JP2002166501A - 熱硬化性樹脂化粧板及びその製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂化粧板及びその製造方法

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JP2002166501A JP2000368351A JP2000368351A JP2002166501A JP 2002166501 A JP2002166501 A JP 2002166501A JP 2000368351 A JP2000368351 A JP 2000368351A JP 2000368351 A JP2000368351 A JP 2000368351A JP 2002166501 A JP2002166501 A JP 2002166501A
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智司 長澤
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Nobunao Yagishita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】色彩的な絵柄模様と同調した凹状部又は艶消模
様によるテクスチャーを安定的に形成可能な熱硬化性樹
脂化粧板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】原紙1の表面に撥液性模様4を印刷し、熱
硬化性樹脂を含浸して熱圧成形して熱硬化性樹脂化粧板
を得るに際し、原紙1と撥液性模様4との間に浸透防止
層3を設けることにより、撥液性模様4中の撥液性成分
の原紙1中への浸透拡散を防止し、含浸した熱硬化性樹
脂を撥液性模様4によって十分に撥かせて、撥液性模様
4が熱硬化性樹脂の被膜により被覆される現象を効果的
に防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家具又は器物等の
表面材や建築物又は車両等の内外装材として使用する熱
硬化性樹脂化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりメラミン化粧板等の熱硬化性樹
脂化粧板は上記の如き各種の用途に広く使用されてい
る。これらは一般に、チタン紙等の吸水性の良い原紙の
表面に、木目等の所望の絵柄模様を印刷し、これにメラ
ミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸してなる熱硬化性樹脂
含浸模様紙を、合板等の基材の上に載置したコア紙(ク
ラフト紙等の原紙にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を
含浸したもの)の上に載置し、更に必要に応じてその上
にオーバーレイ紙(樹脂を含浸すると透明化する性質を
有する原紙に、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸し
たもの)を載置して、加熱加圧成形することによって製
造されている。
【0003】上記加熱加圧成形の際には、製造される化
粧板の表面を鏡面状又は所望のテクスチャー状等の一定
の状態に仕上げる目的で、熱硬化性樹脂含浸模様紙若し
くはオーバーレイ紙の上に、鏡面状又は所望のテクスチ
ャー状の表面を有する金属板(鏡面板)を載置して加熱
加圧成形を行うのが一般的である(特開昭47−142
73号公報参照)。しかし、この方法でテクスチャー状
の表面を有する熱硬化性樹脂化粧板を製造しようとする
と、製造使用とするテクスチャーの種類の分だけ予め金
属板(鏡面板)を用意しておかなければならないので、
製造コストが非常に高いものになってしまう。また、こ
の方法では、化粧板の表面のテクスチャーを絵柄模様と
同調させることは極めて困難であるという問題点もあ
る。
【0004】化粧板の表面のテクスチャーの絵柄模様と
の同調が容易に可能な賦形法として、上記の様な機械的
な賦形法(メカニカルエンボス法)によらない、化学的
な賦形法(ケミカルエンボス法)も開発されている。こ
れは、絵柄模様の形成の為の印刷インキとして、含浸す
る熱硬化性樹脂の硬化反応を遅らせる作用を有する化学
物質(硬化抑制剤)を含有する印刷インキを少なくとも
一部に使用することによって、加熱加圧成形の際に当該
インキによる印刷部分の熱硬化性樹脂の硬化を遅らせ、
成形後に未硬化状態で残存した樹脂を除去することによ
って、凹部を形成する手法である(特開昭53−110
677号公報参照)。この方法は、テクスチャーの絵柄
模様との同調も容易であるのみならず、使用する金属板
(鏡面板)は一種類でも任意の所望のテクスチャーの形
成が可能である利点もある。しかしながら、未硬化状態
で残存した樹脂の除去作業や、未硬化状態の樹脂が付着
した金属板(鏡面板)の洗滌作業等が煩雑で、生鮮性が
上がらない他、特殊な薬剤を使用することもあって、製
造コストの低減はやはり困難である。
【0005】その他のテクスチャーの賦形方法として、
熱硬化性樹脂化粧板の加熱加圧成形の際に、撥液性イン
キからなる撥液性模様の転写層を有する転写シートを、
熱硬化性樹脂含浸紙と金属板(鏡面板)との間に挿入す
ることによって、加熱加圧成形と同時に表面に撥液性模
様を転写し、しかる後、表面全面に透明塗料を塗布し、
撥液性模様上で撥かせることによって凹部を形成する方
法の提案もある(特開平2−284677号公報参
照)。しかし、係る熱硬化性樹脂化粧板の製造に用いら
れる熱硬化性樹脂は一般に、要求物性の厳しさから架橋
密度の高い硬質の樹脂が用いられ、加熱加圧成形後の表
面は他の樹脂等との接着性に著しく劣るものであるか
ら、成形後に塗布した透明塗料との密着性の確保が難し
く、各種物性の優れた熱硬化性樹脂化粧板を得ることが
困難であるという問題点があった。
【0006】以上の様な凹凸成形手法によらない表面テ
クスチャーの表現手法として、原紙の表面に印刷形成す
る絵柄模様の少なくとも一部として、艶消剤を含有する
艶消インキを使用した艶消模様を設けるという方法も提
案されている(特開昭54−120663号公報参
照)。この方法は、一種類の金属板(鏡面板)で各種の
テクスチャーに対応可能であることは勿論のこと、未硬
化樹脂の除去洗滌の問題などもなく、艶の変化によるテ
クスチャーを有する化粧板を生産性良く簡便且つ安価に
製造可能であるという利点がある。しかし、この方法で
実際に化粧板を製造すると、原紙への印刷の時点では十
分な艶消効果を有する艶消模様が形成できても、加熱加
圧成形の際に艶消インキが高い圧力によって押し潰さ
れ、表面の凹凸が減少する結果、製造された化粧板には
期待した程のテクスチャー感が得られない場合があっ
た。
【0007】そこで、加熱加圧成形による艶消感の減殺
を抑制する為に、艶消インキに配合する艶消剤として、
粒径が数μm乃至数十μmに及ぶ大粒径の硬質粒子を使
用したり、艶消インキのバインダーとして硬化型樹脂を
使用して艶消模様を十分に硬化させた後に加熱加圧成形
を行う等の対策も提案されている(特開平1−1356
37号公報参照)が、これらの対策によっても必ずしも
十分な成果は挙がっていない。その原因について本発明
者らが詳細に検討したところ、加熱加圧成形の際に、高
熱によって流動化した未硬化の熱硬化性樹脂が原紙中か
ら滲み出し、金属板(鏡面板)と艶消模様との間隙に侵
入して艶消模様上に被膜を形成し、この被膜が艶消模様
の表面の凹凸を埋めることによって艶消効果が減殺され
ていることが判明した。
【0008】そこで本発明者らは以上の様な知見に基づ
き、色彩的な絵柄模様と同調した凹凸又は艶差による表
面テクスチャーの表現効果を通常の熱硬化性樹脂化粧板
の加熱加圧成形工程によって容易且つ安定的に達成可能
な手法として、原紙に撥液性模様を形成した後に熱硬化
性樹脂を含浸し、これを基材上に載置して加熱加圧成形
を行う手法を既に提案した(特願平11−322418
号、特願2000−3334号)。すなわち、撥液性模
様を印刷した原紙に熱硬化性樹脂を含浸させる際に、原
紙上の撥液性模様が熱硬化性樹脂の含浸液を撥くため、
撥液性模様上には余剰の含浸樹脂による被覆層が形成さ
れないことにより、撥液性模様が形成された箇所には凹
状部が形成され、これを加熱加圧成形することで、絵柄
模様と同調した凹凸のテクスチャーを有する熱硬化性樹
脂化粧板を得ることができる。
【0009】また、撥液性模様を艶消状の模様(撥液性
艶消模様)とした場合にあっては、これを印刷した原紙
に熱硬化性樹脂を含浸させる際に、原紙上の撥液性艶消
模様が熱硬化性樹脂の含浸液を撥くため、撥液性艶消模
様上には余剰の含浸樹脂による被覆層が形成されないと
共に、これを加熱加圧成形する際にも、熱により流動化
した含浸樹脂は撥液性艶消模様によって撥かれるため
に、撥液性艶消模様と金属板(鏡面板)との間隙に侵入
することが出来ず、撥液性艶消模様の表面は原紙に含浸
した熱硬化性樹脂によって被覆されることなく露出状態
で残るので、撥液性艶消模様の艶消効果を十分に発揮す
ることができる。
【0010】しかるに、本発明者らの試作検討の結果、
上記した手法によってもなお、十分に満足すべき結果が
得られない場合があることが判明した。すなわち、原紙
に撥液性模様を形成した後に、該撥液性模様によって撥
かれる性質を有する熱硬化性樹脂を含浸したにも拘わら
ず、含浸した熱硬化性樹脂が撥液性模様によって十分に
撥かれずに、それらの表面上の一部又は全部に被膜を形
成し、撥液性模様上に凹状部が全く若しくは部分的にし
か形成されなかったり、撥液性模様が撥液性艶消模様で
ある場合には、該撥液性艶消模様による艶消意匠効果が
減殺されてしまったりする場合があった。係る現象の原
因について本発明者らが鋭意検討した結果、上記の現象
は、撥液性模様に含有される撥液性有効成分である撥液
剤や撥液性のバインダー樹脂が、撥液性模様の印刷後に
原紙中に浸透拡散してしまうことにより、撥液性模様の
表面の撥液性有効成分が失われて、撥液性が低下してい
ることが判明した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記の様な問題点を解決するためになされたも
のであり、その目的とするところは、色彩的な絵柄模様
と同調した凹状部又は艶消模様によるテクスチャーを安
定的に形成可能な熱硬化性樹脂化粧板及びその製造方法
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱硬化性樹脂
含浸紙層の表面に露出した撥液性模様を有する熱硬化性
樹脂化粧板において、前記撥液性模様と前記熱硬化性樹
脂含浸紙の原紙の表面との間に浸透防止層を有すること
を特徴とする熱硬化性樹脂化粧板である。
【0013】また本発明は、吸水性の良い原紙の表面に
撥液性模様を形成した後、これに該撥液性模様によって
撥かれる性質を有する熱硬化性樹脂を含浸し乾燥させる
ことによって、前記撥液性模様が前記熱硬化性樹脂によ
って被覆されることなく原紙に熱硬化性樹脂が含浸され
た樹脂含浸模様紙を作製し、しかる後、該樹脂含浸模様
紙を基材上に載置して加熱加圧成形する熱硬化性樹脂化
粧板の製造方法であって、前記原紙と前記撥液性模様と
の間に浸透防止層を設けることを特徴とする熱硬化性樹
脂化粧板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱硬化性樹脂化粧
板の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示す
側断面図であり、図2(a)〜(f)は本発明の熱硬化
性樹脂化粧板の製造方法の実施の形態を工程順に示す側
断面図であり、図3〜図7は本発明の熱硬化性樹脂化粧
板の他の実施の形態を示す側断面図である。
【0015】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の一例を挙げ
れば、図1に示す様に、基材7上に、熱硬化性樹脂が含
浸され硬化された樹脂含浸模様紙6が積層されて構成さ
れるものであって、該樹脂含浸模様紙6は、原紙1の表
面に浸透防止層3を介して撥液性模様4を有し、該撥液
性模様4が設けられた箇所を除く部分に、原紙1に含浸
した熱硬化性樹脂の一部が原紙1の表面上に残存するこ
とによって形成された含浸樹脂被覆層5を有しており、
該含浸樹脂被覆層5の膜厚が、撥液性模様4の膜厚より
も厚く形成されてなることによって、撥液性模様4が設
けられた箇所が他の部分の表面、すなわち含浸樹脂被覆
層5の表面と比較して凹状部をなしているものである。
【0016】なお、樹脂含浸模様紙6を構成する原紙1
の表面には、撥液性模様4の他、必要に応じて撥液性を
有しない模様(以下、通常模様という)2が形成されて
いても良い。また、該樹脂含浸模様紙6と基材7との間
には、必要に応じて接着剤層(図示せず)若しくは熱硬
化性樹脂含浸紙からなるコア紙8が介在していても良
い。
【0017】係る本発明の熱硬化性樹脂化粧板は、図2
に示す如く、吸水性の良い原紙の表面に、必要に応じて
通常模様2を形成(図2(a))した後、少なくとも後
述する撥液性模様4を形成する箇所に浸透防止層3を形
成し(図2(b))、さらに該浸透防止層3上に撥液性
模様4を形成し(図2(c))、しかる後、該撥液性模
様4によって撥かれる性質を有する熱硬化性樹脂を含浸
させると共に、原紙1中に含浸されずに原紙1の表面に
残存した熱硬化性樹脂によって含浸樹脂被覆層5を形成
する。その際、含浸用の熱硬化性樹脂が原紙1の表面上
で撥液性模様4によって撥かれることにより、含浸樹脂
被覆層5は撥液性模様4上には形成されず、撥液性模様
4が設けられた箇所には凹状部が形成される(図2
(d))。
【0018】こうして得た樹脂含浸模様紙6を、必要に
応じて熱硬化性樹脂含浸紙からなるコア紙8を介して、
基材7上に載置し、樹脂含浸模様紙6の表面上に金属板
(鏡面板)9を当接して加熱加圧し(図2(e))、原
紙1中に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させて基材7や
コア紙8と一体化させることによって、目的の熱硬化性
樹脂化粧板を得ることができる(図2(f))。
【0019】なお、上記の製造工程において、通常模様
2と撥液性模様4とが重複する箇所を有しない場合に
は、通常模様2と、浸透防止層3及び撥液性模様4との
形成順序は上記と逆であっても良いが、両者が重複する
箇所を有する場合には、上記した通り、通常模様2の形
成後に浸透防止層3及び撥液性模様4を形成する必要が
ある。
【0020】本発明において原紙1としては、後に熱硬
化性樹脂の含浸が可能な吸水性の良い紙等の繊維質シー
ト体であれば良く、例えば薄葉紙、チタン紙、上質紙、
晒又は未晒クラフト紙等が使用可能である。中でも印刷
適性と樹脂含浸適性の両面で優れたチタン紙が最も好適
である。また、基材6の表面の質感を活かしたい場合等
には、樹脂の含浸により透明化する性質を有する所謂透
明紙を使用することもできる。原紙1の厚さには特に制
約はないが、一般的には坪量20〜200g/m2程度
の範囲内のものが使用される。
【0021】本発明において、通常模様2や撥液性模様
4がなす絵柄模様の種類には特に制約はなく、例えば木
目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形、文字、記
号等、或いはそれらの2種以上の組み合わせ等、所望に
より任意である。撥液性模様4は、所望の絵柄模様の中
で凹状部として表現したい箇所に形成する。例えば木目
柄における導管溝部分等である。撥液性模様4は無色で
あっても良いが、色彩模様と凹凸模様との同調効果を得
る為、着色模様とすることが望ましい。また、撥液性模
様4に艶消剤を添加して艶消状とすると、含浸樹脂被覆
層5の表面との艶差により立体感がより強調された高意
匠性の熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる。
【0022】通常模様2は、撥液性を有しない通常の印
刷インキを使用して通常の印刷方法で設けることができ
る。印刷インキの種類には特に制約はなく、油性インキ
であっても良いが、樹脂含浸適性を考慮すると水性イン
キを使用することが望ましい。それは、水性インキの方
が油性インキと比較して含浸樹脂の水溶液との馴染みが
良く、後の含浸工程において迅速且つ均一に含浸可能で
あり、しかも含浸樹脂との一体化によって優れた強度を
発現することができるからである。
【0023】上記水性インキの種類にも特に制約はない
が、特にそのバインダー樹脂がカゼイン、エマルジョン
樹脂及び/又はラテックス樹脂をを主成分とするものを
使用することが最も望ましい。これらのバインダー樹脂
は、インキの印刷後に乾燥工程を経ることによって難水
溶化する性質を有しており、後の樹脂含浸工程において
含浸樹脂の水溶液に再溶解しにくいので、絵柄模様を損
なうことがなく、且つ含浸樹脂の汚染のおそれもないか
らである。
【0024】上記エマルジョン樹脂としては、例えばア
クリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、ウレタン系等、
上記ラテックス樹脂としては、例えばスチレン−ブタジ
エン系、アクリロニトリル−ブタジエン系、メチルメタ
クリレート−ブタジエン系等を使用することができる。
また、これらカゼイン、エマルジョン樹脂及び/又はラ
テックス樹脂の他に、インキの安定性の向上を目的とし
て、例えばポリビニルアルコール、水溶塩型アクリル、
ポリアクリルアミド等の水溶性樹脂や、多糖類、セルロ
ース誘導体等の水溶性高分子等を併用したものであって
も良い。
【0025】通常模様2の形成方法にも特に制約はな
く、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリ
ーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェ
ット印刷法等の任意の印刷方法によることができる。ま
た、下地着色を目的としてベタインキ層を設ける場合に
は、該ベタインキ層の形成方法として、上記各種の印刷
方法の他、例えばロールコート法、グラビアコート法、
ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート
法、スプレーコート法、リップコート法、ダイコート法
等の任意のコーティング方法によることもできる。
【0026】撥液性模様4を形成するためのインキの種
類にも特に制約はなく、通常模様2に使用する印刷イン
キと同種のものであっても異なっていても良いが、撥液
性のバインダー樹脂を使用した印刷インキを使用する
か、若しくは任意の印刷インキに撥液剤を添加したもの
を使用する必要がある。撥液性のバインダー樹脂として
は、例えばシリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂等、撥液
剤としては、例えばポリエチレンワックス等のパラフィ
ン類や、脂肪酸又はその誘導体、金属石鹸、シリコーン
系化合物、フッ素系化合物等の低表面張力の物質が使用
され、中でもシリコーン系化合物又はフッ素系化合物か
らなる撥液剤が撥液効果の面で最も優れている。
【0027】なお、撥液性模様4は最終製品である熱硬
化性樹脂化粧板において含浸樹脂被覆層5によって保護
されることなく表面に露出する層であるから、化粧板の
機械的及び化学的表面物性の観点からは、熱硬化性樹脂
又は電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂をバインダー
とする印刷インキによって形成することが望ましい。特
に、撥液性模様4を艶消剤の添加により艶消状とする場
合には、硬化性樹脂をバインダーとする印刷インキによ
って形成すると、加熱加圧成形時の熱や圧力の作用によ
って艶消感が失われることなく、視覚的立体感に優れた
化粧板を容易に得ることができる利点がある。
【0028】係る硬化性樹脂としては、例えばメラミン
系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹
脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系
樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アミ
ノアルキド系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂
や、(メタ)アクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル
系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等を使用することがで
きる。
【0029】撥液性模様4のなす絵柄の種類には特に制
約はなく、通常模様2と同調していても非同調であって
も良いが、一般的には同調させた方がより意匠性に優れ
た熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる。また、撥液
性模様4の面積率が高過ぎたり、撥液性模様4として特
に大面積の画線部が含まれていたりすると、撥液効果に
よる含浸樹脂被覆層4への凹状部の形成が十分に達成さ
れない場合があるので、注意を要する。一般的には、例
えば木目柄における導管溝模様等に様に、点状乃至細線
状の模様が好適に採用される。
【0030】上述した撥液性模様4を原紙1の表面上に
直接形成すると、撥液性模様4を形成する撥液性インキ
に含有される撥液性成分である撥液性のバインダー樹脂
又は撥液剤の一部が、原紙1の内部に浸透拡散してしま
い、撥液性模様4中の撥液性成分の含有量が減少すると
共に、撥液性模様4の輪郭が曖昧になることにより、後
の熱硬化性樹脂の含浸工程において、含浸樹脂を十分に
撥くことが出来ずに、撥液性模様4の一部又は全部が含
浸樹脂によって被覆されてしまったり、撥液性模様4と
含浸樹脂被覆層5との境界が鮮映に形成されなかったり
することにより、製造される熱硬化性樹脂化粧板に十分
な立体感が得られない場合がある。
【0031】そこで本願発明においては、係る事態の発
生を効果的に回避する手段として、撥液性模様4と原紙
1との間に、撥液性模様4中の撥液性成分の原紙1中へ
の浸透拡散を防止するための浸透防止層3を設ける。こ
の浸透防止層3による撥液性成分の浸透防止効果は、含
浸樹脂被覆層5に対する撥液状態の安定化に加えて、原
紙1中に浸透拡散した撥液性成分によって原紙1中への
熱硬化性樹脂の含浸が阻害され、含浸量の不足や含浸ム
ラによる表面強度不足や艶ムラ等の不良を発生する現象
をも、効果的に防止することができる。
【0032】上記浸透防止層3は、撥液性模様4を形成
する箇所において、原紙1の表面の繊維間の空隙を埋
め、撥液性模様4を形成するための撥液性インキの原紙
1の内部への浸透の防止が可能な被膜形成性を有する材
料であれば良く、その材質は特に限定されるものではな
く、例えば前記した通常模様2や撥液性模様4に使用さ
れているものと同様のバインダー樹脂(但し、撥液性の
バインダー樹脂である場合を除く)を主成分とする印刷
インキ組成物によって形成することができ、水性/油
性、硬化性/非硬化性、着色/無着色の別は問わない
が、一般に固形分比が高い印刷インキ組成物を使用した
方が浸透防止効果は高い。具体例を挙げれば、撥液性模
様4が、撥液性を有しないバインダー樹脂を主成分と
し、これに撥液剤が添加された撥液性インキから形成さ
れている場合には、浸透防止層3は、上記撥液性模様4
から撥液剤を除いた印刷インキによって形成することが
できる。
【0033】浸透防止層3は、原紙1の表面の全面に設
けられていても良いが、その場合、浸透防止層3の主成
分のバインダー樹脂と後に含浸される熱硬化性樹脂との
親和性が不足すると、原紙1中に含浸された熱硬化性樹
脂と原紙1の表面に形成される含浸樹脂被覆層5とが浸
透防止層3によって分断される結果、十分な表面物性が
得られない場合がある。係る事故を防止する為には、浸
透防止層3は撥液性模様4と全く同一のパターン状若し
くはそれより若干太めのパターン状に形成することが望
ましい。浸透防止層3は着色されていても無着色であっ
ても良いが、浸透防止層3を撥液性模様4と同一のパタ
ーン状に設ける場合には、浸透防止層3を撥液性模様4
と同一の色に着色しておくと、撥液性模様4部分の着色
力を高め、凹凸模様と同調した着色による立体感の向上
に有効である。
【0034】以上の様にして通常模様2、浸透防止層3
及び撥液性模様4が形成された原紙1に含浸する熱硬化
性樹脂としては、従来より係る熱硬化性樹脂化粧板の製
造用に使用されている公知の任意の熱硬化性樹脂を採用
することができる。具体的には、例えばメラミン系樹
脂、エポキシ系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ベン
ゾグアナミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹
脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、尿
素系樹脂等である。これらは一般に、水中に溶解又は分
散した水系含浸液の形で原紙1に含浸される。
【0035】熱硬化性樹脂の含浸は、通常模様2や浸透
防止層3、撥液性模様4を形成した原紙1の撥液性模様
4面側から行っても良いし、反対面側から行っても良
い。また、片面ずつ2回に分けて含浸させたり、両面か
ら同時に含浸させても良い。熱硬化性樹脂の含浸率(含
浸後の重量に占める含浸樹脂の重量の比率)は、通例2
0〜80%程度であり、中でも40〜70%程度の範囲
内が最も望ましい。また、物性に優れた熱硬化性樹脂化
粧板を得る為には、原紙1の全体に均一に樹脂が含浸さ
れることが重要である。この樹脂含浸処理によって、原
紙1の紙間が強化される他、通常模様2と原紙1とが含
浸樹脂によって一体化され、更に、含浸樹脂の一部は原
紙1に含浸されずに原紙1の表面上に残存して含浸樹脂
被覆層5を形成し、該含浸樹脂被覆層5は、撥液性模様
4が形成された箇所においては該撥液性模様4によって
撥かれることによって凹状部を形成する。
【0036】この様にして作製された樹脂含浸模様紙6
を基材7上に載置し、樹脂含浸模様紙6の表面に金属板
(鏡面板)9を当接して加熱加圧成形することによっ
て、本発明の熱硬化性樹脂化粧板が得られる訳である。
ここで使用する基材7の種類には特に制約はなく、目的
とする熱硬化性樹脂化粧板の用途に応じて任意であり、
例えば木材単板、合板、集成材、パーティクルボード、
中密度繊維板、硬質繊維板等の木質基材や、板紙、織
布、不織布、樹脂含浸紙、樹脂含浸布等の繊維質基材、
石膏ボード、スレート板、珪酸カルシウム板、スラグ石
膏板、木毛セメント板、スラグセメント板、軽量気泡コ
ンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート板等の無機
質基材、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン
板、ステンレス板等の金属基材、アクリル樹脂板、スチ
ロール樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネート樹脂
板、ナイロン樹脂板、ポリオレフィン樹脂板、ポリエス
テル樹脂板、ガラス繊維強化プラスチック板等の合成樹
脂基材等、或いはこれらから選ばれる2種以上の複合体
又は積層体等を適宜使用することができる。
【0037】基材7上に樹脂含浸模様紙6を載置する際
には、必要に応じて適宜の接着剤を介して載置しても良
いし、接着剤等を介さずに直接載置しても良い。また、
必要に応じて、従来のメラミン樹脂化粧板等におけると
同様、コア紙8を介して載置積層することもできる。上
記コア紙8とは、例えばチタン紙、晒又は未晒クラフト
紙、ガラス繊維不織布等の適宜の原紙に未硬化状態の熱
硬化性樹脂が含浸されているものであり、該熱硬化性樹
脂としては、例えばメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、
ジアリルフタレート系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、
ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、不飽和ポリエステル
系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂等、任意であ
り、目的の熱硬化性樹脂化粧板に要求される物性等に応
じて適宜選択すれば良い。具体例を挙げれば、従来より
メラミン樹脂化粧板用のコア紙として広く採用されてい
るフェノール樹脂含浸クラフト紙等を使用することがで
きる。
【0038】本発明において、樹脂含浸模様紙6を基材
7上に積層し接着するための加熱加圧成形方法として
は、上述した金属板(鏡面板)9を当接して平圧プレス
する方法の他、円圧式の連続ラミネート方式を採用する
こともできる。特に、金属製無端ベルトを使用した連続
ラミネート方式を採用すると、表面の反りや波打ち等が
なく、しかも層間密着性良く稠密に硬化一体化された高
品質の熱硬化性樹脂化粧板を、高速度で連続的に製造で
きる利点がある。
【0039】加熱加圧成形の工程において、成形後の含
浸樹脂被覆層5の表面形状は、使用する金属板(鏡面
板)9や金属製無端ベルトの表面形状がそのまま賦形さ
れたものとなる。従って、これらの金属板(鏡面板)9
や金属製無端ベルトとして表面が鏡面状の平滑面に研磨
されたものを使用すれば、表面の光沢度や平滑性に優れ
た熱硬化性樹脂化粧板を得ることができる。勿論、必要
に応じて、所望の任意の艶消状やテクスチャー状の金属
難(鏡面板)9や金属製無端ベルトを使用することによ
って、所望の任意の表面仕上げ状態の熱硬化性樹脂化粧
板を得ることも可能である。
【0040】本発明の熱硬化性樹脂化粧板は、上記の実
施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸
脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0041】例えば、図3に示す実施の形態は、先に図
1に示した実施の形態における1枚の樹脂含浸模様紙6
を、樹脂の含浸により透明化する性質を有する原紙であ
る透明紙11に、浸透防止層3及び撥液性模様4を形成
後、熱硬化性樹脂を含浸し、撥液性模様4上に凹状部を
有する含浸樹脂被覆層5を形成した表面樹脂含浸模様紙
61と、通常の原紙12に通常模様2を形成して熱硬化
性樹脂を含浸してなる中間樹脂含浸模様紙52とを、表
面側から順次積層した2枚の樹脂含浸模様紙51、52
によって置換したものである。係る構成を採用すると、
通常模様2と撥液性模様4とが透明紙11で隔離されて
いるので、見る角度によって通常模様2と撥液性模様4
やそれによる凹状部との位置関係が変化して見えること
により、深み感や視覚的立体感に優れた高意匠性の熱硬
化性樹脂化粧板を得ることができる。
【0042】図4に示す実施の形態は、撥液性模様4部
に凹状部を形成する代わりに、撥液性模様4として艶消
剤を含有する撥液性艶消模様41を設け、周囲の含浸樹
脂被覆層5との艶状態の差によって目の錯覚により視覚
的に立体感を表現したものである。艶消剤としては、例
えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、ガラス粉、タルク、クレー、珪藻土、シラスバルー
ン等の無機質粉体や合成樹脂ビーズ等が使用される。粒
径は所望の艶消感に応じて任意であるが、平均粒径0.
5〜50μm程度の範囲内から選ばれるのが最も一般的
である。
【0043】なお、係る形態の熱硬化性樹脂化粧板の製
造にあたっては、原紙1に通常模様2、浸透防止層3及
び撥液性艶消模様41を形成した後に熱硬化性樹脂を含
浸する代わりに、原紙1への熱硬化性樹脂の含浸後にそ
の表面に通常模様2、浸透防止層3及び撥液性艶消模様
41を形成することも可能である。その場合にあって
も、原紙1中に含浸された熱硬化性樹脂が加熱加圧成形
時の熱により流動化して表面に滲出して来ても、撥液性
艶消模様41によって撥かれる為に、撥液性艶消模様4
1と金属板(鏡面板)9との間隙に侵入することが、撥
液性艶消模様41が含浸樹脂被覆層5によって被覆され
ることはない。一方、撥液性を有しない通常模様2と金
属板(鏡面板)9との間隙には、通常模様2の周囲の原
紙1の表面から滲出したり通常模様2を透過して滲出し
た樹脂によって含浸樹脂被覆層5が形成されるから、結
果的には前記した製造工程の場合と同様の構造の熱硬化
性樹脂化粧板が得られる。
【0044】但し、浸透防止層3及び撥液性艶消模様4
1の形成を原紙1への熱硬化性樹脂の含浸後に行うと、
原紙1の表面に既に形成された含浸樹脂被覆層4の上に
浸透防止層3及び撥液性艶消模様41を形成することに
なり、撥液性艶消模様41と含浸樹脂との親和性が低い
こともあって、撥液性艶消模様41と原紙1との十分な
密着性が得られない場合がある。従って、浸透防止層3
及び撥液性艶消模様41の形成は、原紙1の少なくとも
表面(撥液性艶消模様41の形成面)への熱硬化性樹脂
の含浸の前に行うことが望ましい。
【0045】係る如く、表面の艶状態の差によってテク
スチャーを表現した熱硬化性樹脂化粧板にあっても、前
述した図3に示した形態の場合の原理を応用して、図5
に示す様に、樹脂含浸模様紙6を、樹脂の含浸により透
明化する性質を有する原紙である透明紙11に、浸透防
止層3及び撥液性艶消模様41を形成すると共に熱硬化
性樹脂を含浸してなる表面樹脂含浸模様紙61と、通常
の原紙12に通常模様2を形成すると共に熱硬化性樹脂
を含浸してなる中間樹脂含浸模様紙62とを表面側から
順次積層した2枚の樹脂含浸模様紙61、62によって
置換した構成として、より立体感に優れた熱硬化性樹脂
化粧板を得ることもできる。
【0046】撥液性模様4(撥液性艶消模様41である
場合を含む)が形成された箇所において、含浸樹脂被覆
層5の表面に凹状部が形成されるか否かは、浸透防止層
3及び撥液性模様4の膜厚と含浸樹脂被覆層5の膜厚と
の関係によって決定される。原紙1に含浸する熱硬化性
樹脂の含浸液の固形分量が多く粘度が高い場合には、含
浸樹脂被覆層5は厚く形成され、逆の場合には逆である
から、この関係を利用して、浸透防止層3及び撥液性模
様4の膜厚と含浸樹脂被覆層5の膜厚との関係を適宜設
計し、所望の深さの凹状部を形成したり、凹状部を有し
ない平面状としたりすることができる。また、浸透防止
層3及び/又は撥液性模様4として、膜厚の異なる複数
種類の模様を設けることによって、多段凹凸形状を得る
ことも可能である。
【0047】図6に示す実施の形態は、浸透防止層3及
び撥液性艶消模様41を十分に薄く形成し、後の樹脂含
浸工程において、撥液性艶消模様41が形成された箇所
を除く原紙1の表面に、浸透防止層3及び撥液性艶消模
様41の膜厚よりも厚い樹脂含浸被覆層5を形成させる
ことによって、撥液性艶消模様41の形成箇所に凹状部
を形成し、該凹状部を保持しつつ加熱加圧成形を行うこ
とにより、撥液性艶消模様41が形成された箇所に同調
した凹状部を形成したものである。この様な構成の熱硬
化性樹脂化粧板は、艶の変化と同調した表面凹凸形状を
有することにより、極めて立体的な意匠感に富んだもの
となる。
【0048】逆に、撥液性艶消模様41を盛り上げ印刷
等の手法により十分に厚く形成し、含浸樹脂被覆層5を
親等防止層3及び撥液性艶消模様41よりも薄く形成さ
せると、艶消部分が凸状部となった熱硬化性樹脂化粧板
を得ることもできる(図7)。この場合、加熱加圧成形
の際に、樹脂含浸模様紙6の表面に金属板(鏡面板)9
等の硬質体を直接当接して成形すると、成形圧力によっ
て撥液性艶消模様41が原紙1中に埋入し、図3に示す
形態と外見上実質的に変わらなくなってしまうので、樹
脂含浸模様紙6と金属板(鏡面板)9との間に、例えば
シリコーンゴム板等の耐熱性弾性体を介在させて加熱加
圧成形を行うのが良い。
【0049】
【実施例】<実施例1>吸水性の良い坪量100g/m
2の化粧紙用チタン紙に、カゼインを主成分とした水性
インキを使用して、ダイレクトグラビア印刷方式によっ
て木目模様を印刷し、次にインラインで、硬化型ウレタ
ン樹脂系インキを使用して、ダイレクトグラビア印刷方
式によって前記木目模様と同調した導管模様状に浸透防
止層を施し、更にシリコーン系撥液剤及びシリカ系艶消
剤を添加した硬化型ウレタン樹脂系インキを使用して、
前記浸透防止層と印刷見当を合わせて導管模様状に撥液
性模様を印刷し、熱乾燥させ巻き取った。
【0050】しかる後、得られた印刷紙を、前記撥液性
模様によって撥かれる性質を有する水性メラミン系樹脂
液中に浸漬して、原紙中に樹脂を含浸させ、撥液性模様
上の含浸樹脂被覆層を十分に撥かせて凹状部を形成した
後、十分に乾燥させた。その際、含浸乾燥後の樹脂含浸
模様紙の坪量が200g/m2となる様に樹脂含浸量を
調節した。
【0051】得られた樹脂含浸模様紙を、コア紙(フェ
ノール樹脂含浸クラフト紙)の上に載置すると共に、該
コア紙の裏面にバッカー紙(メラミン樹脂含浸クラフト
紙)を宛い、樹脂含浸模様紙の表面に鏡面板を当接させ
て加熱加圧成形して、本発明の熱硬化性樹脂化粧板を得
た。
【0052】得られた熱硬化性樹脂化粧板は、導管模様
状の撥液性模様部分における含浸樹脂被覆層の撥き残り
がなく、導管部の輪郭も鮮明な凹状部が形成されてお
り、導管部が艶消となっていることと相俟って、天然木
の導管開口部を彷彿とさせる極めて自然感溢れる高意匠
性を有するものであった。
【0053】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂化粧板及びその製
造方法によれば、表面に絵柄模様と同調した凹凸及び/
又は艶消の模様を有し、立体的な意匠性に優れた熱硬化
性樹脂化粧板を、特殊な高価な薬剤を使用したり煩雑な
製造工程を経たりする必要なく、生産性良く簡便且つ安
価に得られることは勿論のこと、撥液性模様に含有され
る撥液性成分が浸透防止層に妨げられて原紙1中へ浸透
拡散することがなく、撥液性成分が撥液性模様に保持さ
れるので、印刷後の樹脂含浸工程において含浸樹脂被覆
層の撥き残りや輪郭の不鮮明化等の品質不良を発生する
ことなく、撥液性模様を確実に表面に露出させて鮮鋭な
凹状部及び/又は艶消部を形成することを可能とすると
共に、原紙1中へ浸透拡散した撥液性成分が原紙1中へ
の熱硬化性樹脂の含浸を阻害することによる物性不足や
表面の不陸、艶ムラ等の意匠不良等の発生をも効果的に
防止することができる等、多くの利点を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示
す側断面図である。
【図2】(a)〜(f)は本発明の熱硬化性樹脂化粧板
の製造方法の実施の形態を工程順に示す側断面図であ
る。
【図3】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示
す側断面図である。
【図4】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示
す側断面図である。
【図5】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示
す側断面図である。
【図6】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示
す側断面図である。
【図7】本発明の熱硬化性樹脂化粧板の実施の形態を示
す側断面図である。
【符号の説明】
1‥‥原紙 11‥‥透明紙 12‥‥原紙 2‥‥通常模様 3‥‥浸透防止層 4‥‥撥液性模様 41‥‥撥液性艶消模様 5‥‥含浸樹脂被覆層 6‥‥樹脂含浸模様紙 61‥‥表面樹脂含浸模様紙 62‥‥中間樹脂含浸模様紙 7‥‥基材 8‥‥コア紙 9‥‥金属板(鏡面板)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月1日(2001.11.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】化粧板の表面のテクスチャーの絵柄模様と
の同調が容易に可能な賦形法として、上記の様な機械的
な賦形法(メカニカルエンボス法)によらない、化学的
な賦形法(ケミカルエンボス法)も開発されている。こ
れは、絵柄模様の形成の為の印刷インキとして、含浸す
る熱硬化性樹脂の硬化反応を遅らせる作用を有する化学
物質(硬化抑制剤)を含有する印刷インキを少なくとも
一部に使用することによって、加熱加圧成形の際に当該
インキによる印刷部分の熱硬化性樹脂の硬化を遅らせ、
成形後に未硬化状態で残存した樹脂を除去することによ
って、凹部を形成する手法である(特開昭53−110
677号公報参照)。この方法は、テクスチャーの絵柄
模様との同調も容易であるのみならず、使用する金属板
(鏡面板)は一種類でも任意の所望のテクスチャーの形
成が可能である利点もある。しかしながら、未硬化状態
で残存した樹脂の除去作業や、未硬化状態の樹脂が付着
した金属板(鏡面板)の洗滌作業等が煩雑で、生産性が
上がらない他、特殊な薬剤を使用することもあって、製
造コストの低減はやはり困難である。
フロントページの続き (72)発明者 柳下 信尚 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 2B250 AA06 AA07 AA13 AA31 BA03 FA21 FA37 HA01 2E110 AA57 BA05 BA12 BB02 BB38 EA09 GA24X GA32W GA33X GA42X GB02X GB03X GB05X GB06X GB07X GB16X GB17X GB23X GB32X GB43X GB44X GB47X GB48X GB49W GB52X GB62X GB63W 4D075 CB21 DB18 DC12 DC31 DC33 DC38 4F100 AK01A AK33 AK36 AK51 AR00C AT00D BA03 BA04 BA07 BA10A BA10B BA10D CB00 DG10 DG10A EH012 EJ172 EJ422 EJ82A GB07 GB08 GB31 GB33 GB81 HB00 HB00B HB01 HB31 JB04B JB06B JB13A JD01C JD14C JD15A JL02 JN26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂含浸紙層の表面に露出した撥
    液性模様を有する熱硬化性樹脂化粧板であって、前記撥
    液性模様と前記熱硬化性樹脂含浸紙の原紙の表面との間
    に浸透防止層を有することを特徴とする熱硬化性樹脂化
    粧板。
  2. 【請求項2】吸水性の良い原紙の表面に撥液性模様を形
    成した後、これに該撥液性模様によって撥かれる性質を
    有する熱硬化性樹脂を含浸し乾燥させることによって、
    前記撥液性模様が前記熱硬化性樹脂によって被覆される
    ことなく原紙に熱硬化性樹脂が含浸された樹脂含浸模様
    紙を作製し、しかる後、該樹脂含浸模様紙を基材上に載
    置して加熱加圧成形する熱硬化性樹脂化粧板の製造方法
    であって、前記原紙と前記撥液性模様との間に浸透防止
    層を設けることを特徴とする熱硬化性樹脂化粧板の製造
    方法。
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