JP2007532889A - 癌の進行度をモニタリングする方法 - Google Patents

癌の進行度をモニタリングする方法 Download PDF

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Abstract

本発明は一般に、癌の発生もしくは進行度を診断する、予測する、またはモニタリングする方法に、および特に、哺乳類における前立腺癌の発生もしくは進行度を診断する、予測する、またはモニタリングする方法に関する。本発明は、より具体的には、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βEまたはフォリスタチン発現の2つまたはそれ以上のレベルにおける変化をスクリーニングすることによって、早期および進行期癌またはそれらの素因を描写する方法を提供する。本発明は、癌の発症に付随するか、もしくは癌の発症によって特徴づけられる状態を診断またはモニタリングする方法をさらに提供する。

Description

発明の分野
本発明は、一般に、癌の発症もしくは進行度を診断し、予測し、またはモニタリングする方法に、および特に哺乳類における前立腺癌の発症もしくは進行度を診断し、予測し、またはモニタリングする方法に関する。本発明は、より具体的には、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチン発現の2つまたはそれ以上のレベルの変化をスクリーニングすることよって、早期および進行期癌またはそれに対する素因を描写する方法を提供する早期を詳細に描写する方法を提供する。本発明は、癌の発症と付随した、もしくは癌の発症によって特徴づけられる状態を診断し、またはモニタリングする方法をさらに提供する。
発明の背景
本明細書の著者によって参照された刊行物の書誌的な詳細は、明細書の最後に集めてある。
本明細書中のいずれの従来技術に対する参照も、この従来技術が共通の一般的知識の一部を形成するものとは認められず、または何ら示唆する形態でもなく、また解釈されるべきでない。
新生物は、組織の比較的自律的な新規成長によって生じる細胞の異常な集団またはコロニーである。大部分の新生物は、腫瘍転化を受けた単一細胞のクローン増殖によって生じる。正常細胞の新生細胞への形質転換は、細胞ゲノムを変化させる化学的、物理的、または生物学的薬剤(またはイベント)によって生じさせることができる。新生細胞は、いくつかの分化した機能の喪失および新たな生物学的性質、最も重要なこととして比較的自律的な増殖特性の獲得によって特徴づけられる。これらは、これらの遺伝性の生物学的特徴を子孫細胞に伝える。新生物は、有糸分裂ができる細胞を含むほとんどすべての組織で生じる可能性がある。
新生物の現在、過去、および未来に予測される生物学的挙動または臨床経過は、良性または悪性にさらに分類される(診断、治療、および予後において非常に重要な見境である)。浸潤および転移性に広がることができる、より優れた程度の自律性を示す悪性新生物は、治療に耐性であり得るし、死を引き起こし得る。しかし、より劣った程度の自律性を示す良性新生物は、通常浸潤性ではなく、転移しない。
「癌」は、一般に悪性新生物を意味する総称である。これは、世界的に生じ、西側諸国において最も一般的死因として、心疾患の次に多い疾患である。米国における癌の推定発生率は、例えば毎年約1×106の新規症例である。全ての悪性新生物のほとんど80%は、10個の解剖学的部位:すなわち、肺、乳房、結腸および直腸、前立腺、リンパ節、子宮、膀胱、膵臓、血液、ならびに胃において生じる。
前立腺癌は、主に50歳以上の男性に生じる疾患である。それはより若い男性に生じ得るが、これは珍しい。数字は、55歳以上の4人の男性に約1人が、いくつかの形態の前立腺疾患に罹患することを示唆する。オーストラリアにおける前立腺癌の発生率は高く、大部分の国で生じるのと同様の蔓延率である。世界的には、前立腺癌は、現在、肺癌(主に喫煙に起因する)および胃癌に次いで3番目に高い癌の発生率を示す。これは、ヘルスケアシステムに対するかなりの費用を意味しており、この疾患に罹患している男性の生活の質を減少させる。
さらに、前立腺癌の発生率は、増大しているように見える。これは、部分的には、「真の」リスクが増大されたためかもしれないが、間違いなく、PSA試験を経た検出の可能性が増大されたこと、およびTURP手術の数が増大されたことに関連がある。前立腺組織が除去されて良性前立腺状態の症候が改善されたときに、TURPが行われる。しかし、その際に、その後の病態が、時々癌の存在を指し示す。
本当にリスクの増大が存在するかどうかにかかわらず、前立腺癌の症例数は、リスクがある集団-老齢の男性-では平均余命の伸びと共に増えることにより増加すると考えられる。
前立腺癌の原因は、完全には理解されていないが、一親等血縁者に前立腺癌の家族歴をもつ男性は、2〜3倍の疾患を発生するリスクを有し、遺伝的素因の役割を示している。しかし、前立腺癌の大部分は、孤発性で、家族歴に無関係である。
早くから理解されているように、前立腺癌は、通常治療可能な疾患である。しかし、前立腺癌であると診断された男性の約半分は、疾患をあまり治療できないときに、残念なことに後期段階と診断される。この点に関して、早期前立腺癌は、一般に前立腺に局在化している。進行前立腺癌は、前立腺から生じたものであるが、一般に前立腺を越えて体のその他の部分に広がってしまっており、著しく希望的ではない予後であることを示す。
前立腺癌病態は、悪性度を増大する順に1から5までグリーソン分類で類別される。篩状病理学的パターンは、時にグリーソン等級3および4の段階で観察される。篩状病態は、前立腺癌進行および不十分な患者の結果と関連する。
したがって、現在、前立腺癌などの癌を診断するためのいくつかの試験を利用できるが、早期癌対進行期癌としてこれらを分類すること、さらに重要なことに癌の信頼でき、かつ早期の両方の検出の手段を開発することにかなりの需要が存在する。これにより、より優れた目的に合わせた治療法および潜在的に有意に優れた予後の可能性が患者にもたらされる。
この点に関して、癌の発症のマーカーとしてインヒビン、アクチビン、およびフォリスタチンタンパク質、ならびに遺伝子発現のレベルの変化を同定する状況に、いくらかの進歩があった。
2つのβ-サブユニット、βAおよび/またはβBで構成されるアクチビン、ならびにこれらのアンタゴニストのインヒビン(αと2つのβ-サブユニットのいずれかとの組み合わせ)は、トランスフォーミング成長因子(TGF)-βスーパーファミリーのメンバーである[Vale et al. (1990) In Peptide growth factors and their receptors:Handbookof Experimental Physiology, Vol. 95 (Eds, Spom, M. and Roberts, A.) Springer-Verlag, Berlin, pp. 211-248]。アクチビンは、アクチビン受容体に結合して、シグナル伝達カスケードを惹起することによって細胞増殖または分化を調節する[Pangas et al. (2000), Trends Endocrinol Metab, 11, 309-314]。インヒビン/アクチビンサブユニット、アクチビン受容体、またはアクチビン結合タンパク質のフォリスタチン(FS315およびFS288)の発現の変化は、細胞の種々のタイプの増殖に影響することが示された。インヒビン-αサブユニットのターゲットされた欠失を有するトランスジェニックマウスにおいて、生殖腺および副腎におけるインヒビン-αの腫瘍抑制因子活性が記録されている[Matzuk et al. (1992), Nature, 360, 313-9; Matzuk et al. (1994), Semin Cancer Biol, 5, 37-45; Matzuk et al. (1994), Proc Natl Acad Sci USA, 91, 8817-21; Matzuk et al. (1996, Recent Prog Horm Res, 51, 123-54, 1996; Cipriano et al. (2000), Endocrinology, 141, 2319-27; Lopez et al. (1999), Oncogene, 18, 7303-9]。腫瘍抑制因子として、インヒビン-αの発現が減少されると、悪性の可能性の増大を与え得ることが予測された。具体的には、インヒビン-α遺伝子のメチル化は、正常組織と比較してより悪性の組織において頻繁に観察されたことが、証明された[Schmitt et al. (2002), Mol Endocrinol, 16, 213-20; Balanathan et al., Journal of Molecular Endocrinology, 32, 55-67, 2004]。
インヒビン-αおよびアクチビン-βサブユニット、ならびにフォリスタチンは、ヒト前立腺で合成される。前立腺肥大症(BPH)である15個体および癌である12人の患者に由来する経直腸的超音波針生検での研究では、インサイチューハイブリダイゼイションによるインヒビン-αサブユニットmRNAの喪失および免疫局在性に基づくタンパク質発現の喪失を示した[Mellor et al. (1998), J Clin Endocrinol Metab, 83, 969-975]。組換えウシインヒビン-α融合タンパク質に対する免疫精製したヒツジポリクローナル抗体αC41およびウシインヒビン-αのαN領域のアミノ酸1〜26からなる融合タンパク質に対するポリクローナル抗体αN320を使用して、これらの抗体の両方での非悪性上皮の染色が報告されたが、グリーソンスコア7〜10である12人の癌のいずれにおいても染色されなかった。その後の研究で、これらの観察が確認されて、インヒビン-αサブユニット発現の喪失は、LOHおよび/またはプロモーター高メチル化のためであることが決定された[Schmitt et al., 2002, 前記; Balanathan et al., 2004前記]。
また、アクチビン-βAおよびアクチビン-βBサブユニットは、良性組織の上皮および前立腺の低分化腺癌に局在化している[Thomas et al. (1997), J Clin Endocrinol Metab, 82, 3851-9; Thomas et al. (1998), Prostate, 34, 34-43]。フォリスタチン発現は、良性上皮および低分化癌の両方において示されている。異なるアイソフォームに対して生じた抗体は、悪性対良性の上皮において異なる分類パターンを示すことから、これらの前立腺のコンパートメントによる差動的産生を示唆する[Thomas 1997 TGFb, 前記]。
本発明に導く研究において、驚くべきことに、および予想外に、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上のレベルの解析が、これらのマーカーのいずれか一つの単独での解析よりも、早期癌対進行期癌を検出し、および分類するための感度が良くかつ正確な方法を提供することを見いだした。またさらに、および関連した局面において、アクチビン-βA、アクチビン-βB、またはフォリスタチンのいずれか一つのレベルの増加は、進行期癌の発症のマーカーを提供することも決定された。上記のように、パネルの状況におけるこれらのマーカーの使用により、特に感度が良くかつ正確な診断試験を提供するが、進行癌を検出する状況において、個々にアクチビン-βA、アクチビン-βB、およびフォリスタチンの診断価値に関する知見は、やはり、癌診断に関して適用することができる広範な診断ツールを提供する点で価値がある。
これらの知見は、今回、早期対進行期癌の、特に早期対進行期前立腺癌の発症の感度が良くの検出かつ正確な分類のための手段の開発を促進した。また、癌の進行度をモニタリングする手段および早期または進行期癌を発生する素因の存在を検出する手段が提供される。前立腺癌の状況において、後者は、特に治療法の同定および設計を可能にするために重要である。
発明の概要
本明細書、およびそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈が他の意味を要しない限り、「含む」という語、ならびに「含む」および「含むこと」などの変形は、記載した整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を含むことを意味するが、任意の他の整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を排除することを意味するわけではないことが理解されるであろう。
本発明の一つの局面は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における新生物の発症または新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法に向けられる。
本発明のもう一つの局面は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の悪性新生物の発症、または乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つの局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の新生物の悪性新生物の発症、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行型悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つ局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の悪性新生物の発症、または頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の進行型悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルの減少が早期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
本発明の更なる局面は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における前立腺悪性新生物の発症または前立腺悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期前立腺悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期前立腺悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
本発明のもう一つの更なる局面は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の早期癌の発症、または乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の早期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が該早期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の早期癌の発症、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の早期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が該早期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つの局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における頚部、脳、皮膚、リンパ節(lymph note)、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の早期癌の発症、または頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の早期癌を発症する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が該早期癌の発症または素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つ局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における早期前立腺癌の発症または早期前立腺癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期前立腺癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つ局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の進行期癌の発症、または乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の進行期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が該進行期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つの局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行期癌の発症、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が該進行期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つの局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の進行期癌の発症、または頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の進行期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が進行期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における進行期前立腺癌の発症または進行期前立腺癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が進行期前立腺癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つのさらなる局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における転移性前立腺癌の発症または転移性前立腺癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が転移性前立腺癌の発症または転移性前立腺癌を発生する素因を指し示す方法を提供する。
本発明のもう一つの側面は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上のレベルの調整についてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における新生物の発症または進行についてモニタリングする方法であって、インヒビンの正常なレベルと比較した、該インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンのレベルが、該新生物の発症または進行を指し示す方法に向けられる。
本発明のさらにもう一つの局面は、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、またはコードする核酸分子の2つまたはそれ以上を検出するための薬剤と第一のコンパートメントでの本薬剤による検出を容易にするために有用な試薬とを含む生体試料をアッセイするための診断キットを提供する。例えば、生体試料を受けるためのさらなる手段が含まれてもよい。
関連する局面において、進行期癌の発症もしくは発症に対する素因の検出および/またはモニタリングに関連した本発明の全ての前述した態様は、アクチビン-βA、アクチビン-βBおよびフォリスタチンのいずれか一つのレベルに対する変化についてのスクリーニングに基づいた解析に拡張されるべきである。
発明の詳細な説明
本発明は、部分的には、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上のレベルを解析することにより、癌を検出および/または評価する、より詳細には同定された癌が早期癌または後期段階/進行癌に対応するかどうかを決定する、これらのマーカーのいずれか一つのみよりも有意に感度が良くかつ正確な手段を提供するという驚くべき決定に基づく。それにもかかわらず、アクチビン-βA、アクチビン-βB、またはフォリスタチンレベルの増大が単独で、進行期癌の発症または発症に対する素因を予測するという驚くべき決定は、広範囲にわたる診断ツールから所与の診断またはモニタリング状況にとって最も適切な検出手段を選択し、適用する診断ツールを提供する観点からも価値がある。したがって、これらの知見により、現在、癌検出に適用できる広範な診断/予後ツールの開発、特に前立腺癌などの癌を診断および分類する非常に感度が良くかつ情報価値のある手段の開発が促進されてきた。
したがって、本発明の一つの局面は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における新生物の発症または新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法に向けられる。
好ましくは、該方法は、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上を検出することに向けられる。
「新生物」に対する言及は、新生細胞の被包性または非被包性増殖に対する言及として理解されるべきである。「新生細胞」に対する言及は、異常増殖を示す細胞に対する言及として理解されるべきである。「増殖(growth)」という用語は、最も広義に理解されるべきであり、増殖(proliferation)についての言及を含む。
この文脈における「異常増殖」という句は、正常な細胞増殖と比較して、細胞分裂速度の増大、細胞分裂数の増大、細胞分裂の期間の長さの増大、細胞分裂の期間の頻度の増大、または制御されていない増殖の1つまたは複数を示す細胞増殖に対する言及が企図される。いかなる形であれ本発明を限定することはないが、「新形成」という用語の共通の医学的意味は、正常な増殖制御に対する応答の減少として生じる「新たな細胞増殖」、例えば新生物細胞増殖をいう。新形成は、良性でも、前悪性でも、または悪性でもよい「腫瘍」を含む。「新生物」という用語は、病変、腫瘍、またはその他の被包性もしくは非被包性集団、または新生細胞を含むその他の増殖の形態に対する言及として理解されるべきである。
本発明の文脈における「新生物」という用語は、組織病理学的タイプまたは侵襲状態に関係なく、癌性増殖もしくは発癌性プロセス、転移性組織、または悪性に形質転換した細胞、組織、もしくは器官の全てのタイプに対する言及を含むことが理解されるべきであり、問題の組織は、適切な刺激に対して構成的に、またはその後に、インヒビン、アクチビンサブユニット、またはフォリスタチンを発現している。
新生物を含む新生細胞は、任意の細胞タイプであっても、上皮または非上皮細胞などの任意の組織に由来していてもよい。本発明は、好ましくは悪性新生物の診断に向けられるが、非悪性新生物の診断および/またはモニタリングは除外されない。好ましい態様において、被験体新生物は、前立腺、卵巣、皮膚、乳房、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓、食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、子宮内膜、頚部、副腎、甲状腺、脳、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、喉頭癌、神経腫瘍、または精巣の新生物、およびさらにより好ましくは悪性新生物である。「悪性新生物」および「癌」という用語に対する言及は、本明細書において互換的であることが理解されるべきである。
したがって、一つの態様において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の悪性新生物の発症、または乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
ある好ましい態様において、該新生物は、乳房の新生物である。
もう一つの好ましい態様において、該新生物は、卵巣の新生物である。
もう一つの態様において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の悪性新生物の発症、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つの態様において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の悪性新生物の発症、または頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の進行悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルの減少が早期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
本発明は特に、特に哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における前立腺悪性新生物の発症または前立腺悪性新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期前立腺悪性新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
これらの局面によれば、本発明は、好ましくはインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上を検出することに向けられる。
より好ましくは、本発明は、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンの任意の3つ、およびさらにより好ましくは、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンの4つ全てを検出することに向けられる。
いかなる一つの理論または作用様式にも本発明を限定することはないが、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチン、特にインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンのそれぞれのレベルは、スイッチング機構と関連して、細胞増殖の調節結びついていることが明らかにされた。具体的には、癌は、一般に、初期の非悪性から悪性状態への移行、その後の前悪性病変および局在化した癌へのシフト、転移へのシフトを含む多段階プロセスである。非悪性状態において、腫瘍のサプレッサー分子の活性が優位であることが考えられる。今回、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの1つまたは複数のレベルの減少が、早期癌の発生に結びついていることが見いだされた。治療しないままにした場合、これらの早期癌のいくつかは、非常に攻撃的な、転移性形態へと進行するが、それ以外は進行しないと考えられる。
この早期では、任意の所与の癌がどのくらい進行し得るかを予測することができないので、早期癌の発症または発症に対する素因の定型化した正確かつ感度が良い同定を可能にすることには、有意な価値および重要性がある。一般に、進行することが必至である早期癌は、中程度の等級にシフトすることが考えられ、これらは、これらのいくらかが進行期(および不十分な結果の可能性が高い)に進行し続け、これらのいくらかが進行しない新生物のクラスである。現在まで、前立腺癌の中程度の等級の予後の評価は、極めて困難であり、信頼できないことがわかっていた。したがって、本発明の検出方法は、この中程度の等級または状態の新生物の前立腺細胞またはこの分化期の新生物の前立腺細胞によって特徴づけられる状態を分類し、またはさもなければ評価することに拡張されないことが理解されるはずである。
疾患が進行し続けるため、発癌活性が優勢であると考えられ、進行した疾患状態および転移へのシフトを示すインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、およびフォリスタチンの発現レベルにおいてスイッチが存在する。
「進行期」新生物または癌である被験体新生物に対する言及は、高悪性度の癌に対する言及として理解されるべきであり、この高悪性度の癌は、これが由来する器官または組織を越えて転移もしくはさもなければ広がっていてもよく、またはしていなくてもよい。いかなる一つの理論または作用様式にも本発明を限定することはないが、転移は、一般に血流もしくはリンパ性チャネルを介した新生細胞の分布を経て、または胸膜もしくは腹膜の空間などの体腔を越えて形成し、したがって本来の腫瘍から遠く離れた部位に二次腫瘍を引き起こし得る。いずれの個々の原発性腫瘍も、それ独自の局部的挙動および転移のパターンを示す。また、「進行期」新生物または癌に対する言及は、より一般的に理解されている「転移性」癌の概念と一致する、問題の器官もしくは組織のすぐ近くに広がって比較的局在化しているかまたは体のその他の領域へのさらに著しい新生細胞の広がりがあるかにかかわらず、任意のレベルまたは程度での、由来する器官または組織を越えた新生細胞の広がりを包含することも理解されるべきである。また、癌が由来する器官または組織の除去後の転移の発生によって特徴づけられる癌形態を包含する。したがって、例えば、前立腺の除去後に「進行」前立腺癌が発生しているか、または発生に対する素因が存在することが見いだされる可能性もある。
「早期」新生物または癌に対する言及は、低悪性度の非転移性新生物に対する言及である。
本発明の方法は、好ましくは進行期に対する早期の前立腺癌を検出し、分類することに向けられる。この点に関して、前立腺癌に関連した新生物「等級」(これが、「早期」および「後期」の定義に適用されるとおり)に対する言及は、グリーソン分類系と一致する新生物の分類に対する言及として理解されるべきである。いかなる一つの理論または作用様式にも本発明を限定することはないが、グリーソン系は、前立腺腫瘍の腺の構造上のパターンに基づく。これにより、任意の特定の癌の細胞が、どれくらい効率的にそれ自体を腺内に構築して正常な前立腺のものに似せることができるかについて評価する。腫瘍が正常な腺構造を模倣する能力は、その分化能と呼ばれ、一般に、構造がほとんど正常である(十分に分化した)腫瘍は、一般に正常により近い生物学的挙動を示し、すなわち、攻撃的に悪性ではない。
非常に十分に分化したもの(等級1)から、あまり十分に分化していないもの(等級5)までのグリーソン分類は、通常以下のとおりに評価される。
(i)グリーソン等級1および2
これらの2つの等級は、一般に正常な前立腺に似ている。これらの等級は両方とも集団によって構成され;等級2では、これらは、よりゆるく凝集し、いくつかの腺では、周囲の間質に浸潤する。
(ii)グリーソン等級3
これは、患者で観察される最も一般的等級であり、十分に分化したとみなされる(等級1および2と同様)。これは、3つの等級全てがこのような正常前立腺のものと同様の正常「腺単位」を示すためであり;すなわち、あらゆる細胞が内腔の裏層を形成する環状の列の一部である。内腔は、正常前立腺のような前立腺分泌を含み、それぞれの腺単位は、個別に腺単位を保持する間質によって囲まれている。等級2とは対照的に、間質への浸潤の遊走は顕著であり、主な定義している特色である。
(iii)グリーソン等級4
グリーソン等級4が有意なレベルで存在する場合、患者の予後は、通常著しく悪化する。この等級は、構造の有意な喪失、特に正常な腺単位の喪失によって特徴づけられる。実際に、等級4は、一般に、それぞれが別々の内腔をもつ個々の分離した腺単位を形成する能力の喪失によって同定される。
(iv)グリーソン等級5
グリーソン等級5は、通常予後不良への他の有意な段階が予想される。また、この等級は、いかなる腺単位形成の証拠もないことによって特徴づけられる。等級5は、その特色をその他の器官に生じる未分化癌から有意に区別することがでないため、一般に「未分化である」と言われる。
グリーソン分類系の表にした表示を表1に提供する。
(表1)前立腺の腺癌のためのグリーソン分類系:組織学的パターン(Bostwick & Dundore, Biopsy Pathology of the Prostrate, Chapman & Hall Medical, UK)
Figure 2007532889
基本的な分類系に加えて、それぞれの患者には、グリーソンスコアも与えられる。グリーソンスコアは、組織試料における2つの最も一般的構造パターンの等級の合計に基づく。これは、所与の患者の新生物を分類するわずかに洗練された手段を提供する。例えば、取り得る最も低いグリーソンスコアは、2(1+1)で、この場合第1および第2のパターンの両方が、グリーソン等級1を示す。非常に典型的なグリーソンスコアは、5(2+3)であり得、この場合第1のパターンは、グリーソン等級2を有し、第2のパターンは、等級3を有するか、または6(3+3)の単一パターンである。もう一つの典型的なグリーソンスコアは、7(4+3)であり得、この場合第1のパターンは、グリーソン等級4を有し、第2のパターンは、等級3を有する。最後に、取り得る最も高いグリーソンスコアは、10(5+5)であり、この場合第1および第2の両方のパターンは、最も障害があるグリーソン等級5を有する。
本発明の方法は、新生物状態の発症または発症に対する素因を検出する、特に早期癌および進行期癌の描写において、極めて感度が良いかまたは正確な手段を提供する。前立腺癌およびグリーソン分類系と関連して、早期前立腺癌は、等級1もしくは2またはこれらと同等等級の細胞を含む新生物を包含することが理解されるべきであり、その一方で、進行期前立腺癌は、グリーソン等級4もしくは5、またはこれらと同等等級の細胞を含む新生物を包含することが理解されるべきである。また、任意の所与の前立腺癌には、種々の等級の細胞を含んでいてもよいが、本発明は、全体のグリーソンスコアが前立腺癌の分類について何を示唆し得るかにかかわりなく、「早期」または「進行期」癌の範囲に入る細胞をスクリーニングすることに向けられることが理解されるべきである。例えば、グリーソン等級4および2の細胞を含む前立腺癌は、グリーソンスコア6に相関し、これは、「中程度」の等級の癌と同等と考えられるスコアである。しかし、本発明は、必要に応じて、例えば組織切片の解析を経て、細胞の亜群を解析するように設計することができるので、本発明の目的に関しては、関連のある新生物の全体の等級ではなく、問い合わせの被験体である細胞の等級である。例えば、本発明は、新生物の等級の4の成分を解析するために向けられてもよい。本明細書で定義したような進行期新生物は、慣例的に「進行癌」、「攻撃的癌」、および「転移癌」とも呼ばれる新生物に相関することが理解されるべきであるが、全ての進行癌が必ずしも転移癌であるというわけではない。また、前立腺癌に関して、「進行」癌に対する言及は、「転移性」癌のより一般に理解されている概念と一致する、前立腺のすぐ近くに広がって比較的局在化しているか、または体のその他の領域へのさらに著しい新生細胞に広がりがあるかにかかわらず、任意のレベルまたは程度の前立腺を越えた新生細胞の広がりも包含することが理解されるべきである。先に詳述したように、これは、前立腺の除去後の前立腺由来の転移の発生によって特徴づけられる癌の形態も包含する。したがって、「進行した」前立腺癌は、前立腺の除去後に発生してもよい。
したがって、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の早期癌の発症、または乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の早期癌の発生に対する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が該早期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
一つの好ましい態様において、新生物は乳房の新生物である。
もう一つの好ましい態様において、新生物は卵巣の新生物である。
さらにもう一つの好ましい態様において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の早期癌の発症、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の早期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が該早期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
さらにもう一つの好ましい態様において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の早期癌の発症、または頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の早期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が該早期癌の発症または素因を指し示す方法を提供する。
最も好ましくは、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における早期前立腺癌の発症または早期前立腺癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が該早期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
これらの好ましい態様によれば、該マーカーは、好ましくはインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンであり、該スクリーニングは、これらのマーカーのうちの任意の3つまたは4つ全てに向けられる。
もう一つの局面において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の進行期癌の発症、または乳房、卵巣、甲状腺、精巣、もしくは副腎の進行期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、該進行期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
一つの好ましい態様において、該新生物は乳房の新生物である。
もう一つの好ましい態様において、該新生物は卵巣の新生物である。
最も好ましくは、該高悪性度の癌は転移癌である。
もう一つの態様において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行期癌の発症、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が該進行期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
最も好ましくは、該高悪性度の癌は転移癌である。
さらにもう一つの好ましい態様において、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の進行期癌の発症、または頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、もしくは膵臓の進行期癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が該進行期癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
最も好ましくは、該高悪性度の癌は転移癌である。
最も好ましくは、本発明は哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における進行期前立腺癌の発症または進行期前立腺癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が進行期前立腺癌の発症またはそれに対する素因を指し示す方法を提供する。
最も好ましくは、該高悪性度の前立腺癌は転移性前立腺癌である。
この好ましい態様によれば、本発明は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における転移性前立腺癌の発症または転移性前立腺癌を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が転移性前立腺癌の発症または転移性前立腺癌を発生する素因を指し示す方法を提供する。
これらの好ましい態様によれば、該マーカーは、好ましくはインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンであり、該スクリーニングは、これらのマーカーのうちの任意の3つまたは4つ全てに向けられる。
本発明は、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上の発現レベルの変化が、癌、特に低悪性度または高悪性度の前立腺癌の発生を指し示すという判断に基づく。
「アクチビンβC」に対する言及は、アクチビンβCの全ての形態およびこれらの断片、誘導体、突然変異体、または変異体に対する言及として理解されるべきである。また、「アクチビンβC」は、「アクチビンβCサブユニット」と互換的に言及される。アクチビンβC mRNAの選択的スプライシングから生じ得る任意のアイソフォームまたはアクチビンβCの突然変異体もしくは多型形態に対する言及が含まれることも理解されるべきである。「アクチビンβC」に対する言及は、限定することは企図しないが、単量体、多量体、または融合タンパク質として存在するかどうかにかかわらず、アクチビンβCサブユニット遺伝子によってコードされる任意のタンパク質、産生され得る前駆体形態などの任意のサブユニットポリペプチド、および任意のアクチビンβCタンパク質を含むアクチビンβCの全ての形態に対する言及を含むものとして解釈されるべきである。アクチビンβCの多量体タンパク質形態は、例えばホモ二量体アクチビンC(βCC)、またはヘテロ二量体のアクチビンAC(βAC)、アクチビンBC(βBC)、アクチビンCD(βCD)、もしくはアクチビンCE(βCE)タンパク質を含む。したがって、アクチビン-βCについて、その単量体、ホモ二量体、またはヘテロ二量体の形態でスクリーニングしてもよいことが理解されるべきである。対応する定義は、「アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、およびアクチビン-βE」に関しても適用される。
いかなる一つの理論または作用様式にも本発明を限定することはないが、アクチビンの構造は、互いに、およびTGFβスーパーファミリーのその他のメンバーに類似しており、各サブユニット内のシステインの数および間隔、ならびに特徴的システインノットを形成する2つのサブユニット間のジスルフィド結合の保存に基づいている。その他の類似性は、二量体形成、前駆体アクチビンサブユニット分子のカルボキシ末端領域における生理活性ペプチドの位置、および同様の細胞内シグナル伝達機構に関する。ヒトアクチビンβCは、例えば、その他のTGF-βスーパーファミリーメンバーと比較すると、9つの保存されたシステインと、分泌シグナル配列であると考えられるN末端の疎水性アミノ酸コアを含む大きな前駆体分子とを有する典型的な構造を示す(Hotten G et al, 1995, Biochem Biophys Res Commun, 206: 608-13)。、マウスアクチビンβCもまた、9つの保存されたシステインおよびシグナルペプチドとして働き得るN末端疎水性アミノ酸を含む(Schmitt et al. 1996, Genomics, 32: 358-66)。
「インヒビンα」に対する言及は、インヒビンαの全ての形態およびこれらの断片、誘導体、突然変異体、または変異体に対する言及であることが理解されるべきである。また、インヒビンαは、「インヒビンαサブユニット」と互換的に言及される。また、インヒビンα mRNAの選択的スプライシングから生じ得る任意のアイソフォームまたはインヒビンαの突然変異体もしくは多型形態に対する言及を含むことも理解されるべきである。「インヒビンα」に対する言及は、限定することを企図しないが、単量体、多量体、または融合タンパク質として存在するかどうかにかかわらず、インヒビンαサブユニット遺伝子によってコードされる任意のタンパク質、任意のサブユニットポリペプチド、前駆体ポリペプチド形態、プレαNおよびαC、プロαNおよびαC、ならびに任意のインヒビンαタンパク質を含むインヒビンαの全ての形態に対する言及を含むものとして解釈されるべきである。インヒビンαの多量体タンパク質形態は、例えばヘテロ二量体αβポリペプチド(例えば、αβA、αβB、αβC、αβD、αβB、およびαβE)および二量体前駆体αC-βポリペプチドを含む。いかなる形であれ本発明を限定することはないが、前駆体α-サブユニットタンパク質のαNおよび/またはαC領域は、既存の前駆体α-サブユニットタンパク質の一部として、または例えば前駆体α-サブユニットタンパク質からの該領域の切断に続く分離の際に、いずれかとして存在することが見いだされる。前駆体α-サブユニットタンパク質は、プレ-プロ-αN−αCおよびプロαC形態を含むがこれらに限定されるわけではない多くの形態で存在する。本発明の本態様によれば、前駆体α-サブユニットタンパク質を含むα-インヒビンタンパク質の検出は、分離の際、および前駆体α-サブユニットタンパク質の種々の形態の1つまたは複数の一部としての両方の、αNおよび/またはαC領域の検出を含む。
患者由来の組織、特に良性前立腺過形成と診断された患者由来の前立腺において、または前立腺の非悪性領域において検出可能であるインヒビン-αタンパク質は、例えばαNおよび/またはαC領域を含んでいてもよい。本発明は、インヒビン-αタンパク質のαC領域の検出を経たインヒビン-αレベルの検出を参照することにより例示されるが、いかなる形であれ限定されるわけではない。また、αNおよび/またはαC領域を含むインヒビン-αタンパク質は、前駆体α-サブユニットタンパク質としても言及される。前駆体α-サブユニットタンパク質のαNおよび/またはαC領域は、既存の前駆体α-サブユニットタンパク質の一部として、または例えば前駆体α-サブユニットタンパク質から該領域の切断に続く分離の際に、いずれかとして存在することが見いだされる。前駆体α-サブユニットタンパク質は、プレ-プロ-αN−αCおよびプロ-αC形態を含むが、これらに限定されるわけではない多くの形態で存在する。本発明の本態様によれば、前駆体α-サブユニットタンパク質を含むインヒビン-αタンパク質の検出は、分離の際の、および前駆体α-サブユニットタンパク質の種々の形態の1つまたは複数の一部としての両方の、αNおよび/またはαC領域の検出を含む。
いかなる一つの理論または作用様式にも本発明を限定することはないが、インヒビン-αは、インヒビン-αサブユニットのα-C領域において異なるの形態のプロセシングおよび/または切断を受けてもよいと考えられる。これは、一般に使用される、α-C領域のインヒビン-αサブユニットアミノ酸3〜24に向けられた診断用抗体Groome R1[Robertson et al., 2001, Mol Cell Endo. 180: 79-86]では、進行した癌の発症を示す前立腺生検試料において増大されたインヒビン-αの形態の存在を検出することができないが、α-C領域のインヒビン-αアミノ酸73〜96に向けられたモノクローナル抗体PO#12[Robertson et al., 2001, 前記]は、これらのインヒビン-αのレベルが増大されたことを検出したという事実によって証明された。
したがって、好ましい態様において、検出されるインヒビン-αの形態はα-C領域のアミノ酸73〜96を含むインヒビン-αの形態である。
最も好ましくは、該インヒビン-αタンパク質は、PO#12モノクローナル抗体を利用して検出され、該進行癌は転移癌である。
「フォリスタチン」に対する言及は、フォリスタチンの全ての形態、ならびに一例として3つのタンパク質コアと、選択的にスプライシングされたmRNA FS315およびFS288から生じるものとして同定された6分子量形態とを含む、これらの断片、誘導体、突然変異体、または変異体に対する言及と解釈されるべきである。したがって、フォリスタチン mRNAの選択的スプライシングから生じ得る任意のアイソフォームまたはフォリスタチンの突然変異体もしくは多型形態に対する言及を含むことも理解されるべきである。単量体、多量体、または融合タンパク質として存在するかどうかにかかわらず、フォリスタチン遺伝子にコードされる任意のタンパク質、産生され得る前駆体形態などの任意のサブユニットポリペプチド、および任意のフォリスタチンタンパク質に拡張されることが、さらによく理解されるべきである。
本明細書に使用される「哺乳類」という用語は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ロバ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、モルモット)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、および捕えられた野生動物(例えば、カンガルー、シカ、キツネ)を含む。好ましくは、哺乳類は、ヒトまたは実験動物である。さらにより好ましくは、哺乳類はヒトである。
本発明は、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの、および特にインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上のレベルが、正常組織または非悪性新生物の組織と比較して、新生物組織において調整されるという知見に基づく。この点に関して、当業者であれば、タンパク質のレベルまたはコードする核酸分子レベルのいずれかの変化をスクリーニングしてもよいことが理解される。必ずしも特定されていない程度まで、本明細書における「インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチン」の2つまたはそれ以上のレベルのスクリーニングに対する言及は、タンパク質またはそれがコードされている一次RNA転写産物もしくはmRNAのいずれかをスクリーニングすることに対する言及を含むことが理解されるべきである。したがって、本発明は、これらの分子の対照レベルに関連があるこれらの分子のレベルの相関に向けられることが理解されるべきである。「対照」レベルは、「正常」もしくは良性レベル、または対応する等級の新生細胞のレベルであってもよい。「正常」レベルは、新生物を発生しなかったか、または新生物を発生する素因がない個体における、解析される試料に対応する生体試料におけるタンパク質またはコードする核酸分子のレベルである。また、「正常」レベルは、解析の対象である組織の非新生物領域におけるこれらの分子のレベルに対する言及を含む。この後者の解析方法は、単一個体に由来する、非腫瘍組織および試験組織からそれぞれ決定される正常および試験レベルに関する解析の相対的形態である。しかし、本発明の方法は、個体を反映する標準的結果、または問題の患者以外の健康な個体から得られる集合的結果と比較した試験結果の解析などの非相対的解析手段を包含することも理解されるべきである。該「正常レベル」は、別々のレベルまたはレベルの範囲であってもよい。この点に関して、レベルは、定量的もしくは定性的読み取りのいずれかによって評価、またはモニタリングしてもよいことが理解されるべきである。また、参照レベルは、これらの分子の個々の形態(異なって処理した形態など)間で変化してもよい。「対応する等級」の新生細胞のマーカーレベルに対する言及は、解析の対象である組織に存在する細胞、または同じ個体もしくは異なる個体のいずれかから採取された、対応するが別々の生体試料で見いだされる細胞であるどうかにかかわらず、解析下にある細胞と同じ等級の任意のその他の新生細胞で観察または検出するレベルに対する言及として理解されるべきである。解析のこの形態は、定義された等級の全ての細胞が必ずしも同じ様式で進行するというわけでないということから、相対的であってもよいことが理解されるべきである。例えば、等級4の細胞の全てが、必ずしも転移に進行しなくてもよい。したがって、本明細書で定義したマーカーのパネルのレベルに関して、同様の細胞集団間の相違は、極めて有益な情報をもたらし得る。また、異なる等級の細胞におけるこれらのマーカーのレベルを比較しようと努めてもよい。上記の考察が、非相対的に対する相対的な解析、標準的結果、およびレベルの範囲に対する別々のレベルに関して、このような関係に同様に適用されることも理解されるべきである。
したがって、「増大する」、「減少する」、および「調整する」という用語は、対照レベル(または対照レベル範囲)、または問題の患者から決定された以前の結果のいずれと比較したインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、およびフォリスタチンのレベルの増大および減少を言及し、後者の言及点は、以下に記述するように、特に患者の進行中のモニタリングに関して関連がある。
いかなる一つの理論または作用様式にも本発明を限定することはないが、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、および/またはフォリスタチンは、低い等級および高い等級の新生物両方の発生に関して、発癌の指標としての二重の役割を示すことが提唱される。
進行期癌、特に進行期前立腺癌の「発症」に対する言及は、進行期の増殖特性を示すその個体の1つまたは複数の細胞に対する言及として理解されるべきである。この点に関して、進行期癌は、増殖している細胞の集団が発生したという点で、十分に発生し得る。または、進行期癌は、診断時に癌を特徴づける細胞の比較的少ない分裂のみが生じていたという点で、非常に初期段階であり得る。それにもかかわらず、本発明の方法は、これらの細胞におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上の発現増加を同定し、したがってこれらを検出することを容易にする。先に詳述したように、また進行期新生物組織におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上の発現の増大は、転移癌、すなわち転移形成の証拠が生じる前など、非常に攻撃的な新生物状態の将来の発生と相関させることができることも決定された。したがって、本発明は、転移癌などの高悪性度新生物の一定のクラスの発生に対する個体の素因を評価するためにも拡張される。対応する定義が、早期癌の発症または発症に対する素因に関しても適用されることが理解されるべきである。
好ましい方法は、進行期癌の発症もしくは発症に対する素因を診断するために、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンのレベルの2つまたはそれ以上の増大を、または早期癌の発症もしくは発症に対する素因を診断するために、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンの2つまたはそれ以上の減少を検出することであるが、進行期癌に関してはインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンのレベルの減少、または早期癌に関してはこれらの分子の増大の検出が、一定の環境下で望まれ得る。例えば、進行期前立腺癌に関しては、前立腺全摘除術が行われていない場合、患者の予防的または治療的処置の過程の間に、前立腺の疾病状態を改善するためにモニタリングしようと努めてもよい(マーカーレベルの減少によって特徴づけられる)。もう一つの例において、前立腺疾患の初期症候の形態の初期段階前立腺癌または前立腺疾患の発生に対する遺伝的もしくは環境的素因を提示する患者では、治療過程の間に、低レベルのマーカー分子が上昇して正常レベルに戻ることをモニタリングしてもよい。もう一つの例において、前立腺が除去されて、前立腺の解析により高レベルのマーカーが明らかにされ、したがって転移性前立腺癌の発生に対する素因が明らかにされた範囲で、転移の発生または後退の指標として、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンの全身レベルまたは適切に選択された局在化レベルをモニタリングするように努めてもよい。したがって、本発明の本局面により、進行癌の進行またはそれに対する素因をモニタリングすることが可能になる。同様に、早期癌に関しては、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上のレベルの増大をスクリーニングすることにより、一般に、問題の組織における腫瘍抑制機能の規準化を検出する手段が提供される。これは、有効な治療法を指し示し得る。本発明の本局面によれば、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンレベルは、先に記述されたように、1つまたは複数の、以前に得られた結果と比較して評価される可能性が高いであろうことが理解されるべきである。
したがって、本発明の方法は、早期または進行期癌発生の危険性があると考えられる個体の一回限りの試験として、もしくは進行中のモニタリングとして、または癌の発生を阻害するか、さもなければ遅らせることに向けられた治療的または予防的な治療法の有効性のモニタリングとして有用である。これらの状況において、生体試料の任意の1つまたは複数のクラスにおけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上の調整のマッピングは、個体の状態または現在使用中である治療法もしくは予防法の有効性についての極めて感度が良くかつ正確な指標である。したがって、本発明の方法は、対照レベルと比較した(本明細書上記にて定義したように)、または個体から決定された1つもしくは複数の以前のレベルと比較した、該個体におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンレベルの2つまたはそれ以上の増減についてのモニタリングに拡張されることが理解されるべきである。
したがって、本発明のもう一つの局面は、哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上のレベルの調整についてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における新生物の発症または進行についてモニタリングする方法であって、インヒビンの正常レベルと比較した該インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンのレベルは、該新生物の発症または進行を指し示す方法に向けられる。
好ましくは、マーカーは、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンのうちの3つまたは4つである。
もう一つの好ましい態様において、新生物は悪性乳房新生物である。
さらにもう一つの好ましい態様において、該新生物は悪性卵巣新生物である。
さらにもう一つの好ましい態様において、該新生物は甲状腺、精巣、または副腎の悪性新生物である。
さらにもう一つ好ましい態様において、新生物は、前立腺、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓、食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、または子宮内膜、または精巣の悪性新生物である。
さらにもう一つの好ましい態様において、新生物は前立腺の悪性新生物である。
本発明の方法は癌、特に前立腺癌、または癌の存在によって特徴づけられる任意の状態、例えば残尿感(urine retention)、血尿、尿失禁、腎不全、骨痛、骨脆弱性、脊髄損傷、骨関節炎、傾眠、食欲不振、悪心、下痢、便秘、または悪液質などの進行前立腺癌と関連した状態の診断的または予後的解析を含むが、これらに限定されるわけではない広範囲にわたる用途を有する。
個体またはこれらに由来する生体試料におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチン(本明細書において「マーカー」とも称する)レベルの変化をスクリーニングする手段は、以下のような、しかしこれらに限定されるわけではない、当業者に周知である任意の適切な方法によって達成することができる。
(i)マーカーのインビボ検出。前立腺組織におけるインヒビン-α mRNAまたはタンパク質発現産物の発現レベルが変更されたことを示すことができるイメージングプローブまたは試薬の投与に後に、分子イメージングを使用してもよい。
分子イメージング[Moore et al., BBA, 1402:239-249, 1988;Weissleder et al. Nature Medicine, 6:351-355, 2000]は、現在、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、MRI、ポジトロン放射断層撮影(PET)、または内視鏡検査などの「古典的」診断イメージング技術を使用して視覚化されるマクロな特色と相関する分子発現のインビボイメージングである。歴史的には、正常または過形成性の良性組織のバックグラウンドにおける悪性腫瘍細胞の検出は、組織間の物理的特性の相違に基づいていることが多く、これらは、最小であって、低いコントラストの分解能を生じることが多い。発現プロファイリングの適用により、悪性形質転換の結果として生じる癌と正常組織との間の「分子特性」の相違が定められる。
(ii)蛍光インサイチューハイブリダイゼイション(FISH)による細胞におけるmRNA発現、または定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法(QRTPCR)、もしくは競合的RT-PCR産物のフローサイトメトリーでの定量化[Wedemeyer et al., W. Clinical Chemistry 48:9 1398-1405, 2002]、もしくはアレイ技術などの技術による細胞からの抽出物におけるmRNA発現のアップレギュレーションの検出。
例えば、マーカーをコードする標識されたポリヌクレオチドを、組織から得られるRNA抽出物のノーザンブロットにおけるプローブとして利用してもよい。好ましくは、動物からの核酸抽出物を、RT PCR、リアルタイムPCR、またはSAGEなどの核酸増幅反応において、インヒビン-αをコードするポリヌクレオチド、またはこれらのフランキング配列のセンスおよびアンチセンス配列に対応するオリゴヌクレオチドプライマーと共に利用する。種々の自動化された固相検出技術も適している。例えばFodor et al., 1991およびKazal et al., 1996によって記述されたように、例えば非常に大規模なプライマーが固定されたアレイ(VLSIPS(商標))を核酸の検出のために使用する。上記の遺伝学的技術は、当業者に周知である。
例えば、インヒビン-αをコードするRNA転写物を検出するためには、RNAをマーカーRNAを含むことが疑われる細胞の試料、例えばヒト前立腺癌組織から単離された総RNAから単離する。RNAは、当技術分野において公知の方法によって、例えば、TRIZOL(商標)試薬(GIBCO-BRL/Life Technologies, Gaithersburg, Md.)を使用して単離することができる。オリゴ-dTまたはランダム配列オリゴヌクレオチド、ならびに配列特異的オリゴヌクレオチドを逆転写酵素反応におけるプライマーとして使用して、単離されたRNAから第一鎖cDNAを調製することができる。次いで、生じる第一鎖 cDNAをPCR反応において配列特異的オリゴヌクレオチドで増幅して、増幅された産物を得る。
「ポリメラーゼ連鎖反応法」または「PCR」は、米国特許第4,683,195号に記載されているように、核酸(RNAおよび/またはDNA)の予め選択された断片の量が増幅される手法または技術をいう。一般に、関心対象領域の末端または越えた領域からの配列情報を、オリゴヌクレオチドプライマーを設計するために使用する。これらのプライマーは、増幅される鋳型の反対鎖の配列と同一または類似すると考えられる。PCRは、特定のRNA配列および総細胞RNAから転写されたcDNAを増幅するために使用することができる。一般に、Mullis et al., 1987;Erlich, 1989を参照されたい。したがって、PCRによる特異的核酸配列の増幅は、保存されたヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドまたは「プライマー」に依存し、保存配列は、関連した遺伝子またはタンパク質配列のアライメント、例えば哺乳類インヒビン-α遺伝子の配列比較から推定される。例えば、インヒビン-αをコードするcDNA分子のアンチセンス鎖にアニールすることが予測される一方のプライマーを調製し、インヒビン-αをコードするcDNA分子のセンス鎖にアニールすることが予測されるもう一つのプライマーを調製する。
増幅された産物を検出するためには、反応混合物を、典型的にはアガロースゲル電気泳動またはその他の便利な分離技術に供し、マーカー特異的に増幅されたDNAの相対的な存在が検出される。例えば、マーカー増幅されたDNAは、特異的オリゴヌクレオチドプローブでのサザンハイブリダイゼーション法を使用して、または分子量が公知のDNA標準での電気泳動移動度を比較して検出してもよい。増幅されたDNAの単離、精製、および特徴付けは、ゲルから断片を切除するか、または溶出し(例えば、Lawn et al., 1981; Goeddel et al., 1980を参照されたい)、pCRIIベクター(Invitrogen)などの適切なベクターのクローニング部位に増幅産物をクローニングして、クローニングした挿入物をシーケンシングし、DNA配列をマーカーの公知の配列と比較することによって達成してもよい。次いで、マーカーmRNAおよびcDNAの相対量を決定することができる。
(iii)例えば単量体またはヘテロ二量体サブユニットに向けられたか、またはヘテロ二量体それ自体に向けられた抗体などの免疫相互作用分子を利用する免疫アッセイ法による、細胞抽出物もしくは血液またはその他の適切な生体試料における変化したマーカータンパク質レベルの、定性的または定量的な測定。例えば、αCサブユニットに向けられたPO#12抗体を使用して、αβ二量体、α単量体サブユニット、および/またはα単量体サブユニットのαCもしくはαNアイソフォームを検出してもよい。
1つの例において、マーカー-免疫相互作用分子複合体形成を検出するように努めてもよい。例えば、本発明に従った、結合するリポーター分子を有する抗体を免疫アッセイ法に利用してもよい。このような免疫アッセイ法は、当業者に周知である放射免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、および免疫クロマトグラフィー技術(ICT)、ウエスタンブロット法を含むが、これに限定されるわけではない。例えば、本発明に従って使用してもよい種々の免疫アッセイ法を開示する「Current Protocols in Immunology」、1994に対して参照がなされてもよい。免疫アッセイ法には、競合アッセイ法を含んでいてもよい。本発明は、定性的および定量的免疫アッセイ法を包含することが理解される。
適切な免疫アッセイ技術は、例えば米国特許第4,016,043号、第4,424,279号、および第4,018,653号に記載されている。これらは、非競合的なタイプの単一部位および二部位のアッセイ法の両方、ならびに従来の競合結合アッセイ法を含む。また、これらのアッセイ法は、標識された抗原結合性分子の標的抗原に対する直接結合を含む。
二部位アッセイ法は、特に本発明に使用するために好ましい。これらのアッセイ法の多くのバリエーションが存在し、これらの全てが本発明によって包含されることが企図される。簡潔には、典型的なフォワードアッセイ法において、標識されていない抗体などの標識されていない抗原結合性分子を固形基質上に固定して、試験される試料を結合させた分子と接触させる。適切なインキュベーション時間の後、抗体-抗原複合体を形成させるのに十分な時間、検出可能なシグナルを生じることができるリポーター分子で標識された別の抗原結合性分子、適切には抗原に対して特異的な第二抗体を次に添加して、抗体-抗原-標識された抗体のさらなる複合体の形成のために十分な時間インキュベートする。任意の反応していない材料を洗浄し、リポーター分子によって生じるシグナルを観察することによって抗原の存在を決定する。結果は、可視シグナルの単純な観察による定性的な結果、または既知量の抗原を含む対照試料と比較することによる定量的な結果のいずれであってもよい。フォワードアッセイ法のバリエーションには、試料および標識された抗体の両方を結合性抗体に同時に添加するという同時アッセイ法を含む。これらの技術は、当業者に周知であり、直ちに明らかである軽微なバリエーションを含む。
典型的なフォワードアッセイ法において、抗原またはこれらの抗原性部分に対して特異性を有する第一の抗体を、共有結合的に、または受動的に固体表面に結合する。固体表面は、典型的にはガラスまたは重合体であり、最も一般に使用される重合体は、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、塩化ビニル、またはポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスク、または免疫アッセイ法を行うために適したその他の任意の表面の形態でもあってもよい。結合過程は、当技術分野に周知であり、一般には、架橋性共有結合での結合または物理的に吸着することからなり、重合体-抗体複合体は試験試料の調製の際に洗浄される。次いで、試験される試料のアリコートを固相複合体に添加し、十分な時間および適切な条件下でインキュベートして存在する任意の抗原を抗体に対して結合させる。インキュベーション時間に続いて、抗原-抗体複合体を洗浄し、乾燥させて、一部の抗原に特異的な第二抗体と共にインキュベートする。第二抗体は、一般に、抗原に対する第二の抗体の結合を示すために使用される、それと結合されたリポーター分子を有する。結合したリポーター分子によって定まる、結合する標識された抗体の量は、固定された第一の抗体に結合した抗原の量に比例する。
代替法には、生体試料中の抗原を固定する段階、次いでリポーター分子で標識されていても、または標識されていなくてもよい特異的な抗体に対して固定された抗原を曝露する段階を含む。標的の量およびリポーター分子シグナルの強度に応じて、結合した抗原は、抗体で直接標識化することによって検出してもよい。または、第一の抗体に対して特異的な第二の標識された抗体を標的-第一の抗体の複合体に曝露して、標的-第一の抗体-第二の抗体の三次複合体を形成させる。複合体は、リポーター分子によって放射されるシグナルによって検出する。
上記のことから、抗原結合性分子と結合したリポーター分子は、以下を含んでいてもよいことが認識されると考えられる。
(a)抗体に対するリポーター分子の直接的な付着;
(b)抗体に対するリポーター分子の間接的な付着;すなわち、その後に抗体と結合するもう一つのアッセイ試薬に対するリポーター分子の付着;および、
(c)その後の抗体の反応産物に対する付着。
リポーター分子は、色素原、触媒、酵素、蛍光色素、化学発光分子、常磁性イオン、ユーロピウム(Eu34)などのランタニドイオン、その他の核タグを含む放射性同位元素、および直接の視覚標識を含む群から選択してもよい。
直接の視覚標識の場合、コロイド性金属粒子、もしくは非金属粒子、色素粒子、酵素もしくは基質、有機ポリマー、乳液粒子、リポソーム、またはシグナル産生する物質等を含むその他の小胞を使用してもよい。
リポーター分子として使用するために適した多数の酵素は、米国特許第4,366,241号、米国特許第4,843,000号、および米国特許第4,849,338号に開示されている。本発明に有用な適切な酵素は、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼなどを含む。酵素は、単独で、または溶液中にある第二の酵素と組み合わせて使用してもよい。
適切な蛍光色素は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、R-フィコエリトリン(RPE)、およびテキサスレッドを含むが、これらに限定されるわけではない。その他の例示的な蛍光色素は、Dower et al., 国際公開公報第93/06121号によって考察されたものを含む。米国特許第5,573,909号[Singer et al]、第5,326,692号[Brinkley et al]に記述された蛍光色素に対する参照がなされてもよい。または、米国特許第5,227,487号、第5,274,113号、第5,405,975号、第5,433,896号、第5,442,045号、第5,451,663号、第5,453,517号、第5,459,276号、第5,516,864号、第5,648,270号、および第5,723,218号に記述された蛍光色素に対して参照がなされてもよい。
酵素免疫アッセイ法の場合、酵素は、一般にグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩の手段によって第二の抗体に結合される。しかし、容易に認識されるように、当業者が容易に利用できる多種多様の異なる結合技術が存在する。特異的酵素と共に使用される基質は、一般に、対応する酵素による加水分解により、検出可能な色の変化を生じるように選択される。適切な酵素の例は、前述したものを含む。上記した色素生産基質よりもむしろ蛍光産物を生じる蛍光発生基質を使用することも可能である。全ての場合において、酵素標識抗体を第一の抗体-抗原複合体に添加して結合させ、次いで過剰な試薬を洗い流す。次いで、適切な基質を含む溶液を抗体-抗原-抗体の複合体に添加する。基質は、第二の抗体に連結された酵素と反応して、定性的な視覚的シグナルを生じ、これをさらに、通常は分光光度的に定量化して、試料中に存在する抗原の量の指標を得た。
または、フルオレセイン、ローダミン、およびランタニド、ユーロピウム(EU)などの蛍光化合物を、これらの結合能を変更することのない抗体に対して化学的に結合してもよい。特定の波長の光での照射によって活性化された場合、蛍光色素標識された抗体は、光エネルギーを吸収して、分子の励起状態を誘導し、続いて光学顕微鏡で視覚的に検出可能な特徴的な色の光を発光する。蛍光標識された抗体を第一の抗体-抗原複合体と結合させる。結合していない試薬を洗浄した後、残りの三次複合体を適切な波長の光に曝露する。観察された蛍光は、関心対象の抗原が存在することを示す。免疫蛍光測定アッセイ法(IFMA)は、当技術分野において十分に確立されており、特に本方法のために有用である。しかし、放射性同位元素、化学発光、または生物発光分子などのその他のリポーター分子を使用してもよい。
(iv)核酸分子または発現産物をスクリーニングする際のアプタマーの使用
(v)上記ポイント(iii)に詳述したものに加えて、任意の適切な機能試験、酵素試験、または免疫学的検査に基づいた、タンパク質発現が変更されたことの決定。
上記のように、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチン、またはそれをコードする核酸分子を検出するために任意の適切な技術を利用してもよい。使用のために選択される技術の性質により、主に解析のために必要とされる生体試料のタイプを決定する。
特定の患者の環境に応じて認識されるであろうとおり、患者が「早期」解析または「進行期」解析のカテゴリーに分類されるかどうかを確立することが必要であるかもしれない。これにより、正しい状況におかれたマーカー分子について決定されるレベルとの関連で、結果が重要になる。患者が解析の対象である状況を確立することは、当業者が設計し、実行することができる任意の適切な手段によって行うことができる。例えば、前立腺組織切片などの組織切片を、存在する細胞タイプの形態学的解析、ならびにアクチビン-βA、アクチビン-βc、インヒビンα、および/またはフォリスタチンタンパク質または発現遺伝子レベルの2つまたはそれ以上のレベルの両方に関して解析してもよい。代わりに、およびより好ましくは、血清解析を行って被験体タンパク質の1つまたは複数のレベルを決定し、この結果を前立腺針生検の組織学的知見と共に考慮してもよい。これにより、特定の等級の新生細胞の存在をアクチビン-βA、アクチビン-βc、インヒビンα、および/またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上のレベルと相関させ、これにより被験体新生細胞がより高い等級に進行する素因を決定することができる。
必要に応じて、器官における新生細胞の存在をスクリーニングする手段は、当業者に周知であると考えられる任意の適切な方法によって達成することができる。例えば、器官生検(例えば、針生検)、器官除去または吸引を経て、解析のための細胞の集団を採取してもよい。無傷の器官の切片が利用できる場合、形態学的解析のために組織切片を調製してもよく−このような組織切片は、凍結切片または蝋に包埋した切片の形態などの任意の適切な様式で調製してもよい。針生検が利用される範囲では、それにもかかわらず、組織の構造の解析が可能なほど十分な大きさの組織を採取してもよい。細胞の吸引液が採取される範囲では、細胞を単一細胞懸濁液にして、これらに由来する細胞の集団の形態を解析することが必要であり得る。これは、あまり理想的ではない方法であるが、それにもかかわらず、特定の等級の新生細胞の存在を同定する目的を達成し得る。これらの検体の形態学的解析に関して、任意の適切な組織学的技術により、細胞の等級付けが可能になると考えられる。例えば、組織を採取して、ホルマリン固定した組織、凍結切片、グルタルアルデヒド固定、またはブアン固定した組織の形態で保管することができる。形態学的解析を達成するための組織学的技術に関して、とりわけ、ヘモトキシリンおよびエオシン、免疫ペルオキシダーゼ、電子顕微鏡観察、インサイチュー染色、またはインサイチューPCRを利用することができる。
「生体試料」に対する言及は、生物体に由来する細胞または組織の任意の試料に対する言及として理解されるべきである。細胞は、単細胞、培養細胞、または組織の一部であってもよい。この点に関しては、生体試料は、上で詳述したように、任意のヒトまたは非ヒト哺乳類に由来してよい。「生物体」に対する言及は、胚および胎児に対する言及を含むことがさらに理解されるべきである。
生体試料は、生物体に由来する材料の任意の試料であってもよい。これは、哺乳類の組織および体液などの生物体に天然に存在する試料(例えば、リンパ様検体、切除された組織、組織抽出物、血液、リンパ液体、大便、気管支分泌物、または細胞培養培地などの生検検体)、ならびに例えば肺洗浄後に肺から、または浣腸後に結腸から抽出される生理食塩水などの、生物体の体に導入され、その後に除去される試料の両方に対する言及を含む。これは、生物体に由来するがインビトロで維持された細胞、例えば株化細胞や、または生物体からの除去後に操作されたかもしくは処置された細胞、例えば不死化されたか、もしくは遺伝子改変された細胞もしくは組織に対する言及も含む。
本発明の方法に従って試験される生体試料は、直接試験してもよく、または試験前にいくつかの形の処置が必要であってもよい。例えば、生検試料は、試験前に均質化が必要であり得る。試料が細胞性物質を含む場合、例えばそのmRNA発現に関して、核酸材料の解析を容易にするために、細胞性物質中に存在する核酸材料を抽出するか、またはさもなければ曝露することが必要とされ得る。さらに別の例では、試料を部分的に精製してもよく、またはさもなければ解析前に濃縮してもよい。例えば、生体試料が非常に多様な細胞集団を含む範囲では、特に関心対象の亜集団を選択することが望ましい可能性がある。
試料のどのタイプが本明細書に開示した方法に従って試験するために最も適しているかという選択は、モニタリングされる状態の性質に依存する。例えば、新生物の状態が、リンパ腫である場合、リンパ節生検または血液もしくは骨髄試料が、試験のための組織の適切な供与源を提供する可能性が高い。新生細胞の本来の供与源をモニタリングするかどうか、または起源の位置に由来する新形成の転移もしくはその他の広がりの形態の存在をモニタリングするかどうかについて考慮することも必要とされるであろう。この点に関しては、任意の一つの生物体に由来する多数の異なる試料を採取し、試験することが望ましい可能性がある。
本発明の方法は、単離された生体試料の解析によって最も都合よく行われるが、哺乳類に「由来する」試料を解析することに対する言及は、インビボで試料を解析することに対する言及を含むことも理解されるべきである。
本発明のもう一つの局面は、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質またはコードする核酸分子の2つまたはそれ以上を検出するための薬剤と、第一のコンパートメントの薬剤による検出を容易にするために有用な試薬とを含む生体試料をアッセイするための診断キットを提供する。
また、例えば生体試料を受けるためのさらなる手段が含まれていてもよい。薬剤は、任意の適切な検出分子であってもよい。
先に詳述したように、驚くべきことに、アクチビン-βA、アクチビン-βB、およびフォリスタチンのレベルの増大は、個々に進行期癌の発症または進行期癌発症に対する素因を指し示すことも明らかにされた。したがって、関連した局面において、進行期癌の発症もしくは進行期癌発症に対する素因の検出および/またはモニタリングに関連した本発明の前述した態様の全てが、アクチビン-βA、アクチビン-βB、およびフォリスタチンの任意の一つのレベルの変化のスクリーニングに基づいて解析に拡張されるはずであることが理解されるべきである。
本発明のさらなる特色は、以下の非限定の実施例において記述される。
実施例1
高悪性度前立腺癌のマーカーのパネルの発現
免疫組織化学は、7以上のグリーソン等級の合計である28人の前立腺癌患者から前立腺全摘除組織に対して行った。脱パラフィン化した後に、組織には、アクチビン-βCについては、0.1Mのグリシン(pH 4.5)、ならびにインヒビン-α、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βAについては0.01Mのシトラート(pH 6)中でマイクロ波加熱の前処理工程を受けさせた。切片を、DAKO Autostainer(DAKO, Carpinteria, USA)を使用して、アクチビン-βCサブユニット、インヒビン-α、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βAタンパク質に対して免疫染色した。簡潔には、切片を0.03%のH2O2と共に5分間インキュベーションすることによって(DAKO, Carpinteria, USA)内因性ペルオキシダーゼを遮断した。CAS阻止溶液(Zymed, CA, USA)と共に10分間インキュベーション後に、切片をアクチビン-βCクローン1抗体(作用濃度0.45μg/ml)、インヒビン-α PO12抗体(作用濃度5μg/ml)、フォリスタチン 315 H10抗体(作用濃度6.7μg/ml)、およびアクチビン-βA E4抗体(作用濃度2.5μg/ml)と共に60分間インキュベートした。抗体は、Envision重合体-抗マウス西洋ワサビペルオキシダーゼ(DAKO, Carpinteria, USA)と共に15分間インキュベーションして、ジアミノベンジジン(DAB)(DAKO, Carpinteria, USA)と5分間反応することによって視覚化することによって検出した。アクチビン-βC、アクチビン-βA、フォリスタチン 315、およびインヒビン-αの染色強度は、組織病理学者により、染色なし=1、不定+/-染色=2、1+染色=3、2+染色=4、3+染色=5として記録した。
インヒビン-α、アクチビン-βC、およびフォリスタチン 315の免疫染色は、隣接した良性分泌上皮と比較して、グリーソン等級4または5の高悪性度癌において有意に増大された(p<0.05;図1)。加えて、アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βAに対する免疫染色は、グリーソン等級3の前立腺癌と比較して、グリーソン等級4または5前立腺癌において有意に増大した(p<0.05;図7)。
これらのデータは、これらの4つのマーカーの発現が、前立腺癌の進行の間に増大されるという仮説を支持する。
実施例2
篩状前立腺癌におけるマーカーのパネルの発現
免疫組織化学は、7以上のグリーソン等級の合計である28人の前立腺癌患者から前立腺全摘除組織に対して行った。切片を上記のとおりに免疫染色した。4つのマーカーそれぞれに対する染色強度は、組織病理学者により、染色なし=1、不定+/-染色=2、1+染色=3、2+染色=4、3+染色=5として記録した。図2において、水平バーは、良性上皮または篩状癌のいずれかにおけるそれぞれの免疫染色スコアの平均値を表す。
全4つのマーカーが、良性分泌上皮において発現された。インヒビン-α、アクチビン-βC、およびフォリスタチン 315の免疫染色は、良性上皮と比較して、篩状癌において有意に増大された(p<0.05;図2)。加えて、インヒビン-α、アクチビン-βC、およびフォリスタチン 315に対する免疫染色は、グリーソン等級3の前立腺癌と比較して、篩状パターンの前立腺癌において有意に増大された(p<0.05;図8)。アクチビン-βAは、良性上皮またはグリーソン等級3のいずれかの癌と比較して、篩状癌において有意に異ならなかった(図2および8)。篩状癌は、細胞形態に基づいてグリーソン等級3または4前立腺癌の組織病理学的サブタイプである。篩状病態であると診断された患者は、その他の等級3/4前立腺癌と比較して、不十分な結果および生存であった[McNeal and Yemoto, 1996, Am J Surg Pathol, 20: 802-14; Rubin et al., Am J Surg Pathol, 22: 840-8, 1998; Wilcox et al., Hum Pathol, 29: 1119-23, 1998; Cohen et al., 2000, Prostate, 43:11-9]。したがって、これらのデータは、マーカーのパネルの発現が、前立腺癌の進行の間に増大し、不十分な患者の予後と関連するという仮説を支持する。
実施例3
非攻撃的対非常に攻撃的な前立腺癌株化細胞におけるアクチビン-βCおよびインヒビン-α発現の機能的有意性の評価
株化細胞
ヒト前立腺腫瘍上皮株化細胞LNCaPおよびPC3は、American Type Culture Collection(Rockville, MD, USA)から得た。株化細胞は、10%(v/v)熱不活性化したウシ胎仔血清(FCS)(PA Biologicals Co. Pty Ltd, NSW, Australia)および抗生物質(100UI/mlペニシリンおよび10μg/mlストレプトマイシン;CSL Ltd, Parkville, Vic, Australia)を含むダルベッコ修正イーグル培地(DMEM;Gibco. NY, USA)中で、37℃にて、空気中で5%のCO2の加湿された雰囲気において、75cm2の培養瓶(Costar;Corning Costar Corp., Cambridge, MA, USA)において、ルーチン的に培養した。株化細胞は、トリプシン処理によって4日毎に継代した。
LNCaPおよびPC3株化細胞の一過性トランスフェクション
ヒトアクチビン-βC cDNAをpRK5発現ベクターにサブクローニングした。LNCaP細胞は、ウェルあたり240,000細胞の密度にて12-ウェルプレート(Falcon)内のDMEM +5% FCS中に48時間プレートにまいた。LNCaP細胞には、製造業者の説明書に従って、1:2のDNA(μg)対Lipofectamine PLUS(μl)の比率および1:1比率のDNA(μg)対Lipofectamine試薬(μl)で、pRK5-βc(6μg)を一過性にトランスフェクトした。PC3細胞は、ウェルあたり200,000細胞で、12ウェルプレート内のDMEM +10% FCS中に(70〜80%コンフルエンス)24時間プレートにまいた。PC3細胞には、製造業者の説明書に従って、1:1.7(μl Superfect試薬に対するμg DNA)の比率にて、Superfect(Qiagen, Valencia, CA)を使用してpRK5-βcまたはpRK5対照(3μg)を一過性にトランスフェクトした。
LNCaPおよびPC3株化細胞の安定なトランスフェクション
pcDNA3.1にサブクローニングしたヒトINHA cDNAは、Invitrogen, Carisbad, CA, USAから得た。6ウェルプレート中に6.24×105細胞/ウェルで播種したLNCaP細胞(50〜80%コンフルエンス)を24時間培養した。次いで、製造業者の説明書に従って、Lipofectamine plus(Invitrogen, Carisbad, CA, USA)をトランスフェクションのために使用した。簡潔には、細胞には、4μlのLipofectamineおよび19.2μlの Lipofectamine plusを使用して、3.84μgの高品位の、直鎖状プラスミドDNAをトランスフェクトした。3時間後、トランスフェクション培地をDMEM +10% FCSで置換して、48時間後、培地を選択培地(10% FCSおよび360μg/ml ゼオシンを補ったDMEM)で置換した。6ウェルプレート内に4.8×105細胞/ウェルにて播種したPC3細胞(50〜80%コンフルエンス)を24時間培養した。次いで、製造業者の説明書に従って、Superfect(Qiagen Pty Ltd, Clifton Hill, Victoria, Australia)をトランスフェクションのために使用した。簡潔には、細胞には、14.4μlのSuperfectを使用して、8.64μgプラスミドDNAをトランスフェクトした。3時間後、トランスフェクション培地をDMEM +10% FCSで置換して、48時間後、培地を選択培地(10% FCSおよび360μg/ml ゼオシンを補ったDMEM)で置換した。選択の2〜3週後に生存する個々のコロニーを採集して、10%FCSおよび360μg/ml ゼオシンを補ったDMEMに播種した。プラスミドの組込みは、ゲノムPCRによって確認した。プラスミドからのインヒビン-αの発現は、RT-PCRおよびインヒビン-αサブユニットの成熟αC領域に対して生じたR1モノクローナル抗体でのウエスタンブロットによって確認した。
蛍光標示式細胞分取器(FACS)解析
約1×106細胞をトリプシン処理された、氷冷PBS中で洗浄して、300μlのPBSに再懸濁した。次いで、細胞を氷冷100%のエタノール中で固定して、氷上で30分間インキュベートした。PBSで3回洗浄後、細胞を蛍光色素ヨウ化プロピジウム(50μg/ml)(Sigma-Aldrich, Castle Hill, NSW, Australia)およびRNase A(100μg/ml)と共に室温で30分間インキュベートした。細胞をFACStar Plus(details)で解析した。レーザーの励起波長は、448nmであり;630nm以上の蛍光を測定して、細胞周期を記録した。G0/1およびS期の細胞の割合を算出した。それぞれの実験は、2回繰り返した。
アクチビン-βCまたはインヒビン-αのいずれかを過剰発現するLNCaP細胞(黒いバー)は、アクチビン-βCまたはインヒビン-α cDNAをトランスフェクトしていないLNCaP細胞と比較して、S期の細胞の比率に有意な減少を示した(p<0.05;灰色のバー;図3)。対照的に、アクチビン-βCまたはインヒビン-αを過剰発現するPC3細胞(黒いバー)は、アクチビン-βCまたはインヒビン-α cDNAをトランスフェクトしていないPC3細胞と比較して、S期の細胞の比率の有意な増大を示した(p<0.05;灰色のバー;図4)。
LNCaPおよびPC3前立腺癌細胞は、それぞれ、ヒト前立腺癌進行の初期および進行期を表す。LNCaP細胞は、アンドロゲンに依存し、インビボで腫瘍を生じることができない[Fisher et al., Cell Tissue Res, 307:337-45, 2002]。対照的に、PC3細胞は、増殖に関してアンドロゲンに依存しておらず、インビボにおいて非常に転移性である(Fisher et al., 2002, 前記)。したがって、これらのデータは、アクチビン-βCおよびインヒビン-αは、早期前立腺癌において抑制性腫瘍であるが、進行した前立腺癌においては増殖を促進して、または前転移性であるという仮説を支持する。
実施例4
前立腺癌のマーカーのパネルの発現
リンパ節に対する転移
リンパ節に対する転移性の前立腺癌をもつ患者由来の組織試料は、Melbourne Pathologyから得た。アクチビン-βA免疫局在性は、モノクローナルE4抗体を使用して調査し、フォリスタチン免疫局在性は、モノクローナルH10抗体を使用して調査し、アクチビン-βCは、アクチビン-βEサブユニットペプチドをも検出するモノクローナル25/4抗体を使用して調査した。切片を脱パラフィン化して、抗原回復を受けさせた。染色する切片は、以下のとおりに抗原回復溶液中にてマイクロ波で加熱した:H10の0.1Mグリシン(pH 4.5)溶液、E4の0.01mol/L Tris緩衝溶液(pH 9.7)、および25/4の0.01Mシトラート緩衝溶液(pH 6)。全ての抗体は、以下のとおりに希釈して、4℃にて一晩をインキュベートした:E4抗体は、1:750に希釈し、H10は1:75に希釈し、25/4抗体は、1:100に希釈した。マウスIgG抗体は、1:20に希釈して室温で60分間インキュベートした。切片をPBSで洗浄して、PBSに1:200希釈にてビオチン化されたウマ抗マウス二次抗体(DAKO Corp., Botany, Australia)と共に50分間インキュベートした。切片をPBSで洗浄して、Vectastain Elite ABC Kit (Vector Laboratories, Inc., Peterborough, UK)からのABC試薬と共に40分間インキュベートした。ペルオキシダーゼ活性は、3,39-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド(Vector Laboratories, Inc.)を使用して検出した。反応は、蒸留水に液浸することによって終了させ、切片をメーヤーズのヘマトキシリン(Sigma)での対比染色剤で着色し、水道水で洗浄して、脱水して、DPX(BDH, Poole, UK)で常置させた。
免疫染色結果は、図5に示してある。アクチビン-βC(および/またはアクチビン-βE)[パネルA]、フォリスタチン 315[パネルB]、およびアクチビン-βA[パネルC]は、全てリンパ節への前立腺癌転移において免疫組織化学的に検出されたが、その一方で、ネガティブ対照[パネルD]では染色が観察されなかった。
実施例5
骨への前立腺癌転移におけるマーカーのパネルの発現
転移性前立腺癌試料は、骨転移のための外科的治療を受けている患者から得た。骨材料内の前立腺細胞の存在および位置は、連続切片上の前立腺特異性抗原(PSA)についての免疫染色によって確認した。骨転移における免疫染色は、パネルマーカーのそれぞれについて、局在化した前立腺癌をもつ18人の患者からの良性分泌上皮と比較した。4つそれぞれのマーカーについての染色強度は、組織病理学者により、染色なし=1、不定+/-染色=2、1+染色=3、2+染色=4、3+染色=5として記録した。水平バーは、良性上皮または骨転移におけるそれぞれの免疫染色スコアの平均値を表す。
アクチビン-βCおよびフォリスタチン315は、良性前立腺の分泌上皮と比較して、骨転移において有意に増大されており(p<0.05;図6)、マーカーのパネルが、前立腺癌が攻撃的になるにつれて増大されるという仮説を支持する。
実施例6
インビボでの腫瘍成長の調整
材料および方法
単層創傷治癒アッセイ法
親LNCaP、空のベクタークローン(L16、L17、L18)、およびインヒビンαをトランスフェクトしたクローン(L1、L5、L8)をDMEMプラス10% FCS中にて6ウェルプレートにおいて3通りにプレートにまいて、約70〜80%コンフルエンスまで増殖させた。次いで、青い1mlのプラスチックピペット先端部材で表面をこすることによって傷つけ、細胞単層を幅約1mmを透明のままにした。傷つけた後に、培養を培地で数回洗浄し、傷つけるプロセスの間に遊離した細胞を除去し、次いで、新鮮なDMEMプラス10% FCS中で培養した。同じ視野をデジタルカメラを使用して2日以上の間隔で撮影した。イメージを解析し、傷の幅を測定し、0日と比較して創傷閉鎖の割合としてプロットした。この実験は、2回繰り返した。
SCIDマウスにおけるインビボでの腫瘍形成の決定
6〜8週齢の雄SCIDマウスは、ARCから得た。これらを、滅菌された食物および水を自由に摂取させてマイクロアイソレータケージに収容した。実験は、動物の到着の1週後に行った。全てのプロトコルは、Animal Ethics Committee of Monash Medical Centre, Melbourne, Australiaの承認を得た。
親LNCaP、空のベクタークローン(L16、L17、L18)、およびインヒビンαをトランスフェクトしたクローン(L1、L5、L8)を使用した。
合計5×106細胞をSCIDマウスにマトリゲルの存在下において皮下に接種した。対照動物には、単独でマトリゲルを接種した。マウスは、これらのミクロアイソレータケージにおいて維持して、マウスを安楽死させ、腫瘍を切除したときの腫瘍が1cmに到達するまで、毎週腫瘍成長および腫瘍サイズについてモニタリングした。腫瘍体積(V)は、方程式V=(L×W2)×0.5(V=体積、L=長さ、およびW=幅)を使用して腫瘍体積(V)によって決定した。
マウスをより下腹部で外科的に開いた後、0.01mlの合計5×106細胞を前立腺の腹葉に正所性に注射した。吸収性縫合糸を使用して腹壁を縫合し、皮膚を皮膚止め金で閉じた。マウスを毎週2回計量し、健康の詳細なモニタリングを確実にした。10〜12週後に、マウスを安楽死させて、腫瘍重量の決定のために外科的に開かれた。
結果
インビトロ創傷治癒アッセイ法は、遊走を解析するために使用することができる。細胞遊走の範囲は、ある期間に渡る創傷閉鎖の割合によって推定した。創傷閉鎖は、空のベクタークローン(L16、L17、L18)および親LNCaP細胞と比較して、インヒビンαを過剰発現するLNCaPクローン(L1、L5、L8)においてより遅かった。
インヒビンαの腫瘍成長に対する効果を研究するために、SCIDマウスの腫瘍成長のインビボのモデルを使用した。皮下に注射したときに、インヒビンαを過剰発現するLNCaPクローンは、親LNCaP細胞と比較して、腫瘍サイズに有意な減少を示した(*** p< 0.001)。腹側前立腺内に、インヒビンαを過剰発現するLNCaPクローンの正所性注射後に形成された前立腺腫瘍は、親LNCaP細胞と比較して、腫瘍重量の有意な減少を示した(* p 0.01〜0.05;*** p<0.001)(図9〜11)。
全体的に、この研究で提示されたデータは、前立腺癌における腫瘍抑制因子としてのインヒビンαの役割を支持する。
当業者であれば、本明細書に記述した本発明が、具体的記述したもの以外のバリエーションおよび修飾を許すことを認識するであろう。本発明は、このようなバリエーションおよび修飾の全てを含むことが理解される。また、本発明は、個々に、またはひとまとめにして、本明細書において言及し、または示した工程、特色、組成物、および化合物の全て、ならびに該工程または特色のいずれか2つまたはそれ以上のいずれかおよび全ての組み合わせを含む。
文献
Figure 2007532889
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グリーソン等級4または5の前立腺癌におけるインヒビン-α、アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βA発現のグラフ図である。高悪性度前立腺癌における4つのマーカーのそれぞれに対する免疫組織化学的染色の強度を同じ組織切片内の良性分泌上皮と比較した。強度は、染色なし=1、不定+/-染色=2、1+染色=3、2+染色=4、3+染色=5として記録した。
インヒビン-α、アクチビン-βC、およびフォリスタチン 315に対する免疫染色は、良性分泌上皮と比較して、高悪性度癌において有意に増大した。* p=0.01〜0.05、** p=0.001〜0.01、*** p< 0.001。
良性上皮と比較した篩状前立腺癌におけるインヒビン-α、アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βA発現の相違を示す。篩状病態をもつ前立腺腫瘍におけるインヒビン-α、アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βAに対する免疫組織化学的染色の強度を隣接した良性分泌上皮と比較した。強度は、染色なし=1、不定+/-染色=2、1+染色=3、2+染色=4、3+染色=5として記録し、散布図上にプロットした。水平方向のバーは、良性上皮または篩状癌におけるそれぞれの免疫染色スコアの平均値を表す。
全4つのマーカーは、良性分泌上皮において発現された。免疫染色されたインヒビン-α、アクチビン-βC、およびフォリスタチン 315は、良性上皮と比較して、篩状癌において有意に増大した(p<0.05)。
アクチビン-βCまはたインヒビン-αが過剰発現されたときの、S期のLNCaP細胞の比率に対する効果を示す。アクチビン-βC cDNAを一過性にトランスフェクトしたLNCaP細胞およびインヒビン-α cDNAを安定にトランスフェクトしたLNCaP細胞に対して、FACS解析を行った。いずれの場合においても、cDNAを欠いた発現ベクターからなる対照を挿入する。
アクチビン-βCまたはインヒビン-αのいずれかを過剰発現するLNCaP細胞(黒いバー)は、アクチビン-βCまたはインヒビン-α cDNAがトランスフェクトされないLNCaP細胞と比較して、S期の細胞の比率に有意な減少を証明した(p<0.05;灰色のバー)。
アクチビン-βCまたはインヒビン-αが過剰発現されたときの、S期のPC3細胞の比率に対する効果を示す。アクチビン-βC cDNAを一過性にトランスフェクトしたPC3細胞およびインヒビン-α cDNAを安定にトランスフェクトしたPC3細胞に対して、FACS解析を行った。いずれの場合においても、cDNAを欠いた発現ベクターからなる対照を挿入する。
アクチビン-βCまたはインヒビン-αのいずれかを過剰発現するPC3細胞(黒いバー)は、アクチビン-βCまたはインヒビン-αを過剰発現しないPC3細胞と比較して、S期の細胞の比率に有意な減少を証明した(p<0.05;灰色のバー)。
リンパ節に対する前立腺癌転移がある患者由来の組織におけるアクチビン-βC(および/またはアクチビン-βE)[パネルA]、フォリスタチン 315[パネルB]、およびアクチビン-βA[パネルC]の発現の検出を示す。アクチビン-βC、フォリスタチン、およびアクチビン-βAに対する免疫染色では、マウスIgGネガティブ対照[パネルD]で観察される染色のない前立腺癌腫瘍細胞に局在化した。 良性前立腺分泌上皮と比較した、転移性前立腺癌におけるアクチビン-βCおよびフォリスタチン315発現のグラフ図である。
アクチビン-βCおよびフォリスタチン315タンパク質強度は、良性前立腺分泌上皮と比較して、骨転移において有意に増大された(p<0.05)。
同じ組織切片内のグリーソン等級3の前立腺癌と比較した、グリーソン等級4または5の前立腺癌におけるインヒビン-α、アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βA発現のグラフ図である。免疫染色強度は、染色なし=1、不定+/-染色=2、1+染色=3、2+染色=4、3+染色=5として記録した。
アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βAに対する免疫染色は、グリーソン等級3の前立腺癌と比較してグリーソン等級4または5の前立腺癌において有意に増大した。* p=0.01〜0.05、** p=0.001〜0.01、*** p< 0.001。
グリーソン等級3の前立腺癌と比較した、篩状前立腺癌におけるインヒビン-α、アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βA発現の相違を示す。篩状病態をもつ前立腺腫瘍におけるインヒビン-α、アクチビン-βC、フォリスタチン 315、およびアクチビン-βAに対する免疫組織化学的染色の強度を隣接したグリーソン等級3の前立腺癌と比較した。強度は、染色なし=1、不定+/-染色=2、1+染色=3、2+染色=4、3+染色=5として記録した。
インヒビン-α、アクチビン-βC、およびフォリスタチン 315に対する免疫染色は、グリーソン等級3の前立腺癌と比較して、篩状パターン前立腺癌において有意に増大した。* p=0.01〜0.05、** p=0.001〜0.01。
インヒビンαをLNCaP細胞に過剰発現したときの、単層創傷治癒に対する効果のグラフ図である。単層は、ウェルの中央に沿って約1mm厚さの線を掻爬することによって傷つけた。創傷の幅の測定を全時間にわたって行い、創傷閉鎖の割合として表し、時間0は、100%の創傷を表す。インヒビンαをトランスフェクトしたクローンおよび空ベクターをトランスフェクトしたクローン由来のデータをグラフにプールした。シンボルは:閉じた灰色、親株化細胞;開いた灰色、空ベクターをトランスフェクトしたクローン、閉じた黒、インヒビンαをトランスフェクトしたクローンを表す。全体的に、インヒビンαを過剰発現するLNCaP細胞(黒)は、インヒビンαを発現していない細胞と比較して、創傷閉鎖の速度が遅いことが証明された。 インヒビンαをLNCaP細胞に過剰発現したときの、皮下腫瘍成長に対する効果のグラフ図である。雄SCIDマウスには、親のLNCaP、3つの空のベクターをトランスフェクトしたクローン、および3つのインヒビンαトランスフェクトしたクローンを皮膚下に接種した。腫瘍速度は、方程式V=(L×W2)×0.5(V=体積、L=長さ、およびW=幅)を使用して腫瘍体積(V)によって決定した。値は、平均±SE(n=15)を表す。バーは:閉じた灰色、親株化細胞;開いた灰色、空ベクターをトランスフェクトしたクローン;閉じた黒、インヒビンをトランスフェクトしたクローンを表す。** p 0.001-0.01;*** p< 0.001空ベクターをトランスフェクトしたクローン(L18のみ)/インヒビンαをトランスフェクトしたクローンと親LNCaP細胞との腫瘍体積の間の有意差。空ベクターをトランスフェクトしたクローンと親LNCaP細胞の2つとの間に有意な(ns)相違なし。全体的に、インヒビンαを過剰発現するLNCaP細胞(黒い)は、親LNCaP細胞と比較して、腫瘍サイズの減少を示した。 インヒビンαをLNCaP細胞に過剰発現したときの、前立腺内の腫瘍成長に対する効果のグラフ図である。雄SCIDマウス前立腺には、親LNCaP、3つの空ベクターをトランスフェクトしたクローン、および3つのインヒビンαをトランスフェクトしたクローンを播種した。全ての細胞の正所性注射後に前立腺腫瘍が形成した。切除した腫瘍を計量し(mg)、腫瘍成長速度を決定した。値は、±SE(n=10)を表す。バーは:閉じた灰色、親株化細胞;開いた灰色、空ベクターをトランスフェクトしたクローン;閉じた黒、インヒビンαをトランスフェクトしたクローンを表す。* p 0.01-0.05;*** p< 0.001親LNCaP細胞とインヒビンαを過剰発現する細胞との間の有意差。Ns、親LNCaP細胞と空ベクターをトランスフェクトしたクローンとの間に有意差がない。全体的に、インヒビンαを過剰発現するLNCaP細胞(黒)は、親LNCaP細胞と比較して腫瘍重量の減少を示した。

Claims (60)

  1. 哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の2つまたはそれ以上のレベルについてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における新生物の発症または新生物を発生する素因を検出する方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの減少が早期新生物の発症またはそれに対する素因を指し示し、ならびにインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、進行期新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法。
  2. 哺乳類におけるインヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンの1つまたは複数のレベルの調整についてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における新生物の発症または進行についてモニタリングする方法であって、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンの正常なレベルに対する、該インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、またはフォリスタチンのレベルは、該新生物の発症または進行を指し示す方法。
  3. インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、またはフォリスタチンの2つまたはそれ以上を検出することに向けられる、請求項1または2記載の方法。
  4. インヒビン-αおよびアクチビン-βAの両方を検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  5. インヒビン-αおよびアクチビン-βCの両方を検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  6. インヒビン-αおよびフォリスタチンの両方を検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  7. アクチビン-βAおよびアクチビン-βCの両方を検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  8. アクチビン-βAおよびフォリスタチンの両方を検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  9. アクチビン-βCおよびフォリスタチンの両方を検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  10. インヒビン-α、アクチビン-βAおよびアクチビン-βCのそれぞれを検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  11. インヒビン-α、アクチビン-βA、およびフォリスタチンのそれぞれを検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  12. インヒビン-α、アクチビン-βC、およびフォリスタチンのそれぞれを検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  13. アクチビン-βA、アクチビン-βC、およびフォリスタチンのそれぞれを検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  14. インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、およびフォリスタチンのそれぞれを検出することに向けられる、請求項3記載の方法。
  15. アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、またはアクチビン-βEが単量体または二量体形態のいずれかである、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 二量体形態がホモ二量体である、請求項15記載の方法。
  17. 二量体形態がヘテロ二量体である、請求項15記載の方法。
  18. インヒビン-αが単量体または二量体の形態のいずれかである、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  19. 検出されるインヒビン-αの形態がαC領域のアミノ酸73〜96を含むインヒビン-α形態である、請求項18記載の方法。
  20. 新生物が悪性新生物である、請求項3〜19のいずれか1項記載の方法。
  21. 悪性新生物が、乳房、卵巣、甲状腺、精巣、または副腎の新生物である、請求項20記載の方法。
  22. 悪性新生物が乳房の新生物である、請求項21記載の方法。
  23. 悪性新生物が卵巣の新生物である、請求項21記載の方法。
  24. 悪性新生物が、食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の新生物、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行型悪性新生物を発生する素因である、請求項20記載の方法。
  25. 悪性新生物が、頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、または膵臓の新生物である、請求項20記載の方法。
  26. 悪性新生物が前立腺新生物である、請求項20記載の方法。
  27. インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、および/またはフォリスタチンのレベルの減少をスクリーニングすることによって低悪性度の非転移性新生物を検出することに向けられる、請求項21〜25のいずれか1項記載の方法。
  28. インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、および/またはフォリスタチンのレベルの増大をスクリーニングすることによって高悪性度新生物を検出することに向けられる、請求項21〜25のいずれか1項記載の方法。
  29. 高悪性度新生物が転移性新生物である、請求項28記載の方法。
  30. インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、および/またはフォリスタチンのレベルの減少をスクリーニングすることによって低悪性度の非転移性前立腺新生物を検出することに向けられる、請求項26記載の方法。
  31. インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βC、および/またはフォリスタチンのレベルの増大をスクリーニングすることによって高悪性度の前立腺新生物を検出することに向けられる、請求項26記載の方法。
  32. 高悪性度新生物が転移性新生物である、請求項31記載の方法。
  33. スクリーニングが哺乳類に由来する生体試料に対して行われる、請求項1〜32のいずれか1項記載の方法。
  34. 生体試料が血清試料である、請求項33記載の方法。
  35. 生体試料が組織試料である、請求項34記載の方法。
  36. 生体試料が前立腺組織試料である、請求項26、30、31、または32記載の方法。
  37. スクリーニング法が、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βEおよび/またはフォリスタチンのmRNA発現のレベルをスクリーニングすることに向けられる、請求項33〜36のいずれか1項記載の方法。
  38. スクリーニング法が、インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βEおよび/またはフォリスタチンのタンパク質発現のレベルをスクリーニングすることに向けられる、請求項33〜36のいずれか1項記載の方法。
  39. インヒビン-αタンパク質がPO#12モノクローナル抗体を利用して検出される、請求項38記載の方法。
  40. 哺乳類がヒトである、請求項1〜39のいずれか1項記載の方法。
  41. 哺乳類におけるアクチビン-βA、アクチビン-βB、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現の1つのレベルをスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における進行期新生物の発症または高悪性度新生物を発生する素因を検出する方法であって、アクチビン-βA、アクチビン-βB、もしくはフォリスタチンタンパク質、および/または遺伝子発現のレベルの増大が、高悪性度新生物の発症またはそれに対する素因を指し示す方法。
  42. 哺乳類におけるアクチビン-βA、アクチビン-βB、もしくはフォリスタチンの1つのレベルの調整についてスクリーニングする工程を含む、該哺乳類における高悪性度新生物の発症または進行についてモニタリングする方法であって、アクチビン-βA、アクチビン-βB、もしくはフォリスタチンの正常レベルと比較した該分子のレベルは、該新生物の発症または進行を指し示す方法。
  43. アクチビン-βAまたはアクチビン-βBが単量体または二量体の形態のいずれかである、請求項41または42記載の方法。
  44. 二量体形態がホモ二量体である、請求項43記載の方法。
  45. 二量体形態がヘテロ二量体である、請求項43記載の方法。
  46. 高悪性度新生物が悪性新生物である、請求項41〜45のいずれか1項記載の方法。
  47. 悪性新生物が、乳房、卵巣、甲状腺、精巣、または副腎の新生物である、請求項46記載の方法。
  48. 悪性新生物が乳房の新生物である、請求項47記載の方法。
  49. 悪性新生物が卵巣の新生物である、請求項47記載の方法。
  50. 悪性新生物が、食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の新生物、または食道、胃、結腸、直腸、腎臓、膀胱、小腸、大腸、喉頭、鼻腔、咽喉、神経組織、もしくは子宮内膜の進行型悪性新生物を発生する素因である、請求項46記載の方法。
  51. 悪性新生物が、頚部、脳、皮膚、リンパ節、肺、唾液腺、肝臓、胆嚢、または膵臓の新生物である、請求項46記載の方法。
  52. 悪性新生物が前立腺の新生物である、請求項46記載の方法。
  53. 高悪性度新生物が転移性新生物である、請求項46〜52のいずれか1項記載の方法。
  54. スクリーニングが、哺乳類に由来する生体試料に対して行われる、請求項46〜53のいずれか1項記載の方法。
  55. 生体試料が血清試料である、請求項54記載の方法。
  56. 生体試料が組織試料である、請求項54記載の方法。
  57. 生体試料が前立腺組織試料である、請求項52記載の方法。
  58. スクリーニング法が、アクチビン-βA、アクチビン-βB、またはフォリスタチンのmRNA発現のレベルについてスクリーニングすることに向けられる、項請求項46〜57のいずれか1項記載の方法。
  59. スクリーニング法が、アクチビン-βA、アクチビン-βB、またはフォリスタチンのタンパク質発現のレベルについてスクリーニングすることに向けられる、請求項46〜57のいずれか1項記載の方法。
  60. インヒビン-α、アクチビン-βA、アクチビン-βB、アクチビン-βC、アクチビン-βD、アクチビン-βE、もしくはフォリスタチンタンパク質またはコードする核酸分子の2つまたはそれ以上を検出するための薬剤と、請求項1〜59のいずれか1項記載の方法に使用した場合に、第一のコンパートメントにおける薬剤による検出を容易にするために有用な試薬とを含む、生体試料をアッセイするための診断キット。
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