JP2007057509A - ネコアクチビンaの測定方法およびその測定キット - Google Patents

ネコアクチビンaの測定方法およびその測定キット Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ネコフォリスタチンを担体に固定化し、試料中のネコアクチビンAの存在の有無またはその存在量を感度よく測定するための測定方法および測定キットを提供することが課題である。
【解決手段】ネコフォリスタチンを担体に固定化し、これに試料を接触させることにより、前記ネコフォリスタチンに特異的に結合する試料中のネコアクチビンAの存在、非存在を決定する、あるいはその存在量を決定するネコアクチビンAの測定方法およびネコフォリスタチンが固定化された担体、抗アクチビンA抗体と標識物質の複合体または、ネコフォリスタチンが固定化された微粒子よりなるネコアクチビンAの測定キット。
【選択図】なし

Description

本発明は、ネコフォリスタチンを担体に固定化し、試料と接触させることにより、ネコフォリスタチンに特異的に結合するアクチビンAを定量可能にするアクチビンAの測定方法およびそれに用いる測定キットに関する。
フォリスタチンは、分子量が約35,000〜32,000の糖蛋白質である。フォリスタチンにはアミノ酸数が315個および288個の2種類があり、そのどちらのフォリスタチンもアクチビンとの結合能を有し、下垂体培養細胞の卵胞刺激ホルモン(FSH)産生を抑制する作用を有している。
アクチビンには、アクチビンA、アクチビンAB,アクチビンBなどがあり、中でもアクチビンAはサブユニットであるインヒビンβA(アミノ酸116個のポリペプチド鎖)2本からなるホモダイマー構造を有するタンパク質で、分子量は約25,000である。アクチビンはフォリスタチンと結合能を有し、下垂体培養細胞の濾胞刺激ホルモン(FSH)産生を促進する作用を有している(非特許文献1参照)。
特許文献1では、虚血性急性腎不全モデルにおいて、フォリスタチンおよびアクチビンAが関係しており、アクチビンAの亢進とともにフォリスタチンが障害をうける腎尿細管の再生に関与していることが報告されてる。すなわち、、虚血性急性腎不全を発症するとアクチビンAの発現が亢進し、フォリスタチンの発現が抑制されることが示され、腎疾患ではアクチビンAの亢進が予想される。(特許文献1)。
ところで腎疾患の診断には、血漿クレアチニン濃度測定や血漿リン濃度測定やタンパク尿測定などがあるが、これらの方法はいずれも直接腎疾患の有無を把握するための方法ではなく、依然として腎疾患に特異的な測定法が確立していない。
さらに、特許文献2にはアンドロゲン非依存性腫瘍の診断に際し、フォリスタチンを使用してアクチビンを検出することが開示されているが、3種あるアクチビンの中でもアクチビンABとアクチビンBを検出の対象にするものであって、アクチビンAの検出に関しては何ら言及されておらず、またネコ由来のフォリスタチンやアクチビンに関しても何ら言及されていない。
したがって、ネコにおける腎疾患の診断に用い得るネコアクチビンAの測定方法は未だ見出されていないのが現状である。
Helene H著:Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、1988., 85、 p247-251 特開2001-288111号公報(第 2,3頁) 国際公開第00/062809号パンフレット(請求項15〜22)
本発明は、ネコフォリスタチンを担体に固定化し、試料中のネコアクチビンAの存在の有無またはその存在量を感度よく測定するための測定方法および測定キットを提供することが課題である。
本発明者は、担体、例えばイライザプレート(ELISA PLATE)や機能性高分子にネコフォリスタチンを固定化し、ネコ由来試料中のネコアクチビンAが結合することを見出し本発明を完成するに至った。本発明は以下を提供する。
1.ネコフォリスタチンを担体に固定化し、これに試料を接触させることにより、前記ネコフォリスタチンに特異的に結合する試料中のネコアクチビンAの存在、非存在を決定する、あるいはその存在量を決定するネコアクチビンAの測定方法。
2.ネコフォリスタチンが固定化された担体、抗アクチビンA抗体と標識物質の複合体を含むネコアクチビンAの測定キット。
3.ネコフォリスタチンが固定化された、微粒子および緩衝液よりなるネコアクチビンAの測定キット。
本発明によれば、ネコアクチビンAとの結合能を有しそのアンタゴニストとしての能力を有するネコフォリスタチンを担体に固定化し、試料、特にネコ由来生体試料を接触させることにより試料中のネコアクチビンAと反応させ、そのネコアクチビンAの存在の有無・存在量を感度よく測定することが可能になる。
(1.フォリスタチンについて)
本発明においてフォリスタチンは、主としてネコフォリスタチンの天然型および遺伝子組換え型のいずれをも包含するものであって、以下の(1)〜(3)の機能を有するものである。
(1)ネコの下垂体に作用して卵胞刺激ホルモンの基礎分泌を特異的に抑制する。
(2)黄体形成ホルモンの基礎分泌を抑制しない。
(3)アクチビンAとの結合能を有しそのアンタゴニストとしての能力を有する。
ここで、アクチビンAとの結合能を有するか否かは、アクチビンAをラベルしたアクチビンのバインディング・アッセイによって確認することができる。
ネコフォリスタチンのアミノ酸配列は常法により決定することができ、配列番号1および配列番号2の配列はその一例である。配列番号2の配列のC末端の27アミノ酸残基を削除したものが配列番号1の配列となっている。上記の(1)〜(3)の機能が実質的に保持される限り、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列中の1もしくは数個のアミノ酸が欠失しても、他のアミノ酸に置換されても、あるいは1もしくは数個のアミノ酸が付加されてもよい。
ネコフォリスタチンは特開2004−105166号公報記載の方法によって製造することができる。
産生されたネコフォリスタチンの分子量は、還元条件下、SDS-PAGEを行うことにより、約35,000〜32,000である。
(2.担体について)
本発明で使用される担体は、抗原抗体反応に使用される抗原や抗体の担体として使用されるものは特に制限なく使用することができる。例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライドなどの高分子物質、紙、ガラス、金属、アガロースおよびこれらの組合わせなどが考えられる。また、かかる不溶性担体の形状としても特に限定されたものではなく、例えばマイクロプレート、ディスクなどの平方状、ビーズなどの粒子状、試験紙などの管状、繊維状、膜状、セルなどの形状であってもよく、測定条件によって適宜変えることが可能である。さらにはラテックス微粒子等の微粒子を用いることが、ネコフォリスタチンを固定化した場合にこれとネコアクチビンAが結合することにより凝集する性質を有する点で好ましい。上記において「微粒子」としては、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸エステル、などの合成有機高分子物質、細胞片などの天然有機高分子物質、ガラス、シリカ、カーボンなどの無機物質などからなるものをいう。
また、フォリスタチンを上記担体に固定化して固相試薬を得る方法にしてもタンパク質を担体に固定化するためのいかなる方法も使用できる。また、固定化する担体は、固定化量の増大を図るため表面処理されたものを用いることができる。例えば、(+)電荷、(−)電荷を持つ不溶性担体などがあり、測定条件により適宜変えることが可能である。ネコフォリスタチンも他のタンパク質と同様両性イオンであるため、(+)(−)の電荷がうち消し合う固有のpH(等電点)が存在する。ネコフォリスタチンが(+)に荷電している場合は、(−)に荷電している固定化担体に吸着しやすく、ネコフォリスタチンが(−)に荷電している時は、(+)に荷電している固定化担体に吸着しやすい。ネコフォリスタチンの電荷は溶解させている緩衝液のpHにより変動させることができる。例えば、pHが等電点以上の緩衝液を用いればネコフォリスタチンを(−)に荷電させることができ、pHが等電点以下の緩衝液を用いればネコフォリスタチンを(+)に荷電させることができる。本発明においては、(+)あるいは(−)電荷を持つ不溶性担体のどちらでも用いることができる。
(3.スペーサー)
(3−1.スペーサーについて)
本発明において、ネコフォリスタチンを担体に固定化するために、ネコフォリスタチンと担体間を連結する目的でスペーサーを用いることができる。また、スペーサーはタンパク質やペプチドを介したものであり、担体に結合可能でかつネコフォリスタチンの立体構造を維持することが可能なものである。
たとえば、タンパク質に結合する性質を有するペプチドはファージディスプレー法を用いて入手することができる。例えば、Hashiguchiらの文献(シューヘイ・ハシグチ(Shuhei Hashiguchi, et al.,)、ザ・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(the Journal of Biochemistry),ヒューマン・エフシーイプシロンアールワンアルファー スペシフィック・ヒューマン・シングル チェイン・エフブイ(scFV)・アンチボディ・ウイズ・アンタゴニスティック・アクティビティ・トゥワード・アイジーイー/エフシーイプシロンアールワンアルファー・バインディング(Human Fc varepsilon RIalpha-Specific Human Single-Chain Fv (scFv) Antibody with Antagonistic Activity toward IgE/Fc varepsilon RIalpha-Binding)、日本、2003年、第133巻、p.43〜49.)記載のファージディスプレー法によって得られたscFvは、ヒトエフシーイプシロン(Fcε)受容体を結合させるのに適している。
また、ネコフォリスタチンと結合し、しかも固定化したネコフォリスタチンとネコアクチビンA間の結合を妨げない分子、例えばプロテインエー(Protein A)などは、ネコフォリスタチンを担体に結合させるためのスペーサーとして利用できる。
(3−2.ペプチドで構成されるスペーサーについて)
本発明においてネコフォリスタチンと結合する分子であるスペーサーは、ペプチドで構成されていてもよい。本発明におけるペプチドは数個のアミノ酸で構成されているものをさし、好ましくは2〜5残基のアミノ酸が最適である。また、本発明において、ペプチドからなるスペーサーは環状構造を有さないものが最適である。すなわち、スペーサーが環状構造を有さないことにより、捕捉分子すなわちネコアクチビンAを的確に捕捉できるためである。さらに、スペーサーであるペプチドを構成するアミノ酸としては、環状構造を有する可能性のある、芳香族アミノ酸、複素環アミノ酸および塩基性アミノ酸以外のアミノ酸である脂肪族アミノ酸、ヒドロキシアミノ酸、含硫アミノ酸および酸性アミノ酸が最適である。
(3−3.融合タンパク質を利用した結合方法)
ネコフォリスタチンとスペーサー分子の連結は、それぞれを構成するタンパク質を融合させた融合タンパク質を慣用の遺伝子操作によって作成することで達成できる。すなわちフォリスタチンにスペーサーペプチドを融合させる。本発明で用いられる用語「融合」とは、両タンパク質間をペプチド結合で結合させることを意味する。通常、ネコフォリスタチンをコードしたDNAの前後または途中にタンパク質もしくはペプチドをコードするDNAを挿入し、そのDNAを用いて融合タンパク質を作製するが、他の方法、たとえば、化学合成によっても融合タンパク質は得られる。
融合による結合においては、遺伝子さえあれば容易に慣用の遺伝子操作によってネコフォリスタチンとスペーサー分子を結合でき、遺伝子を組み込んだ発現ベクターは容易に複製可能であり、何度でも再現性よくネコフォリスタチンとスペーサー分子が同一部位に融合したタンパク質を作成できる。そのため、結合部位を制御する必要が無く、後述の共有結合を形成させた結合に比べて、融合による結合は互いに同一の分子種及び同一の分子数かつ同じ立体構造を有したフォリスタチンを作成することができる点で有効な手段の一つとして挙げられるのである。
(3.4 スペーサーと連結したネコフォリスタチンを担体に固定化する方法)
上記のようにして得られたスペーサーと連結したネコフォリスタチンを担体に固定化する方法としては、担体への物理的吸着、又はそれ自体既知の通常用いられている方法により化学的に結合させればよい。
(4.ネコアクチビンAとの接触方法)
本発明における捕捉対象物質であるネコアクチビンAは、サブユニットであるインヒビンβA(アミノ酸116個のポリペプチド鎖)2本からなるホモダイマー構造を有するタンパク質で、分子量は約25,000である。ネコアクチビンAはネコフォリスタチンと結合能を有し、その生物活性である骨髄性白血病細胞株K562細胞を用いたヘモグロビン放出活性が、ネコフォリスタチンにより抑制される。
本発明の測定方法に用いる試料としては、上記ネコアクチビンAの存在が疑われる、もしくはその存在量を定量したい試料であり、この試料としてはネコから採取した血液、血清、尿等ネコ由来生物学的試料の他、これらネコ由来生物学的試料中のネコアクチビンAを定量する際等に用いる検量線を得るために所定のネコアクチビンAを添加した標準液等が挙げられる。これらは緩衝液等で希釈されていてもよい。
本発明の測定方法では上記試料を担体に固定化したネコフォリスタチンに添加し、室温下で反応させることにより試料中のネコアクチビンAを検出することができる。
(5.検出方法)
(5−1.抗体−標識物質複合体を用いた検出)
マイクロプレートなどの平方状、ビーズなどの粒子状、試験紙などの管状、繊維状、膜状、セルなどの形状を有する担体に固定化されたネコフォリスタチン分子に結合したネコアクチビンAの定量には、抗アクチビン抗体と標識物質の複合体(以下「抗体−標識複合体」と称する場合もある)による検出を適用することができる。
すなわち、ネコアクチビンAが試料中に存在すればネコフォリスタチンと結合し、そのネコアクチビンを捕捉する抗アクチビン抗体と標識物質の複合体を接触させ、標識物質の定量を行うことによりネコアクチビンAの量を測定する方法である。標識物質としては酵素、発光物質、蛍光物質などが一般に使用される。酵素としては例えばペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼなどが挙げられる。発光物質としては例えばイソルシノール、ルシゲニンなどが挙げられる。また、蛍光物質としては、フルオレセインニソチオシアネート、フィコビリプロテインが挙げられる。
上記抗アクチビン抗体と標識物質とを複合する方法としては、主に架橋剤を用いる。
抗アクチビン抗体中のSH基にマレイミドを有する架橋剤を用いることにより、標識物質である酵素と抗体を比較的温和な条件で結合することができる。具体的には抗アクチビン抗体をペプシンで処理するとともに、適当な緩衝液でpHを中性以上にする。次に標識物質をEMCSで処理することによりマレイミド基を導入し、両者を中性以上のpH下で混合して複合させる。
本発明の測定方法においては、ネコフォリスタチンを固定化した担体に試料および抗体−標識複合体を添加して反応させるが、標識物質として酵素を使用する場合、ネコフォリスタチン、試料、抗体−標識複合体を反応させた後、標識物質として用いた酵素の活性を測定するために、基質を使用することが望ましく、必要に応じて発色剤も使用可能である。
例えば酵素としてHRPを使用する場合、基質として過酸化水素、ペルオキシダーゼアビジンなどを使用し、発色剤として2.2アビジンを使用することが好ましい。また酵素としてアルカリフォスファターゼを使用する場合は、基質としてニトロフェニルフォスフェートなどを使用することが好ましく、さらに酵素としてβ−D−ガラクトシダーゼを使用する場合には、基質としてp-ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド、フルオレセイン−ジ−(β−D−ガラクトピラノシド)、4−メチルウンベリフェニル−β−D−ガラクトピラノシドなどを使用するのが好ましい。また発光剤としては、2.2アジノジ[3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸]アンモニウム塩(ABTS)、4−アミノアンチピリン、3.3.5.5−テトラメチルベンジジンなどを使用するのが好ましい。
ネコフォリスタチン、試料、抗体−標識複合体を反応させた後、酵素活性を測定するためこれに基質を添加して反応させる。この反応を所定時間実施、反応が進行した段階で、反応停止剤を使用してその反応を停止させる。使用する反応停止剤としては例えば硫酸などの公知の薬剤を使用することができる。得られた反応液は、所定の波長でその吸光度が測定されて、標識物質の酵素活性を測定する。例えば、標識酵素がアルカリフォスファターゼの場合、p-ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドを反応させて遊離したp−ニトロフェノールを波長415nmで比色定量することによって、該複合体中のβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定することができる。この場合試料中のネコアクチビンAの含有量が多いほど酵素活性は高く測定される。
(5−2.微粒子の凝集反応による検出)
担体として微粒子、例えばラテックス微粒子を使用する場合は、微粒子表面に固定化されたネコフォリスタチンとネコ由来試料中のネコアクチビンが反応し結合することにより、微粒子同士の凝集がおこり、その変化を光学的に測定することによりネコアクチビンの量を測定することが可能である。すなわち、凝集反応はプラスチック又はガラスセル内で行い、セル外部から波長440-1000nmから選ばれる波長の光又は白色光を照射し、吸光度の変化又は散乱光の強度を測定することにより、予め作成した検量線から試料液内のネコアクチビンAが算出される。
一方で、抗体−標識物質複合体も組み合わせることも可能であり、ネコアクチビンを捕捉する抗体に結合した標識物質、例えば酵素などの発色・発光の程度によってもネコアクチビンの量を測定することができる。
(6.ネコアクチビンA測定キット)
上記反応及び測定工程等を含むネコアクチビンAの存在・非存在及びその存在量を測定するために用いるキットは、それ自体既知の方法により調製可能である。
本発明におけるネコアクチビンAの測定キットは、ネコフォリスタチンが固定化された担体、抗アクチビンA抗体と標識物質の複合体を含むネコアクチビンAの測定キット、あるいはネコフォリスタチンが固定化された微粒子を含むネコアクチビンAの測定キットが挙げられる。
これらのキットには、さらに、上記したネコフォリスタチンを固定化した担体の他、緩衝剤、塩化ナトリウム、ネコアクチビンA標準物(ネコアクチビンAを定量するために用いる検量線を得るための標品)等から選択される試薬を含んでいてもよい。ネコフォリスタチンが固定化された微粒子を含む測定キットの場合には、緩衝液、ネコアクチビンA標準物を含んでいてもよい。また、任意の要素として試料希釈液、洗浄液、なども含むことができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
参考例1
ネコフォリスタチン遺伝子のクローニング
(1)ネコcDNAのファージライブラリー調製
ネコ腎由来細胞CRFKを150cm2フラスコで3〜4日培養し、5×107cellsの細胞沈殿物を調製した。mRNA isolation kit(ストラタジーン社)によりmRNAを調製した。すなわち、CRFKの沈殿物にグアニジン・チオシアネートを含む変性溶液を加え、21Gニードルで混入したDNAをせん断した。次に溶出緩衝液を加え遠心を行い、その上清を得た。得られた上清をオリゴdTセルロースカラムにアプライし、カラムの洗浄を行った後、予め68℃に加温しておいた溶出緩衝液によりポリ(A)RNAを溶出した。次に得られたポリ(A)RNAを用いて、ZAP-DNA Synthesis kit(東洋紡社)によりcDNAファージライブラリーを合成した。すなわちキットのマニュアルに従い2本鎖cDNAを合成し、さらにエコアールワン(EcoRI)/ノットワン(NotI)アダプターを連結した。次にユニザップエックスアールベクター(Uni-ZAP XR vector)に連結した後、ギガパックスリーパッケージングエキストラクト(GigapackIIIpackaging extract)(ストラタジーン社)を用いてパッケージングを行い、組換え体ファージライブラリーを作製した。
(2)ネコフォリスタチン遺伝子のクローニング
ヒトフォリスタチンのN末端およびC末端の塩基配列(文献1)をもとに、配列番号6と配列番号7の2種類のプライマーをDNAシンセサイザーにて合成した。上記(1)のCRFKcDNAを0.5mLのマイクロチューブに1μLを入れ、各プライマー20pmol、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1.5mM MgSO4、25mM KCl、50μM各dNTP、ポリメラーゼ(KOD)を添加し、全量50μLとした。DNAの変性条件94℃,30秒、プライマーのアニーリング条件を60℃,30秒、プライマーの伸張条件を68℃,1分の各条件でバイオラッド社製DNAサーマルサイクラーを用いて、35サイクル反応させた。これを1%アガロースゲルにて電気泳動し、約900bpのDNA断片を常法(文献2)に従って調製した。
このDNA断片をpUC108(アマシャムファルマシア社)にDNA ライゲーションキット(Ligation kit Ver.2)を用いて連結した。これを用いて常法に従って大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法により調製した。次にこのプラスミドにPCR断片が挿入されていることを前述と同条件のPCRおよびエコアールワン(EcoRI)およびヒンディスリー(HindIII)による制限酵素処理により確認し、ABI PRISM 377XL(アプライドバイオシステムズ)により、ビッグダイターミネーターサイクルシーケンス(BigDye Terminator Cycle Sequencing)法(文献3)でネコフォリスタチンと思われるDNAの塩基配列を決定した。この配列を配列番号3に示す。また、この配列を含む、900bpのDNA断片にロッシュダイアグノティス社製のDIG DNA ラベリングキット(Labeling kit)を用いてDIG標識し、プローブを作製した。上記(1)で作製した組換え体ファージライブラリーを大腸菌XL1Blue MRF’上でプラークとして形成させ、日本ロシュ社製のナイロンメンブレンに常法に従って転写した。転写したナイロンメンブレンは、DNAの固定を行った後、2mg/mLプロテイナーゼK溶液中に浸し、37℃1時間インキュベートした。さらにそのナイロンメンブレンを、最終濃度20ng/mLになるようにプローブを加えたディグイージーハイブ(DIG EASY HYB)(ロシュダイアグノティス社製)中に入れ、42℃で1晩インキュベートを行い、ハイブリダイズさせた。ハイブリダイズしたナイロンメンブレンを、2×SSC(30mMNaCl、3mMクエン酸ナトリウム)、0.1%SDS中5分、2回洗浄を行い、さらに0.5×SSC(7.5mMNaCl、0.75mMクエン酸ナトリウム)、0.1%SDS中65℃下、15分、2回洗浄を行った。ナイロンメンブレンをCDP-Starによる化学発光により陽性プラークの検出を行った。すなわち、洗浄したナイロンメンブレンをブロッキング溶液(ロシュダイアグノティス社製)に室温下30分以上インキュベートした後、アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体(ロシュダイアグノティス社製)を含むブロッキング溶液内に入れてさらに30分インキュベートした。抗体溶液を捨て、洗浄バッファー(100mMマレイン酸、150mMNaCl、0.3%Tween20)で15分間、各2回ずつナイロンメンブレンを洗浄し、検出バッファー(100mMTris-HCl(pH9.5)、100mMNaCl)内に溶解させたCDP-Starをナイロンメンブレンに処理し、5分間室温で、さらに15分間37℃下でインキュベートした。得られたナイロンメンブレンをX-ray Filterに露光し、陽性シグナルを有するプラークを常法に従い再スクリーニングした。3回のスクリーニングの結果、陽性シグナルを有する1個の組換え体ファージを得た。この組換え体ファージよりインビボエキシジョン(in vivo exision)法により、組換えプラスミドを含む大腸菌を得た。この大腸菌を培養し、常法に従いプラスミドを調製し、ABI PRISM 377XL(アプライドバイオシステムズ)により、ビッグ代ターミネーターサイクルシーケンス(BigDye Terminator Cycle Sequencing)法(文献3)でネコフォリスタチンDNAの塩基配列(配列番号5)を決定した。
得られたネコフォリスタチン遺伝子のホモロジー検索の結果、Equus caballus(ウマ):95%、O aries(ヒツジ):94%、Bos taurus(ウシ):94%、Homo sapiens(ヒト):94%、Rattus norvegicus(ラット):91%、Mus musculus(マウス):90%であった。
参考例2
ネコフォリスタチンの生産
(1)ネコフォリスタチン組換えウイルスの調製
発現ベクターpVL1392を制限酵素ビージーエルツー(BglII)及びエコアールワン(EcoRI)で切断し、ウシ由来アルカリフォスファターゼで末端を脱リン酸化し、調製した。一方、ネコフォリスタチンDNA断片は配列番号8と配列番号9の2種類の切断部位(BglII及びEcoRI)およびアミノ酸配列グリシン・セリン・セリンを付加したプライマーを作製し、実施例1(2)で調製したネコフォリスタチンDNAを鋳型として、DNAの変性条件94℃,30秒、プライマーのアニーリング条件を60℃,30秒、プライマーの伸張条件を68℃,1分の各条件でバイオラッド社製DNAサーマルサイクラーを用いて、35サイクル反応させた。エタノール沈殿後、制限酵素で切断し、1%アガロースゲル電気泳動にて約1kbpのDNA断片を調製した。
このDNA断片をT4 ポリヌクレオチドキナーゼによりリン酸化した後、pVL1392にDNA ライゲーションキット(Ligation kit Ver.2)を用いて連結した。これを用いて常法に従い大腸菌に形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法により調製した。次にこのプラスミドとAcNPVと共に昆虫細胞Sf9に常法に従いコ・タランスフェクションを行い、ネコフォリスタチンを発現する組換えウイルスを得た。
さらに、作製した発現プラスミド中のネコフォリスタチンDNAの塩基配列を確認した。
(3)昆虫細胞Sf9でのネコフォリスタチンの発現
上記(2)で得られた組換えウイルスを27℃下培養したSf9に感染させた。27℃下5日間培養し、培養上清を回収した後2,000G,10分遠心しその上清を回収した。
(4)ネコフォリスタチンの活性測定
上記(3)で生産されたネコフォリスタチンの活性測定は以下のようにして行った。K562細胞を用いてアクチビンAによるヘモグロビン放出作用の抑制を確認した(文献4)。
96穴プレートに骨髄性白血病細胞株K562細胞(2×10cells/mL)を、10%
ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI-1640培地(ギブコ社製液体培地)により、ネコアクチビンA非存在下または存在(20ng/mL)下、ネコフォリスタチン非存在下または存在下4日間培養を行った。次に細胞をリン酸緩衝液(PBS)により2回洗浄し、滅菌した水50uLに懸濁し、遠心操作により上清画分40μLを得た。得られた上清に0.5mg/mL オルトフェニレンジアミン と0.03%過酸化水素を含むクエン酸緩衝液200μLを加え、暗下15分処理した。その後2.5M硫酸を50μL加え、490nmの吸光度の測定を行った。その結果を図1に示す。図1は、各例における吸光度を示したグラフである。ネコフォリスタチン存在下有意にヘモグロビン産生の抑制が見られた。
(5)ネコフォリスタチンの精製
a. 陽イオン交換担体によるネコフォリスタチンの精製
上記(3)で得られた培養上清を、予め20mMリン酸緩衝液で平衡化した陽イオン交換担体であるSP Sepharoseに導入し、再度20mMリン酸緩衝液を用いて洗浄を行った。次に0〜1M塩化ナトリウムを含有する20mMリン酸緩衝液を用いてステップワイズ法による溶出を行い得られた溶出液を用いてイムノブロッティング並びに上記(4)による方法で活性測定を行ったところ、0.5M塩化ナトリウムを含む画分でネコフォリスタチンを検出した。
b. ヘパリン担体によるネコフォリスタチンの精製
上記aで得られた溶出液を、予め0.2M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液で平衡化したヘパリン担体に導入し、再度0.2M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液を用いて洗浄を行った。次に0.2M〜1M塩化ナトリウムを含有する20mMリン酸緩衝液を用いてステップワイズ法による溶出を行い得られた溶出液を用いてイムノブロッティング並びに上記(4)による方法で活性測定を行ったところ、0.8M塩化ナトリウムを含む画分でネコフォリスタチンを検出した。得られたネコフォリスタチン溶液を0.9%NaClを含むpH8.0のグリシン緩衝液で限外濾過し、濃度1mg/mL(10mL)のネコフォリスタチンを調製した。
参考例3
ネコアクチビンAについて
(1)ネコインヒビンβA遺伝子のクローニング
ヒトインヒビンβAの塩基配列(文献5)をもとに、配列番号 15と配列番号16の2種類のプライマーをDNAシンセサイザーにて合成した。参考例1のCRFKcDNAを0.5mLのマイクロチューブに1μLを入れ、各プライマー20pmol、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1.5mM MgSO、25mM KCl、50μM各dNTP、DNAポリメラーゼ(東洋紡社製KOD)を添加し、全量50μLとする。DNAの変性条件94℃,30秒、プライマーのアニーリング条件を60℃,30秒、プライマーの伸張条件を68℃,1分の各条件でBio-RAD社製DNAサーマルサイクラーを用いて、35サイクル反応させた。これを1%アガロースゲルにて電気泳動し、約300bpのDNA断片を常法(文献6)に従って調製した。
このDNA断片をpUC108(アマシャムファルマシア社)にDNAライゲーションキット(Ligation kit Ver.2)を用いて連結した。これを用いて常法に従って大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法により調製した。次にこのプラスミドにPCR断片が挿入されていることを前述と同条件のPCRおよびエコアールワン(EcoRI)およびヒンディスリー(HindIII)による制限酵素処理により確認し、ABI PRISM 377XL(アプライドバイオシステムズ)により、ビッグダイターミネーターサイクルシーケンス(BigDye Terminator Cycle Sequencing)法(文献7)でヒトやマウスなどのインヒビンβAとのホモロジーを確認し、ネコインヒビンβAと推定されるDNAの塩基配列を決定した。
この配列を配列番号11に示す。また、この配列を含む、300bpのDNA断片にロッシュダイアグノティス社製のディグDNAラベリングキット(DIG DNA Labeling kit)を用いてDIG標識し、プローブを作製した。 次にネコ腎由来細胞CRFKを150cm2フラスコで3〜4日培養し、5×107cellsの細胞沈殿物を調製した。mRNA 抽出キット(ストラタジーン社)によりmRNAを調製した。すなわち、CRFKの沈殿物にグアニジン・チオシアネートを含む変性溶液を加え、21Gニードルで混入しているDNAをせん断した。次に溶出緩衝液を加え遠心を行い、その上清を得た。得られた上清をオリゴdTセルロースカラムにアプライし、カラムの洗浄を行った後、予め68℃に加温しておいた溶出緩衝液によりポリ(A)RNAを溶出した。次に得られたポリ(A)RNAを用いて、ザップDNA合成キット(ZAP-DNA Synthesis kit)(東洋紡社)によりcDNAファージライブラリーを合成した。すなわちキットのマニュアルに従い2本鎖cDNAを合成し、さらにエコアールワン(EcoRI)/ノットワン(NotI)アダプターを連結した。次にユニザップエクスアールベクター(Uni-ZAP XR vector)に連結した後、ギガパックスリーパッケージングエキストラクト(GigapackIIIpackaging extract)(ストラタジーン社)を用いてパッケージングを行い、組換え体ファージライブラリーを作製した。この組換え体ファージライブラリーを大腸菌XL1Blue MRF’上でプラークとして形成させ、ロシュダイアグノティス社製のナイロンメンブレンに常法に従って転写した。転写したナイロンメンブレンは、DNAの固定を行った後、2mg/mLプロテイナーゼK溶液中に浸し、37℃1時間インキュベートした。さらにそのナイロンメンブレンを、最終濃度20ng/mLになるように前記プローブを加えたディグイージハイブ(DIG EASY HYB)(ロシュダイアグノティス社製)中に入れ、42℃で1晩インキュベートを行い、ハイブリダイズさせた。ハイブリダイズしたナイロンメンブレンを、2×SSC(30mMNaCl、3mMクエン酸ナトリウム)、0.1%SDS中5分、2回洗浄を行い、さらに0.5×SSC(7.5mMNaCl、0.75mMクエン酸ナトリウム)、0.1%SDS中65℃下、15分、2回洗浄を行った。ナイロンメンブレンをCDP-Starによる化学発光により陽性プラークの検出を行った。すなわち、洗浄したナイロンメンブレンをブロッキング溶液(ロシュダイアグノティス社製)に室温下30分以上インキュベートした後、アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体(ロシュダイアグノティス社製)を含むブロッキング溶液内に入れてさらに30分インキュベートした。抗体溶液を捨て、洗浄バッファー(100mMマレイン酸、150mMNaCl、0.3%Tween20)で15分間、各2回ずつナイロンメンブレンを洗浄し、検出バッファー(100mMTris-HCl(pH9.5)、100mMNaCl)内に溶解させたCDP-Starをナイロンメンブレンに処理し、5分間室温で、さらに15分間37℃下でインキュベートした。得られたナイロンメンブレンをX-ray Filterに露光し、陽性シグナルを有するプラークを常法に従い再スクリーニングした。3回のスクリーニングの結果、陽性シグナルを有する1個の組換え体ファージのプラークを得た。この組換え体ファージよりin vivo exision法により、組換えプラスミドを含む大腸菌を得た。この大腸菌を培養し、常法に従いプラスミドを調製し、ABI PRISM 377XL(アプライドバイオシステムズ)により、ビッグダイターミネーターサイクルシーケンス(BigDye Terminator Cycle Sequencing)法でヒトやマウスなどのインヒビンβAとのホモロジーを確認し、3‘末端側を含むネコインヒビンβA DNAの部分塩基配列(配列番号13)を決定した(但し、この塩基配列には、プライマーに用いたヒトインヒビン部分配列により一部置換されている)。
(2)5’RACE法によるネコインヒビンβA遺伝子5’末端のクローニング
(1)で得られたネコインヒビンβAの部分塩基配列をもとに、配列番号17と配列番号18と配列番号19の3種類のプライマーをDNAシンセサイザーにて合成した。上記(1)のCRFKmRNAを0.5mLのマイクロチューブに2μLを入れ、5’レースキット(RACE kit)(ギブコ社製)を用いてネコインヒビンβAの5’側末端を含むDNAを調製した。すなわち、CRFKmRNAおよびRNaseを不活化するためのDEPC水、プライマー25pmol(配列番号17)を加え、70℃10分間処理した。次に氷上で1分間おき、10×PCR Buffer、25mM MgCl、10mM dNTP、0.1M DTTをそれぞれ添加し42℃で1分加温した。次にSuperScriptIIRTを添加し、さらに42℃で30分処理し続けて70℃15分処理して、cDNAへの逆転写を行った。最後にRNaseMixを加え37℃で20分処理を行ってRNAを分解した。こうして得られたサンプルを用いて、スピンカートリッジにより逆転写されたcDNAの精製を行った。すなわち、結合緩衝液(6M NaI)をサンプルに添加し、スピンカートリッジにセットした後13,000G、20秒遠心を行った。400μL 洗浄緩衝液で洗浄を繰り返し、さらに70%エタノールで洗浄を加えた後、予め65℃に熱しておいた滅菌水を加えて13,000G、20秒遠心を加えた。溶出したサンプル10μL、DEPC処理水6.5μL、tailing Buffer5μL、2mMdCTP2.5μLを混合し、94℃、3分処理した後、氷上で1分静置した。次に5’RACE kit(ギブコ社製)のターミネーターデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(terminal deoxynucleotidyl transferase)1μLを加え、37℃10分処理し、さらに65℃、10分処理して、後述のアダプタープライマーと塩基配列が相補的な塩基配列を前記cDNA5’末端に付加させた。得られたサンプルを用いて、プライマー20pmol(配列番号18)およびアダプタープライマー20pmol、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1.5mM MgSO、25mM KCl、50μM各dNTP、KODを添加し、全量50μLとした。DNAの変性条件94℃,30秒、プライマーのアニーリング条件を62〜50℃,30秒、プライマーの伸張条件を68℃,1分の各条件でバイオラッド社製DNAサーマルサイクラーを用いて、35サイクル反応させた。得られたPCR産物を用いてプライマー20pmol(配列番号19)およびアダプタープライマー20pmol、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1.5mM MgSO、25mM KCl、50μM各dNTP、KODを添加し、全量50μLとした。DNAの変性条件94℃,30秒、プライマーのアニーリング条件を62〜50℃,30秒、プライマーの伸張条件を68℃,1分の各条件でBio-RAD社製DNAサーマルサイクラーを用いて、35サイクル反応させた。これを1%アガロースゲルにて電気泳動し、約400bpのDNA断片を常法に従って調製した。
このDNA断片をpUC108(アマシャムファルマシア社)にDNA ライゲーションキット(Ligation kit Ver.2)を用いて連結した。これを用いて常法に従って大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法により調製した。次にこのプラスミドにPCR断片が挿入されていることを前述と同条件のPCRにより確認し、ABI PRISM 377XL(アプライドバイオシステムズ)により、ビッグダイターミネーターサイクルシーケンス(BigDye Terminator Cycle Sequencing)法で5’末端を含むネコインヒビンβAのDNAの一部と推定される塩基配列を決定した(配列番号14)。
(3)ネコインヒビンβAのcDNA配列
上記の(1)および(2)により、決定された塩基配列をつき合わせて、ネコインヒビンβAのcDNA完全配列が明らかになった(配列番号10)。
得られた得られたネコインヒビンβA遺伝子のホモロジー検索の結果、Equus caballus(ウマ):91%、O aries(ヒツジ):90%、Porcine(ブタ):93%、Homo sapiens(ヒト):90%、Rattus norvegicus(ラット):88%、Mus musculus(マウス):88%であった。
参考例4
(ネコアクチビンAの生産)
(1)ネコインヒビンβAトランスファーベクターの調製およびトランスフェクション
ネコインヒビンβADNA断片は配列番号20と配列番号21の2種類のプライマー(それぞれ、制限酵素ゾーワン(XhoI)及びエコアールワン(EcoRI)の切断部位に相当する塩基配列を有する)を作製し、参考例2(3)で調製したcDNA断片を鋳型とし、DNAの変性条件94℃,30秒、プライマーのアニーリング条件を60℃,30秒、プライマーの伸張条件を68℃,1分の各条件でBio-RAD社製DNAサーマルサイクラーを用いて、35サイクル反応させた。エタノール沈殿後、1%アガロースゲル電気泳動にて約1.3kbpのDNA断片を調製した。このDNA断片をT4 ポリヌクレオチドキナーゼによりリン酸化した後、予めスマワン(SmaI)処理し、脱リン酸化処理したpUC108に挿入した。これを用いて常法に従い大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法により調製した。さらに、作製したプラスミド中のネコインヒビンβADNAの塩基配列を確認した。
本プラスミドを2種類の制限酵素(ゾーワン(XhoI)及びエコアールワン(EcoRI))で処理し、電気泳動法によりネコインヒビンβADNA断片を得た。一方、哺乳動物細胞用トランスファーベクター(pOPRSVI/MCS)(ストラタジーン社製)を制限酵素ゾーワン(XhoI)及びエコアールワン(EcoRI)で切断し、調製した。こうして得られたネコインヒビンβADNA断片と切断されたベクターにDNA ライゲーションキット(Ligation kit Ver.2)を用いて連結させた。この連結させたベクターを用いて常法に従い大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法により調製した。さらに、作製したプラスミド中のネコインヒビンβADNAの塩基配列を確認した。次にこのプラスミドをチャイニーズハムスター卵巣細胞株(CHO-K1)細胞にトランスフェクション試薬(GenePORTERTransfection Reagent)を用いてトランスフェクションを行った。
(2)CHO-K1でのネコアクチビンAの発現
上記(1)で得られた細胞を、37℃下4〜5日間培養を行い、その培養上清を回収し、12,000rpm、20分間遠心を行い、ネコアクチビンAを含む上清画分を得た。
(3)ネコアクチビンAの活性測定
上記(2)で生産されたネコアクチビンAの活性測定は以下のようにして行った。すなわちアクチビンAによる骨髄性白血病細胞株K562細胞のヘモグロビン放出により行った。(文献8)96穴プレートにK562細胞(2×10cells/mL)を10%FBSを含むRPMI-1640培地により、(3)で得られたアクチビンAを含む培養上清非存在下または存在下、4日間培養を行う。次に細胞をPBSにより2回洗浄し、滅菌した水50μLに懸濁し、遠心操作により上清画分40μLを得る。得られた上清に0.5mg/mL オルトフェニレンジアミン と0.03%過酸化水素を含むクエン酸緩衝液200μLを加え、暗下15分処理した。その後2.5M硫酸を50μL加え、490nmの吸光度の測定を行った。その結果を図2に示す。図2は、各例における吸光度を示すグラフである。ネコアクチビンA存在下の方の実施サンプル(アクチビンA)は、非存在下の方のコントロールサンプル(コントロール)に比べて有意にヘモグロビンの誘導を行った。
参考文献
1.Uenoら:Proc Natl Acad SciUSA.1984. 84. 8282-86
2.Molecular Cloning .Cold Spring Harbor Laboratory.New York.1982
3.Takabeら:Mol Cell Biol.1988 .8 .466-472
4.Jennieら:Endcrinology.1993.132.2732-34
5.Mason AJら:Nature.1985. 318. p659-663
6.Molecular Cloning .Cold Spring Harbor Laboratory.New York.1982
7.Takabeら:Mol Cell Biol.1988 .8 .466-472
8.Jennieら:Endcrinology.1993.132.2732-34。
(実施例)
1.ネコフォリスタチンの担体への固定化
上記で調製した濃度1mg/mL(10mL)のネコフォリスタチンを含み、かつ0.9%NaClを含むpH8.0のグリシン緩衝液条件下、ラテックス微粒子(immutexG5302,日本合成ゴム社製)10mgと混合し4℃一晩物理吸着させた。次に、17000rpm、15分間遠心処理を実施し、未吸着のネコフォリスタチン画分を除去した。ラテックス微粒子を1mg/mLの濃度になるようにエマルジョン18溶液に懸濁した。本溶液を10ccに懸濁し、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミドメト−P−トルエンスルホン酸(メルク社製)を0.1mLを添加し、4℃下20時間攪拌した。次にこの反応液を17000rpmで15分間遠心し、さらに0.05%エマルジョンを含む20mMホウ酸緩衝液(pH9)により3mg/mLの濃度で再懸濁した。
2.ラテックス微粒子の凝集性
ネコアクチビンAをコントロールとし、正常ネコ血清を用いて希釈したネコアクチビンAの標準液(0,1,10,100,1000ng/mL)を調製した。ネコフォリスタチンを固定化したラテックス微粒子および固定していないラテックス微粒子を用意し、それぞれ500μg/mLに希釈した。希釈溶液は、2%ポリエチレングリコール6000、0.5MNaCl、0.05%エマルジョン16を含む50mMTris-HCl緩衝液(pH8)で行った。次にネコアクチビンA標準液50μL、ラテックス微粒子100μL、希釈液350μLを加え、室温にて1時間反応させた。その後、散乱光強度をレーザーネフェロメーターにて測定した。その結果を図3に示す。図3はネコフォリスタチンを固定化したラテックス微粒子にネコアクチビンAを反応させた際の散乱光強度を示したグラフであり、これによりラテックス微粒子の凝集程度がわかる。グラフ中、フォリスタチン(+)はネコフォリスタチンを担体に吸着させた場合のネコアクチビンの吸着量を示しており、吸着量は濃度依存的であるのに対し、フォリスタチン(―)は 担体にネコフォリスタチンが固定化されていないため、ネコアクチビンAが吸着することがないため、ネコアクチビンAが検出されていない事を示す例である。すなわち、ネコアクチビンAは担体に物理吸着することなく、ネコフォリスタチンに特異的に結合しているものと考えられる。また、フォリスタチンを固定化したラテックス微粒子では10ng/mL以下のネコアクチビンAで凝集を示したことから、高い感度を有しているものと考えられる。
ネコフォリスタチンを固定化した担体にネコ由来試料を接触させ、試料中のネコアクチビンAの測定方法および測定キットは、ネコアクチビンAの亢進が予想される慢性腎疾患の新たな診断方法になる可能性がある。
図1は、ネコフォリスタチンを用いたアクチビンAによるヘモグロビン放出作用の抑制を示すグラフである。 図2は、ネコアクチビンAを用いたヘモグロビン誘導を示すグラフである。 図3は、ネコフォリスタチンを固定化したラテックス微粒子にネコアクチビンAを反応させた際の散乱光強度を示したグラフである。

Claims (3)

  1. ネコフォリスタチンを担体に固定化し、これに試料を接触させることにより、その試料中の前記ネコフォリスタチンに特異的に結合するネコアクチビンAの存在、非存在を決定する、あるいはその存在量を決定するネコアクチビンAの測定方法。
  2. ネコフォリスタチンが固定化された担体、抗アクチビンA抗体と標識物質の複合体を含むネコアクチビンAの測定キット。
  3. ネコフォリスタチンが固定化された微粒子を含むネコアクチビンAの測定キット。
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