JP2016180762A - 腎損傷および腎不全の診断および予後診断のための方法ならびに組成物 - Google Patents

腎損傷および腎不全の診断および予後診断のための方法ならびに組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】腎損傷を患うまたは有する疑いのある対象における監視、診断、予後診断、および治療計画の決定のための方法および組成物の提供。
【解決手段】腎損傷の診断および予後診断のバイオマーカーとしてベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1つ以上を検出する。
【選択図】なし

Description

本出願は、2010年10月7日に出願した米国仮特許出願第61/390,999号の優先権を主張し、これらの各々は、全ての表、図、および特許請求の範囲を含めて、その全体が本明細書に組込まれる。
本発明の背景について以下に論じることは、読者が本発明を理解することを助けるために提供されるにすぎず、本発明の先行技術について記載または構成することを認めるものではない。
腎臓は、体内からの水および溶質の排出に関与する。その機能には、酸と塩基のバランスの維持、電解質濃度の調節、血液量の制御、および血圧の調節が含まれる。そのようなことから、損傷および/または疾患による腎機能の喪失は、相当な罹患率および死亡率をもたらす。Harrison’s Principles of Internal Medicine,17th Ed.,McGraw Hill,New York,pages 1741−1830(これは、参照により、その全体が本明細書に組込まれる)の中で、腎損傷について詳細に論じられている。腎臓の疾患および/または損傷は、急性的または慢性的であり得る。急性および慢性の腎臓疾患については、以下のように記載されている(Current Medical Diagnosis&Treatment 2008,47th Ed,McGraw Hill,New York,pages 785−815、これらは、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)。「急性腎不全は、数時間から数日にわたる、腎機能の悪化であり、血液中に(尿素窒素などの)窒素性廃棄物およびクレアチニンの滞留をもたらす。これらの物質の滞留は、高窒素血症と呼ばれる。慢性腎不全(慢性腎臓疾患)は、数か月から数年にわたる異常な腎機能の喪失に起因する。」
急性腎不全(急性腎損傷とも知られるARF、またはAKI)は、糸球体濾過の突然の(典型的には、約48時間から1週間以内に検出される)低下である。この濾過能力の低下は、通常、腎臓によって排出される窒素(尿素およびクレアチニン)廃棄物ならびに無窒素廃棄物の滞留、尿排出量の減少、またはその両方をもたらす。ARFは、入院の約5%、心肺バイパス手術の4〜15%、および集中治療入院の30%以下にあたると報告されている。ARFは、因果関係において腎前性、腎内性、または腎後性として分類され得る。内因性腎疾患を、糸球体異常、尿細管異常、間質異常、および血管異常にさらに分けることができる。ARFの主な原因を以下の表に記載するが、この出典はMerck Manual,17th ed.,Chapter 222である(これは、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)。
Figure 2016180762

虚血性ARFの場合、疾患過程は、4段階に分けられ得る。数時間から数日続く初期の段階の期間に、腎臓の灌流の低下は損傷へ進行する。糸球体限外濾過が低下し、尿細管内の残骸により濾液の流れが低下し、かつ傷ついた上皮を通過する濾液の背部漏れが起こる。腎損傷は、この段階の期間に、腎臓の再灌流によって媒介され得る。開始に続いて、拡大の段階があり、これは、虚血性損傷および炎症の継続によって特徴づけられ、内皮障害および血管の鬱血を伴う可能性がある。維持段階の期間が1〜2週間続き、腎細胞損傷が生じ、糸球体濾過および尿排出量が最小限になる。腎上皮が修復され、GFRが徐々に回復する回復段階が続き得る。これにもかかわらず、ARFを患う対象の生存率は、約60%と同じくらい低くなり得る。
(造影剤(contrast media)とも呼ばれる)放射線造影剤(radiocontrast agent)およびシクロスポリン、アミノグリコシドを含む抗生物質およびシスプラチンなどの抗癌剤などの他の腎毒素によって引き起こされる急性腎損傷は、数日から約1週間の期間にわたって現れる。造影剤腎症(放射線造影剤によって引き起こされるAKIであるCIN)は、(虚血性損傷につながる)腎内の血管収縮によって、かつ尿細管上皮細胞に対して直接的な毒性を有する反応性酸素種の発生から引き起こされると考えられている。CINは、これまでに、血中尿素窒素および血清クレアチニンの急性(24〜48時間以内の発症)であるが可逆(ピークは3〜5日、回復は1週間以内)の増加として、症状が見つかっている。
AKIを定義および検出するための一般に報告される判定基準は、血清クレアチニンの突然の(典型的には、約2〜7日以内または入院期間内の)上昇である。AKIを定義および検出するために血清クレアチニン上昇を用いることは定評があるが、血清クレアチニン上昇の規模および血清クレアチニンを測定し、AKIを定義するのにかかる時間は、刊行物間でかなり異なる。伝統的に、100%、200%などの血清クレアチニンの比較的大幅な増加、少なくとも100%から2mg/dLをこえる値の増加、および他の定義を用いてAKIを定義する。しかし、最近の傾向は、より少ない血清クレアチニン上昇を用いてAKIを定義する方向に向かっている。血清クレアチニン上昇とAKIとの関係および関連する健康上のリスクは、Praught and Shlipak,Curr Opin Nephrol Hypertens 14:265−270,2005およびChertow et al,J Am Soc Nephrol 16:3365−3370,2005に概説されており、その中でまとめられている参考文献と共に、これらは、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。これらの刊行物中に記載されているように、腎機能の急速な悪化(AKI)およびの死亡リスクの増加ならびに他の有害な結果は、血清クレアチニンの微増と関連することが今や知られている。これらの増加は、相対(パーセント)値または名目上の値として決定され得る。損傷前の値の20%ほどの少ない血清クレアチニンの相対的増加は、腎機能の急速な悪化(AKI)および健康上のリスクの増加を示すことが報告されたが、AKIおよび健康上のリスクの増加を定義するための、より一般な報告値は、少なくとも25%の相対的増加である。0.3mg/dL、0.2mg/dLまたはさらに0.1mg/dLほどの少ない名目上の増加は、腎機能の悪化および死亡リスクの増加を示すことが報告された。血清クレアチニンをこれらの閾値まで上昇させるために、例えば、2日、3日、7日、または患者が病院または集中治療室にいる時間として定義される可変期間におよぶ様々な期間を用いて、AKIを定義してきた。これらの研究は、腎機能の悪化またはAKIに対して血清クレアチニン上昇の特定の閾値(または上昇の期間)はなく、むしろ血清クレアチニンの上昇の規模の増加と共にリスクの連続的な増加があることを示している。
1つの研究(Lassnigg et all,J Am Soc Nephrol 15:1597−1605,2004、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)は、血清クレアチニンの増加および減少の両方を調べた。心臓手術後、血清クレアチニンが−0.1〜−0.3mg/dLに少し低下した患者は、死亡率が最も低かった。血清クレアチニンがより大きく低下した(−0.4mg/dL以上)または血清クレアチニンが増加した患者は、死亡率が高かった。これらの研究結果から、(手術後48時間以内のわずかなクレアチニン変化によって検出されるような)腎機能の非常にわずかな変化が、患者の予後に深刻な影響をもたらすと結論づけられる。臨床試験および診療において血清クレアチニンを用いてAKIを定義するための統一された分類システムのコンセンサスを得るために、Bellomo et al.,Crit Care.8(4):R204−12,2004(これは、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)は、AKI患者を層別化するための以下の分類を提議している:
「リスク」:ベースラインから1.5倍の血清クレアチニンの増加、または6時間の間の、0.5ml/体重kg/時間より少ない尿の産生;
「損傷」:ベースラインから2.0倍の血清クレアチニンの増加、または12時間の間の、0.5ml/体重kg/時間より少ない尿の産生;
「不全」:ベースラインから3.0倍の血清クレアチニンの増加もしくは355μmol/lを超えるクレアチニン(44を超える上昇)、または24時間の間の、0.3ml/kg/hrを下回る尿排出量または少なくとも12時間の間、無尿;
かつ2つの臨床予後を含む:
「喪失」:4週間を超える腎置換療法の永続的な必要性:
「ESRD」:末期の腎疾患−3ヶ月を超える透析の必要性:
これらの判定基準は、RIFLE判定基準と呼ばれ、腎臓の状態を分類するための有用な臨床的手段を提供する。Kellum,Crit.Care Med.36:S141−45,2008およびRicci et al.,Kidney Int.73,538−546,2008(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)において論じられるように、RIFLE判定基準は、多数の研究において実証されたAKIの一定の定義を提供する。
さらに最近、Mehta et al.,Crit.Care 11:R31(doi:10.1186.cc5713),2007(これは、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)が、RIFLEから変更された、AKI患者を層別化するための以下の類似の分類を提議している。
「ステージI」:0.3mg/dL以上(≧26.4μmol/L以上)の血清クレアチニンの増加もしくはベースラインから150%(1.5倍)以上の増加、または6時間以上の間の、1時間あたり0.5mL/kgより少ない尿排出量;
「ステージII」:ベースラインから200%(2倍)を超える血清クレアチニンの増加、または12時間以上の間の、1時間あたり0.5mL/kgより少ない尿排出量;
「ステージIII」:ベースラインから300%(3倍)を超える血清クレアチニンの増加、または少なくとも44μmol/Lの急激な増加を伴う354μmol/L以上の血清クレアチニン、または24時間の間の、1時間あたり0.3mL/kgより少ない尿排出量、もしくは12時間の間、無尿。
CIN Consensus Working Panel(McCollough et al,Rev Cardiovasc Med.2006;7(4):177−197、これは、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)は、血清クレアチニンの25%の上昇を用いて、(AKI型である)造影剤腎症を定義する。様々なグループが、血清クレアチニンを用いてAKIを検出するためにわずかに異なる判定基準を定義しているが、0.3mg/dLまたは25%などの血清クレアチニンのわずかな変化は、AKI(腎機能の悪化)を検出するのに十分であり、血清クレアチニン変化の規模は、AKIの重症度および死亡リスクの指標であるということがコンセンサスである。
数日の期間にわたる血清クレアチニンの連続的測定は、AKIを検出および診断する一般に認められる方法であり、かつAKI患者を評価する最も重要な手段の1つであると考えられているが、一般に、血清クレアチニンは、AKI患者の診断、評価および監視においていくつかの制限があると考えられている。血清クレアチニンが、AKIの診断に用いられると考えられている値(例えば、0.3mg/dLまたは25%の上昇)まで上昇する期間は、用いられる定義に応じて48時間以上になり得る。AKIにおける細胞損傷は数時間にわたって起こり得るので、48時間以上の時点で検出される血清クレアチニン上昇は、損傷の後期の指標になり得、したがって、血清クレアチニンを信頼することはAKIの診断を遅らせ得る。さらに、血清クレアチニンは、腎臓機能が急速に変化しているAKIの最も急性な段階の期間には、腎臓の正確な状態および治療の必要性についての優れた指標にならない。AKIを患う一部の患者は完全に回復し、一部は透析を(短期または長期のいずれか一方で)必要とし、一部は、死、心臓の主要有害事象および慢性腎疾患を含む他の有害な結果を有するであろう。血清クレアチニンは濾過率のマーカーであるので、AKIの原因(腎前性、腎内性、腎後性の閉塞、アンテローム閉塞など)または(例えば、起源が、尿細管、糸球体または間質内である)腎内性の疾患の分類もしくは損傷部位を区別しない。尿排出量は同様に限界がある。これらのことを知ることは、AKIを患う患者を管理および治療することにおいて極めて重要なことであり得る。
これらの制限は、特に、初期および無症状のステージにおいて、しかしまた、腎臓の回復および修復が起きる可能性のあるより後期のステージにおいて、AKIを検出および評価するためのより良い方法の必要性を強調する。さらに、AKIを患うリスクのある患者のより優れた同定の必要性がある。
本発明の目的は、対象の腎機能を評価するための方法および組成物を提供することにある。(それぞれ、本明細書で「腎臓損傷マーカー」と呼ぶ)ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される、本明細書記載の1種類以上のバイオマーカーの測定を、腎機能への損傷、腎機能の低下、および/または(急性腎臓損傷とも呼ばれる)急性腎不全を患う対象もしくはそれらを患うリスクのある対象において、診断、予後診断、リスク層化、病期分類、監視、分類ならびにさらなる診断および治療計画の決定のために用いることができる。
リスク層化のために(すなわち、腎機能の将来的な損傷、腎機能の低下への将来的な進行、ARFへの将来的な進行、腎機能の将来的な改善などのリスクのある対象を同定するために);現在の疾患の診断のために(すなわち、腎機能への損傷を患っている対象、腎機能への低下へと進行している対象、ARFへと進行している対象などを同定するために);腎機能の悪化または改善についての監視のために;かつ腎機能の改善もしくは悪化、死亡率の減少もしくは増加、対象が腎置換療法(すなわち、血液透析、腹膜透析、血液濾過、および/または腎移植)を必要とするであろうリスクの減少もしくは増加、対象が腎機能への損傷から回復するであろうリスクの減少もしくは増加、対象がARFから回復するであろうリスクの減少もしくは増加、対象が末期の腎疾患へと進行するであろうリスクの減少もしくは増加、対象が慢性腎疾患へと進行するであろうリスクの減少もしくは増加、対象が移植された腎臓の拒絶反応を患うであろうリスクの減少もしくは増加などの将来的な医学的予後を予測するために、本発明の腎臓損傷マーカーを、単独で、または多数の腎臓損傷マーカーを含むパネルで使用してもよい。
第一の態様において、本発明は、対象において腎臓の状態を評価する方法に関する。これらの方法は、対象から得られた体液試料内のベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1種類以上のバイオマーカーを検出するように構成されるアッセイ法を実行することを含む。このアッセイの結果(複数可)は、例えば、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの測定濃度は、その後、対象の腎臓の状態と相関される。この腎臓の状態との相関は、このアッセイ結果(複数可)を、本明細書記載の対象のリスク層化、診断、予後診断、病期分類、分類および監視のうちの1つ以上と相関させることを含んでもよい。したがって、本発明は、腎損傷の評価のために、本発明の1種類以上の腎臓損傷マーカーを利用する。
特定の実施形態において、本明細書記載の腎臓の状態を評価する方法は、対象のリスク層化、すなわち、腎臓の状態における1つ以上の将来的な変化の可能性を対象に割り当てる方法である。これらの実施形態において、このアッセイ結果(複数可)は、1つ以上の将来的なそのような変化と相関する。以下のものは、好ましいリスク層化の実施形態である。
リスク層化の好ましい実施形態において、これらの方法は、腎機能への将来的な損傷について対象のリスクを決定するステップを含み、このアッセイ結果(複数可)は、腎機能への将来的なかかる損傷の可能性と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を、各々、閾値と比較してもよい。「陽性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値を超えた時に、腎機能への将来的な損傷を患う可能性の増加を対象に割り当てる。「陰性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能への将来的な損傷を患う可能性の増加を対象に割り当てる。
リスク層化の他の好ましい実施形態において、これらの方法は、腎機能の将来的な低下について対象のリスクを決定するステップを含み、アッセイの結果(複数可)は、腎機能のかかる低下の可能性と相関する。例えば、測定濃度を、各々、閾値と比較してもよい。「陽性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値を超えた時に、腎機能の将来的な低下を患う可能性の増加をその対象に割り当てる。「陰性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の将来的な低下の可能性の増加をその対象に割り当てる。
リスク層化の他のさらに好ましい実施形態において、これらの方法は、腎機能の将来的な改善についての対象の可能性を決定するステップを含み、アッセイの結果(複数可)は、腎機能のかかる将来的な改善の可能性と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を、各々、閾値と比較してもよい。「陽性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の将来的な改善の可能性の増加をその対象に割り当てる。「陰性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の将来的な改善の可能性の増加をその対象に割り当てる。
リスク層化の他のさらに好ましい実施形態において、これらの方法は、ARFへの進行についての対象のリスクを決定するステップを含み、アッセイの結果(複数可)は、ARFへのかかる進行の可能性と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を、各々、閾値と比較してもよい。「陽性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値を超える時に、ARFへの進行の可能性の増加をその対象に割り当てる。「陰性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値より低い時に、ARFへの進行の可能性の増加をその対象に割り当てる。
リスク層化の他の好ましい実施形態において、これらの方法は、対象の予後のリスクを決定するステップを含み、アッセイの結果(複数可)は、その対象が患う腎損傷に関連する臨床予後の発生の可能性と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を、各々、閾値と比較してもよい。「陽性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値を超える時に、急性腎臓損傷、AKIの悪化するステージへの進行、死亡、腎置換療法の必要性、腎毒素の退薬の必要性、末期の腎疾患、心不全、脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓疾患への進行などのうちの1つ以上になる可能性の増加をその対象に割り当てる。「陰性進行」を表す腎臓損傷マーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して、測定濃度が閾値より低い時に、急性腎臓損傷、AKIの悪化するステージへの進行、死亡、腎置換療法の必要性、腎毒素の退薬の必要性、末期の腎疾患、心不全、脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓疾患への進行などのうちの1つ以上になる可能性の増加をその対象に割り当てる。
かかるリスク層化の実施形態において、体液試料を対象から得る時から約180日以内に、多少とも、所望の事象が生じる可能性があると割り当てられる可能性またはリスクが好ましい。特に好ましい実施形態において、この割り当てられる可能性またはリスクは、18カ月、120日、90日、60日、45日、30日、21日、14日、7日、5日、96時間、72時間、48時間、36時間、24時間、12時間以内などのより短い期間内で生じる所望の事象に関連する。体液試料を対象から得る時の0時間におけるリスクは、現状の診断に等しい。
リスク層化の好ましい実施形態において、対象において腎前性、腎内性、または腎後性のARFに対する1つ以上の既知のリスクファクターが以前から存在することに基づいて、リスク層化について、対象を選択する。例えば、大規模な血管手術、冠動脈バイパス、または他の心臓手術を経験するもしくは経験した対象;以前から存在する鬱血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、タンパク尿、腎不全、正常範囲を下回る糸球体濾過、肝硬変、正常範囲を上回る血清クレアチニン、もしくは敗血症を患っている対象;またはNSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イホスファミド、重金属、メトトレキサート、放射線造影剤、もしくはストレプトゾトシンに曝露された対象が、本明細書記載の方法に従ってリスクを監視するのに好ましい全ての対象である。このリストは、限定するようには意図しない。この文脈の「以前から存在する」とは、体液試料を対象から得る時に、リスクファクターが存在することを意味する。特に好ましい実施形態において、腎機能への損傷、腎機能の低下、またはARFの現行の診断に基づくリスク層化について、対象を選択する。
他の実施形態において、本明細書記載の腎臓の状態を評価する方法は、対象の腎損傷を診断する方法、すなわち、対象が腎機能への損傷、腎機能の低下、またはARFを患っているか否かを評価する方法である。これらの実施形態において、このアッセイ結果(複数可)、例えば、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1種類以上のバイオマーカーの測定濃度(複数可)は、腎臓の状態における変化の発生または不発生と相関する。下記は、好ましい診断の実施形態である。
好ましい診断の実施形態において、これらの方法は、腎機能への損傷の発生または不発生を診断するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、かかる損傷の発生または不発生と相関する。例えば、測定濃度(複数可)の各々を、閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎機能へ損傷が発生する可能性の増加を対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎機能へ損傷が発生しない可能性の増加を対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎機能へ損傷が発生する可能性の増加を対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎機能へ損傷が発生しない可能性の増加を対象に割り当ててもよい。
他の好ましい診断の実施形態において、これらの方法は、腎機能の低下の発生または不発生を診断するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、腎機能の低下を引き起こす損傷の発生または不発生と相関する。例えば、測定濃度(複数可)の各々を、閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の低下を引き起こす損傷が発生する可能性の増加を対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の低下を引き起こす損傷が発生しない可能性の増加を対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の低下を引き起こす損傷が発生する可能性の増加を対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の低下を引き起こす損傷が発生しない可能性の増加を対象に割り当ててもよい。
さらに他の好ましい診断の実施形態において、これらの方法は、ARFの発生または不発生を診断するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、ARFを引き起こす損傷の発生または不発生と相関する。例えば、測定濃度(複数可)の各々を、閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、ARFが発生する可能性の増加を対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、ARFが発生しない可能性の増加を対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、ARFが発生する可能性の増加を対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、ARFが発生しない可能性の増加を対象に割り当ててもよい。
さらに他の好ましい診断の実施形態において、これらの方法は、腎置換療法を必要としている対象を診断するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、腎置換療法の必要性と相関する。例えば、測定濃度(複数可)の各々を、閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎置換療法の必要性をもたらす損傷が発生する可能性の増加をその対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎置換療法の必要性をもたらす損傷が発生しない可能性の増加をその対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎置換療法の必要性をもたらす損傷が発生する可能性の増加をその対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎置換療法の必要性をもたらす損傷が発生しない可能性の増加をその対象に割り当ててもよい。
さらに他の好ましい診断の実施形態において、これらの方法は、腎移植を必要としている対象を診断するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、腎置換療法の必要性と相関する。例えば、測定濃度(複数可)の各々を、閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎移植の必要性をもたらす損傷が発生する可能性の増加をその対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎移植の必要性をもたらす損傷が発生しない可能性の増加をその対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、(測定濃度が閾値を超える時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値より低い時に、腎移植の必要性をもたらす損傷が発生する可能性の増加をその対象に割り当てるか、あるいは、(測定濃度が閾値より低い時に割り当てられる可能性に対して)測定濃度が閾値を超える時に、腎移植の必要性をもたらす損傷が発生しない可能性の増加をその対象に割り当ててもよい。
さらに他の実施形態において、本明細書記載の腎臓の状態を評価する方法は、対象の腎損傷を監視する方法、すなわち、腎機能への損傷、腎機能の低下、またはARFを患っている対象において、腎機能が改善しているかまたは悪化しているか否かを評価する方法である。これらの実施形態において、このアッセイ結果(複数可)、例えば、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1種類以上のバイオマーカーの測定濃度(複数可)は、腎臓の状態における変化の発生または不発生と相関する。以下のものは、好ましい監視の実施形態である。
好ましい監視の実施形態において、これらの方法は、腎機能への損傷を患っている対象において、腎臓の状態を監視するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、その対象の腎臓の状態における変化の発生または不発生と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。
他の好ましい監視の実施形態において、これらの方法は、腎機能の低下を患っている対象において、腎臓の状態を監視するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、その対象の腎臓の状態における変化の発生または不発生と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。
さらに他の好ましい監視の実施形態において、これらの方法は、急性腎不全を患っている対象において、腎臓の状態を監視するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、その対象の腎臓の状態における変化の発生または不発生と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。
さらに他の好ましい監視の実施形態において、これらの方法は、腎前性、腎内性、または腎後性のARFに対する1つ以上の既知のリスクファクターが以前から存在することにより、腎機能への損傷のリスクのある対象において、腎臓の状態を監視するステップを含み、このアッセイの結果(複数可)は、その対象の腎臓の状態における変化の発生または不発生と相関する。例えば、測定濃度(複数可)を閾値と比較してもよい。陽性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。陰性進行を表すマーカーについては、測定濃度が閾値より低い時に、腎機能の悪化をその対象に割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値を超える時に、腎機能の改善をその対象に割り当ててもよい。
さらに他の実施形態において、本明細書記載の腎臓の状態を評価する方法は、対象の腎損傷を分類する方法、すなわち、対象の腎損傷が腎前性、腎内性、または腎後性であるのかを決定する方法、および/またはこれらのクラスを、急性尿細管損傷、急性糸球体腎炎、急性尿細管間質性腎炎、急性血管腎症、または浸潤性疾患などのサブクラスに細かく分ける方法、および/または対象が特定のRIFLEステージへ進行する可能性を割り当てる方法である。これらの実施形態において、このアッセイ結果(複数可)、例えば、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1種類以上のバイオマーカーの測定濃度(複数可)は、特定のクラスおよび/またはサブクラスと相関する。下記は、好ましい分類の実施形態である。
好ましい分類の実施形態において、これらの方法は、対象の腎損傷が腎前性、腎内性、または腎後性であるのかを決定するステップ、および/またはこれらのクラスを、急性尿細管損傷、急性糸球体腎炎、急性尿細管間質性腎炎、急性血管腎症、または浸潤性疾患などのサブクラスにさらに細かく分けるステップ、および/または対象が特定のRIFLEステージへ進行する可能性を割り当てる方法ステップであり、このアッセイの結果(複数可)は、その対象についての損傷分類と相関する。例えば、測定濃度を閾値と比較してもよく、測定濃度が閾値を超える時に、特定の分類を割り当てるか、あるいは、測定濃度が閾値より低い時に、異なる分類をその対象に割り当ててもよい。
当業者は様々な方法を用いて、これらの方法に使用するための所望の閾値に達してもよい。例えば、この域値を、かかる健常対象において測定される腎臓損傷マーカーの75%、85%、90%、95%、または99%を表す濃度を選択することにより、健常対象の集団から決定してもよい。あるいは、この域値を、対象の「疾患」集団、例えば、損傷を患うまたは損傷の素因(例えば、ARFへの進行もしくは死、透析、腎移植などのいくつかの他の臨床予後など)を有する対象から、かかる対象において測定される腎臓損傷マーカーの75%、85%、90%、95%、または99%を表す濃度を選択することにより決定してもよい。別の代替手段において、この域値を、同じ対象の腎臓損傷マーカーを事前に測定することにより決定してもよい。すなわち、その対象における腎臓損傷マーカーのレベルの一時的変化を用いて、その対象にリスクを割り当ててもよい。
しかし、前述の議論は、本発明の腎臓損傷マーカーを対応する個々の閾値と比較しなければならないことを意味するようには意図しない。アッセイ結果を組み合わせる方法は、多変数ロジスティック回帰、対数線形モデル、ニューラル・ネットワーク解析、n/m解析、ディシジョンツリー解析、マーカーの比率計算などの使用を含み得る。このリストは、限定するようには意図しない。これらの方法において、個々のマーカーを組み合わせることにより決定される複合結果を、それがマーカー自体であるかのように取り扱ってもよい。すなわち、閾値を、個々のマーカーに対する本明細書記載の複合結果について決定してもよく、個々の患者についての複合結果をこの域値と比較してもよい。
特定の試験の2つの集団を区別する能力を、ROC解析を用いて確立することができる。例えば、腎臓の状態における1つ以上の将来的な変化を受けやすい「第一の」亜集団からROC曲線を作成し、そのような変化を受けにくい「第二の」亜集団を用いて、ROC曲線を作成することができ、この曲線下の面積は試験の質の尺度を提供する。本明細書記載の試験は、好ましくは0.5を超える、好ましくは少なくとも0.6を超える、より好ましくは0.7を超える、さらに好ましくは少なくとも0.8を超える、よりさらに好ましくは少なくとも0.9を超える、最も好ましくは少なくとも0.95を超えるROC曲線面積を提供する。
特定の態様において、1種類以上の腎臓損傷マーカーの測定濃度、またはかかるマーカーの混合物を、連続的変数として処理してもよい。例えば、任意の特定の濃度を、対象の腎機能の将来的な低下の対応する可能性、損傷の発生、分類などに変換することができる。さらに別の代替手段において、(例えば、腎臓の状態における1つ以上の将来的な変化、損傷の発生、分類などを受けやすい)「第一の」亜集団およびそのような影響を受けない「第二の」亜集団などの「グループ(bin)」に、対象の集団を分離することにおける許容レベルの特異度および感度を、閾値は提供することができる。試験精度の以下の尺度のうちの1つ以上により、閾値を選択して、この第一および第二の集団を分離する:1を超える、好ましくは少なくとも約2以上もしくは約0.5以下、より好ましくは少なくとも約3以上もしくは約0.33以下、さらにより好ましくは少なくとも約4以上もしくは約0.25以下、さらにより好ましくは少なくとも約5以上もしくは約0.2以下、最も好ましくは少なくとも約10以上もしくは0.1以下のオッズ比;0.5を超える、好ましくは少なくとも約0.6、より好ましくは少なくとも約0.7、さらにより好ましくは少なくとも約0.8、さらにより好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95の特異度、および0.2を超える、好ましくは約0.3を超える、より好ましくは約0.4を超える、さらにより好ましくは少なくとも約0.5を超える、さらにより好ましくは約0.6を超える、さらにより好ましくは約0.7を超える、さらにより好ましくは約0.8を超える、より好ましくは約0.9を超える、最も好ましくは約0.95を超える対応する感度;0.5を超える、好ましくは少なくとも約0.6、より好ましくは少なくとも約0.7、さらにより好ましくは少なくとも約0.8、さらにより好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95の感度、および0.2を超える、好ましくは約0.3を超える、より好ましくは約0.4を超える、さらにより好ましくは少なくとも約0.5を超える、さらにより好ましくは約0.6を超える、さらにより好ましくは約0.7を超える、さらにより好ましくは約0.8を超える、より好ましくは約0.9を超える、最も好ましくは約0.95を超える対応する特異度;少なくとも約75%の感度および少なくとも約75%の特異度;1を超える、少なくとも約2、より好ましくは少なくとも約3、さらにより好ましくは少なくとも約5、最も好ましくは少なくとも約10の(感度/(1−特異度)として計算される)陽性尤度比;または1より低い、約0.5以下、より好ましくは約0.3以下、最も好ましくは約0.1以下の((1−感度)/特異度として計算される)陰性尤度比。
上記の尺度のいずれかの文脈における「約」という用語は、既定の尺度の+/−5%を表す。
複数の閾値を用いて、対象の腎臓の状態を評価してもよい。例えば、腎臓の状態における1つ以上の将来的な変化、損傷の発生、分類などを受けやすい「第一の」亜集団、およびそのような影響を受けにくい「第二の」亜集団を、単一グループに統合することができる。その後、このグループを、(細分数に応じて、三分位数、四分位数、五分位数などとして知られる)3つ以上の均等な部分に細かく分ける。対象が分類される細分に基づいて、オッズ比を対象に割り当てる。三分位数を考慮する場合、他の細分の比較のための参照として、最も低いまたは最も高い三分位数を用いることができる。この参照細分は、オッズ比を1と割り当てる。第二の三分位数を、その第一の三分位数に関連するオッズ比を割り当てる。すなわち、第二の三分位数のあるヒトは、第一の三分位数のヒトと比較して、腎臓の状態における1つ以上の将来的な変化に苦しむ可能性が3倍以上ある。第三の三分位数にも、その第一の三分位数に関連するオッズ比を割り当てる。
特定に実施形態において、このアッセイ法はイムノアッセイである。かかるアッセイで使用する抗体は、所望の全長腎臓損傷マーカーと特異的に結合し、かつそれと「関連する」(この用語は下記で定義される)1種類以上のポリペプチドとも結合してもよい。多数のイムノアッセイ形式が当業者に知られている。好ましい体液試料は、尿、血液、血清、唾液、涙、および血漿からなる群から選択される。
前述の方法のステップは、腎臓損傷マーカーアッセイの結果(複数可)を、本明細書記載の方法の中の単離に使用するという意味で解釈されるべきではない。むしろ、追加変数または他の臨床的徴候を本明細書記載の方法に含めてもよい。例えば、リスク層化、診断、分類、監視などの方法は、人口学的情報(例えば、体重、性別、年齢、人種)、病歴(例えば、家族の病歴、手術の種類、動脈瘤、鬱血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、タンパク尿、腎不全、もしくは敗血症などの以前から存在する疾患、NSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イホスファミド、重金属、メトトレキサート、放射線造影剤、もしくはストレプトゾトシンなどの毒物曝露の種類)、臨床的変数(例えば、血圧、温度、呼吸速度)、リスクスコア(APACHEスコア、PREDICTスコア、UA/NSTEMIのTIMIリスクスコア、フラミンガムリスクスコア、糸球体濾過量、推定糸球体濾過量、尿生産率、血清もしくは血漿のクレアチニン濃度、尿クレアチニン濃度、ナトリウムの分画排泄率、尿ナトリウム濃度、血清もしくは血漿のクレアチニンに対する尿クレアチニンの比、尿比重、尿浸透圧、血漿の尿素窒素に対する尿の尿素窒素の比、クレアチニンに対する血漿BUNの比、尿ナトリウム/(尿クレアチニン/血漿クレアチニン)として計算される腎不全の指標、血清または血漿の好中球ゼラチナーゼ(NGAL)濃度、尿のNGAL濃度、血清もしくは血漿のシスタチンC濃度、血清もしくは血漿の心臓トロポニン濃度、血清もしくは血漿のBNP濃度、血清もしくは血漿のNTproBNP濃度、および血清もしくは血漿のproBNP濃度からなる群から選択される、対象について測定される1つ以上の変数と、アッセイ結果(複数可)とを組み合わせてもよい。1種類以上の腎臓損傷マーカーのアッセイ結果(複数可)と組み合わせてもよい腎機能の他の尺度は、本明細書の以下に、およびHarrison’s Principles of Internal Medicine,17th Ed.,McGraw Hill,New York,pages 1741−1830、ならびにCurrent Medical Diagnosis&Treatment 2008,47th Ed,McGraw Hill,New York,pages 785−815(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組込まれる)に記載されている。
2種類以上のマーカーを測定する時、これらの個々のマーカーを、同時に得られる試料において測定するか、または別の(例えば、より早くもしくはより遅い)時に得られる試料から測定してもよい。これらの個々のマーカーを、同じまたは異なる体液試料において測定してもよい。例えば、1種類の腎臓損傷マーカーを血清または血漿試料において測定し、別の腎臓損傷マーカーを尿試料において測定してもよい。さらに、可能性の割り当ては、個々の腎臓損傷マーカーアッセイの結果と、1つ以上の追加変数における経時変化とを組み合わせてもよい。
関連する様々な態様において、本発明は、本明細書記載の方法を実行するための装置およびキットにも関連する。適切なキットは、記載の閾値比較を実行するための説明書と共に、記載の腎臓損傷マーカーのうちの少なくとも1種類についてのアッセイを実行するのに十分である試薬を含む。
特定の実施形態において、かかるアッセイを実行するための試薬はアッセイ装置に供給され、かかるアッセイ装置はかかるキットに含まれてもよい。好ましい試薬は、1種類以上の固相抗体を含み、この固相抗体は、固形支持体に結合した目的のバイオマーカーの標的(複数可)を検出する抗体を含み得る。サンドイッチイムノアッセイの場合、かかる試薬は、1種類以上の検出可能な程度に標識された抗体も含み、この検出可能な程度に標識された抗体は、検出可能な標識に結合した目的のバイオマーカーの標的(複数可)を検出する抗体を含み得る。アッセイ装置の一部として提供され得る追加の随意的要素を、本明細書の以下に記載する。
検出可能な標識は、それら自体検出可能(例えば、蛍光性の部分、電気化学的標識、ecl(電気化学発光)標識、金属キレート、コロイド金属粒子など)である分子、および検出可能な反応産物(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素、アルカリホスファターゼなど)の産生によって、または、それ自体検出可能であり得る特異的結合分子(例えば、二次抗体、ビオチン、ジゴキシゲニン、マルトース、オリゴヒスチジン、2,4−ジニトロベンゼン、フェニルヒ酸(phenylarsenate)、ssDNA、dsDNAなど)の使用を経て間接的に検出され得る分子を含み得る。
シグナル発生要素からのシグナルの産生を、当業で周知の様々な光学的な、聴覚の、電気化学的方法を用いて行うことができる。検出モードの例として、蛍光発光、放射化学検出、反射率、吸光度、電流測定、伝導性、インピーダンス、インターフェロメトリー、偏光解析法などが挙げられる。これらの方法のうちの特定の方法において、固相抗体は、シグナル産生のトランスデューサー(例えば、回折格子、電気化学センサーなど)に結合するが、他の方法において、固相抗体から空間的に離れたトランスデューサー(例えば、励起光源および光学検出器を使用する蛍光光度計)によりシグナルを産生する。このリストは、限定するようには意図しない。抗体ベースのバイオセンサーも使用して、任意選択で標識分子を必要としない検体の存在または量を決定してもよい。
本発明は、1種類以上の腎臓損傷マーカーの測定を経て、腎機能への損傷、腎機能の低下、および/または急性腎不全を患う対象もしくはそれらを患うリスクのある対象における診断、鑑別診断、リスク層化、監視、分類ならびに治療計画の決定のための方法および組成物に関連する。様々な実施形態において、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、フォリスタチン、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1種類以上のバイオマーカー、またはそれらと関連する1種類以上のマーカーの測定濃度は、対象の腎臓の状態と相関する。
本明細書の目的のために、以下の定義を適用する。
本明細書で使用する「腎機能への損傷」は、腎機能の尺度における突然(14日以内、好ましくは7日以内、より好ましくは72時間以内、さらにより好ましくは48時間以内)の測定可能な低下である。かかる損傷を、例えば、糸球体濾過量または推定GFRの減少、尿排出量の低下、血清クレアチニンの増加、血清シスタチンCの増加、腎置換療法の必要性などによって明らかにしてもよい。「腎機能の改善」は、腎機能の尺度における突然(14日以内、好ましくは7日以内、より好ましくは72時間以内、さらにより好ましくは48時間以内)の測定可能な増加である。GFRを測定および/または評価する好ましい方法を、本明細書の以下に記載する。
本明細書で使用する「腎機能の低下」は、0.1mg/dL以上(≧8.8μmol/L)の血清クレアチニンの絶対的増加、20%(ベースラインから1.2倍)以上の血清クレアチニンの増加の割合、または尿排出量の低下(1時間あたり0.5ml/kgより低い実証された乏尿)によって明らかにされる腎臓機能における突然(14日以内、好ましくは7日以内、より好ましくは72時間以内、さらにより好ましくは48時間以内)の低下である。
本明細書で使用する「急性腎不全」または「ARF」は、0.3mg/dL以上(≧26.4μmol/l)の血清クレアチニンの絶対的増加、50%(ベースラインから1.5倍)以上の血清クレアチニンの増加の割合、または尿排出量の低下(少なくとも6時間の間、1時間あたり0.5ml/kgより低い実証された乏尿)によって明らかにされる腎臓機能における突然(14日以内、好ましくは7日以内、より好ましくは72時間以内、さらにより好ましくは48時間以内)の低下である。この用語は、「急性腎臓損傷」または「AKI」と同義である。
本明細書で使用する「ベータ−神経成長因子」という用語は、生体試料中に存在し、ベータ−神経成長因子前駆体(Swiss−Prot P1138配列番号1))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、ベータ−神経成長因子において同定された。
残基 長さ ドメインID
1−18 18 シグナル配列
19−121 103 プロペプチド
122−241 120 成熟ベータ−神経成長因子
本明細書で使用する「インターロイキン17A」という用語は、生体試料中に存在し、インターロイキン17A前駆体(Swiss−ProtQ16552(配列番号2))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、インターロイキン17Aにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−23 23 シグナル配列
24−155 132 成熟インターロイキン17A
本明細書で使用する「卵胞刺激ホルモンβサブユニット」という用語は、生体試料中に存在し、卵胞刺激ホルモンβサブユニット前駆体(Swiss−ProtP01225(配列番号3))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、卵胞刺激ホルモンβサブユニットにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−18 18 シグナル配列
19−129 111 成熟卵胞刺激ホルモンβサブユニット
本明細書で使用する「コラゲナーゼ3」という用語は、生体試料中に存在し、コラゲナーゼ3前駆体(Swiss−Prot P45452(配列番号4))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、コラゲナーゼ3において同定された。
残基 長さ ドメインID
1−19 19 シグナル配列
20−103 84 活性化ペプチド
104−471 368 成熟コラゲナーゼ3
本明細書で使用する「フォリスタチン」という用語は、生体試料中に存在し、フォリスタチン前駆体(Swiss−Prot P19883(配列番号5))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、フォリスタチンにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−29 29 シグナル配列
30−344 315 成熟フォリスタチン
318−344 27 アイソフォーム2における欠落
318−323 6 アイソフォーム3における欠落
本明細書で使用する「ビタミンD結合タンパク質」という用語は、生体試料中に存在し、ビタミンD結合タンパク質前駆体(Swiss−Prot P02774(配列番号6))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、ビタミンD結合タンパク質において同定された。
残基 長さ ドメインID
1−16 16 シグナル配列
17−474 458 成熟ビタミンD結合タンパク質
1−122 122 アイソフォーム2における欠落
本明細書で使用する「膵島アミロイドポリペプチド」という用語は、生体試料中に存在し、膵島アミロイドポリペプチド前駆体(Swiss−Prot P10997(配列番号7))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、膵島アミロイドポリペプチドにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−22 22 シグナル配列
23−31 9 プロペプチド
34−70 37 成熟膵島アミロイドポリペプチド
74−89 16 プロペプチド
本明細書で使用する「インスリンCペプチド」という用語は、生体試料中に存在し、インスリンCペプチド前駆体(Swiss−Prot P01308(配列番号8))に由来する1種類以上のポリペプチドを表し、インスリンCペプチド配列のすべてもしくは一部分を含むものである。
Figure 2016180762
以下のドメインが、インスリン前駆体において同定された。
残基 長さ ドメインID
1−24 24 シグナル配列
25−54 30 インスリンB鎖
57−87 31 インスリンCペプチド
90−110 21 インスリンA鎖
本明細書で使用する「補体H因子」という用語は、、生体試料中に存在し、補体H因子前駆体(Swiss−ProtP08603(配列番号9))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
Figure 2016180762
以下のドメインが、補体H因子において同定された。
残基 長さ ドメインID
1−18 18 シグナル配列
19−1231 1213 成熟補体H因子
446−449 KTCS アイソフォーム2におけるSFTL
450−1231 アイソフォーム2における欠落
本明細書で使用する「胃抑制ポリペプチド」という用語は、、生体試料中に存在し、胃抑制ポリペプチド前駆体(Swiss−Prot P09681(配列番号10))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、胃抑制ポリペプチドにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−21 21 シグナル配列
22−50 29 プロペプチド
52−93 42 成熟胃抑制ポリペプチド
95−153 59 プロペプチド
本明細書で使用する「グルカゴン」という用語は、生体試料中に存在し、グルカゴン前駆体(Swiss−Prot P01275(配列番号12))に由来する1種類以上のポリペプチドを表し、成熟グルカゴンのすべてもしくは一部分を含むものである。同様に、「グルカゴン様ペプチド1」という用語は、生体試料中に存在し、グルカゴン前駆体(Swiss−Prot P01275(配列番号12))に由来する1種類以上のポリペプチドを表し、グルカゴン様ペプチド1のすべてもしくは一部分を含むものである。
Figure 2016180762
以下のドメインが、グルカゴンにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−20 20 シグナル配列
21−89 69 グリセンチン
21−50 30 グリセンチン関連ポリペプチド
53−89 37 オキシントモジュリン
53−81 29 成熟グルカゴン84−89 6 プロペプチド
92−128 37 グルカゴン様ペプチド1
98−128 31 グルカゴン様ペプチド1(7−37)
98−127 30 グルカゴン様ペプチド1(7−36)
131−145 15 プロペプチド
146−178 33 グルカゴン様ペプチド2
本明細書で使用する「インボルクリン」という用語は、生体試料中に存在し、インボルクリン前駆体(Swiss−Prot P07476(配列番号13))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
本明細書で使用する「II型細胞骨格ケラチン−1/10」という用語は、生体試料中に存在し、II型細胞骨格ケラチン−1前駆体(Swiss−Prot P04264(配列番号14))
Figure 2016180762
もしくはII型細胞骨格ケラチン−10前駆体(Swiss−Prot P13645(配列番号15)) に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
Figure 2016180762
好ましいアッセイは、II型ケラチン−1およびII型ケラチン−10配列の両方を検出する。
本明細書で使用する「II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C」という用語は、生体試料中に存在し、II型細胞骨格ケラチン−6A前駆体(Swiss−Prot P02538(配列番号16))
Figure 2016180762
Figure 2016180762
もしくはII型細胞骨格ケラチン−6B前駆体(Swiss−Prot P04259(配列番号17))
Figure 2016180762
もしくはII型細胞骨格ケラチン−6C前駆体(Swiss−Prot P48668(配列番号18))
Figure 2016180762
に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
好ましいアッセイは、II型細胞骨格ケラチン−6A、−6B、−6Cの各配列を検出する。
本明細書で使用する「オステオカルシン」という用語は、生体試料中に存在し、オステオカルシン前駆体(Swiss−Prot P02818(配列番号19))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、オステオカルシンにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−23 23 シグナル配列
24−51 28 プロペプチド
52−100 49 成熟オステオカルシン
本明細書で使用する「リポ多糖」は、Escherichia coli、Klebsiella、ProteusもしくはPseudomonas. Circulating LPSのようなグラム陰性生物の細胞壁を構成し、特に、リピドAを構成し、広い範囲の全身反応を誘発する。モノサイトおよびマクロファージの活性化は、IL−6、IL−12、IL−15、IL−1、TNF−α、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)および高移動度タンパク質B1(HMGB1)などのサイトカイン様分子のようなサイトカインの放出を引き起こし、同様に、好中球、リンパ球および血管内皮、上方調節細胞接着分子を放出し、プロスタグランジン、NO合成酵素および急性期タンパク質を誘発する。血小板活性因子(PAF)、プロスタグランジン、ロイコトリエンおよびトロンボキサンの放出は、血管内皮を活性化し、血管緊張を調節し、外因性凝固カスケードを活性化する。生体試料中のLPS測定のためのアッセイは、例えば、Limulus amoebocyte lysate (LAL)のように、当業者に知られている。
本明細書で使用する「脾臓ポリペプチド」という用語は、生体試料中に存在し、脾臓ポリペプチド前駆体(Swiss−Prot P01298(配列番号20))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、脾臓ポリペプチドにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−29 29 シグナル配列
30−65 36 成熟脾臓ポリペプチド
69−88 20 脾臓イコサペプチド
89−95 7 プロペプチド
本明細書で使用する「ペプチドYY癌抗原CA15−3」という用語は、生体試料中に存在し、ペプチドYY癌抗原CA15−3前駆体(Swiss−Prot P10082(配列番号21))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、ペプチドYYにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−28 28 シグナル配列
29−64 36 成熟ペプチドYY
31−64 34 ペプチドYY(3−36)
68−97 30 プロペプチド
91−97 7 アイソフォーム2における欠落
本明細書で使用する「アグーチ関連タンパク質」という用語は、生体試料中に存在し、アグーチ関連タンパク質
前駆体(Swiss−Prot000253(配列番号22))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、アグーチ関連タンパク質において同定された。
残基 長さ ドメインID
1−20 20 シグナル配列21−132 112 成熟アグーチ関連タンパク質
本明細書で使用する「毛様体神経栄養因子」という用語は、生体試料中に存在し、毛様体神経栄養因子前駆体(Swiss−Prot P26441(配列番号23))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
本明細書で使用する「食欲調節ホルモン」という用語は、生体試料中に存在し、食欲調節ホルモン前駆体(Swiss−Prot Q9UBU3(配列番号24))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、食欲調節ホルモンにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−23 23 シグナル配列
24−51 28 グレリン28
24−50 27 グレリン27
52−75 24 プロペプチド
76−98 23 オベスタチン
99−117 19 プロペプチド
37 1 アイソフォーム2における欠落
本明細書で使用する「トランスサイレチン」という用語は、生体試料中に存在し、トランスサイレチン前駆体(Swiss−ProtP02766(配列番号25))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
以下のドメインが、トランスサイレチンにおいて同定された。
残基 長さ ドメインID
1−20 20 シグナル配列
21−147 127 成熟トランスサイレチン
本明細書で使用する「インスリン受容体基質−1」という用語は、生体試料中に存在し、インスリン受容体基質−1前駆体(Swiss−Prot P35568(配列番号26))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
Figure 2016180762
本明細書で使用する「NF−kB阻害剤アルファ」という用語は、生体試料中に存在し、NF−kB阻害剤アルファ前駆体(Swiss−Prot P25963(配列番号27))に由来する1種類以上のポリペプチドを表す。
Figure 2016180762
本明細書で使用する、検体の「存在または量とシグナルを関連づける」という用語は、以下の理解を示す。典型的には、所望の検体の既知濃度を用いて計算される標準曲線の使用を経て、アッセイシグナルを検体の存在または量と関連づける。この用語は、本明細書で使用されるように、アッセイが、生理的に適切な濃度の検体の存在または量を示す検出可能なシグナルを発生することができる場合、アッセイは、検体を「検出するように構成」される。ポリペプチドがこのアッセイにおいて使用される抗体または複数の抗体に結合するのに必要なエピトープ(複数可)を含む限り、抗体エピトープは約8アミノ酸であるので、所望のマーカーを検出ように構成されるイムノアッセイは、マーカー配列と関連するポリペプチドも検出するであろう。本明細書記載の腎臓損傷マーカーの1種類などのバイオマーカーに関して、本明細書で使用する「関連マーカー」という用語は、マーカーそれ自体の代替としてもしくは独立したバイオマーカー類として検出され得る特定のマーカーまたはその生合成の親マーカーのうちの1つ以上の断片、バリアントなどを表す。この用語は、生体試料中に存在し、結合タンパク質類、受容体類、ヘパリン、脂質類、糖類などの追加種と複合体を形成するバイオマーカー前駆体に由来する1種類以上のポリペプチドも表す。
この点において、当業者は、イムノアッセイから得られるシグナルが、1種類以上の抗体および標的生体分子(すなわち、検体)とこれらの抗体が結合する必須のエピトープ(複数可)を含むポリペプチドとの間で形成される複合体の直接的な結果であると理解するであろう。かかるアッセイは全長のバイオマーカーを検出し、このアッセイ結果は所望のバイオマーカーの濃度として表され得るが、実際は、このアッセイのシグナルは、試料中に存在する全てのかかる「免疫反応性」ポリペプチドの結果である。バイオマーカーの発現を、タンパク質測定(ドットブロット、ウエスタンブロット、クロマトグラフ法、質量分析法など)および核酸測定(mRNA定量化)を含むイムノアッセイ以外の手段によって決定してもよい。このリストは、限定するようには意図されない。
本明細書で使用する「陽性進行」を表すマーカーという用語は、疾患または病気を患わない対象に対して、疾患または病気を患う対象において増加していると決定されるマーカーを表す。本明細書で使用する「陰性進行」を表すマーカーという用語は、疾患または病気を患わない対象に対して、疾患または病気を患う対象において減少していると決定されるマーカーを表す。
本明細書で使用する「対象」という用語は、ヒトまたはヒトではない生物を表す。したがって、本明細書記載の方法および組成物は、ヒトおよび動物の両方の疾患に適用できる。さらに、対象は生物であることが好ましいが、本明細書記載の発明は、死後の検体において同様に使用してもよい。好ましい対象はヒトであり、最も好ましくは「患者」であり、本明細書で使用する患者は、疾患または病気の医療を受けている、生きているヒトを表す。これには、病気が分からない、病状の兆候について調べられているヒトが含まれる。
検体は試料において測定されることが好ましい。かかる試料を、対象から取得するか、または対象に提供されることが意図される生体物質から取得してもよい。例えば、試料は、対象への移植の可能性について評価されている腎臓から取得してもよく、検体測定を用いて、以前から存在する損傷についてこの腎臓を評価してもよい。試料は、体液試料であることが好ましい。
本明細書で使用する「体液試料」という用語は、患者または移植提供者などの所望の対象の診断、予後診断、分類または評価の目的のために取得される体液の試料を表す。特定の実施形態において、かかる試料を、進行している病気の予後または病気における治療計画の効果を決定する目的のために取得してもよい。好ましい体液試料には、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰、および胸水が含まれる。さらに、特定の体液試料は、分画または精製の手順後に、例えば、全血を血清または血漿の成分へ分離した後に、より容易に解析されるということを当業者は理解するであろう。
本明細書で使用する「診断」という用語は、患者がある疾患または病気を患っているか否かの可能性(probability)(「可能性(likelihood)」)を当業者が評価および/または決定することができる方法を表す。本発明の場合、「診断」は、任意選択で、他の臨床的特徴と共に本発明の腎臓損傷マーカーについてのアッセイ、最も好ましくはイムノアッセイの結果を用いて、試料を取得し、アッセイする対象の急性腎損傷またはARFの診断(すなわち、発生もしくは不発生)に達するステップを含む。かかる診断が「決定される」ということは、この診断が100%正確であることを意味することは意図しない。多くのバイオマーカーが複数の病気を示す。熟練した臨床医は、情報の真空状態においてバイオマーカーの結果を用いないが、むしろ、他の臨床的徴候と共に試験結果を用いて、診断に達する。したがって、一方の所定の診断の閾値における測定バイオマーカーのレベルは、他方の所定の診断の閾値の測定レベルに対して、対象における疾患の発生の可能性が高いことを示す。
同様に、予後診断のリスクは、所定の経過または結果が起こる可能性(probability)(「可能性(likelihood)」)を示唆する。病的状態の可能性の増加(例えば、腎機能の悪化、将来的なARF、または死)と同じく関係がある予後指標のレベルまたはレベルの変化を、患者における有害事象の「可能性の増加を示している」と見なす。
マーカーアッセイ
一般に、イムノアッセイは、所望のバイオマーカーを含むまたは含むと思われる試料と、このバイオマーカーと特異的に結合する少なくとも1種類の抗体とを接触させるステップを含む。その後、この試料中のポリペプチドとこの抗体が結合することにより形成される複合体の存在または量を示すシグナルが発生する。その後、このシグナルは、この試料中のバイオマーカーの存在または量と関連する。バイオマーカーの検出および解析のための多数の方法および装置が当業者に周知である。例えば、米国特許第6,143,576号、同第6,113,855号、同第6,019,944号、同第5,985,579号、同第5,947,124号、同第5,939,272号、同第5,922,615号、同第5,885,527号、同第5,851,776号、同第5,824,799号、同第5,679,526号、同第5,525,524号、および同第5,480,792号明細書、ならびにThe Immunoassay Handbook,David Wild,ed.Stockton Press,New York,1994を参照されたい。これらの各々は、全ての表、図および特許請求の範囲を含めて、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
当業で知られるこれらのアッセイ装置および方法は、様々なサンドイッチアッセイ、競合アッセイ、または非競合アッセイの形式で標識分子を利用し、所望のバイオマーカーの存在または量と関連するシグナルを発生することができる。適切なアッセイ形式には、クロマトグラフ法、質量分析法、およびタンパク質「ブロッティング」法も含まれる。さらに、標識分子を必要とせず、かかるバイオセンサーおよび光学イムノアッセイなどの特定の方法および装置を用いて、検体の存在または量を決定してもよい。例えば、米国特許第5,631,171号、および同第5,955,377号明細書を参照されたい。これらの各々は、全ての表、図および特許請求の範囲を含めて、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。ベックマン社のACCESS(登録商標)、アボット社のAXSYM(登録商標)、ロッシュ社のELECSYS(登録商標)、デイドベーリング社のSTRATUS(登録商標)のシステムを含むがそれらに限定されないロボット計測手段は、イムノアッセイを実行することができるイムノアッセイ分析器に含まれることも当業者は理解する。しかし、任意の適切なイムノアッセイは、例えば、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、競合結合アッセイなどを利用してもよい。
抗体または他のポリペプチドを、アッセイにおいて使用するための様々な固形支持体上に固定化してもよい。特異的結合メンバーを固定化するために使用され得る固相は、固相結合アッセイの固相として開発および/または使用される固相を含む。適切な固相の例として、メンブランフィルター、セルロースベースのペーパー紙、(重合体、ラテックス、常磁性の粒子を含む)ビーズ、グラス、シリコンウエハー、微小粒子、ナノ粒子、TentaGel、AgroGel、PEGAゲル、SPOCCゲルならびにマルチウェルプレートが挙げられる。アッセイの条片(strip)を、固形支持体上のアレイに抗体または複数の抗体をコーティングすることにより調製することができる。その後、この条片を試験試料に浸し、洗浄および検出ステップを経て迅速に処理し、有色点などの測定可能なシグナルを発生させることができる。抗体または他のポリペプチドを、アッセイ装置表面に直接結合させるか、または間接的に結合させるかのいずれかにより、アッセイ装置の特異的ゾーンに結合させてもよい。後者の例において、抗体または他のポリペプチドを、粒子または他の固形支持体上に固定化してもよく、その固形支持体をこの装置表面に固定化してもよい。
生物アッセイは検出法を必要とし、結果の定量化の最も一般的な方法の1つは、試験している生物システム中の成分の1つに親和性を有するタンパク質または核酸に、検出可能な標識を結合させることである。検出可能な標識には、それ自体検出可能な(例えば、蛍光部分、電気化学標識、金属キレートなどの)分子、および検出可能な反応生成物(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素)の産生によって、またはそれ自体検出可能である特異的結合分子(例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、マルトース、オリゴヒスチジン、2,4−ジニトロベンゼン、フェニルヒ酸、ssDNA、dsDNAなど)によって間接的に検出され得る分子が含まれ得る。
固相および検出可能な標識複合体の調製には、多くの場合、化学的架橋剤の使用が含まれる。クロスリンク試薬には少なくとも2つの反応基が含まれ、一般的に、(同一の反応基を含む)同種官能性クロスリンカーおよび(同一ではない反応基を含む)異種官能性クロスリンカーに分けられる。アミン、スルフヒドリル基を介して結合するか、または非特異的に反応する同種二機能性クロスリンカーは、多くの商業的供給源から入手可能である。マレイミド、アルキルおよびアリールハロゲン化物、α−ハロアシル、ピリジルジスルフィドは、チオール反応基である。マレイミド、アルキルおよびアリールハロゲン化物、およびα−ハロアシルはスルフヒドリル基と反応し、チオールエーテル結合を形成するが、ピリジルジスルフィドはスルフヒドリル基と反応し、混合ジスルフィドを産生する。このピリジルジスルフィド産物は切断可能である。イミドエステルは、タンパク質−タンパク質クロスリンクにも非常に有用である。成功する結合に対して異なる性質を各々組み合わせている、様々な異種二機能性クロスリンカーが市販されている。
特定の態様において、本発明は、記載の腎臓損傷マーカーの解析のためのキットを提供する。このキットは、腎臓損傷マーカーの少なくとも1種類の抗体を含む少なくとも1種類の試験試料の解析のための試薬類を含む。このキットは、本明細書記載の診断および/または予後の相関のうちの1つ以上を行う装置および使用説明書も含み得る。好ましいキットには、検体について、サンドイッチアッセイを実行するための抗体ペア、または競合アッセイを実行するための標識種が含まれるであろう。抗体ペアは、固相に結合する一次抗体および検出可能な標識に結合する二次抗体を含むことが好ましく、この一次および二次抗体の各々は、腎臓損傷マーカーと結合する。これらの抗体の各々は、モノクローナル抗体であることが最も好ましい。このキットを使用するための、および相関を行うための使用説明書はラベルの形式で存在することができ、このラベルは、その製造、輸送、販売または使用の期間のいかなる時にも、キットに付着しているか、またはそうでなければ、キットに伴う任意の記入または記録された資料を表す。例えば、ラベルという用語は、広告ビラおよびパンフレット、包装材料、使用説明書、オーディオまたはビデオカセット、コンピューターディスク、および直接キットにインプリントされた文書を包含する。
抗体
本明細書で使用する「抗体」という用語は、抗原またはエピトープと特異的に結合することができる免疫グロブリン遺伝子もしくは複数の免疫グロブリン遺伝子、もしくはその断片に由来する、それらを手本にするまたはそれらによって実質的にコードされるペプチドもしくはポリペプチドを表す。例えば、Fundamental Immunology,3rd Edition,W.E.Paul,ed.,Raven Press,N.Y.(1993);Wilson(1994;J.Immunol.Methods 175:267−273;Yarmush(1992)J.Biochem.Biophys.Methods 25:85−97を参照されたい。抗体という用語は,抗原に結合する能力を保有する抗原結合部分、すなわち「抗原結合部位」(例えば、断片、サブシーケンス、相補性決定領域(CDR))を含み、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって結合される2つのFab断片からなる二価の断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989) Nature 341:544−546)ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。一本鎖抗体も、参照により「抗体」という用語に含まれる。
本明細書記載のイムノアッセイにおいて使用する抗体は、本発明の腎臓損傷マーカーに特異的に結合することが好ましい。「特異的に結合する」という用語は、抗体は、上記のように、その抗体が結合するエピトープ(複数可)を提示する任意のポリペプチドと結合するので、抗体は、その指定された標的と独占的に結合するということを示すようには意図しない。むしろ、適切なエピトープ(複数可)を提示しない非標的分子に対する親和性と比較した時、抗体の指定された標的に対する親和性が約5倍を超える場合、抗体は「特異的に結合する」。非標的分子に対する親和性よりも標的分子に対する抗体の親和性は、好ましくは少なくとも約5倍を超える、好ましくは10倍を超える、より好ましくは25倍を超える、さらにより好ましくは50倍を超える、最も好ましくは100倍以上であろう。好ましい実施形態において、好ましい抗体は少なくとも約107M−1の親和性、好ましくは約108M−1〜約109M−1の間の親和性、約109M−1〜約1010M−1の間の親和性、または約1010M−1〜約1012M−1の間の親和性で結合する。
親和性は、Kd=koff/kon(koffは解離速度定数であり、konは会合速度定数であり、kdは平衡定数である)として計算される。親和性を、様々な濃度(c)における標識リガンドの結合の割合(fraction bound)(r)を測定することによって、平衡状態で決定することができる。スキャッチャード方程式:r/c=K(n−r)(式中、r=平衡状態における結合リガンドのモル/受容体のモル;c=平衡状態における遊離リガンド濃度;K=平衡結合定数;およびn=1つの受容体分子あたりのリガンド結合部位の数)を用いて、これらのデータをグラフにする。グラフ解析により、r/cをY軸上にプロットするのに対して、rをX軸上にプロットし、このようにして、スキャッチャードプロットを作成する。スキャッチャード解析による抗体親和性測定法は当業で周知である。例えば、van Erp et al.,J.Immunoassay 12:425−43,1991;Nelson and Griswold,Comput.Methods Programs Biomed.27:65−8,1988を参照されたい。
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合することができる抗原決定基を表す。エピトープは、大抵、アミノ酸または糖の側鎖などの分子の化学的な活性表面集団からなり、大抵、特定の3次元構造の特性および、特定の電荷特性を有する。立体構造エピトープおよび非立体構造エピトープを、変性溶媒の存在下で、前者との結合を失うが後者との結合は失わないという点において区別する。
多数の刊行物が、選択される検体に結合するポリペプチドのライブラリーを作製し、スクリーニングを行うファージディスプレイ法の使用について論じている。例えば、Cwirla et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,6378−82,1990;Devlin et al.,Science 249,404−6,1990,Scott and Smith,Science 249,386−88,1990;およびLadnerらの米国特許第5,571,698号明細書を参照されたい。ファージディスプレイ法の基本概念は、スクリーニングされるポリペプチドをコードするDNAとこのポリペプチドとの間の物理的結合の確立である。この物理的結合は、このポリペプチドをコードするファージゲノムを封入するカプシドの一部としてポリペプチドを提示するファージ粒子によってもたらされる。ポリペプチドとそれらの遺伝物質との間の物理的結合の確立は、異なるポリペプチドを有する非常に多数のファージの同時マススクリーニングを可能にする。標的に対する親和性を有するポリペプチドを提示するファージはこの標的に結合し、これらのファージを、この標的に対する親和性スクリーニングによって濃縮する。これらのファージから提示されるポリペプチドの同一性を、それらのそれぞれのゲノムから決定することができる。その後、これらの方法を用いて、所望の標的に対する結合親和性を有するとして同定されるポリペプチドを、常法により、大量に合成することができる。例えば、米国特許第6,057,098号明細書を参照されたい。これは、全ての表、図および特許請求の範囲を含めて、その全体が本明細書に組込まれる。
その後、これらの方法によって産生される抗体を、所望の精製ポリペプチドとの親和性および特異度について最初にスクリーニングし、必要であれば、これらの結果を、結合から排除されることが望まれるポリペプチドとの抗体の親和性および特異度を比較することによって選択してもよい。このスクリーニング手順は、マイクロタイタープレートの別々のウェルに、精製ポリペプチドを固定化することを含み得る。その後、有望な抗体または抗体群を含む溶液を、それぞれのマイクロタイターウェルに入れ、約30分〜2時間の間インキュベートする。その後、このマイクロタイターウェルを洗浄し、標識二次抗体(例えば、産生される抗体がマウス抗体である場合、アルカリホスファターゼに結合した抗マウス抗体)をこれらのウェルに添加し、約30分間インキュベートし、その後洗浄する。基質をこれらのウェルに添加し、固定化ポリペプチド(複数可)に対する抗体が存在する場合、呈色反応が現れる。
その後、そのように同定される抗体を、選択されるアッセイデザインにおいて親和性および特異度についてさらに解析をしてもよい。標的タンパク質のイムノアッセイの開発において、選択された抗体を用いて、イムノアッセイの感度および特異度を判断するために、精製標的タンパク質は標準物質として作用する。様々な抗体の結合親和性は異なり、(例えば、サンドイッチアッセイにおいて)特定の抗体ペアは立体的にお互い干渉し得るなどの理由により、抗体アッセイの性能は、抗体の絶対的な親和性および特異度よりも重要な尺度であり得る。
本開示は、抗体ベースの結合アッセイについて詳細に記載しているが、アッセイにおける結合種として抗体に代わるものが当業で公知である。これらには、特定の標的、アプタマーなどの受容体が含まれる。アプタマーは、特異的標的分子に結合するオリゴ核酸またはペプチド分子である。アプタマーは、通常、大きなランダム配列プールからそれらを選択することによって作り出されるが、天然アプタマーも存在する。改善されたインビボ安定性または改善された送達特性などの改善された特性をリガンドに与える修飾ヌクレオチドを含む高親和性アプタマー。このような修飾の例として、リボースの位置、リン酸の位置および/または塩基の位置における化学的置換が挙げられ、アミノ酸側鎖官能性が含まれ得る。
アッセイの相関
バイオマーカーの使用に関して本明細書で使用する「相関する」という用語は、患者におけるバイオマーカー(複数可)の存在または量を、ある病気を患っていると知られている、もしくはある病気を患うリスクのあることが知られているヒト、またはある病気にかかっていないことが知られているヒトにおけるその存在または量とを比較することを表す。多くの場合、これは、バイオマーカー濃度の形式のアッセイ結果と、疾患の発生もしくは不発生またはある将来的な予後の可能性を示すと選択される所定の閾値とを比較する形式をとる。
診断の閾値を選択することには、とりわけ、疾患の可能性の考慮、異なる試験の閾値における正確な診断と正確ではない診断の分配、診断に基づく治療(もしくは治療ができないこと)の結果の予測が含まれる。例えば、非常に有効であり、リスクのレベルが低い特異的治療を施すことを考慮する時、臨床医は実質的な診断の不確実性を容認することができるので、試験を必要としない。一方、治療選択は効果がなく、リスクが高い状況において、多くの場合、臨床医は、程度の高い診断の確実性を必要とする。したがって、費用/有益な解析には、診断の閾値を選択することが含まれる。
適切な閾値を、様々な方法で決定することができる。例えば、心臓トロポニンを用いる急性心筋梗塞の診断のための1つの推奨される診断の閾値は、健常集団において見られる濃度の97.5%である。別の方法では、同じ患者の一連の試料を調べて、事前のベースラインの結果を用いて、バイオマーカーレベルの一時的な変化を監視してもよい。
集団研究も用いて、判定閾値を選択してもよい。受信者動作特性(「ROC」)は、第二次世界大戦中に、レーダー画像解析のために開発されたシグナル検出理論の分野から生じ、多くの場合、ROC解析を用いて、「病気の」亜集団と「無病の」亜集団とを一番有効に区別することができる閾値を選択する。この場合の偽陽性は、ヒトの試験結果は陽性であるが、実際には病気ではない時に起こる。一方、偽陰性は、ヒトの試験結果は陰性であり、健常であると示唆されるが、実際には疾患を有する時に起こる。判定閾値が絶えず変化するので、ROC曲線を描くために、真陽性率(TPR)および偽陽性率(FPR)を決定する。TPRは感度と同等のものであり、FPRは1−特異度と同等であるので、ROCグラフは、時々、感度対(1−特異度)のプロットと呼ばれる。完璧な試験では、ROC曲線下の面積は1.0であり、ランダムな試験では、面積は0.5であろう。閾値を、特異度および感度の許容レベルをもたらすように選択する。
この文脈において、「病気の」(亜集団)とは、1つの特徴(疾患もしくは病気の存在またはある予後の発生)を有する集団を表すことを意味し、「無病の」(亜集団)とは、その特徴を欠く集団を表すことを意味する。単一の判定閾値は、かかる方法の最も単純な適用であるが、複数の判定閾値を使用してもよい。例えば、第一の閾値を下回る場合、比較的高い信頼度で疾患が存在しないと割り当てることができ、また、第二の閾値を超える場合、比較的高い信頼度で疾患の存在を割り当てることができる。2つの閾値の間は、確定できないと考えることができる。これは、実際、単なる例であることを意味する。
閾値の比較に加えて、アッセイ結果を患者の分類(疾患の発生もしくは不発生、予後の可能性など)と相関させる他の方法には、決定木、ルールのセット、ベイズ法、およびニューラル・ネットワーク法が含まれる。これらの方法は、対象が多数の分類から外れて1つの分類に属する程度を表す確立値を生み出すことができる。
試験精度の尺度を、Fischer et al.,Intensive Care Med.29:1043−51,2003に記載のように取得してもよく、これらを用いて、所定のバイオマーカーの有効性を決定してもよい。これらの尺度には、感度および特異度、予測値、尤度比、診断オッズ比、およびROC曲線面積が含まれる。ROCプロットの曲線下の面積(「AUC」)は、分類指標が、ランダムに選択される陰性の場合よりも、ランダムに選択される陽性の場合を高く位置づける可能性に等しい。ROC曲線下の面積は、2つのグループが連続データである場合を考慮する、2つのグループ間において得られるスコア間の中央値の違いについて検定をするマン・ホイットニーU検定、またはランクのウィルコクソン検定と同等であると考えられ得る。
上記で論じたように、適切な検定は、これらの様々な尺度に関する以下の結果のうちの1つ以上を示し得る:0.5を超える、好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは少なくとも0.7、さらにより好ましくは少なくとも0.8、さらにより好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95の特異度、および0.2を超える、好ましくは0.3を超える、より好ましくは0.4を超える、さらにより好ましくは少なくとも0.5、さらにより好ましくは0.6、さらにより好ましくは0.7を超える、さらにより好ましくは0.8を超える、より好ましくは0.9を超える、最も好ましくは0.95を超える対応する感度;0.5を超える、好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは少なくとも0.7、さらにより好ましくは少なくとも0.8、さらにより好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95の感度、および、0.2を超える、好ましくは0.3を超える、より好ましくは0.4を超える、さらにより好ましくは少なくとも0.5、さらにより好ましくは0.6、さらにより好ましくは0.7を超える、さらにより好ましくは0.8を超える、より好ましくは0.9を超える、最も好ましくは0.95を超える対応する特異度;少なくとも75%特異度と組み合わせて少なくとも75%の感度;0.5を超える、好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは0.7、さらにより好ましくは少なくとも0.8、さらにより好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95のROC曲線面積;1とは異なり、好ましくは少なくとも約2以上もしくは約0.5以下、より好ましくは少なくとも約3以上もしくは約0.33以下、さらにより好ましくは少なくとも約4以上もしくは約0.25以下、さらにより好ましくは少なくとも約5以上もしくは約0.2以下、最も好ましくは少なくとも約10以上もしくは約0.1以下のオッズ比;1を超える、少なくとも約2、より好ましくは少なくとも約3、さらにより好ましくは少なくとも約5、最も好ましくは少なくとも約10の(感度/(1−特異度)として計算される)陽性尤度比;または1より低い、約0.5以下、より好ましくは約0.3以下、最も好ましくは約0.1以下の(1−感度/特異度として計算される)陰性尤度比。
追加の臨床的徴候を、本発明の腎臓損傷マーカーアッセイの結果(複数可)と組み合わせてもよい。これらには、腎臓の状態と関連する他のバイオマーカーが含まれる。一般的なバイオマーカー名、続いてそのバイオマーカーまたはその親のSwiss−Prot登録番号を記載する以下のものが、例として含まれる:アクチン(P68133)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(DPP4、P27487)、α−1−酸性糖タンパク質1(P02763)、α−1−ミクログロブリン(P02760)、アルブミン(P02768)、アンジオテンシノゲナーゼ(Angiotensinogenase)(レニン、P00797)、アネキシンA2(P07355)、β−グルクロニダーゼ(P08236)、β−2−ミクログロブリン(P61679)、β−ガラクトシダーゼ(P16278)、BMP−7(P18075)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(proBNP、BNP−32、NTproBNP;P16860)、カルシウム結合タンパク質β(S100−β、P04271)、炭酸脱水酵素(Q16790)、カゼインキナーゼ2(P68400)、セルロプラスミン(P00450)、クラスタリン(P10909)、補体C3(P01024)、システインリッチタンパク質(CYR61、O00622)、シトクロムC(P99999)、上皮細胞増殖因子(EGF、P01133)、エンドセリン−1(P05305)、エキソソームフェチュイン−A(Exosomal Fetuin−A)(P02765)、脂肪酸結合タンパク質、心臓(FABP3、P05413)、脂肪酸結合タンパク質、肝臓(P07148)、フェリチン(軽鎖、P02793;重鎖、P02794)、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(P09467)、GRO−α(CXCL1、(P09341)、成長ホルモン(P01241)、肝細胞増殖因子(P14210)、インスリン様成長ホルモンI(P01343)、免疫グロブリンG、免疫グルブリン軽鎖(κおよびλ)、インターフェロンγ(P01308)、リゾチーム(P61626)、インターロイキン−1α(P01583)、インターロイキン−2(P60568)、インターロイキン−4(P60568)、インターロイキン−9(P15248)、インターロイキン−12p40(P29460)、インターロイキン−13(P35225)、インターロイキン−16(Q14005)、L1細胞接着分子(P32004)、乳酸脱水素酵素(P00338)、ロイシンアミノペプチダーゼ(P28838)、メプリンA−αサブユニット(Q16819)、メプリンA−βサブユニット(Q16820)、ミッドカイン(P21741)、MIP2−α(CXCL2、P19875)、MMP−2(P08253)、MMP−9(P14780)、ネトリン−1(O95631)、中性エンドペプチダーゼ(P08473)、オステオポンチン(P10451)、腎乳頭抗原1(RPA1)、腎乳頭抗原2(RPA2)、レチノール結合タンパク質(P09455)、リボヌクレアーゼ、S100カルシウム結合タンパク質A6(P06703)、血清アミロイドP成分(P02743)、ナトリウム/水素交換アイソフォーム(NHE3、P48764)、スペルミジン/スペルミンN1−アセチルトランスフェラーゼ(P21673)、TGF−β1(P01137)、トラスフェリン(P02787)、トレフォイル因子3(TFF3、Q07654)、Toll様タンパク質4(O00206)、総タンパク質、尿細管間質性腎炎抗原(Q9UJW2)、ウロモジュリン(タム−ホースフォールタンパク質、P07911)。
リスク層化を目的として、アディポネクチン(Q15848)、アルカリホスファターゼ(P05186)、アミノペプチダーゼN(P15144)、カルビンジンD28k(P05937)、シスタチンC(P01034)、F1FO ATP分解酵素の8サブユニット(P03928)、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(P19440)、GSTa(α−グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、P08263)、GSTpi(グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、GSTクラス−pi、P09211)、IGFBP−1(P08833)、IGFBP−2(P18065)、IGFBP−6(P24592)、内在性膜タンパク質1(Itm1、P46977)、インターロイキン−6(P05231)、インターロイキン−8(P10145)、インターロイキン−18(Q14116)、IP−10(10kDaのインターフェロン−γ−誘導タンパク質、P02778)、IRPR(IFRD1、O00458)、イソバレリル−CoA脱水素酵素(IVD、P26440)、I−TAC/CXCL11(O14625)、ケラチン19(P08727)、Kim−1(A型肝炎ウイルス細胞受容体1、O43656)、L−アルギニン:グリシンアミジノトランスフェラーゼ(P50440)、レプチン(P41159)、リポカリン2(NGAL、P80188)、MCP−1(P13500)、MIG(γ−インターフェロン誘導モノカインQ07325)、MIP−1a(P10147)、MIP−3a(P78556)、MIP−1β(P13236)、MIP−1d(Q16663)、NAG(N−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ、P54802)、有機イオン輸送体(OCT2、O15244)、オステオプロテジェリン(O14788)、P8タンパク質(O60356)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI−1、P05121)、ProANP(1−98)(P01160)、タンパク質ホスファターゼ1−β(PPI−β、P62140)、Rab GDI−β(P50395)、腎カリクレイン(Q86U61)、内在性膜タンパク質のRT1.B−1(α)鎖(Q5Y7A8)、可溶性腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1A(sTNFR−I、P19438)、可溶性腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1B(sTNFR−II、P20333)、メタロプロテイナーゼ3の組織阻害剤(TIMP−3、P35625)、uPAR(Q03405)を、本発明の腎臓損傷マーカーアッセイの結果(複数可)と組み合わせてもよい。
本発明の腎臓損傷マーカーアッセイの結果(複数可)と組み合わせてもよい他の臨床的徴候には、人口学的情報(例えば、体重、性別、年齢、人種)、病歴(例えば、家族の病歴、手術の種類、動脈瘤、鬱血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、タンパク尿、腎不全、もしくは敗血症など以前から存在する疾患、NSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イホスファミド、重金属、メトトレキサート、放射線造影剤、もしくはストレプトゾトシンなどの毒物曝露の種類)、臨床的変数(例えば、血圧、温度、呼吸速度)、リスクスコア(APACHEスコア、PREDICTスコア、UA/NSTEMIのTIMIリスクスコア、フラミンガムリスクスコア)、糸球体濾過量、推定糸球体濾過量、尿生産率、血清もしくは血漿のクレアチニン濃度、腎乳頭抗原1(RPA1)測定、腎乳頭抗原2(RPA2)測定、尿クレアチニン濃度、ナトリウムの分画排泄率、尿ナトリウム濃度、血清もしくは血漿のクレアチニンに対する尿クレアチニンの比、尿比重、尿浸透圧、血漿の尿素窒素に対する尿の尿素窒素の比、クレアチニンに対する血漿BUNの比、および/または尿ナトリウム/(尿クレアチニン/血漿クレアチニン)として計算される腎不全の指標が含まれる。腎臓損傷マーカーアッセイの結果(複数可)と組み合わせてもよい腎機能の他の尺度は、本明細書の以下に、およびHarrison’s Principles of Internal Medicine,17th Ed.,McGraw Hill,New York,pages 1741−1830,ならびにCurrent Medical Diagnosis&Treatment 2008,47th Ed,McGraw Hill,New York,pages 785−815に記載されている。これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
このようなアッセイ結果/臨床的徴候の組み合わせは、多変数ロジスティック回帰、対数線形モデル、ニューラル・ネットワーク解析、n/m解析、ディシジョンツリー解析などの使用を含み得る。このリストは、限定するようには意図しない。
急性腎不全の診断
上記のように、本明細書で使用する「急性腎(または腎臓)損傷」および「急性腎(または腎臓)不全」という用語を、ベースラインの値からの血清クレアチニンの変化に関して、ある程度定義する。ARFのほとんどの定義は、血清クレアチニンおよび、多くの場合、尿排出量の使用を含む共通事項を有する。この比較において使用する腎機能の利用できるベースラインを測定することなく、腎機能障害を有する患者が存在し得る。かかる事象において、最初に、患者が正常なGFRを有すると想定することにより、ベースラインの血清クレアチニンの値を推定することができる。糸球体濾過量(GFR)は、単位時間あたりの腎(腎臓)糸球体毛細血管からボーマン嚢に濾過される液体の体積である。血液中に安定したレベルで存在し、腎臓によって自由に濾過されるが、再吸収または分泌のいずれも起こらない任意の化学物質を測定することにより、糸球体濾過量(GFR)を計算することができる。典型的には、GFRをml/分の単位で表す。
Figure 2016180762
体表面積に対するGFRの正規化によって、約1.73m2あたり約75−100ml/分のGFRが想定され得る。したがって、測定される割合は、計算される血液量に由来する尿中の物質の量である。
糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)を計算または推定するために用いられるいくつかの異なる技術がある。しかし、診療においては、クレアチニン・クリアランスを用いてGFRを測定する。クレアチニンは体内で自然に作られる(クレアチニンは、筋肉内で見出されるクレアチンの代謝物である)。クレアチニンは糸球体で自由に濾過され、非常に少量が尿細管によって能動的に分泌され、それにより、クレアチニン・クリアランスが実際のGFRを10〜20%過剰評価する。この誤差の範囲は、クレアチニン・クリアランスが測定される容易さを考慮すると許容できる。
クレアチニンの尿中濃度の値(UCr)、尿流量(V)、およびクレアチニンの血漿濃度(PCr)の値が分かっている場合、クレアチニン・クリアランス(CCr)を計算することができる。尿中濃度と尿流量の積はクレアチニンの排出量をもたらすので、クレアチニン・クリアランスは、クレアチニン排出量(UCr×V)をクレアチニン血漿濃度で割ったものとも言われる。これらは、一般に、以下のように、
Figure 2016180762
数学的に表される。
一般的に、1日目の朝の空の膀胱から、次の日の朝の膀胱の容量までの24時間の採尿が行われ、その後、血液の比較試験が行われる。
Figure 2016180762
異なるサイズを有するヒト間での結果の比較を可能にするために、多くの場合、CCrは体表面積(BSA)について補正され、平均サイズを有するヒトと比較して、ml/分/1.73m2として表される。ほとんどの成人は、1.7(1.6〜1.9)に近いBSAを有するが、極度の肥満または極度に細い患者は、かれらの実際のBSAについて補正されたCCrを有するべきである。
Figure 2016180762
(収集が完全である時でさえ、)糸球体濾過量(GFR)が低下するにつれて、クレアチニン分泌が増加し、それ故に、血清クレアチニンの上昇はより少なくなるので、クレアチニン・クリアランス測定の精度は制限される。したがって、クレアチニン排出は、濾過した量よりもはるかに多くなり、GFRの潜在的に大きい過剰評価(2倍と同じくらいの違い)をもたらす。しかし、臨床目的には、腎機能が安定か、または徐々に悪くなるか、もしくは良くなるかどうかを決定することが重要である。多くの場合、これを、血清クレアチニンのみを監視することにより決定する。クレアチニン・クリアランスのように、血清クレアチニンは、ARFの非定常状態の条件において、GFRを正確に反映するものではないだろう。それにもかかわらず、血清クレアチニンがベースラインから変化する割合は、GFRの変化を反映するであろう。血清クレアチニンは、容易に、簡単に測定され、腎機能に特異的である。
mL/kg/hrに基づく尿排出量を決定する目的のために、1時間あたりの採尿および測定が適切である。例えば、累積する24時間の排出量のみが利用でき、患者の体重が分からない場合において、RIFLE尿排出量判定基準を少し変更することが記載された。例えば、Bagshaw et al.,Nephrol.Dial.Transplant.23:1203−1210,2008は、患者の平均体重を70kgと想定し、以下に基づくRIFLE分類を患者に割り当てる:<35mL/h(リスク)、<21mL/h(損傷)または<4mL/h(不全)。
治療計画の選択
一度診断が確立すると、腎置換療法の開始、腎臓に損傷をあたえると知られる化合物送達の取りやめ、腎臓移植、腎臓に損傷をあたえることが知られる処置の遅延または回避、改良された利尿薬の投与、目標指向の治療の開始などのその診断に適合する治療計画を、臨床医は容易に選択することができる。当業者は、本明細書記載の診断法に関して論じられる多数の疾患の適切な治療を知っている。例えば、Merck Manual of Diagnosis and Therapy,17th Ed.Merck Research Laboratories,Whitehouse Station,NJ,1999を参照されたい。さらに、本明細書記載の方法および組成物は予後の情報を提供するので、本発明のマーカーを用いて、治療経過を監視することが可能である。例えば、予後の状態の改善または悪化は、特定の治療が有効であるかまたは有効ではないかを示し得る。
本発明は目的を実行し、言及した結果および利点、ならびにその中で固有の結果および利点を得るのに十分適することを、当業者は容易に理解する。本明細書に提供される例は、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であり、本発明の範囲に限定されるようには意図しない。
実施例
実施例1
造影剤腎症試料の収集
この資料収集研究の目的は、血管内への造影剤の投入前後の、患者の血漿および尿の試料ならびに臨床データを収集することである。ヨウ素造影剤の血管内投与を含むX線検査/血管造影検査を行う約250人の成人を登録する。この研究に登録するためには、それぞれの患者は以下の試験対象患者基準の全てを満たさなければならず、かつ以下の試験対象除外基準のいずれも満たしてはいけない:
試験対象患者基準
18歳以上の男性および女性であること;
造影剤の血管内投与を含む(CTスキャンまたは冠状動脈インターベンションなどの)X線検査/血管造影検査を行うこと;
造影剤投与後少なくとも48時間の間は入院することが期待されること;
研究の参加について書面によるインフォームド・コンセントを提出すること、かつ全ての研究手順に従うことができ、かつその意思があること。
試験対象除外基準
腎移植者であること;
造影の手順に先立って、急に腎機能が悪化すること;
(緊急のまたは習慣的に)透析をすでに受けているか、または登録時に透析の切迫した必要性があること;
造影剤投与後48時間以内に、(例えば、心肺バイパスを含む)大手術、またはさらなる腎損傷のかなりのリスクを有する造影剤による追加の画像診断手順を行うことが期待されること;
試験前30日以内に実験的治療を伴う介入的臨床研究に参加すること;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる感染が判明していること。
第一の造影剤の投与の直前に(および任意の事前の水和手順の後に)、EDTA抗凝固処理血液試料(10mL)および尿試料(10mL)をそれぞれの患者から収集する。その後、血液および尿の試料を、インデックス造影手順の間、最後の造影剤投与後4(±0.5)、8(±1)、24(±2)、48(±2)、および72(±2)時間の時点で収集する。血液を、直接的な静脈穿刺により、または既存の大腿鞘、中心静脈ライン、末梢の静脈ラインもしくはヘップロック(hep−lock)などの他に利用可能な静脈アクセスにより収集する。これらの研究の血液試料を、臨床現場で血漿まで処理し、凍結させ、Astute Medical,Inc.,San Diego,CAに輸送する。この研究の尿試料を凍結させ、Astute Medical,Incに輸送する。
第一の造影剤投与の直前(任意の事前の水和手順の後に)、最後の造影剤投与後4(±0.5)、8(±1)、24(±2)、48(±2)、および72(±2)時間の時点において(理想的には、研究試料を得るのと同時に)、血清クレアチニンをその場で調べる。さらに、それぞれの患者の状態を、さらなる血清および尿のクレアチニン測定、透析の必要性、入院状態、および(死亡を含む)有害な臨床予後に関して、30日間診断する。
造影剤投与に先立って、それぞれの患者に、以下の評価に基づくリスクを割り当てる:収縮期血圧80mmHg未満=5ポイント;動脈内バルーンポンプ=5ポイント;鬱血性心不全(クラスIII−IVまたは肺水腫の病歴)=5ポイント;75歳を超える年齢=4ポイント;男性の場合39%未満のヘマトクリット値、女性の場合35%未満のヘマトクリット値=3ポイント;糖尿病=3ポイント;造影剤の体積=100mLごとに1ポイント;1.5g/dLを超える血清クレアチニンレベル=4ポイントまたは推定GFR40−60mL/分/1.73m2=2ポイント、20−40mL/分/1.73m2=4ポイント、20mL/分/1.73m2未満=6ポイント。割り当てられるリスクは以下のものである:CINまたは透析のリスク:5以下の合計ポイント=CINのリスク−7.5%、透析のリスク−0.04%;6〜10の合計ポイント=CINのリスク−14%、透析のリスク−0.12%;11〜16の合計ポイント=CINのリスク−26.1%、透析のリスク−1.09%;16を超える合計ポイント=CINのリスク−57.3%、透析のリスク−12.8%。
実施例2
心臓外科試料の収集
この資料収集研究の目的は、心臓血管手術(腎臓機能に潜在的に損傷を与えると知られる手術)を受ける前後の、患者の血漿および尿の試料ならびに臨床データを収集することである。かかる手術を受ける約900人の成人を登録する。この研究に登録するためには、それぞれの患者は以下の試験対象患者基準の全てを満たさなければならず、かつ以下の試験対象除外基準のいずれも満たしてはいけない:
試験対象患者基準
18歳以上の男性および女性であること;
心臓血管手術を行うこと;
腎置換リスクスコアのToronto/Ottawa Predictive Risk Index(Wijeysundera et al.,JAMA 297:1801−9,2007)が少なくとも2であること;および
研究の参加について書面によるインフォームド・コンセントを提出すること、かつ全ての研究手順に従うことができ、かつその意思があること。
試験対象除外基準
妊娠が判明していること;
腎移植の前歴があること;
登録に先立って、急に腎機能が悪化すること(例えば、RIFLE分類のいずれかのカテゴリー);
(緊急のまたは習慣的に)透析をすでに受けているか、または登録時に透析の切迫した必要性があること:
AKIのための薬剤注入もしくは治療的介入を伴う心臓手術後7日以内に、別の臨床研究にすぐに登録するか、または別の臨床研究に登録することが期待されること;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる感染が判明していること。
第一の切開前3時間以内に(および任意の事前の水和手順の後に)、EDTA抗凝固処理血液試料(10mL)、全血(3mL)、および尿試料(35mL)をそれぞれの患者から収集する。その後、血液および尿の試料を、この手順後3(±0.5)、6(±0.5)、12(±1)、24(±2)および48(±2)時間の時点で収集し、その後、患者が病院に留まる場合、3日目から7日目まで毎日収集する。血液を、直接的な静脈穿刺により、または既存の大腿鞘、中心静脈ライン、末梢の静脈ラインもしくはヘップロック(hep−lock)などの他に利用可能な静脈アクセスにより収集する。これらの研究の血液試料を凍結させ、Astute Medical,Inc.,San Diego,CAに輸送する。この研究の尿試料を凍結させ、Astute Medical,Incに輸送する。
実施例3
急性疾患の対象の試料の収集
この研究の目的は、急性疾患の患者の試料を収集することである。少なくとも48時間の間、ICUにいることが期待される約900人の成人を登録する。この研究に登録するためには、それぞれの患者は以下の試験対象患者基準の全てを満たさなければならず、かつ以下の試験対象除外基準のいずれも満たしてはいけない:
試験対象患者基準
18歳以上の男性および女性であること;
研究集団1:以下の少なくとも1つを有する約300人の患者:
ショック状態(90mmHg未満のSBPおよび /または60mmHgを超えるMAPを維持するために昇圧剤のサポートの必要性および/または少なくとも40mmHgのSBPの文書化された急降下);ならびに
敗血症;
研究集団2:以下の少なくとも1つを有する約300人の患者:
登録の24時間以内に医師向けコンピューター受注システム(CPOE)で注文したIV構成物質;
登録の24時間以内の造影剤の曝露;
急性非代償性心不全を伴う腹圧の増加;ならびに
登録後48時間の間のICU入院およびICUに入院する可能性の主な理由として重症外傷;
研究集団3:約300人の患者
急性腎損傷(例えば、敗血症、低血圧症/ショック状態(ショック=90mmHg未満の収縮期のBPおよび/もしくは60mmHgを超えるMAPを維持するために昇圧剤のサポートの必要性および/もしくは40mmHgを超えるSBPの文書化された急降下)、大外傷、大出血、または大手術)のリスクファクターが判明することで救急処置の環境(ICUまたはED)を経て入院することが期待されること;
試験対象除外基準
妊娠が判明していること;
施設居住者;
腎移植の前歴があること;
登録に先立って、腎機能の急激な悪化が判明していること(例えば、RIFLE判定基準のいずれかのカテゴリー);
登録前5日以内に(緊急のまたは習慣的に)透析を受けたか、または登録時に透析の切迫した必要性があること:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる感染が判明していること;
上記の試験対象患者基準の90mmHg未満のSBPのみを満たし、主治医または研究責任者の意見にショックを受けないこと;
インフォームド・コンセントを提供した後、EDTA抗凝固処理血液試料(10mL)および尿試料(25〜30mL)をそれぞれの患者から収集する。その後、血液および尿の試料を、(適用できる場合)造影剤投与後4(±0.5)および8(±1)時間の時点で、登録後12(±1)、24(±2)、36(±2)、および48(±2)時間の時点で、ならびにその後、患者が入院中7〜14日目まで毎日収集する。血液を、直接的な静脈穿刺により、または既存の大腿鞘、中心静脈ライン、末梢の静脈ラインもしくはヘップロック(hep−lock)などの他に利用可能な静脈アクセスにより収集する。これらの研究の血液試料を臨床現場で血漿まで処理し、凍結させ、Astute Medical,Inc.,San Diego,CAに輸送する。この研究の尿試料を凍結させ、Astute Medical,Incに輸送する。
実施例4
イムノアッセイ形式
標準的なサンドイッチ酵素イムノアッセイ技術を用いて、検体を測定する。検体と結合する一次抗体を96ウェルポリスチレンマイクロプレートのウェルの中に固定化する。検体標準物質および試験試料を適切なウェルの中にピペッターで入れ、存在する全検体を固定化抗体と結合させる。結合しなかった全物質を洗い流した後、この検体が結合する西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させた二次抗体をこれらのウェルに添加し、それによって、この検体(存在する場合)および一次抗体とでサンドイッチ複合体を形成させる。結合しなかった全ての抗体−酵素試薬を除去するための洗浄後、テトラメチルベンジジンおよび過酸化水素を含む基質溶液をこれらのウェルに添加する。この試料中に存在する検体量に比例して呈色する。呈色反応を止め、色の強度を540nmまたは570nmで測定する。検体標準物質から作成した標準曲線と比較することにより、検体濃度をこの試験試料に割り当てる。
実施例5
外見上健康そうである提供者および慢性疾患患者の試料
慢性または急性疾患が判明していない提供者(「外見上健康そうである提供者」)のヒトの尿試料を2社(Golden West Biologicals,Inc.,27625 Commerce Center Dr.,Temecula,CA 92590およびVirginia Medical Research,Inc.,915 First Colonial Rd.,Virginia Beach,VA 23454)から購入した。これらの尿試料を輸送し、−20℃より低い温度で凍結保存した。これらの会社が、性別、人種(白人/黒人)、喫煙状態および年齢を含む個々の提供者の人口学的情報を提供した。
鬱血性心不全、冠動脈疾患、慢性腎臓疾患、慢性閉塞性肺疾患、真性糖尿病および高血圧を含む様々な慢性疾患を患う提供者(「慢性疾患患者」)のヒトの尿試料を、Virginia Medical Research,Inc.,915 First Colonial Rd.,Virginia Beach,VA 23454から購入した。これらの尿試料を輸送し、−20℃より低い温度で凍結保存した。この会社が、年齢、性別、人種(白人/黒人)、喫煙状態およびアルコールの使用、身長、体重、慢性疾患診断(複数可)、現在の投薬ならびに既往手術を有する個々の提供者についての症例報告を提供した。
実施例6
患者の腎臓の状態を評価するための腎臓損傷マーカーの使用
集中治療室(ICU)の患者を以下の試験において登録した。それぞれの患者をRIFLE判定基準によって決定するように、登録後7日以内に達した最高ステージに従って、損傷なし(0)、損傷のリスク(R)、損傷(I)、および不全(F)のように腎臓状態によって分類した。EDTA抗凝固処理血液試料(10mL)および尿試料(25〜30mL)を登録時、造影剤投与後4(±0.5)および8(±1)(該当する場合)、登録後12(±1)、24(±2)、および48(±2)時間の時点、その後、対象が入院している間毎日、最高で7日〜14日にそれぞれの患者から収集した。マーカーを、収集した尿試料および血液試料の血漿成分において、市販のアッセイ試薬を用いて、標準的な免疫測定法によりそれぞれ測定した。
「疾患」集団および「健常」集団を表す2つのコホートを定義した。これらの用語を便宜上用いるが、「疾患」および「健常」は、単に、比較のための2つのコホート(すなわち、RIFLE 0対RIFLE R、IおよびF;RIFLE 0対RIFLE R;RIFLE 0およびR対RIFLE IおよびFなど)を表す。+/−12時間である3つのグループに分けられるコホートについて定義したように、最も低い疾患ステージに特定の患者が達する時点に対して、「最高ステージの前」という時点は、試料を収集する時点を表す。例えば、2つのコホートとして0対R、I、Fを使用する「24時間前」とは、ステージR(またはRにおける試料がない場合はI、またはRもしくはIにおける試料がない場合はF)に達する24時間(+/−12時間)前を意味する。
受信者動作特性(ROC)曲線を、測定したそれぞれのバイオマーカーについて作成し、それぞれのROC曲線下の面積(AUC)を決定する。血清クレアチニン測定値(sCr)に基づくように、尿排出量(UO)に基づくように、または血清クレアチニン測定値もしくは尿排出量のいずれか一方に基づくように、コホート2の患者も、コホート2に定まる理由に従って分類した。上記で論じた同じ実施例(0対R、I、F)を用いて、血清クレアチニン測定値のみに基づいてステージR、I、またはFに定まる患者に対しては、ステージ0のコホートは、尿排出量に基づいてステージR、I、またはFに定まる患者を含むことができ、尿排出量のみに基づいてステージR、I、またはFに定まる患者に対しては、ステージ0のコホートは、血清クレアチニン測定値に基づいてステージR、I、またはFに定まる患者を含むことができ、かつ、血清クレアチニン測定値もしくは尿排出量に基づいてステージR、I、またはFに定まる患者に対しては、ステージ0のコホートは、血清クレアチニン測定値および尿排出量の両方についてステージ0の患者のみを含む。また、血清クレアチニン測定値もしくは尿排出量に基づいて定まる患者のデータにおいて、最も重篤なRIFLEステージを生み出す判定法を用いる。
コホート1とコホート2とを区別する能力を、ROC解析を用いて調べた。SEは、AUCの標準誤差であり、nは試料または個々の患者の数である(「ptc」として示される)。標準誤差を、Hanley,J.A.,and McNeil,B.JThe meaning and use の the area under a receiver operating characteristic (ROC) curve.Radiology(1982)143:29−36に記載されているように計算する。p値を、両側Z検定を用いて計算する。0.5未満のAUCは、比較の際に陰性進行を表すマーカーを示し、0.5を超えるAUCは、比較の際に陽性進行を表すマーカーを示す。
様々な閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1とコホート2とを区別する関連する感度および特異度を決定する。ORは、特定のカットオフ濃度について計算されたオッズ比であり、95%CIはオッズ比の信頼区間である。
表1:コホート1(RIFLEステージ0を超えて進行しなかった患者)から収集した尿試料、およびコホート2においてステージR、IまたはFに達する0、24時間、および48時間前の時点で対象から収集した尿試料におけるマーカーレベルの比較
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表2:コホート1(RIFLEステージ0またはRを超えて進行しなかった患者)から収集した尿試料、およびコホート2においてステージIまたはFに達する0、24時間、および48時間前の時点で対象から収集した尿試料におけるマーカーレベルの比較
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表3:コホート1(RIFLEステージRに達したが、それを超えて進行しなかった患者)およびコホート2(RIFLEステージIまたはFに達した患者)からステージRに達する12時間以内に収集した尿試料におけるマーカーレベルの比較
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表4:コホート1(RIFLEステージ0を超えて進行しなかった患者)から収集した尿試料における最大マーカーレベルならびに登録時からステージFに達する0時間、24時間、および48時間前の時点でコホート2の対象から収集した尿試料における最大値の比較
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表5:コホート1(RIFLEステージ0を超えて進行しなかった患者)から収集したEDTA試料ならびにステージR、IまたはFに達する0時間、24時間、および48時間前の時点でコホート2の対象から収集したEDTA試料におけるマーカーレベルの比較

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表6:コホート1(RIFLEステージ0またはRを超えて進行しなかった患者)から収集したEDTA試料ならびにステージIまたはFに達する0時間、24時間、および48時間前の時点でコホート2の対象から収集したEDTA試料におけるマーカーレベルの比較
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表7:コホート1(RIFLEステージRに達したが、それを超えて進行しなかった患者)およびコホート2(RIFLEステージIまたはFに達した患者)からステージRに達する12時間以内に収集したEDTA試料におけるマーカーレベルの比較
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表8:コホート1(RIFLEステージ0を超えて進行しなかった患者)から収集したEDTA試料における最大マーカーレベルならびに登録時からステージFに達する0時間、24時間、および48時間前の時点でコホート2の対象から収集したEDTA試料における最大値の比較
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表9:コホート1(RIFLEステージ0、R、またはIを超えて進行しなかった患者)から収集した尿試料ならびに対象がRIFLEステージIに達する0時間、24時間、および48時間前の時点でコホート2(RIFLEステージFに進行する対象)から収集した尿試料におけるマーカーレベルの比較
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表10:コホート1(RIFLEステージ0、R、またはIを超えて進行しなかった患者)から収集したEDTA試料ならびに対象がRIFLEステージIに達する0時間、24時間、および48時間前の時点でコホート2(RIFLEステージFに進行する対象)から収集したEDTA試料におけるマーカーレベルの比較
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表11:コホート1(48時間以内にRIFLEステージ0またはRを超えて進行しなかった患者)から収集した登録(enroll)尿試料およびコホート2(48時間以内にRIFLEステージIまたはFに達する対象)から収集した登録尿試料におけるマーカーレベルの比較(すでにRIFLEステージIまたはFにいる患者の登録試料は、コホート2に含めた)
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表12:コホート1(48時間以内にRIFLEステージ0またはRを超えて進行しなかった患者)から収集した登録(enroll)EDTA試料およびコホート2(48時間以内にRIFLEステージIまたはFに達する対象)から収集した登録EDTA試料におけるマーカーレベルの比較(すでにRIFLEステージIまたはFにいる患者の登録試料は、コホート2に含めた)
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当業者が本発明を行い、かつ使用するために、本発明を十分に詳細に記載し、実証したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な代替方法、変更、および改良が行われることは明らかである。本明細書に提供した実施例は、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であり、本発明の範囲に限定されるようには意図しない。当業者は、その中での変更および他の使用を行うであろう。これらの変更は、本発明の趣旨に包含され、特許請求の範囲で定義される。
本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本明細書で開示される本発明に対して、様々な代替および変更を行うことができることを当業者は容易に理解するであろう。
本明細書に記述した全ての特許文献および刊行物は、本発明が関係する分野の技術者のレベルを示す。個々の刊行物が、参照により、明確に、単独に組込まれることを示したのと同じ程度に、全ての特許文献および刊行物は、参照により本明細書に組込まれる。
本明細書に適切に、説明として記載した本発明は、本明細書に明確に開示されない任意の要素または複数の要素、制限または複数の制限がない状態で実行され得る。したがって、例えば、本明細書の各場合において、「含む」、「基本的に〜からなる」および「〜からなる」という用語のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えられ得る。使用された用語および表現は、説明の用語として、制限なく使用される。示され、記載される特徴の全ての同等物またはその一部を排除するそのような用語および表現の使用は意図しないが、本発明の特許請求の範囲の中で、様々な変更が可能であることは理解される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意の特徴によって明確に開示されるが、当業者は、本明細書に開示される概念の変更および変化を行うことが可能であり、かかる変更および変化は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲に入ると考えられることは理解されるべきである。
他の実施形態を、以下の特許請求の範囲に記載する。

Claims (15)

  1. アッセイ結果を提供するために、対象から取得した体液試料において、1種類以上のバイオマーカーを検出するように構成された1つ以上のアッセイ法を行うこと、かつ前記アッセイ結果(複数可)と前記対象の腎臓の状態とを相関させることを含み、前記相関ステップが、前記アッセイ結果(複数可)に基づいて、腎臓の状態の将来的な変化の可能性を前記対象に割り当てることを含み、
    前記腎臓の状態における将来的な変化が、将来的な急性腎不全(ARF)を含み、前記腎臓の状態における将来的な変化の可能性が、前記体液試料を前記対象から取得する時点からおよそ24時間以内に所望の事象が生じるということであり、
    前記1種類以上のバイオマーカーが、フォリスタチン、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファのうち1種類以上を含む、前記対象の腎臓の状態を評価する方法。
  2. 前記相関ステップが、
    (a)前記アッセイ結果(複数可)に基づいて、腎機能への損傷、腎機能の低下、もしくはARFの1つ以上の発生または不発生の診断を前記対象に割り当てること、
    (b)前記アッセイ結果(複数可)に基づいて、腎機能への損傷、腎機能の低下、もしくはARFを患っている対象において腎機能が改善しているか、または悪化しているか否かを評価すること、または、
    (c)24時間以内に前記対象は、(i)1.5倍以上の血清クレアチニンの増加を経験するか、(ii)尿排出量が6時間にわたって0.5ml/kg/時未満であるか、または(iii)0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増加を経験する、という可能性のうちの1つ以上を割り当てること、または、
    (d)24時間以内に前記対象は、(i)2倍以上の血清クレアチニンの増加を経験するか、(ii)尿排出量が12時間にわたって0.5ml/kg/時未満であるか、または(iii)0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増加を経験する、という可能性のうちの1つ以上を割り当てること、または、
    (e)24時間以内に前記対象は、(i)3倍以上の血清クレアチニンの増加を経験するか、または(ii)尿排出量が24時間にわたって0.3ml/kg/時未満であるか、もしくは12時間にわたって無尿である、という可能性のうちの1つ以上を割り当てること、を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記アッセイ結果が、
    フォリスタチンの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    ベータ−神経成長因子の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    インターロイキン−17Aの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    卵胞刺激ホルモンβサブユニットの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    コラゲナーゼ3の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    ビタミンD結合タンパク質の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    膵島アミロイドポリペプチドの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    インスリンCペプチドの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    補体H因子の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    胃抑制ポリペプチドの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    グルカゴン様ペプチド1の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    グルカゴンの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    インボルクリンの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    II型細胞骨格ケラチン‐1/10の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    II型細胞骨格ケラチン‐6A/6B/6Cの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    オステオカルシンの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    リポ多糖の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    脾臓ポリペプチドの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    ペプチドYYの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    アグーチ関連タンパク質の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    毛様体神経栄養因子の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    食欲調節ホルモンの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    トランスサイレチンの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    インスリン受容体基質−1の測定尿中濃度もしくは血漿濃度、および
    NF−kB阻害剤アルファの測定尿中濃度もしくは血漿濃度、
    のうちの少なくとも2、3、または4を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 複数のアッセイ結果が、前記複数のアッセイ結果を単一複合値の結果に変換する機能を用いて組み合わされる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記腎臓の状態における将来的な変化が、前記対象が患う腎損傷と関連する臨床予後を含む、請求項1に記載の方法。
  6. (i)腎前性、腎内性、または腎後性のARFに対する1つ以上の既知のリスクファクターが前記対象において以前から存在すること、または、
    (ii)鬱血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、タンパク尿、腎不全、正常範囲を下回る糸球体濾過、肝硬変、正常範囲を上回る血清クレアチニン、敗血症、腎機能への損傷、腎機能の低下、もしくはARFのうちの1つ以上の現在の診断に基づいて、または大規模な血管手術、冠動脈バイパス、もしくは他の心臓手術を経験するもしくは経験したことに基づいて、またはNSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イホスファミド、重金属、メトトレキサート、放射線造影剤、もしくはストレプトゾトシンへの曝露に基づいて腎臓の状態を評価するために前記対象が選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記方法が、前記対象における急性腎不全の発生または不発生を診断する方法、前記対象における腎置換療法の必要性の発生または不発生を診断する方法、前記対象における腎移植の必要性の発生または不発生を診断する方法、前記対象における腎置換療法の必要性の将来的な発生または不発生のリスクを割り当てる方法、または前記対象における腎移植の必要性の将来的な発生または不発生のリスクを割り当てる方法である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記腎臓の状態における将来的な変化が、前記体液試料を取得する時点から12時間以内の将来的なARFを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  9. (A)前記対象がRIFLEステージ0またはRにおり、
    (i)前記対象が任意にRIFLEステージ0におり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージR、IまたはFに達するであろうという可能性を割り当てることを含み、前記対象がRIFLEステージ0におり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージIまたはFに達するであろうという可能性を割り当てることを含み、または前記対象が任意にRIFLEステージ0におり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージFに達するであろうという可能性を割り当てることを含む、
    (ii)前記対象が任意にRIFLEステージ0またはRにおり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージIまたはFに達するであろうという可能性を割り当てることを含み、前記対象が任意にRIFLEステージ0またはRにおり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージFに達するであろうという可能性を割り当てることを含む、
    (iii)前記対象が任意にRIFLEステージRにおり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージIまたはFに達するであろうという可能性を割り当てることを含み、前記対象が任意にRIFLEステージRにおり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージFに達するであろうという可能性を割り当てることを含む、または、
    (B)前記対象がRIFLEステージ0、R、またはIにおり、かつ前記相関ステップが、24時間以内に前記対象はRIFLEステージFに達するであろうという可能性を割り当てることを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  10. (a)前記対象が急性腎不全ではない、
    (b)前記対象が、前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から1.5倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (c)前記対象の尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ6時間にわたって、少なくとも0.5ml/kg/時である、
    (d)前記対象が、前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (e)前記対象が、(i)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から1.5倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがなく、(ii)尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ6時間にわたって、少なくとも0.5ml/kg/時であり、かつ(iii)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (f)前記対象が、前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から1.5倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (g)前記対象の尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ6時間にわたって、少なくとも0.5ml/kg/時である、
    (h)前記対象が、(i)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から1.5倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがなく、(ii)尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ12時間にわたって、少なくとも0.5ml/kg/時であり、かつ(iii)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (i)前記対象が、前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から2倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (j)前記対象の尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ12時間にわたって、少なくとも0.5ml/kg/時である、
    (k)前記対象が、(i)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から2倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがなく、(ii)尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ2時間にわたって、少なくとも0.5ml/kg/時であり、かつ(iii)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (l)前記対象が、前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から3倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、
    (m)前記対象の尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ24時間にわたって少なくとも0.3ml/kg/時であるか、または前記体液試料が取得される時点に先立つ12時間にわたって無尿である、または、
    (n)前記対象が、(i)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から3倍以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがなく、(ii)尿排出量が、前記体液試料が取得される時点に先立つ24時間にわたって少なくとも0.3ml/kg/時であるか、または前記体液試料が取得される時点に先立つ12時間にわたって無尿であり、かつ(iii)前記体液試料が取得される時点の前に決定されるベースライン値から0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増加を経験したことがない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記体液試料が尿試料である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記方法が、フォリスタチン、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファのうちの1、2または3つ以上を検出するアッセイを行うことを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 急性腎不全の評価のためのフォリスタチン、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1種類以上のバイオマーカーの使用。
  14. フォリスタチン、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファからなる群から選択される1種類以上の腎損傷マーカーを検出するように構成された1つ以上のアッセイを行うための試薬を含むキット。
  15. (a)前記試薬が1つ以上の結合試薬を含み、その各々が前記腎損傷マーカーの1つに特異的に結合し、任意の複数の結合試薬が単一アッセイ装置の中に含まれる、
    (b)前記アッセイの少なくとも1つがサンドイッチ結合アッセイとして構成される、または、
    (c)前記アッセイの少なくとも1つが競合結合アッセイとして構成され、前記1つ以上のアッセイが、フォリスタチン、ベータ−神経成長因子、インターロイキン−17A、卵胞刺激ホルモンβサブユニット、コラゲナーゼ3、ビタミンD結合タンパク質、膵島アミロイドポリペプチド、インスリンCペプチド、補体H因子、胃抑制ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、インボルクリン、II型細胞骨格ケラチン−1/ケラチン−10、II型細胞骨格ケラチン−6A/6B/6C、オステオカルシン、リポ多糖、脾臓ポリペプチド、ペプチドYY、アグーチ関連タンパク質、毛様体神経栄養因子、食欲調節ホルモン、トランスサイレチン、インスリン受容体基質−1、およびNF−kB阻害剤アルファのうちの1、2または3つ以上を検出するアッセイを任意に含む、請求項14に記載のキット。
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