領域に離型層が形成されており、上記離型層が形成されていない表面の残部の領域には、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層が形成されており、上記耐摩耗層上に上記熱硬化性樹脂層が積層されている。
以下、本発明の化粧板について説明する。なお、本発明において、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧板がフェノール樹脂含浸紙又は木質基材等に積層されて用いられる際に、フェノール樹脂含浸紙等と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。
図1は、本発明の化粧板の層構成の一例を模式的に示す断面図である。図1において、本発明の化粧板は、熱硬化性樹脂が含浸され、熱硬化した多孔質基材1の表面の一部の領域に離型層2が形成されており、表面の残部の離型層2が形成されていない領域には、耐摩耗層4及び熱硬化性樹脂層3が形成されており、耐摩耗層4上に熱硬化性樹脂層3が積層されている。
図1に例示される本発明の化粧板は、上記構成であることにより、熱硬化性樹脂層3がグロスの意匠感を示し、離型層2がマットの意匠感を示すか、又は、熱硬化性樹脂層3がマットの意匠感を示し、離型層2がグロスの意匠感を示すことにより、化粧板表面が鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができる。
また、上記構成を備える図1の本発明の化粧板は、耐摩耗層4を備えるので、耐摩耗性に優れており、化粧板の表面が削られることによるグロスマット調の意匠の消失が抑制される。
更に、上記構成を備える図1の本発明の化粧板は、多孔質基材1の表面の一部の領域に離型層2を設け、多孔質基材1に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱し、離型層2を被覆している熱硬化した樹脂膜を剥離することにより製造することができるので、容易に製造することができる。
本発明の化粧板の表面における耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層が形成されている領域の面積(Sa)と、離型層が形成されている領域の面積(Sb)との面積比(Sa):(Sb)は、3:7〜9:1が好ましく、5:5〜8:2がより好ましい。面積比(Sa):(Sb)が上述の範囲内であると、本発明の化粧板が表現するグロスマット調の意匠が、より鮮明となる。
耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層が積層された積層体と、離型層との高低差は、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。上記高低差が上述の範囲内であると、本発明の化粧板が表現するグロスマット調の意匠が、より鮮明となる。
以下、本発明の化粧板の層構成について説明する。本発明の化粧板は、上述のように表面の一部の領域に離型層が形成されており、離型層が形成されていない表面の残部の領域には、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層が形成されており、耐摩耗層上に熱硬化性樹脂層が積層されていれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。例えば、本発明の化粧板が多孔質基材を備える場合、多孔質基材の表面の一部の領域に離型層が形成されており、前記離型層が形成されていない、多孔質基材の表面の残部の領域には、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層が形成されており、耐摩耗層上に熱硬化性樹脂層が積層されている構成が挙げられる。
以下、かかる層構成の化粧板を代表例として、各層について具体的に説明する。
(離型層)
離型層は、本発明の化粧板の表面の一部の領域に形成される。上記離型層は、後述する本発明の化粧板の製造工程において、耐摩耗層を形成する際に、離型層の表面に一旦形成される耐摩耗層に対して離型性を有していれば特に限定されない。離型層は、例えば、多孔質基材等の表面に離型インキを塗布して硬化させることにより形成することができる。
離型インキを構成する樹脂は、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化性樹脂;熱可塑性樹脂を用いることができるが、硬化性樹脂を用いることが好ましい。特に、高い表面硬度による耐傷性、凸形状保持性、生産性等の観点から、離型インキは電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましく、離型インキを構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加することができる。
熱硬化性樹脂を含む離型インキを用いて離型層を形成する方法は、例えば、熱硬化性樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で多孔質基材上に塗布し、乾燥及び硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上を使用することができる。中でも、多官能モノマー及びオリゴマーの1種以上を使用することが好ましい。上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の重量平均分子量は、500以上が好ましく、1000以上がより好ましい。電離放射線硬化型樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、上述のように多孔質基材等の表面に離型インキを塗布して硬化させることにより離型層を形成する際に、離型インキの多孔質基材等への浸み込みが抑制され、より確実に離型層を形成することができる。
電離放射線硬化型樹脂の重量平均分子量は、80000以下が好ましく、50000以下がより好ましい。電離放射線硬化型樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、上述のように多孔質基材等の表面に離型インキを塗布して硬化させることにより離型層を形成する際に、離型インキの粘度の上昇を抑制でき、離型インキの塗布が困難となり難い。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレンを標準物質に用いて測定される値である。
電離放射線硬化型樹脂としては、重量平均分子量が500以上である多官能モノマー及びオリゴマーから選択される少なくとも1種が好ましい。このような多官能モノマー又はオリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂が挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種を使用することができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種を使用することができる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂としては、耐熱性及び架橋密度を上げるため、多官能の重合性モノマーを含有することが好ましい。
離型インキには、さらに離型性を付与する目的で、シリコーンオイルを含有させることが好ましい。シリコーンオイルとして、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。
反応性シリコーンオイルとは、側鎖又は末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルのうち、導入する有機基の性質によって反応性を有するものをいう。反応性シリコーンオイルとして、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型等において、導入する有機基がアミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性等であるものが挙げられる。これらの反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
非反応性シリコーンオイルは、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性官能基を有しないシリコーンオイルであれば特に制限はない。非反応性シリコーンオイルとして、例えば、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのほか、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの非反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記反応性シリコーンオイル又は非反応性シリコーンオイルは、離型インキの硬化時に硬化性樹脂の表面に配向し、離型性を発現する。
上記反応性シリコーンオイル又は非反応性シリコーンオイルの使用量は、離型インキを構成する樹脂100質量部あたり0.1〜50質量部程度であり、好ましくは0.5〜20質量部程度であり、より好ましくは3〜20質量部程度であり、更に好ましくは3〜10質量部程度である。反応性シリコーンオイル又は非反応性シリコーンオイルの使用量を上記範囲とすることにより、離型層と硬化された樹脂膜との離型性が十分となる。
離型インキは、さらに体質顔料を含有することが好ましい。体質顔料を含有することによって、インキにチキソ性を付与することができ、版を用いて離型層を印刷する際に、インキの形状が維持される。体質顔料としては特に限定されず、例えば、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらのうち、材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、及びインキとしての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。
これらの体質顔料のインキにおける含有量は、離型インキを構成する樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部程度であり、好ましくは0.5〜15質量部程度であり、より好ましくは2〜15質量部程度であり、更に好ましくは、5〜15質量部程度である。体質顔料の使用量を上記範囲とすることにより、インキに十分なチキソ性を付与することができるとともに、隆起形状及び微細凹凸面の発現を付与する効果が得られる。
離型インキは、無色であってもよいし、着色されていてもよい。着色する場合には、上記の絵柄模様層で使用する着色剤と同様のものを使用することができる。
離型インキは、粘度を調整する目的で溶媒を含有してもよい。溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。離型インキ中の溶媒の量は、インキの粘度に応じて適宜設定することができる。
離型インキには、得られる所望物性に応じて、従来より公知の添加剤を配合することができる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等が挙げられる。
離型層は、本発明の化粧板の表面に所望のパターンで形成するとよい。離型層を形成するパターンとしては、例えば、木目板導管、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝、等が挙げられる。
離型層の厚みは特に限定されず、塗工時の層厚は1〜100μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜20μm程度である。
(耐摩耗層)
耐摩耗層は、本発明の化粧板の表面の上記離型層が形成されていない残部の領域に形成される。上記離型層が形成されていない残部の領域には、耐摩耗層上に後述する熱硬化性樹脂層が積層される。本発明の化粧板が多孔質基材を備える構成である場合には、耐摩耗層は、多孔質基材上に形成される。なお、上記耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層は、離型層の一部を被覆していてもよい。離型層の面積の50%以上の部分が露出して、化粧板の表面から視認されていれば、グロスマット調の意匠感を示すことができる。
耐摩耗層は、例えば、多孔質基材等の表面に耐摩耗性インキを塗布して形成することができる。
耐摩耗性インキを構成する樹脂は、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化性樹脂;熱可塑性樹脂を用いることができる。耐摩耗性インキは、後述する熱硬化性樹脂層を形成する、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸し易い樹脂を用いることが好ましい。当該メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸し易い樹脂を用いることにより、耐摩耗層に熱硬化性樹脂が含浸し、耐摩耗層が、より優れた耐摩耗性を発揮することができる。
耐摩耗性インキを構成する熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられ、中でも、耐摩耗層の形成が容易な点で、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)が好ましい。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加することができる。
熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含む耐摩耗性インキを用いて耐摩耗層を形成する方法は、例えば、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含む耐摩耗性インキをロールコート法、コンマコート法、カーテンコート法、スクイズコート法、ブレードコート法、グラビアコート法等の塗布法で多孔質基材上に塗布し、乾燥及び硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上を使用することができる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種を使用することができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種を使用することができる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂としては、耐熱性及び架橋密度を上げるため、多官能の重合性モノマーを含有することが好ましい。
耐摩耗性インキには、耐摩耗性を付与する目的で、フィラーを含有させることが好ましい。
フィラーとしては特に限定されず、従来公知の無機フィラー又は有機フィラーを用いることができる。
無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、焼成タルク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウム等が挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;フッ素系樹脂;スチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;メラミン系樹脂;尿素系樹脂;アクリル系樹脂;フェノール系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられ、また、上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
上記フィラーとしては、より耐摩耗性に優れる点で、無機フィラーを用いることが好ましく、中でも、アルミナ、シリカ、ジルコニアを用いることがより好ましい。
なお、上記フィラーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フィラーの形状としては特に限定されず、多面体球状、球状、多角形状のいずれの形状であってもよい。
上記フィラーの平均粒子径は、3〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。フィラーの平均粒子径を上記範囲とすることで、耐摩耗層の耐摩耗性がより優れ、耐摩耗層の上に積層される熱硬化性樹脂層の表面の平滑性を損ねないので、熱硬化性樹脂層の表面がグロスの意匠感を表現し易くなる。
なお、本明細書において、フィラーの平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定される値である。
上記フィラーのモース硬度の好ましい下限は4であり、好ましい上限は9である。また、よりこのましい下限は7である。フィラーとして、モース硬度が上記範囲のものを用いることにより、本発明の化粧板が、より優れた耐摩耗性を示すことができる。
なお、本明細書において、フィラーのモース硬度は、モース硬度計により測定される値である。具体的には、モース硬度は、軟らかい鉱物より硬い鉱物に至る10種の鉱物を箱に収め、軟らかいものから1度、2度、・・・・・10度として硬度の順位を示したものである。標準鉱物は次の通りである(数字は硬度を示す)。1:カッ石 2:セッコウ 3:ホウカイ石 4:ホタル石5:リンカイ石 6:セイチョウ石 7:セキエイ 8:トパズ9:コランダム 10:ダイヤモンド
硬さを求める鉱物試料の面を、これらの鉱物で引っ掻いて傷を付けようとするとき、それに抵抗する力(傷が付くか付かないか)により硬さを比較する。例えば、ホウカイ石に傷が付くときは、試料の硬さは3度より大きい。もし、ホタル石で傷が付き、逆にホタル石に傷が付かないときは、この試料の硬さは4度より小さい。このとき、試料の硬さは3乃至4または3.5と示す。互いに多少傷が付くときは、試料の硬さは用いた標準鉱物と同じ順位の硬さを示す。
耐摩耗性インキ中のフィラーの含有量は、耐摩耗性インキを100質量%として、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。耐摩耗性インキ中のフィラーの含有量を上記範囲に調整することで、耐摩耗層の耐摩耗性がより優れ、耐摩耗層の上に積層される熱硬化性樹脂層の表面の平滑性を損ねないので、熱硬化性樹脂層の表面がグロスの意匠感を表現し易くなる。
耐摩耗性インキは、無色であってもよいし、着色されていてもよい。着色する場合には、後述する絵柄模様層で使用する着色剤と同様のものを使用することができる。
耐摩耗性インキは、粘度を調整する目的で溶媒を含有してもよい。溶媒としては、水;トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。耐摩耗性インキ中の溶媒の量は、インキの粘度に応じて適宜設定することができる。
耐摩耗性インキには、得られる所望物性に応じて、従来より公知の添加剤を配合することができる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等が挙げられる。
上記耐摩耗層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、本発明の化粧板が多孔質基材を有する場合、上記の耐摩耗性インキを、多孔質基材の離型層が形成されている側から、塗布する方法が挙げられる。この方法は特に限定されず、例えば、耐摩耗性インキの中に多孔質基材の離型層が形成されている面から浸漬させる方法;キスコーター、コンマコーター等のコーターにより耐摩耗性インキを多孔性基材の離型層が形成されている面に塗布する方法;スプレー装置、シャワー装置等により耐摩耗性インキを多孔性基材の離型層が形成されている面に吹き付ける方法等が挙げられる。
耐摩耗性インキを塗布した多孔質基材を加熱して、樹脂成分を乾燥及び硬化させることにより、耐摩耗層を形成することができる。加熱温度及び加熱時間は、使用する樹脂の種類等により適宜調整する。例えば、イソシアネート硬化型不飽和ポリエステル樹脂、及びウレタン硬化型ポリウレタン樹脂の場合は40〜60℃程度で1〜5日間程度である。樹脂成分を硬化させる際、必要であれば、圧力を加えてもよい。
耐摩耗層の厚みは特に限定されず、耐摩耗性インキの塗工時の層厚は10〜100μm程度、乾燥後の層厚は2〜20μm程度である。
(熱硬化性樹脂層)
熱硬化性樹脂層は、本発明の化粧板の表面の上記離型層が形成されていない残部の領域に形成される。本発明の化粧板においては、耐摩耗層上に熱硬化性樹脂層が積層されている。なお、上記耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層は、離型層の一部を被覆していてもよい。離型層の面積の50%以上の部分が露出して、化粧板の表面から視認されていれば、グロスマット調の意匠感を示すことができる。
熱硬化性樹脂層を形成するのに用いられる熱硬化性樹脂としては、従来より公知の熱硬化型の樹脂を広く使用することができる。熱硬化性樹脂として、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。本発明においては、耐熱性及び耐汚染性があり、硬度が高いメラミン樹脂を使用することが好ましい。
上記熱硬化性樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
上記熱硬化性樹脂層を形成する方法としては、例えば、本発明の化粧板が多孔質基材を有する場合、多孔質基材に上記の熱硬化性樹脂を含浸させる方法が挙げられる。含浸は、上記の熱硬化性樹脂を、1)多孔質基材の離型層側、すなわち図1の上側から耐摩耗層を介して供給する、2)多孔質基材の裏面側、すなわち図1の下側から供給する、又は3)上記の1)及び2)の両側から供給する、ことにより行うことができる。この方法は特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂を入れた浴槽に多孔質基材の離型層が形成されている面又はその反対の面から浸漬させる方法;キスコーター、コンマコーター等のコーターにより熱硬化性樹脂を多孔性基材の離型層が形成されている面、その反対の面、又はこれらの両面に塗布する方法;スプレー装置、シャワー装置等により熱硬化性樹脂を多孔性基材の離型層が形成されている面、その反対の面、又はこれらの両面に吹き付ける方法、等が挙げられる。
熱硬化性樹脂は多孔質基材中に含浸するが、離型層の中には含浸されずに離型層を被覆する。なお、上記耐摩耗層及び熱硬化性樹脂は離型層の少なくとも一部を被覆していればよく、例えば、離型層が占める全面積の30%以上が熱硬化性樹脂により被覆されていればよい。離型層の全面積における熱硬化性樹脂の被覆割合は、50〜100%程度であることが好ましい。
熱硬化性樹脂を含浸させた多孔質基材を加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させることにより、耐摩耗層上に熱硬化性樹脂層を形成することができる。加熱温度及び加熱時間は、使用する熱硬化性樹脂の種類等により適宜調整する。例えば、イソシアネート硬化型不飽和ポリエステル樹脂、及びウレタン硬化型ポリウレタン樹脂の場合は40〜60℃程度で1〜5日間程度であり、ポリシロキサン樹脂の場合は80〜150℃程度で1〜30分間程度であり、メラミン樹脂の場合は90〜160℃程度で30秒間〜30分間程度である。熱硬化性樹脂を硬化させる際、必要であれば、圧力を加えてもよい。
多孔質基材における樹脂含浸率は、化粧板の目的とする性能、多孔質基材の厚み等に応じて適宜調整することができる。樹脂含浸率として、30〜200%程度が好ましく、50〜150%程度がより好ましい。なお、樹脂含浸率は下記式により算出される。
樹脂含浸率(質量%)=[(含浸後の多孔質基材重量−含浸前の多孔質基材重量)/含浸前の多孔質基材重量]×100
熱硬化性樹脂層の厚みは特に限定されず、塗工時の多孔質基材、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層の厚みの合計は、50〜500μm程度が好ましく、乾燥後の多孔質基材、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層の厚みの合計は、50〜300μm程度が好ましい。
(多孔質基材)
多孔質基材としては、熱硬化性樹脂層を形成するための熱硬化性樹脂が含浸できるものであれば、特に制限されない。このような多孔質基材として、浸透性のある繊維質基材が挙げられる。浸透性のある繊維質基材としては、紙、合成紙、不織布等のシート状のものを用いることができる。多孔質基材として用いられる紙としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル又はドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、パーチメント紙、和紙等が挙げられる。紙類似シートとしては、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機等繊維質のシート状のもの;ポリエステル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維からなる不織布又は織布等を使用することができる。これらの多孔質基材のうち、熱硬化性樹脂の含浸性の点で、チタン紙、薄葉紙、クラフト紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙が好ましく、チタン紙がより好ましい。
多孔質基材は、着色されていてもよい。この場合は、多孔質基材の製造段階、例えば多孔質基材が紙であればその抄造段階で、着色材(顔料又は染料)を配合することにより着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の配合量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すればよい。
多孔質基材には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
多孔質基材の坪量は特に限定されず、40〜150g/m程度が好ましい。多孔質基材の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50〜170μmが好ましい。
多孔質基材は、必要に応じて、絵柄模様層等を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すればよい。
(絵柄模様層)
本発明の化粧板には、必要に応じて、多孔質基材と、耐摩耗層及び/又は離型層との間に、更に、絵柄模様層が形成されていてもよい。
多孔質基材上に絵柄模様層を形成する場合、絵柄模様層における絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。絵柄模様層を印刷等により設ける場合には、その前に、多孔質基材表面にベタ印刷層を設けることもできる。
インキに使用する着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂、カゼイン樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用できる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜200μm程度が好ましく、乾燥後の層厚は0.1〜20μm程度が好ましい。
(接着剤層)
多孔質基材又は絵柄模様層と、離型層及び耐摩耗層との密着性を高めるため、多孔質基材又は絵柄模様層の上に接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましく、当該透明性接着剤層としては、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧板の分野で公知の接着剤が使用できる。化粧板の分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
(フェノール樹脂含浸紙)
本発明の化粧板には、必要に応じて、フェノール樹脂含浸紙が積層されていてもよい。上記フェノール樹脂含浸紙は、多孔質基材の、耐摩耗層及び離型層が形成されている側とは反対側の面に積層するとよい。
フェノール樹脂含浸紙とは、一般に、コア紙として坪量150〜250g/m程度のクラフト紙にフェノール樹脂を含浸率45〜60%程度となるように含浸し、100〜140℃程度で乾燥させることにより製造された紙である。フェノール樹脂含浸紙には、市販品を使用することができる。フェノール樹脂含浸紙を積層する際には、必要に応じて、多孔質基材の裏面にコロナ放電処理を施したり、公知のプライマー層を塗布することにより裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
(裏面プライマー層)
多孔質基材の裏面(絵柄模様層、又は、離型層及び耐摩耗層が積層される面と反対側の面)又はフェノール樹脂含浸紙の裏面(多孔質基材が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。裏面プライマー層を設けると、例えば、本発明の化粧板と被着材とを積層する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を多孔質基材又はフェノール樹脂含浸紙に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
本発明の化粧板は、耐摩耗性に優れ、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができ、意匠性の高い化粧板である。この化粧板は、所定の成形加工等を施し、各種用途に用いることができる。例えば、上記化粧板を木質基材上に積層し、壁、天井、床等の建築物の内装、家具又は弱電又はOA機器のキャビネット等に利用することができる。木質基材として、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。上記木質基材としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)を用いることが好ましい。
(化粧板の製造方法)
本発明の化粧板の製造方法としては特に限定されないが、例えば、本発明の化粧板が多孔質基材を有する場合、下記工程1〜4を有する製造方法により製造することができる。(1)多孔質基材の表面の一部の領域に離型層を設ける工程1、
(2)上記多孔質基材の離型層側から耐摩耗性インキを塗布して耐摩耗層を形成し、且つ離型層上に耐摩耗性被膜を形成する工程2、
(3)上記多孔質基材、並びに、上記耐摩耗層及び耐摩耗性被膜に熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱することにより上記熱硬化性樹脂を熱硬化させる工程3、及び
(4)離型層の上を被覆している領域の、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離する工程4。
(工程1)
工程1は、多孔質基材の表面の一部の領域に離型層を設ける工程である。上記工程1において用いられる多孔質基材は、上述のものを用いることができる。また、多孔質基材の表面の一部の領域に離型層を設ける方法としては、上述の方法を用いることができる。
上記工程1終了後の状態の一例を図2に示す。図2において、離型層2は、多孔質基材1’の表面の全体ではなく一部の領域に設けられている。
工程1において離型層2を多孔質基材1’の表面の一部の領域に設けることにより、工程4において、離型層2の上部を被覆している耐摩耗性被膜及び樹脂膜を剥離して離型層2を露出させると、化粧板の表面の一部の領域に離型層を形成し、表面の残部の離型層が形成されていない領域に、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層を形成することができる。
また、工程1において離型層2を多孔質基材1’の表面の一部の領域に設けることにより、工程4において、離型層2の上部を被覆している耐摩耗性被膜及び樹脂膜を剥離して離型層2を露出させると、化粧板表面に凹凸を形成することができる。
(工程2)
工程2は、多孔質基材の離型層側から耐摩耗性インキを塗布して耐摩耗層を形成し、且つ離型層上に耐摩耗性被膜を形成する工程である。工程2において用いられる耐摩耗性インキは、上述のものを用いることができる。また、耐摩耗性インキを塗布する方法としては、上述の方法を用いることができる。
なお、工程2において、離型層上に塗布された耐摩耗性インキは耐摩耗性被膜となり、離型層が形成されていない領域において塗布された耐摩耗性インキは耐摩耗層となる。
上記工程2終了後の状態の一例を図3に示す。図3において、離型層2の上に耐摩耗性被膜4’が形成され、離型層2が形成されていない領域において多孔質基材1’上に耐摩耗層4が形成されている。
(工程3)
工程3は、上記多孔質基材、並びに、上記耐摩耗層及び耐摩耗性被膜に熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱することにより上記熱硬化性樹脂を熱硬化させる工程である。上記工程3において用いられる熱硬化性樹脂は、上述のものを用いることができる。また、多孔質基材、並びに、耐摩耗層及び耐摩耗性被膜に熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱する方法としては、上述の方法を用いることができる。耐摩耗層に熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱により硬化させることにより、耐摩耗層が優れた耐摩耗性を発揮することができる。
上記工程3終了後の状態の一例を図4に示す。図4において、含浸した熱硬化性樹脂が熱硬化した多孔質基材1上に、耐摩耗層4が形成され、当該耐摩耗層4上に熱硬化性樹脂層3が形成されている。また、離型層2上に耐摩耗性被膜4’が形成され、当該耐摩耗性被膜4’上に熱硬化した樹脂膜3’が形成されている。
(工程4)
工程4は、離型層の上を被覆している、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離する工程である。
離型層の上を被覆している、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離する方法は特に限定されない。例えば、化粧板表面に、マスキングフィルム等の保護フィルムを貼り付け、その後に該フィルムを剥がす方法や、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜をバフ研磨する方法等が挙げられる。
離型層の上を被覆している、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離する方法としては、また、当該耐摩耗性被膜及び樹脂膜をたわし、メラミンスポンジ、スチールウール等により研磨する方法;耐摩耗性被膜及び樹脂膜にセロテープ(登録商標)、ガムテープ等の粘着テープを貼り付け、剥離する方法;耐摩耗性被膜及び樹脂膜上に、予め溶剤に溶解させた塩化ゴム系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂液を塗工し、乾燥した後剥離する方法;耐摩耗性被膜及び樹脂膜上に、ホットメルト接着剤を塗工した後に低温下で剥離する方法;耐摩耗性被膜及び樹脂膜に、樹脂板、金属板等を貼り付けた後剥離する方法;耐摩耗性被膜及び樹脂膜を、高圧洗浄機により洗浄して剥離する方法;粘着ゴムローラー、粘着ゴムシート等により耐摩耗性被膜及び樹脂膜を剥離する方法等が挙げられる。
工程4により、図1に示す本発明の化粧板を得ることができる。離型層の上を被覆している、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離することで、図1に示すように、離型層2が露出する。離型層2が存在しない箇所の、耐摩耗層4及び熱硬化性樹脂層3は工程4によっても剥離されず、耐摩耗層4上に熱硬化性樹脂層3が形成された構成となる。これにより、表面の一部の領域に離型層2が形成されており、離型層2が形成されていない表面の残部の領域には、耐摩耗層4及び熱硬化性樹脂層3が形成されており、耐摩耗層4上に熱硬化性樹脂層3が積層されている本発明の化粧板を得ることができる。
上述の方法により製造される本発明の化粧板は、表面の一部の領域に形成された離型層、及び離型層が形成されていない表面の残部の領域に存在し、化粧板の表面において視認される熱硬化性樹脂層により、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができる。例えば、図1に示す化粧板では、熱硬化性樹脂層3がグロス調の意匠感を与え、離型層2がマット調の意匠感を与えることにより、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができる。また、耐摩耗層4及び熱硬化性樹脂層3が積層された積層体と、離型層2との高低差を大きくすることにより、グロスマット調の意匠感がより鮮明となる。
なお、上記工程4において、離型層の上に存在する、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜のすべてが剥離される必要はなく、離型層の上に一部が残っていてもよい。離型層の面積の50%以上の部分が剥離されていれば、グロスマット調の意匠感を得ることができる。
また、上述の方法により製造される本発明の化粧板は、耐摩耗層を有するので、耐摩耗性に優れている。
このように、多孔質基材上の一部に離型層を設け、熱硬化性樹脂を含浸させて加熱した後に離型層の上の、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離することで、化粧板表面が鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができる。本発明の化粧板は、上記方法により製造することができるので、従来の方法において意匠の種類だけ必要であった表面処理した鏡面板が不要となるため、容易に製造することができ、コストを低くすることができる。さらに、多孔性基材の上に絵柄模様層を設ける場合、絵柄模様層及び離型層を印刷により作成することで、絵柄模様層の模様に同調させて離型層を印刷することが可能となる。これにより、従来の方法で困難であった下地の絵柄とグロスマット調の意匠とを同調させることが可能となり、より意匠性の高い化粧板を製造することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(1)離型インキの調製
電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックスM400)60質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X−22−164B)0.6質量部、シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア320)4.8質量部、及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社)40質量部を、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで1時間撹拌して離型インキを調製した。
(2)耐摩耗性インキの調製
ウレタン樹脂固形分が30質量%であるウレタン樹脂組成物(第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス126)30質量%、及び、無機フィラーとして平均粒子径20.3μmの多面球状体のアルミナ(住友化学工業社製、スミコランダムAA18)15質量%を、水35質量%とエタノール20質量%との混合溶媒に添加して、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで20分間撹拌し、耐摩耗性インキを調製した。アルミナのモース硬度は9であった。
(3)化粧板の製造
原紙として坪量100g/mの白チタン紙(KJ特殊紙株式会社製、KW−1002P)を使用し、絵柄印刷インキ(DICグラフィックス株式会社製、オーデSPTI)を用いて絵柄を印刷した後、上記(1)で製造した離型インキを用いて木目柄を印刷し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、離型層を形成した。離型層は、木目柄であるため、厚みが厚い箇所と薄い箇所とが存在しており、離型層の厚みは0.2〜3μmであった。
次いで、上記(2)で調製した耐摩耗性インキを塗布し、100℃で3分間乾燥して耐摩耗層を形成した。このときの耐摩耗層の乾燥時の塗布量は12g/mであった。この際、離型層上には、耐摩耗性被膜が形成された。
次いで、メラミンホルムアルデヒド樹脂50質量部、水45質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部からなる熱硬化性樹脂を、耐摩耗層の上から含浸用の含浸装置を用いてメラミン樹脂が100g/m(乾燥時)の割合となるように含浸し、乾燥することにより含浸化粧シートを得た。この含浸化粧シートを、クラフト紙にフェノール樹脂からなる樹脂液を含浸した、坪量245g/mのフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社、太田コア)4枚の上に積層し、積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cmで、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、高圧メラミン化粧板の成型物を得た。
次いで剥離工程として、高圧メラミン化粧板の表面にマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼付け、その後、貼付けたマスキングテープを剥がして、離型層上に形成された、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離して、化粧板を製造した。
実施例2〜11
耐摩耗性インキの組成、及び乾燥時の塗布量を表1のように変更し、フィラーとして表2に示すフィラーを用いた以外は実施例1と同様にして、化粧板を製造した。
比較例1
耐摩耗層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、化粧板を製造した。
比較例2
耐摩耗層を形成せずに調製した含浸化粧シートの上に、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を積層してオーバーレイ層を形成した。メラミン樹脂含浸オーバーレイ層の調製方法は、以下の通りである。すなわち、オーバーレイ原紙の原料となるα−セルロースパルプ繊維100質量部に対し、内添薬品として、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、カルボキシメチルセルロース、硫酸バンド、アルミン酸ソーダを用い、坪量が42g/mのオーバーレイ原紙を得た。このオーバーレイ原紙にメラミン樹脂からなる樹脂液を含浸してメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を調製した。樹脂含浸率は142質量%であった。それ以外は実施例1と同様にして、化粧板を製造した。
実施例12及び13
離型インキを構成する樹脂として表3に示す樹脂を用い、表4に示すシリカ、表5に示すシリコーンを用いて離型インキの組成を表6のように変更した以外は実施例1と同様にして、化粧板を製造した。なお、表6では、参考のために実施例1の離型インキの組成も記載している。
実施例1〜13、比較例1及び2の化粧板について、以下の測定方法により意匠感及び耐摩耗性を評価した。
意匠感
化粧板の表面を目視により観察し、下記の評価基準に基づいて評価した。
○:グロスマット感が鮮明であり、良好
△:グロスマット感が鮮明でないが、使用可能
×:グロスマット感が鮮明でなく、使用不可
耐摩耗性
JIS K 6902;2007(熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法)A法に準拠した測定方法に基づいて、化粧板の表面における耐摩耗性を測定した、具体的には、JIS K 6902;2007のA法に準拠した測定方法により、グロスマットパターンのコーティングが明らかに擦り切れ0.6mm以上の擦り切れ面積となったときの回転数を初期摩耗値(IP)とし、摩耗区域においてグロスマットパターンの約95%が擦り切れる時点での回転数を終点摩耗値(FP) として、式(IP+FP)/2により算出される値(回)により、下記の評価基準に基づいて評価した。
◎:500回以上であり、非常に良好
○:300回以上500回未満であり、良好
△:200回以上300回未満であり、使用可能
×:200回未満であり、使用不可
結果を表1及び2に示す。
Figure 2016182809
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Figure 2016182809
Figure 2016182809
Figure 2016182809
1.熱硬化性樹脂が含浸及び熱硬化した多孔質基材
1’.多孔質基材
2.離型層
3.熱硬化性樹脂層
3’.熱硬化した樹脂膜
4.耐摩耗層
4’.耐摩耗性被膜

Claims (9)

  1. 表面の一部の領域に離型層を有し、前記離型層を有しない表面の残部の領域に、耐摩耗層及び熱硬化性樹脂層を有しており、前記耐摩耗層上に前記熱硬化性樹脂層を配置してなる、ことを特徴とする化粧板。
  2. 前記耐摩耗層は、モース硬度が4以上の無機フィラーを含有する、請求項1に記載の化粧板。
  3. 前記熱硬化性樹脂層は、メラミン樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の化粧板。
  4. 前記離型層は、硬化性樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
  5. 前記硬化性樹脂は、電離放射線硬化型樹脂である、請求項4に記載の化粧板。
  6. 前記電離放射線硬化型樹脂は、重量平均分子量が500以上である、請求項5に記載の化粧板。
  7. 多孔質基材の表面の一部の領域に前記離型層を有し、前記離型層を有しない、前記多孔質基材の表面の残部の領域には、前記耐摩耗層及び前記熱硬化性樹脂層を有しており、前記耐摩耗層上に前記熱硬化性樹脂層が存在する、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧板。
  8. 前記多孔質基材と、前記耐摩耗層及び/又は前記離型層との間に、更に、絵柄模様層を有する、請求項7に記載の化粧板。
  9. 前記多孔質基材の、前記耐摩耗層及び前記離型層を有する側とは反対側の面に、フェノール樹脂含浸紙を有する、請求項7又は8に記載の化粧板。
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