JP2016181562A - 配線板の製造方法及び配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 スルーホールを有する絶縁基板上に導電性が良好な導電回路が精度よく形成された配線板を効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】 スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板に、該裏打ち基板とは反対の面から該スルーホールの内壁面上に銅粉末を含有する銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成し、該裏打ち基板を剥離した後に、過熱水蒸気による加熱処理を施して導電性塗膜を形成することにより、優れた特性を有する配線板を効率的に製造できる。【選択図】 なし
Description
本発明はスルーホールを有する配線板の効率的な製造方法及びこの製造方法によって製造される配線板に関するものである。
配線板の導電回路は近年、急速に高密度化が進んでいる。導電回路の形成に導電粒子を含む導電ペーストを用いる印刷法や塗布法が注目されている。
導電粒子として用いられる金属微粒子として銅粉末が知られている。しかし、銅粉末は表面に酸化層を形成し易く、酸化層のために導電性が悪くなるという欠点がある。また、酸化層の悪影響は粒子が小さくなるほど、顕著になる。そこで、銅粉末の酸化層を還元するために、水素等の還元性雰囲気下での300℃を超える温度での還元処理や、より高温での焼結処理が必要となる。焼結処理により、導電性はバルク銅に近くなるが、使用できる絶縁基板がセラミックスやガラス等の耐熱性の高い材料に限定される。
高分子化合物をバインダー樹脂とする導電ペーストはポリマータイプ導電ペーストとして知られている。従来技術においても、ポリマータイプ導電ペーストから得られた塗膜の導電性を向上させるための提案がなされている。例えば特許文献1では金属ペーストに粒径100nm以下の金属微粒子を用いることにより、バルク金属の融点よりもはるかに低い温度で焼結でき、導電性の優れた金属薄膜が得られることが開示されている。また、特許文献2には金属粉ペーストを用いて形成した塗膜を過熱水蒸気処理することが開示されている。
しかし、配線板に求められる高密度化の要求に対し、配線板のより効率的な製造技術は未だ十分とはいえない。
導電回路の高密度化は、平面方向だけでなく、絶縁基板の両面に設けた回路の接続や多層間のZ方向の導体パターンの形成も必要とする。そのため、絶縁基板にスルーホールを設けて層間の回路を接続する技術が知られている。スルーホールを有する絶縁基板を用いる配線板において、スルーホール部の導電化には無電解めっきが主に用いられている。しかしながら、無電解めっきによって絶縁基板に接着性よくめっきをするためには、パラジウムを使った高価な触媒核を付与しなければならず、無電解めっきは複雑なめっき浴の管理も必要とする。
また、特許文献3には、絶縁基板の両面に設けた回路を銅ペーストを充填したスルーホールにより電気的に接続することが開示されているが、絶縁基板表面の導電回路と導電化したスルーホールを工程を分けて形成するため、導電化処理の効率は低いものであった。
これまで、本発明者等は特許文献4に示すように、絶縁基板の平面とスルーホール内壁面上に同時に銅ペーストを塗布し、過熱水蒸気処理と電気めっきを併用することで導電性の優れた配線板が得られることを見出した。しかしながら、この方法によっては、スルーホールの出口付近の銅ペーストによる汚染を確実に防ぐことはできず、回路のショートが発生するおそれがある。
本発明の課題は、スルーホールを有する配線板を優れた精度で効率よく製造する方法を提供することにより、導電性に優れ、回路が高密度化された配線板を収率良く製造する方法を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の通りのものである。
(1)絶縁基板に銅粉末、バインダー樹脂及び溶剤を主成分とする銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程と、該銅粉末含有塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施して導電性塗膜を形成する工程とを有する配線板の製造方法であって、前記銅粉末含有塗膜を形成する工程が、絶縁基板にスルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられており、該裏打ち基板とは反対の面から該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥した後に該裏打ち基板を剥離することを特徴とする配線板の製造方法。
(2)銅粉末含有塗膜を形成する工程において、スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板の、該裏打ち基板とは反対の面から該絶縁基板の一方の表面及び該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥し、次いで、裏打ち基板を剥離する工程を有する(1)に記載の配線板の製造方法。
(3)スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板の、該裏打ち基板とは反対の面から該絶縁基板の一方の表面及び該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程、次いで、該裏打ち基板を剥離する工程、次いで該絶縁基板の他方の表面及び該スルーホールの内壁面上に、銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程を有する(1)又は2に記載の配線板の製造方法。
(4)前記スルーホールが少なくとも片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板に対して形成される(1)〜(3)のいずれかに記載の配線板の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって製造される配線板。
(1)絶縁基板に銅粉末、バインダー樹脂及び溶剤を主成分とする銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程と、該銅粉末含有塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施して導電性塗膜を形成する工程とを有する配線板の製造方法であって、前記銅粉末含有塗膜を形成する工程が、絶縁基板にスルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられており、該裏打ち基板とは反対の面から該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥した後に該裏打ち基板を剥離することを特徴とする配線板の製造方法。
(2)銅粉末含有塗膜を形成する工程において、スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板の、該裏打ち基板とは反対の面から該絶縁基板の一方の表面及び該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥し、次いで、裏打ち基板を剥離する工程を有する(1)に記載の配線板の製造方法。
(3)スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板の、該裏打ち基板とは反対の面から該絶縁基板の一方の表面及び該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程、次いで、該裏打ち基板を剥離する工程、次いで該絶縁基板の他方の表面及び該スルーホールの内壁面上に、銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程を有する(1)又は2に記載の配線板の製造方法。
(4)前記スルーホールが少なくとも片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板に対して形成される(1)〜(3)のいずれかに記載の配線板の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって製造される配線板。
本発明の配線板の製造方法は、片面に裏打ち基板を貼り付けた絶縁基板に設けられたスルーホールの内壁面上に、銅粉末を含有する銅ペーストを塗布・乾燥することにより形成した銅粉末含有塗膜に、過熱水蒸気による加熱処理を施して導電性塗膜を得るため、スルーホール出口付近の銅ペーストによる汚染が防止できる。そのため、回路のショートを引き起こす配線の乱れが起こりにくくなり、配線板の収率が向上する。
また、本発明の配線板の製造方法では、銅ペーストを用いることによって絶縁基板表面の導電回路と導電化したスルーホールを同時に形成できるため、配線板を効率よく製造することができる。
まず、本発明で用いる銅ペーストについて述べる。
本発明で用いる銅ペーストは、銅粉末とバインダー樹脂を主成分として溶剤中に分散させたものである。
本発明で用いる銅粉末は、銅を主成分とする金属粒子、又は銅の割合が80重量%以上の銅合金であり、該銅粉末の表面が銀で被覆された金属粉であってもよい。該銅粉末への銀の被覆は完全に被覆しても、一部の銅を露出させて被覆したものでもよい。銅粉末はその粒子表面に過熱水蒸気処理による導電性の発現を損なわない程度の酸化被膜を有していてもよい。銅粉末の形状は、略球状、樹枝状、フレーク状等のいずれでも使用できる。銅粉末又は銅合金粉末としては、湿式銅粉、電解銅粉、アトマイズ銅粉、気相還元銅粉等を用いることができる。
本発明で用いる銅粉末は平均粒径が0.01〜20μmであることが好ましい。銅粉末の平均粒径が20μmより大きいと、絶縁性基板に微細な配線パターンを形成することが困難になる。また、平均粒径が0.01μmより小さい場合には加熱処理時の微粒子間融着による歪の発生が大きくなり、絶縁基板との密着性が低下する。銅粉末の平均粒径が0.02μm〜15μmの範囲がより好ましく、更により好ましくは0.05〜10μm、更により好ましくは0.07〜7μmである。平均粒径の測定は、透過電子顕微鏡、電界放射型透過電子顕微鏡、電界放射型走査電子顕微鏡のいずれかにより粒子100個の粒子径を測定して平均値をもとめる方法による。本発明で用いる銅粉末は平均粒径が0.01〜20μmであれば、異なる粒径のものを混合して使用してもかまわない。特にスクリーン印刷用銅ペーストではこの用途に特有な流動特性の付与のために、銅粉末は0.05〜0.5μmの微細粉と1〜10μmのミクロンサイズ粉を混合して用いることが望ましい。
本発明で用いる銅ペーストに使用される溶剤は、バインダー樹脂を溶解するものから選ばれ、有機化合物であっても水であってもよい。溶媒は、銅ペースト中で銅粉末を分散させる役割に加えて、分散体の粘度を調整する役割がある。有機溶媒の例として、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、アミド等が挙げられる。
本発明で用いる銅ペーストに使用されるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドあるいはアクリル等の樹脂が挙げられる。樹脂中にエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合等を有するものが、銅粉末の安定性から、好ましい。導電性の高い導電回路を得るためには銅ペーストに使用されるバインダー樹脂の比率は小さいことが望ましいが、一般的にバインダー比率の低下は絶縁基板と導電回路との接着性の低下や銅粉末含有塗膜の脆さの増大や銅ペーストの流動性の不足を伴うことが多い。そのため、少量のバインダー樹脂で銅ペーストに必要な機能を出させるためには、バインダー樹脂の分子量が高い程好ましい。バインダー樹脂の種類により望ましい分子量は異なるが、ポリエステル、ポリウレタンあるいはポリカーボネートでは数平均分子量は1万以上、望ましくは2万以上である。分子量の上限は、分散体の粘度等から50万程度である。
また、銅粉末が銅ペースト中で良好な分散状態を保持することが、導電回路が良好な導電性を発現するために必要である。少量のバインダー樹脂で銅粉末を充分に分散させるためには、バインダー樹脂としては、スルフォン酸塩基やカルボン酸塩基等の金属への吸着能力のある官能基を含有するポリマーを含有することが望ましい。
本発明で用いる銅ペーストは通常、銅粉末、溶剤、バインダー樹脂から成る。各成分の割合は銅粉末100重量部に対し、溶剤5〜400重量部、バインダー樹脂1〜15重量部の範囲が好ましい。銅ペースト中のバインダー樹脂量が銅粉末100重量部に対し1重量部未満の場合、絶縁基板との接着性の低下が顕著になり、好ましくない。一方、15重量部を超えると銅粉末間の接触機会の減少により、導電性を確保できない。
本発明で用いる銅ペーストには、必要に応じ、硬化剤や分散剤を配合しても良い。本発明に使用できる硬化剤としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。硬化剤の使用量はバインダー樹脂の30重量%以下の範囲が好ましい。分散剤としてはステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、燐酸エステル、スルフォン酸エステル等が挙げられる。分散剤の使用量はバインダー樹脂の10重量%以下の範囲が好ましい。
次に、銅ペーストの製造方法について述べる。
銅ペーストを得る方法としては、粉末を液体に分散する一般的な方法を用いることができる。例えば、銅粉末とバインダー樹脂溶液、必要により追加の溶媒からなる混合物を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法等で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散体の粘度を下げるために、加熱して行ってもよい。
次に、配線板の製造方法について述べる。
本発明の配線板は、スルーホールを有する絶縁基板のスルーホール内壁面上に銅ペーストを用いて銅含有塗膜を形成し、過熱水蒸気処理により導電性を発現させて導電回路を形成する。このとき、該スルーホールが設けられた絶縁基板には、少なくとも片面に裏打ち基板が貼り付けられており、該裏打ち基板とは反対の面からスルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥し、乾燥後に裏打ち基板を剥離することを本発明の特徴とする。(本発明1)
スルーホール内壁面上に銅ペーストを塗布する場合、塗布面とは反対の面から銅ペーストの滲み出しが起こりえる。本発明においては、銅ペーストが滲み出してスルーホール部付近を汚染することを避けるため、絶縁基板の非印刷面に裏打ち基板を貼って銅ペーストを塗布し、乾燥した後に裏打ち基板を剥離する。絶縁基板の非印刷面に裏打ち基板が存在することにより、銅ペーストをスルーホール内に留めたまま乾燥させることができ、絶縁基板の非印刷面を汚染することがない。絶縁基板のスルーホールを塞ぐように裏打ち基板が存在する場合には、銅ペーストを絶縁基板のスルーホール内に留めることができる。また、スルーホールと同じ位置に裏打ち基板にも貫通孔が設けられている場合には、裏打ち基板のスルーホール内に銅ペーストが塗布されることがあるが、乾燥後に裏打ち基板を剥離することによって余分の導電性塗膜を取り除くことができ、絶縁基板の非印刷面が汚染されることがなく、むしろ、絶縁基板のスルーホール内壁面上に銅ペーストをより均一に塗布することができるため好ましい。
本発明で用いる絶縁基板としては、過熱水蒸気処理の温度に耐えるものを用いる。例えば、ポリイミド系樹脂シートあるいはフィルム、セラミックス、ガラスあるいはガラスエポキシ積層板等が挙げられ、ポリイミド系樹脂シートあるいはフィルムが望ましい。
ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体樹脂、溶剤可溶ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が挙げられる。ポリイミド系樹脂は通常の方法で重合することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶液中、低温で反応させポリイミド前駆体溶液を得る方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶液中で反応させ溶剤可溶性のポリイミド溶液を得る方法、原料としてイソシアネートを用いる方法、原料として酸クロリドを用いる方法などがある。
絶縁基板としてのポリイミドフィルムやシートは、ポリイミド前駆体樹脂の場合には前駆体樹脂溶液を湿式製膜後、より高温でのイミド化反応を行う一般的な方法で得られる。溶剤可溶ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂では溶液中で既にイミド化しているため、湿式製膜でシート化あるいはフィルム化ができる。
絶縁基板はコロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理等の表面処理を行ったものでもよい。
本発明で用いる絶縁基板には銅粉末含有塗膜との接着性の向上のため絶縁基板上にアンカーコート樹脂層を設けることが望ましい。該アンカーコート樹脂層としては、架橋硬化塗膜あるいは複素環中に窒素を含む複素環化合物及び/又はヒドラジド化合物を含有する樹脂層が挙げられる。該アンカーコート樹脂層上に銅ペーストを用いて銅粉末含有塗膜を形成することで絶縁基板と銅粉末含有塗膜との接着性、ひいては絶縁基板と導電回路との接着性を向上させることができる。
アンカーコート樹脂層に用いられる樹脂としては絶縁基板との密着性が優れたものから選ばれ、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエ−テル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドあるいはアクリル等が挙げられる。樹脂中にエステル結合、イミド結合、アミド結合等を有するものが、樹脂層の耐熱性、絶縁基板との密着性から望ましい。樹脂層には硬化剤を含有することも樹脂層の耐熱性、絶縁基板との密着性から望ましい。硬化剤としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。硬化剤の使用量は樹脂重量の1〜50重量%の範囲が好ましい。
本発明では絶縁基板上に必要により設けられるアンカーコート樹脂層には、複素環中に窒素を含む複素環化合物及び/又はヒドラジド化合物を含有することが望ましい。複素環中に窒素を含む複素環化合物やヒドラジド化合物は、銅箔や銅粉の防錆剤として用いられることがあるが、本発明においては、これらの化合物は過熱水蒸気処理により、銅粉末含有塗膜と強固な密着性を発揮する。窒素を含む複素環化合物やヒドラジド化合物は銅に対する親和性が高く銅表面に強く吸着する。絶縁基板との密着性に優れる、樹脂層中に存在する窒素を含む複素環化合物やヒドラジド化合物を銅表面に吸着させるには短時間で高いエネルギーを与えることが必要で、過熱水蒸気処理によって効果をよりよく発揮できる。
複素環中に窒素を含む複素環化合物としては、例えば、ピリジン、オキサゾール、イソキノリン、インドール、チアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ビピリジル、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ピリミジン、プリン、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾグアナミン等、あるいはこれらの構造異性体も挙げられる。これらはアルキル基、フェニル基、フェノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、チオール基、芳香環などの置換基を有してもよい。また、これらは芳香環や複素環と縮合してもよい。これらの中で、イミダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物が望ましい。
ヒドラジド化合物とはヒドラジンあるいはその誘導体とカルボン酸が縮合した構造を有する化合物であり、例えば、サリチル酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ヒドラジドとドデカンジカルボン酸の縮合物等が挙げられる。
本発明で絶縁基板上に必要により設けられるアンカーコート樹脂層は、樹脂100重量部に対し複素環中に窒素を含む複素環化合物及び/又はヒドラジド化合物を1〜30重量部の範囲で含むことが好ましい。樹脂100重量部に対し複素環中に窒素を含む複素環化合物及び/又はヒドラジド化合物の含有量が1重量部未満の場合、銅粉末含有層との密着性の向上が見られず、樹脂100重量部に対し複素環中に窒素を含む複素環化合物及び/又はヒドラジド化合物を30重量部を超えて含む場合は該アンカーコート樹脂層の物性の低下が見られることがある。
本発明において、絶縁基板上に必要により形成されるアンカーコート樹脂層を形成するには、樹脂をフィルムやシートに塗布又は印刷する場合に用いられる一般的な方法を用いることができる。例えばスクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、ロールコート法、ダイコート法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法等が挙げられる。印刷あるいは塗布により形成された塗膜から加熱あるいは減圧等により溶剤を蒸発させることにより、樹脂層を形成することができる。樹脂層は、絶縁基板上に全面に設けられたものでも、部分的に設けられたものでも良く、少なくとも導電性塗膜を形成する部分に設けられていてもよい。
本発明で必要により形成される、アンカーコート樹脂層は厚みが5μm以下、特に2μm以下が望ましい。樹脂層の厚みが5μmを超えると、過熱水蒸気処理で起こる銅粉末の焼結歪等により、密着性が低下することがあり、厚みが0.01μm以下では過熱水蒸気処理によるバインダー樹脂の分解などにより密着性の低下が大きくなる。
本発明で用いる絶縁基板はスルーホールを有する。スルーホールの形成は絶縁基板の片面に銅粉末含有塗膜を形成後に行う場合、絶縁基板の両面に銅粉末含有塗膜を形成後に行う場合、スルーホールの形成を行った後に絶縁基板の片面あるいは両面に銅粉末含有塗膜を形成する場合などがある。また、多層の導電層を有する導電回路を形成する場合や、絶縁基板の表面の導電層を銅ペーストによらず、銅箔を張り合わせるなどの方法によって導電回路を形成する場合であっても、スルーホールを有する絶縁基板であれば本発明を適用することができる。
スルーホールの形成はドリルによる方法やレーザーによる方法などの一般的な方法によって行うことができる。スルーホール径は配線の目的や必要特性に応じて決められる。スルーホール径が小さい程、スルーホールに入る銅ペースト量が少なくなり、通過した銅ペーストによる汚染やショートが少なくなるため、スルーホール径は直径50〜200μmが望ましい。さらに望ましいスルーホール径の範囲は直径80〜150μmであり、この範囲では絶縁基板の厚みや銅ペーストの塗布量等にもにもよるが銅ペーストによってスルーホール内を充填することができる。
スルーホールの形成の際、ポリイミドフィルムのような可撓性の絶縁基板では、スルーホール位置の精度が悪くなるため、裏打ち基板を貼り付けて実施することが好ましい。この裏打ち基板はスルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布する際に絶縁基板に貼り付ける裏打ち基板としても用いることができ、スルーホール形成後に裏打ち基板を剥がすことなく、スルーホール内壁面の銅粉末含有塗膜の形成に進めることが望ましい。絶縁基板と連続して裏打ち基板にも貫通孔があることにより、スルーホール内壁面上に銅ペーストをより均一に塗布することができる。
裏打ち基板には例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムに片面微粘着加工を施したものが挙げられる。基板の厚みは12〜250μm、望ましくは38〜75μmの延伸フィルムに微粘着加工を施したものが挙げられる。
本発明の方法によれば、銅ペーストを用いることによって絶縁基板表面の導電回路と導電化したスルーホールを同時に得ることが可能である。すなわち、スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板の、該裏打ち基板とは反対の面から該絶縁基板の一方の表面及び該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥した後に該裏打ち基板を剥離することによって、絶縁基板の一方の表面とスルーホール内壁面上に銅ペーストを同時に塗布、乾燥して連続した銅粉末含有塗膜を形成することができる(本発明2)。
所望の導電回路を形成するために、スルーホールへの銅ペーストの塗布は繰り返し行ってもよい。
全てのスルーホールの導電化を完全にしかも安定して行うため、絶縁基板の一方の表面及びスルーホール内壁面上に銅ペーストを塗布、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成した後に、他方の面からも絶縁基板の表面及びスルーホール内壁面上に銅ペーストを塗布・乾燥して銅粉末含有塗膜を形成することが望ましい(本発明3)。
特に、スルーホールが設けられた絶縁基板の該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する初回の工程において、該絶縁基板の片面に裏打ち基板を貼り付けておくことにより基板の銅ペーストによる汚染を効率的に防止できる。
2回目以降のスルーホール内壁面上への銅ペーストの塗布は、裏打ち基板を貼り付けても貼り付けずに行っても良い。裏打ち基板を貼り付けて銅ペーストを塗布した場合には確実にスルーホール部の汚染を防ぐことが可能となるが、スルーホール径、銅ペースト粘度、塗布量等により、必ずしも裏打ち基板を必要としない。また、通常、スルーホールが微細なために、2回目以降のスルーホール内壁面上への銅ペーストの塗布では銅ペーストがスルーホール内に留まり銅ペーストの滲み出しは起こらない可能性が高い。特に直径が80〜150μmのスルーホールに対してスクリーン印刷法を用いる場合は、スルーホールの両面から印刷することにより、スルーホール部の汚染がなく、銅ペーストがスルーホールに均一に充填した構造にできる。
スルーホール内壁面上への銅ペーストの塗布を行う際には、必要により基板の下に紙等の吸収層を用いてもよい。基板の下に吸収層を配置することで、スルーホールの下部の開口部から滲み出す銅ペーストを取り除くことができ、銅ペーストが均一に塗布され、作業場所を汚すこともない。
絶縁基板上又は絶縁基板上に必要により設けられるアンカー樹脂層上に銅粉末含有塗膜を形成する方法を説明する。なお、銅粉末含有塗膜は絶縁基板上に全面に設けられたものでも、導電回路等のパターン物でもかまわない。
液状の銅ペーストを用いて、絶縁基板上又は必要により設けられるアンカー樹脂層上に銅粉末含有塗膜を形成するには、銅ペーストをフィルムやシートに塗布あるいは印刷する場合に用いられる一般的な方法を用いることができる。例えばスクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、ロールコート法、ダイコート法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法等が挙げられる。これらのうち、スクリーン印刷法が塗膜厚みを高くできるので望ましい。スクリーン印刷はフラットベッド型、シリンダー型、ロータリー型、何れの方式でもかまわない。
前記の銅ペーストをフィルムやシートに塗布あるいは印刷する方法によって、スルーホール内壁面上にも銅ペーストを塗布することができる。銅ペーストは、絶縁基板のスルーホールの上下の開口部をつなぐようにスルーホール内壁の全面に塗布されていればよく、スルーホール内に貫通穴が残るように内壁面上に膜状に形成されていても、スルーホール内に充填されていてもよい。また、絶縁基板表面とスルーホールとに同時に銅ペーストを塗布することによって、導電回路を途切れなく形成することができ、また、製造工程を簡略化できるため、効率よく配線板を製造することができる。
スクリーン印刷の方法を図4により説明する。絶縁基板1の上部に張ったスクリーン21に所定のマスクを形成して所望の導電回路形状のメッシュ孔22を残し、スクリーン上に銅ペースト10をのせ、スキージ20でスクリーンの上面を押し付けながら移動させる。銅ペーストはメッシュ孔を透過して、スクリーンの下に置かれた絶縁基板上面に押し出されて印刷される。スルーホール3にはスルーホールの上部開口部から銅ペーストが垂れ落ちてスルーホール内壁面にも銅ペーストが塗布される。
印刷あるいは塗布により形成された塗膜から加熱あるいは減圧等により溶剤を蒸発させることにより、銅粉末含有塗膜を形成することができる。一般的に、銅粉末の場合、この段階での銅粉末含有塗膜は1Ω・cm以上の比抵抗で、導電回路として必要な導電性は得られていない。
本発明の製造方法では、銅粉末含有塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施して導電性塗膜を形成する。過熱水蒸気による処理は赤外線や遠赤外線乾燥と併用してもかまわない。本発明の製造方法では加熱処理する熱源として、空気よりも熱容量、比熱が大きい過熱水蒸気を用いる。過熱水蒸気とは飽和水蒸気をさらに加熱して温度を上げた水蒸気である。
用いる過熱水蒸気の温度は導電性の目標範囲や銅粒子やバインダー樹脂により最適範囲は異なるが、150〜450℃、好ましくは200〜400℃の範囲にする。150℃未満では十分な効果が得られない恐れがある。450℃を超える場合では樹脂の劣化の恐れもある。過熱水蒸気はほぼ完全な無酸素状態ではあるが、乾燥熱処理時には150℃以上の高温になるため、空気の混入が起こる場合には、必要により酸素濃度を下げることが必要となる。銅粉末の場合には、高温では酸素により容易に酸化が起こり、導電性が悪化する。そのため、酸素濃度を1%以下、好ましくは0.1%以下に下げることが望ましい。
過熱水蒸気処理による導電化に次いで、導電性塗膜に電気銅めっきを行っても良い。電気銅めっきは、通常のプリント配線板で使用される硫酸銅めっきやピロリン酸銅めっきが使用できる。めっき厚みは導電回路の使用目的や要求特性によりきめられるが、1〜100μmの範囲が好ましい。
上記の製造方法によって導電回路が形成された配線板を得ることができる。
さらに、導電回路上に防錆剤のコート、ニッケル/金めっき、カバーレイフィルムの貼り合わせや、ソルダーレジストのコート等、通常配線板の保護で行われる工程を加えてもかまわない。
上記製造方法により絶縁基板と絶縁基板上及びスルーホール内壁面の導電回路を効率良く形成できる。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
回路部抵抗:抵抗計で6本の回路それぞれの両端の直流抵抗を測定し、平均値を算出した。
銅粉末A:水中にて、硫酸銅(II)水溶液を水酸化ナトリウムによりpH12.5に調整し無水ブドウ糖で亜酸化銅に還元後、さらに水和ヒドラジンにより銅粉末まで還元した。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.18μmの球状の粒子である。
銅粉末B:三井金属鉱業社製湿式銅粉「1110」(平均粒径3.7μm)
銅粉末C:東洋アルミ社製銀コート銅粉「TFM−CO5P」。平均粒径5μmの球状の粒子で銀含有量は10重量%ある。
銅粉末B:三井金属鉱業社製湿式銅粉「1110」(平均粒径3.7μm)
銅粉末C:東洋アルミ社製銀コート銅粉「TFM−CO5P」。平均粒径5μmの球状の粒子で銀含有量は10重量%ある。
銅ペーストI〜IV:下記の配合割合の組成物をミキサーで混錬後、エグザクト・テクノロジーズ社製3本ロール「M−50」を用いて分散し、銅ペーストIを得た。同様にして表1に記載した銅ペーストII〜IVを得た。
分散液組成
共重合ポリエステルの溶液 14.3部
(エチルカルビトールアセテートの35重量%溶液)
銅粉末A 95部
エチルカルビトールアセテート 5.6部
シリカ 0.3部
(共重合ポリエステル:東洋紡社製「RV290」
シリカ:日本アエロジル社製「アエロジル200」
分散液組成
共重合ポリエステルの溶液 14.3部
(エチルカルビトールアセテートの35重量%溶液)
銅粉末A 95部
エチルカルビトールアセテート 5.6部
シリカ 0.3部
(共重合ポリエステル:東洋紡社製「RV290」
シリカ:日本アエロジル社製「アエロジル200」
本実施例及び比較例では、図1及び図2に示すとおりの、絶縁基板の片面にはランド間に(b)ライン幅100μm、(c)長さ20mmの縦ライン、反対面にはランド間に(d)ライン幅70μm、(e)長さ10mmの横ラインが形成され、(a)直径400μmのランド内に設けた(g)直径100μmのスルーホールを介して接続された6本の導電回路を持つ配線板を製造する。また、本実施例は図3に例示する製造工程により配線板を製造する。
実施例 1
絶縁基板1として東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム「カプトン100EN」(厚さ25μm)を用いた。裏打ち基板2としてタカラインコーポレーション社製微粘着PETフィルム「ビワタック」(ベースフィルム厚さ50μm)をポリイミドフィルムの片面に貼り付け(図3の(a))、UVレーザー加工機により図1及び図2に示す400μm径のランドの中心になるよう所定の位置にポリイミドフィルム及び微粘着PETフィルムを貫通するように直径100μmのスルーホール3を設けた(図3の(b))。フラットベッドタイプのスクリーン印刷機で、銅ペーストIを用いて、スルーホール加工したポリイミドフィルムの微粘着PETフィルムを貼り付けた面とは反対の面からポリイミドフィルムの表面に直径400μmのランドと幅100μm長さ20mmの縦ラインを形成し、同時にスルーホール内壁面上にも銅ペーストが塗布されるようにスクリーン印刷した(図3の(c))。スクリーン印刷時、スルーホールを通過した銅ペーストがスクリーン印刷台を汚染することを防ぐため、ポリイミドフィルムの微粘着PETフィルムを貼り付けた面の下に紙100を敷いた。スクリーン印刷時の構成を図4に示した。
絶縁基板1として東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム「カプトン100EN」(厚さ25μm)を用いた。裏打ち基板2としてタカラインコーポレーション社製微粘着PETフィルム「ビワタック」(ベースフィルム厚さ50μm)をポリイミドフィルムの片面に貼り付け(図3の(a))、UVレーザー加工機により図1及び図2に示す400μm径のランドの中心になるよう所定の位置にポリイミドフィルム及び微粘着PETフィルムを貫通するように直径100μmのスルーホール3を設けた(図3の(b))。フラットベッドタイプのスクリーン印刷機で、銅ペーストIを用いて、スルーホール加工したポリイミドフィルムの微粘着PETフィルムを貼り付けた面とは反対の面からポリイミドフィルムの表面に直径400μmのランドと幅100μm長さ20mmの縦ラインを形成し、同時にスルーホール内壁面上にも銅ペーストが塗布されるようにスクリーン印刷した(図3の(c))。スクリーン印刷時、スルーホールを通過した銅ペーストがスクリーン印刷台を汚染することを防ぐため、ポリイミドフィルムの微粘着PETフィルムを貼り付けた面の下に紙100を敷いた。スクリーン印刷時の構成を図4に示した。
銅ペーストを印刷したポリイミドフィルムを、紙を敷いたスクリーン印刷台から取り上げ、微粘着PETフィルムをはがすことなく、100℃で10分間熱風乾燥して、片面に銅粉末含有塗膜11が形成されたポリイミドフィルムを得た。銅粉末含有塗膜はポリイミドフィルムのスルーホール全体と微粘着PETフィルムのスルーホール内壁面の途中まで形成されていた(図3の(d))。
前記ポリイミドフィルムから微粘着PETフィルムをはがしたところ(図3の(e))、銅粉末含有塗膜はスルーホール内壁面には均一に形成され、フィルムをはがした側のスルーホールの出口付近で破断しており、絶縁基板への汚染はなかった。
続いて、ポリイミドフィルムの銅粉末含有塗膜を形成した面とは反対の面に、直径400μmのランドと幅70μm長さ10mmの横ラインを形成し、スルーホール内壁面上にも銅ペーストが塗布されるように、スクリーン印刷で同様に銅ペーストIを印刷した(図3の(f))。スクリーン印刷時、スルーホールを通過した銅ペーストがスクリーン印刷台を汚染することを防ぐため、ポリイミドフィルムの下に紙100を敷いた。
銅ペーストを印刷したポリイミドフィルムを紙を敷いたスクリーン印刷台から取り上げ、再度、100℃で10分間熱風乾燥して、両面に銅粉末含有塗膜11が形成されたポリイミドフィルムを得た(図3の(g))。スルーホール内部には全体に銅ペーストが充填されていた。
次いで、銅粉末含有塗膜が形成されたポリイミドフィルムに過熱水蒸気処理を350℃で2分間施して導電性塗膜12を形成した(図3の(h))。過熱水蒸気の発生装置として蒸気加熱装置(第一高周波工業社製「DHF Super−Hi10」)を用い、10kg/時間の過熱水蒸気を熱処理炉に供給して行った。得られた導電性塗膜は平均厚みが15μmであった。形成された回路の両端間の電気抵抗を測定した。6本の回路の電気抵抗は平均24Ωであった。また90個のランドからの銅ペーストのはみ出しを観察したが、ランドからのはみ出しは一つも見られなかった。
実施例2〜4
銅ペーストII〜IVを用いて、実施例1と同様に、図1及び図2に示した回路を印刷し、乾燥、過熱水蒸気処理を行った。実施例1と同様に回路抵抗とランドからの銅ペーストのはみ出しを観察した。結果を表2に示す。
銅ペーストII〜IVを用いて、実施例1と同様に、図1及び図2に示した回路を印刷し、乾燥、過熱水蒸気処理を行った。実施例1と同様に回路抵抗とランドからの銅ペーストのはみ出しを観察した。結果を表2に示す。
比較例 1
絶縁基板として東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム「カプトン100EN」(厚さ25μm)を用いた。裏打ち基板としてタカラインコーポレーション社製微粘着PETフィルム「ビワタック」(ベースフィルム厚さ50μm)をポリイミドフィルムの片面に貼り付け、UVレーザー加工機により図1及び図2に示す400μm径のランドの中心になるよう所定の位置にポリイミドフィルム及び微粘着PETフィルムを貫通するように直径100μmのスルーホールを設けた。ポリイミドフィルムから微粘着PETフィルムをはがし取り、フラットベッドタイプのスクリーン印刷機で、銅ペーストIIを用いて、スルーホール加工したポリイミドフィルム表面に直径400μmのランドと幅100μm長さ20mmの縦ラインを形成し、同時にスルーホール内壁面上にも銅ペーストが塗布されるようにスクリーン印刷した。スクリーン印刷時、スルーホールを通過した銅ペーストがスクリーン印刷台を汚染することを防ぐため、ポリイミドフィルムの下に紙を敷いた。ポリイミドフィルムをスクリーン印刷台から取り上げる際にスルーホールからの銅ペーストの糸引きが見られた。
絶縁基板として東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム「カプトン100EN」(厚さ25μm)を用いた。裏打ち基板としてタカラインコーポレーション社製微粘着PETフィルム「ビワタック」(ベースフィルム厚さ50μm)をポリイミドフィルムの片面に貼り付け、UVレーザー加工機により図1及び図2に示す400μm径のランドの中心になるよう所定の位置にポリイミドフィルム及び微粘着PETフィルムを貫通するように直径100μmのスルーホールを設けた。ポリイミドフィルムから微粘着PETフィルムをはがし取り、フラットベッドタイプのスクリーン印刷機で、銅ペーストIIを用いて、スルーホール加工したポリイミドフィルム表面に直径400μmのランドと幅100μm長さ20mmの縦ラインを形成し、同時にスルーホール内壁面上にも銅ペーストが塗布されるようにスクリーン印刷した。スクリーン印刷時、スルーホールを通過した銅ペーストがスクリーン印刷台を汚染することを防ぐため、ポリイミドフィルムの下に紙を敷いた。ポリイミドフィルムをスクリーン印刷台から取り上げる際にスルーホールからの銅ペーストの糸引きが見られた。
銅ペーストを印刷したポリイミドフィルムを100℃で10分間熱風乾燥して片面に銅粉末含有塗膜が形成されたポリイミドフィルムを得た。銅粉末含有塗膜はスルーホール内壁面の全体に形成されていた。
続いて、銅粉末含有塗膜が形成されたポリイミドフィルムに銅粉末含有塗膜を形成した面とは反対の面に、直径400μmのランドと幅70μm長さ10mmの横ラインを形成し、スルーホール内壁面上にも銅ペーストが塗布されるように、スクリーン印刷で同様に銅ペーストIIを印刷した。スクリーン印刷時、スルーホールを通過した銅ペーストがスクリーン印刷台を汚染することを防ぐため、ポリイミドフィルムの下に紙を敷いた。
銅ペーストを印刷したポリイミドフィルムを再度、100℃で10分間熱風乾燥して、両面に銅粉末含有塗膜が形成されたポリイミドフィルムを得た。スルーホール内部には全体に銅ペーストが充填されていた。
次いで、過熱水蒸気処理を350℃で2分間施して導電性塗膜を形成した。過熱水蒸気の発生装置として蒸気加熱装置(第一高周波工業社製「DHF Super−Hi10」)を用い、10kg/時間の過熱水蒸気を熱処理炉に供給して行った。得られた導電性塗膜は平均厚みが15μmであった。形成された回路の両端間の電気抵抗を測定した。6本の回路の電気抵抗は平均17Ωであった。また90個のランドからの銅ペーストのはみ出しを観察したところ、8か所ではみ出しが確認された。
比較例2、3
銅ペーストIII及びIVを用いて、比較例1と同様に、図1及び2に示した回路を印刷、乾燥、過熱水蒸気処理を行った。比較例1と同様に回路抵抗とランドからの銅ペーストのはみ出しを観察したところ、多数のはみ出しが確認され、比較例3では6本の回路全てでランドからはみ出した銅ペーストによりショートが発生した。結果を表2に示す。
銅ペーストIII及びIVを用いて、比較例1と同様に、図1及び2に示した回路を印刷、乾燥、過熱水蒸気処理を行った。比較例1と同様に回路抵抗とランドからの銅ペーストのはみ出しを観察したところ、多数のはみ出しが確認され、比較例3では6本の回路全てでランドからはみ出した銅ペーストによりショートが発生した。結果を表2に示す。
本発明で得られる配線板は、スルーホール内壁面上に銅粉末含有層を形成した構造物に、過熱水蒸気による処理を施すことにより、導電性が優れた配線板を効率よく作成できる。これらの配線板は電気配線材料等に用いられる。
1 絶縁基板
2 裏打ち基板
3 スルーホール
10 銅ペースト
11 銅粉末含有塗膜
12 導電性塗膜
20 スキージ
21 スクリーン
22 メッシュ孔
100 紙
2 裏打ち基板
3 スルーホール
10 銅ペースト
11 銅粉末含有塗膜
12 導電性塗膜
20 スキージ
21 スクリーン
22 メッシュ孔
100 紙
Claims (5)
- 絶縁基板に銅粉末、バインダー樹脂及び溶剤を主成分とする銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程と、該銅粉末含有塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施して導電性塗膜を形成する工程とを有する配線板の製造方法であって、前記銅粉末含有塗膜を形成する工程が、絶縁基板にスルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられており、該裏打ち基板とは反対の面から該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥した後に該裏打ち基板を剥離することを特徴とする配線板の製造方法。
- 銅粉末含有塗膜を形成する工程において、スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板の、該裏打ち基板とは反対の面から該絶縁基板の一方の表面及び該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥し、次いで、裏打ち基板を剥離する工程を有する請求項1に記載の配線板の製造方法。
- スルーホールが設けられ、片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板の、該裏打ち基板とは反対の面から該絶縁基板の一方の表面及び該スルーホールの内壁面上に銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程、次いで、該裏打ち基板を剥離する工程、次いで該絶縁基板の他方の表面及び該スルーホールの内壁面上に、銅ペーストを塗布し、乾燥して銅粉末含有塗膜を形成する工程を有する請求項1又は2に記載の配線板の製造方法。
- 前記スルーホールが少なくとも片面に裏打ち基板が貼り付けられた絶縁基板に対して形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造される配線板。
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JP2015060084A JP2016181562A (ja) | 2015-03-23 | 2015-03-23 | 配線板の製造方法及び配線板 |
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